特許第5674477号(P5674477)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5674477火花点火機関のための燃料におけるアルコールの使用
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5674477
(24)【登録日】2015年1月9日
(45)【発行日】2015年2月25日
(54)【発明の名称】火花点火機関のための燃料におけるアルコールの使用
(51)【国際特許分類】
   C10L 1/02 20060101AFI20150205BHJP
   C10L 1/182 20060101ALI20150205BHJP
【FI】
   C10L1/02
   C10L1/182
【請求項の数】13
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2010-546241(P2010-546241)
(86)(22)【出願日】2009年2月5日
(65)【公表番号】特表2011-511870(P2011-511870A)
(43)【公表日】2011年4月14日
(86)【国際出願番号】EP2009000787
(87)【国際公開番号】WO2009100848
(87)【国際公開日】20090820
【審査請求日】2012年2月2日
(31)【優先権主張番号】102008008818.8
(32)【優先日】2008年2月12日
(33)【優先権主張国】DE
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】310011310
【氏名又は名称】ビュータマックス・アドバンスド・バイオフューエルズ・エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100127926
【弁理士】
【氏名又は名称】結田 純次
(74)【代理人】
【識別番号】100140132
【弁理士】
【氏名又は名称】竹林 則幸
(72)【発明者】
【氏名】メラニー・クベルカ
(72)【発明者】
【氏名】ペーター・プラツェク
【審査官】 福山 則明
(56)【参考文献】
【文献】 特表2006−515377(JP,A)
【文献】 特表2003−520891(JP,A)
【文献】 特表2003−531278(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C10L 1/00−1/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
なくとも1つのC4アルコールを、基本燃料およびエタノールを含む燃料に添加して、19.5〜44容量%の基本燃料、21〜59.5容量%のエタノールおよび21〜49容量%のC4アルコールを含む合成燃料混合物を製造することによる基本燃料およびエタノールを含む火花点火機関用燃料の蒸気圧を上昇させるための方法
【請求項2】
4アルコールは、n−ブタノール、二級ブタノールおよびイソブタノールの1種またはそれ以上である請求項1に記載の方法
【請求項3】
4アルコールはイソブタノールである請求項1に記載の方法
【請求項4】
エタノールは、天然起源である請求項1〜のいずれか一項に記載の方法
【請求項5】
4アルコールは、天然起源である請求項1〜のいずれか一項に記載の方法
【請求項6】
基本燃料は、4から12の炭素数の炭化水素の混合物を含む請求項1〜のいずれか一項に記載の方法
【請求項7】
炭化水素の混合物は、パラフィン、ナフテンおよび芳香族化合物を含む請求項に記載の方法
【請求項8】
基本燃料は、0〜15容量%のエーテルを含む請求項またはに記載の方法
【請求項9】
エーテルは、三級ブチルメチルエーテルおよび/または三級ブチルエチルエーテルである請求項に記載の方法
【請求項10】
合成燃料混合物のアルコール含有量は、少なくとも50容量%である請求項1〜のいずれか一項に記載の方法
【請求項11】
合成燃料混合物のアルコール含有量は、少なくとも70容量%である請求項10に記載の方法
【請求項12】
請求項1〜11のいずれか一項に記載の合成燃料混合物である燃料を製造する方法であって、15〜30容量%の基本燃料および70〜85容量%のエタノールを含む混合物Iと、30〜50容量%の基本燃料および50〜70容量%のC4アルコールを含む混合物IIとを混合することを含み、ここで混合物Iと混合物IIを1:1の容量比で混合する、上記の製造方法
