特許第5674632号(P5674632)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5674632
(24)【登録日】2015年1月9日
(45)【発行日】2015年2月25日
(54)【発明の名称】製函方法及び製函装置
(51)【国際特許分類】
   B31B 5/26 20060101AFI20150205BHJP
   B31B 1/12 20060101ALI20150205BHJP
【FI】
   B31B5/26
   B31B1/12 301
【請求項の数】5
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2011-284280(P2011-284280)
(22)【出願日】2011年12月26日
(65)【公開番号】特開2013-132815(P2013-132815A)
(43)【公開日】2013年7月8日
【審査請求日】2013年8月9日
(73)【特許権者】
【識別番号】000136387
【氏名又は名称】株式会社フジキカイ
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(72)【発明者】
【氏名】力元 憲治
【審査官】 結城 健太郎
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭55−079222(JP,A)
【文献】 特開昭62−085932(JP,A)
【文献】 特開平01−153402(JP,A)
【文献】 実開昭58−123034(JP,U)
【文献】 特開2011−240654(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B31B 5/26
B31B 1/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
開函時に両端縁が開口した角筒となる複数のパネルと、該複数のパネルのうち開函時に対向する一対のパネルの夫々の両端縁に連設された外フラップと、該一対のパネルとは別に開函時に対向する別の一対のパネルの夫々の両端縁に連設された内フラップを有する折畳みシートを、搬送路にて保持した状態で、各一対のモータによって移動し得るよう前記搬送路の両側に夫々配設した吸着手段を前記各一対のモータの夫々を駆動制御することによって、折畳みシートのサイズに応じて前記一対のパネルの夫々或いは一端縁側から延出した前記外フラップの夫々或いは内フラップの夫々を吸着し、該パネル或いは外フラップ或いは内フラップに吸着している夫々の吸着手段を折畳みシートのサイズに応じて前記搬送路の搬送方向に交差する幅方向に互いが離間するよう移動させつつ、該夫々の吸着手段を搬送方向において両吸着手段が互いに接近する向きに移動させて、折畳みシートを開函し、
前記折畳みシートを開函した後、前記各一対のモータの駆動制御によって前記吸着している夫々の吸着手段を搬送方向における同じ向きに移動させて、折畳みシートを開函させた状態を維持しながら移動させて受け渡すことを特徴とする製函方法。
【請求項2】
前記折畳みシートを開函した後、折込み部が前記一端縁側に延出した夫々の内フラップを該内フラップの先端が互いに接近する向きに折り込むと共に該折り込んだ夫々の内フラップを介して被包装物を支持した状態で、前記吸着している夫々の吸着手段が前記搬送方向に開函された箱を移動させることを特徴とする請求項1に記載の製函方法。
【請求項3】
前記夫々の吸着手段が前記一端縁側から延出した前記外フラップの夫々を吸着し、それらの外フラップ同士が各外フラップに連設された前記一対のパネル同士より前記幅方向に離間するよう前記夫々の吸着手段を前記幅方向に移動させて前記折畳みシートを開函すると共に前記外フラップを開き、該両外フラップ間で相対向している内フラップを折込み部により夫々の内フラップの先端が互いに接近する向きに傾けることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の製函方法。
【請求項4】
開函時に両端縁が開口した角筒となる複数のパネルと、該複数のパネルのうち開函時に対向する一対のパネルの夫々の両端縁に連設された外フラップと、該一対のパネルとは別に開函時に対向する別の一対のパネルの夫々の両端縁に連設された内フラップを有する折畳みシートを、搬送路にて保持する保持手段と、
