(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
ワイヤ電極を上下のワイヤガイドで支持して前記ワイヤ電極と被加工物とを相対移動させて前記被加工物を加工するワイヤ放電加工機の水平面上の横方向の移動方向をX軸、該X軸と直角な水平面上の縦方向の移動方向をY軸、鉛直上向きの移動方向をZ軸とし、被加工物を固定するワーク固定部を回転させる回転軸と、該回転軸に直交する軸回りに回転し、XY平面に対して被加工物を傾斜させる回転軸を有する2軸回転ユニットをテーブル面に載置したワイヤ放電加工機において、前記ワーク固定部に固定するための固定部と、該固定部に立設されたアーム部と、該アーム部の先端に設けられた導電性の球面を有する被測定部とを備えた測定治具を用いてワイヤ放電加工機の傾斜した回転軸の軸心上の基準点を求めるための測定方法であって、
前記測定治具の固定部の底面から前記球面の先端までの高さを測定するステップと、
前記傾斜した回転軸の傾斜角を取得するステップと、
前記測定治具を前記ワーク固定部に固定するステップと、
前記ワイヤ放電加工機のテーブル面から前記球面の上端までの高さを測定するステップと、
同一直線上の相対する方向からワイヤ電極を前記球面に接触させ、前記球面上の2点を測定するステップと、
前記求めた2点の中点を通り、前記直線と直角に交差する直線に沿った方向からワイヤ電極を前記球面に接触させ、球面上の1点を測定するステップと、
前記測定した3点の位置を元に前記球面のXY平面上の中心点位置を求めるステップと、前記測定した固定部の底面から球面の先端までの高さ、放電加工機のテーブル面から球面の上端までの高さ、回転軸の傾斜角、および球面のXY平面上の中心点位置を元に、前記回転軸の軸心上の基準点の座標を計算するステップ、
を行うことを特徴とするワイヤ放電加工機の傾斜した回転軸の軸心上の基準点の座標の測定方法。
ワイヤ電極を上下のワイヤガイドで支持して前記ワイヤ電極と被加工物とを相対移動させて前記被加工物を加工するワイヤ放電加工機の水平面上の横方向の移動方向をX軸、該X軸と直角な水平面上の縦方向の移動方向をY軸、鉛直上向きの移動方向をZ軸とし、被加工物を固定するワーク固定部を回転させる回転軸と、該回転軸に直交する軸回りに回転し、XY平面に対して被加工物を傾斜させる回転軸を有する2軸回転ユニットをテーブル面に載置したワイヤ放電加工機において、前記ワーク固定部に固定するための固定部と、該固定部に立設されたアーム部と、該アーム部の先端に設けられた導電性の球面を有する被測定部とを備えた測定治具を用いてワイヤ放電加工機の傾斜した回転軸の軸心上の基準点を求めるための測定方法であって、
前記測定治具の固定部の底面から前記球面の先端までの高さを測定する第1ステップと、前記測定治具を前記ワーク固定部に固定する第2ステップと、
前記ワイヤ放電加工機のテーブル面から前記球面の上端までの高さを測定する第3ステップと、
同一直線上の相対する方向からワイヤ電極を前記球面に接触させ、前記球面上の2点を測定する第4ステップと、
前記求めた2点の中点を通り、前記直線と直角に交差する直線に沿った方向からワイヤ電極を前記球面に接触させ、球面上の1点を測定する第5ステップと、
前記測定した3点の位置を元に前記球面のXY平面上の中心点位置を求める第6ステップと、
放電加工機のテーブル面から球面の上端までの高さ、および球面のXY平面上の中心点位置を元に、前記球面のXYZ空間上の中心点位置を求める第7ステップと、
前記ワーク固定部をさらに少なくとも2つの異なる角度位置に回転させ、それぞれの位置において前記第3ステップ〜第7ステップを行い、少なくとも2点の前記球面のXYZ空間上の中心点位置を求める第8ステップと、
前記測定した固定部の底面から球面の先端までの高さと前記第7ステップと前記第8ステップで求めた少なくとも3点の中心点位置を元に、前記回転軸の軸心上の基準点の座標を計算する第9ステップ、
