(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5674808
(24)【登録日】2015年1月9日
(45)【発行日】2015年2月25日
(54)【発明の名称】燃料電池用加湿器
(51)【国際特許分類】
H01M 8/04 20060101AFI20150205BHJP
H01M 8/10 20060101ALN20150205BHJP
【FI】
H01M8/04 N
!H01M8/10
【請求項の数】7
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2012-541952(P2012-541952)
(86)(22)【出願日】2010年12月3日
(65)【公表番号】特表2013-513203(P2013-513203A)
(43)【公表日】2013年4月18日
(86)【国際出願番号】KR2010008637
(87)【国際公開番号】WO2011068383
(87)【国際公開日】20110609
【審査請求日】2013年9月6日
(31)【優先権主張番号】10-2009-0119583
(32)【優先日】2009年12月4日
(33)【優先権主張国】KR
(31)【優先権主張番号】10-2010-0122459
(32)【優先日】2010年12月3日
(33)【優先権主張国】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】314003797
【氏名又は名称】コーロン インダストリーズ インク
(74)【代理人】
【識別番号】100121382
【弁理士】
【氏名又は名称】山下 託嗣
(72)【発明者】
【氏名】キム,キョン−ジュ
(72)【発明者】
【氏名】シン,ヨン−チョル
(72)【発明者】
【氏名】リー,ムー−ソック
【審査官】
前原 義明
(56)【参考文献】
【文献】
特開2008−041335(JP,A)
【文献】
特開2008−309371(JP,A)
【文献】
特開2008−103115(JP,A)
【文献】
特開2008−119615(JP,A)
【文献】
特開2005−034715(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 8/00 − 8/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1端部、及び前記第1端部の反対側に位置する第2端部を含み、前記第2端部の外側面に多数のホールが形成された膜ハウジングと、
前記膜ハウジング内に位置し、両端部が前記膜ハウジングの端部にそれぞれポッティングされた中空糸膜と、
前記膜ハウジングの第2端部に装着され、水分含有未反応ガスを受けるための流入口を有するキャップと、を含み、
前記流入口を介して供給された前記水分含有未反応ガスが、前記多数のホールに均一に分配され、前記多数のホールを通過した前記水分含有未反応ガスが、放射状に前記中空糸膜に分配されるように、前記キャップの内周面に沿って多数の導出部が形成されている、燃料電池用加湿器。
【請求項2】
前記導出部は、前記膜ハウジングの各ホールと互いに一対一に対応するように形成されたことを特徴とする、請求項1に記載の燃料電池用加湿器。
【請求項3】
前記導出部は、前記膜ハウジングの各ホールの上部に位置していることを特徴とする、請求項1に記載の燃料電池用加湿器。
【請求項4】
前記膜ハウジングは、チューブ状または多角柱状であることを特徴とする、請求項1に記載の燃料電池用加湿器。
【請求項5】
前記多角柱状の膜ハウジングは、内部に隔壁が形成されていることを特徴とする、請求項4に記載の燃料電池用加湿器。
【請求項6】
前記多角柱状の膜ハウジングは、四角柱状の膜ハウジングであることを特徴とする、請求項4に記載の燃料電池用加湿器。
【請求項7】
前記キャップは、前記中空糸膜の中空と連通する排出口をさらに含み、前記中空糸膜の中空から排出される加湿された反応ガスが、前記排出口を通じて前記燃料電池に提供されることを特徴とする、請求項1に記載の燃料電池用加湿器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、加湿器に係り、より具体的には、燃料電池用加湿器に関する。