前記搬送路にて保持された折畳みシートにおける前記一対のパネルの夫々或いは一端縁側から延出した前記外フラップの夫々或いは内フラップの夫々を吸着すると共に各一対のモータによって移動し得るよう前記搬送路の両側に夫々配設された吸着手段と、
前記搬送路の両側に配設され、前記各一対のモータの夫々を駆動制御することによって各吸着手段を前記搬送路の搬送方向と該搬送方向に交差する幅方向に移動案内する案内手段とを備え、
該案内手段は、前記折畳みシートのサイズに応じて前記一対のパネルの夫々或いは一端縁側から延出した前記外フラップの夫々或いは内フラップの夫々を前記吸着手段が夫々吸着し得るよう案内すると共に、各吸着手段を前記幅方向に離間するよう移動させつつ、該夫々の吸着手段を搬送方向において両吸着手段が互いに接近する向きに移動し得るよう構成され
前記各一対のモータの駆動制御によって前記吸着している夫々の吸着手段を搬送方向における同じ向きに移動させて、折畳みシートを開函させた状態を維持しながら移動させて受け渡すよう構成されていることを特徴とする製函装置。
【請求項5】
前記各案内手段は、前記吸着手段を支持する支持体と、該支持体を前記幅方向に案内する第1案内体と、該第1案内体にて前記支持体と共に前記幅方向に移動可能に配設された第1ローラと、該支持体を前記搬送方向に案内する第2案内体と、該第2案内体にて前記支持体と共に前記搬送方向に移動可能に配設された複数の第2ローラと、前記第2案内体に対し搬送方向における前後で回転可能に配設された複数の回転体と、前記支持体或いは前記吸着手段に接続されると共に第1ローラと複数の第2ローラと前記夫々の回転体に略十字状に巻き掛けられて前記回転体を介して前記一対のモータにより駆動される索体を備えており、前記一対のモータによる回転体の回転により回転体から支持体までの索体の長さを変化させて吸着手段を搬送方向及び幅方向へ移動し得るようにしたことを特徴とする請求項に記載の製函装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は段ボール等からなる折畳みシ−トを開函する製函方法及び製函装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、同貼りして平らに折り畳まれた段ボール等からなる折畳みシ−トをマガジンから1枚ずつ取り出して開函して箱を成形し、箱のフラップを折り畳む製函装置が知られている。例えば、下記の特許文献1には、製函された箱に被包装品を上下方向から詰め込むために、箱の開口が上下方向を向くよう起立状態の折畳みシ−トのパネルを吸着手段で折畳みシ−トの左右両側から吸着して開函する製函装置が示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−224383号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上記の特許文献1に示された製函装置では、箱のサイズを変更する際に、夫々の吸着手段の配設位置の変更や部品交換等を行なって、吸着手段を折畳みシ−トのサイズに対応させなければならない。
【0005】
本発明は、折畳みシ−トのサイズの変更に対応し得る製函方法及び製函装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1の発明にかかる製函方法においては、開函時に両端縁が開口した角筒となる複数のパネル(9)と、該複数のパネル(9)のうち開函時に対向する一対のパネル(9)の夫々の両端縁に連設された外フラップ(10a,10b)と、該一対のパネル(9)とは別に開函時に対向する別の一対のパネル(9)の夫々の両端縁に連設された内フラップ(10c,10d)を有する折畳みシート(2A)を、搬送路(12)にて保持した状態で、各一対のモータによって移動し得るよう前記搬送路(12)の両側に夫々配設した吸着手段(22)を前記各一対のモータの夫々を駆動制御することによって、折畳みシートのサイズに応じて前記一対のパネル(9)の夫々或いは一端縁側から延出した前記外フラップ(10a,10b)の夫々或いは内フラップ(10c,10d)の夫々を吸着し、該パネル(9)或いは外フラップ(10a,10b)或いは内フラップ(10c,10d)に吸着している夫々の吸着手段(22)を折畳みシート(2A)のサイズに応じて前記搬送路(12)の搬送方向に交差する幅方向に互いが離間するよう移動させつつ、該夫々の吸着手段(22)を搬送方向において両吸着手段(22)が互いに接近する向きに移動させて、折畳みシート(2A)を開函し、前記折畳みシート(2A)を開函した後、前記各一対のモータの駆動制御によって前記吸着している夫々の吸着手段(22)を搬送方向における同じ向きに移動させて、折畳みシート(2A)を開函させた状態を維持しながら移動させて受け渡す。
