【実施例】
【0124】
以下、実施例を挙げて本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの例に限定されるものではない。実施例中、「部」は特に指定しない限り「質量部」を、また「%」は「質量%」をそれぞれ表す。また反応温度は、特に断りのない限り反応系内の内温を記載した。
合成例にて得られた各種の化合物は、必要に応じてmp(融点)、NMR(1H,13C)、IR(赤外吸収スペクトル)、MS(質量分析スペクトル)、元素分析の各種の測定を行うことによりその構造式を決定した。測定機器は以下の通りである。
mp:柳本微量融点測定装置 MP−S3
NMR:JEOL Lambda 400 spectrometer
IR:島津フーリエ変換赤外分光光度計 IR Prestige−21
MSスペクトル:Shimadzu QP−5050A
元素分析:Parkin Elmer2400 CHN型元素分析計
まずは、化合物の合成について詳細に説明する。
【0125】
実施例1 6−n−デシル−2−メトキシナフタレン化合物(化合物(3)−64)の合成
【0126】
(実施例1−1):2−デカノイル−6−メトキシナフタレンの合成
窒素雰囲気下、試薬メーカーから容易に入手可能な2−メトキシナフタレン(64g,0.41mol)をモレキュラーシーブ3Aで乾燥させたニトロメタン(150ml)に溶解させ、氷浴下で塩化アルミニウム(80g,0.60mol)を加えた。引き続き氷浴下でそこへ塩化デカノイル(92ml,0.45mol)を滴下し、室温下で5時間撹拌した後、水(100ml)を氷浴下で滴下した。反応液を塩化メチレン(200ml×4)で抽出し、有機層を水(100ml×3)で洗浄した。有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥、濾過後、溶媒を減圧下で留去した。得られた黄色固体をヘキサンから再結晶することで2−デカノイル−6−メトキシナフタレン(102g,82%)を白色固体として得た。
1H-NMR(270 MHz, CDCl
3) δ0.88(t,2H,J = 6.5 Hz), 1.18-1.49(br,16H), 1.78(m,2H), 3.07(t,2H,J = 7.4 Hz), 3.95(s,3H), 7.16(d,1H,J = 2.6 Hz), 7.20(dd,1H,J = 8.9Hz,2.3 Hz), 7.77(d,1H, J = 8.6 Hz), 7.86(d,1H,J = 8.9 Hz), 8.01(dd,1H,J = 8.6 Hz,1.6Hz), 8.40(s,1H) ;EIMS(70 eV) m/z=312(M
+)
【0127】
(実施例1−2):6−n−デシル−2−ヒドロキシナフタレンの合成
【化19】
窒素雰囲気下、2−デカノイル−6−メトキシナフタレン(9.4g,30mmol)、水酸化カリウム(67g,1.2mol)をヒドラジン一水和物(70ml,1.4mol)、ジエチレングリコール(200ml)に溶解させ、17時間還流させた後、水(36ml)を加え、窒素気流下で蒸留し過剰量のヒドラジンと水を留去した。さらに窒素雰囲気下で41時間還流させた。その後、氷浴を用いつつ反応液に氷を入れることで冷却しながら、中性になるまで塩酸をゆっくりと加えた。反応液をエーテル(100ml×3)で抽出し、有機層を飽和食塩水(100ml×5)で洗浄した。有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥、濾過後、溶媒を減圧下で留去した。得られた褐色固体をヘキサンから再結晶することで6−デシル−2−ヒドロキシナフタレン(7.3g,90%)を白色固体として得た。
1H-NMR(270 MHz, CDCl
3) δ0.88(t,2H,J = 6.5 Hz), 1.18-1.43(br,17H), 1.59-1.75(br,3H), 2.72(t,2H,J = 7.7 Hz), 4.99(s,1H), 7.07(dd,1H,J = 8.9Hz,2.6 Hz), 7.11(d,J =2.3 Hz), 7.28(dd,1H,J = 8.4 Hz, 1.8 Hz), 7.53(br,1H), 7.60(d,1H,J = 8.6 Hz), 7.68(d,1H,J = 8.9 Hz) ;EIMS(70 eV) m/z=284(M
+)
【0128】
(実施例1−3):6−n−デシル−2−メトキシナフタレン(化合物(3)−64)の合成
【化20】
窒素雰囲気下、6−n−デシル−2−ヒドロキシナフタレン(5.68g,20mmol)と55%NaH(オイルディスパージョン、880mg,20mmol)のTHF(200ml)溶液を40分間室温で攪拌した。混合液にCH3I(1.48ml,24mmol)を加え、12時間加熱還流した。混合物に水(20ml)を0℃で加え、食塩水で洗浄した。有機層を合わせてMgSO4で乾燥して、エバポレータで濃縮した。濃縮液をメタノールから再結晶し6−n−デシル−2−メトキシナフタレン(化合物(3)−64)(5.0g,85%)を白色固体として得た。
1H-NMR(270 MHz, CDCl
3) δ0.88-1.70(aliphatic), 2.72(t, 2H, J = 7.2 Hz), 3.90(s,3H), 7.09-7.13(m,2H,), 7.29(dd,1H, J = 8.2Hz, 1.6 Hz), 7.53(br,1H), 7.64(d,1H, J= 2.0 Hz), 7.68(d,1H, J = 3.3 Hz) ;EIMS(70 eV) m/z = 298(M
+)
【0129】
実施例2 6−n−デシル−2−メトキシナフタレン(化合物(3)−64)の別法による合成
【化21】
試薬メーカーから容易に入手可能な6−ブロモ−2−メトキシナフタレン(2.37g,10mmol)とNi(dppp)Cl2(271mg,0.5mmol)のTHF(10ml)溶液にn−デシルマグネシウムブロミドのTHF溶液(n−デシルブロミド(2.2ml,11mmol)とMg(292mg,12mmol)のTHF(2ml)溶液として調製)を加え、19時間混合物を加熱還流した。冷却後、混合液を水で希釈して(10ml)、未反応のMgをろ別した。濾過した溶液をエーテル(5ml×3)で抽出し、抽出した有機層を合わせて(10ml×3)、MgSO4で乾燥し、エバポレータで濃縮した。濃縮したものをヘキサンで再結晶し6−n−デシル−2−メトキシナフタレン(化合物(3)−64)を淡黄色固体として得た。
mp 48.6〜49.3 ℃;
1H NMR (270 MHz, CDCl
3) δ0.87 (t, J = 6.7 Hz, 3H), 1.25-1.32(m, 14H), 1.67 (quint, J= 7.7 Hz, 2H), 2.72 (t, J = 7.2 Hz, 2H), 3.90 (s, 3H),7.09-7.13 (m, 2H), 7.29 (dd, J = 8.2Hz, 1.6 Hz, 1H), 7.53 (brs, 1H), 7.64 (d, J= 2.0 Hz, 1H), 7.68 (d, J = 3.3 Hz, 1H);
13C NMR (100 MHz, CDCl
3); δ14.1, 22.7, 29.4, 29.6(×3), 31.5, 31.9, 35.9, 55.2, 105.6, 118.5, 126.1, 126.0, 127.9, 128.9, 129.1, 132.9, 138.1, 157.0; EIMS (70 eV) m/z = 298 (M
+); Anal. Calcd for C
21H
30O: C, 84.51; H, 10.13%. Found: C, 84.62; H, 10.41%.
【0130】
実施例3 7−デシル−2−メトキシナフタレン(化合物(3)−12)の合成
【化22】
1−デシン(1.2g,6.5mmol)と、PdCl2(PPh3)2(0.12g,0.16mmol)と、CuI(13mg,0.065mmol)と、トリエチルアミン(14ml,9.8mmol)とを7−メトキシ−2−ナフチルトリフルオロメタンスルフォネート(1.0g,3.3mmol)のTHF(20ml)溶液に加えた。この溶液を4時間室温で混合した後、水(30ml)で希釈し、希塩酸(2M)で酸性にし、ジクロロメタン(30ml×3)で抽出した。抽出液を水(100ml×3)で洗浄しMgSO4で乾燥した。これを濃縮して、カラムクロマトグラフィー(シリカゲル、ジクロロメタンで展開)により、7−デシン−1−イル−2−メトキシナフタレンの淡黄色油状物を得た。得られた7−デシン−1−イル−2−メトキシナフタレン(2.8mmol)と10% Pd/C(0.16g)のTHF(13ml)とを50mlの丸底フラスコに入れ、水素雰囲気下にし、TLCで反応追跡しながら反応終了まで攪拌した(約12時間)。反応が終了したら、触媒をろ別し、ろ液を濃縮した。濃縮液をカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、ジクロロメタンで展開)により精製し、7−デシル−2−メトキシナフタレン(化合物(3)−12)(0.80g,82%)を得た。
mp 29.9〜30.8℃;
1H NMR (270 MHz, CDCl
3) δ0.88 (t, J = 7.0 Hz, 3H), 1.27-1.171(m, 16H), 2.74 (t, J= 7.7 Hz, 2H), 3.92 (s, 3H), 7.07 (dd, J= 9.7, 2.4 Hz, 1H),7.09 (s, 1H), 7.19 (dd, J = 8.3, 1.7 Hz, 1H), 7.51 (s, 1H), 7.68 (d, J = 8.3 Hz,1H), 7.70 (d, J = 9.7 Hz, 1H);
13C NMR (100 MHz, CDCl
3); δ 14.4, 23.0, 29.6, 29.7, 29.9, 30.2(×2), 31.7, 32.3, 36.5, 55.6, 105.8, 118.1, 125.6, 125.7, 127.8(×2), 129.4, 135.1, 141.4, 158.0; EIMS (70 eV) m/z = 298 (M
+); Anal. Calcd for C
21H
30O: C, 84.51; H, 10.13%. Found: C, 84.48; H, 10.44%.
