特許第5674847号(P5674847)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5674847
(24)【登録日】2015年1月9日
(45)【発行日】2015年2月25日
(54)【発明の名称】切削液濾過装置を備えた工作機械
(51)【国際特許分類】
   B23Q 11/00 20060101AFI20150205BHJP
【FI】
   B23Q11/00 U
【請求項の数】3
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2013-69123(P2013-69123)
(22)【出願日】2013年3月28日
(65)【公開番号】特開2014-188659(P2014-188659A)
(43)【公開日】2014年10月6日
【審査請求日】2014年4月23日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】390008235
【氏名又は名称】ファナック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001151
【氏名又は名称】あいわ特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】石原 光告
【審査官】 大川 登志男
(56)【参考文献】
【文献】 特開2007−268430(JP,A)
【文献】 特開2004−074358(JP,A)
【文献】 特開平06−328344(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23Q 11/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
工作機械を用いてワークを加工する際に使用した切削液を貯留するダーティ槽と、
該ダーティ槽に貯留された切削液を汲み上げるポンプと、
該ポンプで汲み上げられた切削液を、フィルタを収容するフィルタ容器の流入口から流入させ、前記フィルタ容器の開口から流出させることにより不純物を前記フィルタで濾過すると共に、圧縮空気又は切削液を前記開口から供給し、前記濾過した不純物をフィルタから除去して前記フィルタ容器の排出口から排出する逆洗浄機能を有する切削液濾過装置と、
を備えた工作機械において、
前記ポンプの吸入口に設けられ、前記ダーティ槽の切削液を濾過するサクションフィルタと、
該サクションフィルタの近傍に設けられ、負圧を発生させる負圧発生装置と、
を有することを特徴とする切削液濾過装置を備えた工作機械。
【請求項2】
工作機械を用いてワークを加工する際に使用した切削液を貯留するダーティ槽と、
該ダーティ槽に仕切りフィルタを介して接続されたセミダーティ槽と、
該セミダーティ槽に貯留された切削液を汲み上げるポンプと、
該ポンプで汲み上げられた切削液を、フィルタを収容するフィルタ容器の流入口から流入させ、前記フィルタ容器の開口から流出させることにより不純物をフィルタで濾過すると共に、圧縮空気又は切削液を前記開口から供給し、前記濾過した不純物をフィルタから除去して前記フィルタ容器の排出口から排出する逆洗浄機能を有する切削液濾過装置と、
を備えた工作機械において、
前記ダーティ槽の前記仕切りフィルタの近傍に設けられ、負圧を発生させる負圧発生装置と、
を有することを特徴とする切削液濾過装置を備えた工作機械。
【請求項3】
前記負圧発生装置は、前記排出口から排出された圧縮空気又は切削液を通過させることにより負圧を発生させることを特徴とする請求項1又は2に記載の切削液濾過装置を備えた工作機械。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、工作機械において、切粉やスラッジ等の不純物を除去するために使用されるフィルタやメッシュを洗浄するシステムを用いた工作機械に関する。
【背景技術】
【0002】
工作機械においては、加工中に発生した切粉やスラッジなどの不純物が切削液中に混入して、機械の性能及び信頼性に悪影響を及ぼすことから、これらを除去するためのフィルタが使用される。また、工作機械以外の分野においても、不純物を除去するためにフィルタやメッシュが使用されることは一般的である。
これらのフィルタやメッシュについては浄化性能の維持と寿命の延長を目的として洗浄することが行われている。その洗浄方法として、通常使用する際の切削液や流体の流れ方向とは逆の方向に切削液を流し、フィルタやメッシュに付着した切粉やスラッジ等の不純物をフィルタから取り除く逆洗動作を行う場合がある。なお、逆洗とは逆洗浄の略表記である。