【0007】
請求項1の発明では、各一対のモータの夫々を駆動制御することによって搬送路(12)の搬送方向及び幅方向に移動調節可能な各吸着手段(22)を開函時に対向する夫々の外フラップ(10a,10b)或いは内フラップ(10c,10d)或いはパネル(9)に搬送路(12)の両側から当接させ、それらの外フラップ(10a,10b)或いは内フラップ(10c,10d)或いはパネル(9)を吸着した状態で互いの吸着手段(22)を折畳みシート(2A)のサイズに応じて搬送路(12)の幅方向に離間するよう移動させつつ、夫々の吸着手段(22)を搬送方向において接近させることにより、各種の折畳みシート(2A)を開函することができる。
【0009】
また、請求項の発明では、折畳みシート(2A)を開函するための各吸着手段(22)により、前記各一対のモータの駆動制御によって開函された折畳みシート(2A)を吸着した状態を維持しながら移動させて受け渡すので、開函された折畳みシート(2A)を搬送する際に該折畳みシート(2A)の偏向等を防止するサイドガイド等の案内構造を省くことができる。
【0010】
請求項1の発明を前提とする請求項の発明にかかる製函方法においては、前記折畳みシート(2A)を開函した後、折込み部(26)が前記一端縁側に延出した夫々の内フラップ(10c,10d)を該内フラップ(10c,10d)の先端が互いに接近する向きに折り込むと共に該折り込んだ夫々の内フラップ(10c,10d)を介して被包装物(7)を支持した状態で、前記吸着している夫々の吸着手段(22)が前記搬送方向に開函された箱(2B)を移動させる。
【0011】
請求項の発明では、折込み部(26)が内フラップ(10c,10d)を円滑に折り込むと共に、該折り込んだ内フラップ(10c,10d)を介して被包装物(7)を支持した状態で夫々の吸着手段(22)が搬送方向に箱(2B)を移動させるので、封緘に至るまでの処理を速やかに行なうことができる。
【0012】
請求項1または請求項2の発明を前提とする請求項の発明にかかる製函方法においては、前記夫々の吸着手段(22)が前記一端縁側から延出した前記外フラップ(10a,10b)の夫々を吸着し、それらの外フラップ(10a,10b)同士が各外フラップ(10a,10b)に連設された前記一対のパネル(9)同士より前記幅方向に離間するよう前記夫々の吸着手段(22)を前記幅方向に移動させて前記折畳みシート(2A)を開函すると共に前記外フラップ(10a,10b)を開き、該両外フラップ(10a,10b)間で相対向している内フラップ(10c,10d)を折込み部(30,31)により夫々の内フラップ(10c,10d)の先端が互いに接近する向きに傾ける。
【0013】
請求項の発明では、各外フラップ(10a,10b)を幅方向へ開いてから、該両外フラップ(10a,10b)間で相対向している内フラップ(10c,10d)を折込み部(30,31)により該内フラップ(10c,10d)の先端が互いに接近する向きに傾けるので、内フラップ(10c,10d)を傾ける際に外フラップ(10a,10b)と内フラップ(10c,10d)との接触を避けることができる等、内フラップ(10c,10d)の折り込みを円滑に行なうことができる。
【0014】
請求項の発明にかかる製函装置においては、開函時に両端縁が開口した角筒となる複数のパネル(9)と、該複数のパネル(9)のうち開函時に対向する一対のパネル(9)の夫々の両端縁に連設された外フラップ(10a,10b)と、該一対のパネル(9)とは別に開函時に対向する別の一対のパネル(9)の夫々の両端縁に連設された内フラップ(10c,10d)を有する折畳みシート(2A)を、搬送路(12)にて保持する保持手段(11a)と、前記搬送路(12)にて保持された折畳みシート(2A)における前記一対のパネル(9)の夫々或いは一端縁側から延出した前記外フラップ(10a,10b)の夫々或いは内フラップ(10c,10d)の夫々を吸着すると共に各一対のモータによって移動し得るよう前記搬送路(12)の両側に夫々配設された吸着手段(22)と、前記搬送路(12)の両側に配設され、前記各一対のモータの夫々を駆動制御することによって各吸着手段(22)を前記搬送路(12)の搬送方向と該搬送方向に交