(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記壁に設けられた水栓取付用の取付孔を覆うカバーを備え、該カバーは、前記水栓本体または該水栓本体に接続される部材への係止または固定によって保持される請求項1または2に記載の埋め込み水栓。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。
【0018】
図1及び
図2に示すように、本発明の第1の実施の形態に係る埋め込み水栓1には、継手部2と、流量調整部材(例えばハンドル)3とが、正面視略矩形状のカバー4(
図6も参照)の表側(外側)に露出(突出)した状態で設けられる。
【0019】
継手部2には、例えば、
図1に示す給水対象(図示例は洗濯機)Tに繋がった給水ホースHの上流端に設けられた継手部材Cが着脱自在に接続される。ここで、継手部材Cには、継手部2のフランジ部材5に係脱自在に係止する係止部C1が設けられている(
図10(E)参照)。そして、継手部2に継手部材Cを接続すると、継手部2のストップ弁(緊急止水弁)6が継手部材Cに押されて上流側に移動し、開弁状態となって継手部2から給水ホースH側への給水が可能となり、継手部2に対する継手部材Cの接続が解除されると、ストップ弁6が元の位置に戻り、閉弁状態となる。このような機能を持つストップ弁6の構成は公知であり、そのより詳しい説明は省略する。
【0020】
流量調整部材3は、水栓本体7の下流側に設けられる継手部2から給水ホースH側への給水流量を調整するためにカバー4の表側から操作されるものである。本形態の流量調整部材3は、
図3(A)及び(B)、
図4に示すように、水栓本体7の開口部8に装着されて水栓本体7に接続されるバルブ9に取り付けられる(接続される)。
【0021】
ここで、水栓本体7には、本形態ではエルボである配管接続部材10(
図3(A)、
図4参照)を介して給水管(図示していない)が接続され、配管接続部材10は水栓本体7に対して軸回りに360°回転自在に構成されている。
【0022】
一方、バルブ9は、
図3(A)及び(B)、
図5(A)及び(B)に示すように、内筒体11と外筒体12と保持体13とを備え、内筒体11は外筒体12内に回動可能に配置され、内筒体11と外筒体12とを水栓本体7の開口部8内に挿入した状態で保持するための保持体13には、開口部8の雌ねじ8aに螺着する雄ねじ13aが設けられている。そして、
図3(A)及び(B)に示すように、外筒体12と保持体13とは、内筒体11の外壁に設けられた大径部分11aと抜け止め片14とによって、内筒体11の外側に装着される。
【0023】
また、内筒体11は流量調整部材3の回動操作に伴って回動するように構成されており、内筒体11の回動に伴い、内筒体11の側壁に設けられた貫通孔15(
図3(A)、(B)参照)と外筒体12の側壁に設けられた貫通孔16(
図5(A)及び(B)参照)との連通する度合いが変更され、この変更が継手部2から給水ホースH側への給水流量に反映される仕組みとなっている。
【0024】
すなわち、給水管から配管接続部材10を経て水栓本体7内に至った水は、バルブ9の内筒体11の内側へと進む(
図3(A)参照)。そして、内筒体11の貫通孔15から外筒体12の貫通孔16を経た水は継手部2へと向かい、継手部2から給水ホースH内に導出される。従って、内筒体11の貫通孔15と外筒体12の貫通孔16との連通度合いが小さくなるほど継手部2から給水ホースH側への給水流量は小さくなり、前記連通度合いが大きくなるほど前記給水流量も大きくなる。
【0025】
尚、水栓本体7内においてバルブ9から継手部2に至るまでの流路部分には、例えば継手部2の下流側において発生する水撃(本例では給水対象Tである洗濯機の電磁弁の開閉操作の際に生じる水撃)を吸収、緩和するダンパー部17を有する逆止弁18が設けられている(
図3(B)参照)。また、水栓本体7内のバルブ9等の適宜の部位には、止水のために、Oリング等のシール部材が設けられる(
