(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5674775
(24)【登録日】2015年1月9日
(45)【発行日】2015年2月25日
(54)【発明の名称】吻合用の直線状クランプ
(51)【国際特許分類】
A61B 17/11 20060101AFI20150205BHJP
【FI】
A61B17/11
【請求項の数】12
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2012-517532(P2012-517532)
(86)(22)【出願日】2010年5月13日
(65)【公表番号】特表2012-531255(P2012-531255A)
(43)【公表日】2012年12月10日
(86)【国際出願番号】US2010034690
(87)【国際公開番号】WO2010151382
(87)【国際公開日】20101229
【審査請求日】2013年5月13日
(31)【優先権主張番号】61/220,848
(32)【優先日】2009年6月26日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】511152957
【氏名又は名称】クック メディカル テクノロジーズ エルエルシー
【氏名又は名称原語表記】COOK MEDICAL TECHNOLOGIES LLC
(74)【代理人】
【識別番号】100083895
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 茂
(74)【代理人】
【識別番号】100175983
【弁理士】
【氏名又は名称】海老 裕介
(72)【発明者】
【氏名】サーティ, ヴィルー, シー.
(72)【発明者】
【氏名】マクローホーン, タイラー, イー.
(72)【発明者】
【氏名】ドゥシャーム, リチャード, ダブリュー.
【審査官】
村上 聡
(56)【参考文献】
【文献】
国際公開第2008/124314(WO,A1)
【文献】
特開2005−103303(JP,A)
【文献】
特表2000−505316(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 17/11
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
身体組織への吻合の形成を容易にするための器械であって、
内部空間を画定するように向かい合って配置された第1基部及び第2基部であって、当該第1及び第2基部と前記内部空間とで長手方向軸及び横軸を画定しており、分解性又は分解吸収性の材料からなる、第1基部及び第2基部と、
近位部分と遠位部分を有する第1クランプ部材であって、前記第1及び第2基部に取り付けられ、そこから横方向に延びていて、前記近位部分と前記遠位部分が前記第1及び第2基部に対して回転可能である、分解性でなく且つ分解吸収性でない材料からなる、第1クランプ部材と、
近位部分と遠位部分を有する第2クランプ部材であって、前記第1及び第2基部に取り付けられ、そこから横方向に延びていて、前記近位部分と前記遠位部分が前記第1及び第2基部に対して回転可能である、分解性でなく且つ分解吸収性でない材料からなる、第2クランプ部材と、を備えており、
前記第1クランプ部材と前記第2クランプ部材は、それぞれ、送達状態と配備状態の間で動作可能となっており、前記第1クランプ部材と前記第2クランプ部材は、前記配備状態となるように付勢されており、
前記送達状態となっている前記第1クランプ部材は、前記近位部分と前記遠位部分とが互いから離れる方向に回転されており、前記送達状態の前記第2クランプ部材は、前記近位部分と前記遠位部分とが互いから離れる方向に回転されており、
前記配備状態となっている前記第1クランプ部材は、前記第1クランプ部材の前記近位部分と前記遠位部分とが互いに近接して前記身体組織を間に保持し、前記配備状態となっている前記第2クランプ部材は、前記第2クランプの前記近位部分と前記遠位部分とが互いに近接して前記身体組織を間に保持するようになっている、器械。
【請求項2】
前記第1クランプ部材と前記第2クランプ部材は、前記第1及び第2基部から係合解除されると分離するようになっており、別々に患者の胃腸管を自然に通過していく大きさである、請求項1に記載の器械。
【請求項3】
前記配備状態となっている前記第1クランプ部材は、前記内部空間と連通する第1の内部空間を画定していて、前記配備状態となっている前記第2クランプ部材は、前記内部空間と連通する第2の内部空間を画定している、請求項1に記載の器械。
【請求項4】
前記第1クランプ部材と前記第2クランプ部材は、それぞれ、横方向に前記第1基部及び前記第2基部から離れるように約4cmから約12cmの距離を延びている、請求項1に記載の器械。
