特許第5674787号(P5674787)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ カーハーエス コーポプラスト ゲーエムベーハーの特許一覧

特許5674787容器をブロー成形するための方法および装置
<>
  • 特許5674787-容器をブロー成形するための方法および装置 図000002
  • 特許5674787-容器をブロー成形するための方法および装置 図000003
  • 特許5674787-容器をブロー成形するための方法および装置 図000004
  • 特許5674787-容器をブロー成形するための方法および装置 図000005
  • 特許5674787-容器をブロー成形するための方法および装置 図000006
  • 特許5674787-容器をブロー成形するための方法および装置 図000007
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5674787
(24)【登録日】2015年1月9日
(45)【発行日】2015年2月25日
(54)【発明の名称】容器をブロー成形するための方法および装置
(51)【国際特許分類】
   B29C 49/78 20060101AFI20150205BHJP
   B29C 49/42 20060101ALI20150205BHJP
【FI】
   B29C49/78
   B29C49/42
【請求項の数】14
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2012-525882(P2012-525882)
(86)(22)【出願日】2010年7月22日
(65)【公表番号】特表2013-503051(P2013-503051A)
(43)【公表日】2013年1月31日
(86)【国際出願番号】DE2010000883
(87)【国際公開番号】WO2011023155
(87)【国際公開日】20110303
【審査請求日】2012年8月10日
(31)【優先権主張番号】102009040803.7
(32)【優先日】2009年8月25日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】509017365
【氏名又は名称】カーハーエス コーポプラスト ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100091867
【弁理士】
【氏名又は名称】藤田 アキラ
(74)【代理人】
【識別番号】100154612
【弁理士】
【氏名又は名称】今井 秀樹
(72)【発明者】
【氏名】ヘーゼンドンクス フランク
(72)【発明者】
【氏名】ゲルンフーバー マティアス
(72)【発明者】
【氏名】パスタノン ピサルン
【審査官】 増田 亮子
(56)【参考文献】
【文献】 特表2007−503343(JP,A)
【文献】 特表2009−531196(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 49/00−49/80
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱可塑性材料から成るパリソンを、加熱区間の領域にある搬送経路に沿って熱コンディショニングした後にブロー成形型内部でブロー圧を作用させることによって容器に成形し、ブロー成形工程を特徴づける少なくとも1つのパラメータを測定技術で検出して制御装置に供給し、該制御装置がブロー成形工程を制御する少なくとも1つのパラメータを変化させるために少なくとも1つの調整要素に作用するようにした、容器をブロー成形するための方法において、
前記制御装置(51)により、シミュレーションモデル(48)を使用して、ブロー成形工程を特徴づける測定されたパラメータをベースにして、ブロー成形を終了した前記容器(2)の少なくとも1つの特性を算出して目標値と比較すること、
前記目標値と測定値との間にずれがあった場合には、ブロー成形工程を制御する前記パラメータを、ずれが最小になるように変化させること、
を特徴とする方法。
【請求項2】
ブロー成形工程を特徴づける少なくとも1つのパラメータを、パリソン温度、パリソン(1)内部での温度分布、ブロー圧推移、ブローガス体積流、延伸推移、材料特性、パリソン(1)内部での材料分布、ブロー成形される容器(2)内部での材料分布、容器輪郭、周囲温度のグループから選定して評価することを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
