(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記登録手段は、前記受信手段で受信される応答信号で識別される無線タグが前記記憶手段に既に登録されている場合、その旨を報知することを特徴とする請求項1または2に記載の無線通信装置。
無線タグに対する問合せ信号を無線送信する送信手段と、この送信手段から無線送信される問合せ信号に対して無線タグから無線送信される応答信号を受信する受信手段と、この受信手段で受信される応答信号の強度を検出する検出手段と、を備えるコンピュータに、
無線タグの登録処理及び無線タグの探索処理のいずれかを選択する選択機能と、
この選択機能で前記登録処理が選択されているとき、前記受信手段で受信される応答信号で識別される無線タグを所定の記憶手段に登録する登録機能と、
前記選択機能で前記探索処理が選択されているとき、前記記憶手段に登録された無線タグの中から探索対象の指定を受け付ける指定機能と、
この指定機能で指定を受け付けた探索対象の無線タグのうち、前記受信手段で応答信号が受信された探索対象の無線タグが付された物品の名称と受信されていない探索対象の無線タグが付された物品の名称とを識別可能にした第1の画面をディスプレイに表示させて報知する第1の報知機能と、
この第1の報知機能による報知の後、前記ディスプレイの画面を探索対象エリアとタグ探索状況エリアとを含む第2の画面に切り替え、応答信号が受信されていないとして前記第1の報知機能により報知された無線タグの中で選定された無線タグが付されている物品の名称を前記第2の画面の探索対象エリアに表示させるとともに、その選定された無線タグが未検知であることを前記第2の画面のタグ探索状況エリアの表示にて報知し、前記選定された無線タグからの応答信号の強度が前記検出手段で検出されると、その検出された強度に応じて当該無線タグまでの距離を前記タグ探索状況エリアの表示にて報知するとともに、当該強度が増加している際に当該無線タグに近づいていることを報知し、当該強度が減少している際に当該無線タグから遠ざかっていることを報知する第2の報知機能と、
を実現させるための制御プログラム。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、各実施形態について図面を参照しながら説明する。
なお、各実施形態においては、無線通信装置の一例として、通話やパケット通信用の基地局との通信機能を備えた携帯電話を例示する。
【0012】
(第1の実施形態)
[システム構成]
本実施形態におけるシステム構成を
図1に示す。このシステムは、本実施形態における無線通信装置として機能する携帯電話1と、物品に取り付けられた無線タグである複数のRFIDタグ2とで構成される。
【0013】
携帯電話1の筐体には、例えばLCD(Liquid Crystal Display)であるディスプレイ12と、複数の操作ボタンやディスプレイ12の表示面上に設けられたタッチパネルにて構成される入力部13と、上記基地局との通信用の携帯電話用アンテナ17とが設けられている。携帯電話1には、RFIDタグ2に問合せ信号を送信し、RFIDタグ2からの応答信号を受信するリーダユニット16が内蔵されている(
図4参照)。このリーダユニット16からの上記問合せ信号は、例えばディスプレイ12の反対側の筐体面から外部に向けて放射される。
【0014】
物品に取り付けられる前のRFIDタグ2は、例えば
図2に示すように樹脂材料等で形成されたタグ基材20に、IC21と一対のアンテナ22とを有するインレットを設けて構成される。IC21内のメモリには、各RFIDタグ2で重複しないタグコード、例えばRFIDタグ2の販売元のSGTIN(シリアルナンバ+JANコード)等が記憶されている。
【0015】
このような構成のRFIDタグ2は、例えばタグ基材20の裏面に粘着層が形成され、剥離紙3に複数枚並べて貼付された状態で保管されている。そして、ユーザが剥離紙3からRFIDタグ2を剥がし、所望の物品に貼り付けることで、その物品に取り付けられる。
【0016】
なお、RFIDタグ2は、例えば
図3に示すように厚手のタグ基材23にIC21とアンテナ22とを有するインレットを埋め込み、同基材23に物品への取り付け用のリング24を設けたキーホルダー型であってもよい。このようにすれば、貼り付けが困難な物品、例えば図示したような鍵25に対しても容易にRFIDタグ2を取り付けることができる。その他にも、クリップにてRFIDタグ2を物品に取り付ける等、RFIDタグ2の取り付け方法としては種々のものを採用し得る。
【0017】
[制御回路]