【0131】
実施例4 7−フェニル−2−メトキシナフタレン(化合物(3)−22)の合成
リン酸カリウムのn水和物(34g,0.16mol)とフェニルホウ酸(3.7g,30mmol)とを7−メトキシ−2−ナフチルトリフルオロメタンスルフォネート(6.1g,20mmol)のDMF(350ml)溶液に加えた。これを30分間窒素でバブリングして窒素置換し、PdCl2(PPh)2(0.71g,1mmol)を加え、4時間、80℃で加熱した。混合物に飽和塩化アンモニウム水溶液(500ml)を加え、この操作により析出した結晶をろ別し、水(100ml×3)で洗浄し、電気乾燥機(60℃)で乾燥した。粗製物をカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、ジクロロメタンで展開)により精製し7−フェニル−2−メトキシナフタレン(化合物(3)−22)3.4g)を得た。
収率73%;黄色結晶(ヘキサン再結晶);
mp 65.4〜66.3℃;
1H NMR (400 MHz, CDCl
3) δ3.95 (s, 3H), 7.15 (dd, J= 8.9, 2.5 Hz, 1H), 7.38 (tt, J= 7.4, 1.2 Hz, 1H), 7.46-7.50 (m, 2H), 7.60 (dd, J = 8.5, 1.6Hz, 1H), 7.70-7.72 (m, 2H), 7.76 (d, J = 8.9 Hz, 1H), 7.84 (d, J = 8.5 Hz, 1H),7.95 (d, J = 1.6 Hz, 1H);
13C NMR (100 MHz, CDCl
3) δ 55.7, 106.5, 119.1, 123.7, 125.1, 127.7, 127.8, 128.5・(×2), 129.2, 129.5, 135.2, 139.5, 141.7, 158.4; EI-MS, m/z = 234 (M
+); Anal. Calcd for C
17H
14O: C, 87.15; H, 6.02%. Found: C, 87.23; H, 6.03%.
【0132】
実施例5 6−フェニル−2−メトシキナフタレン(化合物(3)−31)の合成
実施例4の7−フェニル−2−メトキシナフタレンの合成方法と同様の操作で6−ブロモ−2−メトシキナフタレン(試薬メーカーから容易に入手可能)とフェニルホウ酸とから90%の収率で目的物である6−フェニル−2−メトシキナフタレン(化合物(3)−31)を得た。
mp 135.4〜136.4 ℃;
1H NMR (400 MHz, CDCl
3) δ3.95 (s, 3H), 7.17 (s, 1H), 7.19 (dd, J = 7.9, 2.5 Hz, 1H), 7.38 (tt, J = 7.4, 1.2 Hz, 1H), 7.45-7.49 (m, 2H), 7.72 (dd, J = 8.5, 1.8 Hz, 1H), 7.70-7.72 (m, 2H), 7.80 (d, J = 7.9 Hz, 1H), 7.82 (d, J = 7.9 Hz, 1H), 7.98 (d, J = 1.8 Hz, 1H); EI-MS, m/z = 234 (M
+); Anal. Calcd for C
17H
14O: C, 87.15; H, 6.02%. Found: C, 86.86; H, 5.94%
【0133】
実施例6 6−トリル−2−メトキシナフタレン(化合物(3)−32)の合成
実施例4の7−フェニル−2−メトキシナフタレンの合成方法と同様の操作で、7−メトシキ−2−ナフチルトリフルオロメタンスルフォネートの代わりに6−ブロモ−2−メトキシナフタレン(38.9g,0.16mol)と、4−フェニルホウ酸の代わりに4−メチルフェニルホウ酸(25.0g,0.21mol)とを用いることにより、6−トリル−2−メトキシナフタレン(化合物(3)−32,33.3g,収率82%)を得た。
EI-MS, m/z=248(M
+)
【0134】
実施例7 7−トリル−2−メトキシナフタレン(化合物(3)−23)の合成
実施例4の7−フェニル−2−メトキシナフタレンの合成方法と同様の操作で、7−メトシキ−2−ナフチルトリフルオロメタンスルフォネート(30.63g,0.10mol)と4−メチルフェニルホウ酸(16.12g,0.12mol)を用いて、7−トリル−2−メトキシナフタレン(化合物(3)−23,22.5g,収率96%)を得た。
EI-MS, m/z=248(M
+)
【0135】
実施例8 6−ビフェニル−2−メトキシナフタレン(化合物(3)−33)の合成
実施例4の7−フェニル−2−メトキシナフタレンの合成方法と同様の操作で、7−メトシキ−2−ナフチルトリフルオロメタンスルフォネートの代わりに6−ブロモ−2−メトキシナフタレン(22.5g,94.8mmol)と、4−ビフェニルホウ酸(23.48g,119mmol)とを用い、6−ビフェニル−2−メトキシナフタレン(化合物(3)−33,24.8g,収率84%)を得た。
EI-MS, m/z=310(M
+)
【0136】
実施例9 7−ビフェニル−2−メトキシナフタレン(化合物(3)−24)の合成
実施例4の7−フェニル−2−メトキシナフタレンの合成方法と同様の操作で、7−メトシキ−2−ナフチルトリフルオロメタンスルフォネート(29.05g,94.8mmol)と4−ビフェニルホウ酸(23.48g,119mmol)とを用いて、7−ビフェニル−2−メトキシナフタレンの合成(化合物(3)−24,21.9g,収率74%)を得た。
EI-MS, m/z=310(M
+)
【0137】
実施例10 7−ブチル−2−メトキシナフタレン(化合物(3)−04)の合成
実施例3の7−デシル−2−メトキシナフタレンの合成方法と同様の操作で、7−メトシキ−2−ナフチルトリフルオロメタンスルフォネート(30.63g,0.10mol)とブチンガス(東京化成品,100g,大過剰)を用いて、7−ブチン−1−イル−2−メトキシナフタレン合成を行い、カラムクロマトグラフィー(シリカゲル,トルエンとヘキサンの混合物で展開)により7−ブチン−1−イル−2−メトキシナフタレンの淡黄色油状物を得た(18.1g,収率56%)。得られた7−ブチン−1−イル−2−メトキシナフタレン(全量)をトルエン(275ml)中、10%Pd/C(1.83g)を加えて、水素雰囲気下で接触還元を行い、カラムクロマトグラフィー(シリカゲル,トルエンとヘキサンの混合物で展開)により7−ブチル−2−メトキシナフタレン(化合物(3)−04, 17.80g,収率 97%)を得た。
EI-MS, m/z=214(M
+)
【0138】
実施例11 7−ヘキシル−2−メトキシナフタレン(化合物(3)−08)の合成
実施例3の7−デシル−2−メトキシナフタレンの合成方法と同様の操作で、7−メトシキ−2−ナフチルトリフルオロメタンスルフォネート(30.63g,0.10mol)と1−ヘキシン(10.27g,0.125mol)とを用いて、7−ヘキシン−1−イル−2−メトキシナフタレン合成を行い、カラムクロマトグラフィー(シリカゲル,トルエンとヘキサンの混合物で展開)により7−ヘキシン−1−イル−2−メトキシナフタレンの淡黄色油状物を得た(20.5g,収率86%)。得られた、7−ヘキシン−1−イル−2−メトキシナフタレン(全量)をトルエン(275ml)中、10%Pd/C(1.83g)を加えて、水素雰囲気下で接触還元を行い、カラムクロマトグラフィー(シリカゲル,トルエンとヘキサンの混合物で展開)により7−ヘキシル−2−メトキシナフタレン(化合物(3)−08, 20.70g,収率 99%)を得た。
EI-MS, m/z=242(M
+)
【0139】
実施例12 7−オクチル−2−メトキシナフタレン(化合物(3)−10)の合成
実施例3の7−デシル−2−メトキシナフタレンの合成方法と同様の操作で、7−メトシキ−2−ナフチルトリフルオロメタンスルフォネート(30.63g,0.10mol)と1−オクチン(13.78 g,0.125mol)を用いて、7−オクチン−1−イル−2−メトキシナフタレン合成を行い、カラムクロマトグラフィー(シリカゲル,トルエンとヘキサンの混合物で展開)により7−オクチン−1−イル−2−メトキシナフタレンの淡黄色油状物を得た(22.9g,収率86%)。得られた、7−オクチン−1−イル−2−メトキシナフタレン(全量)をトルエン(213ml)中、10%Pd/C(2.13g)を加えて、水素雰囲気下で接触還元を行い、カラムクロマトグラフィー(シリカゲル,トルエンとヘキサンの混合物で展開)により7−オクチル−2−メトキシナフタレン(化合物(3)−10,24.30g,収率 90%)を得た。
EI-MS, m/z=270(M
+)
【0140】
実施例13 7−ドデシル−2−メトキシナフタレン(化合物(3)−14)の合成
実施例3の7−デシル−2−メトキシナフタレンの合成方法と同様の操作で、7−メトシキ−2−ナフチルトリフルオロメタンスルフォネート(30.63g,0.10mol)と1−ドデシン(20.79g,0.125mol)を用いて、7−ドデシン−1−イル−2−メトキシナフタレン合成を行い、カラムクロマトグラフィー(シリカゲル,トルエンとヘキサンの混合物で展開)により7−ドデシン−1−イル−2−メトキシナフタレンの淡黄色油状物を得た(32.0g,定量的)。得られた、7−ドデシン−1−イル−2−メトキシナフタレン(全量)をトルエン(316ml)中、10%Pd/C(2.11g)を加えて、水素雰囲気下で接触還元を行い、カラムクロマトグラフィー(シリカゲル,トルエンとヘキサンの混合物で展開)により7−ドデシル−2−メトキシナフタレンの合成(化合物(3)−14,31.10g,収率96%)を得た。
EI-MS, m/z=326(M
+)
【0141】
化合物(3)から化合物(4)へ誘導する実施例を以下に示す。
実施例14 6−n−デシル−3−メチルチオ−2−メトキシナフタレン(化合物(4)−64)の合成
6−n−デシル−2−メトキシナフタレン(化合物(3)−64)(12g,40mmol)のTHF(100ml)溶液に1.57Mn−BuLiのヘキサン溶液(28ml,44mmol)を−78℃で加え、室温で1時間攪拌した。ここにジメチルジスルフィド(4.4ml,48mmol)を−78℃で加え、18時間室温で攪拌した。反応液を飽和塩化アンモニウム水溶液(50ml)に加えエーテル(30ml×3)で抽出した。3回の抽出により得られた抽出液を合わせ、飽和食塩水(30ml×3)で洗浄後、MgSO4で乾燥した。エバポレータで濃縮して6−n−デシル−3−メチルチオ−2−メトキシナフタレン(化合物(4)−64)(15.2g,定量的)を黄色オイルとして得た。次の反応には、これ以上精製せずに用いることができる。
1H NMR (400 MHz, CDCl
3) δ0.87 (t, J = 6.7 Hz, 3H), 1.25-1.32 (m, 14H), 1.67 (quint, J = 7.7 Hz, 2H), 2.72 (t, J = 7.2 Hz, 2H), 2.53 (s, 3H), 2.72 (t, J = 7.8 Hz, 2H), 3.98 (s, 3H), 7.05 (s, 1H), 7.23 (d, J = 6.8 Hz, 1H), 7.40 (s, 1H), 7.48(s, 1H), 7.62 (d, J = 8.8 Hz, 1H);
13C NMR (100 MHz, CDCl
3); δ14.1, 14.6, 22.7, 29.4, 29.6(×3), 31.5, 31.9, 36.0, 55.8, 104.6, 122.9, 125.0, 126.3, 127.0,129.4, 130.4, 138.7, 154.0; EIMS (70 eV) m/z = 344 (M
+). Anal Calcd for C
22H
32OS: C, 76.69; H, 9.36%. Found: C, 76.83; H, 9.66%.