ブロー成形される容器(2)の特性をシミュレーションモデル(48)によってシミュレーションを実施する場合、ブロー成形される容器(2)の少なくとも1つのパラメータを、ブロー成形される容器(2)内部での材料分布、加圧負荷のもとでの容器輪郭、容器(2)の積み重ね能力、容器(2)の把持安定性、容器(2)の加圧挙動のグループから選定してシミュレートすることを特徴とする、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
ブロー成形される容器(2)の少なくとも1つのシミュレート値を、実際にブロー成形した容器(2)の特性と比較することを特徴とする、請求項1からまでのいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
ブロー成形される容器(2)の少なくとも1つのパラメータを測定技術で検出することを特徴とする、請求項1からまでのいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
シミュレーションモデル(48)を閉じた制御回路内部で使用することを特徴とする、請求項1からまでのいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
シミュレーションモデル(48)をカスケード制御の一部として使用することを特徴とする、請求項に記載の方法。
【請求項8】
熱可塑性材料から容器をブロー成形するためのブロー成形装置であって、パリソンの搬送経路に沿って配置される少なくとも1つの加熱区間と、ブロー成形型を備えた少なくとも1つのブローステーションと、制御装置とを有し、該制御装置がブロー成形工程を特徴づける少なくとも1つのパラメータを測定技術で検出するための少なくとも1つのセンサと接続されている前記ブロー成形装置において、
前記制御装置がシミュレーションモデル(48)を有し、該シミュレーションモデル(48)が、ブロー成形工程を特徴づける測定されたパラメータをベースにして、ブロー成形を終了した容器(2)の少なくとも1つの特性を算出し、目標値と比較すること
前記目標値と測定値との間にずれがあった場合には、ずれが最小になるように、ブロー成形工程を制御する前記パラメータを調整要素によって変更可能であること、
を特徴とするブロー成形装置。
【請求項9】
前記シミュレーションモデル(48)が、パリソン温度、パリソン(1)内部での温度分布、ブロー圧推移、ブローガス体積流、延伸推移、材料特性、パリソン(1)内部での材料分布、ブロー成形される容器(2)内部での材料分布、容器輪郭、周囲温度のグループから選定してブロー成形工程を特徴づける少なくとも1つの前記パラメータを評価するように構成されていることを特徴とする、請求項に記載のブロー成形装置。
【請求項10】
前記シミュレーションモデル(48)が、ブロー成形される容器(2)内部での材料分布、加圧負荷のもとでの容器輪郭、容器(2)の積み重ね能力、容器(2)の把持安定性、容器(2)の加圧挙動のグループから選定してブロー成形される容器(2)の少なくとも1つのパラメータを評価するように構成されていることを特徴とする、請求項8または9に記載のブロー成形装置。
【請求項11】
前記シミュレーションモデル(48)が、ブロー成形される容器(2)のシミュレーション特性を実際にブロー成形された容器(2)の特性と比較するための比較装置を有していることを特徴とする、請求項から10までのいずれか一項に記載のブロー成形装置。
【請求項12】
前記シミュレーションモデル(48)に、ブロー成形される容器(2)の少なくとも1つのパラメータを測定技術で検出するための少なくとも1つのセンサが接続されていることを特徴とする、請求項から11までのいずれか一項に記載のブロー成形装置。
【請求項13】
前記シミュレーションモデル(48)が制御回路の内部に配置されていることを特徴とする、請求項から12までのいずれか一項に記載のブロー成形装置。
【請求項14】
前記制御回路がカスケード制御部として構成されていることを特徴とする、請求項13に記載のブロー成形装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱可塑性材料から成るパリソンを、加熱区間の領域にある搬送経路に沿って熱コンディショニングした後にブロー成形型内部でブロー圧を作用させることによって容器に成形し、ブロー成形工程を特徴づける少なくとも1つのパラメータを測定技術で検出して制御装置に供給し、該制御装置がブロー成形工程を制御する少なくとも1つのパラメータを変化させるために少なくとも1つの調整要素に作用するようにした、容器をブロー成形するための方法に関するものである。