図4に携帯電話1の制御回路を示す。携帯電話1は、CPU(Central Processing Unit)を主体として構成される主制御部10を備える。この主制御部10にメモリ11、上記ディスプレイ12、上記入力部13、通信部14、音声入出力部15、および上記リーダユニット16を接続し、通信部14に上記アンテナ17を接続し、音声入出力部15にスピーカ18およびマイク19を接続して、携帯電話1の制御回路が構成される。なお、当該制御回路を構成する各部は、例えば携帯電話1の筐体に着脱されるバッテリ100からの電源供給を受けて動作する。
【0018】
メモリ11は、ROM(Read Only Memory)やRAM(Random Access Memory)にて構成され、主制御部10によって実行される制御プログラムや、後述の強度検出テーブル111(
図5参照)および登録タグテーブル112(
図6参照)等を記憶する。
【0019】
通信部14は、アンテナ17を介して行われる携帯電話基地局との相互通信を制御する。
【0020】
マイク19は、携帯電話1の周囲の音声を集音して音声信号を生成し、音声入出力部15に出力する。音声入出力部15は、マイク19から入力される音声信号をA/D変換して主制御部10に出力する。また、音声入出力部15は、主制御部10からの指令に応じた音声信号を生成し、スピーカ18に出力する。スピーカ18は、音声入出力部15から入力される音声信号に応じて実際の音声を発生させる。
【0021】
リーダユニット16は、リーダ制御部160と、送信部161と、上記アンテナ162と、受信部163と、AGC(Automatic Gain Control)回路164と、を備える。
送信部161は、リーダ制御部160から供給されるアナログの送信データ信号で所定の搬送波を変調し、この変調した信号を増幅してアンテナ162に供給する。アンテナ162は、送信部161から供給される信号を電波(問合せ信号)として放射するとともに、自身の交信領域内に存在するRFIDタグ2から送信される電波(応答信号)を受信してアナログの受信データ信号を生成する。この受信データ信号は、受信部163に供給される。受信部163は、アンテナ162から供給される受信データ信号を増幅し、増幅した信号から所定の搬送波成分を除去する復調を行い、復調した信号のうち所定の低周波数帯の信号をLPF(Low Pass Filter)で抽出する処理を行う。この抽出後の信号が上記AGC回路164に供給される。AGC回路164は、受信部163から供給される信号を増幅するとともに、増幅後の信号レベルが一定の適正レベルとなるように利得を調整する。このAGC回路164の出力信号がリーダ制御部160に供給される。また、RFIDタグ2からの応答信号の強度を検出するための要素として、AGC回路164における調整利得値、例えば“0(増幅なし)”〜“255(最大増幅)”間のいずれかの調整利得値がリーダ制御部160に供給される。
【0022】
主制御部10は、メモリ11に記憶された制御プログラムを実行することにより、選択部101、登録部102、指定部103、および報知部104として機能する。
選択部101は、RFIDタグ2の登録処理およびRFIDタグ2の探索処理から実行すべき処理の選択を受け付ける。
登録部102は、選択部101で登録処理が選択されているときに登録処理を実行し、受信部163で受信される応答信号で識別されるRFIDタグ2を上記登録タグテーブル112に登録する。登録処理の詳細については、
図7,
図8の説明にて後述する。
指定部103は、選択部101で探索処理が選択されているときに登録タグテーブル112に登録されたRFIDタグ2の中から上記探索処理での探索対象とするRFIDタグ2の指定を受け付ける。指定部103の動作の詳細については、
図9の説明にて後述する。
報知部104は、指定部103で指定を受け付けた探索対象のRFIDタグ2からの応答信号の強度がAGC回路164で検出されると、その検出された強度およびその変化に応じて当該探索対象のRFIDタグ2までの距離を報知する。あるいは、指定部103で指定を受け付けた探索対象のRFIDタグ2のうち、受信部163で応答信号が受信されたものと受信されていないものとを識別可能に報知する。報知部104の動作の詳細については、
図10〜
図13の説明にて後述する。
【0023】
[データ構造]
メモリ11に記憶される上記強度検出テーブル111および上記登録タグテーブル112について説明する。
図5は、強度検出テーブル111のデータ構造例を示す模式図である。このテーブル111は、AGC回路164における調整利得値“0”〜“255”に対し、10段階の強度“10(最強)”〜“1(最弱)”を割り当てたものである。通常、アンテナ162とRFIDタグ2との間の距離が近いほど、RFIDタグ2から強い応答信号が得られる。すなわち、上記10段階の強度が大きいほどその応答電波を返したRFIDタグ2がアンテナ162の近くに所在することになる。
【0024】
