(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
近年、音声、画像、その他のコンテンツ等を統合的に扱うマルチメディア時代を迎え、従来からの情報メディア、つまり新聞、雑誌、テレビ、ラジオ、電話等の情報を単一の端末によって入手又は伝達できるようになってきた。一般に、マルチメディアとは、文字だけでなく、図形、音声、特に画像等が関連づけられて表わされたものをいうが、上記従来の情報メディアをマルチメディアの対象とするためには、その情報をディジタル形式にして表すことが必須条件となる。
【0003】
ところが、上記各情報メディアの持つ情報量をディジタル情報量として見積もってみると、文字の場合1文字当たりの情報量は1〜2バイトであるのに対し、音声の場合1秒当たり64Kbits(電話品質)、さらに動画については1秒当たり100Mbits(現行テレビ受信品質)以上の情報量が必要となるので、上記情報メディアでその膨大な情報をディジタル形式でそのまま扱うことは現実的では無い。例えば、テレビ電話は、64Kbits/s〜
1.5Mbits/sの伝送速度を持つサービス総合ディジタル網(ISDN : Integreted Services Digital Network)によってすでに実用化されているが、テレビ・カメラの映像をそのままISDNで送ることは不可能である。
【0004】
そこで、必要となってくるのが情報の圧縮技術であり、例えば、テレビ電話の場合、ITU-T(国際電気通信連合 電気通信標準化部門)で国際標準化されたH.261やH.263規格の動画圧縮技術が用いられている。また、MPEG-1規格の情報圧縮技術によると、通常の音楽用CD(コンパクト・ディスク)に音声情報とともに画像情報を入れることも可能となる。
【0005】
ここで、MPEG(Moving Picture Experts Group)とは、動画像信号圧縮の国際規格であり、MPEG−1は、動画像信号を1.5Mbpsまで、つまりテレビ信号の情報を約100分の1にまで圧縮する規格である。また、MPEG−1規格を対象とする伝送速度が主として約1.5Mbpsに制限されていることから、さらなる高画質化の要求をみたすべく規格化されたMPEG-2では、動画像信号が2〜15Mbpsに圧縮される。さらに現状では、MPEG−1、MPEG−2と標準化を進めてきた作業グループ(ISO/IEC JTC1/SC29/WG11) によって、MPEG−1、MPEG−2を上回る圧縮率を達成し、更に物体単位で符号化・復号化・操作を可能とし、マルチメディア時代に必要な新しい機能を実現するMPEG−4が規格化された(例えば、非特許文献1参照)。MPEG−4では、低ビットレートで効率の高い符号化が可能になるだけでなく、伝送路誤りが発生しても画質劣化を小さくできる強力な誤り耐性技術も導入されている。また、ISO/IECとITUでは、次世代画像符号化方式として、MPEG−4AVC/ITU H.264の標準化が共同で進められている。
【0006】
一般に動画像の符号化では、時間方向および空間方向の冗長性を削減することによって情報量の圧縮を行う。そこで、時間的な冗長性の削減を目的とする画面間予測符号化では、前方または後方のピクチャを参照してブロック単位で動きの検出および予測画像の作成を行い、得られた予測画像と符号化対象ピクチャとの差分値に対して符号化を行う。ここで、ピクチャとは、1枚の画面を表す用語であり、プログレッシブ画像ではフレームを意味し、インタレース画像ではフレームもしくはフィールドを意味する。ここで、インタレース画像とは、1つのフレームが時刻の異なる2つのフィールドから構成される画像である。インタレース画像の符号化や復号化処理においては、1つのフレームをフレームのまま処理したり、2つのフィールドとして処理したり、フレーム内のブロック毎にフレーム構造またはフィールド構造として処理したりすることができる。
【0007】
図19は、ピクチャの種類と参照関係の一例を示す図である。
図19において、斜線のハッチングを施したピクチャは、他のピクチャに参照されるため、メモリに保存されるピクチャを表す。
図19における矢印は、被参照ピクチャから参照ピクチャへの方向を示す。また、ピクチャの並びは表示順で示している。
【0008】
I0(Picture 0)は、画面内符号化ピクチャ(Iピクチャ)であり、他のピクチャと
は独立して(即ち、他のピクチャを参照することなしに)符号化されるピクチャである。P4(Picture 4)及びP7(Picture 7)は、前方向予測符号化ピクチャ(Pピクチャ)であり、時間的に過去に位置するIピクチャ又は他のPピクチャを参照することによって予測符号化がなされるピクチャである。B1〜B3(Picture 1〜Picture 3)、B5(Picture 5)及びB6(Picture 6)は、双方向予測符号化ピクチャ(Bピクチャ)であり、時間的に前後に位置する他のピクチャを参照することによって予測符号化がなされるピクチャである。
【0009】
図20は、ピクチャの種類と参照関係の他の例を示す図である。
図20が
図19と異なる点は、Bピクチャが参照するピクチャの時間的な位置が、必ずしも時間的に前後に位置するピクチャに限らない点である。例えば、B5(Picture 5)の場合であれば、I0(Picture 0)、P3(Picture 3)及びP6(Picture 6)のうち、任意の2つのピクチャを参照することが可能である。つまり、時間的に過去に位置するI0およびP3を参照することが可能である。このような参照の仕方については、2001年9月時点のMPEG-4 AVC/H.264 規格案で既に認められている。これにより、従来に比べ、より適切な予測画像を選択するための範囲が広がり、圧縮率の向上を図ることが可能となる。
【0010】
図21は、画像データのストリーム構造の一例を示す図である。
図21に示されように、ストリームは、ヘッダ等の共通情報領域とGOP(Group Of Picture)領域から構成されている。GOP領域は、ヘッダ等の共通情報領域と複数のピクチャ(picture )領域から構成されている。ピクチャ領域は、ヘッダ等の共通情報領域と複数のスライス(slice)データ領域から構成される。スライスデータ領域は、ヘッダ等の共通情報領域と複数のマクロブロック(macro block)データ領域から構成される。
【0011】
また、ピクチャ共通情報領域には、後述する重み付け予測を行うための重み係数が参照ピクチャに応じてそれぞれ記述される。
【0012】
また、ストリームが連続したビットストリームでなく、細切れのデータの単位であるパケット等で伝送する場合はヘッダ部とヘッダ以外のデータ部を分離して別に伝送してもよい。その場合は、
図21のようにヘッダ部とデータ部が1つのビットストリームとなることはない。しかしながら、パケットの場合は、ヘッダ部とデータ部の伝送する順序が連続しなくても、対応するデータ部に対応するヘッダ部が別のパケットで伝送されるだけであり、1つのビットストリームとなっていなくても、概念は