【請求項5】
前記第1クランプ部材と前記第2クランプ部材は、横方向に前記第1基部及び前記第2基部から離れる方向に互いに逆向きに突き出ている、請求項1に記載の器械。
【請求項6】
各近位部分はそれぞれワイヤで構成されており、各遠位部分はそれぞれ別のワイヤで構成されている、請求項1に記載の器械。
【請求項7】
前記第1及び第2クランプ部材が金属ワイヤからなる、請求項1に記載の器械。
【請求項8】
請求項1に記載の前記器械を用いている、吻合を形成するための医療システムであって、
長手方向軸を画定している細長い部材と、
前記細長い部材から前記器械を射出するための送達部材と、
前記第1及び第2クランプ部材の各遠位部分を前記送達状態に維持し且つ前記第1及び第2クランプ部材の各近位部分を前記送達状態に維持するための少なくとも1つの保定器と、を更に備えており、
前記器械の前記内部空間が、前記細長い部材を受け入れるサイズとなっており、
前記少なくとも1つの保定器が、縫合糸または伸縮性の帯である、医療システム。
【請求項9】
前記第1クランプ部材と前記第2クランプ部材の両方の前記近位部分と前記遠位部分とが、前記送達状態において、互いから離れる方向に前記長手方向軸を越えて回転され、前記細長い部材が前記送達状態における前記近位部分と前記遠位部分との位置を維持している、請求項8に記載の医療システム。
【請求項10】
前記第1クランプ部材と前記第2クランプ部材の両方の前記近位部分と前記遠位部分とが半環状の形状である、請求項8に記載の医療システム。
【請求項11】
第1クランプ部材及び第2クランプ部材が取り付けられている、分解性又は分解吸収性の材料からなる、第1基部と第2基部とを備え、前記第1クランプ部材と前記第2クランプ部材は、それぞれ、前記第1及び第2基部に回転可能に取り付けられている近位部分と遠位部分とを有し、前記第1クランプ部材と前記第2クランプ部材は、それぞれ、前記第1クランプ部材の前記近位部分が前記第1クランプ部材の前記遠位部分に略平行となっており且つ前記第2クランプ部材の前記近位部分が前記第2クランプ部材の前記遠位部分に略平行となっている配備状態を有し、前記第1クランプ部材と前記第2クランプ部材は、それぞれ、前記第1クランプ部材の前記近位部分と前記遠位部分とが互いから離れるように長手方向に回転され且つ前記第2クランプ部材の前記近位部分と前記遠位部分とが互いから離れるように長手方向に回転されている送達状態を有しており、前記第1クランプ部材と前記第2クランプ部材は、それぞれ、分解性でなく且つ分解吸収性でない材料からなる、器械を準備する段階と、
前記第1及び第2基部を、前記第1クランプ部材と前記第2クランプ部材とが前記送達状態に維持された状態で、細長い部材上に嵌める段階と、
前記第1及び第2クランプ部材の各遠位部分を、前記送達状態から、前記第1及び第2クランプ部材の各遠位部分が互いから離れるように横方向に回転している前記配備状態へ回転させる段階と、
前記第1及び第2クランプ部材の各近位部分を、前記送達状態から、前記第1及び第2クランプ部材の各近位部分が互いから離れるように横方向に回転している前記配備状態へ回転させる段階と、を含む前記器械を人間以外の動物の体内に配備する方法。
【請求項12】
前記第1及び第2基部が分解するか又は分解吸収されて、それにより前記第1クランプ部材及び前記第2クランプ部材が前記第1及び第2基部から分離する段階を更に備えている、請求項11に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本実施形態は、概括的には、2つの臓器の間に吻合を形成するための医療器械に関し、より具体的には、胃空腸吻合術の様な、側側吻合を形成するための医療器械に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、体液を再配向することを目的として、2つの臓器の間に流路を形成するための胃腸(GI)手術、即ち吻合が行なわれてきた。多くの様々な臓器を吻合する必要性がありうることは認識されるところであり、例えば空腸と胃(胃空腸吻合)、胆管と十二指腸、小腸又は大腸の2つの区間、又は肥満症治療手術での様な臓器の様々な他の組合せなどが考えられる。
【0003】
吻合を形成する手術中、多くの場合、2つの組織は、縫合糸、ステープル、又は何らかの他の固定手段の様な、固定器を使用して寄せ合わされ互いに付着される。固定器を設置させている間に、様々な手段を使用して各々の臓器の組織を互いに近接した位置に保持する。開放性手術では、これは通常、把持器、鉗子、又は臨床医によって扱われる他の組織保持器具を使用して達成されている。腹腔鏡的手術では、腹腔鏡的アクセスが、器具の数を数少ない経皮的「出入口」に制限されるため、処置の技術的課題がなおいっそう大きくなるということを別にしては、同様の器具が使用される。