を行うことを特徴とするワイヤ放電加工機の傾斜した回転軸の軸心上の基準点の座標の測定方法。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一般的に回転軸を用いた加工では、回転軸の軸心とワーク固定面との交点を基準点としてプログラムを作成する。プログラムの作成の際に決めた基準点と実際の加工機上における座標位置を一致させるために、機上における基準点の座標を測定する必要がある。
一般的に、回転軸の軸心がXY平面と平行の場合は、テストバーと呼ばれる丸棒形状の治具を、回転軸の軸心とテストバーの軸心が一致するように調整して回転軸のワーク固定面に固定し、ワイヤ電極やプローブを使ってテストバーの位置を測定して機上における基準座標を求める。
【0005】
一方、回転軸を傾けて加工する場合も前述のテストバーを同様に固定し、プローブを用いて基準座標を測定することが出来るが、ワイヤ電極を用いた測定方法ではテストバー先端の端面エッジがシャープエッジである必要がある。しかし、現実的にはシャープエッジの加工が困難なことや、エッジを安定して測定することが難しいために、測定誤差が発生していた。
また、一般的なワイヤ放電加工機の場合、ワイヤ電極中心とプローブ中心が離れており、その相対距離を精度良く求めることが難しく、仮に精度良く求められたとしてもプローブを交換するたびに前述の相対距離を求め直す必要があり、測定作業に手間がかかっていた。
【0006】
傾斜した回転軸上の加工基準点の測定を行う技術として特許文献1に開示されるものがあるものの、ワイヤ放電加工機に一般的に備わっているワイヤ電極の接触検知機能を用いるものではない。
【0007】
そこで、本発明の目的は、上記従来技術の問題点に鑑みて、ワイヤ放電加工機に一般的に備わっているワイヤ電極の接触検知機能を用いる基準点の測定に最適な形状の測定治具と、その測定治具を用いた回転軸の軸心上の基準点の測定方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本願の請求項1に係る発明は、ワイヤ電極を上下のワイヤガイドで支持して前記ワイヤ電極と被加工物とを相対移動させて前記被加工物を加工するワイヤ放電加工機の水平面上の横方向の移動方向をX軸、該X軸と直角な水平面上の縦方向の移動方向をY軸、鉛直上向きの移動方向をZ軸とし、被加工物を固定するワーク固定部を回転させる回転軸と、該回転軸に直交する軸回りに回転し、XY平面に対して被加工物を傾斜させる回転軸を有する2軸回転ユニットをテーブル面に載置したワイヤ放電加工機において、前記ワーク固定部に固定するための固定部と、該固定部に立設されたアーム部と、該アーム部の先端に設けられた導電性の球面を有する被測定部とを備えた測定治具を用いてワイヤ放電加工機の傾斜した回転軸の軸心上の基準点を求めるための測定方法であって、前記測定治具の固定部の底面から前記球面の先端までの高さを測定するステップと、前記傾斜した回転軸の傾斜角を取得するステップと、前記測定治具を前記ワーク固定部に固定するステップと、前記ワイヤ放電加工機のテーブル面から前記球面の上端までの高さを測定するステップと、同一直線上の相対する方向からワイヤ電極を前記球面に接触させ、前記球面上の2点を測定するステップと、前記求めた2点の中点を通り、前記直線と直角に交差する直線に沿った方向からワイヤ電極を前記球面に接触させ、球面上の1点を測定するステップと、前記測定した3点の位置を元に前記球面のXY平面上の中心点位置を求めるステップと、前記測定した固定部の底面から球面の先端までの高さ、放電加工機のテーブル面から球面の上端までの高さ、回転軸の傾斜角、および球面のXY平面上の中心点位置を元に、前記回転軸の軸心上の基準点の座標を計算するステップ、を行うことを特徴とするワイヤ放電加工機の傾斜した回転軸の軸心上の基準点の座標の測定方法である。
【0009】
