【課題を解決するための手段】
【0004】
この目的は、多層体であって、複数の不透明な及び/または反射性の第一のゾーンを有する第一の層を含み、第一のゾーンは一つまたは複数の透明な第二のゾーンにより互いにそれぞれ分離され、第一のゾーンが、100μm以下の最小寸法を有するマイクロイメージとして形成され、第一の空間方向における隣り合うマイクロイメージ間の距離が300μm以下のマイクロイメージ格子に従って配置され、マイクロイメージ格子が、座標軸x1とそれに直角の座標軸y1とを有する第一の座標系に広がり、透明な材料から成る第二の層を含み、第二の層が、第一の層の下に配置され、第二の層の下に配置される反射層を含み、第二の層が複数の第三のゾーンを有し、第三のゾーンそれぞれにおいて、マイクロ構造が、第二の層と反射層との間の第一の層から離れた境界面に転写され、第三のゾーンが反射層でカバーされ、各マイクロ構造が、第一の層により広がる平面に対して垂直に、第三のゾーンの各部分において第一の層の方向から入射する光を、各第三のゾーンの面積より少なくとも10倍小さい面積の第一の層の領域に反射及び/または回折するように作られ、マイクロ構造が、第二の空間方向における隣り合うマイクロ構造間の距離が300μm以下のマイクロ構造格子に従って配置され、このマイクロ構造格子が、座標軸x2とそれに直角の座標軸y2とを有する第二の座標系に広がり、多層体の第一の領域において、マイクロイメージ格子のマイクロイメージと、マイクロ格子構造のマイクロ構造とが、互いに固定位置で、重なり合う形態で配置され、隣り合う第三のゾーンの領域中心間の距離によって決まるマイクロ構造距離と、隣り合う第一のゾーンの領域中心間の距離によって決まるマイクロイメージ距離とが、第一の領域における少なくとも一つの第三の空間方向において、互いに最大10%異なる、多層体により達成される。さらに、この目的は、多層体であって、一つまたは複数の透明な第一のゾーンを有する第一の層を含み、第一のゾーンは一つまたは複数の透明な第二のゾーンにより互いにそれぞれ分離され、第一のゾーン及び第二のゾーンが、入射光に対して異なる透過作用を有し、特に異なる色であり、異なる透過率を有し、及び/または入射光を異なって屈折するように第一の層が作られ、透明な材料から成る第二の層を含み、該第二の層が、第一の層の下に配置され、第二の層の下に配置される反射層を含み、第二の層が複数の第三のゾーンを有し、第三のゾーンそれぞれにおいて、マイクロ構造が、第二の層と反射層との間の第一の層から離れた境界面に転写され、第三のゾーンが反射層でカバーされ、各マイクロ構造が、第一の層により広がる平面に対して垂直に、第三のゾーンの各部分において第一の層の方向から入射する光を、各第三のゾーンの面積より少なくとも10倍小さい面積の第一の層の領域に反射及び/または回折するように作られ、マイクロ構造が、隣り合うマイクロ構造間の距離が300μm以下のマイクロ構造格子に従って配置され、このマイクロ構造格子が、座標軸x2とそれに直角の座標軸y2とを有する第二の座標系に広がる、多層体により達成される。
【0005】
本発明は、新しい光学可変効果を有する多層体を提供する。本発明による多層体は、模造及び偽造に対して、非常に強い防護がなされるという点で優れている。従って、このセキュリティ・エレメントは、ホログラムコピー技術によっても、または、多層体の表面に存在する表面構造の機械的転写によっても、複製不可能である。
【0006】
上述した寸法の選択と、上述した特有のマイクロ構造の利用により、観察角度に依存して、異なる部分領域のマイクロイメージそれぞれが可視化され、マイクロ構造格子の上述した構造と、マイクロ構造格子とマイクロイメージ格子との相対配置により、観察者に対して隣り合うゾーンで生じる光学可変効果が融合し、その結果、二次元または三次元光学可変イメージ・インプレッションまたは高輝度の深度効果を有する光学可変イメージ・インプレッションが可視化されることが、意外にもわかっている。さらに、このような光学可変イメージ・インプレッションが、透明な第一及び第二ゾーンの上述した特有の構造によっても得られることが意外にもわかっている。
【0007】
マイクロ構造及びマイクロイメージの構造及び配向に関して、特に、以下の内容が有利であることがわかっている。
【0008】
実質的に水平に配向された、または、水平に広がりまたは配向された、マイクロ構造及び/またはマイクロイメージを備えたセキュリティ・エレメントを観察する場合、両眼が実質的に同じイメージを見るため、深度効果は生じず、実質的に垂直に配向された、または、垂直に広がりまたは配向された、マイクロ構造及びマイクロイメージを備えたセキュリティ・エレメントの場合、両眼がわずかに異なるイメージ・インプレッションをそれぞれ見るため、深度効果が生じ、人間の脳は、深度効果を有するイメージに合成する。マイクロ構造及びマイクロイメージの斜めの配向または軌道の場合、すなわち、水平と垂直との間の中間状態の場合は、部分的な深度効果が生じる。
