特許第5674916号(P5674916)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5674916新規複素環式化合物及びその中間体の製造方法並びにその用途
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5674916
(24)【登録日】2015年1月9日
(45)【発行日】2015年2月25日
(54)【発明の名称】新規複素環式化合物及びその中間体の製造方法並びにその用途
(51)【国際特許分類】
   C07D 495/04 20060101AFI20150205BHJP
   H01L 51/05 20060101ALI20150205BHJP
   H01L 51/30 20060101ALI20150205BHJP
   H01L 51/40 20060101ALI20150205BHJP
   H01L 29/786 20060101ALI20150205BHJP
   H01L 21/336 20060101ALI20150205BHJP
   C07C 323/21 20060101ALI20150205BHJP
   C07C 319/14 20060101ALI20150205BHJP
   C07C 321/28 20060101ALI20150205BHJP
   C07C 319/20 20060101ALI20150205BHJP
【FI】
   C07D495/04 101
   C07D495/04CSP
   H01L29/28 100A
   H01L29/28 250H
   H01L29/28 310J
   H01L29/78 618B
   H01L29/78 618A
   C07C323/21
   C07C319/14
   C07C321/28
   C07C319/20
【請求項の数】16
【全頁数】57
(21)【出願番号】特願2013-501145(P2013-501145)
(86)(22)【出願日】2012年2月24日
(86)【国際出願番号】JP2012054604
(87)【国際公開番号】WO2012115236
(87)【国際公開日】20120830
【審査請求日】2014年11月14日
(31)【優先権主張番号】特願2011-39403(P2011-39403)
(32)【優先日】2011年2月25日
(33)【優先権主張国】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000004086
【氏名又は名称】日本化薬株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】特許業務法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】瀧宮 和男
(72)【発明者】
【氏名】新見 一樹
(72)【発明者】
【氏名】桑原 博一
(72)【発明者】
【氏名】貞光 雄一
(72)【発明者】
【氏名】狩野 英成
【審査官】 三上 晶子
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2008/050726(WO,A1)
【文献】 国際公開第2010/098372(WO,A1)
【文献】 国際公開第2008/047896(WO,A1)
【文献】 特開2009−54809(JP,A)
【文献】 Richard A.H. et al.,Palladium(0) catalyzed coupling of trans-1,2-Bis(tri-n-butylstannyl)ethylene with aromatic halides:,Tetrahedron Letters,1988年,Vol.29, No.23,pp.2783-2786
【文献】 AGGARWAL,V.K. et al,Developments in the Simmons-Smith-mediated epoxidation reaction,European Journal of Organic Chemistry,2002年,No.2,pp.319-326
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07D493/00−497/22
C07C 1/00−409/44
C07B 31/00− 61/00
H01L 21/336
H01L 29/786
H01L 51/05
H01L 51/30
H01L 51/40
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記式(1)で表される複素環式化合物。
【化1】

(式中、Rがそれぞれ独立にアリール基を表すとき、Rそれぞれ独立に水素原子又はアリール基を表し、Rが水素原子を表すとき、Rはそれぞれ独立にアリール基を表す。)
【請求項2】
式(1)においてRがそれぞれ独立にフェニル、ナフチル、及びビフェニルのいずれかの骨格を有するアリール基であり、かつRが水素原子である請求項1に記載の複素環式化合物。
【請求項3】
式(1)においてRが水素原子であり、かつRがそれぞれ独立にフェニル、ナフチル、及びビフェニルのいずれかの骨格を有するアリール基である請求項1に記載の複素環式化合物。
【請求項4】
式(1)においてRがそれぞれ独立に、フェニル基、4−アルキルフェニル基、1−ナフチル基、及びビフェニル基から選ばれるアリール基であり、かつRが水素原子である請求項に記載の複素環式化合物。
【請求項5】
式(1)においてRが水素原子であり、かつRがそれぞれ独立に、フェニル基、4−アルキルフェニル基、1−ナフチル基、及びビフェニル基から選ばれるアリール基である請求項に記載の複素環式化合物。
【請求項6】
式(2)で表される複素環式化合物の製造における式(4)で表される中間体化合物の製造方法であって、式(3)で表される化合物とジメチルジスルフィドとを反応させることを含む、中間体化合物(4)の製造方法。
【化2】

(式中、Rは置換基を表す。)
【化3】

(式中、R、Rは置換基を表す。)
【請求項7】
式(2)で表される複素環式化合物の製造における式(6)で表される中間体化合物の製造方法であって、式(4)で表される化合物と式(5)で表されるスズ化合物とを反応させることを含む、中間体化合物(6)の製造方法。
【化4】

【化5】

(式中、R、R、Rは置換基を表す。)
【請求項8】
請求項1乃至のいずれか一項に記載の式(1)で表される複素環式化合物を一種又は複数種含む有機半導体材料。
【請求項9】
請求項1乃至のいずれか一項に記載の式(1)で表される複素環式化合物を一種又は複数種含有する半導体デバイス作製用インク。
【請求項10】
請求項1乃至のいずれか一項に記載の式(1)で表される複素環式化合物の一種又は複数種を含む有機薄膜。
【請求項11】
請求項10に記載の有機薄膜が蒸着法により形成される有機薄膜の製造方法。
【請求項12】
請求項10に記載の有機薄膜が請求項に記載の半導体デバイス作製用インクを塗布することによって形成される有機薄膜の製造方法。
【請求項13】
請求項10に記載の有機薄膜を有する電界効果トランジスタ。
【請求項14】
ボトムコンタクト型である請求項13に記載の電界効果トランジスタ。
【請求項15】
トップコンタクト型である請求項13に記載の電界効果トランジスタ。
【請求項16】
請求項1乃至のいずれか一項に記載の式(1)で表される複素環式化合物の一種又は複数種からなる有機薄膜を請求項11又は請求項12に記載の方法によって基板上に形成する工程を含む電界効果トランジスタの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規な複素環式化合物とその合成を可能とした中間体の新規製造方法並びにその用途に関する。更に詳しくは、本発明は有機半導体等として利用可能である新規な[1]ベンゾチエノ[3,2−b][1]ベンゾチオフェン誘導体とその合成を可能とした中間体の効果的な製造方法に関する。また、当該化合物を利用した、電界効果トランジスタに関する。
【背景技術】
【0002】
