(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5674784
(24)【登録日】2015年1月9日
(45)【発行日】2015年2月25日
(54)【発明の名称】使用位置から格納位置へと背もたれを移動させる自動車座席及び方法
(51)【国際特許分類】
B60N 2/30 20060101AFI20150205BHJP
B60N 2/64 20060101ALI20150205BHJP
B60N 2/68 20060101ALI20150205BHJP
【FI】
B60N2/30
B60N2/64
B60N2/68
【請求項の数】14
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2012-523231(P2012-523231)
(86)(22)【出願日】2010年7月30日
(65)【公表番号】特表2013-500896(P2013-500896A)
(43)【公表日】2013年1月10日
(86)【国際出願番号】EP2010004667
(87)【国際公開番号】WO2011015315
(87)【国際公開日】20110210
【審査請求日】2012年3月27日
(31)【優先権主張番号】102009036138.3
(32)【優先日】2009年8月5日
(33)【優先権主張国】DE
(31)【優先権主張番号】102010023765.5
(32)【優先日】2010年6月15日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】502156098
【氏名又は名称】ジョンソン・コントロールズ・ゲー・エム・ベー・ハー
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100095500
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 正和
(74)【代理人】
【識別番号】100111235
【弁理士】
【氏名又は名称】原 裕子
(72)【発明者】
【氏名】ファール、 ミヒャエル
(72)【発明者】
【氏名】エーヴァルト、 トビアス
【審査官】
佐々木 一浩
(56)【参考文献】
【文献】
米国特許第06464299(US,B1)
【文献】
特開2003−040004(JP,A)
【文献】
仏国特許出願公開第02899161(FR,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60N 2/20−2/235
2/30
B60N 2/64
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基部(4)に対して第1及び第2の構成要素(1,6)を転移させる方法であって、
前記第1及び第2の構成要素(1,6)は、いずれの場合も、第1の固定手段(VL)によって少なくとも1つの位置に固定される第1の回転手段(GL)によって互いに接続され、且つ
前記第2の構成要素(6)及び前記基部(4)は、いずれの場合も、第2の固定手段(VU)によって少なくとも1つの位置に固定される第2の回転手段(GU)によって互いに接続される方法において、
前記第1の構成要素(1)を前記第2の構成要素(6)に対して特定の角度(α)以上回転させることによって前記第1の回転手段(GL)が固定されると前記第2の回転手段(GU)が解除されるように、前記第1の固定手段(VL)及び前記第2の固定手段(VU)を動作可能に接続する滑動手段(5)によって滑動される解放手段(30)を前記第1の固定手段(VL)及び前記第2の固定手段(VU)の間で誘導することを特徴とする方法。
【請求項2】
第1の位置において、前記第1の構成要素(1)は、前記第2の構成要素に対して、所定の角度(α)によって転移され、且つ
