【課題を解決するための手段】
【0004】
一態様から概観すると、本発明は、データを処理するための装置であって、
セキュアドメインおよび非セキュアドメインのうちの選択可能な1つの中で動作するように構成される、処理回路と、
メモリであって、該処理回路に連結され、かつ該メモリのセキュア領域内にセキュアデータを格納するように、および該メモリの非セキュア領域内に非セキュアデータを格納するように構成され、該セキュアデータは、該セキュアドメインの中で動作する時には該処理回路がアクセスすることができ、該非セキュアドメインの中で動作する時には該処理回路がアクセスすることができず、該非セキュアデータは、該セキュアドメインの中で動作する時には該処理回路がアクセスすることでき、該非セキュアドメインの中で動作する時には該処理回路がアクセスすることができる、メモリと、
該処理回路に連結され、かつユーザ入力データを受け取るように構成される、ユーザ入力デバイスと、
該処理回路に連結され、かつ該非セキュア領域内に格納されたフレームバッファから読み込まれた画像データのフレームに依存して、表示画像を表示するように構成される、ディスプレイと、
を備え、該処理回路は、該セキュアドメインの中で動作して、該画像データのフレームの少なくとも一部分を含む対象画像を、該フレームバッファの検証済表示領域内に格納するように、および該対象画像に依存する検証データを、該セキュア領域内に格納するように構成され、
該処理回路は、該セキュアドメインの中で動作して、該ユーザ入力デバイスからユーザ入力を受け取り、該ユーザ入力の受領時に、該検証済表示領域内に格納された表示データを読み込み、そして該表示データに依存する照合データを該検証データと比較して、該表示データが該対象画像に一致することを確認するように構成される、装置を提供する。
【0005】
本技術は、機構を提供し、この機構によって、対象画像が、非セキュアドメイン内に格納されたフレームバッファに書き込まれ、セキュアドメインは、検証データを格納し、この検証データは、ユーザ入力の受領時に、これを確認することによって、対象画像が書き込まれた場所(検証済表示領域)にあるフレームバッファから読み込まれた表示データが、その検証済表示領域に最初に書き込まれた対象画像に一致することを検証するために使用される。したがって、対象画像が検証済表示領域に書き込まれた後に、その検証済表示領域内の表示データが変更されると、ユーザ入力を受け取った時に、照合データが検証データに一致しなくなる。この技術は、表示データが依然として対象画像と一致していること、故に、ユーザが適切な画像に応答していること、および検査済表示領域内の表示データが不適切に変更されていなかったことを、セキュアドメイン内でユーザ入力を受け取る毎に判定することを可能にする。
【0006】
いくつかの実施形態では、ユーザ入力デバイスは、ユーザがユーザ入力を生成する時に、処理回路が非キュアドメインの中で動作している場合は、非セキュアドメインがユーザ入力イベントに応答する機会を伴わずに、処理回路がセキュアドメインの中で動作するよう切り替えられるように構成されてもよい。この配設は、ユーザ入力を待機している間に、システムが非セキュアドメインおよびセキュアドメインのどちらの中でも動作することを可能にするが、必要に応じて、検証済表示領域内の表示データの検証がセキュアドメイン内から実行され得るために、デバイスがセキュアドメインに切り替えられることを確実にする。
【0007】
このユーザ入力の受領時における切り替えは、ユーザ入力データを受け取ることにより、セキュアドメイン内で実行する割り込み処理コードの実行を起動する割り込み信号を生成するように処理回路を構成することによって実施され得る。
【0008】
他の実施形態では、処理回路がセキュアドメインの中で動作している時に、この処理回路は、何らかのユーザ入力を受け取ったかどうかを判定するように、ユーザ入力デバイスにポーリングすることが可能である。したがって、このデバイスは、セキュアドメインの中にあるまで、いかなるユーザ入力も処理せず、セキュアドメインの中となった時点で、検証済表示領域内の表示データも検証することができる。
【0009】
検証データは、対象画像に作用するハッシュアルゴリズムによって生成される、検証ハッシュ値であってもよく、照合データは、表示データに作用するハッシュアルゴリズム(または関連するハッシュアルゴリズム)によって生成される照合ハッシュ値である。これは、セキュアドメイン内のデータの格納要件を緩和するという利点を有する。
【0010】
他の実施形態では、検証データは、対象画像自体であってもよく、表示データが対象画像に一致することを検証するために、対象画像のコピーをセキュアドメイン内に格納し、表示データと直接的に比較する。
【0011】