電界効果トランジスタは、一般に、基板上に半導体層(半導体膜)、ソース電極、ドレイン電極、及びこれらの電極に対して絶縁体層を介在させて設けられるゲート電極等を有する素子であり、論理回路素子として集積回路に使用されるほか、スイッチング素子などにも幅広く用いられている。上記半導体層は、通常の場合、半導体材料により形成される。現在、電界効果トランジスタには、シリコンを中心とする無機系の半導体材料が使われており、特にアモルファスシリコンを用いて、ガラスなどの基板上に半導体層が作製された薄膜トランジスタがディスプレイ等に利用されている。このような無機系の半導体材料を用いた場合、電界効果トランジスタの製造時に高温や真空で処理する必要があり、高額な設備投資や、製造に多くのエネルギーを要するため、製造コストが非常に高いものとなる。また、これらにおいては電界効果トランジスタの製造時に高温に曝されるために、基板としてフィルムやプラスチックのような耐熱性が十分でない材料を利用する事が難しい。このため、例えば折り曲げること等が可能な柔軟性を有する素材を基板として利用することが困難なため、その応用範囲は制限されている。
【0003】
一方で、有機の半導体材料を用いた電界効果トランジスタの研究、開発が盛んに行われている。有機材料を用いることにより、高温での処理を必要としない低温プロセスでの製造が可能になり、用い得る基板材料の範囲が拡大される。
その結果、近年では、従来以上にフレキシブルであり、且つ軽量で壊れにくい電界効果トランジスタの作製が実現可能になってきている。また電界効果トランジスタの作製工程において、半導体材料を溶解した溶液の塗布、インクジェットなどによる印刷等の手法が採用できる場合もあるため、大面積の電界効果トランジスタを低コストで製造できる可能性がある。また有機の半導体材料用の化合物としては、様々なものが選択可能であり、その特性を活かしたこれまでに無い機能の発現が期待されている。
【0004】
有機化合物を半導体材料として用いる例は、これまで各種の検討がなされており、例えばペンタセン、チオフェン又はこれらのオリゴマーやポリマーを利用したものが正孔輸送特性を有する材料としてすでに知られている(特許文献1及び特許文献2参照)。ペンタセンは5個のベンゼン環が直線状に縮合したアセン系の芳香族炭化水素であり、これを半導体材料として用いた電界効果トランジスタは、現在実用化されているアモルファスシリコンに匹敵する電荷の移動度(キャリア移動度)を示すことが報告されている。しかしペンタセンを用いた電界効果トランジスタは、環境による劣化が起こり、安定性に問題がある。またチオフェン系の化合物を用いた場合においても同様の問題点があり、いずれも実用性の高い材料とは言いがたいのが現状である。近年では、大気中において安定でかつ高いキャリア移動度を示すジナフト[2,3−b:2’,3’−f]チエノ[3,2−b]チオフェン(DNTT)などが開発され注目を浴びるようになってきた(特許文献3及び非特許文献1参照)。しかし、これらの化合物でも有機ELなどのディスプレイのアプリケーションに用いるためには更に高いキャリア移動度が必要であり、耐久性の観点からも高品質・高性能な有機半導体材料の開発が求められている。
【0005】
置換基を有するDNTT誘導体の先行文献として特許文献3、4及び特許文献5が挙げられるが、具体例として挙げられる置換基としてはメチル基、ヘキシル基、アルコキシル基、置換エチニル基が挙げられているが、実施例として挙げられるのは、DNTT誘導体の置換基として、メチル基と置換エチニル基しかなく、いずれも置換基のないDNTTと同等又はそれ以下の半導体特性しか示していない。
【0006】
その後、構造式1のジナフト[2,3−b:2’,3’−f]チエノ[3,2−b]チオフェン(Alkyl DNTT,式中、AlkylはC5〜C16のアルキル基を表す。)が、上記の点で従来の有機半導体材料と比較して優れた特性を有することが特許文献6に記載されている。この化合物を用いた電界効果トランジスタ素子は、素子作製時の基板や絶縁膜の状態に影響されることなく(又は基板処理の有無にかかわらず)、半導体特性が非常に向上し、更に素子作製時に熱処理を行うことでその効果が顕著に上がることが示されている。
【0007】
【化1】
【0008】
以上のようにこれらの有機半導体として有益なDNTT誘導体の開発が行われてきていたが、これまでの製造法には、特にチエノチオフェン構造部分の構築法に制約があり、2,9−位以外の位置に選択的に置換基を有するDNTTを製造することは困難であったため、DNTTの誘導体の開発が遅れていた。DNTT誘導体の製造方法としては、主に3つの方法がすでに知られているので下記する。
【0009】
1つ目の方法は、チエノチオフェン構造をはじめから有しているテトラブロモチエノチオフェンを出発物質として構築していく方法である(特許文献5)。ただ、この製造法では無置換のベンズアルデヒドであれば問題ないが置換基を有するベンズアルデヒドを用いると、得られるDNTT誘導体は種々の位置に置換基を有する混合物となってしまうという欠点がある。
【0010】
【化2】
【0011】
2つ目の方法は、エチレン誘導体から製造する方法であり、大部分のDNTT誘導体はこの方法により合成されてきた(非特許文献1、特許文献3、特許文献6、特許文献7、特許文献8)。
【0012】
例えば、特許文献6は、特許文献3及び非特許文献1に開示された公知の方法である2−アルキル−6−ナフトアルデヒド(A)から2−アルキル−7−メチルチオ−6−ナフトアルデヒド(B)を得、これを縮合することで1,2−ビス(2−アルキル−7−メチルチオ−6−ナフチル)エチレン(C)を得ることを開示している。また、さらに閉環することにより目的化合物である2,9−ジアルキルジナフト[2,3−b:2’,3’−f]チエノ[3,2−b]チオフェン(2,9−ジアルキルDNTT)を得ることが可能であることを開示している。
【0013】
つまり、特許文献6は、化合物(A)にジメチルスルフィドを反応させることにより化合物(B)を得、マクマリーカップリングにより縮合物(C)を得ているのである。さらにクロロホルム中、縮合物(C)とヨウ素を用いて閉環反応を行うことで目的物であるDNTT誘導体を得ているのである。しかも、1例目とは違い、目的の位置に置換基を有するDNTT誘導体のみを得ることができる製造方法である。
【0014】
【化3】
【0015】
ただ、この合成ルートの欠点として、化合物(A)のSMe化反応の選択性が60%程度、すなわちナフタレンの7位に目的通りのSMe化が60%程度しか起こらず、残り約30%については、5位にSMe化が進行し、原料回収がおよそ10%となってしまい、結果として、化合物(B)の単離と精製が極めて難しくなってしまうことが挙げられる。
そのようなことから、Alkyl置換の化合物(B)は、工業的に安価な方法である再結晶などでは単離できず、高価な設備投資等が伴う吸着剤(シリカゲルなど)を用いたカラム精製が必要であり、安価に製造できないという欠点があった。しかもこの置換基がアリール基の場合は単離がさらに難しく、製造が困難であった。また、反応式(2)の反応では、原料の制約上、3,10位に置換基を有するDNTTを製造することはできなかった。このような問題点があるにもかかわらず、化合物(C)を効率良く生成するためには、従来は化合物(B)を原料とする方法を選択しなければならなかった。
【0016】
このようにDNTT誘導体の開発では重要な化合物(C)ではあるが、その原料である化合物(B)の合成と単離を工業的に安価に行なうことが難しいことがわかっており、このことが置換基を有するDNTTの開発の遅れの原因となっていた。そのため、化合物(C)を与える中間体化合物の開発が進めば、それに伴い、置換基を有すDNTTの誘導体の開発が大いに進むことが容易に推測できるため、そのような中間体製造方法の開発が必要とされていた。
【0017】
3つ目の方法としては、アセチレン誘導体(E)からの古典的な合成法が挙げられる(特許文献7)。この合成方法の場合、原料のBr体(D)の工業的な製法が未だ確立出来ているとは言えず、そのためアセチレン誘導体(E)の合成が困難となっていたのが問題であった(特許文献7、特許文献9)。また、アセチレン誘導体のヨウ素での環化反応は、一般的に収率が低い(特許文献7では収率10%〜40%程度)のも問題であった。