【0003】
ここで、逆洗動作の概要を説明する。まず、逆洗を行うフィルタ及びフィルタ容器の流入側及び流出側の管路を閉じて、フィルタ及びフィルタ容器の内に残っている切削液が移動できないようにする。続いて、フィルタ内に通常時の切削液の流れ方向とは逆の方向に圧縮空気を供給すると共にフィルタ容器に配管されている排出管路の排出バルブを開く事により、圧縮空気によって加圧された切削液がフィルタを通過した後開かれた排出管路に流れるようにし、この切削液の流れによりフィルタに付着した切粉やスラッジなどの不純物を除去する。
【0004】
図4は従来の工作機械の切削液濾過装置を説明する図である。110はタンク、111はフィルタポンプ、112は流入側バルブ、113はフィルタ入りフィルタ容器、114は差圧スイッチ、115は排出バルブ、116はエア源、117はエア供給バルブ、118は流出側バルブ、119は切粉を含んだ切削液、120,121,122,123は管路である。170は工作機械本体である。
【0005】
工作機械本体170内に設けられる図示しない制御装置によって切削液濾過装置を動作させフィルタポンプ111を駆動し管路120を介して切粉を含んだ切削液119を汲み上げ、フィルタ容器113を介して、工作機械本体170にフィルタで濾過した切削液を供給する。フィルタ容器113内には切粉を含んだ切削液から切粉を濾過するための図示しないフィルタが設けられている。
【0006】
タンク110内に貯留された切粉を含んだ切削液119の濾過を続けていくと、フィルタ容器113内のフィルタに付着する切粉の量が徐々に増加していく。そのため、管路121と管路122の差圧が増加していく。管路121と管路122の差圧が予め設定された差圧以上になると差圧スイッチ114が作動し、逆洗動作が開始する。
逆洗動作はまず、フィルタポンプ111の駆動を停止しタンク110に貯留された切粉を含んだ切削液119の汲み上げを中断し、フィルタ容器113の流入側の管路121及び流出側の管路122をそれぞれ弁(流入側バルブ112,流出側バルブ118)によって閉じる。これにより、フィルタ容器113の内に残っている切削液はタンク110内および工作機械本体170に流出できない。
【0007】
続いて、エア源116に接続された弁(エア供給バルブ117)を開き、フィルタ容器113内に通常時の切削液の流れ方向とは逆の方向に圧縮空気を供給する。エア源116に接続された弁(エア供給バルブ117)を閉じると共にフィルタ容器113に接続されている排出弁(排出バルブ115)を開く事により、圧縮空気によって加圧された切削液が通常時の切削液の流れ方向とは逆の方向にフィルタ容器113内のフィルタを通過した後、管路123に設けられた排出バルブ115を通過してタンク110に戻る。この切削液の流れによりフィルタに付着した切粉やスラッジを除去する。
【0008】
工作機械において、前記の方法で、加工時に切削液を通過させるフィルタに付着した切粉やスラッジについては除去可能であるが、フィルタポンプ111の先端に装着されているサクションフィルタや、タンク内を仕切る仕切りフィルタ等にも切粉やスラッジが付着することがある。
【0009】
特許文献1には、ポンプのサクションフィルタに付着した切粉やスラッジを除去する方法として、フィルタに付着した切粉やスラッジなどの不純物を逆洗動作で除去する際の空気の流れをポンプのサクションフィルタに吹き付けることで、サクションフィルタに付着した切粉やスラッジを除去する技術が開示されている。
また、特許文献2には、工作機械の一つである旋盤において、切削工具によって生ずる切粉を吸引する切粉吸引口を設け、切削時に発生する切粉を吸引する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特許第3979223号公報
【特許文献2】特開2012−218127号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
従来技術の逆洗動作では、加工時に切削液を通過させるフィルタに付着した切粉やスラッジについては除去可能であるが、フィルタポンプ111の先端に装着されているサクションフィルタや、タンク内を仕切る仕切りフィルタ等に付着した切粉やスラッジ等の不純物を除去することはできない。
特許文献1に開示された技術は、フィルタに付着した切粉やスラッジなどの不純物を、逆洗動作で除去する際の空気の流れをポンプのサクションフィルタに吹き付けることで、サクションフィルタに付着した切粉やスラッジを除去する技術であるが、逆洗動作でサクションフィルタに吹き付ける切削液には、フィルタから除去された切粉やスラッジが含まれているので、この切削液を吹き付けることによってサクションフィルタの表面に新たに切粉やスラッジが付着する可能性がある。