図3(A)、(B)参照)。特に、本形態では、内筒体11に、貫通孔15を囲む環状溝11bと、環状溝11bに装着され、内筒体11の貫通孔15と外筒体12の貫通孔16との間からの漏水を防止するためのシール部材11cとが設けられ、バルブ9全体のコンパクト化が図られている(
図3(A)、(B)参照)。
【0026】
そして、水栓本体7は、
図3(A)、
図4に示すように、壁(ボード)Wの裏側に設置(固定配置)された略鉛直方向に延びる間柱Mに対して、その前端が間柱Mの前面(あるいは壁Wの背面)に沿うように位置決めされた状態で取り付けられる金属製(例えば鉄製)の保持具19によって保持され、これにより、壁Wの裏側に配置されることになる。
【0027】
保持具19は、
図3(A)、
図4及び
図7(A)〜(D)に示すように、略鉛直方向かつ壁Wと略直交する方向に延びる第1取付面部20と、この第1取付面部20の上部に連設され略水平方向に延びる第2取付面部21と、第1取付面部20の前部に連設され略鉛直方向かつ壁Wと略平行に延びる保持面部22とを有し、例えば冷間圧延鋼板(SPCC)パンチや曲げ加工に適した構成となっている。また、第1取付面部20と第2取付面部21との境界となる曲げ部分と、第1取付面部20と保持面部22との境界となる曲げ部分とには、それぞれビード加工が施されている。
【0028】
そして、第1、第2取付面部20,21にはそれぞれ、ねじ23によるねじ止め用の孔20a,21aが例えば複数(図示例では二つずつ)設けられ、保持面部22には、接続具24に挿通される挿通孔22aが例えば複数(図示例では二つ)設けられている。
【0029】
接続具24は、保持具19と水栓本体7とにわたって差し込まれ保持具19と水栓本体7とを接続するように構成されている。尚、本形態の接続具24は座金組み込みねじ(所謂セムスねじ)であり、水栓本体7において壁Wに対して保持面部22よりも遠くに位置する部分には、この接続具24が螺合する雌ねじ部分7aが設けられている(
図3(A)、
図4参照)。尚、
図4では、接続具24の座金の図示は省略してある。
【0030】
さらに、
図3(A)及び
図4に示すように、接続具24における保持具19に差し込まれる部分と水栓本体7に差し込まれる部分との間の部分に挿通された状態となるように装着され、かつ、着脱自在である合成樹脂(例えばPOM)製のスペーサ25が設けられている。すなわち、スペーサ25には、
図8(A)及び(B)に示すように、接続具24に挿通される挿通孔25aが例えば複数(図示例では二つ)設けられている。尚、スペーサ25は、例えば、一つの挿通孔25aのみを有し、この挿通孔25aを挿通しない他の接続具24を回避するように構成されていてもよい。
【0031】
ここで、本形態では、相互に長さLが異なる複数(例えば7個)のスペーサ25から任意の長さLを有するスペーサ25が選択されて用いられ、このようにして装着されるスペーサ25の長さ(水栓本体7に当接する部位から保持具19に当接する部位までの長さ)が変更されたり、斯かるスペーサ25が着脱されたりすることによって、接続具24において保持具19に差し込まれる部分から水栓本体7に差し込まれる部分までの距離が変更され、水栓本体7の位置が壁Wの表裏方向に移動する(壁Wから水栓本体7までの距離も変更される)ことになる。
【0032】
尚、スペーサ25としては壁Wの厚みのパターンに応じた長さLを有するものを用意すればよく、本形態では、長さLの範囲が3.2mm〜18.2mmである7種類(3.2mm,6.2mm,9.2mm,11.2mm,14.2mm,15.2mm,18.2mm)が用意されている。そして、
図3(A)及び(B)には、厚みが9.5mmの壁Wに長さLが18.2mmのスペーサ25を用いた場合を示してあり、
図9(A)及び(B)には、厚みが25mmの壁Wに長さLが3.2mmのスペーサ25を用いた場合を示してある。
【0033】