図6は、登録タグテーブル112のデータ構造例を示す模式図である。このテーブル112は、上記登録処理においてリーダユニット16でRFIDタグ2から読み取られるタグコードと、入力部13を介して入力される登録名称等の文字列とを対応付けたレコードで構成される。なお、
図6には既にいくつかのレコードが生成された状態を示しているが、携帯電話1の出荷当初や所定の処理により登録タグテーブル112をクリアした後には、該テーブル112にレコードがない状態となる。
【0025】
次に、携帯電話1の動作について説明する。
携帯電話1のアイドル時においては、選択部101がタグコードの登録処理およびRFIDタグ2の探索処理のいずれかの選択を受け付けている。このとき入力部13の操作により登録処理が選択されると、登録部102による登録処理が実行され、入力部13の操作により探索処理が選択されると、指定部103および報知部104による探索処理が実行される。
以下、各処理について説明する。
【0026】
[登録処理]
登録処理は、所定のRFIDタグ2を新たに登録タグテーブル112に登録する処理である。具体的には、登録しようとするRFIDタグ2のタグコードと、同RFIDタグ2を付して管理しようとする物品を識別可能な登録名称とを対応付けてなるレコードを、新たに登録タグテーブル112に追加する。
【0027】
図7は、登録処理の流れを示すフローチャートである。ユーザが入力部13を操作して登録処理の開始を指示すると、登録部102は、
図8(a)に示す登録画面5をディスプレイ12に表示させる(ステップS101)。この登録画面5には、RFIDタグ2の読み取りを促すメッセージと、読み取られたタグコードを表示するためのエリア51と、入力された登録名称を表示するためのエリア52と、メニューボタン53および戻ボタン54とが配置されている。
【0028】
登録画面5を表示した後、登録部102は、リーダユニット16にリードコマンドを出力し(ステップS102)、RFIDタグ2からの応答を待つ(ステップS103のNo)。上記リードコマンドを受け、リーダ制御部160から送信データ信号が送信部161に出力され、アンテナ162から問合せ信号が無線送信される。このとき、アンテナ162の交信領域内に1つでもRFIDタグ2が存在していれば、そのRFIDタグ2から応答信号が無線送信される。
【0029】
ユーザがアンテナ162の交信領域内にRFIDタグ2を翳すと、そのRFIDタグ2から無線送信される応答信号がアンテナ162で受信され、受信部163およびAGC回路164を経てリーダ制御部160に入力される。リーダ制御部160は、入力された応答信号を主制御部10に出力する。このとき登録部102は、主制御部10に入力された応答信号で識別されるRFIDタグ2が登録タグテーブル112に登録済みであるか否かを判定する(ステップS104)。具体的には、主制御部10に入力された応答信号で示されるタグコードと、登録タグテーブル112の各レコードのタグコードとを比較し、一致するレコードが存在するならば当該RFIDタグ2が登録済みであると判定し、一致するレコードが存在しないならば当該RFIDタグ2が登録済みでないと判定する。
【0030】
応答信号で識別されるRFIDタグ2が登録済みでないと判定した場合(ステップS104のNo)、登録部102は、
図8(b)に示すように当該応答信号で示されるタグコードを登録画面5のエリア51に表示する。そして、登録名称の入力を受け付ける状態で(ステップS105)、その入力の完了を待つ(ステップS106のNo)。このときユーザが入力部13を操作して登録名称を入力すると、入力された名称がエリア52に表示される。
【0031】
さらに、ユーザが入力部13を操作して登録画面5bに配置されたOKボタン55を操作すると、登録部102は、登録名称の入力が完了したと判定する(ステップS106のYes)。このとき、登録部102は、登録タグテーブル112を参照し、入力された登録名称が使用されているか否かを判定する(ステップS107)。使用されていないと判定した場合(ステップS107のYes)、登録部102は、エリア51に表示されているタグコードと、エリア52に表示されている登録名称とを対応付けたレコードを生成して登録タグテーブル112に追加する(ステップS108)。かくしてRFIDタグ2が新たに登録タグテーブル112に登録され、登録処理が終了する。
【0032】
一方、ステップS104の処理にてRFIDタグ2が登録タグテーブル112に登録済みであると判定した場合(ステップS104のYes)、およびステップS107の処理にて入力された登録名称が使用されていると判定した場合には(ステップS107のNo)、登録部102は、当該RFIDタグ2が登録済みである旨や、登録名称が既に使用されている旨を報知する(ステップS109)。この報知は、例えば