図21で説明したビットストリームの場合と同じである。
【0013】
次に、従来の画像符号化方法における重み付け予測処理について説明する。
【0014】
図22は、フレーム単位で重み付け予測処理を行う場合の模式図である。
【0015】
図22(a)に示されるように、1つのフレームを参照する場合、現在の符号化対象ブロックに対応する予測画像の画素値Qは、参照するi番目のフレーム(Frame i)における参照対象ブロックの画素値をP0とすると、下記の式(1)に示すような重み付け予測式によって算出することができる。また、
図22(b) に示されるように、2つのフレームを参照する場合、予測画像の画素値Qは、参照するi番目およびj番目のフレーム(Frame iおよびFrame j)における参照対象ブロックの画素値をP0、P1とすると、下記の式(2)に示すような重み付け予測式によって算出することができる。
【0016】
Q=(P0×W0+D)/W2 (1)
Q=(P0×W0+P1×W1+D)/W2 (2)
【0017】
ここで、W0およびW1が重み係数、Dがバイアス成分(DC成分)、W2が正規化係数である。
【0018】
図23は、フィールド単位で重み付け予測処理を行う場合の模式図である。
【0019】
図23(a)に示されるように、1つのフレーム(即ち、2つのフィールド)を参照する場合、現在の符号化対象ブロックに対応する予測画像の画素値Qa、Qbは、参照するi番目のフレーム(Frame i)を構成するフィールド2×i+1、2×iそれぞれにおける参照対象ブロックの画素値をP0a、P0bとすると、下記の式(3)および式(4)に示すような重み付け予測式によって算出することができる。また、
図23(b)に示されるように、2つのフレームを参照する場合、予測画像の画素値Qa、Qbは、参照するi番目およびj番目のフレーム(Frame iおよびFrame j)を構成するフィールド2×i+1、2×i、2×j+1、2×jそれぞれにおける参照対象ブロックの画素値P0a、P0b、P1a、P1bとすると、下記の式(5)および式(6)に示すような重み付け予測式によって算出することができる。
【0020】
Qa=(P0a×W0a+Da)/W2a (3)
Qb=(P0b×W0b+Db)/W2b (4)
Qa=(P0a×W0a+P1a×W1a+Da)/W2a (5)
Qb=(P0b×W0b+P1b×W1b+Db)/W2b (6)
【0021】
ここで、W0a、W0b、W1a、W1bが重み係数、Da、Dbがバイアス成分、W2が正規化係数である。
【0022】
図24は、従来の画像符号化装置100の機能構成を示すブロック図である。この画像符号化装置100は、入力される画像信号Vin の圧縮符号化(例えば、可変長符号化)を行い、この圧縮符号化によって変換されたビットストリームである画像符号化信号Str を出力する装置であり、動き検出ユニットME、動き補償ユニットMC、減算ユニットSub、直交変換ユニットT、量子化ユニットQ、逆量子化ユニットIQ、逆直交変換ユニットIT、加算ユニットAdd、ピクチャメモリPicMem、スイッチSWおよび可変長符号化ユニットVLCを備えている。
【0023】
画像信号Vin は、減算ユニットSubおよび動き検出ユニットMEに入力される。減算ユニットSubは、入力された画像信号Vin と予測画像の差分値を計算し、直交変換ユニットTに出力する。直交変換ユニットTは、差分値を周波数係数に変換し、量子化ユニットQに出力する。量子化ユニットQは、入力された周波数係数を量子化し、量子化値を可変長符号化ユニットVLCに出力する。
【0024】
逆量子化ユニットIQは、量子化値を逆量子化して周波数係数に復元し、逆直交変換ユニットITに出力する。逆直交変換ユニットITは、周波数係数から画素差分値に逆周波数変換し、加算ユニットAddに出力する。加算ユニットAddは、画素差分値と動き補償ユニットMCから出力される予測画像とを加算して復号化画像とする。スイッチSWは、当該復号化画像の保存が指示された場合に「ON」になり、復号化画像はピクチャメモリPicMemに保存される。
【0025】
一方、画像信号Vin がマクロブロック単位で入力される動き検出ユニットMEは、ピクチャメモリPicMemに格納されている復号化画像を探索対象とし、最も入力画像信号に近い画像領域を検出することによってその位置を指し示す動きベクトルMVを決定する。動きベクトルの検出は、マクロブロックをさらに分割したブロック単位で行われる。このとき、複数のピクチャを参照ピクチャとして使用することができるため、参照するピクチャを指定するための識別番号(ピクチャ番号Index)がブロックごとに必要となる。ピクチャ番号Indexによって、ピクチャメモリPicMem中の各ピクチャが有するピクチャ番号との対応を取ることにより参照ピクチャを指定することが可能となる。
【0026】
動き補償ユニットMCは、上記処理によって検出された動きベクトルおよびピクチャ番号Indexを用いて、ピクチャメモリPicMemに格納されている復号化画像から予測画像生成に必要な画像領域を取り出す。得られた画像領域の画素値に対して、動き補償ユニットMCは、ピクチャ番号Indexに関連付けされた重み係数を用いた重み付け予測による補間処理等の画素値変換処理を施すことによって最終的な予測画像を特定する。
【0027】
図25は、上記
図24の従来の画像符号化装置100における可変長符号化ユニットVLCの機能構成の概略を示すブロック図である。可変長符号化ユニットVLCは、MV符号化部101、量子化値符号化部102、重み係数符号化部103、インデックス符号化部104、AFF識別情報符号化部105および多重化部106を備えている。
【0028】
MV符号化部101は、動きベクトルを符号化し、量子化値符号化部102は、量子化値Qcoefを符号化する。また、重み係数符号化部103は、重み係数Weightを符号化し、インデックス符号化部104は、ピクチャ番号Indexを符号化する。AFF識別情報符号化部105は、AFF識別信号AFFを符号化する(AFF識別信号AFFについては後述する)。多重化部106は、MV符号化部101、量子化値符号化部102、重み係数符号化部103、インデックス符号化部104、AFF識別情報符号化部105から出力された各符号化信号を多重化し、画像符号化信号Strを出力する。
【0029】
図26は、従来の画像復号化装置200の機能構成を示すブロック図である。
【0030】
画像復号化装置200は、上記画像符号化装置100が符号化した画像符号化信号Str を復号化することができる装置であり、可変長復号化ユニットVLD、動き補償ユニットMC、加算ユニットAdd、ピクチャメモリPicMem、逆量子化ユニットIQ、および逆直交変換ユニットITを備えている。
【0031】