請求項2に係る発明は、前記傾斜した回転軸の傾斜角を取得するステップは、回転軸のワーク固定面の少なくとも3点の位置を測定するステップと、前記測定した少なくとも3点の位置から、回転軸のワーク固定面とY軸、およびZ軸との成す角度を計算するステップ、を行うことを特徴とする請求項1に記載のワイヤ放電加工機の傾斜した回転軸の軸心上の基準点の座標の測定方法である。
請求項3に係る発明は、前記傾斜した回転軸の傾斜角を取得するステップは、回転軸に搭載されているエンコーダの値を読み取るステップであることを特徴とする請求項1に記載のワイヤ放電加工機の傾斜した回転軸の軸心上の基準点の座標の測定方法である。
請求項4に係る発明は、ワイヤ電極を上下のワイヤガイドで支持して前記ワイヤ電極と被加工物とを相対移動させて前記被加工物を加工するワイヤ放電加工機の水平面上の横方向の移動方向をX軸、該X軸と直角な水平面上の縦方向の移動方向をY軸、鉛直上向きの移動方向をZ軸とし、被加工物を固定するワーク固定部を回転させる回転軸と、該回転軸に直交する軸回りに回転し、XY平面に対して被加工物を傾斜させる回転軸を有する2軸回転ユニットをテーブル面に載置したワイヤ放電加工機において、前記ワーク固定部に固定するための固定部と、該固定部に立設されたアーム部と、該アーム部の先端に設けられた導電性の球面を有する被測定部とを備えた測定治具を用いてワイヤ放電加工機の傾斜した回転軸の軸心上の基準点を求めるための測定方法であって、前記測定治具の固定部の底面から前記球面の先端までの高さを測定する第1ステップと、前記測定治具を前記ワーク固定部に固定する第2ステップと、前記ワイヤ放電加工機のテーブル面から前記球面の上端までの高さを測定する第3ステップと、同一直線上の相対する方向からワイヤ電極を前記球面に接触させ、前記球面上の2点を測定する第4ステップと、前記求めた2点の中点を通り、前記直線と直角に交差する直線に沿った方向からワイヤ電極を前記球面に接触させ、球面上の1点を測定する第5ステップと、前記測定した3点の位置を元に前記球面のXY平面上の中心点位置を求める第6ステップと、放電加工機のテーブル面から球面の上端までの高さ、および球面のXY平面上の中心点位置を元に、前記球面のXYZ空間上の中心点位置を求める第7ステップと、前記ワーク固定部をさらに少なくとも2つの異なる角度位置に回転させ、それぞれの位置において前記第3ステップ〜第7ステップを行い、少なくとも2点の前記球面のXYZ空間上の中心点位置を求める第8ステップと、前記測定した固定部の底面から球面の先端までの高さと前記第7ステップと前記第8ステップで求めた少なくとも3点の中心点位置を元に、前記回転軸の軸心上の基準点の座標を計算する第9ステップ、を行うことを特徴とするワイヤ放電加工機の傾斜した回転軸の軸心上の基準点の座標の測定方法である
。
【発明の効果】
【0010】
本発明により、ワイヤ放電加工機に一般的に備わっているワイヤ電極の接触検知機能を用いる基準点の測定に最適な形状の測定治具と、その測定治具を用いた回転軸の軸心上の基準点の測定方法を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】2軸回転ユニットの傾斜軸を傾斜させた回転軸の外観図である。
【
図3】
図1で示した2軸回転ユニットを機械のテーブルに設置した状態を説明する図である。
【
図4】XY平面とワーク固定面の交線が、Y軸と成す角度(=α)を測定することを説明する図である。
【
図5】XY平面が、ワーク固定面と成す角度(=β)を測定することを説明する図である。
【
図6】球の中心が回転軸の軸心上になるように調整することを説明する図である。
【
図7】テーブル面から球の上端までの高さ(=L1)を測定することを説明する図である。
【
図8】球のY軸方向における中心位置(=Y1)を測定することを説明する図である。
【
図9】球のX方向端面を測定することを説明する図である。
【
図10】
図7の球の高さ(L1)を、テーパ加工機能を用いて測定することを説明する図である。
【
図12】球面を有する被測定部の中心座標を求めることを説明する図である。
【