【0018】
【化4】
【先行技術文献】
【特許文献】
【0019】
【特許文献1】特開2001−94107号公報
【特許文献2】特開平6−177380号公報
【特許文献3】WO2008/050726公報
【特許文献4】特開2008−10541号公報
【特許文献5】KR2008100982公報
【特許文献6】WO2010/098372公報
【特許文献7】特開2009−196975号公報
【特許文献8】WO2009/009790公報
【特許文献9】特開2010−258214号公報
【非特許文献】
【0020】
【非特許文献1】J.Am.Chem.Soc.,Vol.129,2224−2225(2007)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0021】
本発明は優れたキャリア移動度を示す実用的な半導体としての特性を有する、新規複素環式化合物とその合成を可能とする中間体の新規製造方法、該化合物からなる半導体材料、並びに該化合物により形成された有機半導体薄膜を有する電界効果トランジスタ及びその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0022】
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討の結果、新規複素環式化合物とその合成を可能とする中間体の新規製造方法の開発に成功し、当該新規複素環式化合物が優れたキャリア移動度を示す実用的な半導体としての特性を有することを見出し、該化合物からなる半導体材料、並びに該化合物により形成された有機半導体薄膜を有する電界効果トランジスタ及びその製造方法を提供することが可能となり、本発明を完成させるに至った。
【0023】
即ち、本発明は、その一つの態様において、
[1] 下記式(1)で表される複素環式化合物。
【化5】

(式中、R及びRは水素原子、C2−C16アルキル基、又はアリール基のいずれかを表すが、Rがそれぞれ独立にC2−C16アルキル基又はアリール基を表すとき、Rは水素原子又はそれぞれ独立にアリール基を表し、Rが水素原子を表すとき、Rはそれぞれ独立にアリール基を表す。)
[2] 式(1)においてRがそれぞれ独立に直鎖のC5−C12アルキル基であり、Rは水素原子である[1]に記載の複素環式化合物。
[3] 式(1)においてRがそれぞれ独立にフェニル、ナフチル、ビフェニルのいずれかの骨格を有するアリール基であり、かつRが水素原子である[1]に記載の複素環式化合物。
[4] 式(1)においてRが水素原子であり、かつRがそれぞれ独立にフェニル、ナフチル、ビフェニルのいずれかの骨格を有するアリール基である[1]に記載の複素環式化合物。
[5] 式(1)においてRがそれぞれ独立に、フェニル基、4−アルキルフェニル基、1−ナフチル基、及びビフェニル基から選ばれるアリール基であり、かつRが水素原子である[3]に記載の複素環式化合物。
[6] 式(1)においてRが水素原子であり、かつRがそれぞれ独立に、フェニル基、4−アルキルフェニル基、1−ナフチル基、及びビフェニル基から選ばれるアリール基である[4]に記載の複素環式化合物。
[7] 式(2)で表される複素環式化合物の製造における式(4)で表される中間体化合物の製造方法であって、式(3)で表される化合物とジメチルジスルフィドとを反応させることを含む、中間体化合物(4)の製造方法。
【化6】

(式中、Rは置換基を表す。)
【化7】

(式中、R、Rは置換基を表す)。
[8] 式(2)で表される複素環式化合物の製造における式(6)で表される中間体化合物の製造方法であって、式(4)で表される化合物と式(5)で表わされるスズ化合物とを反応させることを含む、中間体化合物(6)の製造方法。
【化8】

【化9】

(式中、R、R、Rは置換基を表す。)
[9] [1]乃至[6]のいずれかに記載の式(1)で表される複素環式化合物を一種又は複数種含む有機半導体材料。
[10] [1]乃至[6]のいずれかに記載の式(1)で表される複素環式化合物を一種又は複数種含有する半導体デバイス作製用インク。
[11] [1]乃至[6]のいずれかに記載の式(1)で表される複素環式化合物の一種又は複数種を含む有機薄膜。
[12] [11]に記載の有機薄膜が蒸着法により形成される有機薄膜の製造方法。
[13] [11]に記載の有機薄膜が[10]に記載の半導体デバイス作製用インクを塗布することによって形成される有機薄膜の製造方法。
[14] [11]に記載の有機薄膜を有する電界効果トランジスタ。
[15] ボトムコンタクト型である[14]に記載の電界効果トランジスタ。
[16] トップコンタクト型である[14]に記載の電界効果トランジスタ。
[17] [1]乃至[6]のいずれかに記載の式(1)で表される複素環式化合物の一種又は複数種からなる有機薄膜を[12]又は[13]に記載の方法によって基板上に形成する工程を含む電界効果トランジスタの製造方法。
に関する。
【発明の効果】
【0024】
式(1)に示した新規な複素環化合物からなる有機薄膜を半導体層とする電界効果トランジスタは従来の有機半導体材料からなるものと比較して高いキャリア移動度や高耐久性など優れた半導体特性を有する電界効果トランジスタを提供することができる。更に、これらの化合物の工業的な製造を可能とするキー中間体の新規製造方法は高選択性の反応であり、今まで得ることができなかった2,9位にアリール基を有するDNTTや3,10位に置換基を有するDNTTも製造することができるようになり、工業的に利用可能な製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1図1は、本発明の電界効果トランジスタの一態様を示す概略図である。
図2図2は、本発明の電界効果トランジスタの一態様を製造する為の工程の概略図である。
図3図3は、比較例1で得られた本発明の電界効果トランジスタの概略図である。
図4】各DNTTのクロロホルム溶液の光吸収スペクトルである。
【発明を実施するための形態】
【0026】
本発明を詳細に説明する。本発明は特定の有機化合物を半導体材料として用いた有機系電界効果トランジスタに関し、半導体材料として前記式(1)で表される化合物を使用し、半導体層を形成したものである。そこでまず上記式(1)の化合物について説明する。
【0027】
式(1)中、R及びRは水素原子、C2−C16アルキル基、又はアリール基のいずれかを表すが、Rがそれぞれ独立にC2−C16アルキル基又はアリール基を表す時は、Rは水素原子又はそれぞれ独立にアリール基を表し、Rが水素原子の時は、Rはそれぞれ独立にアリール基を表す。
【0028】
のアルキル基としては直鎖、分岐鎖又は環状のアルキル基が挙げられ、通常その炭素数は2〜16であり、好ましくは4〜14であり、より好ましくは6〜12である。
ここで、直鎖アルキル基の具体例としては、エチル、n−プロピル、n−ブチル、n−ペンチル、n−ヘキシル、n−ヘプチル、n−オクチル、n−ノニル、n−デシル、n−ウンデシル、n−ドデシル、n−トリデシル、n−テトラデシル、n−ペンタデシル、n−ヘキサデシル等が挙げられる。
分岐鎖アルキル基の具体例としては、i−プロピル、i−ブチル、i−ペンチル、i−ヘキシル、i−デシル等のC3−C16の飽和分鎖アルキル基が挙げられる。
環状アルキル基の具体例としては、シクロヘキシル、シクロペンチル、アダマンチル、ノルボルニル等のC5−C16のシクロアルキル基が挙げられる。
C2−C16アルキル基としては不飽和より飽和アルキル基が好ましく、置換基を有するものより無置換のものが好ましい。中でも好ましくはC4−C14の飽和直鎖アルキル基、より好ましくはC6−C12の飽和直鎖アルキル基、更に好ましくはn−ヘキシル、n−オクチル、n−デシル、n−ドデシル基である。
【0029】
