特許第5674558号(P5674558)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5674558通信制御装置およびその制御方法と通信装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5674558
(24)【登録日】2015年1月9日
(45)【発行日】2015年2月25日
(54)【発明の名称】通信制御装置およびその制御方法と通信装置
(51)【国際特許分類】
   H04N 1/00 20060101AFI20150205BHJP
   H04N 1/32 20060101ALI20150205BHJP
   H04M 11/00 20060101ALI20150205BHJP
   G06F 3/12 20060101ALI20150205BHJP
【FI】
   H04N1/00 107Z
   H04N1/32 Z
   H04M11/00 302
   G06F3/12 A
【請求項の数】5
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2011-123595(P2011-123595)
(22)【出願日】2011年6月1日
(65)【公開番号】特開2011-254474(P2011-254474A)
(43)【公開日】2011年12月15日
【審査請求日】2013年3月8日
(31)【優先権主張番号】61/350,215
(32)【優先日】2010年6月1日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(73)【特許権者】
【識別番号】000003562
【氏名又は名称】東芝テック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【弁理士】
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100159651
【弁理士】
【氏名又は名称】高倉 成男
(74)【代理人】
【識別番号】100088683
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100109830
【弁理士】
【氏名又は名称】福原 淑弘
(74)【代理人】
【識別番号】100075672
【弁理士】
【氏名又は名称】峰 隆司
(74)【代理人】
【識別番号】100103034
【弁理士】
【氏名又は名称】野河 信久
(74)【代理人】
【識別番号】100153051
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100140176
【弁理士】
【氏名又は名称】砂川 克
(74)【代理人】
【識別番号】100158805
【弁理士】
【氏名又は名称】井関 守三
(74)【代理人】
【識別番号】100124394
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 立志
(74)【代理人】
【識別番号】100112807
【弁理士】
【氏名又は名称】岡田 貴志
(74)【代理人】
【識別番号】100111073
【弁理士】
【氏名又は名称】堀内 美保子
(72)【発明者】
【氏名】笹野 潤
(72)【発明者】
【氏名】岡 知英
【審査官】 橋爪 正樹
(56)【参考文献】
【文献】 特開平10−041999(JP,A)
【文献】 特開平10−041937(JP,A)
【文献】 特開2007−286850(JP,A)
【文献】 特開2007−087046(JP,A)
【文献】 特開2004−206585(JP,A)
【文献】 特開2010−108054(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 1/00
H04N 1/32
H04M11/00
G06F 3/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の端末装置と第2の端末装置との通信を前記第1および第2の端末装置とは異なる相手装置と連携して制御する通信制御装置であって、
前記相手装置から送信された情報を受信する受信手段と、
前記相手装置へと情報を送信する送信手段と、
前記受信手段が受信した情報が、前記第2の端末装置が利用しようとしている通信機能を表した問合わせ情報である場合に、当該問合わせ情報に基づいて前記第1の端末装置が備える複数種の通信機能のうちの1つを選択する選択手段と、
前記選択手段が選択した通信機能に関する前記第1の端末装置の能力を表した能力情報を取得する取得手段と、
前記取得手段が取得した前記能力情報を含んだ応答情報を前記相手装置へと送信するように前記送信手段を制御する制御手段と、