【請求項13】
混合物Iはエタノール70容量%とガソリン30容量%からなる混合燃料またはエタノール85容量%とガソリン15容量%からなる混合燃料であり、混合物IIはブタノール50容量%とガソリン50容量%からなる混合燃料またはブタノール70容量%とガソリン30容量%からなる混合燃料である請求項12に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、火花点火機関のための燃料におけるアルコールの使用、および火花点火機関のための燃料の製造に関する。これらの燃料は、エタノールに加えて、Cアルコールをも含む。
【背景技術】
【0002】
火花点火機関のための燃料は、火花点火による機関に好適な機関燃料である。それらは、通常、典型的には大気圧で26℃から210℃の範囲内にある、異なる沸点を有する、異なる炭化水素の混合物を含む。しかし、この範囲は、具体的に確定しておらず、炭化水素、添加剤および他の成分の実際の組成、ならびに環境条件に左右され得る。典型的には、燃料の炭化水素成分は、CからC10の炭化水素を含む。
【0003】
それらの製造において満たされなければならない火花点火燃料に対する要件は、多面的である。要件は、法律および条例、流通連鎖および機関におけるそれらの使用の結果である。製造に特有の条件、および火花点火燃料を異なるタイプに分別することを必要とする様々なドライブ概念がこれらに加わる。ドイツでは、DIN Standardsの形の命令によって最低限の要件が課されている。これらは、給油所において適切な識別情報により識別可能でなければならない。1993年に導入され、2004年および2006年に更新されたThe Fuel Quality Decreeは、現在ではDIN Standard EN228のすべての要件を満たす燃料のみを承認している。米国では、ASTM 4814によって対応する規格が課されている。
【0004】
最適なドライブ条件を達成するために、燃料は、車両の様々な異なる要件を満たさなければならない。具体的には、これは、「長時間の寒い夜の後に、機関は、夏の場合とちょうど同じくらい容易に、すなわち十分に加熱された機関が短時間の途中停止の後で再起動するように起動しなければならない」ことを意味する。機関は、アイドリングの際に失速してはならず、高負荷下で不規則に動作してはならない。好ましくない条件下であっても、吸気系、燃焼室または油溜めに妨害残留物が存在してはならない。
【0005】
燃料は、問題がなく、信頼性があり、相互便益のある相互作用が可能であるように、これらの異なる、そして部分的に矛盾する要件に適応されなければならない。したがって、ドイツにおける有標製造者は、アルコールおよびエーテルなどの「鉱油代用成分」と呼ばれるものを限定された割合で、0.5重量パーセントまでの化学活性物質とともに基本燃料と混合する。
【0006】
フレックスフューエルビークルと呼ばれるものに使用するための、0から85容量%のエタノールのアルコール分を有する燃料に対して特定の要件が指定されている。70から85容量%のエタノールを含む、E85燃料と称するものでは、低温起動挙動用の蒸気圧が特に重要である。エタノールまたは異なるアルコールの混合物などの高アルコール分の燃料が知られている。例として、特許文献1、2、3および4を挙げることができる。
【0007】
夏または冬品質のリサーチオクタン価(RONとも呼ばれる)が95である標準精油所「スーパーベンジン」またはガソリンと70〜85容量%のバイオエタノールとを混合することも知られている。2005年5月のCEN Workshop Agreementによる草案規格CWA 15293およびDraft Standard E DIN 51625(2007年10月、Beuth Verlag)では、夏期月間(クラスA)に対して最小限35kPaの蒸気圧が推奨され、冬期月間(クラスB)に対して最小限50kPaの蒸気圧が推奨されている。基本スーパーベンジンまたはガソリン燃料の蒸気圧によっては、ガソリン/エタノール混合物の蒸気圧が草案規格に対応できない。このような場合は、混合物におけるエタノール濃度を下方調整しなければならない。これは望ましくない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】出願HK 106,428号明細書
【特許文献2】米国特許出願公開第2006/0137243号明細書
