【実施例1】
【0021】
本発明の第1実施例である工作機械100は、
図1に示すように、基台150上に、正面主軸110を回転駆動自在に保持する正面主軸台111、背面主軸120及び正面加工用工具140を保持する保持台121、背面加工用工具130を保持する背面工具台131およびガイドブッシュ160を保持するガイドブッシュ支持台161を有している。
前記ガイドブッシュ支持台161は基台150に固定され、ガイドブッシュ160の軸線が正面主軸110の軸線と一致するように配置されている。
前記保持台121は、背面主軸120を保持する背面主軸台と、正面加工用工具140を保持する正面工具台を兼用している。
【0022】
前記保持台121は、背面主軸120を回転駆動自在に支持する。該保持台121と正面主軸台111とは、正面主軸110と背面主軸120が、互いに軸線が平行で対向するように配置されている。これにより前記正面工具140が正面主軸110に対向する位置に配置される。前記背面工具台131は、背面工具130が背面主軸120に対向する位置に配置され、基台150に固定されている。
【0023】
前記基台150上には、前記正面主軸の軸線方向(Z軸方向)に、正面Z軸レール151が設けられている。該正面Z軸レール151に、前記正面主軸台111がスライド自在に支持されている。該正面主軸台111は、図示しない駆動装置によって、前記正面Z軸レール151上を、位置制御可能にスライド駆動される。これにより正面主軸台111は、前記正面Z軸レール151上をZ軸方向に移動制御される。
【0024】
前記基台150上には、前記Z軸方向に左右方向で直交するX軸方向に、X軸レール152が設けられている。該X軸レール152は、前記正面Z軸レール151の対向位置に配置されている。前記X軸レール152上には、X軸スライドテーブル153がスライド自在に支持されている。該X軸スライドテーブル153は、図示しない駆動装置によって、前記X軸レール152上を、位置制御可能にスライド駆動される。
【0025】
前記X軸スライドテーブル153には、前記Z軸方向に背面Z軸レール154が設けられている。該背面Z軸レール154上には、Z軸スライド台155がスライド自在に支持されている。該Z軸スライド台155は、図示しない駆動装置によって、前記背面Z軸レール154上を、位置制御可能にスライド駆動される。前記Z軸スライド台155には、前記X軸方向及びZ軸方向に直交する上下方向のY軸方向に、Y軸レール156が設けられている。
【0026】
前記保持台121は、前記Y軸レール156上に、スライド自在に支持されている。前記保持台121は、図示しない駆動装置によって前記Y軸レール156上を、位置制御可能にスライド駆動される。このことで、前記保持台121は、X軸スライドテーブル153、Z軸スライド台155を介して、基台150に対して相互に直交するZ軸方向、X軸方向およびY軸方向に一体的に移動制御される。
【0027】
正面主軸110に保持されたワークWは、ガイドブッシュ160に挿通されてガイドされ、正面主軸台111及び保持台121の移動制御によって、ガイドブッシュ160から突出した部分が前記正面加工用工具140により加工される。
背面主軸120に保持されたワークWは、保持台121の移動制御によって、前記背面加工用工具130により加工される。
【0028】
正面加工用工具140および背面加工用工具130は、保持台121および背面工具台131にそれぞれX軸方向に複数(本実施例では5個)配置されて工具列を形成している。
各工具列は、工具列を構成する各正面加工用工具140または背面加工用工具130が、各々X軸方向に一直線上に配置されている。保持台121および背面工具台131は、前記工具列がY軸方向に複数段(本実施例では2段)形成されるように、正面加工用工具140及び背面加工用工具130を保持する。保持台121および背面工具台131の工具列の各段間のピッチは同一に設定されている。
【0029】
前記保持台121は、両主軸110、120が同一平面内に位置し、両主軸110、120の軸線がXZ軸方向の同一平面に含まれる第1ポジションと、両主軸110、120が各々別々のXZ軸方向の平面内に位置し、両主軸110、120の軸線がY軸方向に離反する第2ポジションとが切り換えられるように、Y軸方向に位置制御される。
【0030】
保持台121の前記第1ポジションにおいて、
図2、