図8(c)に示した「このタグは名称登録済みです」とのメッセージを登録画面5に表示することで行う。この報知の後、登録部102は、操作に応じた処理を実行する。例えば戻ボタン54が操作されたならばエリア51,52に表示中のタグコードおよび登録名称を破棄してステップS102の処理に戻り、再びRFIDタグ2の読み取りを試行する。また、メニューボタン53が操作されたならば
図8(d)に示すように登録画面5上に「編集」ボタン,「削除」ボタンを表示させる。この登録画面5において、「編集」ボタンが操作されたならばエリア51,52に表示されたタグコード,登録名称の編集を受け付け、「削除」ボタンが操作されたならばエリア51,52に表示中のタグコードおよび登録名称を破棄してステップS102の処理に戻り、再びRFIDタグ2の読み取りを試行する。
【0033】
このような流れの登録処理により、ユーザは、所望のRFIDタグ2を携帯電話1による管理対象として登録することができる。
【0034】
[探索処理]
探索処理は、登録タグテーブル112に登録されたRFIDタグ2(すなわち、RFIDタグ2が取り付けられた物品)を探索するための処理であり、本実施形態においては、「失くし物サーチモード」、「持ち物確認モード」と称する2通りのモードにて実行される。
先ず、各モードの選択手順を説明する。
携帯電話1のアイドル時において、選択部101が入力部13の操作による探索処理の選択を受け付けると、指定部103が
図9(a)に示す探索対象の指定画面6をディスプレイ12に表示させる。この指定画面6には、登録タグテーブル112の各レコードの登録名称がチェックボックスとともに一覧表示される。さらに、一覧表示された各登録名称の下方にはメニューボタン61と、戻ボタン62とが配置され、各登録名称の右隣にはスクロールバー63が配置されている。入力部13によりいずれかの登録名称が指定されると、その登録名称に隣り合うチェックボックスがチェックされる。登録タグテーブル112に多数のレコードが登録されており、指定画面6中に一度に全ての登録名称を表示できない場合にはその一部のみ表示され、スクロールバー63を用いたスクローリング操作がなされた際に表示する登録名称が切り替わる。戻ボタン62が操作されると指定画面6が消去され、再び選択部101による処理の選択が行われる。
【0035】
入力部13によりメニューボタン61が操作されると、
図9(b)に示すように「失くし物サーチ」,「持ち物確認」,「リスト管理」,「絞り込み検索」,「削除」の中から実行すべき処理を選択させるためのリストとOKボタン64とが表示される。入力部13の操作により「リスト管理」が選択された状態でOKボタン64が操作されると、登録タグテーブル112の各レコードの編集処理が開始される。また、入力部13の操作により「絞り込み検索」が選択された状態でOKボタン64が操作されると、例えば入力部13により入力される文字列と全てあるいは一部が一致する登録名称を指定画面6の一覧表示中から検索し、発見した登録名称の表示色を変更するなどして検索結果を報知する検索処理が開始される。また、入力部13の操作により「削除」が選択された状態でOKボタン64が操作されると、チェックボックスがチェックされた登録名称に対応するレコードが登録タグテーブル112から消去される。
【0036】
<失くし物サーチ>
入力部13の操作により1つのチェックボックスがチェックされた状態で「失くし物サーチ」が選択され、OKボタン64が操作されると、報知部104により上記失くし物サーチモードでの処理が開始される。
図10は、失くし物サーチモードにおける処理の流れを示すフローチャートである。処理開始当初において、先ず報知部104は、指定部103によって指定されたRFIDタグ2のタグコード、すなわち指定画面6においてチェックボックスがチェックされた登録名称に対応するタグコードを登録タグテーブル112から抽出する(ステップS201)。しかる後、報知部104は、
図11に示すサーチ画面7をディスプレイ12に表示させる(ステップS202)。このサーチ画面7には、探索対象として指定されたRFIDタグ2の登録名称が表示されるエリア71と、探索開始を指示するための探索開始ボタン72と、探索終了を指示するための探索終了ボタン73と、実際の探索状況を逐次に表示するためのタグ探索状況表示エリア74とが配置されている。特にタグ探索状況表示エリア74には、探索対象であるRFIDタグ2がアンテナ162の交信領域内に存在せずRFIDタグ2が検出されない場合に現在地▽(黒)マークと共に点灯する未検知インジケータ75と、携帯電話1と探索対象であるRFIDタグ2との距離がどのくらいかを目盛上の現在地▽(黒)マークで表示する距離表示インジケータ76と、携帯電話1が探索対象のRFIDタグ2に近づいたときに点灯する“近づきました”インジケータ77と、携帯電話1が探索対象のRFIDタグ2から離れたときに点灯する“離れました”インジケータ78とを有し、これら各インジケータ75〜78を以ってタグ探索状況をユーザに知らせる。