図13】ワイヤ放電加工機の概略の構成を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態を図面と共に説明する。
(実施形態1)
図1は傾斜させた回転軸の外観図である。
図1に示される2軸回転ユニット1は、傾斜方向4に傾動する回転軸(第1の回転軸)と、傾斜方向に直交する軸回りに回転する回転軸(回転軸の軸心3とする第2の回転軸)を備えており、基部6に設けられた長穴7にボルトを装着して、ワイヤ放電加工機のテーブル8(
図3参照)に固定される。
図1の2軸回転ユニット1では、傾斜方向4については手動で傾けるように構成されているが、モータ等で自動化してもよい。ワーク固定部2は360度回転可能に構成されている。回転軸を用いた加工では、一般的にワーク固定部の回転中心を基準座標とすることが多く、実施形態1でもワーク固定部の回転中心である点Aを基準座標5とする。
【0013】
図2は実施形態1において用いられる測定治具の例である。測定治具10は、回転軸のワーク固定部2に固定するための固定部11と、該固定部11に立設された柱状のアーム部12と、該アーム部12の先端に設けられた導電性の球面を有する被測定部(球面部)13とを備える。実施形態1で用いられる測定治具10は、アーム部12が固定部11に対して垂直に立設している。固定部11には回転軸のテーブルであるワーク固定部2に固定するためのボルト穴14が複数設けられている。
【0014】
本発明はワイヤ放電加工機に一般的に備わっているワイヤ電極の接触検知機能を用いる基準点の測定方法であるため、測定治具10は、少なくとも、球面を有する被測定部13の少なくとも球面部が導電性を持つ必要がある。測定治具10は、ベアリング球など高精度のボールをアーム部12である円筒部先端に溶接するなどの方法で制作することができる。測定治具10の全体を導電性の材料で形成してもよい。球面を有する被測定部13のみを導電性の材料で形成した場合には、球面を有する被測定部13とワーク固定部2とを電気的に接続する必要がある。
【0015】
以下、上述の測定治具10を用いて、機械座標に対する回転軸の軸心上の基準点の座標の基準座標の測定方法を説明する。
図3は
図1で示した2軸回転ユニット1を機械(ワイヤ放電加工機)のテーブル8に設置した状態を説明する図である。
【0016】
<1−1>
まず、測定治具10をワイヤ放電加工機の回転軸(2軸回転ユニット1のワーク固定部2)に取り付ける前に、測定治具10の固定部11の底面と球面を有する被測定部13の球面先端までの長さ(=h1)(
図2の固定部の底面の位置17から球面を有する被測定部の先端位置18までの距離である高さ15)と球面を有する被測定部13の球の直径(=d1)(
図2の直径16)を測定する(測定によって得られた値は一度測定しておけば使い回すことが出来る。)。
【0017】
<1−2>(
図4参照)
初めに、XY平面とワーク固定部2のワーク固定面の交線が、Y軸との成す角度(=α)を測定する。一般的には、機械の上ワイヤ電極保持部(図示していない)にインジケータ9等を固定してZ方向の高さを変えずにワーク固定2のワーク固定面の2点の位置を測定し、2点のXY座標値から角度を求める。
【0018】
<1−3>(
図5参照)
次に、XY平面とワーク固定面との成す角度(=β)を測定する。<1−2>と同様に、インジケータ9等で、Z方向の高さとXY方向の距離から角度βを求める。
なお、実施形態1では、回転軸の傾斜を手動でおこなっているため、上記のような角度(α、β)の測定が必要であるが、2軸の回転軸のように、傾斜角度を測定するエンコーダ等を備えている場合はこの手順は自動で行える。
【0019】
<1−4>(
図6参照)
測定治具10をワーク固定部2のワーク固定面に仮固定し、球面を有する被測定部13にインジケータ9を当てながら回転軸を回して、球面を有する被測定部13の中心が回転軸の軸心上になるよう調整する。
【0020】
<1−5>(
図7参照)