また、特許文献2には、切削工具によって生ずる切粉を吸引する技術については開示されているものの、逆洗動作を利用し、サクションフィルタに付着した切粉やスラッジを除去するものではない。
【0012】
そこで本発明は、工作機械において、切粉やスラッジ等の不純物を除去するために使用されるフィルタやメッシュを洗浄するシステムを用いた工作機械を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本願の請求項1に係る発明では、工作機械を用いてワークを加工する際に使用した切削液を貯留するダーティ槽と、該ダーティ槽に貯留された切削液を汲み上げるポンプと、該ポンプで汲み上げられた切削液を、フィルタを収容するフィルタ容器の流入口から流入させ、前記フィルタ容器の開口から流出させることにより不純物を前記フィルタで濾過すると共に、圧縮空気又は切削液を前記開口から供給し、前記濾過した不純物をフィルタから除去して前記フィルタ容器の排出口から排出する逆洗浄機能を有する切削液濾過装置とを備えた工作機械において、前記ポンプの吸入口に設けられ、前記ダーティ槽の切削液を濾過するサクションフィルタと、該サクションフィルタの近傍に設けられ、負圧を発生させる負圧発生装置と、を有することを特徴とする切削液濾過装置を備えた工作機械が提供される。
【0014】
すなわち、請求項1に係る発明では、サクションフィルタの近傍に、負圧を発生させる負圧発生装置を備えることによって、サクションフィルタに付着した切粉やスラッジ等の不純物を除去することが可能となる。また、従来技術と異なり、フィルタの切粉やスラッジが含まれた切削液を吹き付けないために、フィルタから除去された切粉やスラッジがサクションフィルタに付着するおそれがない。
【0015】
本願の請求項2に係る発明では、工作機械を用いてワークを加工する際に使用した切削液を貯留するダーティ槽と、該ダーティ槽に仕切りフィルタを介して接続されたセミダーティ槽と、該セミダーティ槽に貯留された切削液を汲み上げるポンプと、該ポンプで汲み上げられた切削液を、フィルタを収容するフィルタ容器の流入口から流入させ、前記フィルタ容器の開口から流出させることにより不純物をフィルタで濾過すると共に、圧縮空気又は切削液を前記開口から供給し、前記濾過した不純物をフィルタから除去して前記フィルタ容器の排出口から排出する逆洗浄機能を有する切削液濾過装置とを備えた工作機械において、前記ダーティ槽の前記仕切りフィルタの近傍に設けられ、負圧を発生させる負圧発生装置と、を有することを特徴とする切削液濾過装置を備えた工作機械が提供される。
【0016】
すなわち、請求項2に係る発明では、ダーティ槽の仕切りフィルタの近傍に、負圧を発生させる負圧発生装置を備えることによって、仕切りフィルタに付着した切粉やスラッジ等の不純物を除去することが可能となる。また、従来技術と異なり、フィルタの切粉やスラッジが含まれた切削液を吹き付けないために、フィルタから除去された切粉やスラッジが仕切りフィルタに付着するおそれがない。
【0017】
本願の請求項3に係る発明では、逆洗機能を動作させた際にフィルタ容器から排出される圧縮空気又は切削液を負圧発生装置に供給し、この流れを利用して負圧を発生させることを特徴とする切削液濾過装置を備えた工作機械が提供される。
【0018】
すなわち、請求項3に係る発明では、負圧発生装置において負圧を発生させるために、圧縮空気を供給するコンプレッサーや切削液を供給するポンプを別途用意するのではなく、逆洗を行う際にフィルタ容器からダーティ槽に排出される圧縮空気又は切削液の流れを利用し、この流れを負圧発生装置に供給することにより負圧を発生させる。そして、この負圧の吸引力によって、仕切りフィルタに付着した切粉やスラッジ等の不純物を除去することが可能となる。
【発明の効果】
【0019】
本発明により、工作機械において切粉やスラッジを除去するために使用されるフィルタを逆洗する方法に関して、フィルタの逆洗効果を高めるシステムを有する工作機械を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明の第1の実施形態におけるフィルタ洗浄装置を説明する図である。
図2】本発明の第2の実施形態におけるフィルタ洗浄装置を説明する図である。
図3】本発明の実施形態の負圧発生装置の概要を示した概略図である。
図4】従来の工作機械の切削液濾過装置を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施形態を図面と共に説明する。