前記制御手段による制御の下に前記送信手段が前記応答情報を送信したのちに前記受信手段が受信した情報が条件情報である場合に、当該条件情報が表す条件で前記第1の端末装置と前記第2の端末装置との通信を行わせるための処理を行う処理手段とを具備した通信制御装置。
【請求項2】
前記第1の端末装置が備える複数種の通信機能のそれぞれに関する前記第1の端末の能力をそれぞれ表した複数の能力情報を前記第1の端末装置から取り込む取込手段と、
前記取込手段が取り込んだ複数の能力情報を記憶する記憶手段とをさらに具備し、
前記取得手段は、前記複数の能力情報のうちで前記選択手段が選択した通信機能に関する能力情報を前記記憶手段から読み出す請求項1に記載の通信制御装置。
【請求項3】
前記第1の端末装置が備える複数種の通信機能のうちの予め定められた特定の通信機能を前記選択手段が選択した場合に、要求情報を前記相手装置へと送信するように前記送信手段を制御することで前記相手装置を認証するための認証情報の送信を前記相手装置に要求する要求手段と、
前記要求手段による制御の下に前記送信手段が前記要求情報を送信したのちに前記受信手段が受信した情報が前記認証情報である場合に、当該認証情報に基づいて前記通信相手を認証する認証手段とをさらに具備し、
前記制御手段は、前記認証手段による認証に成功したことに応じて、前記応答情報を前記相手装置へと送信するように前記送信手段を制御する請求項1に記載の通信制御装置。
【請求項4】
それぞれ異なる複数の通信機能で相手通信装置と通信する複数の通信手段と、
前記複数の通信手段のそれぞれの能力を表した複数の能力情報を記憶する記憶手段と、
前記相手通信装置から送信された情報を受信する受信手段と、
前記受信手段が受信した情報が、前記第2の端末装置が利用しようとしている通信機能を表した問合わせ情報である場合に、当該問合わせ情報に基づいて前記複数の通信手段のうちの1つを選択する選択手段と、
前記選択手段が選択した前記通信手段に関する能力情報を前記記憶手段から取得する取得手段と、
前記相手通信装置へと情報を送信する送信手段と、
前記取得手段が取得した前記能力情報を含んだ応答情報を前記相手通信装置へと送信するように前記送信手段を制御する制御手段と、
前記制御手段による制御の下に前記送信手段が前記応答情報を送信したのちに前記受信手段が受信した情報が条件情報である場合に、前記選択手段が選択した前記通信手段に前記相手通信装置と前記条件情報が表す条件で通信させるための処理を行う処理手段とを具備した通信装置。
【請求項5】
相手装置から送信された情報を受信する受信手段と、前記相手装置へと情報を送信する送信手段と、コンピュータとを備え、いずれも前記相手装置とは異なる第1の端末装置と第2の端末装置との通信を前記相手装置と連携して制御する通信制御装置の制御方法であって、
前記コンピュータが、前記受信手段が受信した情報が、前記第2の端末装置が利用しようとしている通信機能を表した問合わせ情報である場合に、当該問合わせ情報に基づいて前記第1の端末装置が備える複数種の通信機能のうちの1つを選択し、
前記コンピュータが、前記選択した通信機能に関する前記第1の端末装置の能力を表した能力情報を取得し、
前記コンピュータが、前記取得した前記能力情報を含んだ応答情報を前記相手装置へと送信するように前記送信手段を制御し、
前記コンピュータが、前記制御の下に前記送信手段が前記応答情報を送信したのちに前記受信手段が受信した情報が条件情報である場合に、当該条件情報が表す条件で前記第1の端末装置と前記第2の端末装置との通信を行わせるための処理を行う制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、通信制御装置およびその制御方法と通信装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ファクシミリの端末間での能力ネゴシエーションは、一般に次のような手順で行われる。
【0003】
(1) 発行側の端末から着呼側の端末に対して能力の通知を要求する。
【0004】
(2) 着呼側の端末が備える全ての能力を記述した応答情報を、着呼側の端末が発呼側の端末へ送信する。
【0005】
(3) 発呼側の端末が、応答情報に記述された能力の範囲内でファクシミリ伝送の条件を決定する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2008−283611号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上述のような手順であると、着呼側の端末は、自己が備える能力の全てを発呼側の端末に対してさらけ出す必要があった。
【0008】
このような事情から、相手に対する不必要な能力公開を避けることが望まれていた。
【課題を解決するための手段】
【0009】
