(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
ブレーキダイナモメータは、ブレーキの性能、耐久性等を試験するための装置である。
【0003】
図7は特許文献1に示された従来のブレーキダイナモメータの構成である。ブレーキダイナモメータ15は、駆動電動機1、フライホイール3、トルクメータ6より構成される。
【0004】
駆動電動機1は、ブレーキ試験の初速度を任意に設定するためのものであり、可変速式である。フライホイール3は、駆動電動機1の一端側回転軸に連結され、この軸に円板が嵌挿され、自動車等の走行時と等価のエネルギーを回転力による運動エネルギーとして蓄える。そして、フライホイール3の軸の他端には、ブレーキダイナモメータ15でブレーキ性能試験をされる被試験ブレーキ4の回転用軸が連結される。
【0005】
一方、被試験ブレーキ4の回転軸に対向して備えられる固定軸には、トルクメータ6が備えられる。トルクメータ6は、被試験ブレーキ4の制動力を測定するものである。制動力の検出はトルクメータ6内部のロードセルにより行い、被試験ブレーキ4の回転軸に対向して備えられる固定軸に作用するトルクを検出している。駆動電動機1は電動機制御盤2の指令によって任意の速度で回転し、被試験ブレーキ4はブレーキ制御盤5の指令によりブレーキが開放又は作動する。
【0006】
上記構成のブレーキダイナモメータ15の動作について説明すると、電動機制御盤2をオンにすると、その指令により駆動電動機1が作動し、フライホイール3が回転する。フライホイール3はあらかじめ設定された制動初速度まで加速された後、この制動用速度に保たれる。そして、ブレーキ制御盤5からブレーキの開始指令が出されると、駆動電動機1の駆動力が零になるとともに、被試験ブレーキ4が作動し、この被試験ブレーキ4の制動力がトルクメータ6により測定される。この被試験ブレーキ4の制動力によってフライホイール3の回転が弱められ、制動終速度になると、被試験ブレーキ4が開放された状態となって再び駆動電動機1が駆動する。以上のようなサイクルが所定時間繰り返される。
【0007】
ブレーキダイナモメータによる試験用ブレーキの試験は、長時間に及ぶため、連続して運転することが望まれる。
【0008】
そこで、ブレーキダイナモメータによるブレーキ試験効率向上及びブレーキダイナモメータのコスト削減のために、特許文献2に示されるブレーキダイナモメータでは、一台の駆動電動機1及び一台のフライホイール3を用いて2台の被試験ブレーキ4の試験を交互に行っている。すなわち、一方の被試験ブレーキ4を試験している時に、もう一方の被試験ブレーキ4の取付け作業を行うことで試験作業効率を向上している。また、1台の駆動電動機1及び1台のフライホイール3を用いて2台の被試験ブレーキ4を試験できるので、ブレーキダイナモメータの製造コストを削減する効果とブレーキダイナモメータの設置場所の省スペース化をする効果が得られる。
【0009】
また、ブレーキの試験装置ではないが、特許文献3に示される内燃機関試験装置においては、複数の試験装置がターンテーブル上に配置されている。そして、単一の被試験装置(内燃機関)について、複数の試験を順次自動で行っている。
【発明を実施するための形態】
【0022】
(第1実施形態)
本発明の第1実施形態に係るブレーキダイナモメータ17について
図1(a)〜
図1(d)を参照して詳細に説明する。
図1(a)〜
図1(d)は、いずれもブレーキダイナモメータ17により被試験ブレーキ4のブレーキ性能試験を行うものであるが、被試験ブレーキ4をブレーキダイナモメータ17の試験位置に移送するコンベア装置7a、7b、7c、7d、7eの移送路の形状及び設置位置に特徴がある。ただし、待機中のパレット10に載設される被試験ブレーキ4は図示省略してある。
【0023】
また、ブレーキ性能試験の設定条件や被試験ブレーキ4の位置決め情報等は、あらかじめ機種判別部25に記録することを特徴としている。
【0024】
図1(a)は、本発明の第1の実施形態に係るブレーキダイナモメータ17の上面図である。また、
図1(b)〜
図1(d)は、