図3に示すように、正面主軸110及び背面主軸120の軸線が含まれる前記平面に、下段の正面加工用工具140の工具列のX軸方向の直線と、上段の背面加工用工具130の工具列のX軸方向の直線とが含まれるように、正面主軸110及び背面主軸120が配置されている。
これにより、保持台121の前記第1ポジションにおいては、両主軸110,120と正面工具台141の下段の工具列の正面加工用工具140Bと背面工具台131の上段の工具列の背面加工用工具130Aとが1つの平面(加工平面)内に配置される。
【0031】
保持台121を前記第1ポジションに切り換えることによって、1つの加工平面上で正面主軸110及び背面主軸120に保持されたワークWの加工を下段の工具列の正面加工用工具140Bと上段の工具列の背面加工用工具130Aとにより行うことができる。特に両主軸110,120間でのワークWの授受を容易に行いながらワークWの加工を容易に行うことができる。
【0032】
一方、前記両主軸110,120と正面加工用工具140及び背面加工用工具130の配置により、保持台121の前記第2ポジションにおいて、
図4、
図5に示すように、背面主軸120の軸線が含まれる前記平面に、下段の背面加工用工具130の工具列のX軸方向の直線が含まれ、正面主軸110の軸線が含まれる前記平面に、上段の正面加工用工具140の工具列のX軸方向の軸線が含まれる。
【0033】
これにより、保持台121の前記第2ポジションにおいては、正面主軸110と正面工具台141の上段の工具列の正面加工用工具140Aとが1つの平面(加工平面)内に配置され、背面主軸120と背面工具台131の下段の工具列の背面加工用工具130Bとが、前記加工平面に対してY軸方向に離反した1つの平面(加工平面)内に配置される。
保持台121をY軸方向に移動させて第2ポジションに切り換えることによって、正面主軸110に保持されたワークWと、背面主軸120に保持されたワークWとを各々Y軸方向に離反した別々の加工平面上で、正面加工用工具140A又は背面加工用工具130Bにより加工することができる。
【0034】
保持台121のY軸方向の1軸のみの動作によるポジションの切り換えによって、正面主軸110に保持されたワークWと背面主軸120に保持されたワークWの正面加工および背面加工における工具列の上段、下段の選択を、同時に行うことができる。
そして、前記2つのポジションの位置制御に、当止め等の簡単で高精度の位置決め手段を採用することも可能となり、ポジションの切り換え制御が、さらに容易となるとともに位置精度が向上する。
【0035】
また、
図2、4に示すように、すべての工具列において正面加工用工具140および背面加工用工具130のX軸方向のピッチは同じに設定されており、正面主軸110および背面主軸120と正面加工用工具140および背面加工用工具130のX軸方向の位置関係は、正面主軸110に保持されたワークWが最も背面主軸120から離れた正面加工用工具140A1(あるいは140B1)により加工される位置において、背面主軸120に保持されたワークWが最も正面主軸110から離れた背面加工用工具130B1(あるいは130A1)により加工される位置となるよう配置されている。
【0036】
ワークWに複数の正面加工および背面加工を順番に施す場合、保持台121の下段の工具列には背面主軸120に近い方から順に正面加工に使用する正面加工用工具140Bを配置するとともに、上段の工具列には背面主軸120に遠い方から順に正面加工に使用する正面加工用工具140Aを配置し、また、背面工具台131の上段の工具列には正面主軸110に近い方から順に背面加工に使用する背面加工用工具130Aを配置するとともに、下段の工具列には正面主軸110に遠い方から順に背面加工に使用する背面加工用工具130Bを配置することで、保持台121をX軸方向に加工用工具の1ピッチ分ずつ移動させながら、加工用工具を1つづつ順に選択することによって、保持台121のX軸方向およびY軸方向の移動を少なくし、工具切り替え時間を短縮して効率よく加工を行うことができる。
【実施例2】
【0037】
本発明の第2実施例である工作機械200は、
図6に示すように、正面主軸210と背面加工用工具230のY軸方向の位置関係、および、背面主軸220と正面加工用工具240のY軸方向の位置関係のみ第1実施例の工作機械100と相違し、その他の構成については同じである。
なお、
図6乃至
図10における符号の下2桁が、
図1乃至