【0009】
本発明のさらなる有利な構造は、従属項に示される。
【0010】
本発明の好ましい典型的な一実施形態によれば、第一の領域において、第一及び第二のゾーンの総面積において第一のゾーンにより占められる面積比率は、40%から2%、特に、20%から5%である。このことは、多層体の光学可変効果が、特にはっきりした態様で、高光度で示される、という利点をもたらすが、これは、第一及び第二のゾーンの総面積の面積充填係数が比較的低く、その結果、マイクロイメージを備える層が、最大可能透過率を有することによる。
【0011】
さらに、第一の領域において、第一のゾーンに占められる面積が、第三のゾーンに占められる面積よりも、少なくとも4倍、特に、10倍から20倍小さいことが有利である。さらに、第一のゾーンに占められる面積が、第三のゾーンに占められる面積よりも、最大50倍程度小さい場合が有利である。さらに、第一の領域において、第一のゾーンそれぞれに占められる面積が、割り当てられた第三のゾーンそれぞれに占められる面積よりも、各場合に、上述した倍数小さい場合が有利である。これらの尺度は、多層体により生じる光学可変効果は、特に高光度で、高いコントラストで、及び、はっきりした態様で、示される、という結果を同様に有する。
【0012】
第二の層の層厚は、5μmから150μmであり、及び/または、反射層は、第一の領域において、第一の層から、5μmから150μmの距離にあることが好ましい。この場合、第一の領域において、第一の層と反射層との間の平均距離は、15μmから75μmの間であることが好ましい。光学可変効果を生じる層の間のこのような距離の場合、光学可変効果の特にはっきりした観察角度依存性が得られることが、研究でわかっている。
【0013】
本発明の好ましい典型的な一実施形態によれば、マイクロ構造が、第一の層により広がる平面に対して垂直に、第三のゾーンの各部分において第一の層の方向から入射する光を、各第三のゾーンの面積より10から10,000倍の範囲で小さい面積の第一の層の領域に反射及び/または回折するように、マイクロ構造が各場合に具体化され、および/または、第二の層の層厚が選択される。光が反射及び/または回折する領域の幅または長さが、各第三のゾーンの幅または長さに実質的に一致する場合、上述した係数は、10から200の範囲から、さらに好ましくは、15から30の範囲から選択されることが好ましい。光が反射及び/または回折する領域の寸法が、2つの異なる方向、特に2つの互いに垂直な方向において、各第三のゾーンの対応方向における寸法に対して縮小される場合、上述した係数は、50から10,000の範囲から、好ましくは、150から2,500の範囲から選択されることが好ましい。該係数は、さらに、入射光が反射及び/または回折する面積が、それぞれ割り当てられた第一のゾーンの面積より、50倍小さいように選択されることが好ましい。特に、第二の層の層厚に関するマイクロ構造のこのようなデザインのおかげで、特に鮮明な輪郭と高光度とを有する光学可変効果が、本多層体により保証される。
【0014】
第三のゾーンは、ポリゴンの形態、特に、矩形の形態で形成されることが好ましい。しかしながら、第三のゾーンは、円形または楕円形の外径形状を有してもよい。第三のゾーンの三角形、四角形、または八角形の形状が特に有利であるが、これは、隣り合う第三のゾーン間の継ぎ目のない移行と、特に高光度の光学可変効果の実施形態とがその結果得られるためである。
【0015】
本発明の好ましい典型的な一実施形態によれば、マイクロ構造は、回折構造として具体化され、特に、300ライン/mm以上、さらに好ましくは1,000ライン/mm以上の空間周波数を有する回折構造として具体化される。
【0016】
マイクロ構造は、回折性または屈折性のマイクロ構造として具体化される。特に、100ライン/mmから4,000ライン/mmの範囲のライン数の線形または交差格子が、この場合に含まれてもよい。さらに、等方性または異方性のマット構造、キノフォーム構造、ブレーズ格子または前述した構造の組み合わせが含まれてもよい。さらに、回折性または屈折性の自由形態エレメントが含まれてもよく、これらは、特に、凹面鏡として具体化され、光学的な拡大、縮小または変形効果を生じる。外径形状は、半円筒形、半球形、台形、または三角形であってもよい。
【0017】
この場合、第三のゾーンに入射する光が、第三のゾーンの異なる部分において異なって回折され、それ故、既に上述したように、第一の層上の構造により回折される光が、各第三のゾーンの面積より少なくとも10倍小さい面積を占めるように、マイクロ構造のレリーフ形状及び空間周波数が、各第三のゾーンの領域内で異なって選択される。
【0018】
マイクロ構造により光が回折される領域は、各第三のゾーンの形状を有し、該領域の領域中心は、各第三のゾーンの領域中心と一致することが好ましい。しかしながら、該領域の形状が、各第三のゾーンの形状と異なり、その領域と各第三のゾーンの領域中心とは一致しなくてもよい。