図1(a)に示す本発明の第1実施形態に係るブレーキダイナモメータの変形例である。よって、
図1(a)に示された装置類と同一部分には同一符号を付して、その詳しい説明は省略する。ここでは、
図1(a)を参照して本発明の第1実施形態に係るブレーキダイナモメータについて説明する。
【0025】
図1(a)に示すように、本発明の第1実施形態に係るブレーキダイナモメータ17は、駆動電動機1、フライホイール3、トルクメータ6、コンベア装置7a、7eより構成される。被試験ブレーキ4は、パレット10上に備えられ、コンベア装置7aに配置される。
【0026】
コンベア装置7aは、ブレーキダイナモメータ17の軸に対して平行に配置され、コンベア装置7eは、ブレーキダイナモメータ17の軸に対して垂直に備えられる。そして、コンベア装置7eにより、パレット10上の被試験ブレーキ4が、コンベア装置7aからブレーキダイナモメータ17の試験位置に移送される。
【0027】
そして、ブレーキ試験終了後には、再びパレット10に被試験ブレーキ4が載設され、コンベア装置7eにより、パレット10上の被試験ブレーキ4がブレーキダイナモメータ17からコンベア装置7aに移送される。
【0028】
駆動電動機1は、ブレーキ試験の初速度を任意に設定するためのものであり、可変速式である。フライホイール3は、駆動電動機1の一端側回転軸に連結され、この軸に円板が嵌挿され、自動車等の走行時と等価のエネルギーを回転力による運動エネルギーとして蓄える。そして、フライホイール3の軸19に被試験ブレーキ4の回転用軸が軸受9を介して連結される。
【0029】
トルクメータ6は、被試験ブレーキ4の制動力を測定するものであり、コモンベッド11上に備えられている。制動力の検出はトルクメータ6に備えられたロードセルにより行い、被試験ブレーキ4の回転軸に対向して備えられる固定軸に作用するトルクを検出している。そして、駆動電動機1は電動機制御盤(図示省略)の指令によって任意の速度で回転し、被試験ブレーキ4はブレーキ制御盤(図示省略)の指令によりブレーキが開放又は作動する。
【0030】
また、パレット10上には、リフト24(後述の
図2に記載)が備えられ、被試験ブレーキ4は、リフト24により支持されている。そして、リフト24の上端には、キャリパアタッチメント29(後述
図2に記載)の回り止め部40が形成されている。回り止め部40には、凹部が形成されており、キャリパアタッチメント29の軸中心の回転を抑制する。そして、図示省略されているが、キャリパアタッチメント29には、回り止め部40の凹部が嵌合する凸部が備えられている。なお、回り止め部40としては、切欠きやゴムを用いればよい。
【0031】
さらに、パレット10には被試験ブレーキ4の位置決め情報や、被試験ブレーキ4の性能試験の設定条件等を記録する機種判別部25が備えられている。機種判別部25としては、板状の部材に、バーコード又はICチップ、IDカードなどが付されたものがあげられる。そして、バーコード、ICチップ、IDカード等に記録された情報は既知の読取装置により読み取るようにすればよい。
【0032】
すなわち、被試験ブレーキ4は、種類により軸の高さが違う。そこで、機種判別部25の情報に基づいて、被試験ブレーキ4の軸の高さ調節を行うとともに、被試験ブレーキ4にどの程度の油圧をかける等の試験条件の設定を行う(すなわち、同じ種類のブレーキを試験するでも2人乗りを想定する場合と4人乗りを想定する場合では、かける油圧が違ってくる)。被試験ブレーキ4の軸の高さ調節は、リフト24(
図4参照)により行われる。なお、上記機種判別部25に記録される情報は、読み取れる場所であるならば、被試験ブレーキ4等、他の装置に備えてもよい。
【0033】
ここで、被試験ブレーキ4とブレーキダイナモメータ17の構成について、
図4を参照してより詳細に説明する。
図4は被試験ブレーキ4が試験を開始できる状態のブレーキダイナモメータ17のA−A断面図である。
【0034】