画像符号化信号Str が入力されると、可変長復号化ユニットVLDは、入力された画像符号化信号Str から符号化されている動き差分ベクトルMV、ピクチャ番号を表すインデックスおよび重み係数Weightを分離し、動き補償ユニットMCに出力する。さらに、可変復号化ユニットVLDは、入力された画像符号化信号Str に含まれる、符号化されている量子化値Qcoefを復号化して逆量子化ユニットIQに出力する。
【0032】
動き補償ユニットMCは、可変長復号化ユニットVLDから出力される動きベクトル、およびピクチャ番号Indexを用いて、ピクチャメモリPicMemに格納されている復号化画像から予測画像生成に必要な画像領域を取り出す。この得られた画像に対する重み係数Weightを用いて、重み付け予測による補間処理等の画素値変換処理を施すことによって予測画像を生成する。
【0033】
逆量子化ユニットIQは、量子化値を逆量子化して周波数係数に復元し、逆直交変換ユニットITに出力する。逆直交変換ユニットITは、周波数係数から画素差分値に逆周波数変換し、加算ユニットAddに出力する。加算ユニットAddは、画素差分値と動き補償ユニットMCから出力される予測画像とを加算して復号化画像とする。この復号化画像は、以降の画面間予測での参照に使用する場合ピクチャメモリPicMemに格納される。また、この復号化画像は復号化画像信号Voutとして外部に出力される。
【0034】
図27は、上記
図26の従来の画像復号化装置200における可変長復号化ユニットVLDの機能構成の概略を示すブロック図である。
【0035】
可変長復号化ユニットVLDは、分離部201、MV復号化部202、量子化値復号化部203、重み係数復号化部204、インデックス復号化部205およびAFF識別情報復号化部206を備えている。
【0036】
画像符号化信号Str が可変長復号化ユニットVLDに入力されると、分離部201は、入力された画像符号化信号Strを分離し、符号化されている動き差分ベクトルMVをMV復号化部202に、符号化されている量子化値Qcoefを量子化値復号化部203に、符号化されている重み係数Weightを重み係数復号化部204に、符号化されているピクチャ番号Indexをインデックス復号化部205に、符号化されているAFF識別信号AFF(以下の説明では「AFF」と略す。)をAFF識別情報復号化部206にそれぞれ出力する。
【0037】
MV復号化部202は、符号化されている差分ベクトルを復号化し、動きベクトルMVを出力する。
【0038】
同様に、量子化値復号化部203は量子化値を、重み係数復号化部204は重み係数Weightを、インデックス復号化部205はピクチャ番号Indexを、AFF識別情報復号化部206はAFFをそれぞれ復号化して出力する。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【
図1】実施の形態1における可変長符号化ユニットの機能構成の概要を示すブロック図である。
【
図2】実施の形態1における可変長復号化ユニットの機能構成の概要を示すブロック図である。
【
図3】(a)は、実施の形態1におけるピクチャ領域の共通情報領域のうち、「header」の詳細なデータ構造の一例である。(b)は、「AFF」が無く、「ピクチャ重み係数」として「フィールド重み係数」のみが送信される場合の例である。(c)は、「ピクチャフレーム符号化情報」が「1」で「AFF」が「0」のため、ブロック単位でフィールドとフレームを切り替えることができない場合の例である。
【
図4】実施の形態1における「ピクチャフレーム符号化情報」が「1」でピクチャがフレーム単位で符号化されている場合の可変長復号化ユニットにおける重み係数に関する符号化処理の流れを示すフローチャートである。
【
図5】(a)は、実施の形態1の変形例におけるピクチャ領域の共通情報領域のうち、「header」の詳細なデータ構造の一例である。(b)は、「ピクチャフレーム符号化情報」が「0」で常にフィールド符号化のため「AFF」が無く、「ピクチャ重み係数」として「フィールド重み係数」のみが送信される場合の例である。(c)は、「ピクチャフレーム符号化情報」が「1」で「AFF」が「0」のため、ブロック単位でフィールドとフレームを切り替えることができない場合の例である。
【
図6】実施の形態1の変形例における「ピクチャフレーム符号化情報」が「1」でピクチャがフレーム単位で符号化されている場合の可変長復号化ユニットにおける重み係数に関する符号化処理の流れを示すフローチャートである。
【
図7】
図2の可変長復号化ユニットにおける「ピクチャフレーム符号化情報」が「1」でピクチャがフレーム単位で符号化されている場合の重み係数に関する復号化処理の流れを示すフローチャートである。
【
図8】(a)は、実施の形態2におけるピクチャ領域の共通情報領域のうち、「header」の詳細なデータ構造の一例であり、「AFF」に「1」が設定され、「Field係数有無情報」に「1」が設定されている例である。(b)は、(a)と同様の図であり、「AFF」に「1」が設定され、「Field係数有無情報」に「0」が設定されている例である。(c)は、「AFF」に「0」が設定されているため、ブロック単位でフィールドとフレームの切替を行わない例である。
【
図9】実施の形態2における可変長符号化ユニットにおける重み係数に関する符号化処理の流れを示すフローチャートである。
【
図10】実施の形態2における可変長復号化ユニットにおける重み係数に関する復号化処理の流れを示すフローチャートである。
【
図11】(a)は、実施の形態3におけるピクチャ領域のデータ構造例を示す図であり、「AFF」に「1」が設定され、「Frame係数有無情報」に「1」が設定されている例である。(b)は、(a)と同様の図であり、「AFF」に「1」が設定され、「Frame係数有無情報」に「0」が設定されている例である。(c)は、「AFF」に「0」が設定されているため、ブロック単位でフィールドとフレームの切替を行わない例である。
【
図12】実施の形態3における可変長符号化ユニットにおける重み係数に関する符号化処理の流れを示すフローチャートである。
【
図13】実施の形態3における可変長復号化ユニットにおける重み係数に関する復号化処理の流れを示すフローチャートである。
【
図14】上記実施の形態1、2及び3の画像符号化方法及び画像復号化方法を、フレキシブルディスク等の記録媒体に記録されたプログラムを用いて、コンピュータシステムにより実施する場合の説明図である。(a)は、記録媒体本体であるフレキシブルディスクの物理フォーマットの例を示した説明図である。(b)は、フレキシブルディスクの正面からみた外観、断面構造、及びフレキシブルディスクを示した説明図である。(c)は、フレキシブルディスクFDに上記プログラムの記録再生を行うための構成を示した説明図である。
【
図15】コンテンツ配信サービスを実現するコンテンツ供給システムの全体構成を示すブロック図である。
【
図17】携帯電話の内部構成を示すブロック図である。
