特許第5674841号(P5674841)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5674841BLDCモーター駆動装置及びその制御方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5674841
(24)【登録日】2015年1月9日
(45)【発行日】2015年2月25日
(54)【発明の名称】BLDCモーター駆動装置及びその制御方法
(51)【国際特許分類】
   H02P 6/18 20060101AFI20150205BHJP
【FI】
   H02P6/02 371T
【請求項の数】16
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2013-49673(P2013-49673)
(22)【出願日】2013年3月12日
(65)【公開番号】特開2014-131457(P2014-131457A)
(43)【公開日】2014年7月10日
【審査請求日】2013年3月12日
(31)【優先権主張番号】10-2012-0155295
(32)【優先日】2012年12月27日
(33)【優先権主張国】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】594023722
【氏名又は名称】サムソン エレクトロ−メカニックス カンパニーリミテッド.
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】龍華国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】ヨウム、ジュン ユン
(72)【発明者】
【氏名】グ、ボン ヤン
【審査官】 森山 拓哉
(56)【参考文献】
【文献】 特開2004−328850(JP,A)
【文献】 特開平05−284781(JP,A)
【文献】 特開2005−137069(JP,A)
【文献】 特開2001−016890(JP,A)
【文献】 特開2011−083396(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02P 6/00−6/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
モーターの回転子を整列する回転子整列段階と、
前記回転子の整列情報を保存する整列情報保存段階と、
前記回転子が整列したか否かを判断する整列可否判断段階と、
前記整列情報に基づいてモーターの回転子を再整列する再整列段階と、を含み、
前記整列可否判断段階は、
インバーター部を制御して前記モーターの回転子を回転させる段階と、
インバーター部の電流を検出する段階と、
前記検出された前記インバーター部の電流に基づいて整列可否情報を検出する段階と、
前記整列可否情報に基づいて、前記回転子が整列していないと判断されると、前記モーターを停止させる段階と、を含む、BLDCモーター駆動装置の制御方法。
【請求項2】
前記インバーター部の電流を検出する段階は、
前記モーターの回転子が回転し始めてから、逆起電力が検出されるまでの区間における前記インバーター部の電流を検出し、
前記整列可否情報を検出する段階は、
前記検出された前記インバーター部の電流の情報と、前記回転子が整列している場合に前記区間で検出される前記インバーター部の電流について予め保存された情報と、に基づいて前記整列可否情報を検出する、請求項1に記載のBLDCモーター駆動装置の制御方法。
【請求項3】
前記回転子整列段階は、
第1相コイル、第2相コイル及び第3相コイルを備えた3相モーターにおいて、前記第1相コイル及び前記第2相コイルに対して電圧を印加する段階を含む、請求項1または2に記載のBLDCモーター駆動装置の制御方法。
【請求項4】
前記整列情報保存段階は、
前記3相モーターの3相コイルのうち電圧が印加された前記第1相コイル及び前記第2相コイルに対する情報を保存する段階を含む、請求項に記載のBLDCモーター駆動装置の制御方法。
【請求項5】
前記整列可否判断段階は、
予め設定された測定時間の間に前記回転子が整列したか否かを判断する、請求項1からの何れか1項に記載のBLDCモーター駆動装置の制御方法。
【請求項6】
前記整列可否判断段階は、
予め設定された測定回数の間に前記回転子が整列したか否かを判断する、請求項1からの何れか1項に記載のBLDCモーター駆動装置の制御方法。
【請求項7】
前記再整列段階は、