差する幅方向に移動案内する案内手段(13)とを備え、該案内手段(13)は、前記折畳みシート(2A)のサイズに応じて前記一対のパネル(9)の夫々或いは一端縁側から延出した前記外フラップ(10a,10b)の夫々或いは内フラップ(10c,10d)の夫々を前記吸着手段(22)が夫々吸着し得るよう案内すると共に、各吸着手段(22)を前記幅方向に離間するよう移動させつつ、該夫々の吸着手段(22)を搬送方向において両吸着手段(22)が互いに接近する向きに移動し得るよう構成され、前記各一対のモータの駆動制御によって前記吸着している夫々の吸着手段(22)を搬送方向における同じ向きに移動させて、折畳みシート(2A)を開函させた状態を維持しながら移動させて受け渡すよう構成されている。
【0015】
請求項の発明では、各一対のモータの夫々を駆動制御することによって夫々の吸着手段(22)の位置を案内手段(13)により搬送方向や幅方向に変更し得るので、各吸着手段(22)により折畳みシート(2A)を開函することができる。また、各吸着手段(22)の位置を開函時に対向する夫々の外フラップ(10a,10b)或いは内フラップ(10c,10d)或いはパネル(9)の位置に合わせて変更し、折畳みシ−ト(2A)のサイズの変更に対応させることができる。また、折畳みシート(2A)を開函するための各吸着手段(22)により、前記各一対のモータの駆動制御によって開函された折畳みシート(2A)を吸着した状態で偏向させることなく搬送方向に移動させて受け渡すので、開函された折畳みシート(2A)を搬送する際に該折畳みシート(2A)の偏向等を防止するサイドガイド等の案内構造を省くことができる。
【0016】
請求項の発明を前提とする請求項の発明にかかる製函装置において、前記各案内手段(13)は、前記吸着手段(22)を支持する支持体(19)と、該支持体(19)を前記幅方向に案内する第1案内体(18b,20)と、該第1案内体(18b,20)にて前記支持体(19)と共に前記幅方向に移動可能に配設された第1ローラ(24)と、該支持体(19)を前記搬送方向に案内する第2案内体(17,18a)と、該第2案内体(17,18a)にて前記支持体(19)と共に前記搬送方向に移動可能に配設された複数の第2ローラ(23a,23b)と、前記第2案内体(17,18a)に対し搬送方向における前後で回転可能に配設された複数の回転体(14,15)と、前記支持体(19)或いは前記吸着手段(22)に接続されると共に第1ローラ(24)と複数の第2ローラ(23a,23b)と前記夫々の回転体(14,15)に略十字状に巻き掛けられて前記回転体(14,15)を介して前記一対のモータにより駆動される索体(25)を備えており、前記一対のモータによる回転体(14,15)の回転により回転体(14,15)から支持体(19)までの索体(25)の長さを変化させて吸着手段(22)を搬送方向及び幅方向へ移動し得るようにした。
【0017】
請求項の発明では、各回転体(14,15)から支持体(19)までの索体(25)の長さを変化させる索体(25)を介して支持体(19)を移動させることができる案内手段(13)により、モータのエネルギ消費量を低減すると共に、吸着手段(22)の位置を搬送方向や幅方向に容易に変更することができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明は、折畳みシ−トのサイズの変更に対応し得る製函方法及び製函装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】製函装置の全体を示す概略平面図。
図2】吸着手段が初期位置にある状態を示す製函部の概略部分平面図。
図3】(a)は吸着手段を外フラップに接触させた状態を示す製函部の概略平面図、(b)は(a)のタイミングにおけるフラップ折込み部の状態を示す製函部の概略正面図。
図4】(a)は吸着手段が折畳みシートを開函した状態を示す製函部の概略平面図、(b)は開函後に折畳みシートの後端を基準位置に移動させて内フラップを傾けた状態を示す製函部の概略正面図。
図5】(a)は開函後に折畳みシートの後端を基準位置に移動させた状態を示す製函部の概略平面図、(b)は折込み体で内フラップを折り込んだ状態を示す製函部の概略正面図。
図6】(a)〜(f)は折畳みシートの製函過程を示す斜視図または側面図。
【発明を実施するための形態】
【0020】