【0037】
サーチ画面7を表示した後、報知部104は、リーダユニット16にリードコマンドを出力し(ステップS203)、RFIDタグ2からの応答の有無を判定する(ステップS204)。上記リードコマンドを受け、リーダ制御部160から送信データ信号が送信部161に出力され、アンテナ162から問合せ信号が無線送信される。このとき、アンテナ162の交信領域内に1つでもRFIDタグ2が存在していれば、そのRFIDタグ2から応答信号が無線送信される。
【0038】
アンテナ162の交信領域内にRFIDタグ2が存在すれば、同RFIDタグ2から無線送信される応答信号がアンテナ162で受信され、受信部163およびAGC回路164を経てリーダ制御部160に入力される。このとき、AGC回路164からリーダ制御部160に当該応答信号の調整利得値も供給される。リーダ制御部160は、入力された応答信号および調整利得値を主制御部10に出力する。このようにして1つまたは複数の応答信号およびその調整利得値が主制御部10に入力されると、報知部104は、RFIDタグ2からの応答があったと判定し(ステップS204のYes)、ステップS201の処理にて抽出したタグコード、すなわち探索対象のRFIDタグ2のタグコードと同一のタグコードを含む応答信号の選出を試み(ステップS205)、その結果を判定する(ステップS206)。
【0039】
ステップS204の処理にてRFIDタグ2からの応答が得られない場合や(ステップS204のNo)、ステップS206の処理にて探索対象のRFIDタグ2のタグコードと同一のタグコードを含む応答信号が選出されない場合には(ステップS206のNo)、アンテナ162の交信領域内に探索対象のRFIDタグ2が存在しないことになる。この場合、報知部104は、未検知インジケータ75を現在地▽(黒)マークとともに点灯させる(ステップS207)。このとき、距離表示インジケータ76が点灯しているならば消灯させる。
【0040】
一方、ステップS206の処理にて探索対象のRFIDタグ2のタグコードと同一のタグコードを含む応答信号が選出された場合には(ステップS206のYes)、アンテナ162の交信領域内に探索対象のRFIDタグ2が存在することになる。この場合、報知部104は、AGC回路164から出力された当該応答信号の調整利得値に基づき、強度検出テーブル111を参照して当該応答信号の強度を検出する(ステップS208)。検出した強度は、“今回の強度”としてメモリ11に記憶する。なお、既に“今回の強度”がメモリ11に記憶されているならば、その強度を“前回の強度”としてメモリ11に記憶し、“今回の強度”を検出した強度にて更新する。さらに、未検知インジケータ75が点灯しているならば消灯させ、距離表示インジケータ76が消灯しているならば点灯させる。その後、報知部104は、検出した強度を距離表示インジケータ76で表示させる(ステップS209)。
【0041】
距離表示インジケータ76の目盛りは、左側端部が“10(遠い距離)”、右側端部が“1(近い距離)”を表しており、ステップS209の処理では10段階の距離に応じた目盛りの位置に現在地▽(黒)マークが表示される。したがって、この目盛り上のどの位置を現在地▽(黒)マークが指しているかにより、探索対象のRFIDタグ2までの距離を視覚的に察知できる。
【0042】
また、報知部104は、検出された“今回の強度”とメモリ11に記憶された“前回の強度”とを比較する(ステップS210)。その結果、“今回の強度”が“前回の強度”以上であれば(ステップS210のYes)、携帯電話1が探索対象のRFIDタグ2に近づいているとの判断の下に、サーチ画面7における“近づきました”インジケータ77を点灯させ“離れました”インジケータ78を消灯させる(ステップS211)。このとき、未検知インジケータ75が点灯しているならば消灯させる。同時に、スピーカ18から発せられている断続的なビープ音の発生タイミングをこれまでより短縮させる(ステップS212)。この断続的なビープ音は、例えば失くし物サーチが開始された後、最初に探索対象のRFIDタグ2からの応答信号を得たときから発せられ始めたものである。この“近づきました”インジケータ77の点灯およびビープ音の発生タイミングの短縮により、ユーザは携帯電話1が探索対象のRFIDタグ2に近づいていることを察知できる。
【0043】