前記3相モーターの3相コイルのうち前記第2相コイル及び前記第3相コイルに対して電圧を印加する段階を含む、請求項に記載のBLDCモーター駆動装置の制御方法。
【請求項8】
前記再整列段階は、
前記3相モーターの3相コイルのうち前記第1相コイル及び前記第3相コイルに対して電圧を印加する段階を含む、請求項に記載のBLDCモーター駆動装置の制御方法。
【請求項9】
モーターの回転子を整列させるインバーター部と、
前記回転子の整列情報を保存する保存部と、
前記モーターの回転子を回転させるように前記インバーター部を制御し、前記インバーター部の電流を検出し、前記検出された前記インバーター部の電流に基づいて前記回転子が整列したか否かを判断し、前記回転子が整列していないと判断されると、前記回転子を停止させ、前記整列情報に基づいて前記回転子を再整列するように前記インバーター部を制御する制御部と、を含、BLDCモーター駆動装置。
【請求項10】
前記制御部は、
前記モーターの回転子が回転し始めてから、逆起電力が検出されるまでの区間における前記インバーター部の電流を検出し、前記検出された前記インバーター部の電流の情報と、前記回転子が整列している場合に前記区間で検出される前記インバーター部の電流について予め保存された情報と、に基づいて前記回転子が整列したか否かを判断する、請求項9に記載のBLDCモーター駆動装置。
【請求項11】
前記インバーター部は、
第1相コイル、第2相コイル及び第3相コイルを備えた3相モーターにおいて、前記第1相コイル及び前記第2相コイルに対して電圧を印加する、請求項9または10に記載のBLDCモーター駆動装置。
【請求項12】
前記保存部は、
前記3相モーターの3相コイルのうち電圧が印加された前記第1相コイル及び前記第2相コイルに対する情報を保存する、請求項1に記載のBLDCモーター駆動装置。
【請求項13】
前記制御部は、
予め設定された測定時間の間に前記回転子が整列したか否かを判断する、請求項から1の何れか1項に記載のBLDCモーター駆動装置。
【請求項14】
前記制御部は、
予め設定された測定回数の間に前記回転子が整列したか否かを判断する、請求項から1の何れか1項に記載のBLDCモーター駆動装置。
【請求項15】
前記インバーター部は、
前記モーターの回転子を再整列する場合、前記3相モーターの3相コイルのうち前記第2相コイル及び前記第3相コイルに対して電圧を印加する、請求項1に記載のBLDCモーター駆動装置。
【請求項16】
前記インバーター部は、
前記モーターの回転子を再整列する場合、前記3相モーターの3相コイルのうち前記第1相コイル及び前記第3相コイルに対して電圧を印加する、請求項1に記載のBLDCモーター駆動装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ブラシレスDC(BLDC;Brushless DC)モーター駆動装置に関し、より詳細には、モーター駆動の安定性を向上させることができるBLDCモーター駆動装置及びその制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ブラシレスDCモーターは、ブラシ、整流子などの機械的な接触部を除去し、その代わりに電子的な整流機器を用いて駆動する直流モーターであり、永久磁石からなるローター(rotor)と、3相又は多相のコイルを備えて各コイルの相電圧によって回転する回転子からなる。
【0003】
このようなブラシレスDCモーターを効率的に駆動するためには、回転子の各相の転流(commutation)が適切な時点で行われなければならず、適切な転流のためには回転子の位置を認識する必要がある。回転子の位置検出は、ホールセンサーやリゾルバーなどの素子を用いて行われることができるが、この場合、駆動回路が複雑になるため、センサーなしにブラシレスDCモーターを駆動するための駆動装置が開発された。
【0004】
一方、位置検出素子の代わりに電気回路を用いて回転子の位置を検出する運転モードをセンサーレス運転モードと言う。
【0005】
例えば、ホールセンサーを用いることなくモーターを駆動する場合、逆起電力(BEMF;Back Electro‐Motive Force)を検出して位置情報を得る方法が通常多く用いられる。
【0006】
しかし、モーターの低速運行時又は停止時には逆起電力の検出が困難であるため初期モーターを駆動する場合にモーターの回転子の位置情報を正確に把握することが困難である。
【0007】