図1に示す製函装置においては、マガジン1に収容された折畳みシート2A(図6(a)参照)をロボット3のハンド4により製函部5に供給し、その製函部5で折畳みシート2Aを開函して図6(b)(c)(d)(e)に示すように箱2Bを成形すると共に、搬送コンベヤ6に搬入された被包装物7をロボット3のハンド4によりその箱2Bに供給した後、その製函部5で被包装物7が供給された箱2Bを封緘部35にてテープ貼り等の周知の封緘手法により図6(f)のごとく封緘し、排出コンベヤ8に搬出する。
【0021】
図6(a)に示す折畳みシート2Aは、同貼りして平らに折り畳まれた段ボールからなるシートであり、折畳みシート2Aを開函した状態では図6(b)に示すように4枚のパネル9(相対向する左壁部9a及び右壁部9b、相対向する前壁部9c及び後壁部9d)により四角筒をなし、パネル9の上下両端縁部からは2枚の外フラップ10a,10bと2枚の内フラップ10c,10dがパネル9に対し上下に位置するよう起立状態でパネル9の周方向へ互いに隣接している。
【0022】
ロボット3は三次元の自由度を有する多関節ロボットであって、所定の動作範囲内を自由移動可能なハンド4には複数の吸着部11a(保持手段)と、それらの吸着部11aの向きに対し90度異なるよう向けた複数の吸着部11bが配設されている。吸着部11a及び吸着部11bは、夫々、折畳みシート2Aのサイズや被包装物7の大きさに応じて、各吸着部11a,11bの間隔を調節し得るよう構成されている。所定の動作範囲内には、マガジン1の取出部1aと搬送コンベヤ6の取出部6aと製函部5が配設されている。
【0023】
製函部5は、図1及び図2に示すように、封緘部35に向けて延設された搬送路12と、搬送路12を挟む両側に配設された案内部13(案内手段)と、図3図5に示すように搬送路12の直下に配設されたフラップ折込み部36を備えている。
【0024】
各案内部13は、案内レール17(第2案内体)とスライダ18と支持体19とベルト25(索体)とプーリ14,15等を有している。
各案内レール17は、搬送路12に沿って(製函部5における箱搬送方向に)延び、本体フレーム(不図示)によって支持されており、各案内レール17の両端付近にプーリ14,15が配設されている。プーリ15はサーボモータ16を介し水平回転し、プーリ14は不図示のサーボモータを介して水平回転し得るよう、夫々のサーボモータ(モータ)が本体フレーム(不図示)に支持されている。
【0025】
各スライダ18は、スライダ本体18cと、スライダ本体18cに装備された第1ガイド部18a(第2案内体)、第2ガイド部18b(第1案内体)、4つのローラ23a,23b(第2ローラ)と、第2ガイド部18bによって搬送方向に交差する幅方向にスライド移動可能に支持されたスライド軸20(第1案内体)と、スライド軸20の一端側に配設されたローラ24(第1ローラ)を備えており、第1ガイド部18aが案内レール17にスライド可能に係合していることにより、案内レール17上を移動可能とされている。そして、スライド軸20の他端側には支持体19の本体21が装備されている。
【0026】
本体21は中央付近に1本のベルト25の両端部25a,25bが固定され、その両側に開函用吸着部22aが配設されている。各開函用吸着部22aはエアー配管(不図示)が接続されて折畳みシート2Aの外フラップ10a,10bを吸着し得るよう吸着手段22として構成されている。
【0027】
1本のベルト25は、同一水平面上にて同一のプーリ14,15に噛合し、4つのローラ23a,23bとローラ24に略十字状に巻き掛けられて展張状態とされている。このため、プーリ14,15を回転駆動する夫々のサーボモータの回転方向及び回転量を不図示の制御手段により駆動制御すると、両プーリ14,15からベルト25の端部25a,25bまでの長さを変化させ、吸着手段22を有する支持体19を以下のように移動させる。
【0028】
先ず、両プーリ14,15が共に正転向きRFに回転すると、支持体19は搬送方向後方のプーリ15側に移動し、両プーリ14,15が共に逆転向きRBに回転すると、支持体19は搬送方向前方のプーリ14側に移動する。これらの場合、両プーリ14,15の回転量が同じであれば、支持体19は幅方向に移動することなく搬送方向のみに移動し、プーリ14,15の回転量に差がある場合は、支持体19は搬送方向のみならず、ローラ23aが置かれたプーリ14,15より内側のベルト25の張力と、ローラ23bが置かれたプーリ14,15より外側のベルト25の張力のうち、張力が小さい側に移動する。即ち、支持体19は水平面上を斜めに移動する。