前記第2の構成要素は、前記基部に対して、第1の位置において固定されたままであることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第1の構成要素(1)を特定の角度(α)を超えて回転させると、前記第2の回転手段(GU)が自動的に解除され、及び/又は前記第1の構成要素(1)が前記第2の構成要素(6)に設けられる止め具と接触することを特徴とする、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記第2の構成要素(6)と前記基部(4)との間の相対移動によって、前記第1の構成要素(1)の前記第1の固定手段(VL)が自動的に固定可能位置に動かされることを特徴とする、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記第1の構成要素(1)の前記第1の固定手段と同時に、前記第2の構成要素(6)の前記第2の固定手段(VU)も自動的に第2の固定可能位置に動かされることを特徴とする、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記第1の構成要素(1)がその終了位置に到達した後で、前記第1及び第2の構成要素(1,6)は、それぞれの位置で自動的に固定されることを特徴とする、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記固定は、ラッチ手段によって行われることを特徴とする、請求項1〜6の何れか1項に記載の方法。
【請求項8】
前記ラッチ手段はラッチ爪であることを特徴とする、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記第2の構成要素(6)は、手動又は電動式で解除されることを特徴とする、請求項6〜8の何れか1項に記載の方法。
【請求項10】
前記第1の構成要素(1)の前記固定は、互いに対する前記第2の構成要素(6)及び前記基部(4)の移動によって自動的に行われることを特徴とする、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
互いに対する前記第1の構成要素(1)及び前記第2の構成要素(6)の移動によって、及び/又は前記基部(4)に対する前記第2の構成要素(6)の移動によって、前記第1の構成要素(1)は、自動的に短縮又は伸張されることを特徴とする、請求項1〜10の何れか1項に記載の方法。
【請求項12】
背もたれが、前記第1の構成要素(1)として設けられ、且つ車両座席の座部が、前記基部(4)として設けられることを特徴とする、請求項1〜11の何れか1項に記載の方法。
【請求項13】
背もたれ(1)、中間部(6)及び基部(4)を備える車両座席であって、
前記背もたれ(1)及び前記中間部(6)は、いずれの場合も、第1の回転手段(GL)によって互いに接続され、且つ前記中間部(6)及び前記基部(4)は、いずれの場合も、第2の回転手段(GU)によって互いに接続され、第1の回転手段(GL)は第1の固定手段(VL)によって少なくとも1つの位置に固定され、第2の回転手段(GU)は第2の固定手段(VU)によって少なくとも1つの位置に固定されることが可能である車両座席において、
前記背もたれ(1)を前記中間部(6)に対して特定の角度(α)以上回転させることによって前記第1の回転手段(GL)が固定されると前記第2の回転手段(GU)が解除されるように、前記第1の固定手段(VL)と前記第2の固定手段(VU)の間で滑動する解放手段(30)を誘導する滑動手段(5)によって前記第1の固定手段(VL)及び前記第2の固定手段(VU)は動作可能に接続されることを特徴とする車両座席。
【請求項14】
前記滑動手段(5)は、純粋に並進的に移動されることを特徴とする、請求項13に記載の車両座席。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車座席、特に、自動車の後部座席列における後部座席に関する。本発明は、基部に対して第1及び第2の構成要素を転移させる方法に更に関し、第1及び第2の構成要素は、いずれの場合も、第1の回転手段及び第2の構成要素によって互いに接続され、基部は、いずれの場合も、第2の回転手段によって互いに接続される。
【背景技術】
【0002】
追加の格納空間を得るために折り畳まれるように設計される自動車座席は、多くの設計で市場において現在入手可能である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明の目的は、背もたれを使用位置から格納位置へと折り畳むための方法、及び車両座席が単純な設計からなり且つ使用者の側で実質的な前知識なしで操作可能であって、折り畳まれた状態でより小さな空間の要件を有する新規な折り畳み可能車両座席を提案することである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、基部に対して第1及び第2の構成要素を転移させる方法によって達成される。ここで、第1及び第2の構成要素は、いずれの場合も、第1の回転手段及び第2の構成要素によって互いに接続され、基部は、いずれの場合も、第2の回転手段によって互いに接続される。また、第1及び第2の回転手段は、第2の構成要素に対する第1の構成要素及び/又は基部に対する第2の構成要素の少なくとも1つの位置によって自動的に固定及び解除される。