本発明は、さらに、熱可塑性材料から容器をブロー成形するためのブロー成形装置であって、パリソンの搬送経路に沿って配置される少なくとも1つの加熱区間と、ブロー成形型を備えた少なくとも1つのブローステーションと、制御装置とを有し、該制御装置がブロー成形工程を特徴づける少なくとも1つのパラメータを測定技術で検出するための少なくとも1つのセンサと接続されている前記ブロー成形装置にも関わる。
【背景技術】
【0002】
ブロー圧を作用させることによって容器を成形する場合、熱可塑性材料から成るパリソンは、たとえばPET(ポリエチレンテレフタラート)から成るパリソンは、ブロー成形機内部で種々の加工ステーションに供給される。典型的には、この種のブロー成形機は加熱装置とブロー装置とを有し、ブロー装置の領域において、予め温度調整したパリソンが両軸方向に配向することによって膨張して容器が成形される。膨張は、膨張すべきパリソン内へ誘導される加圧空気を用いて行われる。パリソンのこのような膨張時の方法技術的経過に関しては、特許文献1に説明されている。冒頭で述べた、加圧状態にあるガスを導入する工程は、成長している容器ブローに加圧ガスを導入するステップと、ブロー工程開始時にパリソンに加圧ガスを導入するステップをも含んでいる。
【0003】
容器を成型するためのブローステーションの基本構成に関しては、特許文献2に記載されている。パリソンを温度調整するための可能性に関しては、特許文献3に説明されている。
【0004】
ブロー成形するための装置の内部では、パリソンとブロー成形される容器とを種々の操作装置を用いて搬送することができる。特に優れているのは、パリソンを嵌合させるようにした搬送心棒を使用することである。しかしパリソンを他の担持装置を用いて操作することもできる。パリソンを操作するための把持やっとこを使用することと、保持のためにパリソンの口領域に挿入可能な拡開心棒を使用することも同様に適用可能な構成に属する。
【0005】
受け渡しホイールを使用した容器の操作は、たとえば特許文献4に記載されており、受け渡しホイールはブローホイールと搬出区間との間に配置される。
【0006】
すでに述べたパリソンの操作は、一方ではいわゆる2段階方式で行われ、すなわちパリソンをまず射出成形方法で製造し、次に中間蓄積し、その後初めてその温度に関しコンディショニングを行い、ブローを作用させて容器を形成させる。他方、いわゆる1段階方式が適用され、すなわちパリソンを射出成形して十分固化させた直後に適当に温度調整し、その後ブローを作用させる。
【0007】
使用するブローステーションに関しては、種々の実施態様が知られている。回転する搬送ホイール上に配置されているブローステーションでは、型担持体を本のように開閉する構成のものが頻繁に使用される。他方、互いに相対的に変位可能な型担持体または他の態様で案内される型担持体を使用することも可能である。容器成形用の複数のキャビティを受容するために特に適した定置のブローステーションの場合は、典型的には、互いに並列に配置される複数個のプレートが型担持体として使用される。
【0008】
加熱を実施する前に、典型的にはパリソンを搬送心棒に嵌合させる。搬送心棒はパリソンをブロー成形機全体にわたって搬送するか、或いは、加熱区間の領域のみを周回させる。パリソンの口部を鉛直方向下向きに配向してパリソンを加熱している場合、通常は搬送心棒のスリーブ状の保持要素にパリソンを嵌合させる。パリソンを吊り下げて加熱する場合には、その口部を鉛直方向上向きに配向するが、通常は拡開心棒をパリソンの口部に挿入してパリソンを締め付け固定する。
【0009】
ブロー技術で容器の成形を実施する場合の主要な課題は、容器壁に所定の材料分布を達成することである。材料分布を所定どおりに生じさせるために重要なパラメータは、ブロー成形前にパリソン内部で実現される熱分布である。
【0010】
熱分布は、典型的には、パリソンの周囲方向に均一な温度レベルが発生し、且つパリソンの長手方向において温度プロファイルが発生するように実現される。さらに、パリソンの壁を外側から内側へ貫通する方向でも適当な温度プロファイルの設定が行われる。基本的には、パリソンの個々の領域のうちで温度がより低い領域がブロー成形された容器の個々の壁領域においてより厚い壁領域になること、そしてブロー成形を実施する際により熱い領域がより強く延伸されて、ブロー成形された容器のより薄い壁領域になることが出発点とされる。