【0029】
次に、プーリ14,15の回転量が同じでプーリ14が正転向きRFに回転し、プーリ15が逆転向きRBに回転する場合、支持体19は搬送方向に移動することなく、幅方向における内側(ローラ23a側)に移動し、プーリ14,15の回転量が同じでプーリ14が逆転向きRBに回転し、プーリ15が正転向きRFに回転する場合、支持体19は搬送方向に移動することなく、幅方向における外側(ローラ23b側)に移動するが、プーリ14,15の回転量に差がある場合は、支持体19は幅方向のみならず、プーリ14とベルト25の端部25a間の張力と、プーリ15とベルト25の端部25b間の張力が均衡するよう搬送方向において張力が小さい側にも移動する。即ち、支持体19は水平面上を斜めに移動する。
【0030】
搬送路12の直下に配設されたフラップ折込み部36は、上下方向のみ移動可能な折込み体26(折込み部)と、搬送方向に移動可能な前側折込み部材30と後側折込み部材31(折込み部)を備えている。
【0031】
折込み体26は、図2乃至図5に示すように折畳みシート2Aが供給される位置である搬送路12における搬送中心から幅方向に同じだけ離間した載置部26aが支持部26bに並設されてなり、不図示の制御手段が支持部26bの下方に配設されたエアシリンダ27を作動させることで上下方向に移動する。
【0032】
なお、折込み体26は、図3及び図4に示すように折込み体26が降下した待機状態では、搬送路12に供給された折畳みシート2Aの下端縁より低く、図5に示すように折込み体26が上昇した状態では、該折畳みシート2Aのパネル9の下端緑に載置部26aの上面が当接する高さとなり、搬送方向における前方に配置された搬送ベッド33の上面と同じ高さとされる。
【0033】
前側折込み部材30は、エアシリンダ29に支持され、不図示の制御手段がエアシリンダ29を作動させることで上下方向に移動する。
また、エアシリンダ29はエアシリンダ28が作動することで搬送方向に延びた案内レール28a上を移動するよう配設されていることから、前側折込み部材30は、前後方向にも移動する。このため、前側折込み部材30は一対の載置部26aの間から上昇した後、図4(b)のごとく搬送方向後方に移動して、内フラップ10c,10dに当接する。
【0034】
後側折込み部材31は、不図示の制御手段がエアシリンダ32を作動させることで図4(b)のごとく搬送方向において基準位置Pの前後に移動する。
次に、製函部5の下流側には製函部5から封緘部35に亘って搬送ベッド33とその両側でサイドベルトコンベヤ34が配設されている。
【0035】
サイドベルトコンベヤ34は箱2Bのサイズに応じて両サイドベルトコンベヤ34の間隔を調節し得るよう構成されている。そして、搬送ベッド33の両側には、外フラップ10a,10bが搬送ベッド33より下方に突出した状態で搬送されるよう、搬送方向に平行に隙間Gが形成されている。
【0036】
以上のように構成された製函部5とロボット3や搬送コンベヤ6等との間では不図示の各種の制御手段を介して情報伝達がなされ、各種の作動タイミングが調整された駆動制御が行われ、以下のように被包装物7が箱詰めされる。
【0037】
先ず、図1に示すロボット3のハンド4は、マガジン1に収容された図3(b)に示す折畳みシ−ト2Aのパネル9である前壁部9cと左壁部9aを吸着部11aにより吸着し、折畳みシート2Aを1枚取り出して製函部5の搬送路12における搬送中心上に定められたシート供給位置に移送し、その供給位置で折畳みシート2Aを図3(b)のごとくパネル9の一端側から延出した箱2Bの底側となる外フラップ10a,10bと内フラップ10c,10dとが搬送方向における前後に並ぶように、且つ、折畳みシート2Aの後端が基準位置Pに合致するよう起立状態で保持する。
【0038】
この時、製函部5の各吸着手段22は図2のごとく搬送路12における搬送中心から幅方向両側(左右)に同じ距離だけ離間しており、また、底側の外フラップ10a,10bに対向するよう搬送方向における前後に双方がずれた位置(初期位置)で待機している。
【0039】
なお、左右の吸着手段22の初期位置と後述する左右の吸着手段22の搬送方向及び幅方向への移動量は、予め使用する折畳みシート2Aの外フラップ10a,10bのサイズが予め設定されることによって、その設定情報に基づき使用する折畳みシート2Aに応じた適正位置に左右の吸着手段22が移動するようサーボモータが駆動制御される。
【0040】