図5の符号の下2桁と同一のものは同一の部品を示し、これらの同一の機能、動作については第1実施例と同じであるため説明を省略する。
【0038】
背面主軸220は、正面加工用工具240のいずれの段とも同一平面内に位置しないようにY軸方向に配置され、正面主軸210は、背面加工用工具230のいずれの段とも同一平面内に位置しないようにY軸方向に配置されている。
【0039】
保持台221は、正面主軸210が、下段の工具列の正面加工用工具240と同一平面内に位置し、背面主軸220が、上段の工具列の背面加工用工具230と同一平面内に位置する第1ポジションと、正面主軸210が、上段の工具列の正面加工用工具240と同一平面内に位置し、背面主軸220が、下段の工具列の背面加工用工具230と同一平面内に位置する第2ポジションとが切り換えられるように、Y軸方向に位置制御される。
【0040】
保持台221の前記第1ポジションにおいて、
図7、
図8に示すように、正面主軸210の軸線が含まれる平面と、背面主軸220の軸線が含まれる平面は接近するが同一平面とはならず、かつ、正面加工用工具240および背面加工用工具230の全ての段がいずれも異なる平面上に位置する。
【0041】
一方、保持台221の前記第2ポジションにおいて、
図9、
図10に示すように、正面主軸210の軸線が含まれる平面と、背面主軸220の軸線が含まれる平面は離間し、かつ、正面加工用工具240および背面加工用工具230の全ての段がいずれも異なる平面上に位置する。
【0042】
これにより、保持台221を前記第1ポジションに切り換えることによって、正面主軸210及び背面主軸220に保持されたワークWの加工を、それぞれの加工平面上で下段の工具列の正面加工用工具240Bと上段の工具列の背面加工用工具230Aとにより行うことができ、保持台221をY軸方向に移動させて第2ポジションに切り換えると、正面主軸210に保持されたワークWと、背面主軸220に保持されたワークWとを各々Y軸方向に離反した別の加工平面上で、上段の工具列の正面加工用工具240A又は下段の工具列の背面加工用工具230Bにより加工することができる。
【0043】
保持台221のY軸方向の1軸のみの動作による前記背面主軸台221のポジションの切り換えによって、前記第1実施例と同様に、正面主軸210に保持されたワークWと背面主軸220に保持されたワークWの正面加工および背面加工における工具列の上段、下段の選択を、同時に行うことができ、前記2つのポジションの位置制御が容易となるとともに位置精度が向上する。
【0044】
また、
図7乃至
図10に示すように、いずれのポジションにおいても、正面加工用工具240および背面加工用工具230の全ての段がいずれも異なる平面上に位置することにより、加工時に正面加工用工具240と背面加工用工具230が接近しても干渉することを防止できる。なお正面主軸210と背面主軸220との間でワークWの授受を行う場合、保持台221は、両主軸210,220が同一平面に位置するポジションにY軸方向に位置制御され、該ポジションにおいて、両主軸210,220の軸線を一致させて前記ワークWの授受を行うことができる。
【0045】
上述したいずれの実施例においても、正面、背面の両加工における工具列の中の正面加工用工具140、240および背面加工用工具130、230の選択を、保持台121、221のX軸方向の1軸のみの動作で同時に行うことができる。
また、いずれの実施例でも、保持台121、221のX軸、Y軸を移動させることで、5個×2段に配置されたそれぞれ10個の正面加工用工具140、240および背面加工用工具130、230から任意の工具を同時に選択することができるため、2つのワークWを正面主軸110、210と背面主軸120、220に保持してそれぞれの正面加工と背面加工を同時に行うことが可能となる。
【0046】
なお、本願に添付した図は、配置関係や動作を解りやすく説明するために簡略化されたものであり、個々の構成部材の実際の具体的形状や寸法は、図示のものに限定されるものではない。
また、正面加工用工具140、240および背面加工用工具130、230の数、配置も任意のもので良く、基台150、250が水平、傾斜、垂直のいずれの方向に設置されていても良い。
さらに、図示されていないが、他の所望の構成部材、例えば旋削工具、ワークWのハンドリング機構、加工液供給機構、加工屑排出機構等、工作機械に一般的に用いられる構成を適宜備えるものであっても良い。