【0011】
パリソンの領域の温度はいわゆるパイロメータを用いて測定することができる。ブロー成形された容器の領域での具体的な壁厚を測定技術で検出するため、たとえば光学的に作動するか、或いは、音波を使用して作動するいわゆる壁厚センサが用いられる。
【0012】
ブロー成形された容器の材料分布を制御するための他の重要なパラメータは延伸速度、ブローガス供給に対する延伸工程の時間的割り当て、ブローガスの体積流、パリソンが容器へ膨張する際の時間的圧力推移である。特に、実際のブロー圧の制御は困難である。というのは、ブロー圧を設定するための制御弁と膨張させるパリソンとの間に、管横断面積がまちまちで、流動を制御する絞りを備えた流動経路があり、さらに、容器へ成形する際のパリソンの体積拡大により、発生する圧力に対し反作用が生じるからである。他方、延伸棒をパリソンの中へ挿入することにより残りの体積が減少する。また、個々のパラメータ間に比較的複雑な相互作用があり、ブロー成形された容器に発生する実際の材料分布に影響する。
【0013】
多数のパラメータと、これらパラメータ間の相互作用のために、実際に制御する代わりに、実験的に求めて手動で設定した調整量を考慮した制御のみを行うことがある。具体的に実現される制御は、典型的には、ブロープロセスの複雑性を十分に考慮していない個々のパラメータに関わるものである。
【0014】
典型的な制御では、既知でない制御パラメータまたは時間的に変化する制御パラメータへの適応のため、ブロー成形機の操作者は生産された瓶を検査し、制御装置の操作面を介して手動でブロー工程のパラメータを変化させる。このような処置により、さしあたり多数の瓶が生産されるが、その特性は所定の目標値からずれており、何度も理想的な瓶構成に近づけねばならない。ブロー成形された瓶の特性を測定技術で検出して調整の範囲内でフィードバックする場合も、一方ではまず制御ずれが発生するので、これに反応できるようにしなければならず、さらに、個々のブローパラメータ間に複雑な相互作用があるために既存の制御コンセプトには弱点があり、そのために満足のいくようにずれを調整するには至らず、或いは、結果的に長時間の調整を要する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0015】
【特許文献1】独国特許出願公開第4340291号明細書
【特許文献2】独国特許出願公開第4212583号明細書
【特許文献3】独国特許出願公開第2352926号明細書
【特許文献4】独国特許出願公開第19906438号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
本発明の課題は、冒頭で述べた種類の方法を、わずかな機械的構成コストで且つ高いスループットで高品質の容器成形が可能であるように改善することである。
本発明の他の課題は、冒頭で述べた種類の装置を、簡潔な構成で且つ優れた生産品質で高スループットが可能であるように構成することである。
【課題を解決するための手段】
【0017】
この課題は、方法においては、本発明によれば、制御装置により、シミュレーションモデルを使用のもとに、ブロー成形工程を特徴づける測定したパラメータをベースにして、ブロー成形を終了した容器の少なくとも1つの特性を算出して目標値と比較すること、目標値と測定値との間にずれがあった場合には、ブロー成形工程を制御する前記パラメータを、ずれが最小になるように変化させることによって解決される。
【0018】
また、装置においては、制御装置がシミュレーションモデルを有し、該シミュレーションモデルが、ブロー成形工程を特徴づけるパラメータの測定をベースにして、ブロー成形を終了した容器の少なくとも1つの特性を算出し、目標値と比較すると、前記目標値と測定値との間にずれがあった場合に該ずれをベースにして、このずれが最小になるように、ブロー成形工程を制御する前記パラメータを調整要素によって変更可能であることによって解決される。
【0019】