【
図18】ディジタル放送用システムの全体構成を示すブロック図である。
【
図19】ピクチャの種類と参照関係の一例を示す図である。
【
図20】ピクチャの種類と参照関係の他の例を示す図である。
【
図21】画像データのストリーム構造の一例を示す図である。
【
図22】(a)は、1枚のフレームを参照して重み付け予測処理を行う場合の模式図である。(b)は、2枚のフレームを参照して重み付け予測処理を行う場合の模式図である。
【
図23】(a)は、それぞれに対応する第1又は第2のフィールドを参照して重み付け予測処理を行う場合の模式図である。(b)は、それぞれに対応する第1又は第2のフィールドを2枚参照して重み付け予測処理を行う場合の模式図である。
【
図24】従来の画像符号化装置の機能構成を示すブロック図である。
【
図25】従来の画像符号化装置における可変長符号化ユニットの機能構成の概略を示すブロック図である。
【
図26】従来の画像復号化装置の機能構成を示すブロック図である。
【
図27】従来の画像復号化装置における可変長復号化ユニットの機能構成の概略を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0049】
以下、本発明に係る実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0050】
(実施の形態1)
本実施の形態に係る画像符号化方法を実現する画像符号化装置の機能構成は、可変長符号化ユニットVLCを除き、上述した従来の画像符号化装置100と同じである。また、本実施の形態に係る画像復号化方法を実現する画像復号化装置の機能構成は、可変長復号化ユニットVLDを除き、上述した従来の画像復号化装置200と同じである。
【0051】
このため、以下では、従来と異なる可変長符号化ユニットVLCおよび可変長復号化ユニットVLDについて重点的に説明する。
【0052】
図1は、本実施の形態における可変長符号化ユニットVLCの機能構成の概要を示すブロック図である。
図1に示されるように、可変長符号化ユニットVLCは、MV符号化部101、量子化値符号化部102、フィールド重み係数符号化部11、フレーム重み係数符号化部12、インデックス符号化部104、重み係数モード判定部13、AFF識別情報符号化部105、スイッチ14、15および多重化部106を備える。なお、以下では、上記従来の可変長符号化ユニットVLCと同じ機能構成については同じ符号を付し、その説明は省略する。
【0053】
スイッチ14、15は、重み係数モード判定部13の判定結果に基づいて、入力された重み係数Weightの送信先をフィールド重み係数符号化部11にするかフレーム重み係数符号化部12にするかについて、ON/OFFの制御を行う。
【0054】
フィールド重み係数符号化部11は、入力された重み係数Weightをフィールド重み係数として符号化する。フレーム重み係数符号化部12は、入力された重み係数Weightをフレーム重み係数として符号化する。
【0055】
重み係数モード判定部13は、AFFの値および重み係数Weightの値に基づいて、フィールド/フレームの判定を行い、その判定結果をスイッチ14、15及び多重化部106に通知する。
【0056】
図2は、本実施の形態における可変長復号化ユニットVLDの機能構成の概要を示すブロック図である。
図2に示されるように、可変長復号化ユニットVLDは、分離部21、MV復号化部202、量子化値復号化部203、フィールド重み係数復号化部22、フレーム重み係数復号化部23、重み係数生成部24、インデックス復号化部205、AFF識別情報復号化部206およびスイッチ26〜28を備える。なお、以下では、上記従来の可変長復号化ユニットVLDと同じ機能構成については同じ符号を付し、その説明は省略する。
【0057】
分離部21は、入力された画像符号化信号Strを分離し、符号化されている動きベクトルMVをMV復号化部202に、符号化されている量子化値Qcoefを量子化値復号化部203に、符号化されている重み係数Weightをフィールド重み係数復号化部22又はフレーム重み係数復号化部23、及び重み係数生成部24に、符号化されているピクチャ番号Indexをインデックス復号化部205に、符号化されているAFFをAFF識別情報復号化部206に、それぞれ出力する。
【0058】
フィールド重み係数復号化部22は、入力された重み係数Weightをフィールド重み係数として復号化する。フレーム重み係数復号化部23は、入力された重み係数Weightをフレーム重み係数として復号化する。
【0059】
重み係数生成部24は、必要に応じてフレーム重み係数からフィールド重み係数を生成する。例えば、ブロック単位でフレーム/フィールドの切替を行なう場合で、フィールド重み係数が符号化されていないためにフレーム重み係数からフィールド重み係数を生成する必要がある場合である。
【0060】
図3は、本実施の形態におけるピクチャ領域のデータ構造例を示す図である。
図3(a)は、ピクチャ領域における共通情報領域のうち、「header」の詳細なデータ構造の一例である。
図3(a)の例では、「header」は、ピクチャがフレーム単位であるかフィールド単位であるかを示す「ピクチャフレーム符号化情報」を有している。「ピクチャフレーム符号化情報」が「1」の場合は更に「AFF」というブロック単位でフィールドとフレームを切り換えるか否かを示すフラグを有している。例えば、「AFF」が「1」の場合は、ブロック単位でフィールドとフレームを切り換えることを表わす。
図21(a)に示されているように、「AFF」が「1」の場合は、「フィールド重み係数」と「フレーム重み係数」の全てを送信する。なお、「フィールド重み係数」には、「第1フィールド重み係数」と「第2フィールド重み係数」が含まれている。
【0061】
「ピクチャフレーム符号化情報」が「0」の場合は、ピクチャがフィールド単位で符号化されており、ブロック単位でフィールドとフレームを切り替えることができない。従って、
図3(b)に示すように「AFF」が無く、「ピクチャ重み係数」として「フィールド重み係数」のみが送信される。
図3(c)は、「ピクチャフレーム符号化情報」が「1」で「AFF」が「0」の場合であり、ブロック単位でフィールドとフレームを切り替えることができない。従って、「ピクチャ重み係数」として「フレーム重み係数」のみが送信される。
【0062】
図4は、本実施の形態における「ピクチャフレーム符号化情報」が「1」でピクチャがフレーム単位で符号化されている場合の可変長復号化ユニットVLDにおける重み係数に関する符号化処理の流れを示すフローチャートである。
【0063】
最初に、「AFF」の値が「1」で、ブロック単位でフレーム/フィールドの切替が行なう場合は(S10:はい)、"ブロック単位の切替あり"を示すAFFを符号化し(S13)、フレーム重み係数およびフィールド重み係数を符号化する(S14、S15)。
【0064】