【0005】
本発明による方法は、例えば、当業者には周知の好ましくは所謂エントリ位置を介して背もたれが座部に対して実質的に垂直に提供される使用位置から、背もたれが座部に対して実質的に平行に提供される格納位置へと、座部、基部に対して、背もたれ、第1の構成要素を転移させることに関する。
【0006】
第1の構成要素、例えば、背もたれと、基部、例えば、座部との間で、第1の構成要素及び基部の双方に可動的に、特に回転可能に接続される第2の構成要素が提供される。この目的のため、好ましくは互いに対して平行に配置される第1及び第2の回転手段、特に枢動ピンが提供される。
【0007】
本発明によれば、次に、第1及び第2の回転手段が、第2の構成要素に対する第1の構成要素及び/又は基部に対する第2の構成要素の少なくとも1つの位置によって自動的に固定及び解除されることが提供される。結果として、背もたれの単純な回転によって、使用者は、例えば、ボタンを押すこと、レバーを引くこと又は同様のこと等の他の動作を何ら必要とせずに、使用位置から格納位置へと座席を転移することが出来る。
【0008】
好ましくは、第1の構成要素、例えば背もたれは、第2の構成要素に対する所定の角度によって転移され、特に回転されてもよい。ここで、第2の構成要素は、基部に対して、例えば座部に対して第1の位置で固定されたままである。この機能は、特に、快適性の調節のために重要である。背もたれのピッチ角は、第2の構成要素と座部との間の固定を開放することなく、略垂直位置に調節されてもよい。
【0009】
第1の構成要素、例えば背もたれを、特定の角度を超えて回転させると、第2の回転手段が自動的に解除され、及び/又は第1の構成要素が第2の構成要素に設けられる止め具と接触する。この機能は、例えば、背もたれが簡易なエントリ位置に移動することを可能にする。
【0010】
好ましくは、相対運動、特に更なる相対運動によって、第2の構成要素と基部との間で、第1の構成要素の固定手段は、自動的に固定可能位置に動かされる。即ち、固定手段は、第2の構成要素に対して第1の構成要素を固定出来るが、まだそれを固定してはいない。
【0011】
また、好ましくは、第1の構成要素の固定手段と同時に、好ましくは、第2の構成要素の固定手段が、基部に対して固定可能な第2の位置に自動的に動かされる。即ち、当該固定手段は、基部に対して第2の構成要素を固定出来るが、又それを固定していない。
【0012】
好ましくは、双方の構成要素は、構成要素がその端部位置に到達した後で、各々の位置で自動的に固定される。この位置は、例えば、座部に平行な背もたれの格納位置である。
【0013】
好ましくは、ラッチ手段によって、特にラッチ爪によって固定が行われる。好ましくは、第2の構成要素は、特に第2の位置、例えば背もたれの格納位置に動かされた後で、手動又は電動で解除されなければならない。
【0014】
好ましくは、第1の構成要素の解除は、互いに対する構成要素及び基部の移動によって自動的に行われる。
【0015】
本発明の好ましい実施形態では、互いに対する第1の構成要素及び第2の構成要素の移動並びに/又は基部に対する第2の構成要素の移動によって、第1の構成要素は、自動的に伸縮又は伸張される。
【0016】
好ましくは、第1の構成要素は背もたれであり、且つ/又は基部は車両座席の座部である。
【0017】
本発明の更なる主題は、背もたれ、中間部及び基部を備える車両座席である。ここで、背もたれ及び中間部は、いずれの場合も、第1の回転手段によって互いに接続され、且つ中間部及び基部は、いずれの場合も、第2の回転手段によって互いに接続され、これらは、いずれの場合も、固定手段によって少なくとも1つの位置に固定されることが可能であり、背もたれと中間部、及び/又は中間部と基部との間の相対運動によって、少なくとも1つの固定手段が自動的に固定及び解除されるように、固定手段は1つの手段によって動作可能に接続される。特に好ましくは、当該手段は、純粋に並進的に動かされる。
【0018】
本発明による方法の説明された実施形態は、本発明による車両座席に等しく当てはまる。逆の場合も同じである。
【0019】