【0004】
これらの型式のGI手術を施行する場合、境界壁を裂いてしまう可能性がある。よって、胸腔と腹腔がGI内容物で汚染され細菌で一杯になるという、それらの場所に普通では起こらない事態を回避するために、最大限の注意が払われなくてはならない。もし重大な汚染が起これば、深刻な感染が始まり、早期に精力的に手当てされなければ重篤な疾患或いは死を引き起こさないとも限らない。
【0005】
これらの制限の幾つかの解決を図り、その様な手術の侵襲性をできる限り小さくするべく、磁気吻合装置(MAD)が吻合形成のために開発された。例えば、MADは金属性リムに取り囲まれた2つの磁石コアから成る。2つの磁石コアは、臓器間吻合が所望される2つの臓器の中に位置付けられる。コア間の磁気吸引力のせいで、2つの隣接している臓器の壁同士が圧縮される。臓器の壁同士が圧縮される結果、虚血性壊死が生じて2つの臓器の間に吻合が作り出される。MADを使用した場合、MADが形成した吻合を維持するために、時にステント又は他の装置を挿入する第2の処置を執り行う必要がある。第2の処置は、追加の費用が必要になり患者や医師の時間が更に取られるし、また如何なる内視鏡的処置も或る種のリスクを伴う。加えて、MADを使用した場合、吻合はその処置の時点で即座に形成されるのではなく、数日間をかけて形成される。
【特許文献1】米国非仮特許出願第12/025,985号
【発明の概要】
【0006】
本発明は、技術的困難性を減らし且つ吻合形成のための先行技術の潜在的なリスクを最小限にしながら、2つの臓器の間の吻合を速やかに形成するための医療器械、システム、及び方法を提供する。吻合は、確実性を以って、患者が医療施設を去る前に形成されることになるので、フォローアップ処置の必要性がなくなる。境界壁の裂け防止の追加の保護が提供されており、患者が医療施設にいない間に吻合が分離してしまったり漏出を形成したりするリスクは最小限に留まる。
【0007】
1つの実施形態によれば、2つの臓器の組織を隣接させるための医療システムは、細長い部材に、回転可能なクランプ部材が取り付けられている2つの基部を含んでいる医療装置を付着させ、次いで医療装置を2つの臓器の体壁を貫いて挿入する動作を含んでいる。医療装置の基部は、内部空間、長手方向軸、横軸を画定するべく、互いに向かい合って配置されている。2つの基部の間の内部空間は、回転可能なクランプ部材が2つの臓器を圧縮しそれらを近接に維持している間に、それら2つの基部の間に吻合が形成されることを許容し且つ当該吻合を維持するサイズである。医療装置は、第1の保定器を介して或いは代わりに2つの保定器を介して細長い部材へ保持され送達されるか、又はその設計上の性質によっては保定器なしに細長い部材に保持されている。
【0008】
本医療装置の更に詳細な態様によれば、回転可能なクランプ部材は、それぞれ、送達状態と配備状態の間で回転する近位部分及び遠位部分を有しており、それらの部分は配備状態となるように付勢される。送達状態では、近位部分は遠位部分から離れる方向に回転して、長手方向に細長い部材に沿って整列している。配備状態では、近位部分と遠位部分は横方向に互いに向けて回転し、その結果それらは互いに近接している。
【0009】
2つの臓器の間の吻合を形成するための方法も、本実施形態の教義に従って提供されている。概して、2つの小孔が2つの臓器に形成され、小孔が互いに近接に寄せられ、次いで上述の2つの基部と回転可能なクランプ部材を有する医療装置が提供され、小孔の中へ挿入される。医療装置は、2つの臓器内に、クランプ部材の近位部分と遠位部分がそれらの間の2つの臓器の壁を圧縮し、壁同士を互いに近接に保持するように位置付けられる。
【0010】
本方法の更に詳細な態様によれば、吻合のサイズは、メス又は他の切断装置を使用して、回転可能なクランプ部材によって画定されている内部空間内に位置する2つの臓器の壁から余計な組織を切除することにより、即座に拡げることができる。切除する段階は内視鏡的に行うことができ、切断器具は内視鏡の作業チャネルを通して導入することができる。
【0011】
第1の材料の層の開口部を第2の材料の層の開口部へ隣接させるための方法の実施形態も、本実施形態の教義に従って提供されている。概して、上述の医療装置と同様の、2つの基部と回転可能なクランプ部材を備えた装置が提供される。装置の基部は分解性又は分解吸収性の材料で形成されている。装置はその送達形態からその配備形態へ操作される。装置はその基部が分解するか又は分解吸収される期間の間放置され、基部が分解するか又は分解吸収されることによって、クランプ部材が基部から離れ、ひいては互いに分離される。
【0012】