【0019】
マイクロ構造は、例えば、上述した回折特性を有する、キノフォームとして具体化されてもよい。本発明のさらなる好ましい典型的な一実施形態によれば、マイクロ構造の空間周波数、及び/または、マイクロ構造の側面の側面傾斜は、入射光の回折の結果として上述した効果を得るために、第三のゾーン部分で変化し、該回折は、位置に依存して異なる。従って、例として、マイクロ構造の空間周波数は、各第三のゾーンの領域中心部分で0ライン/mmから10ライン/mmの周波数を有し、マイクロ構造の空間周波数が、領域中心から進む少なくとも一つの空間方向において増加する、例えば、線形または二次的に増加するように、選択される。さらに、一方向における領域中心部分のマイクロ構造は、変調されない、すなわち、空間周波数を有さず、または、変調され、0.05ライン/mmから10ライン/mmの空間周波数を有してもよい。
【0020】
さらに、例として、各第三のゾーンの領域中心に対して配向されるマイクロ構造の構造エレメントの側面の側面傾斜が、領域中心から進む少なくとも一つの空間方向において増加する、すなわち、該側面が第三のゾーンのエッジ領域において特に険しく、第三のゾーンの中心領域において特に緩やかであってもよい。これらの基準は、互いに組み合わされてもよく、側面傾斜/空間周波数の最小値は、領域中心にはなく、第三のゾーンのエッジ領域にあってもよい。
【0021】
例として、用いられるマイクロ構造は、以下の1Dフェーズ関数により規定される構造であってもよい。
【数1】
Ph:位相関数
wl:設計波長
fl:焦点長
x:空間座標
【0022】
ライン数の分布は、空間座標に対する回折による位相関数から得られる。
【0023】
さらに、マイクロ構造は、実質的に三角形の構造エレメントを有するブレーズ格子であってもよい。この場合、第三のゾーンの第一の領域と第三のゾーンの第二の領域とにおいて、ブレーズ格子の構造エレメントが互いに180°回転して、すなわち、構造エレメントの傾斜領域が互いに対向するように配置されることが有利に提案される。この場合、第一のゾーンは、各第三のゾーンの領域中心を通過する分離線により、略同じ大きさの2つの部分的領域に分割され、一方の部分的領域と他方の部分的領域とにおいて、構造エレメントが互いに180°回転するように配置されることが好ましい。さらに、ブレーズ格子のアジマス角度が、連続的に変化してもよい。従って、各第三のゾーンの領域中心から進むに従い、全空間方向において一定の空間周波数を有し、構造エレメントが、各場合に、多層体により広がる領域において、環状形態を有するような、ブレーズ格子が例えば用いられてもよい。
【0024】
さらに、マイクロ構造は、実質的に反射の作用をする構造であってもよい。各第三のゾーンの位置に依存して異なるマイクロ構造の所望の反射特性を得るために、マイクロ構造は、この場合、マイクロ構造の局所的な構造深度、すなわち、複製ラッカー層の局所的な層厚が、マイクロ構造の転写後に、各第三のゾーンの領域中心から進む少なくとも一つの空間方向において好ましくは減少するように形成されることが好ましい。例として、マイクロ構造の構造深度は、この場合、以下のように選択される。
【数2】
H:構造深度
R:湾曲半径
X:空間座標
【0025】
この場合、関数H(x)は、各第三のゾーンにおける構造深度、すなわち、第二の層に転写されたマイクロ構造の周期を表す。
【0026】
本発明のさらなる好ましい一実施形態によれば、マイクロ構造は、粗構造と微細構造との重ね合わせから成ってもよい。粗構造は、実質的に屈折作用を有する上述した構造から選択されることが好ましく、従って、例えば凹面鏡、半円筒形、台形または三角形の形態で形成され得る。微細構造は、好ましくは1,000ライン/mmから3,600ライン/mmの間の空間周波数を有する、回折構造により形成されることが好ましい。この場合、マイクロ構造は、粗構造が異なる微細構造により重ね合わされる、2つ以上の部分領域を有することが好ましい。従って、例として、上述した粗構造の隣り合う側面は、異なる光学可変情報を生じる異なる回折構造、例えば、異なるホログラムを発生する回折構造でカバーされる。
【0027】
本発明の好ましい典型的な一実施形態によれば、第一の領域における各第三のゾーンは、反射層が提供されない一つまたは複数の第四のゾーンにより囲まれている。このことは、多層体に、透過で作用するさらなるセキュリティ特性を提供可能とする。この目的のために、多層体は、第四のゾーン部分で、透明な状態で具体化されることが好ましい。第四のゾーンの対応する選択により、多層体の光学可変効果が、反射光での観察時だけでなく、透過光での観察時にも可視化されることがさらに可能となる。この場合、多層体の下面から第四のゾーン部分に入射する光を散乱し、及び/または、光を第三のゾーンの方向へ偏向する、さらなるマイクロ構造を、第四のゾーン部分に提供することがさらに有利である。