折畳みシート2Aが供給位置で保持されると、図2に示すように初期位置で待機している左右の吸着手段22は、図3(a)に示すように、搬送路12側へ移動して折畳みシート2Aの底側の左右両外フラップ10a,10bを吸着する。その際、前記折込み体26や前側折込み部材30や後側折込み部材31は、図3(b)に示すように、折畳みシート2Aの底側から離間した待機状態にある。ロボット3のハンド4の吸着部11aは、左右の吸着手段22による吸着に合わせて、折畳みシート2Aに対する吸着を解除する。
【0041】
その後、左右の吸着手段22は、図4(a)に示すように、各外フラップ10a,10bを吸着した状態で、搬送路12の搬送中心から幅方向に同じ距離だけ互いに離間しつつ、搬送方向において互いに接近する向きに夫々距離Lだけ水平に移動して、折畳みシート2Aを開函して図6(b)のような底側及び蓋側が開口した箱2Bを成形する。
【0042】
次に、左右の吸着手段22双方の図4(a)における幅方向及び搬送方向の距離関係を維持しながら、各吸着手段22を搬送方向上流側に水平移動させ、開口した箱2Bの搬送方向における後端が基準位置Pに到達した位置で停止させる。そして、左右の吸着手段22を幅方向へ互いに若干離間させて、図6(c)に示すように箱2Bの底側で左右の外フラップ10a,10bを鉛直状態から外側へ互いに若干開いて傾かせる。
【0043】
次に、図4(b)に示すように、前側折込み部材30を待機状態から上昇させると共に後退させて箱2Bの底側の外フラップ10a,10b間に進入させ、前側の内フラップ10cを箱2Bの内側に傾けると共に、後側折込み部材31を待機状態から前進させて箱2Bの底側の外フラップ10a,10b間に進入させ、後側の内フラップ10dを箱2Bの内側に傾ける。
【0044】
この状態で、図5(b)に示すように、折込み体26を待機状態から上昇させて外フラップ10a,10b間に進入させ、傾いた各内フラップ10c,10dの先端に当接させる。そして、折込み体26を更に上昇させて各内フラップ10c,10dの先端を更に接近する向きに傾け、前後の内フラップ10c,10dを箱2Bの底側で水平に折り込む。なお、折込み体26が各内フラップ10c,10dに当接したタイミングで前側折込み部材30及び後側折込み部材31の待機状態への復帰を開始し、左右の吸着手段22を幅方向へ互いに接近させて箱2Bの底側の外フラップ10a,10bの先端を鉛直方向に向ける。
【0045】
次に、ロボット3のハンド4の吸着部11bが、搬送コンベヤ6の取出部6a側に搬入された被包装物7を三つ同時に吸着して、箱2Bの蓋側の開口から供給する。なお、1つの箱2Bに対する被包装物7の供給作業は所定回数繰り返される。箱2Bに供給された各被包装物7は折込み体26の載置部26a上に内フラップ10c,10dを介して支持される。
【0046】
被包装物7の供給作業が終了すると、左右の吸着手段22双方の幅方向及び搬送方向の距離関係を維持しながら、各吸着手段22を搬送方向下流側に水平移動させ、箱2Bを折込み体26から搬送ベッド33に移して、更に水平移動させる。なお、搬送ベッド33の後端33aは、箱2Bが搬送ベッド33に円滑に渡るように傾斜している。その後、箱2Bのパネル9の左壁部9a及び右壁部9bを左右のサイドベルトコンベヤ34に当接させて、サイドベルトコンベヤ34で箱2Bを挟持して搬送方向下流側(前方)に搬送する。その際、底側の外フラップ10a,10bは図2の隙間Gから搬送ベッド33より下方に突出している。また、左右の吸着手段22は、サイドベルトコンベヤ34に箱2Bを渡すと、プーリ14に向けての移動を中断して左右の外フラップ10a,10bに対する吸着を解除し、図2に示す初期位置に戻る。
【0047】
そして、サイドベルトコンベヤ34で箱2Bを搬送しながら封緘部35にて、図6(e)に示すように、箱2Bの蓋側の内フラップ10c,10dを内側に折り込んだ後、蓋側の外フラップ10a,10bを内側に折り込んで内フラップ10c,10dに重ねて、図6(f)のようにテープを貼ると共に、箱2Bの底側の外フラップ10a,10bを内側に折り込んで内フラップ10c,10dに重ねて、同様にテープを貼って封緘する。封緘された箱2Bは、排出コンベヤ8で搬送向きが転換され、ロボット3のハンド4で保持されて移送される。
【0048】
本実施形態は下記の効果を有する。