当業者には、添付図面及び以下の詳細な説明を考察すれば、本発明の他のシステム、方法、特徴、及び利点が明らかであろう、又は明らかになってくるであろう。全てのその様な追加のシステム、方法、特徴、及び利点は、本発明の範囲に含まれ、付随の特許請求の範囲によって網羅されるものとする。
【0013】
本発明は、添付図面及び以下の記述を参照することにより、より深く理解することができる。図中の構成要素は、必ずしも縮尺合わせされているわけではなく、むしろ本発明の原理を説明することに重点が置かれている。また、図中、同様の参照番号は、異なった図全部を通して対応する部分を表している。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】吻合を形成するための医療装置の1つの好適な実施形態であって、配備状態にある医療装置の斜視図である。
【0015】
【
図2】
図1に描かれている医療装置であって、送達状態にある医療装置の斜視図である。
【0016】
【
図3A】
図1に描かれている医療装置からのクランプ部材であって、配備状態にあるクランプ部材の斜視図である。
【0017】
【
図3B】
図1に描かれている医療装置からのクランプ部材の或る代わりの実施形態であって、配備状態にあるクランプ部材の斜視図である。
【0018】
【
図4】
図1に描かれている医療装置の第1基部及び第2基部の上面図である。
【0019】
【
図5A】吻合を形成するための医療システムの正面図である。
【0020】
【
図5B】吻合を形成するための医療システムの或る代わりの実施形態の一部断面の正面図である。
【0021】
【
図5C】吻合を形成するための医療システムの別の実施形態の正面図である。
【0022】
【
図6】2つの臓器を露わにするべく切断された組織の断面図の中へ挿入された
図5の医療装置の正面図である。
【0023】
【
図7】吻合を形成するための医療装置が2つの臓器に配備された状態の、
図6と同様の正面図である。
【0024】
【
図8】組織に配備されている
図1の実施形態の上面図である。
【0025】
【
図9】組織に配備されている
図1の実施形態の上面図であって、吻合を拡げるために追加の切開が入れられたところである。
【0026】
【
図10】吻合を形成するための医療装置の別の好適な実施形態であって、配備状態にある医療装置の斜視図である。
【0027】
【
図11】
図10に描かれている医療装置であって、送達状態の医療装置の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
本出願では、「近位」という用語は、概して医療処置中の医師に向かう方向を指し、一方「遠位」という用語は、概して医療処置中の医療専門家から離れる及び/又は患者の解剖学的構造内の目標部位に向かう方向を指す。
【0029】
ここで
図1−
図4を参照すると、例えば内視鏡的処置中などに吻合を形成するための医療装置18の或る実施形態が描かれている。ここで論じられている様に、医療装置18は、吻合の周囲の組織を締め付け、それを開口保持する働きはもとより、吻合の拡大を容易にする働きもする。医療装置18は、概して、水平軸29に沿って互いに反対側に配置されている第1基部20と第2基部22を含んでいる。基部20及び22は、内視鏡の外面に一致するように形状が半円形であるものとして描かれているが、当業者には認識される様に他の形状も適している。基部20及び22は、それぞれ、2つの挿入溝21を有しており、それら挿入溝は、基部20及び22に取り付けられている第1クランプ部材28と第2クランプ部材27が当該挿入溝21の中へ押し込まれることによってそれらクランプ部材をしっかりと受け入れるサイズである。挿入溝21は
図4に更に詳しく描かれているが、クランプ部材28と27を挿入溝21に「スナップ嵌め」できるように1つ又はそれ以上の突出部21aによって形成されているのが好適とされる狭い喉部Tを含んでいる。クランプ部材はまた、基部20及び22の中へ包み込まれるなどして基部に永久的に取り付けられていてもよいし、或いは蝶番又は本技術で知られている他の締結装置を介して基部に付着していてもよい。
【0030】
基部20は、基部22とは反対側に、基部20及び22を内視鏡の様な細長い部材に上から嵌められるように設計されている内部空間44を画定するべく距離Lを空けて、配置されている。距離Lは好適には約7mmから約20mmの範囲である。内部空間の直径Dは約8mmから約23mmの範囲とすることができる。ここで使用されている寸法と範囲は、概ね、内視鏡及び胃腸に用いる場合であるが、当業者には他の用途のためのサイズが容易に見極められることであろう。基部は、金属、合金、プラスチック、生体適合性材料、分解吸収性材料、分解性材料、又は如何なる他の適した材料から作られていてもよい。分解吸収性とは、ここでの使用に際しては、材料の組織及び/又は体液に接触したときに当該組織及び/又は体液の中へ吸収されてゆく材料特性をいう。