図4に示すように、フライホイール3の回転軸19は、ころがり軸受9aにより回転自在に支持される。その回転軸19の一端には駆動電動機1(図示省略)の回転軸が接続され、他端にはカップリングフランジ(フライホイール側)20が備えられている。カップリングフランジ20には、孔20aが形成されている。この孔20aには、被試験ブレーキ4のブレーキディスクアタッチメント26に備えられるピン21aが嵌入できるようになっている。また、ブレーキディスクアタッチメント26には、ブレーキディスク28が備えられている。
【0035】
そして、ブレーキディスクアタッチメント26のピン21aがカップリングフランジ20の孔20aに嵌入することで、被試験ブレーキ4がカップリングフランジ20に連結するようになっている。
【0036】
一方、トルクメータ6の軸32は、中空の軸であり、ころがり軸受9b、9cにより回転自在に支持されている。トルクメータ6の軸32の側面には、トルクアーム37が取り付けられ、トルクアーム37の他端にはロードセル34(荷重計)が備えられている。
【0037】
また、トルクメータ6の軸32の一端にはカップリングフランジ(トルクメータ側)22が備えられている。そして、カップリングフランジ22には、孔22aが形成されている。この孔22aには、被試験ブレーキ4のトルクメータアタッチメント31に備えられたピン21bが嵌入できるようになっている。
【0038】
また、トルクメータ6の軸32には、被試験ブレーキ4を押し出す位置戻し装置35の軸33が挿通されている。位置戻し装置35は、軸33、回転駆動部41及び、往復動装置42より構成される。すなわち、回転駆動部41は、軸33を軸中心に回転させ(
図4矢印B方向)、往復動装置42は、位置戻し装置35全体を軸33の軸方向(
図4矢印C方向)に往復運動させる。
【0039】
そして、軸33の端部には、トルクメータアタッチメント31の中心に形成された雌ねじ部36へ螺挿される雄ねじ部45が形成されている。
【0040】
なお、トルクメータ6には、トルクメータ6をその軸方向(
図4矢印D方向)に往復動させるための往復動装置43が備えられている。また、フライホイール3に往復動装置44を備えて、フライホイール3がフライホイール3の軸方向(
図4矢印E方向)に往復動できるようにしてもよい。
【0041】
また、被試験ブレーキ4のトルクメータアタッチメント31には、キャリパアタッチメント29の一端が固定されている。このキャリパアタッチメント29は中空であり、ブレーキディスクアタッチメント26の軸が挿通され、そしてベアリングを介して回転自在に支持されている。
【0042】
また、キャリパアタッチメント29の側面には、ブレーキキャリパ23が取り付けられている。ブレーキキャリパ23はブレーキパット27を備え、図示省略のブレーキ制御盤の指令によりブレーキパット27をブレーキディスク28に強く押し付けてブレーキディスク28の回転を制止できるようになっている。
【0043】
なお、キャリパアタッチメント29の内部であって、ブレーキディスクアタッチメント26とトルクメータアタッチメント31との間に備えられるスリップリング30は、ブレーキディスク28の測定情報(例えば、温度を測定する熱電対の電流)を外部に備えられたブレーキ制御盤(図示省略)に伝達するために備えられている。
【0044】
以上の構成のブレーキダイナモメータ17及び被試験ブレーキ4によれば、
図1に示された駆動電動機1の駆動によりフライホイール3を回転させることによりフライホイール3に車両走行時等と同等なエネルギーを蓄えることができる。そして、被試験ブレーキ4のブレーキキャリパ23を作動させ、ブレーキパット27をブレーキディスク28に強く押し付けると、フライホイール3とともに回転するブレーキディスクアタッチメント26が制動される。ブレーキディスクアタッチメント26の制動と同時に、ブレーキキャリパ23にかかる制動トルクが、キャリパアタッチメント29、トルクメータアタッチメント31、カップリングフランジ22、トルクメータ6の軸32、及びトルクアーム37を介してロードセル34に伝わり、ロードセル34により制動トルクが検出される。
【0045】
続いて、被試験ブレーキ4の取付け動作例について、
図2から
図4を参照して説明する。