(1) 搬送路12の搬送方向及び幅方向に移動調節可能な各吸着手段22を夫々の外フラップ10a,10bに当接させ、各外フラップ10a,10bを吸着した状態で互いの吸着手段22を折畳みシート2Aのサイズに応じて搬送路12の幅方向に離間させつつ搬送方向において接近させることにより、各種の折畳みシート2Aを開函することができる。
【0049】
(2) 折畳みシート2Aを開函するための左右の開函用吸着部22aにより、開函された折畳みシート2Aを吸着した状態で搬送方向に移動させるので、開函された折畳みシート2Aを搬送する際に該折畳みシート2Aの偏向等を防止するサイドガイド等の案内構造を省くことができる。
【0050】
(3) 折込み体26が内フラップ10c,10dを円滑に折り込むと共に、該折り込んだ内フラップ10c,10dを介して被包装物7を支持した状態で夫々の吸着手段22が搬送方向に箱2Bを移動させるので、封緘に至るまでの処理を速やかに行なうことができる。
【0051】
(4) 各外フラップ10a,10bを幅方向へ開いてから、該両外フラップ10a,10b間で相対向している夫々の内フラップ10c,10dを前側折込み部材30及び後側折込み部材31により該内フラップ10c,10dの先端が互いに接近する向きに傾けるので、各内フラップ10c,10dを傾ける際に外フラップ10a,10bと各内フラップ10c,10dとの接触を避けることができる等、各内フラップ10c,10dの折り込みを円滑に行なうことができる。
【0052】
(5) 各吸着手段22の位置を案内部13により搬送方向や幅方向に変更し得るので、各吸着手段22により折畳みシート2Aを開函することができるばかりでなく、各吸着手段22の位置を外フラップ10a,10bの位置に合わせて変更し、折畳みシ−ト2Aのサイズの変更に対応することができる。
【0053】
(6) 案内部13として、サーボモータやプーリ14,15を移動させることなく、各プーリ14,15から支持体19までのベルト25の長さを変化させることによりベルト25を介して支持体19を移動させることができる機構を採用しているので、モータ等のエネルギ消費量を低減すると共に、左右の吸着手段22の位置を搬送方向や幅方向に容易に変更することができる。
【0054】
本発明の趣旨に反しない範囲で前記実施形態以外にも適宜変更可能であり、例えば下記のような構成を採用することができる。
・ 左右の吸着手段22が折畳みシート2Aの底側の左右両外フラップ10a,10bを吸着するまで、折畳みシート2Aをローラ等で挟持する等の手法で保持するように保持手段を構成してもよい。
【0055】
・ 箱2Bの一方の開口をテープ等により封緘してから、箱2Bの他方の開口から各被包装物7を供給するようにしてもよい。
・ 左右の吸着手段22のうち一方の吸着手段22を他方の吸着手段22より大きく搬送方向へ或いは幅方向へ移動させて折畳みシート2Aを開函するようにしてもよい。
【0056】
・ 折畳みシート2Aを開函させた際に対向する面であれば、左右の吸着手段22は、対向する一対のパネル9或いは対向する一対の内フラップ10c,10dを吸着して、折畳みシート2Aを開函させてもよく、また、例えば、左右の吸着手段22が夫々、パネル9と、そのパネル9に連設された外フラップ10a,10bを一緒に吸着する等して、折畳みシート2Aを開函させてもよい。
【0057】
・ 内フラップ10c,10dを介して被包装物7を支持する折込み体26は、例えば、搬送方向前後などに分離可能に構成されていてもよい。
・ 搬送方向における前方に基準位置Pを設定し、折畳みシート2Aの前端を基準位置Pに合わせるように駆動制御する等、任意の位置に基準位置Pを設定してもよい。
【0058】
・ 折畳みシート2Aのサイズが変わる際などに、基準位置Pを変更してもよい。
・ 複数のマガジン1に夫々サイズの異なる折畳みシート2Aを収容し、マガジン1を切り替えて何れかの折畳みシート2Aを取り出すようにしてもよい。
【符号の説明】
【0059】
2A…折畳みシート、2B…箱、7…被包装物、9…パネル、10a,10b…外フラップ、10c,10d…内フラップ、11a…吸着部、12…搬送路、13…案内部(案内手段)、14,15…プーリ(回転体)、16…サーボモータ、17…案内レール(第2案内体)、18…スライダ、18a…第1ガイド部(第2案内体)、18b…第2ガイド部(第1案内体)、19…支持体、20…スライド軸(第1案内体)、22…吸着手段、23a,23b…第2ローラ、24…第1ローラ、25…ベルト(索体)、26…折込み体(折込み部)、30…前側折込み部材(折込み部)、31…後側折込み部材(折込み部)。
図1
図2
図3
図4
図5
図6