多くのシステムでは、ディスプレイコントローラが、ディスプレイおよびメモリに連結され、ディスプレイコントローラは、メモリから画像データのフレームを読み込むように、およびディスプレイを制御して画像データのフレームに依存して表示画像を表示するように構成される。ディスプレイコントローラは、典型的に、フレームバッファのメモリ内の格納場所を指定するデータ、およびそのデータをどのように表示するのかを含む、表示構成データで構成される。
【0012】
このようなシステムの文脈の範囲内で、セキュリティは、ユーザ入力の受領時に、表示構成データを読み込み、そして対象画像が検証済表示領域内に格納されて以降、表示構成データが許容できない様態に変化していないことを確認するように構成される、処理回路を提供することによって改善され得る。これは、元々の対象画像が表示を駆動するために使用されていないが、セキュアドメイン内のソフトウェアに依存して、その対象画像がまだ存在するメモリ内の場所からその対象画像を読み込みながら、フレームバッファに対するポインタを変化させることにより、ユーザに表示される画像を修正しようとする攻撃に対する抵抗性を提供する。許可される変化とは、ビデオオーバーレイが対象画像上に移動しないという条件で、ビデオオーバーレイの位置の変化であり得る。
【0013】
ユーザに提示される表示の不要な操作を阻止するために保護すべき、ディスプレイコントローラの構成パラメータの他の例は、表示画像のサイズパラメータ、および構成パラメータ(例えば、層化、ウィンドウポインタ、透明度値等)である。
【0014】
いくつかの実施形態では、装置は、データネットワークを介して、リモート処理装置に接続されてもよく、このリモート処理装置は、対象画像を表示するための装置に対象画像定義データを提供し、対象画像は、対象画像定義データに依存して導出される。一例として、対象画像定義データは、対象画像を指定するBMPもしくはPNGデータ、または構成する対象画像を定義するHTMLデータ等のより抽象的なデータであってもよい。
【0015】
セキュアドメインの中で動作する時に、処理回路は、リモート処理装置から受信した対象画像定義データを、ディスプレイに一致する形態で対象画像を生成するように変換する。したがって、処理回路は、例えば画面サイズ、表示解像度、色能力等に一致する、関係するデバイスに固有の形態で対象画像が描画されるように、一般的な対象画像定義データを適合させてもよい。
【0016】
セキュリティおよび取引を監査する能力は、一致が見つかった時の検証データと照合データとの比較の結果を、一致確認通知として、データネットワークを介して、リモート処理装置に返すことで改善され得る。したがって、リモート処理装置内には、ユーザ入力を受領した時に一致が確認され、故に、ユーザには、意図する対象画像が示され、いかなる不適切に変更された画像も示されない、という記録が保持され得る。
【0017】
また、対象画像は、装置自体に格納され、かつセキュアドメインの中で動作する処理回路によって修正されていないものとして検証された、対象画像定義データに依存して形成してもよい。対象画像は、例えば、YES応答またはNO応答を導き出す画像等の対話画像であってもよく、対象画像の適切な表示の確認は、ユーザが、実際にはNOという応答に一致する画像が表示されている時に、YESを示す応答を返しているものと誤認しないことを確実にすることが望ましい。
【0018】
ユーザ入力デバイスは、マウス、指紋検出器、顔の認識を実施するカメラ、ユーザの画像を取り込むカメラ等の、数多くの異なる形態を取ることができるが、いくつかの実施形態では、ユーザ入力デバイスは、ユーザによって入力されるキーストロークを取り込むように構成される、キー操作式ユーザ入力デバイスであることを理解されるであろう。この文脈では、処理回路は、各キーストロークの取り込み時に、検証済表示領域内に格納された表示データを読み込み、表示データに依存する照合データを生成し、そしてこの照合データを検証データと比較して、表示データが対象画像に一致することを確認するように構成されてもよい。
【0019】
キー操作式ユーザ入力デバイスは、キーストロークの取り込みに応じて割り込み信号を生成して、セキュアドメイン内で実行される割り込み処理ルーチンの実行を起動させるように構成されてもよい。この割り込み処理ルーチンは、それ自体が処理回路を起動させて、前述の表示データの照合を実施してもよい。
【0020】
照合データを検証データと比較した結果は、不一致が生じた場合には、セキュリティ違反応答を起動させてもよく、一方で、照合データおよび検証データが適切に一致した時には、セキュア処理動作を続行してもよい。
【0021】
いくつかの実施形態では、単一の表示に関連する複数のフレームバッファを採用するシステム、それぞれが専用のフレームバッファを有する複数の表示を採用するシステム、または各表示が複数のフレームバッファを有する複数の表示を採用するシステム等の、複数のフレームバッファが提供されてもよいことを理解されるであろう。本技術は、これらのシステムの全てに適用することができ、1つまたは複数のフレームバッファ、および1つまたは複数のディスプレイを使用して表示される対象画像のセキュリティを高めるために使用されてもよい。