一方、“今回の強度”が“前回の強度”よりも小さい場合(ステップS210のNo)、報知部104は、携帯電話1が探索対象のRFIDタグ2から遠ざかっているとの判断の下に、サーチ画面7における“離れました”インジケータ78を点灯させ、“近づきました”インジケータ77を消灯させる(ステップS213)。同時に、スピーカ18から発せられている断続的なビープ音の発生タイミングをこれまでより延長させる(ステップS214)。この“離れました”インジケータ78の点灯およびビープ音の発生タイミングの延長により、ユーザは携帯電話1が探索対象のRFIDタグ2から遠ざかっていることを察知できる。
【0044】
ステップS207、ステップS212あるいはステップS214の処理の後、報知部104は、一連の処理の終了が指示されたか否かを判定する(ステップS215)。探索終了ボタン73が未だ操作されていない場合には処理の終了が指示されていないと判定し(ステップS215のNo)、報知部104は、ステップS203の処理に戻って再びリードコマンドを出力する。
【0045】
一方、ユーザが探索対象のRFIDタグ2を探し当てたり探索を諦めたりした際に、入力部13を介して探索終了ボタン73を操作している場合には処理の終了が指示されたと判定し(ステップS215のYes)、報知部104は、失くし物サーチモードに関わる一連の処理を終了する。
【0046】
<持ち物確認>
図9(b)に示した指定画面6において、入力部13の操作により少なくとも1つのチェックボックスがチェックされた状態で「持ち物確認」が選択され、OKボタン64が操作されると、報知部104により上記持ち物確認モードでの処理が開始される。
図12は、持ち物確認モードにおける処理の流れを示すフローチャートである。処理開始当初において、先ず報知部104は、指定部103によって指定された1つまたは複数のRFIDタグ2のタグコード、すなわち指定画面6においてチェックボックスがチェックされた登録名称に対応するタグコードを登録タグテーブル112から抽出する(ステップS301)。しかる後、報知部104は、
図13(a)に示す持ち物確認画面8をディスプレイ12に表示させる(ステップS302)。この持ち物確認画面8には、指定画面6においてチェックボックスがチェックされた登録名称が一覧表示される。さらに、一覧表示された各登録名称の上方にはRFIDタグ2の読み取りを促すメッセージと、確認済みタグ数および探知対象の全タグ数の表示エリア81とが配置され、各登録名称の下方にはメニューボタン82と、戻ボタン83とが配置され、各登録名称の右隣にはスクロールバー84が配置されている。指定画面6において多数の登録名称が指定されており、持ち物確認画面8中に指定された登録名称を一度に全て表示できない場合にはその一部のみ表示され、スクロールバー84を用いたスクローリング操作がなされた際に表示する登録名称が切り替わる。メニューボタン82が操作されると、各種の処理を選択するためのリストが表示される。このリストで選択可能な処理には、例えば一覧表示中の各登録名称をファイル化してメモリ11に保存する処理等が含まれる。
【0047】
持ち物確認画面8を表示した後、報知部104は、リーダユニット16にリードコマンドを出力し(ステップS303)、RFIDタグ2からの応答の有無を判定する(ステップS304)。上記リードコマンドを受け、リーダ制御部160から送信データ信号が送信部161に出力され、アンテナ162から問合せ信号が無線送信される。このとき、アンテナ162の交信領域内に1つでもRFIDタグ2が存在していれば、そのRFIDタグ2から応答信号が無線送信される。
【0048】
アンテナ162の交信領域内にRFIDタグ2が存在すれば、同RFIDタグ2から無線送信される応答信号がアンテナ162で受信され、受信部163およびAGC回路164を経てリーダ制御部160に入力される。リーダ制御部160は、入力された応答信号を主制御部10に出力する。このようにして1つまたは複数の応答信号が主制御部10に入力されると、報知部104は、RFIDタグ2からの応答があったと判定し(ステップS304のYes)、ステップS301の処理にて抽出した1つまたは複数のタグコード、すなわち探索対象のRFIDタグ2のタグコードと同一のタグコードを含む応答信号の選出を試み(ステップS305)、その結果を判定する(ステップS306)。
【0049】
探索対象のRFIDタグ2のタグコードと同一のタグコードを含む応答信号が選出された場合には(ステップS306のYes)、アンテナ162の交信領域内に探索対象のRFIDタグ2が存在することになる。この場合、報知部104は、当該選出された1つまたは複数のタグコードが今回の持ち物確認モードにおける処理にて存在確認済みのRFIDタグ2のタグコードであるか否かを判定する(ステップS307)。確認済みのRFIDタグ2のタグコードでない場合(ステップS307のNo)、報知部104は、
図13(b)に示すように持ち物確認画面8に一覧表示された登録名称のうち、当該選出されたタグコードに対応する登録名称の左隣に「OK」の文字を付す(ステップS308)。かくして探索対象のRFIDタグ2のうち、受信部163で応答信号が受信されたものと受信されていないものとが識別可能となる。さらに、報知部104は、