この場合、センサーレスモーターを駆動するためにモーターの回転子を最初整列した後、上記モーターの逆起電力が検出されるまでモーターを加速させ、逆起電力検出後にモーターの速度を制御する方法が用いられる。
【0008】
この際、モーターの回転子が誤って整列された状態でモーターが回転し始めると起動失敗が生じ得る。さらに、上記起動失敗は当然ながら後で把握される。
【0009】
下記先行技術文献に記載の特許文献1は、初期起動失敗時に自動的に再起動することができる洗濯機に関するものであり、モーターの起動失敗時に回転子を効率的に再整列するための構成を開示していない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】韓国公開公報10‐2008‐0027690
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は、モーターの初期駆動時に起動失敗を迅速に検出することができるBLDCモーター駆動装置及びその制御方法を提供することを目的とする。
【0012】
また、本発明は、モーターの起動失敗を検出した後、モーターの回転子を効率的に再整列することができるBLDCモーター駆動装置及びその制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の一実施形態によるBLDCモーター駆動装置の制御方法は、モーターの回転子を整列する段階と、上記回転子の整列情報を保存する段階と、上記回転子が整列したか否かを判断する段階と、上記整列情報に基づいてモーターの回転子を再整列する段階と、を含むことができる。
【0014】
上記回転子整列段階は、第1相コイル、第2相コイル及び第3相コイルを備えた3相モーターにおいて、第1相コイル及び第2相コイルに対して電圧を印加する段階を含むことができる。
【0015】
上記整列情報保存段階は、3相モーターの3相コイルのうち電圧が印加された第1相コイル及び第2相コイルに対する情報を保存する段階を含むことができる。
【0016】
上記整列可否判断段階は、上記モーターの回転子を回転させる段階と、上記回転子の回転に基づいて整列可否情報を検出する段階と、上記整列可否情報に基づいてモーターを停止させる段階と、を含むことができる。
【0017】
上記整列可否情報を検出する段階は、上記モーターの角速度情報、上記モーターの逆起電力情報及び上記インバーター部の電流情報のうち少なくとも一つを検出する段階を含むことができる。
【0018】
上記整列可否判断段階は、予め設定された測定時間の間に上記回転子が整列したか否かを判断することができる。
【0019】
上記整列可否判断段階は、予め設定された測定回数の間に上記回転子が整列したか否かを判断することができる。
【0020】
上記再整列段階は、上記3相モーターの3相コイルのうち第2相コイル及び第3相コイルに対して電圧を印加する段階を含むことができる。
【0021】
上記再整列段階は、上記3相モーターの3相コイルのうち第1相コイル及び第3相コイルに対して電圧を印加する段階を含むことができる。
【0022】
本発明の一実施形態によるBLDCモーター駆動装置は、モーターの回転子を整列させるインバーター部と、上記回転子の整列情報を保存する保存部と、上記回転子が整列したか否かを判断する制御部と、を含み、上記インバーター部は、上記整列情報に基づいてモーターの回転子を再整列することができる。
【0023】
上記インバーター部は、第1相コイル、第2相コイル及び第3相コイルを備えた3相モーターにおいて、第1相コイル及び第2相コイルに対して電圧を印加することができる。
【0024】
上記保存部は、3相モーターの3相コイルのうち電圧が印加された第1相コイル及び第2相コイルに対する情報を保存することができる。
【0025】
上記インバーター部は上記モーターの回転子を回転させ、上記制御部は上記回転子の回転に基づく整列可否情報を取得することができる。
【0026】
上記整列可否情報は、上記モーターの角速度情報、上記モーターの逆起電力情報及び上記インバーター部の電流情報のうち少なくとも一つを含むことができる。
【0027】
上記制御部は、予め設定された測定時間の間に上記回転子が整列したか否かを判断することができる。
【0028】
上記制御部は、予め設定された測定回数の間に上記回転子が整列したか否かを判断することができる。
【0029】
上記インバーター部は、上記モーターの回転子を再整列する場合、上記3相モーターの3相コイルのうち第2相コイル及び第3相コイルに対して電圧を印加することができる。
【0030】