【0142】
実施例15 7−デシル−3−メチルチオ−2−メトキシナフタレン(化合物(4)−12)の合成
実施例14と同様の方法で、7−デシル−2−メトキシナフタレン(化合物(3)−12)とジメチルジスルフィドから、7−デシル−3−メチルチオ−2−メトキシナフタレン(化合物(4)−12)を合成した(93%の収率、ヘキサンから再結晶し黄色結晶を得た)。
mp 49.5〜50.4℃;
1H NMR (500 MHz, CDCl
3) δ0.87 (t, J = 6.8 Hz, 3H), 1.24-1.69 (m, 16H), 2.53 (s, 3H), 2.72 (t, J = 7.8 Hz, 2H), 3.99 (s, 3H), 7.03 (s, 1H), 7.18 (d, J = 8.4 Hz, 1H), 7.44 (s, 1H), 7.48 (s, 1H), 7.62 (d, J = 8.4 Hz, 1H);
13CNMR (126 MHz, CDCl
3); δ14.5, 15.1, 23.0, 29.7(×2), 29.9(×2), 30.0, 31.7, 32.2, 36.4 56.2, 104.8, 123.7, 125.4, 126.0, 126.6, 128.0, 128.6, 132.7, 140.6, 155.0; EIMS (70 eV) m/z = 344 (M
+). Anal Calcd for C
22H
32OS: C, 76.69; H, 9.36%. Found: C, 76.83; H, 9.66%.
【0143】
実施例16 3−メチルチオ−7−フェニル−2−メトキシナフタレン(化合物(4)−22)
実施例14と同様な方法で、7−フェニル−2−メトキシナフタレン(化合物(3)−22)とジメチルジスルフィドから、3−メチルチオ−7−フェニル−2−メトキシナフタレン(化合物(4)−22)を収率77%で得た(再結晶をヘキサンから行い、黄色結晶を得た。)。
mp 149〜150℃;
1H NMR (400 MHz, CDCl
3) δ2.56 (s, 3H), 4.03 (s, 3H), 7.15 (s, 1H), 7.38 (tt, J = 7.4, 1.3 Hz, 1H), 7.46−7.49 (m, 2H), 7.47 (s, 1H), 7.61 (dd, J= 8.4, 1.8 Hz, 1H), 7.70−7.72 (m, 2H), 7.77 (d, J = 8.5 Hz, 1H), 7.92 (d, J =1.8 Hz, 1H);EI−MS, m/z = 280 (M
+); Anal. Calcd for C
18H
16OS: C, 77.11; H, 5.75%. Found: C,77.05; H, 5.64%.
【0144】
実施例17 3−メチルチオ−6−フェニル−2−メトキシナフタレン(化合物(4)−31)の合成
実施例14と同様の方法で、6−フェニル−2−メトシキナフタレン(化合物(3)−31)とジメチルジスルフィドから、3−メチルチオ−6−フェニル−2−メトキシナフタレン(化合物(4)−31)を合成した。
mp 124〜125.2℃;
1H NMR (400 MHz, CDCl
3) δ2.56 (s, 3H), 4.02 (s, 3H), 7.11 (s,1H), 7.36 (tt, J = 7.4, 1.3 Hz, 1H), 7.45−7.50 (m, 2H), 7.53 (s, 1H), 7.66 (dd,J = 8.5, 1.6 Hz, 1H), 7.69−7.72 (m, 2H), 7.77 (d, J = 8.5 Hz, 1H), 7.92 (d, J= 1.6 Hz, 1H);
13C NMR (100 MHz, CDCl
3) δ 14.9, 56.3, 104.8, 123.7, 124.8, 125.4, 127.3, 127.4, 127.6, 129.2, 129.9, 130.6, 131.6, 137.2, 141.6; EI−MS, m/z =280 (M
+); Anal. Calcd for C
18H
16OS: C, 77.11; H, 5.75%. Found: C, 77.22; H, 5.75%.
【0145】
実施例18 6−トリル−3−メチルチオ−2−メトキシナフタレン(化合物(4)−32)の合成
実施例14と同様の方法で、6−トリル−2−メトキシナフタレン(化合物(3)−32,33.3g)とジメチルジスルフィドから、6−トリル−3−メチルチオ−2−メトキシナフタレン(化合物(4)−32,19.22g,49%)を得た。次の反応には、これ以上精製せずに進めることができる。
EI-MS, m/z=294(M
+)
【0146】
実施例19 7−トリル−3−メチルチオ−2−メトキシナフタレン(化合物(4)−23)の合成
実施例14と同様の方法で、7−トリル−2−メトキシナフタレン(化合物(3)−23,22.2g,89mmol)から、7−トリル−3−メチルチオ−2−メトキシナフタレンの合成を行い、トルエンから再結晶し化合物(化合物(4)−23,11.5g,収率44%)を得た。次の反応には、これ以上精製せずに進めることができる。
EI-MS, m/z=294(M
+)
【0147】
実施例20 6−ビフェニル−3−メチルチオ−2−メトキシナフタレン(化合物(4)−33)の合成
実施例14と同様の方法で、6−ビフェニル−2−メトキシナフタレン(化合物(3)−33,24.0g)から、6−ビフェニル−3−メチルチオ−2−メトキシナフタレン(化合物(4)−33,22.3g,81%)を得た。次の反応には、これ以上精製せずに進めることができる。
EI-MS, m/z=356(M
+)
【0148】
実施例21 7−ビフェニル−3−メチルチオ−2−メトキシナフタレン(化合物(4)−24)の合成
実施例14と同様の方法で、7−ビフェニル−2−メトキシナフタレン(化合物(3)−24,21.5g)から、7−ビフェニル−3−メチルチオ−2−メトキシナフタレンの合成(化合物(4)−24)の合成を行い、トルエンから再結晶し化合物(4)−23(16.0g,収率65%)を得た。次の反応には、これ以上精製せずに進めることができる。
EI-MS, m/z=356(M
+)
【0149】
実施例22 7−ブチル−3−メチルチオ−2−メトキシナフタレン(化合物(4)−04)の合成
実施例14と同様の方法で、7−ブチル−2−メトキシナフタレン(化合物(3)−04,17.80g,83.1mmol)から、7−ブチル−3−メチルチオ−2−メトキシナフタレン(化合物(4)−04,22.3g,収率100%)を得た。次の反応には、これ以上精製せずに進めることができる。
EI-MS, m/z=260(M
+)
【0150】
実施例23 7−ヘキシル−3−メチルチオ−2−メトキシナフタレン(化合物(4)−08)の合成
実施例14と同様の方法で、7−ヘキシル−2−メトキシナフタレン(化合物(3)−08)から、7−ヘキシル−3−メチルチオ−2−メトキシナフタレン(化合物(4)−08,24.7g,定量的)を得た。次の反応には、これ以上精製せずに進めることができる。
EI-MS, m/z=288(M
+)
【0151】
実施例24 7−オクチル−3−メチルチオ−2−メトキシナフタレン(化合物(4)−10)の合成
実施例14と同様の方法で、7−オクチル−2−メトキシナフタレン(化合物(3)−10)から、7−オクチル−3−メチルチオ−2−メトキシナフタレンの合成(化合物(4)−10,27.09g,収率95%)を得た。次の反応には、これ以上精製せずに進めることができる。
EI-MS, m/z=316(M
+)
【0152】
実施例25 7−ドデシル−3−メチルチオ−2−メトキシナフタレン(化合物(4)−14)の合成
実施例14と同様の方法で、7−ドデシル−2−メトキシナフタレン(化合物(3)−14)から、7−ドデシル−3−メチルチオ−2−メトキシナフタレン(化合物(4)−14,34.1g,収率96%)を得た。次の反応には、これ以上精製せずに進めることができる。
EI-MS, m/z=372(M
+)
【0153】
化合物(4)の置換基は、以下の操作により容易に他の置換基を持つ誘導体へと変換することが可能である。
【0154】
合成例1 6−デシル−3−メチルチオ−2−(トリフルオロメタンスルフォニルオキシ)ナフタレン(化合物(4)−81)の合成
【0155】
(合成例1−1):6−デシル−3−メチルチオ−2−ヒドロキシナフタレンの合成
【化23】
6−デシル−3−メチルチオ−2−メトキシナフタレン(化合物(4)−64)(28g,81mmol)のジクロロメタン(50ml)溶液をBBr
3(ca.2M70ml,140mmol)のジクロロメタン溶液に−78℃で加えた。12時間室温で攪拌し、混合物に氷(約20g)を加えた。反応液をジクロロメタン(20ml×3)で抽出した。3回の抽出により得られた有機層を合わせて、飽和食塩水(30ml×3)で洗浄し、MgSO
4で乾燥し、濃縮した。残渣をカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、ジクロロメタン:ヘキサン=1:1で展開)により精製し、ヘキサンより再結晶し6−デシル−3−メチルチオ−2−ヒドロキシナフタレン(18.1g,72%)を白色結晶として得た。
mp 65.5〜66.0 ℃;
1H NMR (270 MHz, CDCl
3) δ0.88 (t, J = 6.7 Hz, 3H), 1.26-1.32(m, 14H), 1.67 (quint, J= 7.7 Hz, 2H), 2.41 (s, 3H), 2.71 (t, J = 7.3 Hz, 2H), 6.57 (s, 1H), 7.28 (s, 1H), 7.28 (dd, J = 8.2 Hz, 1.6 Hz, 1H), 7.48 (brs, 1H), 7.61 (d, J = 8.6 Hz, 1H), 7.94 (s, 1H);
13C NMR (100 MHz, CDCl
3) δ14.1, 19.9, 22.7, 29.3, 29.6 (×3), 31.4, 31.9, 35.9, 109.1, 124.1, 125.7, 126.3, 128.7, 129.1, 133.5 (×2), 138.5, 152.1; IR (KBr) ν3402 cm
-1(OH); EIMS (70 eV) m/z = 330 (M
+); Anal. Calcd for C
21H
30OS: C, 76.31; H, 9.15%. Found: C, 76.34; H, 9.23%.