図13(b)に示すように「OK」の文字を付した登録名称の数だけ表示エリア81の確認済点数を増加させ(ステップS309)、スピーカ18に単発のビープ音を発生させる(ステップS310)。これにより、ユーザは指定した探索対象のいずれかが探索されたことを察知できるとともに、表示エリア81の表示が例えば「3/8(確認済みのタグ数/探索対象の全タグ数)」のように更新されるので、指定した探索対象のうちのいくつを確認済みであるのかを容易に察知できる。
【0050】
ステップS310の処理の後、ステップS304の処理にてRFIDタグ2からの応答が得られない場合(ステップS304のNo)、ステップS306の処理にて探索対象のRFIDタグ2のタグコードと同一のタグコードを含む応答信号が選出されない場合(ステップS306のNo)、およびステップS307の処理にて確認済みのタグコードであると判定された場合には(ステップS307のYes)、報知部104は、一連の処理の終了が指示されたか否かを判定する(ステップS311)。戻ボタン83が未だ操作されていない場合には処理の終了が指示されていないと判定し(ステップS311のNo)、報知部104は、ステップS303の処理に戻って再びリードコマンドを出力する。
【0051】
一方、ユーザが入力部13を介して戻ボタン83を操作している場合には処理の終了が指示されたと判定し(ステップS311のYes)、報知部104は、持ち物確認モードに関わる一連の処理を終了する。
【0052】
[作用]
本実施形態における作用について説明する。
携帯電話1のユーザは、失くし易い物や、探し出しにくい物等を携帯電話1にて管理すべく、それらにRFIDタグ2を取り付け、登録処理を実行して当該取り付けたRFIDタグ2を登録タグテーブル112に登録する。
【0053】
その後、例えば登録済みのRFIDタグ2が付された物品をどこにしまったのか分からなくなったときなどには、指定画面6に表示される登録名称を参考にして当該物品に取り付けたRFIDタグ2を指定した上で、失くし物サーチモードでの探索処理を起動する。その後、ユーザは携帯電話1を手で持ったまま、ディスプレイ12に表示されたサーチ画面7の各インジケータ75〜78やスピーカ18から発せられるビープ音を参照しながら周囲を移動し、探索対象のRFIDタグ2の位置をつきとめる。かくして、探知対象として指定したRFIDタグ2が取り付けられた物品を見つけ出すことができる。
【0054】
また、例えば自宅から外出する際に忘れ物がないかを確認したいときなどには、指定画面6に表示される登録名称を参考にして外出先で必要な物品に取り付けたRFIDタグ2を指定した上で、持ち物確認モードでの探索処理を起動する。その後、ユーザは携帯電話1を手で持って鞄等の手荷物に翳し、手荷物内のRFIDタグ2の読み取りを試行する。このとき、手荷物内に探索対象のRFIDタグ2があるならばその応答信号が得られるので、持ち物確認画面8に一覧表示された探索対象のRFIDタグ2の登録名称のうち、当該応答信号が得られたRFIDタグ2に対応するものに「OK」の文字が付される。やがて、全ての手荷物に携帯電話1を翳し終えたにも関わらず「OK」の文字が付されていない登録名称があるならば、その登録名称に対応する物品が手荷物内に含まれていないことが分かる。一方、全ての登録名称に「OK」の文字が付されたならば、指定した各登録名称に対応する物品が全て手荷物内に含まれており、忘れ物はないことが分かる。なお、忘れ物の有無は表示エリア81を確認することでも認識可能である。
【0055】
このように、本実施形態における携帯電話1は、失くし物サーチモードでの処理を活用することで、リーダユニット16による無線通信により特定の物品を探し出すことができ、複数の物品を揃える上で漏れがないかを確認したい場合には持ち物確認モードでの処理を活用することで、リーダユニット16による無線通信によりそれら物品が全て揃っているかどうかを確認できる。このように携帯電話1が備えるリーダユニット16を用いて物品の探索や存否の確認を行う構成であれば、日常生活における各場面においてユーザが手作業で探索作業や確認作業を行う必要がなくなるので、これらの作業を容易かつ迅速に行うことができる。
【0056】
(第2の実施形態)
次に、第2の実施形態について説明する。
本実施形態では、第1の実施形態の構成に加え、持ち物確認モードにおける処理を実行した後、同処理にて存在が確認できなかったRFIDタグ2に対して失くし物サーチモードにおける処理を実行するモード(以下、併用モードと称す)を設ける。この新たに追加した併用モードにおける処理以外の構成は第1の実施形態と同様であるので、同一の符号を付してその説明を省略する。
【0057】