ブロー成形される容器を特徴づけるパラメータを考慮したブロー工程の制御または調整により、且つブロー工程のシミュレーションモデルによって個々の制御因子の相互作用を考慮することにより、品質的に高価値の容器生産が可能になる。というのは、所定の目標値がわずかな公差で維持され、外乱の処理をわずかな時間的遅延で行うことができるからである。シミュレーションモデルは、特に、ブローガス供給領域における流動横断面積と流動抵抗を考慮するとともに、発生する圧力と、ブローガスの体積流と、成長する容器ブローによる体積変化と、延伸棒のその都度の位置決めと、たとえばパリソンの温度、パリソンの壁における温度分布、ブロー成形温度のような他の与えられる制御因子との間の相互作用を考慮する。基本的には、任意の補助的な制御因子をブロー工程のシミュレーションモデルに取り込むことが可能である。
【0020】
発生する障害を迅速に処理し、或いは、この種の障害の発生を回避するには、シミュレーションモデルがブロー工程の物理学的経過をシミュレーションするばかりでなく、ブロー成形される容器の製造工程全体をシミュレーションすること、これによりブロー成形される容器の実際の特性を測定技術で検出する必要なしに、加熱工程およびブロー工程の既存のパラメータと使用する材料とにだけ基づいて非常に大きな信頼性でもってブロー成形容器の特性をあらかじめ特定できることが著しく寄与する。従って特に、所望の特性を有していない容器を生産する前に、これら望ましくない特性を備えた容器の製造が回避されるように生産工程に作用することが可能である。
【0021】
たとえば、制御装置にデジタル形式で提供することのできる専門家の知識を使用して、当該シミュレーションを実施することが可能である。適当な専門家の知識は、たとえば加熱プロセスおよびブロープロセス双方のプロセス工程に関わっていてよい。さらにシミュレーションモデルは、使用する熱可塑性材料の材料特性およびこの材料からブロー成形される容器の材料特性に対する専門家の知識を考慮することができる。この場合重要なのは材料特性、パリソンおよびブロー成形される瓶の材料分布、瓶の輪郭である。特に瓶の輪郭に対する情報は、ブロー工程終了直後の輪郭、容器をブロー成形型から取り出した後の輪郭、戻り収縮があった場合にはその後の輪郭、たとえば炭酸飲料を充填した後の湿潤状態での輪郭に関する情報を含んでいる。シミュレーションモデルはブロー成形された容器の種々の特性を検出することができ、たとえば容器の積み重ね能力、容器の把持安定性、圧力を作用した時の挙動等を検出することができる。
【0022】
本発明においては、調整という概念および制御という概念はそれぞれ例示的に使用される。基本的には、制御と呼ばれるすべての工程は調整として実現してもよく、調整と呼ばれるすべての工程を簡潔な実施態様で制御として実施してもよい。同様に、制御に関して説明する工程において補助的に調整を実施してもよく、或いは、調整に関して説明する工程において補助的に制御を実施してもよい。
【0023】
現実に近いシミュレーションは、パリソン温度、パリソン内部での温度分布、ブロー圧推移、ブローガス体積流、延伸推移、材料特性、パリソン内部での材料分布、ブロー成形される容器内部での材料分布、容器輪郭、周囲温度のグループから選定してブロー成形工程を特徴づける少なくとも1つの前記パラメータを評価することによって実施することができる。
【0024】
シミュレートした値と実際の値との一致性を高くするため、シミュレートモデルは専門家の知識を使用してシミュレーションを実施する。
【0025】
信頼性のある結果は、ブロー成形される容器の少なくとも1つのシミュレート値を、実際にブロー成形した容器の特性と比較することによって提供される。
【0026】
特に、シミューレートした値と実際の値との優れた一致は、ブロー成形される容器の少なくとも1つのパラメータを測定技術で検出することによって達成される。
【0027】
ブロー成形される容器を、目標パラメータからのずれを少なくして製造するため、シミュレーションモデルを閉じた制御回路内部で使用する。
【0028】
外乱の迅速な処理は、シミュレーションモデルをカスケード制御部の一部として使用することによって得られる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図面には、本発明のいくつかの実施形態が図示されている。
図1】パリソンから容器を製造するためのブローステーションの図である。
図2】パリソンを延伸し膨張させるブロー成形型の縦断面図である。
図3】容器のブロー成形装置の基本構成を説明する概略図である。
図4】加熱力を増大させた加熱区間の変形実施形態を示す図である。
図5】シミュレーションモデルを使用して温度調整とブロー成形とを制御するための制御コンセプトの説明図である。