及びRのアリール基としては、フェニル基、ビフェニル基、ピレン基、2−メチルフェニル基、3−メチルフェニル基、4−メチルフェニル基、4−ブチルフェニル基、4−ヘキシルフェニル基、4−オクチルフェニル基、4−デシルフェニル基、キシリル基、メシチル基、クメニル基、ベンジル基、フェニルエチル基、α−メチルベンジル基、トリフェニルメチル基、スチリル基、シンナミル基、ビフェニリル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基、アンスリル基、フェナンスリル基等の芳香族炭化水素基、2−チエニル基等の複素環基を表し、これらの基は置換基を有していてもよく、同一又は異なっていてもよい。
好ましくは、フェニル、ナフチル、ビフェニル骨格を有するアリール基であり、より好ましくはフェニル基、4−メチルフェニル基、4−ヘキシルフェニル基、4−オクチルフェニル基、4−デシルフェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基、ビフェニル基である。
【0030】
がいずれもC2−C16アルキル基又はアリール基を表す時、Rは水素原子又はそれぞれ独立にアリール基を表し、Rが水素原子の時、Rはそれぞれ独立にアリール基を表す。R、Rは、それぞれ同一であっても異なっていてもよいが、R、Rはそれぞれ独立に同一である場合がより好ましい。これは、Rは左右同じ、Rは左右同じであることが好ましいが、R、Rが同じである必要はないことを意味する。
【0031】
式(1)で表される化合物は、後述する式(2)を製造する方法によって合成することができる。
【0032】
式(1)で表される化合物の精製方法は、特に限定されず、再結晶、カラムグロマトグラフィー、及び真空昇華精製等の公知の方法が採用できる。また必要に応じてこれらの方法を組み合わせることができる。
【0033】
表1に式(1)で示される化合物の具体例を示す。nはノルマル、iはイソ、sはセカンダリー、tはターシャル、cyはシクロを表す。また、Phはフェニル基、Tolylはトリル基、PhPhはビフェニル基、Napはナフチル基、2−チエニルは2−チオフェン基を表す。なお、空白は水素を表す。
【0034】
【化10】
【0035】
【表1】
【0036】
以下、本発明の化合物の製造方法について詳細に述べる。本発明の化合物の製造方法は新規な製造方法であり、この製造方法は新規な化合物である式(1)の化合物だけではなく、Rが水素原子であり、Rがアルキル基((C2−C16)アルキル基等)であるDNTTのような公知のDNTTも非常に高収率で製造することができる。本発明の反応式は次の通りである。以下、反応式(4)、(5)、(6)を順に説明する。
【化11】
【0037】
まず、化合物(2)の出発物質である化合物(3)、及び反応式(4)の生成物である化合物(4)について説明する。
【0038】
化合物(3)及び化合物(4)において、Rは置換基を表すが、置換基としては水素原子、アルキル基、アリール基、エーテル基、チオエーテル基、エステル基、アシル基、アミノ基、シアノ基、ニトロ基などが挙げられ、これらの基は置換基を有していてもよく、同一でも異なっていてもよい。
【0039】
ここで、Rにおけるアルキル基とは、直鎖、分岐鎖又は環状のC1〜C16のアルキル基であり、アリール基は化合物(1)のR及びRのアリール基と同じ意味である。
【0040】
エーテル基とは、酸素原子と結合する炭素数1〜16のアルキル基を有するアルコキシ基、又は酸素原子と結合するアリール基(アリールオキシ基)である。
【0041】
チオエーテル基とは、硫黄原子と結合する炭素数1〜16のアルキル基を有するチオアルコキシ基、又は硫黄原子と結合するアリール基(アリールチオ基)である。
【0042】
として、好ましくはC1−C16の飽和直鎖アルキル基、及びフェニル、ナフチル、ビフェニル骨格を有するアリール基である。より好ましくはC4−C14の飽和直鎖アルキル基、フェニル基、4−メチルフェニル基、ビフェニル基である。
【0043】
化合物(3)及び化合物(4)において、Rは、水素原子;アルキル基;アリール基;アルキルSO基;アリールSO基;1つ以上の水素原子がフッ素原子に置換したアルキル基、アリール基、アルキルSO基又はアリールSO基;を表す。
【0044】
ここでの、アルキル基は、Rのアルキル基と同じ意味である。アリール基はR及びRのアリール基と同じ意味である。アルキルSO基、アリールSO基とは、それぞれ上記アルキル基が置換したSO基、上記アリール基が置換したSO基のことである。
【0045】
1つ以上の水素原子がフッ素原子に置換したアルキル基とは、アルキル基の少なくとも1つの水素原子がフッ素原子に置換したアルキル基のことであり、すべての水素原子がフッ素原子に置換したアルキル基も含む(以下これらを総称してフッ素化アルキル基と略す)。好ましいフッ素化アルキル基としては、すべての水素原子がフッ素原子に置き換わったアルキル基であり、トリフルオロメチル基、パーフルオロヘキシル基(n−C13)が挙げられる。
【0046】
1つ以上の水素原子がフッ素原子に置換したアリール基とは、置換基Rのアリール基の少なくとも1つの水素原子がフッ素原子に置換したアリール基であり、すべての水素原子がフッ素原子に置換したアリール基も含む(以下これらを総称してフッ素化アリール基と略す)。好ましいフッ素化アリール基としては、4−トリフルオロメチルフェニル基(4−CF)、すべての水素原子がフッ素原子に置き換わったアリール基であるペンタフルオロフェニル基(C)が挙げられる。
【0047】
1つ以上の水素原子がフッ素原子に置換したアルキルSO基とは、フッ素化アルキルSO基である。好ましいフッ素化アルキルSO基としては、すべての水素原子がフッ素原子に置き換わったアルキルSO基であり、トリフルオロメチルSO基、パーフルオロヘキシルSO基が挙げられる。
【0048】
1つ以上の水素原子がフッ素原子に置換したアリールSO基とは、上記フッ素化アリールSO基である。好ましいフッ素化アリールSO基としては、4−フルオロフェニルSO基、4−トリフルオロメチルフェニルSO基、すべての水素原子がフッ素原子に置き換わったアリールSO基であるペンタフルオロフェニルSO基が挙げられる。
【0049】
として、好ましくはメチル基、トリフルオロメチル基、パーフルオロヘキシル基、4−トリフルオロメチルフェニル基、全ての水素原子がフッ素原子に置き換わったアリール基であるペンタフルオロフェニル基、トリフルオロメチルSO基、パーフルオロヘキシルSO基、4−トリフルオロメチルフェニルSO基、全ての水素原子がフッ素原子に置き換わったアリール基であるペンタフルオロフェニルSO基が挙げられる。より好ましいRとしては、メチル基、トリフルオロメチルSO基が挙げられる。
【0050】
次に、反応式(4)について説明する。出発物質としての下記式(3)の化合物は、市販品としても入手可能なものが多く、また実施例に示す方法でも容易に合成可能である。
【0051】
以下に出発原料である式(3)で示される化合物の具体例化合物(3)−01〜化合物(3)−85を示すが本発明はこれらに限定されるものではない。便宜上、Rを下記のようにR31及びR32として記載する。なお、空欄は水素原子を示す。
【0052】
【化12】
【0053】
【表2】
【0054】
以下に中間体である化合物(4)の具体例(化合物(4)−01〜化合物(4)−85)を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、空欄は水素原子を示す。
【0055】
【化13】
【0056】
【表3】
【0057】
次に反応式(4)について詳細に説明する。この反応は新規な反応であり、2位の位置で酸素原子と結合している出発物質である化合物(3)の3位に高選択的にジメチルジスルフィド(Me)を用いてSMe化するのが特徴である。この反応の開発のために、発明者らは、3位の水素引き抜きによるメタル化を行うための塩基(アルキル金属試薬、アルキル土類金属試薬)、反応溶媒、反応温度、操作手順を検討し、化合物(3)の3位に高選択的にジメチルジスルフィドを用いてSMe化する製造方法を見出した。
【0058】
【化14】
【0059】
反応に使用する塩基としては、アルカリ金属試薬である、リチウム試薬、ナトリウム試薬、カリウム試薬;アルキル土類金属試薬である、マグネシウム試薬、カルシウム試薬の使用が望ましい。具体的には、メチルリチウム、n−ブチルリチウム、t−ブチルリチウム、フェニルリチウム、メチルマグネシウムクロリド、ブチルマグネシウムクロリドなどを用いることができる。特に好ましくは、安定で強力な塩基であるブチルリチウムの使用が望ましい。