本技術分野では、数多くの分解吸収性材料が知られており、如何なる適した分解吸収性材料が使用されてもよい。例として、分解吸収性のホモポリマー、コポリマー、又は分解吸収性ポリマーの配合物が挙げられる。分解性とは、ここでの使用に際しては、材料の体内に植え込まれたときに臨床上妥当な時間量の内に放散してゆく特性であって、溶解、崩解、吸収、及び排泄の様な放散を起こすことのできるメカニズムとは無関係に放散することができる特性をいい、基部20及び22は、クランプ部材28及び27から係合解除されるように分解しさえすれば十分である。数多くの分解性材料が当技術分野で知られており、如何なる適した分解性材料が使用されてもよい。例として、ポリエチレン、ポリプロピレン、及びポリオキシプロピレングリコール系糖類並びにポリラクチド系糖類が挙げられる。
【0031】
図1−
図3Aから最もよく分かる様に、第1クランプ部材28は、近位部分24、中間部分19、及び遠位部分26を有している。
図3Aは、未だ取り付けられていない、その自然な状態にある第1クランプ部材28を示している。近位部分24と遠位部分26はともに、それらが
図1に示されている様につがうことができるように共通の形状とデザインを有している。描かれている様に、近位部分24と遠位部分26は概ねU字形状を有しているが、それらは、V字形状、半矩形の形状、又は如何なる他の半環状形状とすることもできる。クランプ部材28及び27は、内部空間44と連通、好適には連続する、内部空間71を画定する形状を有している。近位部分24と遠位部分26は、それらが基部20及び22の挿入溝21に取り付けられている中間部分19周りに回転させることができる。同様に、第2クランプ部材27は、基部20及び22の挿入溝21に取り付けられている中間部分19周りに回転させることができる近位部分23と遠位部分25を有している。
【0032】
図1及び
図3Aでは、クランプ部材28と27は、近位部分24及び23が遠位部分26及び25に対して略平行になるように回転して、その結果クランプ部材28と27が横方向に横軸40(基部20と22も当該横軸周りに離間されている)に沿って突き出る格好になっている配備状態にある。略平行とは、ここでの使用に際しては、組織が近位部分24及び23と遠位部分26及び25との間で締め付けられことが可能である限りにおいては、近位部分24及び23と遠位部分26及び25との間の平行からの偏差を含んでいる。配備状態は、近位部分24及び23と遠位部分26及び25が
図3Aに見られる様に中間部分19に概ね垂直になるように回転した状態と言うこともできる。配備状態では、近位部分24及び23は、
図7に示され以下に更に詳細に説明されている様に、遠位部分26及び25との間の組織を締め付けるために遠位部分26及び25に向けて回転する。
【0033】
図2では、医療装置18のクランプ部材28及び27は、長手方向軸42に向けて回転して、クランプ部材28と27の近位部分24と23が互いに隣接し、クランプ部材28と27の遠位部分26と25が互いに隣接している送達状態にある。近位部分24及び23と遠位部分26及び25は、クランプ部材28と27が長手方向軸42に沿って整列して互いに略平行になるように回転しているのが好適である。
【0034】
図1−
図3Aに示されている実施形態では、クランプ部材は
図3Aに描かれている配備状態の形成に向けて付勢される。クランプ部材28及び27は、丸又は矩形(平)断面形状を有する金属ワイヤ、好適にはニチノール、で形成されているものとして示されているが、他の構成が採用されてもよい。例えば、クランプ部材28及び27は、適した弾性を有していて、それによりクランプ部材が本来備わっているか又は付与された形状記憶特性に従って回転することのできる、他の金属、合金、プラスチック、又は他の材料で構成されていてもよい。クランプ部材28及び27は生体適合性又は分解吸収性の材料で構成されていてもよい。
【0035】
加えて、クランプ部材は、本技術で知られている他の締結装置によって基部に取り付けられていてもよいし、蝶番、ばね、又は本技術で知られている他の回転式連結器によって基部に取り付けられていてもよい。例えば、クランプ部材が拘束されていないとき、蝶番を付勢してクランプ部材を配備状態に回転させるようにしてもよいであろう。また、クランプ部材28及び27は、
図1−
図3Aでは2つの一体のクランプ部材として描かれているが、それぞれは、