【背景技術】
【0002】
燃料電池とは、水素と酸素を結合させて電気を生産する発電型電池である。燃料電池は、乾電池や蓄電池などの一般の化学電池とは異なり、水素と酸素が供給される限り、電気を生産し続けることができ、熱損失がないので、内燃機関よりも2倍程度効率が高い。また、水素と酸素の結合により発生する化学エネルギーを電気エネルギーに直接変換するため、燃料電池は、環境親和的であるだけでなく、化石燃料の枯渇に対する憂慮を減らすことができるという利点がある。
【0003】
このような燃料電池は、使われる電解質の種類によって、高分子電解質型燃料電池、リン酸型燃料電池、溶融炭酸塩型燃料電池、固体酸化物型燃料電池、及びアルカリ型燃料電池などに大別できる。これらのそれぞれの燃料電池は、根本的に同じ原理により作動するが、使われる燃料の種類、運転温度、触媒、電解質などが互いに異なる。このうち、高分子電解質型燃料電池は、他の燃料電池に比べて低温で作動することができ、出力密度が大きいため、小型化が可能である。そのため、高分子電解質型燃料電池は、小規模の据え置き型発電装備だけでなく、輸送システムにおいても利用可能である。
【0004】
高分子電解質型燃料電池の性能を向上させるにおいて最も主要な要因の一つは、膜−電極接合体の高分子電解質膜に所定の水分を供給することにより含水率を維持させることである。これは、高分子電解質膜が乾燥すると発電効率が急激に低下するためである。
【0005】
高分子電解質膜を加湿する方法の一つとして、高分子分離膜を用いて流動ガスに水分を供給する加湿膜方式がある。
【0006】
加湿膜方式は、未反応ガス中に含まれた水蒸気のみを選択的に透過させる膜を用いて、未反応ガス中の水蒸気を高分子電解質膜に提供する方式であり、加湿器を軽量化及び小型化できるという利点がある。
【0007】
このような、加湿膜方式に使用される選択的透過膜は、モジュールを形成する場合、単位体積当たりの透過面積が大きい中空糸膜が好ましい。すなわち、中空糸膜を用いて加湿器を製造する場合、接触表面積が広い中空糸膜の高集積化が可能なので、小さな体積でも燃料電池の加湿を十分に行うことができ、安い素材の使用が可能であり、燃料電池から高温で排出される未反応ガスに含まれた水分と熱を回収して、加湿器を通じて再使用できるという利点がある。
【0008】
図1及び
図6は、従来の燃料電池用加湿器100、300を示しており、
図1は、チューブ状の加湿器100で、
図6は、四角柱状の加湿器300である。図示したように、燃料電池用加湿器100、300は、中空糸膜120、320束を内蔵する膜ハウジング110、310を含む。このような膜ハウジング110、310の一側には、反応ガスが流入する第1流入口141、341が形成され、膜ハウジング110、310の他側には、加湿された反応ガスを燃料電池に供給するための第2排出口152、352が形成されている。このような膜ハウジング110、310の一側には、燃料電池から排出される水分含有未反応ガスが流入する第2流入口151、351を有する第2キャップ150、350が形成され、膜ハウジング110、310の他側には、前記第2流入口151、351を通じて膜ハウジング110、310内に流入した前記未反応ガスを排出するための第1排出口142、342を有する第1キャップ140、340が形成されている。一方、第2流入口151、351を有する第2キャップ150、350が付着された膜ハウジング110、310の外側面には、多数の第2ホール112、312が形成されている。
【0009】
上記のような構造を有する燃料電池用加湿器100、300の場合、第2流入口151、351を通じて流入した水分含有未反応ガスは、中空糸膜120、320束の全体に均一に分散されないという問題がある。すなわち、流入する水分含有未反応ガスのほとんどが、その直進性を維持するため、多数の第2ホール112、312のうち前記第2流入口151、351に比較的近接したホールにのみ集中的に流れるようになる。その結果、水分含有未反応ガスと接触した中空糸膜の中空を流れる反応ガスにのみ水分を提供することになり、残りの中空糸膜の中空を流れる反応ガスには水分を提供できなくなる。したがって、このような残りの中空糸膜は、加湿に寄与する程度が極めて小さくなり、その結果、加湿器100、300の加湿性能の低下をもたらす。