上記インバーター部は、上記モーターの回転子を再整列する場合、上記3相モーターの3相コイルのうち第1相コイル及び第3相コイルに対して電圧を印加することができる。
【発明の効果】
【0031】
本明細書の開示により、モーターの初期駆動時に起動失敗を迅速に検出することができるBLDCモーター駆動装置及びその制御方法を提供することができる。
【0032】
また、本明細書の開示により、モーターの起動失敗を検出した後、モーターの回転子を効率的に再整列することができるBLDCモーター駆動装置及びその制御方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
図1】本発明の一実施例によるセンサーレスBLDCモーター駆動装置のブロック図である。
図2】BLDCモーター駆動装置に備えられたインバーター部の一例を示す図面である。
図3】従来のモーターの初期駆動段階を示すグラフである。
図4】本発明の一実施例によるBLDCモーター駆動装置の制御方法を示すフローチャートである。
図5】モーターの回転子を整列する方法の一例を示す図面である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
以下では、添付の図面を参照して本発明の好ましい実施形態について説明する。しかし、本発明の実施形態は様々な他の形態に変形されることができ、本発明の範囲は以下で説明する実施形態に限定されない。また、本発明の実施形態は、当該技術分野で平均的な知識を有する者に本発明をより完全に説明するために提供されるものである。したがって、図面における要素の形状及び大きさなどはより明確な説明のために誇張されることがある。
【0035】
一方、本明細書で説明するモーターには、3相モーター、4相モーターなどの多相モーターが含まれることができる。
【0036】
本明細書では説明の便宜上、3相モーターを基準とした駆動装置及びその制御方法について説明する。しかし、3相モーターを基準としたモーターの駆動装置及びその制御方法が多相モーターにも適用されることができることは本技術分野における当業者であれば容易に分かることができる。
【0037】
図1は本発明の一実施例によるセンサーレスBLDCモーター駆動装置のブロック図である。
【0038】
図1を参照すると、上記BLDCモーター駆動装置は、電源部20と、電圧検知部30と、インバーター部50と、制御部60と、過電流検知部70と、逆起電力検知部80と、保存部90と、を含むことができる。
【0039】
上記電源部20は、商用電源の交流電圧を直流電圧に変換させることができる。
【0040】
上記インバーター部50は、上記電源部からの直流電圧を3相(又は多相)電圧に変換してBLDCモーター10のコイルにそれぞれ印加することができる。上記BLDCモーターのコイルに印加される電圧により各相に流れる電流はモーター10の各コイルに磁界を発生させ、この磁界によってモーター10に備えられた回転子が回転することができる。
【0041】
上記のようにモーター10が回転する場合、モーター10の回転子に備えられたコイルに逆起電力が発生することができる。
【0042】
また、上記インバーター部50は、上記モーターの回転子を整列させることができる。例えば、上記インバーター部50は、第1相コイル、第2相コイル及び第3相コイルを備えた3相モーターにおいて第1相コイル及び第2相コイルに対して電圧を印加することができる。
【0043】
上記逆起電力検知部80は、このように上記ブラシレスDCモーター10の各コイルで発生する逆起電力を検出して制御部60に印加することができる。
【0044】
上記制御部60は、上記逆起電力検出信号を分析して、モーター10が最適に動作するようにインバーター部50を制御することができる。例えば、上記制御部60は、インバーター部50をスイッチング駆動させてモーター10に印加される相電圧を調節する。
【0045】
また、上記制御部は回転子が整列したか否かを判断することができる。
【0046】
一方、上記電流検知部70は、上記モーター10に印加される電流を検知することができる。また、上記電圧検知部30は、上記モーター10に印加される電圧を検知することができる。
【0047】
一方、上記制御部60は、上記電流検知部70からの電流情報、上記電圧検知部30からの電圧情報に基づいて上記インバーター部50の駆動を制御することができる。例えば、上記制御部60は高すぎる電圧あるいは電流がモーター10に印加される場合、モーター10に印加される電源を遮断させて安定した動作が行われるようにすることができる。
【0048】