図6】シミュレーションモデルを使用する変形実施形態の図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
パリソン(1)を容器(2)に成形するための装置の基本構成が図1および図2に図示されている。
【0031】
容器(2)を成形するための装置は実質的にブローステーション(3)から成っており、該ブローステーション(3)はブロー成形型(4)を備え、ブロー成形型(4)にパリソン(1)を挿入可能である。パリソン(1)はポリエチレンテレフタラートから射出成形された部材であってよい。ブロー成形型(4)内へのパリソン(1)の挿入を可能にし、且つ仕上がった容器(2)の取り出しを可能にするため、ブロー成形型(4)は型半部分(5,6)と底部部分(7)とから成り、底部部分(7)は昇降装置(8)によって位置決め可能である。パリソン(1)はブローステーション(3)の領域で搬送心棒(9)によって保持されていてよく、搬送心棒(9)はパリソン(1)とともに装置内部の複数個の処理ステーションを通過する。他方、パリソン(1)をたとえばやっとこまたは他の操作手段を介してダイレクトにブロー成形型(4)に挿入してもよい。
【0032】
加圧空気の供給を可能にするため、搬送心棒(9)の下方には接続ピストン(10)が配置され、接続ピストン(10)はパリソン(1)に加圧空気を供給し、同時に搬送心棒(9)に対する密封を行う。変形構成例では、基本的には、位置固定の加圧空気供給管を使用することも考えられる。
【0033】
この実施形態の場合、パリソン(1)の延伸は延伸棒(11)を用いて行う。延伸棒(11)はシリンダ(12)によって位置決めされる。他の実施形態によれば、ピックオフローラの作用を受けるカムセグメントを介して延伸棒(11)の機械的位置決めが行われる。カムセグメントの使用は、特に、複数個のブローステーション(3)が1個の回転ブローホイール上に配置されている場合に合目的である。
【0034】
図1に図示した実施形態の場合、延伸システムは、2個のシリンダ(12)のタンデム配置が提供されるように構成されている。一次シリンダ(13)により、本来の延伸工程を開始する前に、まず延伸棒(11)をパリソン(1)の底部(14)の領域まで移動させる。本来の延伸工程を行っている間、延伸棒を走出させている一次シリンダ(13)は該一次シリンダ(13)を担持しているスライダ(15)とともに二次シリンダ(16)によって或いはカム制御部を介して位置決めされる。特に、延伸工程を実施している間にカム軌道部に沿って滑動するガイドローラ(17)によって実際の延伸位置が設定されるように、二次シリンダ(16)をカム制御することが考えられる。ガイドローラ(17)は二次シリンダ(16)によって案内軌道部に対し押圧される。スライダ(15)は2個の案内要素(18)に沿って滑動する。
【0035】
担持体(19,20)の領域に配置されている型半部分(5,6)を閉じた後、ロック装置(20)を用いて担持体(19,20)相互のロックを行う。
【0036】
パリソン(1)の口部分(21)の種々の形状に適応させたるめ、図2によれば、ブロー成形型(4)の領域に別個のスクリューインサート(22)が設けられている。
【0037】
図2は、ブロー成形される容器(2)に加えて、破線で示したパリソン(1)と成長している容器ブロー(23)をも示している。
【0038】
図3は、加熱区間(24)と回転するブローホイール(25)とを備えたブロー成形機の基本構成を示している。パリソン(1)はパリソン装入部(26)から受け渡しホイール(27,28,29)によって加熱区間(24)の領域へ搬送される。パリソン(1)を温度調整するため、加熱区間(24)に沿って加熱要素(30)とファン(31)が配置されている。パリソン(1)は、十分に温度調整した後、ブローステーション(3)が配置されているファンホイール(25)に受け渡される。ブロー成形を終了した容器(2)は受け渡しホイールによって搬出区間(32)へ供給する。
【0039】
容器(2)がその内部に充填される食品(特に飲料水)の長期使用を保証する材料特性を有するようにパリソン(1)を容器(2)に成形するには、パリソン(1)の加熱および配向の際に特殊な方法ステップを厳守しなければならない。さらに、特別な寸法規定を厳守することによって有利な効果を得ることができる。
【0040】