(第1の実施形態)
図1は、本発明の第1の実施形態におけるフィルタ洗浄装置を説明する図である。1は制御装置を含む工作機械本体、2はダーティ槽、3はクリーン槽、4はフィルタポンプ、5は切削液の流れから見てフィルタポンプ4の後ろに設けられた逆止弁、6は逆洗フィルタ容器であり、フィルタポンプ4からの切削液が流入する流入口6a、濾過時に切削液が流出し、逆洗時にエアが流入する開口6b、逆洗時にエアや切削液が排出する排出口6cが備えられており、内部には7の逆洗フィルタが設けられている。8は逆洗排出バルブ、11はクリーン槽バルブ、12はエア源、13はエア供給バルブ、14はエアの流れから見てエア供給バルブ13の後ろに設けられた逆止弁、15は切削液供給ポンプである。
【0022】
工作機械本体1においては、内部の制御装置によって制御されて図示しないワークを加工する。工作機械本体1を制御する内部の制御装置によって制御される切削液供給ポンプ15によって、クリーン槽3に貯留された濾過された切削液が工作機械本体1に供給される。切削液は、ワーク加工において使用された後に、管路22を介してダーティ槽2に回収される。
工作機械本体1内部の制御装置は、工作機械本体1の制御とともに、図1に点線で示されているように、フィルタポンプ4やエア源12の駆動動作、逆洗排出バルブ8、クリーン槽バルブ11、エア供給バルブ13の開閉制御も行っている。
【0023】
まずは、工作機械における不純物を含んだ切削液の濾過について説明する。ダーティ槽2には工作機械本体1から回収された切削液が貯留されており、この切削液には切粉やスラッジなどの不純物が混入している。フィルタポンプ4は、ダーティ槽2に貯留された不純物を含んだ切削液をくみ上げ、流入口6aを通じて逆洗フィルタ容器6に供給する。逆洗フィルタ容器6には、切削液中に混入した切粉やスラッジなどの不純物を除去するための逆洗フィルタ7が内部に設けられている。また、フィルタポンプ4と逆洗フィルタ容器6との間には、逆洗フィルタ容器6からの切削液及び後述する圧縮エアがフィルタポンプ4側へ逆流することを防ぐために逆止弁5が設けられている。また、排出口とダーティ槽2との間には逆洗排出バルブ8が、流出口とクリーン槽3との間にはクリーン槽バルブ11が備えられている。
【0024】
不純物を含んだ切削液を濾過するときには、クリーン槽バルブ11が開状態、逆洗排出バルブ8が閉状態、エア供給バルブ13が閉状態に制御され、切削液は、ダーティ槽2、フィルタポンプ4によりくみ上げられ、逆止弁5から流入口6aを通じて逆洗フィルタ容器6(逆洗フィルタ7)に供給され、逆洗フィルタ7において切粉、スラッジなどの不純物を除去した後、開口6bを通じて、ラインフィルタ10を内部に備えたラインフィルタ容器9に供給される。ラインフィルタ10は逆洗フィルタ7に比べて目が細かいフィルタが用いられており、切削液の供給にあたって、逆洗フィルタ7で濾過した切削液を、さらに目が細かいラインフィルタ10で濾過することによって、クリーン槽3に供給する切削液の濾過性能を向上させることができる。ラインフィルタ10から排出された切削液は、クリーン槽バルブ11を通じてクリーン槽3へと排出される。なお、逆洗フィルタ容器6内の逆洗フィルタにおける切削液の流れについては、従来公知の構成であるため説明を省略する。
クリーン槽3には、図示しない液面高さ検出用のセンサーが設けられており、液面が低下したときにフィルタポンプ4が作動して、逆洗フィルタにおいて切削液の濾過を行った後に、クリーン槽3に切削液が供給される。
【0025】
切粉やスラッジ等の不純物を除去する逆洗フィルタ容器6内の逆洗フィルタ7は、性能の維持や寿命の延長を目的として、逆洗フィルタに付着した切粉やスラッジを取り除く洗浄動作を行うことがある。逆洗フィルタ7の洗浄動作の一例として逆洗動作がある。
図1に基づいて逆洗動作の方法を説明すると、洗浄を行う逆洗フィルタ7が装着された逆洗フィルタ容器6の流入側の逆止弁5及び流出側のクリーン槽バルブ11を閉じ、逆洗フィルタ容器6の中に残っている切削液が移動できないようにしておき、続いてエア源12に接続されたエア供給バルブ13と逆止弁14を開き、開口6bを通じて逆洗フィルタ容器6内に通常時の切削液の流れ方向とは逆の方向に圧縮空気を供給し、逆洗排出バルブ8を開くことによって、圧縮空気によって加圧された切削液が通常時の切削液の流れ方向とは逆の方向に逆洗フィルタ容器6内を通過した後、排出口6cを通じて逆洗排出バルブ8を通過してダーティ槽2に戻る。この切削液の流れにより、逆洗フィルタ7に付着した切粉やスラッジなどの不純物を除去することができる。
【0026】