上記保存部90は、上記回転子の整列情報を保存することができる。例えば、上記保存部90は、3相モーターの3相コイルのうち電圧が印加された第1相コイル及び第2相コイルに対する情報を保存することができる。
【0049】
図2はBLDCモーター駆動装置に備えられたインバーター部の一例を示す図面である。
【0050】
図2を参照すると、上記インバーター部50は、+電源端に連結される複数の上位スイッチ素子SW1〜SW3 51と、上記上位スイッチ素子SW1〜SW3それぞれと−電源端との間に備えられる複数の下位スイッチ素子SW4〜SW6 52と、を含むことができる。
【0051】
一方、上記各上位スイッチ素子SW1〜SW3と下位スイッチ素子SW4〜SW6との接点は、上記ブラシレスDCモーター10の各コイルU、V、Wに連結されることができる。
【0052】
図3は従来のモーターの初期駆動段階を示すグラフである。
【0053】
図3を参照すると、モーターの初期駆動段階は、整列区間Iと、加速区間IIと、制御区間IIIと、からなることができる。
【0054】
上記整列区間Iは、上記モーターの回転子が所定位置に配列される区間である。
【0055】
上記加速区間IIは、上記モーターのコイルに電圧が印加されてモーターの回転子が回転し始める区間である。
【0056】
上記制御区間IIIは、逆起電力が検出されて必要な速度でモーターを制御することが可能な区間である。
【0057】
既存の方法によると、モーターを駆動するためにモーターの回転子を最初整列した後、上記モーターの逆起電力が検出されるまでモーターを加速させ、逆起電力検出後にモーターの速度を制御することができる。また、制御区間IIIでモーターの起動失敗を把握することができる。
【0058】
本発明の一実施例によると、上記加速区間IIでモーターの回転子の整列が正しいかを把握することができ、これによりモーターの起動失敗を迅速に把握することができる。また、モーター駆動の安定性が向上することができる。
【0059】
図4は本発明の一実施例によるBLDCモーター駆動装置の制御方法を示すフローチャートである。
【0060】
本発明の一実施例によるBLDCモーター駆動装置の制御方法は、モーターの回転子を整列する段階を含むことができる(S410)。
【0061】
図5はモーターの回転子を整列する方法の一例を示す図面である。
【0062】
図5の(a)を参照すると、上記モーターの回転子13は、BLDCモーター10のW相コイルと直交する方向に整列されることができる。
【0063】
図2及び図5を参照すると、例えば、スイッチ素子SW1がターンオンし、スイッチ素子SW5がターンオンして、BLDCモーター10のU相コイルに+電圧が印加され、V相コイルに−電圧が印加されることができる。これにより、U相コイルとV相コイルとの間に反対極性の磁気力が発生し、上記磁気力の相互作用によってモーターの回転子13が整列されることができる。
【0064】
あるいは、スイッチ素子SW2がターンオンし、スイッチ素子SW4がターンオンして、BLDCモーター10のU相コイルに−電圧が印加され、V相コイルに+電圧が印加されることができる。これにより、U相コイルとV相コイルとの間に反対極性の磁気力が発生し、上記磁気力の相互作用によってモーターの回転子13が整列されることができる。
【0065】
図5の(b)を参照すると、上記モーターの回転子13は、BLDCモーター10のU相コイルと直交する方向に整列されることができる。
【0066】
図2及び図5を参照すると、例えば、スイッチ素子SW3がターンオンし、スイッチ素子SW5がターンオンして、BLDCモーター10のW相コイルに+電圧が印加され、V相コイルに−電圧が印加されることができる。これにより、W相コイルとV相コイルとの間に反対極性の磁気力が発生し、上記磁気力の相互作用によってモーターの回転子13が整列されることができる。
【0067】
あるいは、スイッチ素子SW2がターンオンし、スイッチ素子SW6がターンオンして、BLDCモーター10のW相コイルに−電圧が印加され、V相コイルに+電圧が印加されることができる。これにより、W相コイルとV相コイルとの間に反対極性の磁気力が発生し、上記磁気力の相互作用によってモーターの回転子13が整列されることができる。
【0068】
図5の(c)を参照すると、上記モーターの回転子13は、BLDCモーター10のV相コイルと直交する方向に整列されることができる。
【0069】