配向工程を実施している間のパリソン(1)の膨張は、加圧空気を供給することによって行う。加圧空気の供給は、ガス(たとえば圧縮空気)を低圧力レベルで供給するプレブロー段階と、これに引き続きガスをより高い圧力レベルで供給するメインブロー段階とに分割される。プレブロー段階を実施している間、典型的には10バールないし25バールのインターバルの圧力をもった加圧空気を使用し、他方メインブロー段階を実施している間は、25バールないし40バールのインターバルの圧力をもった加圧空気を供給する。
【0041】
図3から同様に明らかなように、図示した実施形態の場合、加熱区間(24)は周回する多数の搬送要素(33)から形成され、これらの搬送要素(33)は互いにチェーン状に並置され、スプロケットホイール(34)によって案内される。特に、チェーン状の配置によって実質的に長方形の基本輪郭を張ることが想定されている。図示した実施形態では、加熱区間(24)の受け渡しホイール(29)および装入ホイール(35)側の延長部の領域には、比較的大きなサイズの単独の転向ホイール(34)が使用され、これに隣接している転向部の領域には比較的小さいサイズの2個の転向ホイール(36)が使用される。しかし、基本的には任意の他のガイドも考えられる。
【0042】
受け渡しホイール(29)と装入ホイール(35)とを互いに可能な限り密に配置することを可能にするには、図示した配置構成が特に合目的であることが明らかになった。というのは、加熱区間(24)の対応する延長部の領域には3個の転向ホイール(34,36)が配置され、すなわちより小さな転向ホイール(36)がそれぞれ加熱区間(24)の直線延在部へ移行する領域に配置され、より大きな転向ホイール(34)が受け渡しホイール(29)および装入ホイール(35)に直接受け渡す領域に配置されているからである。チェーン状の搬送要素(33)を使用する代わりに、たとえば回転する加熱区間を使用してもよい。
【0043】
容器(2)は、ブロー成形を終了した後、取り出しホイール(37)によってブローステーション(3)の領域から取り出されて、受け渡しホイール(28)および搬出ホイール(38)を介して搬出区間(32)へ搬出される。
【0044】
図4に図示した加熱区間(24)の変形実施形態では、より多数の加熱要素(30)によって単位時間当たりより多量のパリソン(1)を温度調整することができる。ここではファン(31)は冷却空気を冷却空気通路(39)の領域へ導入させ、冷却空気通路(39)は付設されている加熱要素(30)にそれぞれ対向配置され、流出穴を介して冷却空気を放出する。流出方向を適宜選定することにより、冷却空気の流動方向はパリソン(1)の搬送方向に対し実質的に横方向に実現される。冷却空気通路(39)は、加熱要素(30)に対向している表面の領域で、加熱線のためのリフレクタを提供することができ、同様に、放出される冷却空気を介して加熱要素(30)の冷却をも実現することが可能である。
【0045】
図5は、加熱要素(30)または外部制御回路内にあるラジエータパイプ、および、内部制御回路内でのブローガス供給に関わる1個または複数個のパラメータのための制御システムを表わす図である。この制御システムはカスケードコントロールの形態で構成されている。外部制御回路は、ブローステーション(3)の後方で測定装置(41)を介して少なくとも1つの所定高さレベルで容器(2)の壁厚を検知して、この測定値を壁厚レギュレータ(42)の入力部に送る。基本的には、任意の他のまたは更なるパラメータを測定技術で検知して制御によって考慮してもよい。壁厚レギュレータ(42)に対するダイレクトな入力値は、所定の壁厚と測定技術で検知した壁厚との間の制御偏差である。壁厚レギュレータ(42)の出力値は、内部温度調整回路に対する目標値を提供する。
【0046】
温度レギュレータ(43)には、ダイレクトな制御値として、壁厚レギュレータ(42)の出力値と温度センサ(44)によって検知された所定高さレベルでのパリソン(1)の温度値との間の差が供給される。
【0047】
図8に図示したカスケード制御のうちで最も内側にある、よって最速の制御回路は、1個または複数個のブローガスレギュレータ(45)を含んでいる。ブローガスレギュレータ(45)はたとえばブローガスの圧力および/または体積流を制御するように構成されていてよい。ブローガスレギュレータ(45)には、測定値として、センサ(46)から提供される測定値と、その都度制御されるブローガス温度であって付設の制御区間(47)の出力値として得られる前記ブローガス温度との間の制御偏差が提供される。
【0048】