【0060】
塩基の使用量は、1molの化合物(3)に対し、0.5mol以上10mol以下であることが望ましい。塩基に化合物(3)を添加した反応溶液に、さらに上記使用量の範囲で塩基を添加してもよい。このように塩基を2段階で加えることにより、化合物(3)の3位の水素原子の引き抜きがスムーズになる場合がある。
【0061】
また、本実施の形態に係る化合物の製造方法においては、アルキル金属試薬とともに、リチウム試薬の安定化などを目的として、塩基性化合物(添加剤)を添加してもよい。塩基性化合物として、N,N,N’−トリメチルエチレンジアミン、ジメチルアミン、ジイソプロピルアミン、モルフォリンなどを挙げることができる。
【0062】
反応に際して、アルゴン雰囲気下、窒素置換下、乾燥アルゴン雰囲気下、乾燥窒素気流下など不活性ガス雰囲気下で行うのが、望ましい。
【0063】
上記化合物(3)と塩基とを反応させる時の反応温度としては、−100℃〜30℃の範囲が好ましく、−80℃〜10℃がより好ましい。
【0064】
この反応に際して、溶媒はいかなるものでも使用できるが、エーテル系の溶媒、脂肪族系の溶媒、又は芳香族系の溶媒が望ましい。また、これらの溶媒は水分を乾燥した溶媒を使用することが望ましい。
【0065】
反応に用いるエーテル系溶媒としては、テトラヒドロフラン(THF)、ジエチルエーテル、ジメトキシエタン、ジオキサンなどが挙げられる。脂肪族系の溶媒としてはn−ペンタン、n−ヘキサン、n−ヘプタンなど、芳香族系の溶媒としては、トルエン、キシレンなどが挙げられる。
【0066】
反応に用いるジメチルジスルフィドの使用量は、1molの化合物(3)に対し、0.5mol以上10mol以下であることが望ましい。
【0067】
上記で得られた、化合物(4)を精製する際、精製方法は特に限定されるものではなく、化合物の物性に応じて、公知の精製方法を用いることができる。具体的には再結晶、カラムクロマトグラフィー、などによって精製することができる。
【0068】
従来、酸素原子を2位に有する化合物(3)の3位に高選択的にジメチルジスルフィドを用いてSMe化する反応は知られていなかった。この反応の開発のために、発明者らは、上記のように3位の水素引き抜きによるメタル化を行うための塩基(アルキル金属試薬、アルキル土類金属試薬)、反応溶媒、反応温度、操作手順を検討した結果、ジメチルジスルフィドを用いて化合物(3)の3位に高選択的にSMe化する製造方法、すなわち化合物(4)の高選択的な製造方法を見出した。
【0069】
続いて、化合物(4)と反応させる化合物(5)と、反応式(5)の生成物である化合物(6)について説明する。
【0070】
スズ化合物である式(5)において、Rは、アルキル基を表す。アルキル基としては直鎖又は分岐鎖のアルキル基が挙げられ、その炭素数は1〜8であり、好ましくは1〜4であり、より好ましくは4である。ここで、直鎖アルキル基の具体例としては、メチル、エチル、n−プロピル、n−ブチル、n−ペンチル、n−ヘキシル等が挙げられる。分岐鎖アルキル基の具体例としては、i−プロピル、i−ブチル、t−ブチル、i−ペンチル、i−ヘキシル等のC3−C6の飽和分鎖アルキル基が挙げられる。好ましくは、入手が容易なn−ブチル基である。
【0071】
以下に式(5)で示されるスズ化合物の具体例を示すが本発明はこれらに限定されるものではない。
【0072】
【化15】
【0073】
【表4】
【0074】
化合物(6)については、R(R31及びR32)は化合物(3)のR(R31及びR32)と同じ意味である。
【0075】
以下に化合物(6)の具体例(化合物(6)−01〜化合物(6)−71)を示すが本発明はこれらに限定されるものではない。なお、化合物(6)のRについても、便宜上、R31及びR32として記載する。
【0076】
【化16】
【0077】
【表5】
【0078】
従来の技術では、化合物(6)を合成するための原料のアルデヒド体(前記反応式2の化合物(B))の合成に非常に苦労していたが(特許文献3及び非特許文献1)、本発明では、MeS基を3位に有する2分子の化合物(4)の2位の酸素原子の脱離とともに化合物(5)が反応し、化合物(6)を高選択的に製造することができるようになった(反応式(5)参照)。一般的に、反応式(5)の反応は、触媒としてPd系の化合物が用いられるが、Pdは硫黄化合物に犯されやすく、すぐに活性を失うことがある。そのため、本発明者らは上記のように化合物(4)の酸素が効果的に脱離し、化合物(5)と反応する触媒、反応溶媒、反応温度、操作手順を検討し、2分子の化合物(4)から化合物(6)を高選択的・高収率で得ることができる製造方法を見出した。
【0079】
以下、反応式(5)について詳細に説明する。
【0080】
【化17】
【0081】
ここで、化合物(4)のRは反応式(5)の反応を行う時に必要に応じて、より最適な置換基に変換して用いることができる。すなわち、実施例に示したように適時変換することができる。
【0082】
反応式(5)の反応を行う際の化合物(4)と化合物(5)の混合比は、1molの化合物(5)に対し、化合物(4)を1.8mol〜2.5molであるのが好ましい。1.95mol〜2.10molで行うのがより好ましく、1.95mol〜2.05molで行うのがさらに好ましい。
【0083】
また、最初に約1:1の割合で化合物(4)と化合物(5)を反応させ、その後、最初に加えた化合物(4)とは異なる別の置換基を持つ化合物(4)を加えて反応させることで、非対称の中間体(6)を合成することもできる。
【0084】
反応に使用する触媒としては、Pd又はNi系の触媒であればどんなものでも使用することが可能だが、少なくとも1つの触媒が、トリ−tert−ブチルホスフィン、トリアダマンチルホスフィン、1,3−ビス(2,4,6−トリメチルフェニル)イミダゾリジニウムクロライド、1,3−ビス(2,6−ジイソプロピルフェニル)イミダゾリジニウムクロライド、1,3−ジアダマンチルイミダゾリジニウムクロライド、又はそれらの混合物;金属Pd、Pd/C(含水又は非含水)、ビス(トリフェニルホスフィノ)パラジウムジクロライド(Pd(PPh)2Cl)、酢酸パラジウム(II)(Pd(OAc))、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(Pd(PPh)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)ニッケル(Ni(PPh)、ニッケル(II)アセチルアセトネートNi(acac)、ジクロロ(2,2’−ビピリジン)ニッケル、ジブロモビス(トリフェニルホスフィン)ニッケル(Ni(PPhBr)、ビス(ジフェニルホスフィノ)プロパンニッケルジクロライド(Ni((dppp)Cl)、ビス(ジフェニルホスフィノ)エタンニッケルジクロライドNi(dppe)Cl、及びそれらの混合物の群から選択されるリガンドを持つニッケル及びパラジウム触媒からなる群から選択される少なくとも1つの化合物を含んでいればよい。好ましい触媒として、Pd/C(含水又は非含水)、Pd(PPhCl、Pd(PPhが挙げられ、より好ましくは、Pd(PPhCl、Pd(PPhが挙げられる。
【0085】
触媒の使用量は、1molの化合物(4)に対し、0.001mol以上0.5mol以下であることが望ましい。化合物(4)と化合物(5)と触媒とを添加した反応溶液に、さらに上記使用量の範囲で触媒を添加してもよい。触媒が硫黄などにより被毒され、触媒が失活する場合には、このように触媒を2段階以上に分けて加えることにより、反応率の低下が抑えられる場合があるので効果的である。
【0086】
化合物(4)と化合物(5)とを反応させる時の反応温度としては、通常−10℃〜200℃で行う。より好ましくは、40℃〜180℃、さらに好ましくは、80℃〜150℃である。
【0087】
反応に際して、アルゴン雰囲気下、窒素置換下、乾燥アルゴン雰囲気下、乾燥窒素気流下など不活性ガス雰囲気下で行うのが、望ましい。
【0088】