図2は被試験ブレーキ4が移送された時のブレーキダイナモメータのA−A断面図、
図3は被試験ブレーキ4が備えられる途中のブレーキダイナモメータ17のA−A断面図である。
【0046】
図2に示されるように、被試験ブレーキ4は、パレット10上に備えられたリフト24により支持されている。コンベア装置7eにより被試験ブレーキ4がブレーキダイナモメータ17の試験位置に移送されると、パレット10に備えられた機種判別部25の情報が読み取られる。そして、パレット10上に備えられたリフト24により、被試験ブレーキ4の高さ調節が行われる。すなわち、リフト24が上下することで、被試験ブレーキ4に備えられたピン21a、21bがカップリングフランジ20、22の孔20a、22aに嵌入できるように被試験ブレーキ4の位置決めがなされる。
【0047】
機種判別部25には、被試験ブレーキ4の高さといった機種に関する情報の他に、どのような試験をするかについての情報が記録されている。
【0048】
図3に示すように、被試験ブレーキ4の設置高さの調節が終わると、回転駆動部41は、軸33をB方向に回転させるとともに、往復動装置42は軸33及び回転駆動部41をC方向に移動させる。よって、軸33の端部45がトルクメータアタッチメント31の中心部に形成された雌ねじ部36に螺挿しながら、被試験ブレーキ4はフライホイール3の方向に押圧される。
【0049】
このとき、キャリパアタッチメント29は、リフト24上部に備えられている回り止め部40により共廻りしない。よって、ピン21aがカップリングフランジ20に形成された孔20aに嵌入できる。そして、
図3に示すカップリングフランジ20とブレーキディスクアタッチメント26の間の隙間39がなくなるまで、被試験ブレーキ4は押圧される。このようにして、カップリングフランジ20に被試験ブレーキ4が連結される。
【0050】
次に、トルクメータ6を被試験ブレーキ4方向に移動させる。すなわち、往復動装置43がトルクメータ6を被試験ブレーキ方向に押圧する。そして、カップリングフランジ22とトルクアタッチメント31の隙間38がなくなるまで、トルクメータ6が被試験ブレーキ4方向に移動すると、カップリングフランジ22の孔22aにピン21bが嵌入する。このようにして、ブレーキダイナモメータ17に被試験ブレーキ4が連結される。なお、ブレーキダイナモメータ17に被試験ブレーキ4が連結される時、ブレーキキャリパ23とブレーキ制御盤5(図示省略)との電気的な接続も同時に行われている。
【0051】
そして、
図4に示すように、リフト24が下がり、リフト24と被試験ブレーキ4が接触しない状態となり、あらかじめ設定された条件(機種判別部25に記録された情報)に基づいてブレーキ試験が開始される。
【0052】
このとき、位置戻し装置35の電源は落とされている。すなわち、位置戻し装置35の電源を落とすことにより、トルクアタッチメント31に形成された雌ねじ部36に軸33が螺合した状態でブレーキ試験を行ったとしても、位置戻し装置35がブレーキ試験を妨げることがない。
【0053】
ブレーキ試験が終わると、リフト24が上昇し、再び被試験ブレーキ4を支持する。そして、被試験ブレーキ4は、連結時と逆の操作を行うことによりブレーキダイナモメータ17から脱離されるとともに、コンベア装置7eによりブレーキダイナモメータ17からコンベア装置7aに移送される。そして、コンベア装置7eにより、次の被試験ブレーキ4が、コンベア装置7aからブレーキダイナモメータ17に移送される。
【0054】
以上のように、本発明の第1実施形態に係るブレーキダイナモメータ17によれば、複数の被試験ブレーキ4を自動で順次試験することができる。すなわち、連続してブレーキ性能試験を行いたい被試験ブレーキ4の数だけパレット10を用意し、コンベア装置7a上に配置しておけばよい。
【0055】
なお、コンベア装置の形態は、
図1(a)のコンベア装置7a、7eに限定せず、例えば
図1(b)から
図1(d)に示すような形態のコンベア装置としてもよい。
【0056】
すなわち、
図1(b)のコンベア装置7bは、ブレーキダイナモメータ17の軸に対して垂直に配置されている。この形態によれば、