【0028】
さらに、反射層は、第三のゾーン及び/または第四のゾーンにおいて、透明な反射層として具体化されてもよい。この目的のために、反射層は、例えば、透明な金属層、または、マイクロ構造化された金属層、あるいは、高屈折率を有する誘電層から成ってもよく、例えば、HRI(HRI=高屈折率)層として作られてもよい。この透明または半透明の反射層のパラメータの適切な選択により、実質的に同じ光学特性が、透過及び反射の双方で観察可能となる。
【0029】
本発明の好ましい典型的な一実施形態によれば、既に上述した第一の層は、一つまたは複数の透明な第一のゾーンを有し、それらは、一つまたは複数の透明な第二のゾーンにより、それぞれ互いに分離されている。従って、第一および第二のゾーンは、透明な状態で具体化される。本文脈における透明とは、第一の層が、人間の眼に知覚可能な光の帯域において50%以上の透過率を有し、好ましくはこの波長帯域で80%以上の透明性を有することを意味する。不透明は、上述した波長帯域に関して、50%以下、好ましくは90%以下の透過率を意味するものと理解されたい。既に上述したように、本発明の典型的な本実施形態では、透明な第一及び第二のゾーンは、入射光に対して異なる透過作用を有する。この場合、第一のゾーンと第二のゾーンとが異なって着色され、例えば、第一のゾーンが主要色で着色され、従って透過光で観察された場合に該主要色の色を示し、第二のゾーンが透明または異なる色、好ましくは、コントラスト色で着色され、従って透過光で対応するコントラスト色または無色を示し、すなわち、色のフィルター効果により、入射光の波長スペクトルを変化させ、または変化させない場合が、特に有利である。
【0030】
さらに、第一及び第二のゾーンは、可視光の波長帯域において、異なる透過率を有してもよい。この場合、透過率の差は、少なくとも5%、さらに好ましくは少なくとも10%であることが好ましい。
【0031】
さらに、第一のゾーンと第二のゾーンとが、入射光を異なって偏向する、例えば、入射光が第一のゾーンで偏向され、第二のゾーンでは偏向されない場合が好ましい。
【0032】
本発明の好ましい典型的な一実施形態によれば、本目的のために、第一の層において、入射光を偏向する回折性または屈折性の各第一の構造が、一つまたは複数の第一のゾーンに提供され、一つまたは複数の第二の層においては、そのような構造が提供されず、または、入射光を偏向し、第一の構造とは異なる、回折性または屈折性の第二の構造が提供される。これらの構造は、第一の層または第一の層の部分層の表面に転写され、好ましくは第一の層と多層体の上面との間、すなわち、第一の層と空気との間の境界面に転写される構造であることが好ましい。さらに、これらの構造は、第一の層または第一の層の部分層の下面に転写され、または、0.2以上の屈折率の差を有する第一の層の2つの透明な層の間に転写されてもよい。さらに、これらの構造は、体積ホログラム層に書き込まれる体積ホログラムにより形成されてもよい。
【0033】
一つまたは複数の第一のゾーンは、各場合に、イメージ、特に絵表示の形態、数及び/または文字またはモチーフの形態で形成されることが好ましい。さらに、一つまたは複数の第一のゾーンは、各場合に、第一のゾーンから成る全体イメージの部分イメージを形成してもよい。
【0034】
回折構造としての構造の形状において、第一のゾーンにおける構造の空間周波数は、構造の空間周波数が、各第一のゾーンの領域中心部分で最小であり、マイクロ構造の空間周波数が、領域中心から進む少なくとも一つの空間方向において増加するように選択されることが好ましい。空間周波数は、領域中心から進む全空間方向において、領域中心からの距離Rに依存して増加することが好ましい。この場合、空間周波数は、関数f(R)で表される、すなわち、構造の空間周波数は、領域中心からの距離で決定されることが好ましい。この場合、空間周波数は、100ライン/mmから3,600ライン/mmの間であるように選択されることが好ましい。
【0035】
さらに、各第一の
ゾーンの領域中心に対して配向される構造の構造エレメントの側面の側面傾斜が、領域中心から進む少なくとも一つの空間方向において増加することが価値あることがわかっている。
【0036】
第一の構造が、実質的に回折作用を有する構造として設計される場合、構造の構造深度が、各第一のゾーンの領域中心部分で最小または最大であり、各第一のゾーンの領域中心から進む少なくとも一つの空間方向において増加または減少するように、構造が具体化されることが好ましい。この場合、構造は、構造深度を表す関数が連続的で微分可能であるように形成されることが好ましい。しかしながら、該構造は、例えば、三角形または台形の形状で具体化されてもよい。
【0037】
領域中心から進む全空間方向において、領域中心からの距離Rに依存して、構造深度が増加または減少することにより、さらなる利点が得られる。従って、構造深度Tは、関数f(R)で決定されることが好ましく、ここでRは、各第一のゾーンの領域中心からの距離である。