【0022】
適切な表示が保護されている対象画像は、様々な異なる形態を取ることができるが、いくつかの実施形態では、対象画像は、認証されるべき取引の1つまたは複数の取引パラメータを示し、ユーザ入力は、関係する取引を認証するための認証入力であってもよい。認証入力は、例えば、個人識別番号またはパスワードであってもよい。
【0023】
データ処理システムの分野内での一般的な適用性があるが、本技術は、モバイルデータ処理装置またはテレビ信号を受信するように構成されるセットトップボックスを備える、データ処理システムの範囲内で特定の有用性を有する。
【0024】
対象画像は、検証済表示領域の一部を占有することがあり得るが、その領域内には、ユーザを誤認または混乱させ得る画像データを、主題に細工をして表示する可能性がある、いかなるギャップ/ボイドもないように、対象画像が検証済表示領域を完全に満たすことが好ましい。
【0025】
別の態様から概観すると、本発明は、データを処理するための装置であって、
セキュアドメインおよび非セキュアドメインのうちの選択可能な1つ中で処理を実施するための、処理手段と、
データを格納するためのメモリ手段であって、該メモリ手段は、該処理回路に連結され、かつ該メモリのセキュア領域内にセキュアデータを格納するように、および該メモリ手段の非セキュア領域内に非セキュアデータを格納するように構成され、該セキュアデータは、該セキュアドメインの中で動作する時には該処理手段がアクセスすることができ、該非セキュアドメインの中で動作する時には該処理手段がアクセスすることができず、該非セキュアデータは、該セキュアドメインの中で動作する時には該処理手段がアクセスすることでき、該非セキュアドメインの中で動作する時には該処理手段がアクセスすることができる、メモリ手段と、
ユーザ入力データを受信するためのユーザ入力手段であって、該ユーザ入力手段は、該処理手段に連結される、ユーザ入力手段と、
表示画像を表示するための表示手段であって、該表示手段は、該処理手段に連結され、かつ該非セキュア領域内に格納されたフレームバッファから読み込まれた画像データのフレームに依存して、該表示画像を表示するように構成される、表示手段と、
を備え、該処理手段は、該セキュアドメインの中で動作して、該画像データのフレームの少なくとも一部分を含む対象画像を該フレームバッファの検証済表示領域内に格納するように、および該対象画像に依存する検証データを該セキュア領域内に格納するように構成され、
該処理手段は、該セキュアドメインの中で動作して、該ユーザ入力手段からユーザ入力を受け取り、該ユーザ入力の受領時に、該検証済表示領域内に格納された表示データを読み込み、そして該表示データに依存する照合データを該検証データと比較して、該表示データが該対象画像に一致することを確認するように構成される、装置を提供する。
【0026】
さらなる態様から概観すると、本発明は、データを処理するための方法であって、
セキュアドメインおよび非セキュアドメインのうちのの選択可能な1つの中で処理回路を動作させるステップと、
メモリのセキュア領域内にセキュアデータを格納し、該メモリの非セキュア領域内に非セキュアデータを格納するステップであって、該セキュアデータは、該セキュアドメインの中で動作する時には該処理回路がアクセスすることができ、該非セキュアドメインの中で動作する時には該処理回路がアクセスすることができず、該非セキュアデータは、該セキュアドメインの中で動作する時には該処理回路がアクセスでき、該非セキュアドメインの中で動作する時には該処理回路がアクセスすることができる、ステップと、
ユーザ入力データを受け取るステップと、
該非セキュア領域内に格納されたフレームバッファから読み込まれた画像データのフレームに依存して、表示画像を表示するステップと、
を含み、該処理回路が該セキュアドメインの中で動作している時には、該画像データのフレームの少なくとも一部分を含む対象画像を、該フレームバッファの検証済表示領域内に格納し、かつ該対象画像に依存する検証データを、該セキュア領域内に格納し、
該処理回路が該セキュアドメインの中で動作している時には、該ユーザ入力デバイスからユーザ入力を受信し、該ユーザ入力の受信に応じて該検証済表示領域内に格納された表示データを読み込み、そして該表示データに依存する照合データを該検証データと比較して、該表示データが該対象画像に一致することを確認する、方法を提供する。
【0027】
本発明の上記および他の目的、特徴および利点は、添付の図面に関連して読まれるべき、例示的な実施形態の以下の詳細な説明から、明らかであろう。