【0010】
特に、
図7に示すように、チューブ状の加湿器100とは異なり、四角柱状の加湿器300は、衝突し得る妨害物がほとんどないため、第2流入口351を通じて流入した未反応ガスのほとんどが直進性を維持し、これによって、未反応ガスは、第2流入口351に比較的近接した中空糸膜にさらに集中的に接触する。その結果、四角柱状の加湿器300の加湿性能はさらに低下する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
したがって、本発明は、上記のような従来の問題点を解決できる燃料電池用加湿器に関する。本発明の利点は、加湿器内に備えられた全ての中空糸膜において行われる加湿の程度を均一にすることで、燃料電池に提供される反応ガスと接触する中空糸膜全体の面積を最大化することによって、優れた加湿性能を示すことができる燃料電池用加湿器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記のような目的を達成するための本発明の一側面として、本発明の燃料電池用加湿器は、第1端部、及び前記第1端部の反対側に位置する第2端部を含み、前記第2端部の外側面に多数のホールが形成された膜ハウジングと、前記膜ハウジング内に位置し、両端部が前記膜ハウジングの端部にそれぞれポッティングされた中空糸膜と、前記膜ハウジングの第2端部に装着され、水分含有未反応ガスを受けるための流入口を有し、前記流入口から供給された水分含有未反応ガスが、前記膜ハウジングの多数のホールに均一に分配されるように、内部壁面に導出部が形成されたキャップと、を含む。
【0013】
この時、前記導出部は、前記膜ハウジングの各ホールと互いに一対一に対応するように形成されることができる。
【0014】
また、前記導出部は、前記膜ハウジングの各ホールの上部に位置することができる。
【0015】
前記膜ハウジングは、チューブ状または多角柱状に形成されることができる。
【0016】
さらに、前記多角柱状の膜ハウジングは、内部に隔壁が形成されているハウジングであってもよい。
【0017】
前記多角柱状の膜ハウジングは、四角柱状の膜ハウジングであってもよい。
【0018】
前記キャップは、前記中空糸膜の中空と連通する排出口をさらに含み、前記中空糸膜の中空から排出される加湿された反応ガスが、前記排出口を通じて前記燃料電池に提供されることができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明の燃料電池用加湿器によれば、流入する水分含有未反応ガスが、加湿器内に備えられた全ての中空糸膜に均一に伝達されるので、加湿器内の中空糸膜を通過する全ての反応ガスが均等に加湿され得る。したがって、本発明の燃料電池用加湿器は、向上した加湿性能を示す。
【0020】
また、水分を含有した未反応ガスが加湿器内の膜に均等に提供されることで、中空糸膜の汚染の偏重現象を防止し、結果的に中空糸膜の交換周期を延長する効果を示す。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】従来技術に係るチューブ状の燃料電池用加湿器の断面図である。
【
図2】従来技術に係るチューブ状の燃料電池用加湿器の断面図である。
【
図3】本発明の一実施例に係るチューブ状の燃料電池用加湿器の断面図及び概略図である。
【
図4】本発明の一実施例に係るチューブ状の燃料電池用加湿器の断面図及び概略図である。
【
図5】本発明の一実施例に係るチューブ状の燃料電池用加湿器の断面図及び概略図である。
【
図6】従来技術に係る四角柱状の燃料電池用加湿器の断面図である。
【
図7】従来技術に係る四角柱状の燃料電池用加湿器の断面図である。
【
図8】本発明の一実施例に係る四角柱状の燃料電池用加湿器の断面図及び概略図である。