図2及び図5を参照すると、例えば、スイッチ素子SW3がターンオンし、スイッチ素子SW4がターンオンして、BLDCモーター10のW相コイルに+電圧が印加され、U相コイルに−電圧が印加されることができる。これにより、W相コイルとU相コイルとの間に反対極性の磁気力が発生し、上記磁気力の相互作用によってモーターの回転子13が整列されることができる。
【0070】
あるいは、スイッチ素子SW1がターンオンし、スイッチ素子SW6がターンオンして、BLDCモーター10のW相コイルに−電圧が印加され、U相コイルに+電圧が印加されることができる。これにより、W相コイルとU相コイルの間に反対極性の磁気力が発生し、上記磁気力の相互作用によってモーターの回転子13が整列されることができる。
【0071】
図4を参照すると、本発明の一実施例によるBLDCモーター駆動装置の制御方法は、整列情報を保存する段階を含むことができる(S410)。
【0072】
例えば、上記保存部90は上記整列情報を保存することができる。
【0073】
図5から分かるように、U相コイル、V相コイル、W相コイルを備えた3相モーターの3相コイルのうち二つの相に対して電圧を印加する場合、上記モーターの回転子の配置が決定されることができる。
【0074】
この際、上記整列情報は、上記モーターの回転子の整列形態を含むことができる。
【0075】
また、上記整列情報は、3相モーターの3相コイルのうち電圧が印加されたコイルに対する情報を含むことができる。例えば、図5の(a)に図示されたようにモーターの回転子が整列された場合、上記整列情報は、モーターのU相コイル、W相コイルに電圧が印加されたという情報を含むことができる。また、図5の(b)に図示されたようにモーターの回転子が整列された場合、上記整列情報は、モーターのW相コイル、V相コイルに電圧が印加されたという情報を含むことができる。また、図5の(c)に図示されたようにモーターの回転子が整列された場合、上記整列情報はモーターのV相コイル、U相コイルに電圧が印加されたという情報を含むことができる。
【0076】
本発明の一実施例によるBLDCモーター駆動装置の制御方法は、整列可否を判断する段階を含むことができる(S420)。
【0077】
例えば、上記BLDCモーター駆動装置のインバーター部50は、上記モーター10の回転子を回転させることができる。
【0078】
上記制御部60は、上記回転子の回転に基づいて整列可否情報を取得することができる。
【0079】
上記整列可否情報は、上記モーターの回転子の配置が正確に行われたかを判断するために必要な情報を含むことができる。例えば、上記整列可否情報は、上記モーターの回転子の角速度情報と、記インバーター部の電流情報と、を含むことができる。
【0080】
まず、上記インバーター部の電流情報に基づいて整列可否を判断する方法について説明する。
【0081】
本発明の一実施例によると、上記電流検知部70は、上記インバーター部の電流を測定することができる。また、上記制御部60は、上記電流検知部70からインバーター部で測定した電流情報を取得することができる。
【0082】
一方、上記保存部90は、モーター加速区間での正常電流情報を保存することができる。上記正常電流情報は、モーターの回転子の配置が正確な場合、上記加速区間で測定される電流情報を含むことができる。
【0083】
したがって、上記制御部60は、上記インバーター部の電流情報及び正常電流情報に基づいて上記回転子の整列が正常状態であるかを判別することができる。
【0088】
また、上記モーターの回転子の角速度情報に基づいて整列可否を判断する方法について説明する。
【0089】
本発明の一実施例によると、角速度検知部は、上記モーターの回転子の角速度を測定することができる。また、上記制御部60は、上記角速度検知部からモーターの回転子の角速度情報を取得することができる。
【0090】
一方、上記保存部90は、モーター加速区間での正常角速度情報を保存することができる。上記正常角速度情報は、モーターの回転子の配置が正確な場合、上記加速区間で測定される角速度情報を含むことができる。
【0091】
したがって、上記制御部60は、上記モーターの角速度情報及び正常角速度情報に基づいて上記回転子の整列が正常状態であるかを判別することができる。
【0092】
一方、上記制御部60は、予め設定された測定時間の間に上記回転子が整列したか否かを判断することができる。
【0093】
例えば、上記制御部60は、予め設定された測定時間の間に上記インバーター部の電流情報及び正常電流情報を比較して、上記回転子の整列が正常状態であるかを判別することができる。具体的には、上記制御部60は、予め設定された測定時間内に上記インバーター部の電流情報が所定の数値に至らなかった場合、上記回転子の整列が非正常状態で行われたと判断することができる。