【特許文献3】米国特許出願公開第2004/0107634号明細書
【特許文献4】米国特許出願公開第2004/123518号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
したがって、本発明の目的は、十分に高い蒸気圧、例えば、規格を満たす圧力を示す高アルコール濃度の燃料を提供することである。これは、低温起動挙動を向上させること、例えば、燃料が冬期の温度下でも良好な低温起動挙動を示すことを保証することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この目的は、請求項1に記載の少なくとも1つのCアルコールの使用によって解決される。
【発明を実施するための形態】
【0011】
基本燃料は、従来のガソリン、例えば無鉛ガソリン、例えば、ドイツおよびヨーロッパの他の場所で95のRONにより供給されている無鉛ガソリンである。
【0012】
1984年以来Normalとして、さらに1985年以来Euro−Superとして、そして1989年以来SuperPlusとして給油所で提供されてきた無鉛ガソリンに対する最低限の規格が、1993年にEuropean Standard DIN EN 228において指定された。Normal、SuperおよびSuper−Plusの品質のドイツの精油所からの火花点火燃料の組成は、例えば、German Scientific Association for Mineral Oil, Natural Gas, and CoalsによるDGMK調査報告書502−1(DGMKとも呼ばれる)に見いだされる。この分析において、燃料の主な成分が、具体的には平均値ならびに範囲として確認された。この分析の基準は、2001/2002年の冬の冬製品であった。この報告書を本明細書で明示的に参照する。具体的には、3から6個の炭素原子を有する50個の炭化水素、51個の芳香族化合物および3個の酸素含有化合物についての含有量が確認された。加えて、それぞれの場合において同じ炭素含有量のすべての典型の全含有量が、パラフィン、ナフテン、環式および非環式オレフィンならびに芳香族化合物について測定された。10個のジオレフィンおよび15個の多環式芳香族の含有量が個別に試験された。挙げられている火花着火燃料は、14カ所の異なる精油所から得られたものである。
【0013】
本発明による合成燃料は、15〜50容量%の当該基本燃料を含む。
【0014】
ガソリンの蒸発する傾向、すなわちその揮発性は、火花点火燃料としての使用のための中心的な前提条件であると同時に、必須の品質上の特徴である。ガソリンは、多くの炭化水素の混合物であるため、明確な沸点を有さず、通常、30℃と200℃の間の沸点範囲を有する。
【0015】
本発明による燃料は、15〜65容量%のエタノールおよび15〜50容量%のCアルコールを含む。必然的に、全体的には、他の成分が存在する場合はそれらを含めて、合計が常に100容量%になる。
【0016】
基本的に、アルコール含有量が高いために、燃料の特性が、通常の燃料と比較して改変されている。当該特性は、例えば揮発性である。
【0017】
揮発性は、たいていの場合は30から200℃、最大で26から210℃の温度範囲の沸騰曲線および蒸気圧によって特徴づけられる。沸騰曲線は、異なる温度における、蒸発した流体の比率を示す。蒸気圧は、燃料成分が、閉鎖された容器における異なる温度で液相から蒸気相に変化する結果である。
【0018】
「蒸発ガソリン分率/温度」の関数は、沸騰曲線と呼ばれるものを与え、その位置および特性は、当業者が機関における燃料の挙動に関する結論を導くことを可能にする。基本的には、あらゆる条件において着火性燃料−空気混合物が燃焼室で利用できるように、火花点火燃料の揮発性が設定されなければならない。例えば、特に低温の機関または特に高温の機関を用いるなどの特定の動作条件下では、燃料における品質差がこの基準に合わせて識別可能になるように、この前提条件を満たしにくくなる。
【0019】
混合物の着火性は、燃料ばかりでなく、機関のコンセプトにも影響される。すなわち、機関が「濃厚」混合物で駆動されるのか、「希薄」混合物で駆動されるのかに応じて異なる。
【0020】
冬の動作については、火花点火燃料の揮発性は、概して低い雰囲気温度に適応される。確実な低温起動のために、燃料は、可能な限り揮発性であるべきである。揮発性が低すぎると、不十分な蒸発により混合物が希薄になり、吸気マニホールドの壁上に過剰の燃料が凝縮するため、より低い範囲における低沸騰曲線および高蒸気圧は、機関の起動および暖機運転を促進させる。