【0156】
(合成例1−2):6−デシル−3−メチルチオ−2−(トリフルオロメタンスルフォニルオキシ)ナフタレン(化合物(4)−81)の合成
【化24】
得られた6−デシル−3−メチルチオ−2−ヒドロキシナフタレン(3.63g,10mmol)とピリジン(2.5ml,30mmol)とのジクロロメタン(50ml)溶液にトリフルオロメタンスルホン酸無水物(3ml,15mmol)を0℃で加えた。これを25分間室温で攪拌したのち、混合物を水(20ml)で希釈し塩酸(4M,20ml)を加えた。この混合物をジクロロメタン(30ml×3)で抽出した。3回の抽出により得られた有機層を合わせ、飽和食塩水(30ml×3)で洗浄し、MgSO4で乾燥し濃縮して6−デシル−3−メチルチオ−2−(トリフルオロメタンスルフォニルオキシ)ナフタレン(化合物(4)−81)(4.89g,99%)を得た。
mp 42.0〜42.9℃;
1H NMR (270 MHz, CDCl
3) δ0.88 (t, J = 6.7 Hz, 3H), 1.26-1.32(m, 14H), 1.68 (quint, J= 7.7 Hz, 2H), 2.59 (s, 3H), 2.76 (t, J = 7.3 Hz, 2H), 7.36 (dd, J = 8.7 Hz, 1.8 Hz, 1H), 7.57 (brs, 1H), 7.63 (s, 1H), 7.68 (s, 1H), 7.72 (d, J = 8.2 Hz, 1H);
13C NMR (100 MHz, CDCl
3) δ14.1, 15.8, 22.7, 29.3 (×2), 29.5, 29.6 (×2), 31.2, 31.9, 36.1, 118.7 (q, J = 319 Hz), 119.2, 125.2, 126.3, 127.7, 128.4, 129.4, 130.7, 133.0, 142.7, 144.8; IR (KBr) ν1423, 1211 cm
-1 (-O-SO
2-); EIMS (70 eV) m/z = 462 (M
+); Anal. Calcd for C
22H
29F
3O
3S
2: C, 57.12; H, 6.32%. Found C, 56.91; H, 6.15%.
【0157】
合成例2 7−デシル−3−メチルチオ−2−(トリフルオロメタンスルホニルオキシ)ナフタレン(化合物(4)−77)の合成
【0158】
(合成例2−1):7−デシル−3−メチルチオ−2−ヒドロキシナフタレンの合成
実施例15で合成した7−デシル−3−メチルチオ−2−メトキシナフタレン(化合物(4)−12)を、(合成例1−1)の操作で脱メチル化し、7−デシル−3−メチルチオ−2−ヒドロキシナフタレンを得た。
収率85%;黄色結晶(ヘキサン再結晶);
mp 64.4〜65.4℃;
1H NMR (400 MHz, CDCl
3) δ0.88 (t, J = 6.9 Hz, 3H), 1.24-1.72 (m, 16H), 2.40 (s, 3H), 2.72 (t, J = 7.7 Hz, 2H), 6.63 (s, 1H), 7.17 (dd, J = 8.4, 1.6 Hz, 1H), 7.45 (s, 1H), 7.63 (d, J = 8.4 Hz, 1H), 7.97 (s, 1H);
13C NMR (100 MHz, CDCl
3) δ14.4, 20.4, 23.0, 29.6, 29.7, 29.9 (×2), 31.6, 32.2, 36.5, 109.1, 123.4, 125.2, 125.9, 127.5, 127.8, 134.5, 135.8, 142.3, 153.2; IR (KBr) ν3402 cm
-1 (OH); EI-MS, m/z = 330 (M
+); Anal. Calcd for C
21H
30OS: C, 76.31; H, 9.15%. Found: C, 76.62; H, 9.38%.
【0159】
(合成例2−2):7−デシル−3−メチルチオ−2−(トリフルオロメタンスルホニルオキシ)ナフタレン(化合物(4)−77)の合成
(合成例1−2)における操作と同様の操作で7−デシル−3−メチルチオ−2−ヒドロキシナフタレンをトリフルオロメタンスルホニル化し、7−デシル−3−メチルチオ−2−(トリフルオロメタンスルホニルオキシ)ナフタレン(化合物(4)−77)を得た。
収率94%;黄色結晶(ヘキサン再結晶);
mp 149〜150℃;
1H NMR (400 MHz, CDCl
3) δ2.44 (s, 3H), 6.64 (s, 1H), 7.38-7.40 (m, 2H), 7.48 (tt, J = 7.6, 1.8 Hz, 1H), 7.60 (d, J = 8.5 Hz, 1H), 7.70-7.72 (m, 2H), 7.80 (dd, J = 8.5, 2.0 Hz, 1H), 7.88 (s, 1H), 8.02 (d, J = 2.0 Hz, 1H);
13C NMR (126 MHz, CDCl
3) δ14.4, 16.4, 23.0, 29.6, 29.7, 29.8, 29.9, 30.0, 31.5, 32.2, 36.3, 119.0 (q, J = 320 Hz), 119.3, 126.6, 127.0, 127.5, 129.7, 129.9, 131.6, 131.8, 142.1, 125.9; IR (neat) ν1427, 1213 cm
-1 (-O-SO
2-); EI-MS, m/z =266 (M
+); Anal. Calcd for C
17H
14OS: C, 76.66; H, 5.30%. Found: C, 76.97; H, 5.14%.
【0160】
合成例3 3−メチルチオ−7−フェニル−2−(トリフルオロメタンスルホニルオキシ)ナフタレン(化合物(4)−72)の合成
【0161】
(合成例3−1):3−メチルチオ−7−フェニル−2−ナフトールの合成
実施例16で合成した3−メチルチオ−7−フェニル−2−メトキシナフタレン(化合物(4)−22)を(合成例1−1)の操作で脱メチル化し、3−メチルチオ−7−フェニル−2−ナフトールを得た。
収率94%;黄色結晶(ヘキサン再結晶);
mp 149〜150℃;
1H NMR (400 MHz, CDCl
3) δ2.44 (s, 3H), 6.64 (s, 1H), 7.38-7.40 (m, 2H), 7.48 (tt, J = 7.6, 1.8 Hz, 1H), 7.60 (d, J = 8.5 Hz, 1H), 7.70-7.72 (m, 2H), 7.80 (dd, J = 8.5, 2.0 Hz, 1H), 7.88 (s, 1H), 8.02 (d, J = 2.0 Hz, 1H);
13C NMR (100 MHz, CDCl
3) δ20.2, 109.8, 124.1, 124.7, 127.7, 127.9, 128.5, 129.2 (×2), 134.1, 135.7, 140.1, 141.3, 153.4; IR (KBr) ν3497 cm
-1 (OH); EI-MS, m/z = 266 (M
+); Anal. Calcd for C
17H
14OS: C, 76.66; H, 5.30%. Found: C, 76.97; H,5.14%.
【0162】
(合成例3−2):3−メチルチオ−7−フェニル−2−(トリフルオロメタンスルホニルオキシ)ナフタレン(化合物(4)−72)の合成
(合成例1−2)における操作と同様の操作で3−メチルチオ−7−フェニル−2−ナフトールをトリフルオロメタンスルホニル化し、3−メチルチオ−7−フェニル−2−(トリフルオロメタンスルホニルオキシ)ナフタレン(化合物(4)−72)を得た。
収率98%;黄色結晶(ヘキサン再結晶);
mp 87.8〜88.7℃;
1H NMR (400 MHz, CDCl
3) δ2.62 (s, 3H), 7.41 (tt, J = 7.2, 1.2 Hz, 1H), 7.45-7.52 (m, 2H), 7.68-7.71 (m, 2H), 7.72 (s, 1H), 7.79 (s, 1H), 7.82 (dd, J = 8.4, 1.6 Hz, 1H), 7.87 (d, J = 8.4 Hz, 1H), 8.00 (s, 1H);
13C NMR (126 MHz, CDCl
3) δ16.0, 119.0 (q, J = 321 Hz), 120.0, 125.9, 126.8, 127.6, 127.7, 127.8, 128.2, 129.3, 131.3, 131.7, 132.3, 139.8, 140.5, 146.0; IR (KBr) ν1425, 1209 cm
-1(O-SO
2-); EI-MS, m/z = 398 (M
+); Anal. Calcd for C
18H
13O
3S
2F
3: C, 54.26; H, 3.29%. Found: C, 54.42; H, 3.08%.