一方、「AFF」の値が「0」で、ブロック単位でフレーム/フィールドの切替を行なわない場合は(S10:いいえ)、"ブロック単位の切替なし"を示す「AFF」の値「0」を符号化し(S11)、ピクチャの重み係数を符号化する(S12)。
【0065】
(変形例)
図5は、本実施の形態の変形例におけるピクチャ領域のデータ構造例を示す図である。
図5(a)は、ピクチャ領域における共通情報領域のうち、「header」の詳細なデータ構造の一例である。
図5(a)の例では、「header」は、ピクチャがフレーム単位であるかフィールド単位であるかを示す「ピクチャフレーム符号化情報」を有している。例えば、「ピクチャフレーム符号化情報」が「1」(即ち、ピクチャがフレーム単位である)の場合は、更に「AFF」という、ブロック単位でフィールドとフレームを切り替えるか否かを示すフラグを有している。例えば、「AFF」が「1」の場合は、ブロック単位でフィールドとフレームを切り替えることを表すこととする。
図5(a)に示されているように、「AFF」が「1」の場合は、「フレーム重み係数」を送信し、「フィールド重み係数」は、「フレーム重み係数」を流用することとする。
【0066】
「ピクチャフレーム符号化情報」が「0」の場合は、ピクチャがフィールド単位で符号化されることを表す。この場合は、ブロック単位でフレーム/フィールドの切り替えは行われない。従って、
図5(b)に示すように「AFF」がない場合は、「ピクチャ重み係数」として「フィールド重み係数」のみが送信されることを意味する。
図5(c)は、「ピクチャフレーム符号化情報」が「1」で「AFF」が「0」の場合であり、ブロック単位でフレーム/フィールドの切り替えは行われず、常にフレームで符号化される。従って、「ピクチャ重み係数」として「フレーム重み係数」のみが送信されることとなる。
【0067】
図6は、本実施の形態の変形例における「ピクチャフレーム符号化情報」が「1」でピクチャがフレーム単位で符号化されている場合の可変長符号化ユニットVLCにおける重み係数に関する符号化処理の流れを示すフローチャートである。
【0068】
最初に、「AFF」の値が「1」で、ブロック単位でフレーム/フィールドの切替を行う場合は(S10:はい)、"ブロック単位の切替あり"を示す「AFF」を符号化し(S13)、フレーム重み係数を符号化する(S15)。
【0069】
一方、「AFF」の値が「0」で、ブロック単位でフレーム/フィールドの切替を行わない場合は(S10:いいえ)、"ブロック単位の切替なし"を示す「AFF」の値「0」を符号化し(S11)、ピクチャフレーム符号化情報に基いて「フィールド重み係数」または「フレーム重み係数」のいずれか一方でブロックの符号化単位と一致する方を「ピクチャ重み係数」として符号化する(S12)。
【0070】
図7は、上記
図2の可変長復号化ユニットVLDにおける「ピクチャフレーム符号化情報」が「1」で、ピクチャがフレーム単位で符号化されている場合の重み係数に関する復号化処理の流れを示すフローチャートである。また、
図7は、上記
図6の符号化処理に対応する復号化処理に係るフローチャートである。 最初に、可変長復号化ユニットVLDは、「AFF」を復号化する(S20)。これにより、「AFF」の値が「1」で、ブロック単位でフレーム/フィールドの切り替えが行われていることを示す場合は(S21:はい)、フレーム重み係数を復号化し(S23)、フレーム重み係数に基づいて(例えば、フレーム重み係数を流用して)、フィールド重み係数を生成する(S24)。
【0071】
一方、「AFF」の値が「0」で、ブロック単位でフレーム/フィールドの切替が行われていないことを示す場合は(S21:いいえ)、「ピクチャ重み係数」としての「フィールド重み係数」または「フィールド重み係数」の何れかを復号化する(S22)。
【0072】
以上のように、本実施の形態に係る画像符号化方法及び画像復号化方法を用いることにより、ブロック単位でフィールド/フレームの切替を実現し、予測効率を改善し、最終的に圧縮率を向上させることが可能となる。さらに、「フィールド重み係数」が符号化されていない場合であっても、可変長復号化ユニットVLDにおいて「フレーム重み係数」から「フィールド重み係数」を生成するので、支障なく上記ブロック単位のフィールド/フレームの切替を行うことが可能となる。
【0073】
(実施の形態2)
本実施の形態では、上記実施の形態1におけるピクチャ領域のデータ構造が異なる場合の例について説明する。
【0074】
図8は、本実施の形態におけるピクチャ領域のデータ構造例を示す図である。この
図8は、ピクチャ領域における共通情報領域のうち、「header」の詳細なデータ構造を示す図である。本実施の形態では、「ピクチャフレーム符号化情報」が「1」でピクチャがフレーム単位で符号化されている場合とし、フィールド重み係数を省略し得る場合の「header」の構造例について説明する。
【0075】
図8(a)および
図8(b)に示されるように、「header」は、「AFF」に加え「Field係数有無情報」を有している。この「Field係数有無情報」は、フィールド重み係数があるか否かを示すフラグである。例えば、フィールド重み係数がある場合は「1」、フィールド重み係数を省略する場合は「0」に設定することとする。
【0076】
図8(a)は、「AFF」に「1」が設定され、上記「Field係数有無情報」に「1」が設定されている例であり、フィールド重み係数についても送信する場合を示す。なお、「フィールド重み係数」には、上記実施の形態1の場合と同様に「第1フィールド重み係数」と「第2フィールド重み係数」が含まれている。
【0077】
図8(b)は、「AFF」に「1」が設定され、上記「Field係数有無情報」に「0」が設定されている例である。
【0078】
図8(c)は、「AFF」に「0」が設定されているため、ブロック単位でフィールドとフレームの切替を行わない例である。
【0079】
図9は、本実施の形態における可変長符号化ユニットVLCにおける重み係数に関する符号化処理の流れを示すフローチャートである。
【0080】
最初に、「AFF」の値が「1」で、ブロック単位でフレーム/フィールドの切替を行う場合は(S10:はい)、ブロック単位の切替があることを示す「AFF」を符号化する(S31)。
【0081】
さらに、フィールド重み係数がフレーム重み係数から生成可能か否かを判定し(S32)、可能な場合は、フィールド重み係数を生成することを示す情報およびフレーム重み係数を符号化する(S36、S37)。なお、フィールド重み係数がフレーム重み係数から生成しない場合は、フィールド重み係数があるか否かを示す情報、フレーム重み係数およびフィールド重み係数を符号化する(S33〜S35)。
【0082】
一方、「AFF」の値が「0」で、ブロック単位でフレーム/フィールドの切替が行わない場合は(S10:いいえ)、上記
図6のフローチャートと同じである(S11、S12)。
【0083】