実施形態の通信制御装置は、第1の端末装置と第2の端末装置との通信を第1および第2の端末装置とは異なる相手装置と連携して制御するものであって、受信手段、送信手段、選択手段、取得手段、制御手段および処理手段を含む。受信手段は、相手装置から送信された情報を受信する。送信手段は、相手装置へと情報を送信する。選択手段は、受信手段が受信した情報が、前記第2の端末装置が利用しようとしている通信機能を表した問合わせ情報である場合に、当該問合わせ情報に基づいて、第1の端末装置が備える複数種の通信機能のうちの1つを選択する。取得手段は、選択手段が選択した通信機能に関する第1の端末装置の能力を表した能力情報を取得する。制御手段は、取得手段が取得した能力情報を含んだ応答情報を相手装置へと送信するように送信手段を制御する。処理手段は、制御手段による制御の下に送信手段が応答情報を送信したのちに受信手段が受信した情報が条件情報である場合に、当該条件情報が表す条件で第1の端末装置と第2の端末装置との通信を行わせるための処理を行う。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】一実施形態に係るアダプタの構成とこのアダプタが含まれる通信システムの構成とを示すブロック図。
図2】通信シーケンスの一例を示す図。
図3】能力応答に際しての図1中のコントローラのフローチャート。
図4】能力情報ファイルの内容の一例を示す図。
図5】能力情報ファイルから読み出した能力情報の一例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照して一実施形態に係る通信制御装置について説明する。なお、通信制御装置は、ネットワークアダプタ、あるいは単にアダプタとも称される。以下においては、アダプタと記すこととする。
【0012】
図1は本実施形態に係るアダプタ1の構成とこのアダプタ1が含まれる通信システムの構成とを示すブロック図である。
【0013】
図1に示す通信システムは、アダプタ1,2、ゲートウェイ(以下、G/Wと記す)3,4、複合機(以下、MFPと記す)5,6、LAN(local area network)7,8およびNGN(next generation network)9を含む。
【0014】
アダプタ1、G/W3およびMFP5は、LAN7に接続されている。アダプタ1は、MFP5がNGN9を介して通信するための処理を行う。
【0015】
アダプタ2、G/W4およびMFP6は、LAN8に接続されている。アダプタ2は、MFP6がNGN9を介して通信するための処理を行う。
【0016】
G/W3,4は、LAN7,8のほかに、NGN9にも接続される。G/W3,4は、LAN7,8とNGN9との間の各種の条件の違いを整合させるための種々の周知の処理を行い、アダプタ1がNGN9を介して通信することを可能とする。
【0017】
MFP5,6は、アダプタ1,2による処理の元にNGN9を介して通信する端末装置である。
【0018】
NGN9は、音声、動画およびその他の各種のコンピュータファイル(以下、ファイルと記す)を伝送する。NGN9は、SIP(session initiation protocol)サーバ9aを含む。SIPサーバ9aは、SIPを利用してアダプタ間の呼制御を行う。
【0019】
ところでMFP5は、複数種の通信機能を備える。MFP5が備える通信機能は例えば、印刷機能、ファイル保存機能、G3ファクシミリ機能、デジタル・フォトフレーム機能、あるいはリモート保守機能などである。印刷機能は、受信したファイルが表す画像を印刷する機能である。ファイル保存機能は、受信したファイルを保存する機能である。G3ファクシミリ機能は、G3の規格に従って画像通信する機能である。デジタル・フォトフレーム機能は、受信したファイルが表す画像をディスプレイに表示する機能である。リモート保守機能は、MFP5の保守・管理をNGN9を介してリモートで行う機能である。
【0020】
なお、MFP5は、上記の機能の全てを備える必要は無い。またMFP5は、上記の機能とは別の機能を備えていても良い。
【0021】
さてアダプタ1は、LANインタフェース部(以下、I/Fと記す)1a、プロトコル処理部1b、データ変換部1c、記憶部1dおよびコントローラ1eを含む。そしてこれらの各部は、バス1fに接続されている。
【0022】
I/F1aは、LAN7を介してG/W2およびMFP5などとデータを授受するための各種の周知の処理を行う。
【0023】
プロトコル処理部1bは、NGN9での通信のために規定されたプロトコル(例えばRFC3261)を実行するための処理を行う。
【0024】
データ変換部1cは、MFP5から与えられたファイルやNGN9を介して伝送されてきたファイルのデータ形式(ファイルフォーマットや画像解像度など)を適宜に変換する。
【0025】