【0021】
高温エンジンに用いるガソリンに関する要件は、全く逆である。好ましくない条件下では、燃料蒸発物(燃料ポンプにおける「蒸気相形成」)のあまりに大きな部分が気化器のフロート室から蒸発し、または噴射系に蒸気クッションを形成するほど燃料系の成分が高温になり得る。その結果、燃料送達が中断され、混合物が過富化されるため、ドライブ挙動に負の影響がもたらされる。これらの障害は、燃料系(ポンプ、気化器および燃料噴射系)が高温になるほど、そして燃料送達容量および系の圧力が低くなるほど頻繁に生じる。燃料側では、過度に高い揮発性は、不利な効果を招くのは自明である。夏期における高雰囲気温度は、故障の確率を高くする。この理由により、燃料製造者は、冬期品質燃料と比較して、より低い範囲における沸騰曲線が高く、蒸気圧が低くなるようにしてそれらの夏期品質燃料をブレンドする。しかし、この調整は、低温起動に問題が生じるほど行われるべきでない。
【0022】
特に、高エタノール含量の燃料の混合物を含む基本燃料によっては、特に冬期製品について、草案規格に従って維持されるべき最低蒸気圧を維持することができない。結果として、最低蒸気圧を達成するためにエタノール含有量を下げなければならない。
【0023】
意外なことに、基本ガソリンおよびエタノール(例えばE85)と、例えば、高濃度のCアルコールを有する他の燃料に存在し得るものなどの少なくとも1つのCアルコールとを混合することによって、個々の燃料の蒸気圧より高い混合蒸気圧の上昇を達成できることが判明した。実験室において、スーパーガソリンにおける様々な異なるエタノールおよびブタノール混合物の(EN 13016−1による)蒸気圧を試験した。
【0024】
結果を表1および2に示す。それぞれの場合において個々の組合せを特徴づける文字の後の数は、容量%単位のこの組合せの含有量を示す。
【0025】
これまでに示された要件は、本発明による燃料によって満たされ、特に、低温起動特性が改善される。
【0026】
基本的に、基本燃料と比較的高比率のエタノールとの混合物を用いると、少なくとも1つのCアルコールを、合成燃料混合物におけるその含有量が少なくとも15容量%になるようにこの混合物に添加した場合に蒸気圧の異例な上昇が生じることを確認することができる。当該蒸気圧の上昇は、当業者にとって予測不可能である。その効果は、混合後に、15〜50容量%の基本燃料、15〜65容量%のエタノールおよび15〜50容量%のCアルコールを含む燃料の間で顕著である。その効果は、混合後に、20〜46容量%の基本燃料、20〜60容量%のエタノールおよび20〜50容量%のCアルコールを含む燃料の間、特に、混合後に19.5〜44容量%の基本燃料、21〜59.5容量%のエタノールおよび21〜49容量%のCアルコールを含む燃料の間で特に顕著である。この効果は、Cアルコールがn−ブタノール(1−ブタノールとも呼ばれる)、二級ブタノール(2−ブタノールとも呼ばれる)またはイソブタノール(2−メチル−1−プロパノールとも呼ばれる)、あるいはこれらのブタノールの少なくとも2つのブタノールの混合物であるときに特に著しい。
【0027】
沸騰挙動の分析(EN ISO 3405による蒸留)から、エタノールを含む燃料とブタノールを含む燃料とを混合するとプラスの効果が確認された。約20から90%の蒸発容量の範囲で水平になる蒸留曲線は、本発明による混合物において、一定の上昇を示すため、火花点火燃料の軌道と同様の軌道を示す。
【0028】
言及されている効果は、蒸気圧、およびCアルコールがイソブタノールである場合は沸騰挙動に関して特に好ましい。
【0029】
エタノールが本発明による燃料に含まれている場合は、基本的に、エタノールがどの源に由来するかは、燃料の特性にとって重要でない。しかし、好ましくは、燃焼すると環境的に中性である二酸化炭素を発生させるという理由により、少なくとも大部分がバイオマスなどの天然起源のエタノールを使用すべきである。同じ理由から、使用されるCアルコールも同様に大部分が天然起源であることが好ましい。
【0030】
本発明による燃料のアルコールの全含有量は、少なくとも50容量%であるが、好ましくは少なくとも70容量%である。
【0031】