図10は、上記
図2の可変長復号化ユニットVLDにおける重み係数に関する復号化処理の流れを示すフローチャートである。また、
図10は、上記
図9の符号化処理に対応する復号化処理に係るフローチャートである。
【0084】
最初に、可変長復号化ユニットVLDは、「AFF」を復号化し(S20)、「AFF」の値が「1」で、ブロック単位でフレーム/フィールドの切替が行われていることを示す場合は(S21:はい)、フィールド重み係数の有無を示す情報を復号化する(S41)。
【0085】
次に、フィールド重み係数があるか否かを判定し(S42)、フィールド重み係数がない場合は、フレーム重み係数を復号化し(S45)、フレーム重み係数からフィールド重み係数を生成する(S46)。なお、フィールド重み係数がある場合は、フレーム重み係数およびフィールド重み係数を復号化する(S43、S44)。
【0086】
一方、「AFF」の値が「0」で、ブロック単位でフレーム/フィールドの切替が行われていないことを示す場合は(S21:いいえ)、ピクチャ重み係数を復号化する(S22)。
【0087】
以上のように、本実施の形態に係る画像符号化方法及び画像復号化方法を用いることにより、ブロック単位でフィールド/フレームの切替を実現する。さらに、フィールド重み係数が省略されている場合であっても、フレーム重み係数から生成することを可能とする。
【0088】
(実施の形態3)
本実施の形態では、上記実施の形態1におけるピクチャ領域のデータ構造が異なる場合のその例について説明する。
【0089】
図11は、本実施の形態におけるピクチャ領域のデータ構造例を示す図である。この
図11は、ピクチャ領域における共通情報領域のうち、「ピクチャフレーム符号化情報」が「1」でピクチャがフレーム単位で符号化されている場合とし、「header」の詳細なデータ構造を示す図である。本実施の形態では、フレーム重み係数を省略し得る場合の「header」の構造例について説明する。
【0090】
図11(a)および
図11(b)に示されるように、「header」は、「AFF」に加え「Frame係数有無情報」を有している。この「Frame係数有無情報」は、フレーム重み係数があるか否かを示すフラグである。例えば、フレーム重み係数がある場合は「1」、フレーム重み係数を省略する場合は「0」に設定することとする。
【0091】
図11(a)は、「AFF」に「1」が設定され、上記「Frame係数有無情報」に「1」が設定されている例であり、フレーム重み係数についても送信する場合を示す。
図11(b)は、「AFF」に「1」が設定され、上記「Frame係数有無情報」に「0」が設定されている例である。
図11(c)は、「AFF」に「0」が設定されているため、ブロック単位でフィールドとフレームの切替を行わない例である。
【0092】
図12は、本実施の形態における可変長符号化ユニットVLCにおける重み係数に関する符号化処理の流れを示すフローチャートである。
【0093】
最初に、「AFF」の値が「1」で、ブロック単位でフレーム/フィールドの切替が行う場合は(S10:はい)、ブロック単位の切替があることを示す「AFF」を符号化する(S51)。
【0094】
さらに、フレーム重み係数をフィールド重み係数から生成するか否かを判定し(S52)、生成する場合は、フレーム重み係数を生成することを示す情報およびフィールド重み係数を符号化する(S56、S57)。なお、フレーム重み係数をフィールド重み係数から生成しない場合は(S52:いいえ)、フレーム重み係数があるか否かを示す情報、フィールド重み係数およびフレーム重み係数を符号化する(S53〜S55)。
【0095】
一方、「AFF」の値が「0」で、ブロック単位でフレーム/フィールドの切替を行わない場合は(S10:いいえ)、上記
図6のフローチャートと同じ符号化を行う(S11、S12)。
【0096】
図13は、上記
図2の可変長復号化ユニットVLDにおける重み係数に関する復号化処理の流れを示すフローチャートである。また、
図13は、上記
図12の符号化処理の流れに対応する復号化処理に係るフローチャートである。
【0097】
最初に、可変長復号化ユニットVLDは、「AFF」を復号化し(S20)、「AFF」の値が「1」で、ブロック単位でフレーム/フィールドの切替が行われていることを示す場合は(S21:はい)、フレーム重み係数の有無を示す情報を復号化する(S61)。
【0098】
次に、フレーム重み係数があるか否かを判定し(S62)、フレーム重み係数がない場合は(S62:はい)、フィールド重み係数を復号化し(S65)、フィールド重み係数からフレーム重み係数を生成する(S66)。なお、フレーム重み係数がある場合は(S62:いいえ)、フィールド重み係数およびフレーム重み係数を復号化する(S63、S64)。
【0099】
一方、「AFF」の値が「0」で、ブロック単位でフレーム/フィールドの切替が行われていないことを示す場合は(S21:いいえ)、ピクチャ重み係数を復号化する(S22)。
【0100】
以上のように、本実施の形態に係る画像符号化方法及び画像復号化方法を用いることにより、ブロック単位でフィールド/フレームの切替を実現する。さらに、フレーム重み係数が省略されている場合であっても、フィールド重み係数から生成することを可能とする。
【0101】
(実施の形態4)
さらに、上記各実施の形態で示した画像符号化方法及び画像復号化方法を実現するためのプログラムを、フレキシブルディスク等の記憶媒体に記録するようにすることにより、上記各実施の形態で示した処理を、独立したコンピュータシステムにおいて簡単に実施することが可能となる。
【0102】
図14は、上記各実施の形態の画像符号化方法及び画像復号化方法を、フレキシブルディスク等の記録媒体に記録されたプログラムを用いて、コンピュータシステムにより実施する場合の説明図である。
【0103】
図14(b)は、フレキシブルディスクの正面からみた外観、断面構造、及びフレキシブルディスクを示し、
図14(a)は、記録媒体本体であるフレキシブルディスクの物理フォーマットの例を示している。フレキシブルディスクFDはケースF内に内蔵され、該ディスクの表面には、同心円状に外周からは内周に向かって複数のトラックTrが形成され、各トラックは角度方向に16のセクタSeに分割されている。従って、上記プログラムを格納したフレキシブルディスクでは、上記フレキシブルディスクFD上に割り当てられた領域に、上記プログラムが記録されている。
【0104】
また、
図14(c)は、フレキシブルディスクFDに上記プログラムの記録再生を行うための構成を示す。画像符号化方法及び画像復号化方法を実現する上記プログラムをフレキシブルディスクFDに記録する場合は、コンピュータシステムCsから上記プログラムを、フレキシブルディスクドライブを介して書き込む。また、フレキシブルディスク内のプログラムにより画像符号化方法及び画像復号化方法を実現する上記画像符号化方法及び画像復号化方法をコンピュータシステム中に構築する場合は、フレキシブルディスクドライブによりプログラムをフレキシブルディスクから読み出し、コンピュータシステムに転送する。