反応の際は、溶媒を使用しても使用しなくてもよい。通常の有機合成に用いられる溶媒であれば、いかなるものでも使用可能である。例えば、クロロベンゼン、o−ジクロロベンゼン、ブロモベンゼン、ニトロベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族化合物や、n−ヘキサン、n−ヘプタン、n−ペンタン等の飽和脂肪族炭化水素;シクロヘキサン、シクロヘプタン、シクロペンタン等の脂環式炭化水素、n−プロピルブロマイド、n−ブチルクロライド、n−ブチルブロマイド、ジクロロメタン、ジブロモメタン、ジクロロプロパン、ジブロモプロパン、ジクロロエタン、ジブロモエタン、ジクロロプロパン、ジブロモプロパン、ジクロロブタン、クロロホルム、ブロモホルム、四塩化炭素、四臭化炭素、トリクロロエタン、テトラクロロエタン、ペンタクロロエタン等の飽和脂肪族ハロゲン化炭化水素;クロロシクロヘキサン、クロロシクロペンタン、ブロモシクロペンタン等のハロゲン化環状炭化水素;酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、プロピオン酸プロピル、プロピオン酸ブチル、酪酸メチル、酪酸エチル、酪酸プロピル、酪酸ブチル等のエステル;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン;を挙げることが出来る。これらの溶媒は単独でも2種以上混合して使用してもよい。
【0089】
また、反応溶媒として、沸点100℃以上の高沸点溶媒の少なくとも一種を使用すると、大幅に反応速度が向上したり、反応の選択性がより増すので好ましい。
【0090】
沸点100℃以上の高沸点溶媒とはアミド類(N−メチル−2−ピロリドン(以下、NMP)、N,N−ジメチルホルムアミド(以下、DMFと略記)、N,N−ジメチルアセトアミド(以下、DMAc));グリコール類(エチレングリコール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール);及びスルホキシド類(ジメチルスルホキシド(以下、DMSOと略記))が好ましく、より好ましくは、N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミドである。
【0091】
得られた化合物(6)を精製する際、精製方法は特に限定されるものではなく、化合物(6)の物性に応じて、公知の精製方法を用いることができる。具体的には再結晶、カラムクロマトグラフィー、などによって精製することができる。
【0092】
次に、反応式(6)について説明する。反応式(5)の反応により得られた化合物(6)を環化して得られる化合物(2)の具体例を以下に示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、化合物(2)−01〜53は化合物(1)−01〜53と同じ化合物であり、以降当該化合物を表わす場合は、化合物(1)−01〜53を使用する。本発明の製造方法によって、非特許文献1、特許文献3、特許文献6、特許文献7、特許文献8に詳しく述べられているのと同様の方法で、化合物(6)から高収率で化合物(2)を与えることができる。化合物(2)についても、便宜上RをR31及びR32として記載する。
【0093】
【化18】
【0094】
【表6】
【0095】
本発明の電界効果トランジスタ(Field effect transistor、以下FETと略することがある)は、半導体に接して2つの電極(ソース電極及びドレイン電極)があり、その電極間に流れる電流を、ゲート電極と呼ばれるもう一つの電極に印加する電圧で制御するものである。
【0096】
一般に、電界効果トランジスタはゲート電極が絶縁膜で絶縁されている構造(Metal−Insulator−Semiconductor;MIS構造)がよく用いられる。絶縁膜に金属酸化膜を用いるものはMOS構造と呼ばれる。他には、ショットキー障壁を介してゲート電極が形成されている構造、すなわちMES構造もあるが、有機半導体材料を用いたFETの場合、MIS構造がよく用いられる。
【0097】
以下、図を用いて本発明による有機系の電界効果トランジスタについてより詳細に説明するが、本発明はこれらの構造には限定されない。
図1に、本発明の電界効果トランジスタ(素子)のいくつかの態様例を示す。各例において、1がソース電極、2が半導体層、3がドレイン電極、4が絶縁体層、5がゲート電極、6が基板をそれぞれ表す。尚、各層や電極の配置は、素子の用途により適宜選択できる。A〜Dは基板と並行方向に電流が流れるので、横型FETと呼ばれる。Aはボトムコンタクト構造、Bはトップコンタクト構造と呼ばれる。また、Cは有機単結晶のFET作製によく用いられる構造で、半導体上にソース及びドレイン電極、絶縁体層を設け、さらにその上にゲート電極を形成している。Dはトップ&ボトムコンタクト型トランジスタと呼ばれる構造である。Eは縦型の構造をもつFET、すなわち静電誘導トランジスタ(SIT)の模式図である。このSITは、電流の流れが平面状に広がるので一度に大量のキャリアが移動できる。またソース電極とドレイン電極が縦に配されているので電極間距離を小さくできるため応答が高速である。したがって、大電流を流す、高速のスイッチングを行うなどの用途に好ましく適用できる。なお図1中のEには、基板を記載していないが、通常の場合、図1E中の1及び3で表されるソース及びドレイン電極の外側には基板が設けられる。
【0098】
各態様例における各構成要素につき説明する。
基板6は、その上に形成される各層が剥離することなく保持できることが必要である。基板6には、例えば樹脂板やフィルム、紙、ガラス、石英、セラミックなどの絶縁性材料;金属や合金などの導電性基板上にコーティング等により絶縁体層を形成した物;樹脂と無機材料など各種組合せからなる材料;等が使用できる。使用できる樹脂フィルムの例としては、例えばポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリエーテルスルホン、ポリアミド、ポリイミド、ポリカーボネート、セルローストリアセテート、ポリエーテルイミドなどが挙げられる。樹脂フィルムや紙を用いると、素子に可撓性を持たせることができ、フレキシブルで、軽量となり、実用性が向上する。基板の厚さとしては、通常1μm〜10mmであり、好ましくは5μm〜5mmである。
【0099】
ソース電極1、ドレイン電極3、ゲート電極5には導電性を有する材料が用いられる。例えば、白金、金、銀、アルミニウム、クロム、タングステン、タンタル、ニッケル、コバルト、銅、鉄、鉛、錫、チタン、インジウム、パラジウム、モリブデン、マグネシウム、カルシウム、バリウム、リチウム、カリウム、ナトリウム等の金属及びそれらを含む合金;InO2、ZnO2、SnO2、ITO等の導電性酸化物;ポリアニリン、ポリピロール、ポリチオフェン、ポリアセチレン、ポリパラフェニレン、ビニレン、ポリジアセチレン等の導電性高分子化合物;シリコン、ゲルマニウム、ガリウム砒素等の半導体;カーボンブラック、フラーレン、カーボンナノチューブ、グラファイト等の炭素材料;等が使用できる。また、導電性高分子化合物や半導体にはドーピングが行われていてもよい。その際のドーパントとしては、例えば、塩酸、硫酸等の無機酸;スルホン酸等の酸性官能基を有する有機酸;PF5、AsF5、FeCl3等のルイス酸;ヨウ素等のハロゲン原子;リチウム、ナトリウム、カリウム等の金属原子;等が挙げられる。ホウ素、リン、砒素などはシリコンなどの無機半導体用のドーパントとしても多用されている。また、上記のドーパントにカーボンブラックや金属粒子などを分散した導電性の複合材料も用いられる。
ソース及びドレイン電極は半導体物質と直接に接触し、電子や正孔などの電荷を半導体内に注入する役目がある。この接触抵抗を低下し、電荷の注入を容易にするために半導体材料のHOMO準位やLUMO準位と電極との仕事関数をあわせることが大切である。接触抵抗を下げオーミックな素子とするために、酸化モリブデンや酸化タングステンなどの材料からなる注入改善層の挿入や金属電極へのドーピング、単分子膜による表面修飾を行うことなどにより半導体特性を改善することも可能である。