上記のように保持具19、接続具24、スペーサ25を用いて間柱Mに固定され、壁Wの裏側に配置される水栓本体7に対して、水栓本体7の開口部8に装着されるバルブ9の前部は、壁Wに設けられ保持具19の前側に位置する例えば縦100mm×横50mmの大きさを有する水栓取付用の取付孔Waを抜けて壁Wの表側に突出する。そして、このバルブ9の前部に設けられた被係止溝9a(
図3(A)及び(B)、
図5(A)及び(B)参照)に対して取付孔Waを覆うカバー4の上部に設けられた係止爪4a(
図3(A)及び(B)、
図6参照)が係止することにより、カバー4は壁Wの表側において固定された状態となる。そして、このカバー4の固定後に、カバー4の上側の開口4bから壁Wの表側に突出するバルブ9の前部に対して流量調整部材3が装着される(
図4参照)。
【0034】
一方、上述したカバー4の固定後に、カバー4の下側の開口4c(
図4参照)から壁Wの表側に突出する継手部2には、
図10(A)〜(D)に示すように、フランジ部材5が装着される。本形態のフランジ部材5には、
図10(B)及び(C)に示すように、その中央部から周縁部にかけて切り欠き孔26が設けられ、この切り欠き孔26において、フランジ部材5の中央部に位置する孔部分26aより周縁部に位置する孔部分26bの方が大きくなっている。そして、
図10(A)及び(B)に示すように、フランジ部材5の周縁部寄りの孔部分26bに継手部2を通した後、フランジ部材5をスライドさせ、
図10(C)及び(D)に示すように、フランジ部材5の中央部寄りの孔部分26aの内側に継手部2を移動させることにより、継手部2に対するフランジ部材5の装着が完了し、継手部2に対する給水ホースHの接続が可能な状態となる(
図10(E)参照)。尚、
図2では切り欠き孔26の図示を省略している。
【0035】
本形態の埋め込み水栓では、施工現場により間柱Mと壁Wとの間隔や壁Wの厚みにばらつきがある場合でも、スペーサ25の長さを変更することにより、流量調整部材3の壁Wの表側への迫り出し量(突出量)の一律化を図ることができ、これにより、設置後の埋め込み水栓の状態を容易に良好にすることができる上、スペーサ25の長さを変更する(適宜の長さのスペーサ25を選択する)のみでよいので施工性の向上をも図ることができる。加えて、本形態の埋め込み水栓では、流量調整部材3及びカバー4の両方がバルブ9に固定(装着)されるので、壁Wの厚みに関係無くカバー4から流量調整部材3までの間隔が必然的に一定になり、これによっても埋め込み水栓の良好な設置を容易に行うことが可能となる。
【0036】
また、スペーサ25は長さLが3.2mm〜18.2mm程度の小さいものであり、しかも安価なPOM等の合成樹脂を用いて作成することができるものであるので、上記従来の埋め込み水栓に用いられている大きい枠状のスペーサ等を用いる場合よりもスペーサ25を用いる本形態の方が製造コストの低減化の点で有利である。また、スペーサ25は小さいので、多種類のスペーサ25であっても適宜に梱包するなどしてコンパクトに運搬することができる。
【0037】
さらに、本形態の埋め込み水栓は、従来の埋め込み水栓で用いられるハウジングを不要とすることができるので、この点でもコストダウンに資するものとなり、設置スペースのコンパクト化の点でも優れている。
【0038】
その上、給水管が接続される配管接続部材10は水栓本体7に対して回転自在であるので、斯かる給水管が床下から配管された場合のみならず、例えば天井から配管された場合にも対応可能である。
【0039】
なお、本発明は、上記の実施の形態に何ら限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々に変形して実施し得ることは勿論である。例えば、以下のような変形例を挙げることができる。
【0040】
給水対象Tは洗濯機に限られず、浄水器、食器洗い機、湯沸器などの他の機器であってもよい。
【0041】