【
図9】本発明の一実施例に係る四角柱状の燃料電池用加湿器の断面図及び概略図である。
【
図10】本発明の一実施例に係る四角柱状の燃料電池用加湿器の断面図及び概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明の技術的思想及び範囲を逸脱しない範囲内で本発明の様々な変形が可能であるという点は当業者にとって自明である。したがって、本発明は、特許請求の範囲に記載された発明、及びその均等物の範囲内に含まれる変形を全て含む。同一の符号番号は同一又は同様の部材を示す。
【0023】
以下では、添付の図面を参照して、本発明に係る燃料電池用加湿器の好ましい各実施例を詳細に説明する。
【0024】
図3乃至5は、本発明の一実施例に係るチューブ状の加湿器200の断面図及び概略図である。
【0025】
チューブ状の加湿器200は、両端部が開放されたチューブ状の膜ハウジング210を含む。前記膜ハウジング210は、第1端部、及び前記第1端部の反対側に位置する第2端部を含む。前記第1端部の円周面には、多数の第1ホール211が形成され、前記第2端部の円周面には、多数の第2ホール212が形成されている。前記膜ハウジング210内に中空糸膜220束が位置する。前記中空糸膜220の両端部は、前記膜ハウジング210の前記第1及び第2端部にそれぞれポッティング剤230によりポッティングされている。前記中空糸膜220の両端部は、開放された状態で存在するため、膜ハウジング210の外部の流体が中空糸膜の中空を貫通して流れることができる。また、膜ハウジング210の両端部は、前記ポッティング剤230により満たされているため、膜ハウジング210の内部への流体の流入及び排出は、前記膜ハウジング210の第1ホール211及び第2ホール212を通じてのみ行われることができる。
【0026】
前記膜ハウジング210の第1端部には、第1キャップ240が付着される。前記第1キャップ240は、燃料電池に提供される反応ガスを外部から受けるための第1流入口241を有する。第1キャップ240の内面と膜ハウジング210の第1端部との間には、シーリング部260が位置し、前記第1流入口241を通じて流入した反応ガスが、前記多数の第1ホール211を通じて膜ハウジング210の内部に流れるのを遮断する。すなわち、第1キャップ240の前記第1流入口241が、前記中空糸膜220の中空にのみ連通されているので、前記第1流入口241を通じて流入した反応ガスは、ただ中空糸膜220の中空にのみ流れ込む。
【0027】
前記膜ハウジング210の第2端部には、第2キャップ250が装着される。前記第2キャップ250は、燃料電池(図示せず)から供給される水分含有未反応ガスが流入する第2流入口251を有する。前記第2キャップ250の内面と前記膜ハウジング210の第2端部との間には、シーリング部260が設置され、前記第2流入口251を通じて流入した水分含有未反応ガスが多数の第2ホール212に流れるのが遮断される。すなわち、前記第2キャップ250の第2流入口251が、前記多数の第2ホール212にのみ連通されるので、前記第2流入口251を通じて流入した水分含有未反応ガスは、多数の第2ホール212を通じてのみ前記膜ハウジング210の内部に移動する。第2ホール212を通じて膜ハウジング210の内部に流れてきた水分含有未反応ガスは、膜を通じて前記中空糸膜220の中空を流れる反応ガスに水分を提供する。
【0028】
一方、
図1及び
図2に示すように、従来のチューブ状の加湿器100は、多数の第2ホール112が膜ハウジング110の第2端部の円周面に沿って形成されているため、前記第2流入口151に近接した第2ホール112と、前記第2流入口151から遠くに位置する第2ホール112に流れる水分含有未反応ガスの量が異なる。すなわち、水分含有未反応ガスは、直進性を示すので、前記第2流入口151に近接した第2ホール112には、相対的に多量の水分含有未反応ガスが流れ、前記第2流入口151から遠くに位置する第2ホール112には、相対的に少量の水分含有未反応ガスが流れることになる。その結果、前記第2流入口151に近接した第2ホール112の下部に位置した中空糸膜120の中空を流れる反応ガスには、水分が多量提供され、前記第2流入口151から遠い第2ホール112の下部に位置した中空糸膜120の中空を流れる反応ガスには、水分が少量提供される。すなわち、前記第2流入口151と相対的に遠い距離に位置する中空糸膜120の中空を流れる反応ガスには、ほとんど水分が供給されない。したがって、前記第2流入口151と相対的に遠い距離に位置する中空糸膜120は、反応ガスの加湿に寄与する程度が極めて小さくなり、これは、結局、加湿器の性能を低下させる。