ソースとドレイン電極間の距離(チャネル長)が素子の特性を決める重要なファクターとなる。該チャネル長は、通常0.1〜300μm、好ましくは0.5〜100μmである。チャネル長が短ければ取り出せる電流量は増えるが、逆にリーク電流などが発生するため、適正なチャネル長が必要である。ソースとドレイン電極間の幅(チャネル幅)は通常10〜5000μm、好ましくは100〜2000μmとなる。またこのチャネル幅は、電極の構造をくし型構造とすることなどにより、さらに長いチャネル幅を形成することが可能で、必要な電流量や素子の構造などにより、適切な長さのチャンネル幅にすればよい。
ソース電極及びドレイン電極のそれぞれの構造(形)について説明する。ソースとドレイン電極の構造はそれぞれ同じであっても、異なっていてもよい。ボトムコンタクト構造を有するときには、一般的にはリソグラフィー法を用いて各電極を作製し、直方体に形成するのが好ましい。電極の長さは前記のチャネル幅と同じでよい。電極の幅には特に規定は無いが、電気的特性を安定化できる範囲で、素子の面積を小さくするためには短い方が好ましい。電極の幅は、通常0.1〜1000μmであり、好ましくは0.5〜100μmである。電極の厚さは、通常0.1〜1000nmであり、好ましくは1〜500nmであり、より好ましくは5〜200nmである。各電極1、3、5には配線が連結されているが、配線も電極とほぼ同様の材料により作製される。
【0100】
絶縁体層4としては絶縁性を有する材料が用いられる。例えば、ポリパラキシリレン、ポリアクリレート、ポリメチルメタクリレート、ポリスチレン、ポリビニルフェノール、ポリアミド、ポリイミド、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリビニルアルコール、ポリ酢酸ビニル、ポリウレタン、ポリスルホン、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、フッ素系樹脂等のポリマー及びこれらを組み合わせた共重合体;二酸化珪素、酸化アルミニウム、酸化チタン、酸化タンタル等の金属酸化物;SrTiO3、BaTiO3等の強誘電性金属酸化物;窒化珪素、窒化アルミニウム等の窒化物;硫化物;フッ化物などの誘電体;あるいは、これら誘電体の粒子を分散させたポリマー;等が使用しうる。絶縁体層4の膜厚は、材料によって異なるが、通常0.1nm〜100μm、好ましくは0.5nm〜50μm、より好ましくは1nm〜10μmである。
【0101】
本発明における半導体層2は、前述の化合物(1)で表される複素環式化合物の一種又は複数種からなる有機薄膜が用いられる。この有機薄膜中における該化合物は混合物であってもよいが、有機薄膜中には化合物(1)を通常50質量%以上、好ましくは80質量%以上、更に好ましくは95質量%以上含むことが好ましい。
本発明の電界効果トランジスタにおいては、化合物(1)の少なくとも1種の複素環式化合物を半導体材料とした有機薄膜を用いるが、実質的に半導体材料としては、化合物(1)の複数の複素環式化合物の混合物よりも、単一の複素環式化合物を半導体材料として用いることが好ましい。
しかし、電界効果トランジスタの特性の改善や他の特性を付与するために、必要に応じて他の有機半導体材料や各種添加剤が混合されていてもよい。
上記添加剤は、半導体材料の総量に対して、通常0.01〜10質量%、好ましくは0.05〜5質量%、より好ましくは0.1〜3質量%の範囲で添加することができる。
また半導体層についても複数の有機薄膜層から構成されていてもよいが、単層構造であることがより好ましい。
半導体層2の膜厚は、必要な機能を失わない範囲で、薄いほど好ましい。A、B及びDに示すような横型の電界効果トランジスタにおいては、所定以上の膜厚があれば素子の特性は膜厚に依存しない一方、膜厚が厚くなると漏れ電流が増加してくることが多いためである。必要な機能を示すための半導体層の膜厚は、通常、1nm〜10μm、好ましくは5nm〜5μm、より好ましくは10nm〜3μmである。
【0102】
本発明の電界効果トランジスタには、例えば基板と絶縁膜層や絶縁膜層と半導体層の間や素子の外面に必要に応じて他の層を設けることができる。例えば、半導体層上に直接又は他の層を介して、保護層を形成すると、湿度などの外気の影響を小さくすることができ、また、素子のON/OFF比を上げることができるなど、電気的特性を安定化できる利点もある。
保護層の材料としては特に限定されないが、例えば、エポキシ樹脂、ポリメチルメタクリレート等のアクリル樹脂、ポリウレタン、ポリイミド、ポリビニルアルコール、フッ素樹脂、ポリオレフィン等の各種樹脂からなる膜;酸化珪素、酸化アルミニウム、窒化珪素等の無機酸化膜;及び窒化膜等の誘電体からなる膜;等が好ましく用いられ、特に、酸素や水分の透過率や吸水率の小さな樹脂(ポリマー)が好ましい。近年、有機ELディスプレイ用に開発されている保護材料も使用が可能である。保護層の膜厚は、その目的に応じて任意の膜厚を選択できるが、通常100nm〜1mmである。
【0103】
また半導体層が積層される基板又は絶縁体層上などに予め表面処理を行うことにより、半導体材料の製膜性や素子の特性を向上させることが可能である。特に、有機半導体材料は分子の配向など膜の状態によって特性が変わることがある。例えば基板表面の親水性/疎水性の度合いを調整することにより、その上に成膜される膜の膜質を改良しうる。特に、有機半導体材料は分子の配向など膜の状態によって特性が大きく変わることがある。そのため、基板などへの表面処理によって、基板などとその後に成膜される半導体層との界面部分の分子配向が制御されること、また基板や絶縁体層上のトラップ部位が低減されることにより、キャリア移動度等の特性が改良されるものと考えられる。
トラップ部位とは、未処理の基板に存在する例えば水酸基のような官能基をさし、このような官能基が存在すると、電子が該官能基に引き寄せられ、この結果としてキャリア移動度が低下する。従って、トラップ部位を低減することもキャリア移動度等の特性改良には有効な場合が多い。
上記のような特性改良のための基板処理としては、例えば、ヘキサメチルジシラザン、シクロヘキセン、オクチルトリクロロシラン、オクタデシルトリクロロシラン等による疎水化処理;塩酸や硫酸、酢酸等による酸処理;水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、アンモニア等によるアルカリ処理;オゾン処理;フッ素化処理;酸素やアルゴン等のプラズマ処理;ラングミュア・ブロジェット膜の形成処理;その他の絶縁体や半導体の薄膜の形成処理;機械的処理;コロナ放電などの電気的処理;又繊維等を利用したラビング処理;等が挙げられる。しかし、本発明の化合物を用いた電解効果トランジスタは、かかる基板や絶縁体層上への材質による影響が小さいという特徴がある。このことにより、よりコストの掛かる処理や表面状態の調整等が必要なくなり、より幅広い材料が使用可能となり、汎用性やコストの低減につながる。
【0104】
これらの態様において、例えば絶縁膜層や半導体層等の各層を設ける方法としては、例えば真空蒸着法、スパッタ法、塗布法、印刷法、ゾルゲル法等が適宜採用できる。
【0105】
次に、本発明に係る電界効果トランジスタの製造方法について、図1の態様例Aに示すボトムコンタクト型電界効果トランジスタ(FET)を例として、図2に基づき以下に説明する。
この製造方法は前記した他の態様の電界効果トランジスタ等にも同様に適用しうるものである。
【0106】
(基板及び基板処理)
本発明の電界効果トランジスタは、基板6上に必要な各種の層や電極を設けることで作製される(図2(1)参照)。基板としては上記で説明したものが使用できる。この基板上に前述の表面処理などを行うことも可能である。基板6の厚みは、必要な機能を妨げない範囲であれば、薄い方が好ましい。材料によっても異なるが、通常1μm〜10mmであり、好ましくは5μm〜5mmである。また、必要により、基板に電極の機能を持たせるようにしてもよい。
【0107】
(ゲート電極の形成)