【0038】
異なる透過作用を有する透明なゾーンとしての一つまたは複数の第一のゾーンの上述した実施形態では、本発明の典型的な一実施形態は、一つまたは複数の第一のゾーンに、300μm以上の最小寸法を有し、特に3mm以上の幅及び/または高さを有するようにする。従って、一つまたは複数の第一のゾーンは、観察者により解像可能な大きさを有する。ここで、第一及び第二のゾーンによる入射光の異なる透過と、第三のゾーンにおける上述した偏向と、第一の層の第一および第二のゾーンの通過中に反射された光の対応する影響とにより、絵的な、光学可変表現の発生が達成される。
【0039】
さらに、本発明の好ましい典型的な一実施形態によれば、第一のゾーンが、100μm以下の最小寸法を有するマイクロイメージとして形成され、隣り合うマイクロイメージ間の距離が300μm以下のマイクロイメージ格子に従って配置され、その結果、マイクロイメージ格子が、座標軸x1とそれに直角の座標軸y1とを有する第一の座標系に広がり、多層体の第一の領域において、マイクロイメージ格子のマイクロイメージとマイクロ構造格子のマイクロ構造とが、互いに固定位置で、重なり合う形態で配置され、隣り合う第三のゾーンの領域中心間の距離によって決まるマイクロ構造距離と、隣り合う第一のゾーンの領域中心間の距離によって決まるマイクロイメージ距離とが、第一の領域における少なくとも一つの空間方向において、互いに最大10%異なってもよい。
【0040】
本発明のさらなる好ましい典型的な一実施形態によれば、第一の層は、複数の不透明な及び/または反射性の第一のゾーンを有し、それらが一つまたは複数の透明な第二のゾーンで互いに分離されるように具体化される。この場合、第一の層が金属層により形成され、金属層の金属が第一のゾーンには提供され、第二のゾーンには提供されない場合が得策であることがわかっている。
【0041】
本発明の好ましい典型的な一実施形態によれば、第一の回折性表面構造が、第一のゾーンにおける第一の層の、第二の層に対向して配向される、下方の境界面に転写される。第一の回折性表面構造は、例えば、ホログラムまたはキネグラム(登録商標)であり、それらは、例えば、観察角度に依存して、異なるモチーフまたはモーション・エフェクト効果を示す。さらに、回折性表面構造は、0次回折構造、単純な回折格子、またはマット構造であってもよい。このような構造は、本発明の多層体によりもたらされる光学可変効果と、第一の回折性表面構造によりもたらされる光学可変効果との重ね合わせにより得られる、興味深い光学可変効果の発生を可能にする。この場合、複製及び模造に対するさらなる防御が、第一の回折性表面構造が第二の層に対向し、その結果、その光学効果が、マイクロ構造を介する間接的に限った観察に対してもたらされることにより得られ、このことは、第一の回折性表面構造の複製をたいへん困難にする。
【0042】
この場合、第一の回折性表面構造が転写される第一のゾーン部分の、第二の層から離れて対向する側に、カバー層が備えられ、該カバー層が、第一の回折性表面構造の光学可変効果が多層体の上面側から直接観察されることを防ぐ場合が、さらに有利である。
【0043】
本発明のさらなる好ましい典型的な一実施形態によれば、第一の回折性表面構造とは異なる第二の回折性表面構造が、第二のゾーンに転写される。透過で作用するこの表面構造は、特有の角度位置での入射光を第三のゾーンに偏向し、または、本発明の多層体により生じる光学可変効果に対する背景として機能する光学可変効果を生じる、表面構造であることが好ましい。
【0044】
第一の層は、例えば、金属層、異なる金属の層、印刷インクから成る層、着色されたフォトレジスト層(正/負フォトレジスト)、薄膜系、またはこれらの層の組み合わせから成り得る。この場合、金属層は、アルミニウム、銀、銅、金、クロムまたはこれらの金属を含む合金から成ることが好ましい。
【0045】
本発明の好ましい典型的な一実施形態によれば、第一の層が、上下に配置された2つ以上の部分層から成る。該部分層は、特に、金属層、HRI層(HRI=高屈折率)、複製ラッカー層、及びカラー層のグループから選択される。従って、例えば、第一の層は、カラーラッカー層と、転写された第一の回折性表面構造を有する複製ラッカー層と、第一のゾーンには提供され第二のゾーンには提供されない金属層との配列から成ってもよい。
【0046】
第三の回折性表面構造は、第一のゾーンにおいて、第二の層から離れて対向する第一の層または第一の層の部分層の表面に転写されることが好ましい。第二の層は、第三の回折性表面構造の光学効果が、第一の層の上面に入射する光のみで作用し、第一の層の下面に入射する光では作用しないように作られることがさらに好ましい。このことは、例えば、カバー層、特に、回折性の表面構造の下方に提供される金属層により、または、第一の層の上方及び下方の境界面に転写される異なる表面構造、例えば、上方の境界面に転写される第三の表面構造と、第一の層と隣り合う層との間の下方の境界面に転写される第一の表面構造とにより、達成可能である。