【0029】
反面、
図3乃至
図5に示すように、本発明の一実施例に係るチューブ状の加湿器200は、膜ハウジング210の第2端部の円周面に沿って形成された第2ホール212の上部に位置し、第2キャップ250の内部壁面に形成された導出部253を含んでいる。前記導出部253は、第2流入口251を通じて流入した水分含有未反応ガスが直線的に流れるのを防止することによって、前記未反応ガスが、膜ハウジング210内の全ての中空糸膜220と均一に接触するようにする。したがって、中空糸膜220の中空を流れる全ての反応ガスに水分が均一に提供されることができ、結果的に、加湿器の加湿性能が向上する。
【0030】
すなわち、本発明のチューブ状の加湿器200の断面図である
図5を参考にすると、第2流入口251を通じて加湿器内に流入した水分含有未反応ガスは、第2キャップ250の内部壁面に形成された導出部253にぶつかって直流から渦流に変わることにより、水分含有未反応ガスが、第2流入口251に近接した第2ホール212にのみ流れるのを防止する。このような渦流の水分含有未反応ガスは、前記第2キャップ250の内部面及び前記膜ハウジング210の外周面に沿って分散する。このような未反応ガスが、多数の第2ホール212に均一に分配されることによって、水分含有未反応ガスが中空糸膜220に均一に提供されることができる。これによって、本発明のチューブ状の加湿器200は、優れた加湿性能を示すだけでなく、一部の中空糸膜220にのみ汚染が偏重される現象を防止でき、加湿器のメンテナンスコストを節減できる。
【0031】
前記導出部253の形状は、特に限定するものではないが、半円筒、半球、頂点が丸い円錐のような円形状や、多角錐、円錐、多角柱のような角のある形状などを例に挙げることができるが、渦流を容易に生成し、中空糸膜220の中空が特に汚染されるのを抑制する。また、前記導出部253は、第2ホール212の上部に位置することによって、未反応ガスの中空糸膜220内での偏重現象を一層効果的に防止できる。一方、前記導出部253は、適切な個数で第2キャップ250の内部壁面に形成されることができ、全ての第2ホール212に均一に水分含有未反応ガスが流れ込むことができるように、前記第2ホール212と一対一に対応するように形成されるのが好ましい。
【0032】
上述したように、第2流入口251及び多数の第2ホール212を順次に通過して、膜ハウジング210の内部に引き込まれた水分含有未反応ガスは、次第に水分を失うことによって乾燥する。このように乾燥した未反応ガスは、第1キャップ240に形成された第1排出口242を通じて外部に排出される。
【0033】
すなわち、膜ハウジング210内の乾燥した未反応ガスは、多数の第1ホール211を通じて膜ハウジング210の外部に排出された後、前記第1排出口242を通じて加湿器の外部に排出される。シーリング部260が、前記膜ハウジング210の外部に排出された未反応ガスの第1流入口241への流れを遮断するので、多数の第1ホール211から排出された未反応ガスは、第1排出口242を通じてのみ加湿器200の外部に排出される。
【0034】
一方、第1流入口241を通じて加湿器内に引き込まれた反応ガスは、中空糸膜220の中空に沿って流れながら水分を伝達されて湿った状態になる。第2キャップ250は、前記加湿された反応ガスを燃料電池に伝達するための第2排出口252を有する。前記第2排出口252は、中空糸膜220の中空と連通されているので、中空糸膜220の中空から排出された加湿された反応ガスは、前記第2排出口252を通じて燃料電池に供給される。