【0105】
なお、上記説明では、記録媒体としてフレキシブルディスクを用いて説明を行ったが、光ディスクを用いても同様に行うことができる。また、記録媒体はこれに限らず、ICカード、ROMカセット等、プログラムを記録できるものであれば同様に実施することができる。
【0106】
(実施の形態5)
さらにここで、上記実施の形態で示した画像符号化方法や画像復号化方法の応用例とそれを用いたシステムを説明する。
【0107】
図15は、コンテンツ配信サービスを実現するコンテンツ供給システムex100の全体構成を示すブロック図である。通信サービスの提供エリアを所望の大きさに分割し、各セル内にそれぞれ固定無線局である基地局ex107〜ex110が設置されている。
【0108】
このコンテンツ供給システムex100は、例えば、インターネットex101にインターネットサービスプロバイダex102および電話網ex104、および基地局ex107〜ex110を介して、コンピュータex111、PDA(personal digital assistant)ex112、カメラex113、携帯電話ex114、カメラ付きの携帯電話ex115などの各機器が接続される。
【0109】
しかし、コンテンツ供給システムex100は、上記
図15のような組合せに限定されず、いずれかを組み合わせて接続するようにしてもよい。また、固定無線局である基地局ex107〜ex110を介さずに、各機器が電話網ex104に直接接続されてもよい。
【0110】
カメラex113はデジタルビデオカメラ等の動画撮影が可能な機器である。また、携帯電話は、PDC(Personal Digital Communications)方式、CDMA(Code Division Multiple Access)方式、W−CDMA(Wideband-Code Division Multiple Access)方式、若しくはGSM(登録商標)(Global System for Mobile Communications)方式の携帯電話機、またはPHS(Personal Handyphone System)等であり、いずれでも構わない。
【0111】
また、ストリーミングサーバex103は、カメラex113から基地局ex109、電話網ex104を通じて接続されており、カメラex113を用いてユーザが送信する符号化処理されたデータに基づいたライブ配信等が可能になる。撮影したデータの符号化処理はカメラex113で行っても、データの送信処理をするサーバ等で行ってもよい。また、カメラ116で撮影した動画データはコンピュータex111を介してストリーミングサーバex103に送信されてもよい。カメラex116はデジタルカメラ等の静止画、動画が撮影可能な機器である。この場合、動画データの符号化はカメラex116で行ってもコンピュータex111で行ってもどちらでもよい。また、符号化処理はコンピュータex111やカメラex116が有するLSIex117において処理することになる。なお、画像符号化・復号化用のソフトウェアをコンピュータex111等で読み取り可能な記録媒体である何らかの蓄積メディア(CD−ROM、フレキシブルディスク、ハードディスクなど)に組み込んでもよい。さらに、カメラ付きの携帯電話ex115で動画データを送信してもよい。このときの動画データは携帯電話ex115が有するLSIで符号化処理されたデータである。
【0112】
このコンテンツ供給システムex100では、ユーザがカメラex113、カメラex116等で撮影しているコンテンツ(例えば、音楽ライブを撮影した映像等)を上記実施の形態同様に符号化処理してストリーミングサーバex103に送信する一方で、ストリーミングサーバex103は要求のあったクライアントに対して上記コンテンツデータをストリーム配信する。クライアントとしては、上記符号化処理されたデータを復号化することが可能な、コンピュータex111、PDAex112、カメラex113、携帯電話ex114等がある。このようにすることでコンテンツ供給システムex100は、符号化されたデータをクライアントにおいて受信して再生することができ、さらにクライアントにおいてリアルタイムで受信して復号化し、再生することにより、個人放送をも実現可能になるシステムである。
【0113】
このシステムを構成する各機器の符号化、復号化には上記各実施の形態で示した画像符号化装置あるいは画像復号化装置を用いるようにすればよい。
【0114】
その一例として携帯電話について説明する。
【0115】
図16は、上記実施の形態で説明した画像符号化方法及び画像復号化方法を用いた携帯電話ex115を示す図である。携帯電話ex115は、基地局ex110との間で電波を送受信するためのアンテナex201、CCDカメラ等の映像、静止画を撮ることが可能なカメラ部ex203、カメラ部ex203で撮影した映像、アンテナex201で受信した映像等が復号化されたデータを表示する液晶ディスプレイ等の表示部ex202、操作キーex204群から構成される本体部、音声出力をするためのスピーカ等の音声出力部ex208、音声入力をするためのマイク等の音声入力部ex205、撮影した動画もしくは静止画のデータ、受信したメールのデータ、動画のデータもしくは静止画のデータ等、符号化されたデータまたは復号化されたデータを保存するための記憶メディアex207、携帯電話ex115に記憶メディアex207を装着可能とするためのスロット部ex206を有している。記憶メディアex207はSDカード等のプラスチックケース内に電気的に書換えや消去が可能な不揮発性メモリであるEEPROM(Electrically Erasable and Programmable Read Only Memory)の一種であるフラッシュメモリ素子を
格納したものである。
【0116】
さらに、携帯電話ex115について
図17用いて説明する。携帯電話ex115は表示部ex202及び操作キーex204を備えた本体部の各部を統括的に制御するようになされた主制御部ex311に対して、電源回路部ex310、操作入力制御部ex304、画像符号化部ex312、カメラインターフェース部ex303、LCD(Liquid Crystal Display)制御部ex302、画像復号化部ex309、多重分離部ex308、記録再生部ex307、変復調回路部ex306及び音声処理部ex305が同期バスex313を介して互いに接続されている。
【0117】
電源回路部ex310は、ユーザの操作により終話及び電源キーがオン状態にされると、バッテリパックから各部に対して電力を供給することによりカメラ付ディジタル携帯電話ex115を動作可能な状態に起動する。
【0118】