【0047】
多層体のこのような構造は、さらなる興味深い光学可変効果の達成を可能とし、例として、第三の回折性表面構造により生じる光学可変効果は、本発明の多層体により生じる新しい光学可変効果に対する背景として機能する。
【0048】
また、新しい光学可変効果のコントラスト強度が、第三の表面構造の特有の形状によりさらに改善され得ることを、研究が意外にも示している。選択された第三の表面構造が、構造エレメントの深度対幅比率が0.5以上であり、2,000ライン/mm以上の空間周波数を有する表面構造、例えば交差格子構造である場合、コントラストの改善が達成され得る。
【0049】
さらに、第四の層が、第一の層と第二の層との間に提供され、それが半透明または着色されていることが得策であることがわかっている。この場合、透光性または着色は、部分的にのみ、すなわち、層の部分的な領域部分にのみ成されてもよい。
【0050】
マイクロ構造がカバーされる反射層は、不透明な反射層、例えば金属層から成ることが好ましい。しかしながら、反射層は、透明な反射層により、例えば、誘電層、例えばHRI層(HRI=高屈折率)、非常に薄く、従って透明な金属層、またはマイクロ構造化された金属層により、形成されてもよい。さらに、反射層が、第四のゾーンに提供されず、または、第二の層が、反射層が異なる反射または透過特性を有する領域を有してもよい。従って、例えば、第二の層は、透明な反射層と、部分的に不透明な反射層により、領域的にカバーされてもよい。この場合、透明な反射層による領域のカバー率は、少なくとも領域の20%が不透明な反射層でカバーされるように、選択される必要がある。
【0051】
しかしながら、生じる光学可変効果の下で、反射層の下に配置される層、例えば対象基質上に適用された刻印の、光学可変効果を可視化するために、第二の層全体が、透明な反射層でカバーされてもよい。
【0052】
ここで、層は、1%以下の透過率を有する場合に、不透明であると考えられる。層は、少なくとも50%の透過率を有する場合に、透明であると考えられる。この場合、透過率指標は、観察者に見える波長帯域に関連することが好ましい。
【0053】
本発明の好ましい典型的な一実施形態によれば、座標軸y1と座標軸y2、及び、座標軸x1と座標軸x2が、第一の領域において、それぞれ互いに平行に配向される。この場合、互いに平行に配置される、とは、第一と第二の層が、製造誤差の範囲内で、座標軸y1とy2、及び、座標軸x1とx2が、製造誤差の範囲内で、それぞれ互いに平行であるように、互いに配向されることを意味する。さらに、第一の領域において、少なくとも一つの座標軸の方向における、隣り合うマイクロ構造間のマイクロ構造距離と、隣り合うマイクロイメージ間のマイクロイメージ距離とが、マイクロ構造距離とマイクロイメージ距離とが互いに0.5から10%異なるように、選択される。
【0054】
さらに、座標軸y1と座標軸y2、及び、座標軸x1と座標軸x2は、第一の領域において、それぞれ0.01°から5°の角度を成してもよい。この場合、隣り合うマイクロ構造間のマイクロ構造距離と、隣り合うマイクロイメージ間のマイクロイメージ距離とは、同一に選択されることが好ましい。さらに、マイクロ構造距離とマイクロイメージ距離とは、異なって、特に、上述した範囲で選択されてもよい。
【0055】
多層体のこのような構造では、多層体が傾けられる場合、興味深いモーション・エフェクト効果が得られる。
【0056】
第一及び第二の空間方向は、座標軸x1またはy1、及び、x2またはy2の方向と一致することが好ましい。
【0057】
マイクロイメージ格子及び/またはマイクロ構造格子は、第一の領域において、一次元格子として具体化される、すなわち、マイクロイメージ及び/またはマイクロ構造は、一つの空間方向、第一または第二の空間方向のみにおいて互いに連続してもよい。しかしながら、マイクロイメージ格子及び/またはマイクロ構造格子は、第一の領域において、二次元格子を形成してもよく、すなわち、マイクロイメージ及び/またはマイクロ構造は、2つの空間方向で連続し、従って、マイクロイメージ及び/またはマイクロ構造は、例えば、座標軸y1またはy2の方向において、及び、座標軸x1またはx2の方向において、連続してもよい。
【0058】
本発明の一実施形態によれば、マイクロイメージ格子及び/またはマイクロ構造格子の格子ピッチが、第一の領域において、一定であるように選択され、すなわち、マイクロイメージ距離が、座標軸x1の方向において、一定値r1を有し、マイクロイメージ距離が、座標軸y1の方向において、一定値r2(ただし値r1とは異なってもよい)を有し、及び/または、マイクロ構造距離が、座標軸x2の方向において、一定値r3を有し、マイクロ構造距離が、座標軸y2の方向において、一定値r4(ただし値r3とは異なってもよい)を有する。