【0163】
合成例4 3−メチルチオ−6−フェニル−2−(トリフルオロメタンスルホニルオキシ)ナフタレン(化合物(4)−73)の合成
(合成例4−1):3−メチルチオ−6−フェニル−2−ナフトールの合成
実施例17で合成した3−メチルチオ−6−フェニル−2−メトキシナフタレン(化合物(4)−31)を、(合成例1−1)の操作で脱メチル化し、3−メチルチオ−6−フェニル−2−ナフトールを得た。
収率73%;黄色結晶(ヘキサン再結晶);
mp 128.9〜129.8℃;
1H NMR (400 MHz, CDCl
3) δ2.45 (s, 3H), 6.63 (s, 1H), 7.35 (s, 1H), 7.37 (tt, J = 7.4, 1.3 Hz, 1H), 7.45-7.50 (m, 2H), 7.72 (dd, J = 8.5, 1.8 Hz, 1H), 7.76 (d, J = 8.6 Hz, 1H) 7.68-7.72 (m, 2H), 7.76 (d, J = 8.5 Hz, 1H), 7.92 (d, J = 1.8 Hz, 1H);
13C NMR (100 MHz, CDCl
3) δ20.2, 109.4, 125.2, 125.5, 127.1, 127.3, 127.5, 127.6, 129.2, 129.5, 134.5 (×2), 137.0, 141.3, 153.1; IR (KBr) ν3402 cm
-1 (OH); EI-MS, m/z = 266 (M
+); Anal. Calcd for C
17H
14OS: C, 76.66; H, 5.30%. Found: C, 76.50; H, 5.15%.
【0164】
(合成例4−2):3−メチルチオ−6−フェニル−2−(トリフルオロメタンスルホニルオキシ)ナフタレン(化合物(4)−73)の合成
(合成例1−2)の操作と同様の操作で3−メチルチオ−6−フェニル−2−ナフトールをトリフルオロメタンスルホニル化し、3−メチルチオ−6−フェニル−2−(トリフルオロメタンスルホニルオキシ)ナフタレン(化合物(4)−73)を得た。
収率 定量的;黄色結晶(ヘキサン再結晶);
mp 79.4〜80.3℃;
1H NMR (400 MHz, CDCl
3) δ2.62 (s, 3H), 7.42 (tt, J = 7.4, 1.3Hz, 1H), 7.43-7.52 (m, 2H), 7.68-7.71 (m, 2H), 7.74 (s, 1H), 7.75 (s, 1H), 7.77 (dd, J = 8.5, 1.8 Hz, 1H), 7.88 (d, J = 8.5 Hz, 1H), 7.99 (d, J = 1.8 Hz, 1H);
13C NMR (126 MHz, CDCl
3) δ16.0, 119.0 (q, J = 321 Hz), 119.6, 124.9, 126.8, 127.1, 127.8, 128.2, 128.7, 129.3, 130.5, 131.9, 133.4, 140.7, 140.9, 145.6; IR (KBr) ν1429, 1225 cm
-1(O-SO2-); EI-MS, m/z = 398 (M
+); Anal. Calcd for C
18H
13O
3S
2F
3: C, 54.26; H, 3.29%. Found: C, 54.17; H, 3.01%.
【0165】
合成例5 6−トリル−3−メチルチオ−2−トリフルオロメタンスルフォニルオキシナフタレン(化合物(4)−83)の合成
(合成例1−1)と同様の方法で、実施例18で得られた6−トリル−3−メチルチオ−2−メトキシナフタレン(化合物(4)−32,10.5g)をBBr
3のジクロロメタン溶液で脱メチル化し、その後、CF
3SO
2化して、6−トリル−3−メチルチオ−2−トリフルオロメタンスルフォニルオキシナフタレンの合成(化合物(4)−83,12.5g,収率85%)を得た。
EI-MS, m/z=412(M
+)
【0166】
合成例6 7−トリル−3−メチルチオ−2−トリフルオロメタンスルフォニルオキシナフタレンの合成(化合物(4)−82)
(合成例1−1)と同様の方法で、実施例19で得られた7−トリル−3−メチルチオ−2−メトキシナフタレン(化合物(4)−23,15.4g)をBBr
3のジクロロメタン溶液で脱メチル化し、その後、CF
3SO
2化して、7−トリル−3−メチルチオ−2−トリフルオロメタンスルフォニルオキシナフタレン(化合物(4)−82,8.62g,収率67%)を得た。
EI-MS, m/z=412(M
+)
【0167】
合成例7 6−ビフェニル−3−メチルチオ−2−トリフルオロメタンスルフォニルオキシナフタレンの合成(化合物(4)−85)
(合成例1−1)と同様の方法で、実施例20で得られた6−ビフェニル−3−メチルチオ−2−メトキシナフタレンの合成(化合物(4)−33,15.4g)をBBr
3のジクロロメタン溶液で脱メチル化し、その後、CF
3SO
2化して、6−ビフェニル−3−メチルチオ−2−トリフルオロメタンスルフォニルオキシナフタレン(化合物(4)−85,15.9g,収率77%)を得た。
EI-MS, m/z=474(M
+)
【0168】
合成例8 7−ビフェニル−3−メチルチオ−2−トリフルオロメタンスルフォニルオキシナフタレン(化合物(4)−84)の合成
(合成例1−1)と同様の方法で、実施例21で得られた7−ビフェニル−3−メチルチオ−2−メトキシナフタレンの合成(化合物(4)−24,15.8g)をBBr
3のジクロロメタン溶液で脱メチル化し、その後、CF
3SO
2化して、7−ビフェニル−3−メチルチオ−2−トリフルオロメタンスルフォニルオキシナフタレン(化合物(4)−84,18.9g,収率93%)を得た。
EI-MS, m/z=474(M
+)
【0169】
合成例9 7−ブチル−3−メチルチオ−2−トリフルオロメタンスルフォニルオキシナフタレン(化合物(4)−74)の合成
(合成例1−1)と同様の方法で、実施例22で得られた7−ブチル−3−メチルチオ−2−メトキシナフタレン(化合物(4)−04,21.63g,83.1mmol)をBBr
3のジクロロメタン溶液で脱メチル化し、その後、CF
3SO
2化して、7−ブチル−3−メチルチオ−2−トリフルオロメタンスルフォニルオキシナフタレン(化合物(4)−74,18.5g,収率59%)を得た。
EI-MS, m/z=378(M
+)
【0170】
合成例10 7−ヘキシル−3−メチルチオ−2−トリフルオロメタンスルフォニルオキシナフタレンの合成(化合物(4)−75)
(合成例1−1)と同様の方法で、実施例23で得られた7−ヘキシル−3−メチルチオ−2−メトキシナフタレン(化合物(4)−08,24.7g)をBBr
3のジクロロメタン溶液で脱メチル化し、その後、CF
3SO
2化して、7−ヘキシル−3−メチルチオ−2−トリフルオロメタンスルフォニルオキシナフタレン(化合物(4)−75,23.5g,収率70%)を得た。
EI-MS, m/z=406(M
+)
【0171】
合成例11 7−オクチル−3−メチルチオ−2−トリフルオロメタンスルフォニルオキシナフタレン(化合物(4)−76)の合成
(合成例1−1)と同様の方法で、実施例24で得られた7−オクチル−3−メチルチオ−2−メトキシナフタレン(化合物(4)−10,27.09g)をBBr
3のジクロロメタン溶液で脱メチル化し、その後、CF
3SO
2化して、7−オクチル−3−メチルチオ−2−トリフルオロメタンスルフォニルオキシナフタレン(化合物(4)−76,25.00g,収率64%)を得た。
EI-MS, m/z=434(M
+)
【0172】
合成例12 7−ドデシル−3−メチルチオ−2−トリフルオロメタンスルフォニルオキシナフタレン(化合物(4)−78)の合成
(合成例1−1)と同様の方法で、実施例25で得られた7−ドデシル−3−メチルチオ−2−メトキシナフタレンの合成(化合物(4)−14,34.1g)をBBr
3のジクロロメタン溶液で脱メチル化し、その後、CF
3SO
2化して、7−ドデシル−3−メチルチオ−2−トリフルオロメタンスルフォニルオキシナフタレン(化合物(4)−78,33.7g,収率72%)を得た。
EI-MS, m/z=490(M
+)
【0173】
合成例13 1,2−ビス(トリブチルスタニル)エチレン(化合物(5)−05)の合成
【0174】
(合成例13−1):トリブチルスタニルアセチレンの合成
【化25】
窒素雰囲気下、18w%Naアセチレンのキシレンと、ミネラルオイルのディスパージョンオイル(10ml,8.5g,32mmol)とのTHF(60ml)溶液にトリブチルチンクロリド(8.6ml,32mmol)を0℃で加えた。17時間室温で攪拌した後、混合物をヘキサンで抽出し食塩水で洗浄した。有機層を混合しMgSO
4で乾燥したのち濃縮した。減圧蒸留(85〜120℃,約0.7mmHg)して、トリブチルスタニルアセチレン(3.6g,34%)を無色油状物質として得た。
1H-NMR (400 MHz, CDCl
3) δ0.91 (t, 9H, J = 8.0 Hz), 1.02 (t, 8H, J = 8.0 Hz), 1.35 (sextet, 6H, J = 8.0 Hz), 1.58 (quintet, 6H, J = 8.0 Hz), 2.20 (s,1H)
【0175】
(合成例13−2):1,2−ビス(トリブチルスタニル)エチレン(化合物(5)−05)の合成
【化26】
窒素雰囲気下、トリブチルスタニルアセチレン(1.6g,5mmol)と、トリブチルチンハイドライド(1.3ml,5mmol)とのトルエン(20ml)溶液にアゾビスイソブチロニトリル(100mg,0.60mmol)を加えた。この混合物を17時間、90℃で加熱攪拌し、水(20ml)を加えたのち濃縮した。混合物をヘキサンで抽出し、抽出液を食塩水で洗浄して1,2−ビス(トリブチルスタニル)エチレン(化合物(5)−05)(3.0g,90%)を無色油状物質として得た。
1H-NMR (400 MHz, CDCl
3) δ0.86-0.91 (multiplet, 15H), 1.31 (sextet, 6H, J = 8.0Hz), 1.50 (quintet,6H, J = 8.0 Hz), 6.88 (s,2H)
【0176】
実施例26 trans−1,2−ビス(6−デシル−3−メチルチオナフタレン−2−イル)エチレン(化合物(6)−64)の合成
【化27】
6−デシル−3−メチルチオ−2−(トリフルオロメタンスルフォニルオキシ)ナフタレン(化合物(4)−81)(1.9g,4.1mmol)と、1,2−ビス(トリブチルスタニル)エチレン(化合物(5)−05)とのDMF(40ml)溶液に、Pd(PPh
3)
4(322mg,0.29mmol,7mol%)を加えた。混合物を暗所、90℃で17時間加熱攪拌し、水で希釈しクロロホルムで抽出した。この抽出液をMgSO
4で乾燥して濃縮した。残渣をカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、ジクロロメタンで展開)により精製し、トランス−1,2−ビス(6−デシル−3−メチルチオナフタレン−2−イル)エチレン(化合物(6)−64)(2.3g,定量的)を黄色固体として得た。
mp 116.8〜117.7℃;
1H NMR (400 MHz, CDCl
3) δ0.88 (t, J = 6.4 Hz, 6H), 1.29-1.70 (m, 32H), 2.58 (s, 6H), 2.75 (t, J = 8.4 Hz, 4H), 7.29 (dd, J = 8.8, 1.6 Hz, 2H), 7.52 (s, 2H), 7.59 (s, 2H), 7.64 (s, 2H), 7.76 (d, J = 8.4 Hz, 2H), 8.06 (s, 2H);
13C NMR (100 MHz, CDCl
3) δ14.4, 16.8, 23.0, 24.2, 29.6, 29.8, 29.9, 30.0, 31.7, 32.2, 36.5, 124.3, 125.2, 125.3, 127.6, 128.0, 128.4, 130.3, 133.9, 134.5, 136.0, 141.6; EI-MS m/z = 652 (M
+).