【0095】
また、上記制御部60は、予め設定された測定時間の間に上記モーターの角速度情報及び正常角速度情報を比較して、上記回転子の整列が正常状態であるかを判別することができる。具体的には、上記制御部60は、予め設定された測定時間内に上記モーターの角速度情報が所定の数値に至らなかった場合、上記回転子の整列が非正常状態で行われたと判断することができる。
【0096】
一方、上記制御部60は、予め設定された測定回数の間に上記回転子が整列したか否かを判断することができる。
【0097】
例えば、上記制御部60は、予め設定された測定回数の間に上記インバーター部の電流情報及び正常電流情報を比較して、上記回転子の整列が正常状態であるかを判別することができる。具体的には、上記制御部60は、予め設定された測定回数内に上記インバーター部の電流情報が所定の数値に至らなかった場合、上記回転子の整列が非正常状態で行われたと判断することができる。
【0099】
また、上記制御部60は、予め設定された測定回数の間に上記モーターの角速度情報及び正常角速度情報を比較して、上記回転子の整列が正常状態であるかを判別することができる。具体的には、上記制御部60は、予め設定された測定回数内に上記モーターの角速度情報が所定の数値に至らなかった場合、上記回転子の整列が非正常状態で行われたと判断することができる。
【0100】
このような方式により、モーターの初期駆動時に起動失敗を迅速に検出することができるBLDCモーター駆動装置及びその制御方法を提供することができる。
【0101】
一方、本発明の一実施例によると、上記制御部60は、上記整列可否情報に基づいてモーターを停止させることができる。例えば、上記制御部60は、上記回転子の整列が非正常状態で行われたと判断した場合、上記モーターを停止させ、上記モーターの回転子を再整列させることができる。
【0102】
本発明の一実施例によるBLDCモーター駆動装置の制御方法は、上記整列情報に基づいてモーターの回転子を再整列する段階を含むことができる(S430)。
【0103】
すなわち、上記インバーター部50は、整列情報に基づいてモーターの回転子を再整列することができる。
【0104】
一方、説明の便宜上、U相コイル、V相コイル、W相コイルを備えた3相モーターに対して、回転子整列段階で電圧が印加された二つの相を第1相、第2相と定義する。また、上記回転子整列段階で電圧が印加されなかった残りの一つの相を第3相と定義する。
【0105】
本発明の一実施例によると、上記BLDCモーター駆動装置は、上記3相モーターの3相コイルのうち第2相コイル及び第3相コイルに電圧を印加してモーターを再整列することができる。
【0106】
あるいは、上記BLDCモーター駆動装置は、上記3相モーターの3相コイルのうち第1相コイル及び第3相コイルに電圧を印加してモーターを再整列することができる。
【0107】
すなわち、本発明の一実施例によるモーターの回転子再整列段階において、上記BLDCモーター駆動装置は、上記整列情報に基づいてモーターの回転子整列段階(S410)で電圧が印加されなかった相のコイルに電圧を印加することができる。
【0108】
上記整列情報は、3相モーターの3相コイルのうち回転子整列段階(S410)で電圧が印加されたコイルに対する情報を含んでおり、上記BLDCモーターの駆動装置がモーターの回転子配列を新たに整列することができる。
【0109】
すなわち、回転子再整列段階(S430)では回転子整列段階(S410)とは異なる方式でモーターの回転子が整列される。そのため、上記回転子再整列段階(S430)では、以前に誤りが発生しなかった回転子整列形態に対する整列可否を判断することができる。
【0110】
したがって、本明細書の開示により、モーターの起動失敗を検出した後、モーターの回転子を効率的に再整列することができるBLDCモーター駆動装置及びその制御方法を提供することができる。
【0111】
以上、本発明の実施形態について詳細に説明したが、本発明の権利範囲はこれに限定されず、特許請求の範囲に記載された本発明の技術的思想から外れない範囲内で多様な修正及び変形が可能であるということは、当技術分野の通常の知識を有する者には明らかである。
【符号の説明】
【0112】
10 モーター
20 電源部
30 電圧検知部
50 インバーター部
60 制御部
70 電流検知部
80 逆起電力検知部
90 保存部
図1
図2
図3
図4
図5