【0035】
すなわち、第2キャップ250の内面と膜ハウジング210との間に位置するシーリング部260は、第2キャップ250の内面と膜ハウジング210との間の空間を、第1空間S1及び第2空間S2に分ける。前記第1空間S1は、中空糸膜220の中空と第2排出口252との間のガス流動経路を提供し、前記第2空間S2は、前記第2流入口251と前記多数の第2ホール212との間のガス流通経路を提供する。
【0036】
同様に、第1キャップ240の内面と膜ハウジング210との間に位置するシーリング部260も、第1キャップ240の内面と膜ハウジング210との間の空間を2つに分けることで、第1流入口241と中空糸膜220の中空との間のガス流動経路、及び多数の第1ホール211と第1排出口242との間のガス流動経路をそれぞれ提供する。
【0037】
本発明の他の実施例である、上述したチューブ状の代わりに、多角柱状のうち一つである四角柱状の加湿器400について説明する。本発明の他の実施例である加湿器400を以下に説明する。
【0038】
本発明の四角柱状の加湿器400は、チューブ状の加湿器200と類似した構成からなっている。ただし、四角柱状の加湿器400は、チューブ状の加湿器200とは異なり、四角柱状の膜ハウジング410と、前記四角柱状の膜ハウジング410と対応するように、四角柱状の内部を有するキャップ440、450とを有している。
【0039】
前記四角柱状の加湿器400の膜ハウジング410は、四角柱状となっているので、前記膜ハウジング410の内部に多数の中空糸膜420束を高密度に充填することができ、その結果、中空糸膜420の集積率を高めることができる。これによって、四角柱状の加湿器400は、チューブ状の加湿器200より大容量の燃料電池にさらに適している。
【0040】
前記膜ハウジング410は、内部に中空糸膜420束を分ける隔壁(図示せず)が設置されてもよい。このような隔壁により膜ハウジング410の内部の中空糸膜が多数の中空糸膜420束に分かれると、湿潤な未反応ガスが束の内部の中空糸膜420に到達する時間が短くなるので、加湿器の効率を一層高めることができる。
【0041】
このように、加湿器の効率を高めるために多数個の隔壁を設置することができるが、隔壁が過度に多く膜ハウジング410の内部に設置される場合、中空糸膜420が占める面積が減って、加湿器の効率が低下し得るため、3乃至7個の隔壁が膜ハウジング410の内部に設置されることができる。
【0042】
従来の四角柱状の加湿器300は、
図6及び
図7に示すように、第2ホール312がある膜ハウジング310の上部平面と、これと対向する第2キャップ350の内部壁面との間に、四角通路が形成されている。これによって、前記第2流入口351から流入した水分含有未反応ガスは、前記四角通路を通じて大きい抵抗なしに直線的に流れ、その結果、前記未反応ガスが、第2流入口351に近接した第2ホール312にのみ集中的に流れる。特に、未反応ガスが前記四角通路に沿って流れる従来の四角柱状の加湿器300は、未反応ガスが壁面とぶつかりながら丸い通路に沿って流れるチューブ状の加湿器100よりも、水分含有未反応ガスと接触する中空糸膜320及び接触できない中空糸膜320に対する偏重現象がさらに激しくなる。
【0043】
しかし、本発明の四角柱状の加湿器400は、膜ハウジング410の上部側面に形成された第2ホール412と対応する多数の導出部453が、第2キャップ450の内部壁面に形成されているので、第2流入口451を通じて流入した水分含有未反応ガスが、膜ハウジング410内の全ての中空糸膜420束と均一に接触できるようになる。
【0044】
すなわち、
図9のB’−B”線に沿って切断した四角柱状の加湿器400の断面図である