【0177】
実施例27 trans−1,2−ビス(7−デシル−3−メチルチオナフタレン−2−イル)エチレン(化合物(6)−12)の合成
実施例26と同様の操作で7−デシル−3−メチルチオ−2−(トリフルオロメタンスルフォニルオキシ)ナフタレン(化合物(4)−77)及び1,2−ビス(トリブチルスタニル)エチレン(化合物(5)−05)から、trans−1,2−ビス(7−デシル−3−メチルチオナフタレン−2−イル)エチレン(化合物(6)−12)を得た。
収率98%;黄色結晶(再結晶ヘキサン);
mp 87.8-88.7℃;
1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 2.62 (s, 3H), 7.41 (tt, J = 7.2, 1.2Hz, 1H), 7.45-7.52 (m, 2H), 7.68-7.71 (m, 2H), 7.72 (s, 1H), 7.79 (s, 1H), 7.82 (dd, J= 8.4, 1.6 Hz, 1H), 7.87 (d, J= 8.4 Hz, 1H), 8.00 (s, 1H); EI-MS, m/z = 398 (M
+); Anal. Calcd for C
18H
13O
3S
2F
3: C, 54.26; H, 3.29%. Found: C, 54.42; H, 3.08%.
【0178】
実施例28 trans−1,2−ビス(3−メチルチオ−7−フェニルナフト−2−イル)エチレン(化合物(6)−22)の合成
実施例26と同様の操作で3−メチルチオ−7−フェニル−2−(トリフルオロメタンスルホニルオキシ)ナフタレン(化合物(4)−72)と、1,2−ビス(トリブチルスタニル)エチレン(化合物(5)−05)とから、trans−1,2−ビス(3−メチルチオ−7−フェニルナフト−2−イル)エチレン(化合物(6)−22)を得た。
収率63%;黄色固体(再結晶ヘキサン);
mp 87.8〜88.7℃;
1H NMR (400 MHz, CDCl
3) δ2.63 (s, 6H), 7.40 (tt, J = 7.4, 1.2 Hz, 2H), 7.48-7.52 (m, 4H), 7.68 (s, 2H), 7.73-7.76 (m, 4H), 7.72 (s, 2H), 7.72 (d, J = 8.2 Hz, 2H), 7.83 (d, J = 8.2 Hz, 2H), 8.08 (s, 2H), 8.17 (s, 2H); EI-MS, m/z = 524 (M
+); Anal. Calcd for C
34H
25S
2: C, 82.40; H, 5.38%. Found: C, 82.38; H, 5.22%.
【0179】
実施例29 trans−1,2−ビス(3−メチルチオ−6−フェニルナフト−2−イル)エチレン(化合物(6)−31)の合成
実施例26と同様の操作で3−メチルチオ−6−フェニル−2−(トリフルオロメタンスルホニルオキシ)ナフタレン(化合物(4)−73)と、1,2−ビス(トリブチルスタニル)エチレン(化合物(5)−05)とから、trans−1,2−ビス(3−メチルチオ−6−フェニルナフト−2−イル)エチレン(化合物(6)−31)を得た。
収率57%;黄色固体(再結晶ヘキサン);
mp 191.5〜192.4℃;
1H NMR (400 MHz, CDCl
3) δ2.64 (s, 6H), 7.40 (tt, J = 7.2, 1.6 Hz, 2H), 7.48-7.53 (m, 4H), 7.71 (s, 2H), 7.72 (s, 2H), 7.73-7.76 (m, 4H), 7.76 (d, J = 8.7 Hz, 2H), 7.94 (d, J = 8.7 Hz, 2H), 7.97 (s, 2H), 8.14 (s, 2H); EI-MS, m/z = 524 (M
+); Anal. Calcd for C
34H
25S
2: C, 82.40; H, 5.38%. Found: C, 82.22; H, 5.29%.
【0180】
実施例30 trans−1,2−ビス(6−トリル−3−メチルチオナフタレン−2−イル)エチレン(化合物(6)−32)の合成
実施例26と同様の操作で、6−トリル−3−メチルチオ−2−トリフルオロメタンスルフォニルオキシナフタレンの合成(化合物(4)−83,12.5g)から、trans−1,2−ビス(6−トリル−3−メチルチオナフタレン−2−イル)エチレン(化合物(6)−32,2.0g,収率24%)を淡黄色固体で得た。
EI-MS, m/z=552(M
+)
【0181】
実施例31 trans−1,2−ビス(7−トリル−3−メチルチオナフタレン−2−イル)エチレン(化合物(6)−23)の合成
実施例26と同様の操作で、7−トリル−3−メチルチオ−2−トリフルオロメタンスルフォニルオキシナフタレン(化合物(4)−82,8.50g)から、trans−1,2−ビス(7−トリル−3−メチルチオナフタレン−2−イル)エチレン(化合物(6)−23,3.64g,収率64%)を淡黄色固体で得た。
EI-MS, m/z=552(M
+)
【0182】
実施例32 trans−1,2−ビス(6−ビフェニル−3−メチルチオナフタレン−2−イル)エチレン(化合物(6)−33)の合成
実施例26と同様の操作で、6−ビフェニル−3−メチルチオ−2−トリフルオロメタンスルフォニルオキシナフタレン(化合物(4)−85,15.8g)から、trans−1,2−ビス(6−ビフェニル−3−メチルチオナフタレン−2−イル)エチレン(化合物(6)−33,8.52g,収率76%)を淡黄色固体で得た。
EI-MS, m/z=676(M
+)
【0183】
実施例33 trans−1,2−ビス(7−ビフェニル−3−メチルチオナフタレン−2−イル)エチレン(化合物(6)−24)の合成
実施例26と同様の操作で、7−ビフェニル−3−メチルチオ−2−トリフルオロメタンスルフォニルオキシナフタレン(化合物(4)−84,18.9g)から、trans−1,2−ビス(7−ビフェニル−3−メチルチオナフタレン−2−イル)エチレン(化合物(6)−24,11.56g,収率86%)を淡黄色固体で得た。
EI-MS, m/z=676(M
+)
【0184】
実施例34 trans−1,2−ビス(7−ブチル−3−メチルチオナフタレン−2−イル)エチレン(化合物(6)−04)の合成
実施例26と同様の操作で、7−ブチル−3−メチルチオ−2−トリフルオロメタンスルフォニルオキシナフタレン(化合物(4)−74,18.20g,47.6mmol)から、trans−1,2−ビス(7−ブチル−3−メチルチオナフタレン−2−イル)エチレン(化合物(6)−04)を淡黄色固体(5.32g,収率45%)で得た。
EI-MS, m/z=492(M
+)
【0185】
実施例35 trans−1,2−ビス(7−ヘキシル−3−メチルチオナフタレン−2−イル)エチレン(化合物(6)−08)の合成
実施例26と同様の操作で、7−ヘキシル−3−メチルチオ−2−トリフルオロメタンスルフォニルオキシナフタレン(化合物(4)−75,23.3g)から、trans−1,2−ビス(7−ヘキシル−3−メチルチオナフタレン−2−イル)エチレン(化合物(6)−08)を淡黄色固体(6.73g,収率43%)で得た。
EI-MS, m/z=540(M
+)
【0186】
実施例36 trans−1,2−ビス(7−オクチル−3−メチルチオナフタレン−2−イル)エチレン(化合物(6)−10)の合成
実施例26と同様の操作で、7−オクチル−3−メチルチオ−2−トリフルオロメタンスルフォニルオキシナフタレン(化合物(4)−76,25.00g)から、trans−1,2−ビス(7−オクチル−3−メチルチオナフタレン−2−イル)エチレン(化合物(6)−10)を淡黄色固体(7.46g,収率43%)で得た。
EI-MS, m/z=596(M
+)
【0187】
実施例37 trans−1,2−ビス(7−ドデシル−3−メチルチオナフタレン−2−イル)エチレン(化合物(6)−14)の合成
実施例26と同様の操作で、7−オクチル−3−メチルチオ−2−トリフルオロメタンスルフォニルオキシナフタレンの合成(化合物(4)−78,27.8g)から、trans−1,2−ビス(7−ドデシル−3−メチルチオナフタレン−2−イル)エチレン(化合物(6)−14)を淡黄色固体(8.08g,収率40%)で得た。
EI-MS, m/z=709(M
+)
【0188】
合成例14 2,9−ジデシルジナフト[2,3−b:2’,3’−f]チエノ[2,3−b]チオフェン(化合物(2)−64)の合成
【化28】
trans−1,2−ビス(6−デシル−3−メチルチオナフタレン−2−イル)エチレン(化合物(6)−64)(38mg,58mmol)とI
2(470mg,1.8mmol)とのクロロホルム(4ml)溶液を20時間室温で攪拌した。この混合物を濃縮し、メタノール(5ml)とNaHSO
3水溶液(5ml)とを加えた。ろ別してから、水、アセトン、メタノール、及びトルエンで洗浄し、2,9−ジデシルジナフト[2,3−b:2’,3’−f]チエノ[2,3−b]チオフェン(化合物(2)−64)(29mg,81%)を黄色固体として得た。
EIMS (70 eV) m/z = 620 (M
+).