記憶部1dは、各種のデータを記憶する。記憶部1dは、半導体メモリまたはハードディスクドライブなどの周知のデバイスを任意に適用できる。
【0026】
コントローラ1eは、後述するようにアダプタ1の各部を制御する。コントローラ1eのハードウェアとしてはコンピュータを利用できる。そしてこの場合、後述するような処理を定義したプログラムを実行させることにより、当該コンピュータをコントローラ1eとして機能させる。
【0027】
アダプタ2は、アダプタ1と同様な構成であっても良いし、アダプタ1とは異なる構成であっても良い。
【0028】
次にアダプタ1の動作例について説明する。
【0029】
図2は通信シーケンスの一例を示す図である。
【0030】
図2は、アダプタ2がMFP6からの要求に応じてMFP5に転送するためにアダプタ1に対してコンピュータファイルを送信する際のシーケンスを示す。なお図2および以下においては、送信側のアダプタを送信装置と記し、また受信側のアダプタを受信装置と記す。つまり上記の環境においては、アダプタ2が送信装置であり、アダプタ1が受信装置である。そして、MFP6が送信端末であり、MFP5が受信端末である。
【0031】
図2に示すシーケンスは、段階41〜47に大別できる。
【0032】
段階41は、送信装置および受信装置がSIPサーバ9aに対してSIP登録を行う。なお、図2に示された送信装置のSIP登録と受信装置のSIP登録とのタイミング関係は一例であって、それぞれのSIP登録は多くの場合は全く無関係なタイミングで実施される。
【0033】
段階42は、送信端末から送信装置に対して送信要求がなされたことに応じて開始される。段階42は、SIPによる送信装置と受信装置との間の呼接続を行う。
【0034】
段階43は、TCP(transmission control protocol)のセッションを確立する。
【0035】
段階44は、HTTP(hypertext transfer protocol)/SOAPによる能力ネゴシエーションを行う。
【0036】
段階45は、1つのファイルを送信装置から受信装置に転送する。なお、複数のファイルを連続して転送する必要がある場合には、段階44は複数回が繰り返される。
【0037】
段階46は、TCPのセッションを解消する。
【0038】
段階47は、SIPによる接続を解消する。
【0039】
さて、これらの段階41〜47のうちの段階44以外の各段階については、従来より知られた処理がそのまま適用できるので、その詳細な説明は省略する。そして以下においては、段階44における動作について詳細に説明する。
【0040】
段階44においては、まず送信装置が受信装置に対して能力問合わせを行う。この能力問合わせが到達すると受信装置は、MFP5の能力を表した能力情報を含んだ応答情報を送信することにより能力応答を行う。
【0041】
図3は能力応答に際してのコントローラ1eのフローチャートである。
【0042】
アクトAa1においてコントローラ1eは、能力問合わせに含まれている情報に基づいて、送信端末のユーザが利用しようとしている通信機能(以下、利用機能と記す)を判定する。
【0043】
アクトAa2においてコントローラ1eは、利用機能がリモート保守機能であるか否かを確認する。そしてここでYESと判定したならばコントローラ1eは、アクトAa2からアクトAa3へ進む。
【0044】
アクトAa3においてコントローラ1eは、ランダムデータを送信装置に向けて送信する。
【0045】
こののちにコントローラ1eは、アクトAa4およびアクトAa5の待ち受け状態に進む。この待ち受け状態においてコントローラ1eは、認証情報がI/F部1aにより受信されるか、あるいはアクトAa3においてランダムデータを送信してからの経過時間が予め定められた待機時間を超えるのを待ち受ける。
【0046】
経過時間が待機時間を超えるのより前に認証情報が受信されたことを確認したならばコントローラ1eは、アクトAa4からアクトAa6へ進む。
【0047】
アクトAa6においてコントローラ1eは、認証情報に基づく認証処理を実行する。ここで認証情報を、例えば”予め定められたキー+ランダムデータ”に対して予め定められたmd5,sha-1等のハッシュ計算処理等を施して得られた情報とする事により、通信を行う都度アダプタ1とアダプタ2の間で授受される認証データが異なる事になり、アダプター外部からの”予め定められたキー”の特定が困難となって認証の安全性が向上する。
【0048】
ただし、送信装置の認証のための処理は、他の周知の認証技術を適宜に使用可能である。
【0049】