壁Wの厚みに関係無くカバー4ひいては埋め込み水栓1の良好な設置を容易に行うことを可能とするためには、壁Wの裏側に固定配置される保持具19にカバー4を直接取り付けるのではなく、スペーサ25によって位置調整される水栓本体7やこの水栓本体7に接続される部材(例えばバルブ9や継手部2)への係止または固定によってカバー4を保持させるようにしてあればよい。従って、上記実施の形態では、バルブ9の前部に設けられた被係止溝9a(
図3(A)及び(B)、
図5(A)及び(B)参照)に対してカバー4の係止爪4a(
図3(A)及び(B)、
図6参照)を係止させることにより、カバー4を保持するようにしてあるが、カバー4の保持方法はこれに限られない。
【0042】
保持具19は、間柱Mのみならず、略水平方向に延びる当木にも取付可能であり、この場合、当木に対する保持具19の取り付けには、第1取付面部20ではなく第2取付面部21(
図4参照)を用いればよい。
【0043】
接続具24は座金組み込みねじに限られず、座金が組み込まれていないノーマルなタイプのねじの他、例えば、ボルトとナットであってもよく、この場合、保持具19、スペーサ25及び水栓本体7(雌ねじ部分7a)を挿通して水栓本体7の外側に突出したボルトの先端部分にナットを螺着すればよい。
【0044】
スペーサ25の長さを変更する方法としては、相互に長さの異なる複数のスペーサ25から任意の長さを有するスペーサ25を選択し着脱する上述の方法の他に、例えば、長めに成形したスペーサ25を任意長さに切断する方法や、長さが同一あるいは相互に異なる複数のスペーサを適宜に組み合わせて用いる方法が挙げられる。
【0045】
保持面部22、スペーサ25、雌ねじ部分7aを前側からこの順に並べる構成に限られず、例えば、保持面部22、スペーサ25、雌ねじ部分7aを後側からこの順に並べてもよい。すなわち、上記実施の形態では、接続具24を、水栓本体7において壁Wに対して保持面部22よりも遠くに位置する部分に差し込んであるが、水栓本体7において壁Wに対して保持面部22よりも近くに位置する部分に差し込むようにしてもよい。
【0046】
また、接続具24を保持面部22、スペーサ25、雌ねじ部分7aに対して前側からではなく後側から差し込むようにしてもよい。また、雌ねじ部分7a(水栓本体7において接続具24が差し込まれる部分)は、壁Wの外側からみて水栓本体7の左側に設けられているものに限られず、
【0047】
次に、本発明の第2の実施の形態に係る埋め込み水栓31について、
図11〜
図20を参照しながら説明する。
【0048】
第1の実施の形態では、継手部2と流量調整部材3とは、カバー4の表側(外側)において互いに異なる位置に露出(突出)するように設けられているが(
図1及び
図2参照)、第2の実施の形態では、継手部32と流量調整部材33とは一体化された状態でカバー34の表側(外側)に露出(突出)する(
図11、
図12参照)。
【0049】
尚、継手部32には、フランジ部材5及びストップ弁6が設けられ(
図11及び
図12参照)、
図13(A)及び(B)に示すように、継手部材Cが着脱自在に接続される。この点は、第1の実施の形態の継手部2と同様である。
【0050】
流量調整部材33は、
図14及び
図15(A)に示すように、水栓本体35の開口部36に装着されて水栓本体35に接続されるバルブ37に取り付けられる。
【0051】
尚、水栓本体35には、水栓本体35を介して給水ホースH側へ給水するための給水管(図示していない)が接続部35a(
図15(A)参照)に接続されるが、この接続は
図14に示すようなストレート状の配管接続部材38を介して行われてもよいし、第1の実施の形態の配管接続部材10、すなわち、水栓本体35(接続部35a)に対して軸回りに360°回転自在に構成されたエルボである配管接続部材10(
図3(A)、
図4参照)を介して行われてもよい。
【0052】
バルブ37は、略筒状のバルブ本体39を備え、このバルブ本体39がその軸まわりの回動により水栓本体35の内壁に設けられた弁座40に対して近接及び離間するように、水栓本体35(開口部36)内に設けられた雌ねじとバルブ本体39に設けられた雄ねじとからなる螺合部41が設けられている(