【0189】
実施例38 3,10−ジデシルジナフト[2,3−b:2’,3’−f]チエノ[2,3−b]チオフェン(化合物(1)−12)の合成
合成例14と同様の方法で、trans−1,2−ビス(7−デシル−3−メチルチオナフタレン−2−イル)エチレン(化合物(6)−12)から、3,10−ジデシルジナフト[2,3−b:2’,3’−f]チエノ[2,3−b]チオフェン(化合物(1)−12)を得た。
収率71%;mp 187〜188℃;
1H NMR (400 MHz, CDCl
3) δ0.88 (t, J = 6.9 Hz, 6H), 1.24-1.79 (m, 32H), 2.82 (t, J = 7.7 Hz, 4H), 7.38 (dd, J = 8.5, 1.6 Hz, 2H), 7.79 (s, 2H), 7.86 (d, J = 8.5 Hz, 2H), 8.29 (s, 2H), 8.36 (s, 2H); EI-MS, m/z = 620 (M
+); Anal. Calcd for C
42H
52S
2: C, 81.46; H, 8.43%. Found: C, 81.13; H, 8.43%.
【0190】
実施例39 3,10−ジフェニルジナフト[2,3−b:2’,3’−f]チエノ[3,2−b]チオフェン(3,10−PhDNTT)(化合物(1)−22)の合成
合成例14と同様の方法で、trans−1,2−ビス(3−メチルチオ−7−フェニルナフト−2−イル)エチレン(化合物(6)−22)から、3,10−ジフェニルジナフト[2,3−b:2’,3’−f]チエノ[3,2−b]チオフェン(3,10−PhDNTT)(化合物(1)−22)を得た。
収率85%;mp>300℃;
EI−MS, m/z = 492 (M
+); Anal. Calcd for C
34H
20S
2: C, 82.89 H, 4.09%. Found: C, 82.80 H 3.78%.
【0191】
実施例40 2,9−ジフェニルジナフト[2,3−b:2’,3’−f]チエノ[3,2−b]チオフェン(2,9−PhDNTT)(化合物(1)−31)の合成
合成例14と同様の方法で、trans−1,2−ビス(3−メチルチオ−6−フェニルナフト−2−イル)エチレン(化合物(6)−31)から、2,9−ジフェニルジナフト[2,3−b:2’,3’−f]チエノ[3,2−b]チオフェン(2,9−PhDNTT)(化合物(1)−31)を得た。
収率89%;mp>300℃;
EI-MS, m/z = 492 (M
+); Anal. Calcd for C
34H
20S
2: C, 82.89 H, 4.09%. Found: C, 82.73 H, 3.75%.
【0192】
実施例41 2,9−ジトリルジナフト[2,3−b:2’,3’−f]チエノ[2,3−b]チオフェン(化合物(1)−32)の合成
合成例14と同様の方法で、trans−1,2−ビス(6−トリル−3−メチルチオナフタレン−2−イル)エチレンの合成(化合物(6)−32,2.0g)から、2,9−ジトリルジナフト[2,3−b:2’,3’−f]チエノ[2,3−b]チオフェン(化合物(1)−32)を黄色固体(1.78g,95%)で得た。
EI-MS, m/z=520(M
+),427,260(M+/2)。
熱分析(吸熱ピーク):492℃(TG−DTA使用、窒素)
【0193】
実施例42 3,10−ジトリルジナフト[2,3−b:2’,3’−f]チエノ[2,3−b]チオフェン(化合物(1)−23)の合成
合成例14と同様の方法で、trans−1,2−ビス(7−トリル−3−メチルチオナフタレン−2−イル)エチレン(化合物(6)−23,3.60g)から、3,10−ジトリルジナフト[2,3−b:2’,3’−f]チエノ[2,3−b]チオフェン(化合物(1)−23)を黄色固体(3.38g,定量的)で得た。
EI-MS, m/z=520(M
+),427,260(M+/2),172.
熱分析(吸熱ピーク):401℃(TG−DTA使用、窒素)
【0194】
実施例43 2,9−ジビフェニルジナフト[2,3−b:2’,3’−f]チエノ[2,3−b]チオフェン(化合物(1)−33)の合成
合成例14と同様の方法で、trans−1,2−ビス(6−ビフェニル−3−メチルチオナフタレン−2−イル)エチレンの合成(化合物(6)−33,8.40g)をヨウ素と反応させ、2,9−ジビフェニルジナフト[2,3−b:2’,3’−f]チエノ[2,3−b]チオフェン(化合物(1)−33)を黄色固体(7.76g,97%)で得た。
EI-MS, m/z=644(M
+),566,490,429,322(M+/2),207.
熱分析(吸熱ピーク)500℃まで明確なピークなし(TG−DTA使用、窒素)
【0195】
実施例44 3,10−ジビフェニルジナフト[2,3−b:2’,3’−f]チエノ[2,3−b]チオフェン(化合物(1)−24)の合成
合成例14と同様の方法で、trans−1,2−ビス(7−ビフェニル−3−メチルチオナフタレン−2−イル)エチレン(化合物(6)−24,11.50g)をヨウ素と反応させ、3,10−ジビフェニルジナフト[2,3−b:2’,3’−f]チエノ[2,3−b]チオフェン(化合物(1)−24)を黄色固体(10.32g,収率94%)で得た。
EI-MS, m/z=644(M
+),492,429,322(M+/2),270.
熱分析(吸熱ピーク):500℃まで明確なピークなし(TG−DTA使用、窒素)
【0196】
実施例45 3,10−ジブチルジナフト[2,3−b:2’,3’−f]チエノ[2,3−b]チオフェン(化合物(1)−04)の合成
合成例14と同様の方法で、trans−1,2−ビス(7−ブチル−3−メチルチオナフタレン−2−イル)エチレン(化合物(6)−04)をヨウ素と反応させ、3,10−ジブチルジナフト[2,3−b:2’,3’−f]チエノ[2,3−b]チオフェン(化合物(1)−04)を黄色固体(4.66g,定量的)で得た。
EI-MS, m/z=452(M
+),409,366,184,183.