図3Bに示されている様に2本のワイヤの様な2つの部分から編成されていてもよい。1つの実施形態では、近位部分24は1本のワイヤが基部20と22の両方に取り付けられて構成され、遠位部分26は1本のワイヤが基部20と22の両方に取り付けられて構成され、そうして接続用の中間区間19がないものになっている。蝶番(図示せず)は、近位部分24を遠位部分26に向けて、それぞれが基部から離れるように横方向に突き出る配備状態に回転させることになる。また更には、各近位部分24と各遠位部分26は、ほぼ連続的な近位部分24とほぼ連続的な遠位部分26を形成するように互いに隣接する自由端を有する2つの部分(例えばワイヤ)から編成されていてもよく、その場合、クランプ部材は4つの回転式部品(図示せず)から編成される。
【0036】
次に吻合を形成するための医療システム70を
図5−
図9を参照しながら説明していく。医療システム70は、吻合を形成、作成、及び維持するための医療装置と、医療装置を送達するための細長い部材と、医療装置を細長い部材上に保持するための保定装置と、随意ではあるが医療装置を細長い部材から射出するための追加の押出装置と、を含んでいる。
図5Aに示されている1つの実施形態によれば、医療装置18は、細長い部材、この事例では内視鏡60、の上へ装填されていることが示されている。内視鏡60は本技術分野で知られている如何なる型式のスコープであってもよいし、又は代わりに、治療目的で身体の中へ挿入されるのに適した如何なる可撓性の細長部材であってもよい。装置18は内視鏡60上をその遠位端43に向かって滑る。クランプ部材の遠位部分26及び25は、第1保定器31を介して送達状態で互いに近接に保持されている。この実施形態では、第1保定器31は、付属チャネル62に通されている縫合糸32であって、縫合糸32はそれぞれの遠位部分26及び25上のループ又はフック30を通過している。縫合糸を遠位部分26と25に巻き付けて、それらを互いに近接に保持するようにしてもよい。縫合糸とは別に、鉗子、把持器、クランプ、又は本技術で知られている類似の装置を付属チャネル62に通し、それらを使用して、遠位部分26と25を互いに近接に保持することもできるであろうし、或いは細長いキャップ、帯、又は本技術で知られている類似の装置を使用して、遠位部分26と25を互いに近接に保持することもできるであろう。
【0037】
保定器は、更に、近位部分24と23を送達状態に、好適には内視鏡60に沿って互いに略平行に、保持している。この実施形態では、第2保定器33は、近位部分24と23を送達状態に保持しており、第2保定器33は好適には伸縮性の帯34である。第2保定器33は、マルチバンドリゲータと縫合糸、クリップ、ラッチ掛け機構、又は本技術分野で知られている、対象物を送達状態に保定するための他の装置であってもよい。加えて、2つの保定器31及び33を使うのではなく、
図5Bに示されているオーバーチューブ66の様な1つの保定器が遠位部分と近位部分の両方を所定場所に引き留めるのに使用されていてもよい。更に、医療装置18は、
図5Cに描かれている様に、自らを内視鏡60上に保定するように構成されていてもよく、それにより保定器は必要なくなる。この方式では、クランプ部材28及び27の近位部分24及び23と遠位部分26及び25は、一方の近位部分が他方の近位部分の内部空間71を通り抜け且つ一方の遠位部分が他方の遠位部分の内部空間71を通り抜けた状態でクランプ部材の近位部分24及び23と遠位部分26及び25が全て長手方向軸42を横切るように、長手方向に回転させられることになろう。医療装置18はこうして内視鏡60上に嵌って、クランプ部材の本来備わっている配備状態に復帰する付勢力によってクランプ部材が内視鏡に力を働かせ、医療装置18の内視鏡60上の位置を維持しようとする。
【0038】
次に
図6を参照すると、医療装置18は、遠位方向に、第1の体壁46(例えば胃45)を貫き、第2の体壁48(例えば小腸、典型的には空腸52)を貫いて挿入され、空腸52の内部に置かれている。この実施形態では、縫合糸32は臨床医によって後退させられるか又は切断してから後退させられるかしていて、クランプ部材28及び27の遠位部分26及び25はそれらの配備状態へ回転できるようにされている。システム70を近位方向に引き戻す(即ち、後退させる)と、遠位部分26及び25が第2の体壁48の内面に圧力を働かせる。
【0039】
次に
図7を参照すると、内視鏡60は更に後退させられており、ようやく基部が少なくとも部分的に第1の体壁46の小孔49内側にあるのが見えたところで、伸縮性の帯34が解放され、近位部分24及び23がそれらの配備状態へ回転して、第1の体壁46の近位側を押し付け、圧力を働かせられるようになる。近位部分24及び23を解放するための手順は、使用されている保定装置に応じて異なる。
図6に描かれている様に第2保定器33が伸縮性の帯34である場合は、第2保定器33は伸縮性の帯34を切除さえすれば取り除くことができる。内視鏡60は代わりに溝か筋が付けられて、内視鏡60を後退させると(例えば筋との摩擦により)伸縮性の帯34が係合するようにされていてもよく、そうすると内視鏡を後退させてゆけば伸縮性の帯34が、好適には内視鏡60上に固定されたままに、近位方向に転がされるか又は動かされるかして近位部分24及び23から離れることができる。また、縫合糸を、内視鏡60の外側を走らせて第2保定器33に結わえておき、縫合糸を引っ張ると第2保定器33が取り除かれるようにしてもよい。また更に、