好ましくは、車両座席は、背もたれが一般に接続され且つ上部固定機構を介して開放可能に固定可能な上部水平枢動ピンの周囲を旋回可能な上部接続具を備える。車両座席は、下部接続具に下部水平軸の周囲を旋回可能に好ましくは関節接合され且つ好ましくは下部固定機構を介して開放可能に固定可能な第2の構成要素、中間部を更に備える。下部接続具は、一般には、座部に接続される。
【0020】
当該車両座席の運動学システムは、好ましくは、以下のように設計される。
【0021】
−背もたれが使用位置、即ち車両乗員が移動するために有利な位置にある場合、上部枢動ピンが解除されて下部枢動ピンが解除される。
【0022】
−下部枢動ピンは、前方に折り畳まれた場合に、車両に対する既定の傾斜角に到達するとすぐに、自動的に解除される。
【0023】
−背もたれの折り畳み前方運動は、特に既定の傾斜角に対応する背もたれの停止位置において、第1の止め具によって制限される。
【0024】
−下部枢動ピンの解除後に、上部接続具の継続運動により、上部接続具の運動は中間部に伝達され、中間部の運動は第2の停止手段によって制限され、結果として、中間部は定義された機能位置において停止される。及び/又は、
【0025】
−上部及び下部枢動ピンは、いずれの場合も、本発明による車両座席が、背もたれが座部の上の平坦位置に配置される終了位置に調節される場合にのみ固定される。−座席の終了位置における上部及び下部枢動ピンは、運動学システムに作用する使用者の側における任意の種類の特定作用によってのみ解除されることが可能である。
【0026】
本発明は、以下、
図1−20を参照して説明される。上記説明は、単に例示目的で提供されており、本発明の一般概念を制限するものではない。この説明は、本発明の主題の双方に等しく当てはまる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図1】本発明により設計される車両座席の運動学システムの構成要素を概略的な分解図で示す。
【
図2】第1の位置にある車両座席の基本構造を概略的な断面図で示す。
【
図3】
図2に示される基本構造の使用位置に対応する座席使用位置における車両座席を極めて概略的な図で示す。
【
図4】背もたれ接続具が
図2に対して僅かに前方に折り畳まれた
図2の基本構造を示す。
【
図5】
図4に示される基本構造の位置に対応する座席位置における車両座席を極めて概略的な図で示す。
【
図6】背もたれ接続具が直立位置へと更に前方に折り畳まれた
図4の基本構造を示す。
【
図7】
図6に示される基本構造の位置に対応する座席位置における車両座席を極めて概略的な図で示す。
【
図8】背もたれ接続具が更にもっと前方に折り畳まれた
図6の基本構造を示す。
【
図9】
図8に示される基本構造の位置に対応する座席位置における車両座席を極めて概略的な図で示す。
【
図10】背もたれ接続具が更にもっと前方に折り畳まれた
図8の基本構造を示す。
【
図11】
図10に示される基本構造の位置に対応する座席位置における車両座席を極めて概略的な図で示す。
【
図12】背もたれ接続具が更にもっと前方に折り畳まれた
図10の基本構造を示す。
【
図13】
図12に示される基本構造の位置に対応する座席位置における車両座席を極めて概略的な図で示す。
【
図14】背もたれ接続具が更にもっと前方に折り畳まれた
図12の基本構造を示す。
【
図15】
図14に示される基本構造の位置に対応する座席位置における車両座席を極めて概略的な図で示す。
【
図16】背もたれ接続具が更にもっと前方に折り畳まれた
図14の基本構造を示す。
【
図17】
図16に示される基本構造の位置に対応する座席位置における車両座席を極めて概略的な図で示す。
【
図18】背もたれ接続具が水平終了位置へと更に前方に折り畳まれた
図16の基本構造を示す。
【
図19】
図18に示される基本構造の終了位置に対応する終了座席位置における車両座席を極めて概略的な図で示す。
【発明を実施するための形態】
【0028】
図1は、本発明により設計される車両座席の運動学システムKの構成要素を概略的な分解図で示す。運動学システムKは、上部枢動ピンの周囲を背もたれと共に回転する背もたれ接続具10を回転させるための背もたれ枢動結合部GLを備える。
【0029】
背もたれ枢動結合部GLの回転運動がプルアーム2に伝達され得るように、背もたれ枢動結合部GLは、プルアーム2に機械的に結合される。
【0030】
運動学システムKは、プルアーム2を介して背もたれ枢動結合部GLに動作可能に結合される開放部材3を更に備える。
【0031】
下部枢動結合部GUは、車体に対して固定され且つ