次に、インジケータ9等で、テーブル8の上面であるテーブル面32から被測定部の球面の上端33の位置までの高さ(=L1)(高さ30)を測定する。
【0021】
<1−6>(
図8参照)
次に、ワイヤ電極31を用いて球面を有する被測定部13のY方向について、両側からワイヤ放電加工機の接触検知機能を用いて、球面を有する被測定部13の端面を検出し(接触検知40,41)、球面を有する被測定部13のY軸方向における中心位置42(=Y1)を測定する。
【0022】
<1−7>(
図9参照)
ワイヤ電極31を<1−6>で求めたY軸中心位置に移動させ、球面を有する被測定部13にX方向から接触検知(接触検知43)を行い、X方向の端面位置(=X1)を測定する。
【0023】
<1−8>
上記で求めた測定値から数1式に示されるように球面を有する被測定部13の中心点の座標が求まる。
●球面を有する被測定部13の中心点の座標
【0025】
<1−9>
球面を有する被測定部13の中心点の座標が求められたら、以下の数2式を用いて回転軸の軸心上の基準点の座標を求める。
●回転軸の軸心上の基準点の座標
【0027】
なお、上記<1−5>の球面を有する被測定部13の高さ30(=L1)の測定については、<1−7>の測定に替えて、
図10のように、ワイヤ放電加工機に標準的に備わっているテーパ加工機能を利用し、プログラム面37をテーブル8のテーブル面32としてワイヤ電極31をあらかじめ設定された角度(=ω)に傾けた状態でX方向から接触検知を行い、垂直時とテーパ時の接触検知したXの値の差(=ΔX)を測定することで、下記の数3式に従って求めることも可能である。
【0029】
以上のように、
図2に示される測定治具10を用いることで、回転軸の軸心上の基準点の座標を求めることが出来る。
【0030】
また、<1−6>〜<1−8>の手順についてはプログラムによる自動測定が可能であり、<1−9>の方法を用いれば<1−5>についても自動化が可能になる。さらに、回転軸の角度(α、β)が自動で測定できるようなエンコーダ等が付いた回転軸であれば<1−4>以外の全ての手順について自動化が可能になる。
【0031】
(実施形態2)
次に
図2に示される測定治具とは異なる治具形状の測定治具を用いる実施形態を説明する。
図11は本発明に係る測定治具の第2の例である。
図2に示す実施形態1で用いられる測定治具10とは異なり、回転軸の軸心上に球面を有する被測定部の中心を持ってくることは出来ない形状になっている。
【0032】
測定治具20は、回転軸に固定するための固定部21と、該固定部21に立設された柱状のアーム部22と、該アーム部22の先端に設けられた導電性の球面を有する被測定部(球面部)23とを備える。実施形態2で用いられる測定治具20は、アーム部22が固定部21に対して垂直方向から傾斜して立設している。固定部21には回転軸のテーブル(ワーク固定部2)に固定するためのボルト穴24が複数設けられている。
【0033】
本発明はワイヤ放電加工機に一般的に備わっているワイヤ電極の接触検知機能を用いる回転軸の軸心上の基準点の座標の測定方法であるため、測定治具20は、少なくとも、球面を有する被測定部23の少なくとも球面が導電性を持つ必要がある。測定治具20は、ベアリング球など高精度のボールをアーム部である円筒部先端に溶接するなどの方法で制作することができる。測定治具20の全体を導電性の材料で形成してもよい。被測定部のみを導電性の材料で形成した場合には、球面を有する被測定部23とワーク固定部2とを電気的に接続する必要がある。
【0034】
図2の例と同じように、回転軸に取り付ける前に底面と球面先端までの長さ(=h2)(
図11の固定部の底面の位置27から球面を有する被測定部の先端位置28までの距離である高さ25)と球の直径(=d2)(
図11の直径26)を測定する(測定によって得られた値は一度測定しておけば使い回すことが出来る。)。
【0035】