アクトAa7においてコントローラ1eは、アクトAa6で計算処理した認証情報とアクトAa4で受信した認証情報とが一致する事を確認して上記の認証に成功したか否かを判断する。そしてここでYESと判定したならばコントローラ1eは、アクトAa7からアクトAa8へ進む。ところで、アクトAa2においてNOと判定したならばコントローラ1eは、アクトAa3乃至アクトAa7を実行することなしに、アクトAa2からアクトAa8へ進む。すなわちコントローラ1eは、利用機能をリモート保守機能以外の機能であると判定したならば、送信装置の認証を行うこと無しに無条件にアクトAa8へ進むが、利用機能をリモート保守機能であると判定したならば、送信装置の認証に成功した場合にのみアクトAa8へ進む。
【0050】
アクトAa8においてコントローラ1eは、利用機能に関する能力情報を記憶部1dから読み出す。
【0051】
ところでコントローラ1eは、予め定められたタイミングにてMFP5にアクセスし、MFP5の能力を確認して能力情報ファイルを作成し、この能力情報ファイルを記憶部1dに記憶する。なおこの処理は、図2に示す処理とは別の処理である。能力情報ファイルを作成するタイミングは、設計者または使用者によって任意に定められて良い。能力情報ファイルを作成するタイミングは例えば、MFP5を端末装置としてアダプタ1に登録するタイミング、MFP5の電源が投入されたことをコントローラ1eが認識したタイミング、アダプタ1の電源が投入されたタイミング、一定の時間間隔毎のタイミング、あるいは図3の処理を開始する必要が生じたタイミングとすることが考えられる。なお、能力情報ファイルの作成は、図2に示す処理の中で行っても良い。
【0052】
図4は能力情報ファイル50の内容の一例を示す図である。
【0053】
能力情報ファイル50には、MFP5が備える複数種の通信機能のそれぞれに関する複数の能力情報をそれぞれ含む。ここでは、MFP5が印刷機能、ファイル保存機能、G3ファクシミリ機能、デジタル・フォトフレーム機能およびリモート保守機能の5つの通信機能を備えることとし、能力情報ファイル50はこれらに関する5つの能力情報51,52,53,54,55を含む。
【0054】
そして具体的にはコントローラ1eは、アクトAa1において利用機能が印刷機能であると判定したならば、アクトAa8においては能力情報ファイル50のうちから能力情報51のみを読み出す。この例でコントローラ1eが読み出した情報は図5に示すものとなる。なお、図4では示していないが各能力情報に含まれた識別コードに基づいて利用機能に応じた能力情報を特定する。識別コードは、複数種の通信機能のそれぞれを識別するための識別コードであっても良いし、これらの識別コードに関連付けられていて複数の能力情報のそれぞれを識別するための識別コードであっても良い。
【0055】
アクトAa9においてコントローラ1eは、アクトAa8で読み出した能力情報を含めた応答情報を生成し、能力問合わせへの応答として送信する。そして、応答情報を送信し終えたならば、コントローラ1eは図3の処理を終了する。
【0056】
ところで、アクトAa4およびアクトAa5の待ち受け状態にあるときに、認証情報が受信されることなく経過時間が待機時間を超えたことを確認したならばコントローラ1eは、アクトAa5からアクトAa10へ進む。また、認証に失敗したことを確認してアクトAa7にてNOと判定したならばコントローラ1eは、アクトAa7からアクトAa10へ進む。
【0057】
アクトAa10においてコントローラ1eは、エラー処理を実行する。このエラー処理は任意で合って良いが、例えばそのまま呼を切断するための処理としたり、認証に失敗したことを送信装置に対して通知した上で呼を切断するための処理とすることが考えられる。ただしエラー処理においては、能力情報を送信装置へは送信しない。そしてエラー処理を終えたならば、コントローラ1eは図3の処理を終了する。
【0058】
こののち、段階45におけるジョブ生成要求において、上記のように送信した能力情報に基づいて送信装置で決定された条件を表した条件情報が受信装置へと送られる。そうするとコントローラ1eは、その条件情報が表す条件で利用機能を機能させるための処理を実行する。ここでコントローラ1eが行う処理は、既存の同種のアダプタにおける機能を実現するための処理であって良い。
【0059】
以上のようにアダプタ1によれば、MFP5が備える全ての通信機能に関する能力を表した能力情報ファイルを記憶部1dに記憶しているが、能力問合わせに対する能力応答においては、能力情報ファイルに表された能力情報のうちの利用機能に関するもののみを送信する。従って、利用機能以外の機能に関するMFP5の能力を不必要に送信側に晒すことが防止される。
【0060】
またアダプタ1によれば、利用機能がリモート保守機能である場合には、送信装置の認証に成功した場合にのみ、リモート保守機能に関する能力情報を送信する。従って、リモート保守機能に関する能力情報は、特定の権限を有した送信装置に対してのみ通知されることとなり、高度なセキュリティが確保される。
【0061】
この実施形態は、次のような種々の変形実施が可能である。
【0062】