次に、逆洗動作を用いた負圧発生装置16における負圧の発生について説明する。図3は、負圧発生装置16の概要を示した概略図である。41は流入口、42は排出口、43は吸入口である。逆洗動作時には、逆洗フィルタ7から排出された切削液又は圧縮空気が、負圧発生装置16の流入口41から流入して、排出口42から排出される。この切削液又は圧縮空気の流れによって、負圧発生装置内の圧力が低下して、内部に負圧が発生し、吸入口43から排出口42への切削液の流れが発生する。これにより、吸入口43付近の切粉30等が吸引されて排出口42から排出される。
【0027】
第1の実施形態では、図1に示されたように、負圧発生装置16の吸入口43をサクションフィルタ21に向けて設置することによって、逆洗動作時に負圧発生装置16で発生する負圧の吸引力でサクションフィルタに付着した切粉30等の不純物を除去することができる。
【0028】
(第2の実施形態)
図2は、第2の実施形態を示した図である。本実施形態においては、ダーティ槽を、ダーティ槽2とセミダーティ槽18とに分け、両者の間は仕切りフィルタ17で区切られている。
クリーン槽3に貯留された濾過された切削液が工作機械本体1に供給され、供給された切削液は、ワーク加工において使用された後に、管路22を介してダーティ槽2に回収される。その後、切削液はダーティ槽2から仕切りフィルタ17を通じてセミダーティ槽18へと供給され、セミダーティ槽18からフィルタポンプ4によって切削液をくみ上げて、流入口6aを通じて逆洗フィルタ容器6に供給する。
また、逆洗動作を行う際には、逆洗フィルタ容器6からの切削液及び圧縮エアは、ダーティ槽2に排出される。
【0029】
本実施形態においては、ダーティ槽2からセミダーティ槽18に切削液を供給する際の仕切りフィルタ17に切粉30等の不純物が付着する。そこで、負圧発生装置16の吸入口43を仕切りフィルタ17に向けて設置することによって、逆洗動作時に負圧発生装置16で発生する負圧の吸引力で、仕切りフィルタ17に付着した切粉30等の不純物を除去することができる。
【0030】
本実施形態においては、フィルタポンプ4の切削液と接する箇所にサクションフィルタ21を設けているが、仕切りフィルタ17において切粉30等の不純物を十分除去できるのであれば、必ずしもサクションフィルタ21は設けなくともよい。
また、本実施形態においては、1つの仕切りフィルタ17に対して1つの負圧発生装置16を配置しているが、複数の仕切りフィルタ17がある場合や、仕切りフィルタ17とフィルタポンプ4のサクションフィルタ21がある場合には、1つの負圧発生装置16によって、複数の仕切りフィルタ17の洗浄を行ったり、仕切りフィルタ17とサクションフィルタ21の洗浄を行うようにすることも可能である。逆に、それぞれの仕切りフィルタ17やサクションフィルタ21に個別に負圧発生装置16を配置することもできる。
【0031】
また、これらの実施形態における負圧発生装置16は、逆洗動作における圧縮エアと切削液の流れを用いて負圧を発生させているが、必ずしも逆洗動作における圧縮エアと切削液によって負圧発生装置16を作動させなければならないわけではなく、別の動力源等を用いて負圧発生装置16を作動させることもできる。
さらに、これらの実施形態においては、ラインフィルタ10で濾過された切削液はいったんクリーン槽3に貯留してから工作機械本体1に供給しているが、クリーン槽3を設けずに、ラインフィルタ10で濾過された切削液を直接機械本体に供給することもできる。
また、内部のフィルタについても、これらの実施形態においては、逆洗フィルタ7とラインフィルタ10の2つを設ける構成としているが、逆洗フィルタ7のみの構成とすることもできる。
【符号の説明】
【0032】
1 工作機械本体
2 ダーティ槽
3 クリーン槽
4 フィルタポンプ
5 逆止弁
6 逆洗フィルタ容器
6a 流入口
6b 開口
6c 排出口
7 逆洗フィルタ
8 逆洗排出バルブ
9 ラインフィルタ容器
10 ラインフィルタ
11 クリーン槽バルブ
12 エア源
13 エア供給バルブ
14 逆止弁
15 切削液供給ポンプ
16 負圧発生装置
17 仕切りフィルタ
18 セミダーティ槽
19 管路
20 管路
21 サクションフィルタ
22 管路
30 切粉
41 流入口
42 排出口
43 吸入口
110 タンク
111 フィルタポンプ
112 流入側バルブ
113 フィルタ入りフィルタ容器
114 差圧スイッチ
115 排出バルブ
116 エア源
117 エア供給バルブ
118 流出側バルブ
119 切削液
120,121,122,123 管路
170 工作機械本体
図1
図2
図3
図4