有利には、制御偏差を避けるため、レギュレータ(42,43,45)のうちの少なくとも1つは積分動作を備えている。他の制御変形実施形態によれば、制御はパリソン(1)または容器(2)の搬送距離の長さにより生じる制御システムのデッドタイム挙動を考慮する。この場合に考慮されるのは、搬送速度に依存して既知の調整量の変化と出力量の変化との間に遅延があるということである。
【0049】
図5に図示した制御コンセプトのカスケード態様の代わりに、任意の他の制御構成を実現してもよい。カスケード制御態様の場合には、内部回路で高速に変化するプロセスパラメータと外部制御回路で緩速に変化するプロセスパラメータとを制御するのが合目的であることが明らかになった。
【0050】
センサ(41,44,46)によって提供される測定値のうちの少なくとも1つはシミュレーションモデル(48)に送られる。シミュレーションモデル(48)は、ブロープロセスに関連する補助的な測定情報を考慮するため、1個または複数個のセンサ入力部(49)を有している。さらにシミュレーションモデルは、制御動作を制御する1個または複数個のモデル出力部(50)を有している。1実施形態によれば、モデル出力部(50)を介してレギュレータ(42,43,45)のうちの少なくとも1つの制御特性が変化する。他の実施形態によれば、これとは択一的に、または、これを補完するように、モデル出力部(50)を介してレギュレータ(42,43,45)のうちの少なくとも1つの入力値を制御することが考えられる。この制御はたとえばセンサ(41,44,46)によって生じる制御に加えて行うことができる。同様に、センサ(41,44,46)の信号の少なくとも1つの代わりに、モデル出力部(50)で提供される値を使用してもよい。
【0051】
シミュレーションモデル(48)により、制御を実施する際、個々のプロセスパラメータ間の複雑な関係を考慮することが可能になる。特に遅延、デッドタイム、非線形性を考慮することができる。さらにシミュレーションモデル(48)により、測定技術による直接的な検知から引き出されるプロセス量または高コストでしか測定技術で検知できないプロセス量を制御に取り入れることが可能になる。
【0052】
容器製造の制御は、たとえばブロー圧に対する所定の圧力推移をベースにして行うことができる。測定技術で検知してパラメータのうち少なくとも1つのパラメータにおいて測定値をシミュレーションモデルによって生じた値と比較してずれが認められた場合には、たとえば生産サイクルごとにプロブロー圧の供給開始時点を変化させたり、および/または、延伸工程の速度を適当に増減させたりすることが可能である。これは、特に延伸対象であるパリソン(1)内への延伸棒の走入速度を予め設定することによって行うことができる。同様に、温度プロファイルおよび/または加熱力を適合させることが考えられる。
【0053】
シミュレーションモデル(48)を使用すると、特に、瓶シミュレーションの検出結果を実際にブロー成形した瓶の特性と比較して調整することが可能である。この比較でずれが認められた場合には、補正工程を介して、特に補正サイクルを介して、瓶シミュレーションの値が実際にブロー成形した瓶の特性と一致するまでプロセスパラメータを変化させることができる。
【0054】
シミュレーションモデル(48)の使用は、一方では純粋な制御の範囲内で可能である。他方、特に、ブロー成形機の制御に組み込まれるフィードバック制御システムも考えられる。この種の制御により、特に周囲条件の変化も考慮することができる。
【0055】
図5に図示したシミュレーションモデル(48)の使用態様の代わりに、または、これに加えて、図6に図示した使用態様も実現される。ここでは、シミュレーションモデル(48)に温度プロファイルに対する情報(52)が供給される。測定装置(41)により、ブロー成形される容器(2)の領域での壁厚または壁厚分布が検出され、偏差形成部(53)に送られる。偏差形成部(53)は、シミュレーションモデル(48)の出力値(54)として、壁厚または壁厚分布に対する目標値を含んでいる。ずれ(55)があれば、シミュレーションモデル(48)の偏差入力部(56)に送られる。シミュレーションモデル(48)は記憶されている情報を考慮して温度プロファイルに対する補正値(57)を提供する。温度プロファイルは、パリソン(1)の長手方向における該パリソンの温度分布、および/または、パリソン壁の内側境界部と外側境界部との間での温度分布に関わるものである。
【0056】
このようにして、壁厚に対するシミュレーション値と壁厚に関し実際に測定したプロセスパラメータとの間のずれが評価される。
図1
図2
図3
図4
図5
図6