携帯電話ex115は、CPU、ROM及びRAM等でなる主制御部ex311の制御に基づいて、音声通話モード時に音声入力部ex205で集音した音声信号を音声処理部ex305によってディジタル音声データに変換し、これを変復調回路部ex306でスペクトラム拡散処理し、送受信回路部ex301でディジタルアナログ変換処理及び周波数変換処理を施した後にアンテナex201を介して送信する。また、携帯電話機ex115は、音声通話モード時にアンテナex201で受信した受信信号を増幅して周波数変換処理及びアナログディジタル変換処理を施し、変復調回路部ex306でスペクトラム逆拡散処理し、音声処理部ex305によってアナログ音声信号に変換した後、これを音声出力部ex208を介して出力する。
【0119】
さらに、データ通信モード時に電子メールを送信する場合、本体部の操作キーex204の操作によって入力された電子メールのテキストデータは操作入力制御部ex304を介して主制御部ex311に送出される。主制御部ex311は、テキストデータを変復調回路部ex306でスペクトラム拡散処理し、送受信回路部ex301でディジタルアナログ変換処理及び周波数変換処理を施した後にアンテナex201を介して基地局ex110へ送信する。
【0120】
データ通信モード時に画像データを送信する場合、カメラ部ex203で撮像された画像データを、カメラインターフェース部ex303を介して画像符号化部ex312に供給する。また、画像データを送信しない場合には、カメラ部ex203で撮像した画像データをカメラインターフェース部ex303及びLCD制御部ex302を介して表示部ex202に直接表示することも可能である。
【0121】
画像符号化部ex312は、本願発明で説明した画像符号化装置を備えた構成であり、カメラ部ex203から供給された画像データを上記実施の形態で示した画像符号化装置に用いた符号化方法によって圧縮符号化することにより符号化画像データに変換し、これを多重分離部ex308に送出する。また、このとき同時に携帯電話機ex115は、カメラ部ex203で撮像中に音声入力部ex205で集音した音声を音声処理部ex305を介してディジタルの音声データとして多重分離部ex308に送出する。
【0122】
多重分離部ex308は、画像符号化部ex312から供給された符号化画像データと音声処理部ex305から供給された音声データとを所定の方式で多重化し、その結果得られる多重化データを変復調回路部ex306でスペクトラム拡散処理し、送受信回路部ex301でディジタルアナログ変換処理及び周波数変換処理を施した後にアンテナex201を介して送信する。
【0123】
データ通信モード時にホームページ等にリンクされた動画像ファイルのデータを受信する場合、アンテナex201を介して基地局ex110から受信した受信信号を変復調回路部ex306でスペクトラム逆拡散処理し、その結果得られる多重化データを多重分離部ex308に送出する。
【0124】
また、アンテナex201を介して受信された多重化データを復号化するには、多重分離部ex308は、多重化データを分離することにより符号化画像データと音声データとに分け、同期バスex313を介して当該符号化画像データを画像復号化部ex309に供給すると共に当該音声データを音声処理部ex305に供給する。
【0125】
次に、画像復号化部ex309は、本願発明で説明した画像復号化装置を備えた構成であり、符号化画像データを上記実施の形態で示した符号化方法に対応した復号化方法で復号することにより再生動画像データを生成し、これをLCD制御部ex302を介して表示部ex202に供給し、これにより、例えばホームページにリンクされた動画像ファイルに含まれる動画データが表示される。このとき同時に音声処理部ex305は、音声データをアナログ音声信号に変換した後、これを音声出力部ex208に供給し、これにより、例えばホームページにリンクされた動画像ファイルに含まる音声データが再生される。
【0126】
なお、上記システムの例に限られず、最近は衛星、地上波によるディジタル放送が話題となっており、
図18に示すようにディジタル放送用システムにも上記実施の形態の少なくとも画像符号化装置または画像復号化装置のいずれかを組み込むことができる。具体的には、放送局ex409では映像情報の符号化ビットストリームが電波を介して通信または放送衛星ex410に伝送される。これを受けた放送衛星ex410は、放送用の電波を発信し、この電波を衛星放送受信設備をもつ家庭のアンテナex406で受信し、テレビ(受信機)ex401またはセットトップボックス(STB)ex407などの装置により符号化ビットストリームを復号化してこれを再生する。また、記録媒体である蓄積メディアex402に記録した符号化ビットストリームを読み取り、復号化する再生装置ex403にも上記実施の形態で示した画像復号化装置を実装することが可能である。この場合、再生された映像信号はモニタex404に表示される。また、ケーブルテレビ用のケーブルex405または衛星/地上波放送のアンテナex406に接続されたセットトップボックスex407内に画像復号化装置を実装し、これをテレビのモニタex408で再生する構成も考えられる。このときセットトップボックスではなく、テレビ内に画像符号化装置を組み込んでも良い。また、アンテナex411を有する車ex412で衛星ex410からまたは基地局ex107等から信号を受信し、車ex412が有するカーナビゲーションex413等の表示装置に動画を再生することも可能である。
【0127】
更に、画像信号を上記実施の形態で示した画像符号化装置で符号化し、記録媒体に記録することもできる。具体例としては、DVDディスクex421に画像信号を記録するDVDレコーダや、ハードディスクに記録するディスクレコーダなどのレコーダex420がある。更にSDカードex422に記録することもできる。レコーダex420が上記実施の形態で示した画像復号化装置を備えていれば、DVDディスクex421やSDカードex422に記録した画像信号を再生し、モニタex408で表示することができる。
【0128】
なお、カーナビゲーションex413の構成は、例えば
図17に示す構成のうち、カメラ部ex203とカメラインターフェース部ex303を除いた構成が考えられ、同様なことがコンピュータex111やテレビ(受信機)ex401等でも考えられる。
【0129】
また、上記携帯電話ex114等の端末は、符号化器・復号化器を両方持つ送受信型の端末の他に、符号化器のみの送信端末、復号化器のみの受信端末の3通りの実装形式が考えられる。
【0130】
このように、上記実施の形態で示した画像符号化方法及び画像復号化方法を上述したいずれの機器・システムに用いることは可能であり、そうすることで、上記実施の形態で説明した効果を得ることができる。
【0131】
また、本発明は、かかる上記の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の範囲を逸脱することなく種々の変形または修正が可能である。