図10を参照すると、第2流入口451を通じて加湿器内に流入した水分含有未反応ガスは、膜ハウジング410の第2ホール412の上部に位置し、第2キャップ450の内部壁面に形成された導出部453にぶつかる。このように、導出部453にぶつかった未反応ガスは、直流性を失って渦流に変わり、これによって、前記第2流入口451から遠い位置である多数の第2ホール412まで流れる。その結果、未反応ガスは、多数の第2ホール412にさらに均一に配分されることができる。したがって、本発明に係る四角柱状の加湿器400は、反応ガスに水分を提供する水分含有未反応ガスが、中空糸膜420束に均一に提供されることができるので、優れた加湿性能を示すだけでなく、水分の選択的伝達機能をする中空糸膜420束の膜の汚染が、一部の中空糸膜420に偏重される現象を防止でき、加湿器のメンテナンス及び修理コストを節減できる。
【0045】
図3乃至5、及び
図8乃至10に例示された本発明の一実施例に係る燃料電池用加湿器200、400の動作を具体的に説明すると、次の通りである。
【0046】
燃料電池に供給される反応ガスが、第1流入口241、441を通じて加湿器200、400に流入すると同時に、燃料電池から排出される水分含有未反応ガスが、第2流入口251、451及び多数の第2ホール212、412を通じて膜ハウジング210、410の内部に流入する。第1流入口241、441を通じて流入した反応ガスは、中空糸膜220、420束に伝達され、中空糸膜220、420の中空に沿って第2排出口252、452側に移動する。
【0047】
第1流入口241、441を通じて流入した反応ガスは、乾燥した状態である反面、第2流入口251、451及び多数の第2ホール212、412を通じて膜ハウジング210、410の内部に流入した未反応ガスは、多量の水分を含有しているため、中空糸膜220、420の内外で湿度の差が生じることになる。このような中空糸膜220、420の内外の湿度の差によって、未反応ガスの水分が、中空糸膜220、420を通じて、その中空に選択的に透過し、中空糸膜220、420の中空に沿って第2排出口252、452側に移動する反応ガスの湿度が高まる。
【0048】
反面、第2流入口251、451及び多数の第2ホール212、412を通じて膜ハウジング210、410の内部に流入した燃料電池からの未反応ガスは、水分を失い、次第に乾燥し、このように乾燥した未反応ガスは、多数の第1ホール211、411及び第1排出口242、442を順次に通過し、加湿器200、400の外に排出される。
【0049】
結果的に、上述した作動原理により、元の反応ガスよりも高い湿度を有する反応ガスを燃料電池に供給できるようになる。
【0050】
一方、本発明の一実施例によれば、燃料電池に供給される反応ガスを受けるための第1流入口241、441、及び燃料電池から提供される水分含有未反応ガスを受けるための第2流入口251、451が互いに異なるキャップに形成される。これは、膜ハウジング210、410の内部に位置する中空糸膜220、420の全体にかけて未反応ガスに含まれた水分を十分に透過させるためである。すなわち、第1流入口241、441から第2排出口252、452に移動する反応ガスの場合、第1流入口241、441側では湿度が低いが、中空糸膜220、420を通じて未反応ガスから水分が持続的に供給されるので、第2排出口252、452側に行くほど湿度が増加する。したがって、第1流入口241、441側に位置する中空糸膜220、420の部分には、相対的に低い湿度の未反応ガスが接触し、第2排出口252、452側に位置する中空糸膜220、420の部分には、相対的に高い湿度の未反応ガスが接触するようにすることで、中空糸膜220、420全体にかけて均一な水分の透過を達成できるようになる。
【0051】
選択的に、燃料電池に供給される反応ガス、及び燃料電池から提供される未反応ガスを受けるための流入口を同じキャップに形成することもできる。この場合、加湿器の反対側に装着される他のキャップには、加湿された反応ガス、及び水分を失った未反応ガスをそれぞれ排出するための排出口が形成される。
【0052】
本発明の燃料電池型加湿器200、400によれば、水分を含有した未反応ガスが加湿器内の中空糸膜220、420束に均等に提供されることによって、膜の汚染現象がある一部分に集中されず、全ての膜に均一に発生し、結果的に、膜の汚染を極力遅延させて、膜の交換周期を増やし、加湿器のメンテナンスコストを節減するという効果がある。