図1(a)で示したコンベア装置7a、7eよりも、試験済みの被試験ブレーキ4が載設されたパレット10を速やかにブレーキダイナモメータ17から移送することができる。
【0057】
また、
図1(c)のコンベア装置7cは、パレット10の移送路の形状がコの字型となっている。この形態によれば、待機している被試験ブレーキ4が載設されたパレット10及び、試験済みの被試験ブレーキ4が載設されたパレット10が備えられるスペースを確保することができる。すなわち、パレット10を備えるスペースを確保するとともに、ブレーキダイナモメータ17を設置するスペースを減少させることができる。
【0058】
さらに、
図1(d)のコンベア装置7dは、パレット10が循環するような移送路を備えている。この形態によれば、待機している被試験ブレーキ4が載設されたパレット10と試験済みの被試験ブレーキ4が載設されたパレット10を配置する移送路を共有することができる。よって、より多くのパレット10を待機させることができる。
【0059】
また、機種判別部25は、パレット10上の他にも情報が読み取れる場所であるあるならば、被試験ブレーキ4等に備えてもよい。
【0060】
なお、上記接続説明において、フライホイール3を固定して説明したが、フライホイール3とトルクメータ6が両方動くような方法でブレーキダイナモメータ17に被試験ブレーキ4を備えてもよい。その場合、フライホイール3及び駆動電動機1は、往復動装置44で移動させればよい。
【0061】
(第2実施形態)
続いて、本発明の第2実施形態に係るブレーキダイナモメータ18について
図5を参照して詳細に説明する。ブレーキダイナモメータ18は、被試験ブレーキ4のブレーキ性能試験を行うものである。ブレーキ性能試験の設定条件や被試験ブレーキ4の位置決め情報等は、あらかじめ機種判別部25に記録しておくことを特徴としている。
【0062】
図5は、本発明の第2の実施形態に係るブレーキダイナモメータ概略上面図である。
図5に示すように、本発明の第2実施形態に係るブレーキダイナモメータ18は、駆動電動機1、フライホイール3、トルクメータ6、より構成され、ブレーキダイナモメータ18には、ターンテーブル8が備えられている。被試験ブレーキ4及びトルクメータ6は、ターンテーブル8上に配置される。駆動電動機1及びフライホイール3、軸受9を連結したものは、ターンテーブル8方向に往復動できるように、図示省略の往復動装置が備えられている。
【0063】
そして、駆動電動機1は電動機制御盤(図示省略)の指令によって任意の速度で回転し、被試験ブレーキ4はブレーキ制御盤(図示省略)の指令によりブレーキが開放又は作動する。
【0064】
ターンテーブル8には、複数のコモンベッド11が配置され、コモンベッド11上に被試験ブレーキ4とトルクメータ6が設置されている。そして、コモンベッド11には、機種判別部25が備えられている。
【0065】
ターンテーブル8上に被試験ブレーキ4及びトルクメータ6を設置し、ターンテーブル8を回転することにより複数の被試験ブレーキ4のブレーキ試験を任意の順番で連続して行える。すなわち、ターンテーブル8上には複数の被試験ブレーキ4が設置され、あらかじめ制御部で設定した順序で被試験ブレーキ4のブレーキ試験を行うことができる。ゆえに、複数の被試験ブレーキ4のブレーキ試験を順次スケジューリングして実行することが可能となる。特に、ブレーキ試験を行いながら、次の被試験ブレーキ4の設置作業を行うことが可能であり、作業効率が上がる。
【0066】
本発明の第2実施形態に係るブレーキダイナモメータ18の取付け動作について詳細に説明する。
【0067】
ブレーキ試験を開始する場合、機種判別部25の情報が読み取られ、ブレーキの試験内容が設定される。そして、ターンテーブル8が回転し、被試験ブレーキ4の軸がフライホイール3の軸19に移送される。その後、駆動電動機1及びフライホイール3、軸受9が一体となったユニットが被試験ブレーキ方向に移動し、被試験ブレーキ4の軸とフライホイール3の軸19の連結が行われる。
【0068】