【0059】
マイクロイメージ格子及び/またはマイクロ構造格子の格子ピッチが、第一の領域における少なくとも一つの空間方向において変化する、例えば連続的に変化することで、複雑なモーション・エフェクト効果が得られる。従って、例として、マイクロイメージ及び/またはマイクロ構造の格子ピッチが、第一の領域における座標軸y1及び/またはy2の方向において一定であり、マイクロイメージ及び/またはマイクロ構造の格子ピッチが、座標軸x1及び/またはx2の方向において、関数F(x, y)に従い、座標軸y1及び/またはy2により決定される座標y、及び/または、座標軸x1及び/またはx2により決定される座標xに依存して、変化する、多層体の構造において、特に興味深いモーション・エフェクト効果が観察された。
【0060】
本発明のさらなる好ましい一実施形態によれば、マイクロイメージの縦方向軸が、変形関数により、マイクロイメージの横方向軸に対して、拡張され、好ましくは10倍以上拡張される。このような変形されたマイクロイメージは、300μm以下の幅と、300μm以上の長さ、特に、2mmから100mmの間の長さとを有する、第三のゾーンと組み合わせて用いられることが好ましい。
【0061】
このような多層体は、観察時に示される光学可変情報が、第一のゾーンのデザインと大きく異なり、従って、多層体により生じる光学可変効果の模造をより困難にしている点で優れている。
【0062】
マイクロイメージ格子のマイクロイメージは、第一の領域において、同じマイクロイメージにより形成されてもよい。第一の領域におけるマイクロイメージ格子のマイクロイメージが、基本イメージの回転、及び/または、拡大、または、縮小と、随意で続く変形と、を含む、変換関数に従う基本イメージの幾何学的な変形により形成されたマイクロイメージによって形成されることにより、多層体を傾けた場合に、複雑な動き、拡大、及び縮小効果を発生することができる。さらに、また、第一の基本イメージを、幾何学的な変形により、所定の移動経路を介して、第二の基本イメージへ移行し、隣り合う各マイクロイメージが、例えば、選択された幾何学的な変形により、わずかに異なってもよい。
【0063】
第一の領域におけるマイクロ構造格子のマイクロ構造は、同じマイクロ構造で形成されることが好ましい。しかしながら、多層体を傾けた場合に、複雑な動き、拡大、及び縮小効果を得るために、マイクロ構造格子の少なくとも2つのマイクロ構造が、第一の領域において互いに異なってもよい。この場合、第三のゾーンの各部分において第一の層の方向から入射する光が反射及び/または回折する第一の層の領域が、変形関数に従い、x2及び/またはy2座標軸上の座標に依存して、その面積、幅、及び/または長さに関して変化する場合が特に有利である。
【0064】
この場合、最大値が300μm以上の最大距離で、区間で連続的であり微分可能な関数が、変形関数として選択されることが好ましい。
【0065】
本発明の好ましい典型的な一実施形態によれば、第一及び/または第二の座標系が、円または波線形状の座標軸を有する座標系により形成される。その結果、多層体により生じる光学可変効果の偽造または模造は、より困難となる。
【0066】
第一の領域は、300μm以上の最小領域寸法を有し、特に、3mm以上の最小領域寸法を有することが得策であることがわかっている。
【0067】
本発明のさらなる好ましい典型的な一実施形態によれば、多層体は、第一の領域と平行に配置される第二の領域を有し、該第二の領域が以下のように具体化される。第二の領域において、マイクロイメージ格子のマイクロイメージと、マイクロ構造のマイクロ構造格子とが、互いに固定位置で同様に配置され、隣り合う第三のゾーンの領域中心間の距離によって決まるマイクロ構造距離と、隣り合う第一のゾーンの領域中心間の距離によって決まるマイクロイメージ距離とが、第二の領域における少なくとも一つの第三の空間方向において、互いに最大10%異なる。さらに、第二の領域におけるマイクロイメージ格子及び/またはマイクロ構造格子が、第一の領域におけるマイクロイメージ格子及び/またはマイクロ構造格子に対して、マイクロイメージ距離、マイクロ構造距離、x1、x2、y1、y2座標軸の配向、及びマイクロイメージの変形のグループから選択される一つ以上のパラメータに関して、異なる。その結果達成されることは、第一及び第二の領域において、光学可変効果が異なって生じ、その結果、多層体により、特に特徴的で容易に覚えられるセキュリティ特性が提供される。多層体は、第二の層に平行に、第一及び第二の領域のように具体化されるが、マイクロイメージ格子及び/またはマイクロ構造格子の上述したパラメータの一つにおいて、第一及び第二の領域のマイクロイメージ格子及び/またはマイクロ構造格子と異なる、さらなる領域を有してもよい。
【0068】