リモート保守機能以外の通信機能が利用機能である場合にも、アクトAa3乃至アクトAa7およびアクトAa10の処理を適用しても良い。
【0063】
端末装置は、MFPとは別の種類の通信端末装置であっても良い。
【0064】
アダプタ1の機能を内蔵したMFPあるいはその他の通信装置として実現することも可能である。
【0065】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
以下に、本願の当初の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
[1] 第1の端末装置と第2の端末装置との通信を相手装置と連携して制御する通信制御装置であって、
前記相手装置から送信された情報を受信する受信手段と、
前記相手装置へと情報を送信する送信手段と、
前記受信手段が受信した情報が問合わせ情報である場合に、当該問合わせ情報に基づいて前記複数種の通信機能のうちの1つを選択する選択手段と、
前記選択手段が選択した通信機能に関する前記第1の端末装置の能力を表した能力情報を取得する取得手段と、
前記取得手段が取得した前記能力情報を含んだ応答情報を前記相手装置へと送信するように前記送信手段を制御する制御手段と、
前記制御手段による制御の下に前記送信手段が前記応答情報を送信したのちに前記受信手段が受信した情報が条件情報である場合に、当該条件情報が表す条件で前記第1の端末装置と前記第2の端末装置との通信を行わせるための処理を行う処理手段とを具備した通信制御装置。
[2] 前記複数種の通信機能のそれぞれに関する前記第1の端末の能力をそれぞれ表した複数の能力情報を前記第1の端末装置から取り込む取込手段と、
前記取込手段が取り込んだ複数の能力情報を記憶する記憶手段とをさらに具備し、
前記取得手段は、前記複数の能力情報のうちで前記選択手段が選択した通信機能に関する能力情報を前記記憶手段から読み出す[1]に記載の通信制御装置。
[3] 前記複数種の通信機能のうちの予め定められた特定の通信機能を前記選択手段が選択した場合に、要求情報を前記相手装置へと送信するように前記送信手段を制御することで前記相手装置を認証するための認証情報の送信を前記相手装置に要求する要求手段と、
前記要求手段による制御の下に前記送信手段が前記要求情報を送信したのちに前記受信手段が受信した情報が前記認証情報である場合に、当該認証情報に基づいて前記通信相手を認証する認証手段とをさらに具備し、
前記制御手段は、前記認証手段による認証に成功したことに応じて、前記応答情報を前記相手装置へと送信するように前記送信手段を制御する[1]に記載の通信制御装置。
[4] それぞれ異なる複数の通信機能で相手通信装置と通信する複数の通信手段と、
前記複数の通信手段のそれぞれの能力を表した複数の能力情報を記憶する記憶手段と、
前記相手通信装置から送信された情報を受信する受信手段と、
前記受信手段が受信した情報が問合わせ情報である場合に、当該問合わせ情報に基づいて前記複数の通信手段のうちの1つを選択する選択手段と、
前記選択手段が選択した前記通信手段に関する能力情報を前記記憶手段から取得する取得手段と、
前記相手通信装置へと情報を送信する送信手段と、
前記取得手段が取得した前記能力情報を含んだ応答情報を前記相手通信装置へと送信するように前記送信手段を制御する制御手段と、
前記制御手段による制御の下に前記送信手段が前記応答情報を送信したのちに前記受信手段が受信した情報が条件情報である場合に、前記選択手段が選択した前記通信手段に前記相手通信装置と前記条件情報が表す条件で通信させるための処理を行う処理手段とを具備した通信装置。
[5] 相手装置から送信された情報を受信する受信手段と、前記相手装置へと情報を送信する送信手段と、コンピュータとを備え、第1の端末装置と第2の端末装置との通信を前記相手装置と連携して制御する通信制御装置の制御方法であって、
前記コンピュータが、前記受信手段が受信した情報が問合わせ情報である場合に、当該問合わせ情報に基づいて前記複数種の通信機能のうちの1つを選択し、
前記コンピュータが、前記選択した通信機能に関する前記第1の端末装置の能力を表した能力情報を取得し、
前記コンピュータが、前記取得した前記能力情報を含んだ応答情報を前記相手装置へと送信するように前記送信手段を制御し、
前記コンピュータが、前記制御の下に前記送信手段が前記応答情報を送信したのちに前記受信手段が受信した情報が条件情報である場合に、当該条件情報が表す条件で前記第1の端末装置と前記第2の端末装置との通信を行わせるための処理を行う制御方法。
【符号の説明】
【0066】
1,2…アダプタ、1a…LANインタフェース部(I/F)、1b…プロトコル処理部、1c…データ変換部、1d…記憶部、1e…コントローラ、9…NGN、9a…SIPサーバ。
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図5