図15(A)参照)。
【0053】
また、バルブ本体39の一端(先端)には弁座40に密着当接可能なパッキン42(
図15(A)参照)が装着されている。そして、バルブ本体39が開弁状態にあるとき(
図17参照)には、接続部35aから水栓本体35内に至った水を、弁座40とパッキン42との隙間からバルブ本体39内、さらには継手部32側へと向かわせる給水が可能となるが、パッキン42が弁座40に密着当接する閉弁状態では(
図15(A)参照)、斯かる給水が不可能となる。
【0054】
また、
図15(A)に示すように、バルブ本体39内における逆止弁18の上流側には、バルブ本体39内に形成される流路を狭め、水圧を下げるための減圧板43が設けられている。尚、減圧板43は、中央部に貫通孔が形成された板状の部材である。
【0055】
ここで、
図14及び
図15(A)に示すように、バルブ本体39が水栓本体35の開口部36から抜けてしまうことは、バルブ本体39の適宜の部位に装着される抜け止め片44によって防止される。図示例では、抜け止め片44はねじ45により水栓本体35に固定される。
【0056】
そして、
図15(A)に示すように、バルブ本体39の他端(前端)側の内外に継手部32及び流量調整部材33が接続される。本実施形態では、バルブ本体39に対する継手部32の接続は螺着により行われる。また、バルブ本体39に対する流量調整部材33の接続は、バルブ本体39に設けられたアウターセレーション46aと、流量調整部材33に設けられたインナーセレーション46bとからなるセレーション嵌合部46により行われる。
【0057】
従って、バルブ本体39は流量調整部材33の回動操作に伴って回動するのであり、流量調整部材33が
図12に示す位置にあるときには、バルブ本体39は閉弁状態(
図15(A)参照)となっており、この位置にある流量調整部材33を
図12の矢印イ方向に回動操作するにつれて、バルブ本体39と弁座40とで構成される弁の開度は大きくなり、継手部32から給水ホースH側への給水流量も大となる。
【0058】
そして、水栓本体35は、
図14、
図16(A)に示すように、壁(ボード)Wの裏側に設置(固定配置)された略鉛直方向に延びる間柱Mに対して、その前端が間柱Mの前面(あるいは壁Wの背面)に沿うように位置決めされた状態で取り付けられる金属製(例えば鉄製)の保持具47によって保持される。
【0059】
保持具47は、
図14、
図15(A)、
図16(A)、
図19(A)〜(G)に示すように、略鉛直方向かつ壁Wと略直交する方向に延びる第1取付面部48と、この第1取付面部48の上部に連設され略水平方向に延びる第2取付面部49と、第1取付面部48の前部に連設され略鉛直方向かつ壁Wと略平行に延びる保持面部50とを有し、例えば冷間圧延鋼板(SPCC)パンチや曲げ加工に適した構成となっている。また、第1取付面部48と第2取付面部49との境界となる曲げ部分と、第1取付面部48と保持面部50との境界となる曲げ部分とには、それぞれビード加工が施されている。
【0060】
そして、第1、第2取付面部48,49にはそれぞれ、ねじ23によるねじ止め用の長孔48a,49aが例えば複数(図示例では二つずつ)設けられ、保持面部50には、接続具24に挿通される雌ねじ部分50aが例えば複数(図示例では二つ)設けられている。さらに、第1、第2取付面部48,49の前部にはそれぞれ、保持面部50よりも前側に突出する位置決め用の突出部分51が設けられている。
【0061】
接続具24は、水栓本体35に設けられた挿通孔35b(
図14参照)と保持具47の保持面部50の雌ねじ部分50aとにわたって差し込まれ(螺着し)両者35,47を接続するように構成されている。尚、本形態の接続具24も座金組み込みねじ(所謂セムスねじ)であるが、
図14では、接続具24の座金の図示を省略してある。
【0062】
さらに、
図14に示すように、接続具24における水栓本体35に差し込まれる部分と保持具47に差し込まれる部分との間の部分に挿通された状態となるようにスペーサ25が装着される。そして、このスペーサ25は着脱自在であって、