実施形態1とは異なり実施形態2では、回転軸の角度(α、β)を求める必要がない。ただし、プログラム等を用いた測定の自動化を考慮する場合は、球面を有する被測定部の中心を求める際の測定開始位置を決める計算に回転軸の角度(α、β)が必要である。
回転軸のワーク固定面に測定治具20を取り付ける。ただし、<1−3>のように回転軸の軸心上に球面を有する被測定部23の中心がくるような調整を行わない。
【0036】
<2−1>(
図12参照)
適宜な角度に回転軸を移動させ、<1−5>〜<1−7>と同じ作業で球面を有する被測定部23の中心の座標を求める。
【0037】
<2−2>
次に、前記<2−1>とは異なる、適当な角度に回転軸を移動させ、<2−1>と同様に球面を有する被測定部23の中心を求める。
【0038】
<2−3>
次に、前記<2−1>,<2−2>とは異なる、適宜な角度に移動させ、<2−1>と同様に球面を有する被測定部23の中心を求める。
【0039】
<2−4>
<2−1>〜<2−3>で求めた3点については、3点を頂点とする3角形の外心が回転軸の軸心と3点を通る平面との交点になるので、外心の座標(a,b,c)、3点を通る平面の法線ベクトル(l,m,n)、先に求めた治具の高さh2を用いて、求める基準点の座標(e,f,g)は下記の数4式で表される。
【0041】
以上のように
図12のような測定治具20を用いても同様に回転軸の軸心上の基準点の座標を求めることが出来る。また、段落「0030」で述べたのと同様、
図12の治具を用いた場合でもプログラム等による測定の自動化が可能である。
【0042】
ここで、上述した2軸回転ユニット1をテーブル8に配設するワイヤ放電加工機の一例を説明する。ワイヤ放電加工機50はワイヤ電極31と、被加工物であるワーク(図示せず)との間に放電を発生させることでワークの加工を行う機械である。ワイヤ放電加工機50は、基台51上に、X軸モータ52が駆動するボールネジ53によってX軸方向に移動するX軸サドル54を備え、X軸サドル54の上に、Y軸モータ55が駆動するボールネジ56によってY軸方向に移動するY軸サドル57を備える。Y軸サドル57上には、2軸回転ユニット1を載置するテーブル8を内部に備えた加工槽58が固定されている。
【0043】
コラム60は基台51に垂直に立てられる。コラム60の側面部には下アーム61が水平に取り付けられる。下アーム61の先端には下ノズル62と下ワイヤガイド63が取り付けられている。下ノズル62と下ワイヤガイド63はテーブル8の下方に位置する。コラム60はその上部にV軸サドル64を備える。V軸サドル64はV軸モータ65が駆動するボールネジ66によってV軸方向に移動する。V軸方向はY軸方向と同じである。V軸サドル64にはU軸テーブル67が取り付けられている。U軸テーブル67はU軸モータ68が駆動するボールネジ69によってU軸方向に移動する。U軸方向はX軸方向と同じである。
【0044】
U軸テーブル67には上アーム支持部材70が取り付けられている。上アーム支持部材70はZ軸モータ71が駆動するボールネジ72によってZ軸方向に移動する。上アーム支持部材70には上アーム73が固定されている。上アーム73の端部に上ノズル74および上ワイヤガイド75が取り付けられている。
【0045】
X軸モータ52,Y軸モータ55,Z軸モータ71,U軸モータ68,V軸モータ65はそれぞれ、制御装置80と動力・信号線83,84,85,86,87によって接続されており、各モータは図示しないアンプを備えた制御装置80から動力(電力)が供給されると共に、制御装置80との間で各種信号の授受を行う。なお、
図13では、X軸およびU軸は紙面に垂直な方向、Y軸およびV軸は紙面の左右方向、Z軸は紙面の上下方向である。
【0046】
制御装置80はワイヤ放電加工機を全体的に制御する装置であり、図示しない演算装置、表示装置、各種信号の入出力用インタフェース、アンプを備えており、さらに、各種データを記憶する記憶装置81を備えている。
図13では図示しない演算装置、表示装置、各種信号の入出力用インタフェース、アンプを総称して演算処理装置82と称する。