熱分析(吸熱ピーク):185,283℃(DSC使用、窒素)
1H NMR (400 MHz, CDCl
3) δ0.98 (t, 6H), δ1.35〜1.50 (m, 4H), δ1.70-1.80 (m, 4H),δ2.80-2.90 (m, 4H) δ7.39 (dd, 2H, ArH) δ7.78 (s, 2H, ArH) δ7.84 (d, 2H, ArH) δ8.27 (s, 2H, ArH) δ8.34 (s, 2H, ArH) 。
【0197】
実施例46 3,10−ジヘキシルジナフト[2,3−b:2’,3’−f]チエノ[2,3−b]チオフェン(化合物(1)−08)の合成
合成例14と同様の方法で、trans−1,2−ビス(7−ヘキシル−3−メチルチオナフタレン−2−イル)エチレン(化合物(6)−08,6.50g)をヨウ素と反応させ、3,10−ジヘキシルジナフト[2,3−b:2’,3’−f]チエノ[2,3−b]チオフェン(化合物(1)−08)を黄色固体(3.18g,収率52%)で得た。
EI-MS, m/z=508(M
+),437,366,184,183
熱分析(吸熱ピーク):202,259℃(DSC使用、窒素)
1H NMR (400 MHz, CDCl
3) δ0.90 (t, 6H), δ1.20〜1.55 (m, 12H), δ1.70-1.80 (m, 4H), δ2.75-2.90 (m, 4H) δ7.39 (dd, 2H, ArH) δ7.78 (s, 2H, ArH) δ7.84 (d, 2H, ArH) δ8.27 (s, 2H, ArH) δ8.34 (s, 2H, ArH) 。
【0198】
実施例47 3,10−ジオクチルジナフト[2,3−b:2’,3’−f]チエノ[2,3−b]チオフェン(化合物(1)−10)の合成
合成例14と同様の方法で、trans−1,2−ビス(7−ヘキシル−3−メチルチオナフタレン−2−イル)エチレン(化合物(6)−10,7.20g,12.1mmol)をヨウ素と反応させ、3,10−ジオクチルジナフト[2,3−b:2’,3’−f]チエノ[2,3−b]チオフェン(化合物(1)−10)を黄色固体(3.50g,収率51%)で得た。
EI-MS, m/z=564(M
+),465,366,184,183
熱分析(吸熱ピーク):177,237℃(DSC使用、窒素)
1H NMR (400 MHz, CDCl
3) δ0.88 (m, 6H), δ1.10〜1.50 (m, 20H), δ1.60-1.85 (m, 4H), δ2.70-2.90 (m, 4H) δ7.36 (m, 2H, ArH) δ7.77 (s, 2H, ArH) δ7.83 (d, 2H, ArH) δ8.26 (s, 2H, ArH) δ8.30 (s, 2H, ArH) 。
【0199】
実施例48 3,10−ジドデシルジナフト[2,3−b:2’,3’−f]チエノ[2,3−b]チオフェン(化合物(1)−14)の合成
合成例14と同様の方法で、trans−1,2−ビス(7−ドデシル−3−メチルチオナフタレン−2−イル)エチレン(化合物(6)−14,7.80,11mmol)をヨウ素と反応させ、3,10−ジドデシルジナフト[2,3−b:2’,3’−f]チエノ[2,3−b]チオフェン(化合物(1)−14)を黄色固体(6.26g,収率84%)で得た。
EI-MS, m/z=677(M
+),521,366,184,183
熱分析(吸熱ピーク):100,123,158,212℃(DSC使用、窒素)
1H NMR (400 MHz, CDCl
3) δ0.80-0.90 (m, 6H), δ1.20〜1.60 (m, 36H), δ1.70-1.85 (m, 4H), δ2.80-2.90 (m, 4H) δ7.36 (dd, 2H, ArH) δ7.80 (s, 2H, ArH) δ7.83 (d, 2H, ArH) δ8.26 (s, 2H, ArH) δ8.34 (s, 2H, ArH) 。
【0200】
以上のように、新規な合成法が開発されることで、様々な位置に置換基を有する極めて高性能な有機半導体である各種DNTT誘導体(1)、(2)の合成を可能にすることができた。特に、半導体として優れた特性を示す、化合物(1)の合成は、本発明において初めて成功した。
【0201】
次に化合物(1)の新規複素環式化合物及び該化合物からなる半導体層を有する電界効果トランジスタ、及び本発明によって合成した化合物(2)からなる半導体層を有する電界効果トランジスタについて詳細に説明する。
【0202】
実施例49(トップコンタクト型電界効果トランジスタの作製)
オクタデシルトリクロロシラン処理を行った300nmのSiO
2熱酸化膜付きnドープシリコンウェハー(面抵抗0.02Ω・cm以下)を真空蒸着装置内に設置し、装置内の真空度が5.0×10
−3Pa以下になるまで排気した。抵抗加熱蒸着法によって、この電極に基板温度約60℃の条件下、化合物(1)−12、(1)−22及び(1)−31をそれぞれ50nmの厚さに蒸着し、半導体層(2)を形成した。次いでこの基板に電極作製用シャドウマスクを取り付け、真空蒸着装置内に設置し、装置内の真空度が1.0×10
−4Pa以下になるまで排気し、抵抗加熱蒸着法によって、金の電極、すなわちソース電極(1)及びドレイン電極(3)を40nmの厚さに蒸着し、TC(トップコンタクト)型である本発明の電界効果トランジスタを得た。
【0203】
なお、電界効果トランジスタにおいては、熱酸化膜付きnドープシリコンウェハーにおける熱酸化膜が絶縁体層(4)の機能を有し、nドープシリコンウェハーが基板(6)及びゲート電極(5)の機能を兼ね備えている(
図3参照)。
得られた電界効果トランジスタをプローバー内に設置し半導体パラメーターアナライザー4155C(Agilent社製)を用いて半導体特性を測定した。半導体特性はゲート電圧を10V〜−100Vまで20Vステップで走査し、またドレイン電圧を10V〜−100Vまで走査し、ドレイン電流−ドレイン電圧を測定した。その結果、電流飽和が観測され、得られた電圧電流曲線より、本素子はp型半導体を示し、算出したキャリア移動度を表7に示した。
【0204】
比較例1
実施例49で用いた本願実施化合物の代わりにDNTT(Ref−01)、3,10−DM−DNTT(Ref−02;(1)におけるR
1がメチル基の化合物)及び2,9−DM−DNTT(Ref−03;(1)におけるR
2がメチル基の化合物)を用いて、実施例49と同様の操作により、TC型の電界効果トランジスタを得た。使用した化合物、及びその結果を表7に示した。
【0205】
【化29】
【0206】
【表7】
【0207】
Ref−02,Ref−03のアルキル鎖が短いDNTTでは、母核のDNTT(Ref−01)以下の特性しか示さなかった。しかしながら、本発明の化合物(1)を用いた場合ではその特性は通常の有機物を半導体として蒸着法を用いた電界効果トランジスタとしては非常に高かった。工業的には実現性の低い、単結晶を用いた電界効果トランジスタの移動度に匹敵するレベルであり、工業的な適性のある真空蒸着法で非常に高い移動度が得られた。本願の電界効果トランジスタは高性能であるため使用できるアプリケーションの幅が拡がるなど工業的な価値が非常に高くなった。
【0208】
実施例50
実施例38から実施例48で合成した本願化合物及び比較例1のRef−01化合物、化合物(2)−64を用いて、HMDS−SAMにより処理基板を用いて蒸着時基板温度を25℃及び100℃,L=50μm,W=2000μmとした以外は実施例49と同様の操作にてTC型の電界効果トランジスタを作製した。得られたトランジスタの半導体特性を実施例49に倣って測定し、算出したキャリア移動度を表8に示した。これらの結果から本願化合物はいずれもp型半導体材料としての高い性能を示すことがわかった。
【表8】
実施例51
実施例39で合成した化合物(1)−22及び合成例14で合成した化合物(2)−64を用いて、HMDS−SAMにより処理基板を用いて蒸着時基板温度100℃,L=40μm,W=1500μmとした以外は実施例49と同様の操作により、TC型の電界効果トランジスタを作製し、耐熱性試験を行った。測定結果を表9に示した。初期特性(μ=1.66cm
2/Vs,Vth=−14V,Ion/off〜10
9)と比較して、100℃、および150℃でのアニール後でも移動度は、〜1.6cm
2/Vsであり、初期値とほぼ同程度を維持し、Vthは、低電位側にシフトするなど特性が向上していた。それに対して、化合物(2)−64では120℃程度で移動度が半減した。これらの実験から、本発明である化合物(1)−22などのアリール基が置換する化合物では、高い熱的安定性をもち、工業的プロセスにも耐え得るトランジスタを実現することが可能であることが確認できた。
【0209】
【表9】
【0210】
実施例52
2,9位にC10アルキル基を有するDNTT(化合物(2)−64)や3,10位にC10アルキル基を有するDNTT(化合物(1)−12)等をクロロホルムに溶解して得られる飽和溶液の吸収スペクトルを
図4に示す。C10の長鎖アルキル基を有するDNTTは置換位置による最長吸収波長における相対強度から、2,9−C10−DNTT(化合物(2)−64)を1とした場合、結果より、3,10−C10−DNTT(化合物(1)−12)は3.9であり、置換位置の違いにより高い溶解性を示すことが判明した。また、トルエン中、60℃での溶解度は、2,9−C10−DNTT(化合物(2)−64)は45mg/L、3,10−C10−DNTT(化合物(1)−09)は>260mg/Lとなり、加温状態においても、3,10−C10−DNTT(化合物(1)−12)の溶解性の高さが明確に認められた(表10)。
【0211】
【表10】
【0212】
また、
図4よりDNTTを1とした場合、Ref−02およびRef−03のアルキル鎖が短いDNTTの溶解度比は、それぞれ0.1および0.5であり、母核のDNTT(Ref−01、この化合物はほとんどの溶剤に溶解しない)と同様にほとんどの溶剤に溶解しない。2,9位にアルキル置換された化合物(2)−64よりも、3,10位にアルキル置換された化合物(1)−12の方がいずれの場合も溶剤溶解性が高く、溶液プロセスを考えると、3,10位に置換された化合物の方がさらに優れていることがわかった。すなわち、この優れた溶解性を利用すれば、実用的な半導体デバイス作製用インクの作製や作製したインクを塗布することによって電界効果トランジスタを製造することが可能となる。
【0213】
実施例53
オクタデシルトリクロロシラン処理を行った300nmのSiO
2熱酸化膜付きnドープシリコンウェハー(面抵抗0.02Ω・cm以下)を真空蒸着装置内に設置し、装置内の真空度が5.0×10
−3Pa以下になるまで排気した。抵抗加熱蒸着法によって、この電極に基板温度約100℃の条件下、化合物(1)−12、2−(64)をそれぞれ50nmの厚さに蒸着し、半導体層(2)を形成した。次いでこの基板にチャネル長Lが40μm又は190μmである電極作製用シャドウマスク(チャンネル幅は1500μm)を取り付け、真空蒸着装置内に設置し、装置内の真空度が1.0×10
−4Pa以下になるまで排気し、抵抗加熱蒸着法によって、金の電極、すなわちソース電極(1)及びドレイン電極(3)を40nmの厚さに蒸着し、TC(トップコンタクト)型である本発明の電界効果トランジスタを得た。実施例49と同様にしてこれらの半導体特性を測定した結果を表11に纏めた。3,10位に置換した化合物(1)−12はL=40μmとL=190μmの場合とを比較して、移動度がほとんど低下せず、チャネル長依存性が少ないことを示した。一方で2,9位に置換した化合物(2)−64はL=190μmの時は移動度6.1cm2/Vsのトランジスタを与えるが、チャネル長依存性が顕著であり、L=40μmで移動度が半減以下となった。
【表11】
【0214】
デバイスを作製するときには更なる短チャネル化が要求されることも想定され、その際も移動度の低下等特性の低下を抑える必要があるが、この結果により、チャネル長依存性の低い3,10置換のDNTTを用いることによって、実際のデバイスでも耐え得る電界効果トランジスタの製造が可能になることが分った。
【0215】
以上より、本発明の化合物(1)のR
1がそれぞれ独立にC2−C16アルキル基を表す時、R
2は水素原子である、化合物(3,10−アルキル置換DNTT)は、2,9−アルキル置換DNTTよりも、溶解性が向上していることが明らかとなった。また、R
1、R
2少なくともいずれか一方がアリール基であれば、それが置換していないDNTTと比べて、大幅に耐熱性が向上しており、有機半導体としての特性が格段に向上していることがわかった。このように本発明により、優れた特性を持つ有機電界効果トランジスタが得られ、実用的なキャリア移動度を示す素子を作製することが出来た。これにより様々なデバイス作製プロセスに対して適応性を有し、使用できるプロセスやアプリケーションの幅が拡がるなど工業的な価値が高いことが明らかとなった。