既に記載したように、基本燃料は、例えば、現時点で商業的に入手可能である無鉛ガソリンなどの燃料である。これは、炭素数が主に4から12個の炭化水素の混合物である。その主成分は、主に、パラフィン、ナフテン、オレフィンおよび芳香族化合物である。これに加えて、基本燃料は、酸素を含む成分を含むことができる。この状況において、エーテルが好適である。エーテル含有量は、基本燃料に対して好ましくは15容量%までである。エーテルとしては、三級ブチルメチルエーテル(MTBEとも呼ばれる)ならびに三級ブチルエチルエーテル(ETBEとも呼ばれる)またはそれらの混合物が非常に好適である。
【0032】
本発明は、さらに、本発明による合成燃料の製造のための方法、ならびに火花点火機関、特に自動車における火花点火機関のための燃料としてのその使用に関する。
【0033】
好ましくは、本発明による合成燃料は、既存の燃料混合物から製造される。これらの混合物の1つは、70〜85容量%の比率のエタノールおよび15〜30容量%の比率の基本燃料を有する既に記載のE85燃料(混合物(I))である。他の混合物は、30〜50容量%の基本燃料および50〜70容量%のCアルコールを含む(混合物(II))。混合物I:IIの好適な混合比は、1:1である。混合物IはE70またはE85ガソリンであってよく、混合物IIはB50またはB70ガソリンであってよい。70容量%のエタノールを有する混合物(I)と50容量%のCアルコール、特にイソブタノールを有する混合物(II)との混合物が好適である。好ましくは、混合物(I)と混合物(II)との比は、40:60から60:40の範囲であるが、特にそれぞれ50:50または1:1である。しかし、混合物(I)は85容量%までのエタノールを含み、混合物(II)は70容量%までのCアルコールを含むことができる。
【0034】
しかし、基本的に、記載されているように、Cアルコールを、基本燃料との混合物として、高含有量のエタノールを含む基本燃料の混合物に添加するだけでなく、Cアルコールを(100%までの)高濃度で後者の混合物に添加することも可能である。最終的な分析において、合成混合物における濃度比が決定的となる。したがって、本発明は、さらに、基本燃料およびエタノールを含む火花点火機関用燃料の蒸気圧を上昇させるための少なくとも1つのCアルコールの使用であって、少なくとも1つのCアルコールを、基本燃料およびエタノールを含む燃料に添加して、15〜50容量%の基本燃料、15〜65容量%のエタノールおよび15〜50容量%のCアルコールを含む合成燃料混合物を製造する使用に関する。容量%のデータは、それぞれの場合において合成燃料混合物に関する。
【0035】
合成燃料混合物は、好ましくは、800重量ppm未満、例えば100から400重量ppmの範囲の水濃度を有する。
【0036】
次に、表1および2のデータを参照することによって、あくまでも例示を目的として本発明を説明する。スーパーガソリンにおける様々な異なるエタノールおよびブタノール混合物についてEN 13016−1に従って実験室で測定される蒸気圧を測定して、表1および2に示す。
【0037】
各成分の相対容量に従って計算された推定蒸気圧と実測蒸気圧との差も示す。推定蒸気圧を各成分の相対的比率に従って計算した。例えば、70容量%のiB50/30容量%のE70の混合物の推定蒸気圧を、iB50の蒸気圧の70%+E70の蒸気圧の30%として計算した。表のデータは、少なくとも1つのCアルコールを使用すると、基本燃料およびエタノールを含む燃料の蒸気圧が、様々なガソリン/エタノールおよびガソリン/ブタノール混合物の、それらの量に応じた比率で合計することによって推定される蒸気圧を超えることを示している。したがって、例えば、1B50は56.1kPaの蒸気圧を有し、2B50は55.7kPaの蒸気圧を有し、iB50は55.6kPaの蒸気圧を有し、iB70は40.7kPaの蒸気圧を有し、E70は56.1kPaの蒸気圧を有し、E85は40.0kPaの蒸気圧を有することが分かった。これらのブタノールおよびエタノール混合物の様々な50:50(容量/容量)混合物の蒸気圧を測定したところ、成分混合物の蒸気圧の平均より大きいことが分かった。したがって、Cアルコールによって、燃料混合物の蒸気圧が上昇した。
【0038】
表1および2には、様々な比率のE70/iB50混合物およびE85/iB70混合物についての推定蒸気圧と実測蒸気圧との差も示されており、推定値は、2つの混合物の相対的容量比に従って計算されている。
【0039】
アルコールによってもたらされた蒸気圧の上昇を表に示す。
【0040】
【表1】
【0041】
【表2】
【0042】
【表3】