図3に例示的に示される座部4が取り付けられる下部接続具40に回転に関して固定的に接続される。
【0032】
運動学システムKは、下部枢動結合部GUの開放可能な固定のための下部固定装置VUを更に備える。固定装置VUは、順に、開放アーム30、固定カム31及び固定爪32を備える。上部固定装置VLによって、接続具10及び背もたれは、中間部に対して固定され得る。
【0033】
滑動支柱5には、開放アーム30を誘導する役割を果たす誘導スロットが提供される。
【0034】
図2は、概略的な断面図において、車両乗員が移動するために有利な使用位置にある車両座席Fの基本構造Bを示す。基本構造Bは、背もたれ枢動結合部GLを介して中間部6に関節接合式に接続される背もたれ接続具10を備える。中間部6は、下部枢動結合部GUを介して下部枢動ピンの周囲を回転可能に下部接続具40に関節接合される。
【0035】
基本構造Bは、背もたれ枢動結合部GLの開放可能な固定のための上部固定装置と、下部枢動結合部GUの開放可能な固定のための下部固定装置Vとを備える。
【0036】
背もたれ枢動結合部GLは、車両乗員が移動するのに有利である基本構造Bのこの使用位置で解除され、一方で、下部枢動結合部GUは固定される。結果として、快適性調節のために、背もたれは、傾斜角αで変更されてもよい。
【0037】
プルアーム2における制御スロット20は、開放部材の可動的な誘導の役割を果たして、この快適性の調節の間に、上部固定装置又は下部固定装置Vに対して如何なる効果もなく、背もたれ1の快適性調節のための特定の枢動範囲内で、背もたれ接続具10の枢動を最終的に可能にする。固定カム31は、固定爪32の停止ラグ33を支持し、最終的にこの方式で下部枢動結合部GUを固定するために、固定爪32に設けられる第1の歯付部34が下部枢動結合部GUに動作可能に接続される第2の歯付部35と協働する位置において、固定爪32を保持する。
【0038】
図3は、
図2に示される基本構造Bの使用位置に対応する座席の使用位置において、車両座席Fを極めて概略的な図で示す。車両座席Fは、座部4と、背もたれ接続具10と共に回転する座部4に中間部6を介して接続される背もたれ1とを備える。
【0039】
図4は、背もたれ接続具10が
図2に対して傾斜角αだけ僅かに前方に折り畳まれた
図2の基本構造Bを示す。背もたれ枢動結合部GLは、これまでのように解除されており、一方で下部枢動結合部GUはまだ固定されている。
【0040】
図5は、
図4に示される基本構造Bの位置に対応する座席位置において、車両座席Fを極めて概略的な図で示す。
【0041】
図6は、背もたれ接続具10が更に前方に折り畳まれた
図4の基本構造Bを示す(より大きな傾斜角α)。背もたれ枢動結合部GLは、元のように解除され、一方で下部枢動結合部GUはまだ固定されている。
【0042】
図7は、
図6に示される基本構造Bの位置に対応する座席位置において、車両座席Fを極めて概略的な図で示す。
【0043】
図8は、背もたれ接続具10が更にもっと前方に折り畳まれた
図6の基本構造Bを示す(更により大きな傾斜角α)。背もたれ接続具10のこの位置から、背もたれ枢動結合部GLに動作可能に接続されるプルアーム2は、開放部材に作用し、それは次に開放アーム30に設けられたピンを滑動支柱の誘導スロットに押し込む。結果として、開放アーム30は、固定カム31が固定爪32に設けられた固定窪み36を貫くように、下部固定装置Vに作用し始める。すると、固定爪32が、下部枢動結合部GUから離れて後方に曲がることが出来ることで、第1の歯付部34は、下部枢動結合部GUを固定状態から解除状態に移行させるために、第2の歯付部35の効果領域から離れて移動を開始する。
【0044】
図9は、
図8に示される基本構造Bの位置に対応する座席位置における車両座席Fを極めて概略的な図で示す。
【0045】
図10は、背もたれ接続具10が更にもっと前方に折り畳まれた
図8の基本構造Bを示す(更により大きな傾斜角α)。固定カム31は、固定窪み36の中をより深く貫いており、それにより固定爪32は、更にもっと後方に曲がることが可能になる。
【0046】
図11は、
図10に示される基本構造Bの位置に対応する座席部分における車両座席Fを極めて概略的な図で示す。
【0047】
図12は、背もたれ接続具10が更にもっと前方に折り畳まれた