図5Bに描かれている様にオーバーチューブ66が医療装置18全体を覆うように使用されている場合、オーバーチューブ66を後退させると、まず遠位部分がそれらの配備状態へと解放され、オーバーチューブ66を更に後退させてゆくと次に近位部分がそれらの配備状態へと解放されることになる。オーバーチューブ66はそのルーメンの中にスコープ及び器械を受け入れるサイズである。当業者には他の保定装置及びそれらを取り除くための他の手段が認知されることであろう。
【0040】
吻合を形成するための医療方法を、これより
図5−
図9を参照しながら説明してゆく。吻合を形成するために医療装置18を完全に配備する前に、所望の臓器に小孔を形成しなくてはならず、それらの小孔同士を互いの近傍内に寄せなくてはならない。この目標を達成するための1つのやり方は、
図5A、
図5B、又は
図5Cに描かれている様に医療装置18を内視鏡60上に装填し、次いで内視鏡を第1の臓器まで前進させることである。切断装置(図示せず)を内視鏡60の作業ルーメンを通して前進させ、それを使用して第1の臓器である例えば胃45に小孔49を形成する。次いで内視鏡60を空腸52の様な第2の臓器へ更に前進させ、切断装置を使用して第2の臓器に第2の小孔51を形成する。医療装置18の遠位部分26及び25が上述の様に配備されたなら、次いで、医療装置18、内視鏡60、及び空腸52を、第1の臓器の小孔49に向けて後退させる。医療装置18が
図6にあるように正しく位置付けられてしまえば、近位部分24及び23を解放することができ、そうして吻合が形成されることになる。
【0041】
小孔は、医療装置18の挿入に先立って、形成され、互いに近接に寄せてこられてもよい。これを実現するためのやり方で、本技術で知られているものは数多くあり、そのうちの幾つかは、2008年2月5日出願の米国非仮特許出願第12/025,985号に記載されており、同出願をここに参考文献としてそっくりそのまま援用する。腹腔鏡的手術又は開放性手術及びそれらの手術型式で使用される装置も同様に、医療装置18の挿入を準備するために小孔を形成し、それら小孔を互いに近接に所定場所に保持するのに採用することができる。
【0042】
小孔が形成され、以上に説明され
図5−
図7に描かれているシステム70を介して医療装置18が配備されてしまえば、近位部分24及び23が第1の体壁46に対して働かせている力と、遠位部分26及び25が第2の体壁48に働かせている力が、2つの体壁を圧縮し、それらを互いに近接に保持する。第1基部20と第2基部22は、第1の体壁46の小孔49と第2の体壁48の第2の小孔51を維持する。こうして、システムは即座に、十分なサイズの吻合を形成する。クランプ部材が体壁に働かせている圧縮はクランプ部材の間に閉じ込められている2つの臓器の組織の壊死を引き起こし、その結果、組織の厚さ及びクランプ部材に使用されている材料の強さにもよるが、数日若しくは1週間後には吻合は更に大きくなっている。より大きな吻合が直ぐさま所望されるなら、メス又は他の切断装置を使用して、内部24から横方向に第1クランプ部材28の頂点に向かって切ることによって組織を2つの体壁から切除すれば、
図9に描かれている様により大きな開口部72が形成される。追加的に、第2のより大きな開口部72を形成するために、次いで、切開を内部24から横方向に第2クランプ部材27の頂点に向けて延ばしていってもよく、そうすれば今度は1つの大きな途切れのない吻合が形成される。
【0043】
医療装置18の除去は自然的な手段を通して完遂されてもよい。組織46及び48に働いている圧力は何日もかけて壊死を引き起こし、それにより24又は24と72を合わせたものより僅かに大きい吻合が形成される。或る一定量の壊死が起こった後、医療装置18は、押し出され、自然に身体を通過してゆくであろう。或いは、医療装置18を分解性又は分解吸収性の材料で作って、装置が身体によって自然に崩壊してゆくようにしてもよい。加えて、基部20及び22を分解性又は分解吸収性の材料で作って、基部が身体によって自然に崩壊してゆくようにしてもよく、それによって、次にクランプ部材27及び28が、仮にそれらが崩壊され得ない場合には、自然に身体を通過してゆくであろう。
【0044】