図16(B)に示すように装着した状態にも、
図16(A)に示すように外した状態にもすることができる。
【0063】
ここで、本形態では、相互に長さLが異なる複数種(例えば4種)のスペーサ25から任意の長さLを有するスペーサ25が選択されて用いられ、このようにして装着されるスペーサ25の長さ(保持具47に当接する部位から水栓本体35に当接する部位までの長さ)が変更されたり、斯かるスペーサ25が着脱されたりすることによって、接続具24において保持具47に差し込まれる部分から水栓本体35に差し込まれる部分までの距離が変更され、水栓本体35の位置が壁Wの表裏方向に移動する(壁Wから水栓本体35までの距離も変更される)ことになる。
【0064】
尚、本形態では、長さが同一あるいは相互に異なる複数のスペーサ25を適宜に組み合わせて用いるのであり、長さLの範囲が3.0mm〜9.5mmである4種類(3.0mm,4.0mm,7.0mm,9.5mm)のスペーサ25が用意されている。すなわち、本形態では、壁Wの厚みが9.5mmである場合(
図15(A)、
図17参照)には
図16(A)に示すようにスペーサ25を接続具24に装着せず、壁Wの厚みが12.5mmである場合(
図15(B)参照)には長さLが3.0mmのスペーサ25を一つのみ接続具24に装着する(
図16(B)参照)。また、例えば、壁Wの厚みが25mmである場合には、長さLが3.0mmのスペーサ25を二つと長さLが9.5mmのスペーサ25を一つとを組み合わせて接続具24に装着する。
【0065】
また、第1の実施の形態の保持具19は、保持面部22の前面が間柱Mの前面(あるいは壁Wの背面)に沿うように設置され、保持面部22の後側(壁Wから遠い側)に水栓本体7が接続されるが、第2の実施の形態の保持具47は、第1,第2取付面部48,49の前部に設けられた突出部分51の前縁が間柱Mの前面(あるいは壁Wの背面)に沿うように設置され、保持面部50の前側(壁Wに近い側)に水栓本体35が接続されるので、保持面部50は突出部分51の前縁よりも所定間隔だけ壁Wから遠のくように構成されている。
【0066】
上記のように保持具47、接続具24を用い、さらに必要に応じてスペーサ25を用いて間柱Mに固定される水栓本体35に対して、水栓本体35の開口部36に装着されるバルブ37の前部は、壁Wに設けられた例えば縦100mm×横50mmの大きさを有する水栓取付用の取付孔Waを抜けて壁Wの表側に突出する(
図14参照)。そして、本形態では、カバー34は、カバー34に設けられた二つの挿通孔34a(
図18参照)を挿通する二つの固定ねじ52(
図14参照)により水栓本体35に取り付けられ、これにより、カバー34は壁Wの表側において固定された状態となる。また、カバー34には、二つの固定ねじ52を覆うようにキャップ53(
図14参照)が着脱自在に装着される。
【0067】
そして、このカバー34の固定後に、カバー34に設けられ前方斜め下側に向いた筒状部34bから壁Wの表側に突出するバルブ37のアウターセレーション46aに対して流量調整部材33のインナーセレーション46bが嵌合され、流量調整部材33はカバー34によって保持される状態となる。すなわち、流量調整部材33の後部にはOリング33a(
図15(A)参照)が装着され、このOリング33は、カバー34の筒状部34bに設けられた複数(例えば8個)の爪34cにより挟持される(
図14、
図18参照)。尚、複数の爪34cは、全てが同一円周上にあるのではなく、
図18に示すように、前側にずれた爪34cと後側にずれた爪34cとが周方向に交互に並ぶようにしてあり、前側に位置する複数の爪34cと後側に位置する複数の爪34cとでOリング33aを挟持可能としてある。
【0068】
このように、流量調整部材33はカバー34によって保持された状態でバルブ本体39にセレーション嵌合するように構成されているので、流量調整部材33を回動操作したときに、バルブ本体39は継手部32と共に軸方向に移動するが、流量調整部材33は回動のみして移動しないので、流量調整部材33の操作性は優れたものとなる。