この場合、第一、第二、及びさらなる領域は、特有のさらなる情報を観察者に与える、それぞれ特有の形状、例えば、シンボルまたは数列の形態の形状を有してもよい。第二の領域及び更なる領域の構造に関しては、第一の領域の構造に関する上述説明を参照されたい。
【0069】
(マイクロイメージ距離
−マイクロ構造距離
)の計算値が、第一の領域において正
の値であり、第二の領域において負
の値であることにより、特に興味深い、反転モーション・エフェクトが得られる。このようなモーション・エフェクトは、静的な基準エレメントが、モーション・エフェクトを備える領域部分の隣に存在する場合に有利である。これらの静的なエレメントは、モーション・エフェクトがよく見えるように、相対的な光学基準点、または、眼に対する固定点として機能することができる。このような静的なエレメントは、隣り合うエッジ、静的なプリント、またはモーション・エフェクトを生じない光学可変効果、むしろ例えば、カラー変化効果であってもよい。
【0070】
マイクロイメージ格子のマイクロイメージが、第一の領域及び第二の領域において、互いに異なることにより、または、特に部分的な領域部分において、マイクロイメージ格子及び/またはマイクロ構造格子が、座標軸の一つに関して、互いに
位置的なずれを有することにより、さらなる興味深い光学効果が得られる。第一の領域におけるマイクロ構造格子のマイクロ構造が、第二の領域におけるマイクロ構造格子のマイクロ構造と異なり、特に、第三のゾーンの各部分において第一の層の方向から入射する光が反射及び/または回折される第一の層の領域が、その面積、幅、及び/または長さに関して異なることにより、さらなる興味深い光学効果が得られる。
【0071】
マイクロイメージ格子のマイクロイメージにおける異なる部分的なイメージ情報が、互いに組み合わされる、すなわち、互いに交互配置され、または、マイクロイメージ格子内の各部分的なイメージ情報が規則的に繰り返され、特に、マイクロ構造の格子配向及び格子幅に対する格子配向及び格子幅が、結果として得られる視覚効果のタイプを決定するように配置されることにより、さらなる興味深い光学効果が得られる。これらのパラメータ(異なる部分的なイメージ情報の数、異なる部分的なイメージ情報のイメージ内容、マイクロ構造格子に対する部分的なイメージ情報の相対的な方向、マイクロ構造格子の格子幅に対する異なる部分的なイメージ情報の格子幅)を変更することにより、例えば、重ね合わせ、特に反転、モーション・エフェクト効果、イメージ反転(あるイメージから他のイメージへの変形効果)、イメージ・モーフィング(中間イメージを用いたあるイメージから他のイメージへの変形効果)等の、異なる視覚効果を生じることができる。
【0072】
2つ以上の第一及び第二の領域が、互いに平行に、交互に配置されていることが好ましい。
【0073】
好ましい典型的な一実施形態によれば、多層体は、セキュリティまたは有価ドキュメント、特に紙幣または身分証明書類または商品保護ラベルであり、従って、さらに、また、キャリア基質を有する。従って、キャリア基質は、例えば、紙幣の紙基質により形成されている。
【0074】
多層体のこのような実施形態では、第一及び第二の層を、キャリア基質の反対側に配置することが特に有利であることがわかっている。本発明の好ましい典型的な一実施形態によれば、従って、例えば転写フィルム、特に熱エンボス加工フィルムの転写層として第一の層を含むボディが、例えば、透明なキャリア基質、例えば、ポリマー紙幣またはID書類のキャリア基質の第一の面に適用されてもよい。第二の層及び反射層を含むボディが、転写フィルムにより、例えば、キャリア基質の反対側の第二の面に同様に適用される。さらに、第二の層及び反射層または第一の層を含むボディが、キャリアフィルム及び第一の層または第二の層及び反射層を含むラミネートに適用され、特に転写フィルムの転写層として適用されてもよい。さらに、また、第二の層または第一の層が、特に、表面レリーフを作るための、機械的に作用するエンボス加工ローラーまたはエンボス加工転写により、キャリアフィルム及び第一の層または第二の層及び反射層を含むラミネートに、ラミネートの表面に直接転写されてもよい。また、表面レリーフは、他の作用、例えばレーザー・アブレーションにより、直接形成されてもよい。このことは、キャリア基質の無視できない層厚が、第一の層と反射層との間の距離を増加し、その結果、多層体により生じる光学可変効果の光学的な外観が、上述したように、さらに改善可能である、という効果を有する。
【0075】
この場合、キャリア基質は、透明な窓を有し、これが多層体の第一の領域、第二の領域、及び/またはさらなる領域に対して少なくとも部分的に重ね合って配置されることが好ましい。
【0076】
しかしながら、また、多層体は、さらに、転写フィルムまたは積層フィルムとして具体化され、この形態で、例えば、セキュリティまたは有価ドキュメントの基質に適用されてもよい。
【0077】
本発明は、多数の典型的な実施形態に基づく以下の例により、添付図面を用いて説明される。