当業者には、これらの吻合形成処置の間、組織46及び48の圧縮されている区域は、GI内容物の漏出又は関与している臓器によっては他の体液の漏出を防ぐ障壁を提供していることが認識されるであろう。同様に、吻合は、確実性を以って、患者が医療施設を去る前に形成されるので、フォローアップ処置の必要性はなくなる。また、基部20及び22は―また切開が入れられた場合には同様にクランプ部材28及び27が―吻合のサイズを維持するので、開口部を維持するためにステントを挿入する第2の処置の必要性はない。
【0045】
次に
図10及び
図11を参照すると、吻合を形成するための医療装置118の或る代わりの実施形態が描かれている。医療装置118は、医療装置18の場合とまったく同じ様に、互いに反対側に配置されている第1基部120と第2基部122を含んでいる。基部120及び122は、それぞれ、第1クランプ部材128と第2クランプ部材127を受け入れ案内するための2つのソケット80を有している。この実施形態では、クランプ部材128及び127は、基部120及び122に包み込まれ、それぞれの中間部分119の挿入孔84に通された円筒管82によって所定場所に保持されている。クランプ部材は同様に、蝶番又は本技術で知られている他の締結装置を介して基部120及び122に取り付けられていてもよく、医療装置118には先に医療装置18について論じたものと概ね同様の変更が加えられてもよい。
【0046】
第1クランプ部材128は、近位部分124、中間部分119、及び遠位部分126を有しており、第2クランプ部材127は、近位部分123、中間部分119、及び遠位部分125を有している。
図10は自然な状態である配備状態にあるクランプ部材128及び127を描いている。近位部分124及び123と遠位部分126及び125は中間部分119周りに回転させることができる。医療装置118の寸法と使用法は医療装置18と概ね同様であり、先の実施形態で既に論じたものと同様の修正がここでも当て嵌まる。
【0047】
図11では、医療装置118のクランプ部材128及び127は、クランプ部材が基部120及び122から離れるように長手方向に回転して、クランプ部材128と127の近位部分124と123が互いに近接し、遠位部分126と125が互いに近接した送達状態にある。基部120及び122のソケット80は、クランプ部材を配備状態から送達状態へ案内しており、医療装置18の28と27では
図2に描かれている様に整列できる余地があったが、ソケット80はクランプ部材128と127が長手方向に180度に整列することのないようにしている。示されてはいないが、当業者には、ソケット80及び/又は基部120と122のサイズは、クランプ部材128と127が送達状態で長手方向に180度回転できるように修正されてもよいことが認識されるであろう。
【0048】
当業者には認識される様に、以上に記載されている方法は、概して、2つの臓器の体壁を隣接させることを含んでいるが、本システム、装置、及び方法は、人間又は動物の身体に関連し得る材料がそうでないかを問わず、如何なる材料(例えば、織物、布、ポリマー、エラストラマー、プラスチック、及びゴム)の2つの層に使用されてもよいことが認識されるであろう。例えば、本システム、装置及び方法に関しては、研究施設及び産業環境で、人間又は動物の身体への適用が見い出され得る材料かそうでないかを問わず、2層又はそれ以上の材料の層を隣接させる場合の利用、及び同様に、身体組織ではない2層又はそれ以上の材料の層の孔又は穿孔を接続する場合の利用を見い出すことができる。幾つかの例として、縫製又は縫合及び関連の製造工程、合成組織を用いた作業、ポリマーシートの接続又は修復、動物の研究、獣医学的適用、及び死体解剖活動が挙げられる。
【0049】
本発明の様々な実施形態を記載してきたが、本発明は、付随の特許請求の範囲及びそれらの等価物に照らした場合を除き限定されるものではない。更に、ここに記載されている利点は必ずしも本発明の唯一の利点というわけではなく、また必ずしも本発明のあらゆる実施形態が、記載されている利点の全てを実現できるものと期待されているわけではない。
【符号の説明】
【0050】
18 医療装置
19 中間部分
20 第1基部
21 挿入溝
21a 突出部
22 第2基部
23、24 近位部分
25、26 遠位部分
27、28 クランプ部材
29 水平軸
30 ループ又はフック
32 縫合糸
33 第2保定器
34 伸縮性の帯
40 横軸
42 長手方向軸
43 内視鏡の遠位端
44 基部による内部空間
45 胃
46 第1の体壁
48 第2の体壁
49 小孔
51 第2の小孔
52 空腸
60 内視鏡
62 内視鏡の付属チャネル
66 オーバーチューブ
70 医療システム
71 クランプによる内部空間
72 より大きな開口部
80 ソケット
82 円筒管
84 挿入孔
118 医療装置
119 中間部分
120、122 基部
123、124 近位部分
125、126 遠位部分
127、128 クランプ部材
D 内部空間の直径
L 基部間距離
T 基部の挿入溝の喉部