図10の基本構造Bを示す(更により大きな傾斜角α)。固定カム31は、現段階で、固定窪み36を完全に貫いている。その結果、固定爪32は、十分に後方に曲がることが可能になるので、第1の歯付部34及び第2の歯付部35は、今度は互いから外れて、下部枢動結合部GUは解除される。背もたれ枢動結合部GLは、解除状態でスライダによってまだ保持されているが、背もたれ接続具10が今度は固定可能位置にある。下部枢動結合部GUの解除後、中間部6は、下部枢動ピンの周囲を背もたれ接続具10と共に回転する。
【0048】
図13は、
図12に示される基本構造Bの位置に対応する座席位置において、車両座席Fを極めて概略的な図で示す。
【0049】
図14は、背もたれ接続具10が更にもっと前方に折り畳まれた
図12の基本構造Bを示す(更により大きな傾斜角α)。下部枢動結合部GUは、第2の固定位置への背もたれの継続運動が伝達されるまで、最初にまだ解除状態に留まっている(角度βの変更)。しかしながら、この第2の固定位置に到達する前に、第1に、下部固定装置Vは、背もたれの移動の結果として最初に固定可能位置に動かされ、第2に、中間部6の回転は、第2の止め具によって下部枢動ピンの周囲で制限される。この場合、運動学システムKは、第2の止め具に到達した後、背もたれ枢動結合部GL及び下部枢動結合部GUが、いずれの場合もそれに割り当てられる固定装置によってのみ自動的に固定される。中間部に対する下部接続具40の相対運動に連結されるスライダが戻される。すると、背もたれ枢動結合部GLは、固定位置へと回転を開始する。背もたれ接続具10は、今度は、第1の止め具に隣接する。その結果、背もたれ接続具10の更なる前方運動、ひいては背もたれ1のそれが阻止される。
【0050】
図15は、
図14に示される基本構造Bの位置に対応する座席位置において、車両座席Fを極めて概略的な図で示す。
【0051】
図16は、背もたれ接続具10が更にもっと前方に折り畳まれた
図14の基本構造Bを示す(更により大きな傾斜角B)。スライダは、更にもっと戻されており、背もたれ枢動結合部GLは、その固定位置へと再度回転する。
【0052】
図17は、
図16に示される基本構造Bの位置に対応する座席部分において、車両座席Fを極めて概略的な図で示す。
【0053】
図18は、背もたれ接続具10が水平終了位置へと更に前方に折り畳まれた
図16の基本構造Bを示す。今度は、背もたれ枢動結合部GL及び下部枢動結合部GUが、いずれの場合も、固定位置にラッチされる。
【0054】
車両座席Fのこの終了位置において背もたれ枢動結合部GL及び下部枢動結合部GUの固定を開放するため、使用者は、例えば、下部枢動結合部GUの固定を手動で又は任意のアクチュエータを介して、開放する必要があり、その後、座席は、初期位置、即ち使用位置へと再度調節されてもよい。上部枢動ピンGLは、背もたれの後方運動によって自動的に解除される。
【0055】
図19は、
図18に示される基本構造の終了位置に対応する終了座席位置において、車両座席Fを極めて概略的な図で示す。所定の位置に固定される背もたれ1は、今度は、座部4上に略水平に配置される。背もたれ1の前面及び座部4の上面は、互いに向かい合う。
【0056】
(
図20)
本発明の好ましい又は更に別の主題が
図20に示されており、そこでは使用位置から格納位置へと前方に折り畳まれると背もたれ1が伸縮され、且つ/又は逆に、伸張される。背もたれ1を前方に動かすことによって、特に、下部枢動結合部GUの周囲の第2の構成要素6の回転によって、直接的に又は間接的にギア機構9に、この場合背もたれ1の縦調節を駆動するかさ歯車機構に、力又はトルクを伝達する力伝達手段8が、この場合歯付ベルトが駆動される。
【0057】
図1−20によって説明された例示の実施形態では、機械的構成要素のみが運動学システムに使用されている。しかしながら、当技術分野の当業者には、上述された本発明の本質的な機能は、例えば、メカトロニクスシステム等の他の装置によっても当然実装され得ることが明らかである。
【符号の説明】
【0058】
1 第1の構成要素、背もたれ
2 プルアーム
3 開放部材
4 基部、座部
5 滑動支柱
6 第2の構成要素、中間部
7 ラッチ手段、固定カム
8 力伝達手段、歯付ベルト
9 ギア機構
10 背もたれ接続具
11 結合部
30 開放アーム
31 ラッチ手段、固定カム
32 固定爪
33 止め具ラグ
34 歯付部
35 歯付部
36 固定窪み
40 接続具
B 基本構造
F 車両座席
GL 第1の回転手段、背もたれ枢動結合部
GU 第2の回転手段、枢動結合部
VL 第1の回転手段の固定装置
VU 第2の回転手段の固定装置
α 第1及び第2の構成要素の間の角度
β 第2の構成要素と基部との間の角度