本実施形態における指定部103は、
図9(b)のように「失くし物サーチ」,「持ち物確認」等の項目が設けられたリストを表示して処理の選択を受け付ける際に、例えば「併用」なる項目を設け、併用モードでの処理の選択を受け付ける。
【0058】
1つまたは複数のチェックボックスがチェックされた状態で「併用」が選択されると、報知部104により併用モードでの処理が開始される。
図14は、併用モードにおける処理の流れを示すフローチャートである。処理開始当初において、先ず報知部104は、指定画面6において指定されたRFIDタグ2を対象とし、持ち物確認モードでの処理を実行する(ステップS401)。すなわち、報知部104は、
図12に示したステップS301〜S311の処理を実行する。
【0059】
この持ち物確認モードでの処理の終了後、報知部104は、同処理において応答信号を受信できなかったRFIDタグ2があるか否かを判定する(ステップS402)。応答信号を受信できなかったRFIDタグ2が1つもない場合には当該併用モードでの処理を終了する。
【0060】
一方、応答信号を受信できなかったRFIDタグ2が1つでもある場合(ステップS402のYes)、報知部104は、当該応答信号を受信できなかったRFIDタグ2の中から1つを選定し(ステップS403)、当該選定したRFIDタグ2を探索対象として失くし物サーチモードでの処理を実行する(ステップS404)。すなわち、報知部104は、
図10に示したステップS201〜S215の処理を実行する。
【0061】
この失くし物サーチモードでの処理の終了後、報知部104は、ステップS401の持ち物確認モードでの処理において応答信号を受信できなかったRFIDタグ2全てについて、失くし物サーチモードでの処理を実行し終えたか否かを判定する(ステップS405)。応答信号を受信できなかったRFIDタグ2の中に未だ失くし物サーチモードでの処理の探索対象としていないものがあるならば(ステップS405のYes)、報知部104は、当該探索対象としていないRFIDタグ2を1つ選定し(ステップS403)、当該選定したRFIDタグ2を探索対象として失くし物サーチモードでの処理を実行する(ステップS404)。このようにしてステップS403〜S405の処理を繰り返し、やがてステップS401の持ち物確認モードでの処理において応答信号を受信できなかったRFIDタグ2全てについて、失くし物サーチモードでの処理を実行し終えると(ステップS405のNo)、報知部104は、当該併用モードでの処理を終了する。
【0062】
このように、本実施形態においては併用モードを設け、持ち物確認モードにおける処理にて確認できなかったRFIDタグ2を探索対象として自動的に失くし物サーチモードでの処理を実行する。このような構成であれば、複数の物品を揃える上で先ず揃えた物品に漏れがないかを確認し、漏れがある場合には即座にその物品の所在を探索することが可能となる。しかもその際、ユーザが携帯電話1を操作してモードを切り替える必要がないので、操作に要する手間が省ける。
その他、第1の実施形態と同様の効果を奏することは、いうまでもない。
【0063】
(変形例)
なお、上記各実施形態にて開示した構成は、種々変形実施可能である。具体的な変形例としては、例えば次のようなものがある。
【0064】
(1)上記各実施形態においては、携帯電話1にリーダユニット16を設け、この携帯電話1にて登録処理や探索処理を実行する場合を例示した。しかしながら、リーダユニット16は携帯電話1の外部接続端子に外付けされてもよい。また、携帯電話以外の端末、例えば倉庫や店舗での物品管理に使用されるハンディターミナルにリーダユニット16を設け、このハンディターミナルに登録処理や探索処理を実行させて、在庫管理や棚卸等に利用してもよい。
【0065】
(2)上記各実施形態においては、携帯電話1にて登録処理を行い、管理対象のRFIDタグ2のタグデータ等を登録タグテーブル112に登録するとした。しかしながら、パーソナルコンピュータ等の端末を用いて登録タグテーブル112を作成しておき、作成後のテーブル112をインターネット等を介して携帯電話1に送信し、この送信されたテーブル112を用いて携帯電話1にて探索処理が実行される構成としてもよい。
【0066】
(3)上記各実施形態においては、指定画面6において指定されたRFIDタグ2を対象として持ち物確認モードでの処理を実行するとした。しかしながら、予め携帯電話1やパーソナルコンピュータ等の端末を用いて探索対象とすべきRFIDタグ2を指定したファイルを作成しておき、所定の操作によりそのファイルを読み出して持ち物確認モードでの処理における探索対象のRFIDタグ2を設定するようにしてもよい。
【0067】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。