【0069】
上述のようにカバー34に流量調整部材33を保持させた後、カバー34の筒状部34b(
図14参照)から壁Wの表側に突出する継手部32にはフランジ部材5が装着され、これにより、継手部32に対する給水ホースHの接続が可能となる。尚、継手部32に対するフランジ部材5の装着方法は、第1の実施の形態の継手部2に対するフランジ部材5の装着方法と同様に行われる(
図10(A)〜(D)参照)。尚、
図12では、
図2と同様に切り欠き孔26の図示は省略している。
【0070】
第2の実施の形態に係る埋め込み水栓31のその他の構成は、第1の実施の形態と同様であり、共通する構成要素には同一符号を付し、説明を省略する。
【0071】
上記のように構成した第2の実施の形態では、第1の実施の形態で得られる効果に加え、カバー34の表側に露出する継手部32と流量調整部材33とを一体化してあるため、カバー34の小型化を図れるという効果が得られる。
【0072】
また、第2の実施の形態では、流量調整部材33をカバー34に保持させるので、流量調整部材33とカバー34との干渉の防止を容易かつ確実に行うことができる。
【0073】
尚、例えば、
図19に示す保持具47を、
図20(A)〜(G)に示すように第2取付面部49の無い形状となるように変形してもよい。
【0074】
また、第1、第2の実施の形態では、壁Wの外側からみて取付孔Waの左側にある間柱Mに保持具19,47を取り付けているが、間柱Mが逆側(右側)にある場合にも保持具19,47を取り付けることができるようにしてもよい。そのためには、例えば、水栓本体7,35において接続具24が差し込まれる部分(雌ねじ部分7a,挿通孔35b)を水栓本体7,35の左側ではなく右側に(あるいは左右両側に)設ければよく、また、この場合、保持具19,47は
図4、
図14に示す向きでは用いることができないので、保持面部22,50を前側に向けたまま保持具19,47をそれぞれ上下逆にした状態で用いるようにすればよい。
【0075】
尚、水栓本体7,35において接続具24が差し込まれる部分(雌ねじ部分7a,挿通孔35b)は、水栓本体7,35の左右に限られず、例えば上側に設けることもできる。
【0076】
ここで、
図21(A)及び(B)に示すように、水栓本体35の左側のみではなく上側にも接続具24が差し込まれる部分(雌ねじ部分35c)を設ければ以下の効果が得られる。すなわち、
図20(A)〜(G)に示すような第2取付面部49の無い保持具47を用いる場合でも、保持面部50を前側に向けた状態で第1取付面部48を上側に向けることにより、この
図20(A)〜(G)に示す保持具47を用いて水栓本体35を略水平に延びる当木の下面にも取り付けることが可能となる。また、
図19(A)〜(G)に示す保持具47を用いる場合には、さらに、保持面部50を前側に向けた状態で第2保持面部49を右側に向けることにより、この
図19(A)〜(G)に示す保持具47を用いて水栓本体35を右側の間柱Mにも取り付けることが可能となる。斯かる変形は、第1の実施形態の水栓本体7や保持具19についても同様に行うことができる。
【0077】
また、
図19(A)〜(G)あるいは
図20(A)〜(G)に示す保持具47の鏡像となる形状(左右を逆にした形状)を有する保持具を用いることもでき、この場合には、接続具24が差し込まれる部分(挿通孔35b)を水栓本体35の左側ではなく右側に設ければよい。斯かる変形も、第1の実施形態の水栓本体7や保持具19について同様に行うことができる。
【0078】
上記第1の実施形態の挿通孔22aを、接続具24が螺合する雌ねじ部分としてもよい。また、上記第2の実施形態の挿通孔35bを、接続具24が螺合する雌ねじ部分としてもよい。
【0079】
上記各実施の形態の構成及びその変形を、適宜に組み合わせて行ってもよいことはいうまでもない。