上記のように被試験ブレーキ4がブレーキダイナモメータ18の所定の位置に配置され、被試験ブレーキ4の軸とフライホイール3の軸19とのカップリングが行われる。その結合は、例えば第1の実施形態で示したようなピンによる結合方法やスプライン結合で軸同士をカップリングさせてもよい。
【0069】
被試験ブレーキ4がブレーキダイナモメータ18に備えられると、ブレーキの試験が開始される。
【0070】
まず、電動機制御盤(図示省略)がオンになり、その指令により駆動電動機1が作動し、フライホイール3が回転する。フライホイール3はあらかじめ設定された制動初速度まで加速された後、この制動用速度に保たれる。そして、ブレーキ制御盤(図示省略)からブレーキの開始指令が出されると、駆動電動機1の駆動力が零になるとともに、被試験ブレーキ4が作動し、この被試験ブレーキ4の制動力がトルクメータ6により測定される。この被試験ブレーキ4の制動力によってフライホイール3の回転が弱められ、制動終速度になると、被試験ブレーキ4が開放された状態となって再び駆動電動機1が駆動し、このようなサイクルが所定時間繰り返される。
【0071】
そして、上記のようなブレーキ試験が終了すると、連結時と逆の操作をすることにより、試験済みのブレーキがブレーキダイナモメータ18から取り外されるとともに、ターンテーブル8が回転する。ターンテーブル8が回転することにより、ブレーキダイナモメータ18から試験済みのブレーキが移送されるとともに、次に試験するブレーキがブレーキダイナモメータ18に移送され、ブレーキ試験が開始される。
【0072】
以上のように、本発明の第2実施形態に係るブレーキダイナモメータ18によれば、複数の被試験ブレーキ4を順次自動で運転することができる。
【0073】
なお、
図5で例示したように、ターンテーブル8上に配置する被試験ブレーキ4及びトルクメータ6は4台に限るものではなく、ターンテーブル8上に配置可能な台数を適宜備えればよい。
【0074】
また、
図6で示すように、ドーナツ型のターンテーブル46を使用し、被試験ブレーキ4だけが回転するような構造にすれば、トルクメータ6は1つ備えればよいことになる。
【0075】
この場合、駆動電動機1、フライホイール3、軸受9が一体となったユニットには、実施形態1の往復動装置44のような往復動装置が具備され、一方トルクメータ6には、実施形態1の往復動装置43のような往復動装置が備えられる。
【0076】
そして、ターンテーブル46により被試験ブレーキ4がブレーキダイナモメータ16に移送され、後に第1実施形態と同じ要領で、トルクメータ6とフライホイールユニット(駆動電動機1、フライホイール3、軸受9が一体となったユニット)が被試験ブレーキ4方向に移動し、ブレーキダイナモメータ15に被試験ブレーキ4が連結される。
【0077】
したがって、上記ブレーキダイナモメータ16では、複数の被試験ブレーキ4を試験するために備えるダイナモメータがひとつであるために、コスト削減効果が得られる。
【0078】
なお、ブレーキ性能試験の設定条件や被試験ブレーキの位置決め情報等を記録した機種判別部25は、ターンテーブル46上に配置されるコモンベッド11に備えられているが、被試験ブレーキ4等に適宜備えてもよい。さらに、ターンテーブル46上に配置する被試験ブレーキ4は、4台に限るものではなく、ターンテーブル46上に配置可能な台数を適宜備えればよい。
【0079】
以上説明したように、本発明の第1及び第2実施形態に係るブレーキダイナモメータによれば、複数の被試験ブレーキのブレーキ性能試験を順次連続して行えるので、ブレーキ性能試験の効率が向上する。
【0080】
すなわち、被試験ブレーキをブレーキダイナモメータに設置する工程、被試験ブレーキを試験する工程、試験済み被試験ブレーキをブレーキダイナモメータから外す工程を自動で行うことができるので、複数台の被試験ブレーキのブレーキ性能試験を順次連続して行うことが可能となる。
【0081】
さらに、本発明の第1及び第2実施形態に係るブレーキダイナモメータでは、試験に使用される駆動電動機やフライホイールがひとつであるために、ブレーキダイナモメータの設置スペースの削減、コストダウンの効果も得られる。