基板6上にゲート電極5を形成する(図2(2)参照)。電極材料としては上記で説明したものが用いられる。電極膜を成膜する方法としては、各種の方法を用いることができ、例えば真空蒸着法、スパッタ法、塗布法、熱転写法、印刷法、ゾルゲル法等が採用される。成膜時又は成膜後、所望の形状になるよう必要に応じてパターニングを行うのが好ましい。パターニングの方法としても各種の方法を用い得るが、例えばフォトレジストのパターニングとエッチングを組み合わせたフォトリソグラフィー法等が挙げられる。また、インクジェット印刷、スクリーン印刷、オフセット印刷、凸版印刷等の印刷法、マイクロコンタクトプリンティング法等のソフトリソグラフィーの手法、及びこれら手法を複数組み合わせた手法を利用し、パターニングすることも可能である。ゲート電極5の膜厚は、材料によっても異なるが、通常0.1nm〜10μmであり、好ましくは0.5nm〜5μmであり、より好ましくは1nm〜1μmである。また、ゲート電極と基板を兼ねる場合は上記の膜厚より大きくてもよい。
【0108】
(絶縁体層の形成)
ゲート電極5上に絶縁体層4を形成する(図2(3)参照)。絶縁体材料としては上記で説明したもの等が用いられる。絶縁体層4を形成するにあたっては各種の方法を用い得る。例えばスピンコーティング、スプレーコーティング、ディップコーティング、キャスト、バーコート、ブレードコーティングなどの塗布法、スクリーン印刷、オフセット印刷、インクジェット等の印刷法、真空蒸着法、分子線エピタキシャル成長法、イオンクラスタービーム法、イオンプレーティング法、スパッタリング法、大気圧プラズマ法、CVD法などのドライプロセス法が挙げられる。その他、ゾルゲル法やアルミニウム上のアルマイト、シリコン上の二酸化シリコンのように金属上に酸化物膜を形成する方法等が採用される。
なお、絶縁体層と半導体層が接する部分においては、両層の界面で半導体を構成する分子、例えば化合物(1)の複素環式化合物の分子を良好に配向させるために、絶縁体層に所定の表面処理を行うこともできる。表面処理の手法は、基板の表面処理と同様のものを用い得る。絶縁体層4の膜厚は、その機能を損なわない範囲で薄い方が好ましい。通常0.1nm〜100μmであり、好ましくは0.5nm〜50μmであり、より好ましくは5nm〜10μmである。
【0109】
(ソース電極及びドレイン電極の形成)
ソース電極1及びドレイン電極3の形成方法等はゲート電極5の製造方法に準じて形成することができる(図2(4)参照)。
【0110】
(半導体層の形成)
絶縁体層4、ソース電極1及びドレイン電極3上に化合物(1)で表される複素環式化合物の一種又は複数種からなる有機薄膜を半導体層として形成する。半導体材料としては上記で説明したように、化合物(1)の複素環式化合物の一種又は複数種の混合物を総量で通常50質量%以上含む有機材料が使用される。半導体層を成膜するにあたっては、各種の方法を用いることができる。スパッタリング法、CVD法、分子線エピタキシャル成長法、真空蒸着法等の真空プロセスでの形成方法;ディップコート法、ダイコーター法、ロールコーター法、バーコーター法、スピンコート法等の塗布法、インクジェット法、スクリーン印刷法、オフセット印刷法、マイクロコンタクト印刷法などの溶液プロセスでの形成方法;に大別される。
【0111】
なお、本発明の化合物(1)の複素環式化合物を半導体材料として使用して半導体層となる有機薄膜を形成する場合には、真空プロセスによって成膜した有機薄膜を半導体層として形成する方法が好ましく、真空蒸着法がさらに好ましい。溶液プロセスによる製膜も可能でコストの安い印刷方法を採用することが可能である。
【0112】
有機材料を真空プロセスによって成膜し、有機薄膜を得る方法について説明する。
本発明では、前記有機材料をルツボや金属のボート中で真空下、加熱し、蒸発した有機材料を基板(絶縁体層、ソース電極及びドレイン電極の露出部)に付着(蒸着)させる方法、すなわち真空蒸着法が好ましく採用される。この際、真空度は、通常1.0×10−1Pa以下、好ましくは1.0×10−3Pa以下である。また、蒸着時の基板温度によって有機半導体膜、ひいては電界効果トランジスタの特性が変化する場合があるので、注意深く基板温度を選択する必要がある。蒸着時の基板温度は通常、0〜200℃であり、好ましくは10〜150℃であり、より好ましくは15〜120℃であり、さらに好ましくは25〜100℃である。
また、蒸着速度は、通常0.001nm/秒〜10nm/秒であり、好ましくは0.01nm/秒〜1nm/秒である。有機材料からなる有機半導体層の膜厚は、通常1nm〜10μm、好ましくは5nm〜5μmより好ましくは10nm〜3μmである。
なお、半導体層を形成するための有機材料を加熱、蒸発させ基板に付着させる蒸着法に代えて、加速したアルゴン等のイオンを材料ターゲットに衝突させて材料原子を叩きだし基板に付着させるスパッタリング法を用いてもよい。
【0113】
本発明における半導体材料は有機化合物であり、比較的低分子化合物であるため、このような真空プロセスが好ましく用いうる。このような真空プロセスには、やや高価な設備が必要であるというものの、成膜性が良く均一な膜が得られやすいという利点がある。
【0114】
一方、本発明において溶液プロセスすなわち塗布法も好適に用いることが出来る。その方法について説明する。本発明における化合物(1)の複素環式化合物を含む半導体材料は、有機溶媒に溶解又は分散することができ、溶液プロセスにより実用的な半導体特性が得られる。塗布法による製造方法は製造時の環境を真空や高温状態にする必要が無い為、大面積の電界効果トランジスタを低コストで実現できるため有利である。
【0115】
まず化合物(1)の複素環式化合物を溶媒に溶解又は分散することで半導体デバイス作製用のインクを調製する。この時の溶媒としては化合物が溶解又は分散し、基板上に成膜することが出来れば特に限定されるものではない。溶媒としては有機溶媒が好ましく、具体的にはクロロホルム、塩化メチレン、ジクロロエタンなどのハロゲノ炭化水素系溶媒;メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、ブタノールなどのアルコール系溶媒;オクタフルオロペンタノール、ペンタフルオロプロパノールなどのフッ化アルコール系溶媒;酢酸エチル、酢酸ブチル、安息香酸エチル、炭酸ジエチルなどのエステル系溶媒;トルエン、ヘキシルベンゼン、キシレン、メシチレン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、メトキシベンゼン、クロロナフタレン、メチルナフタレン、テトラヒドロナフタレンなどの芳香族炭化水素系溶媒;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノンなどのケトン系溶媒;ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドンなどのアミド系溶媒;テトラヒドロフラン、ジイソブチルエーテル、ジフェニルエーテル、などのエーテル系溶媒;オクタン、デカン、デカリン、シクロヘキサンなどの炭化水素系溶媒などを用いることができる。これらは単独でも、混合して使用することもできる。
また半導体層の成膜性の向上や後述のドーピングなどの為に添加剤や他の半導体材料を混合することも可能である。
これらの添加剤としては、導電性、半導体性、絶縁性の高分子化合物や低分子化合物、ドーパント、分散剤、界面活性剤、レベリング剤、表面張力調整剤などそれぞれの求められる機能により様々なものが挙げられる。
インク中における化合物(1)の複素環式化合物又はこれらの混合物の総量の濃度は、溶媒の種類や、作製する半導体層の膜厚によって異なるが、通常0.001%〜50%程度、好ましくは0.01%〜20%程度である。
インクを使用する際には化合物(1)の複素環式化合物等を含む半導体材料などを上記の溶媒に溶解又は分散させ、必要であれば加熱溶解処理を行う。さらに得られた溶液をフィルターなどを用いてろ過し、不純物などの固形分を除去することにより、半導体デバイス作製用インクが得られる。このようなインクを用いると、半導体層の成膜性の向上が見られ、半導体層を作製する上で好ましい。
【0116】
上記のようにして調製した半導体素子作製用インクを、基板(絶縁体層、ソース電極及びドレイン電極の露出部)に塗布する。塗布の方法としては、キャスティング、スピンコーティング、ディップコーティング、ブレードコーティング、ワイヤバーコーティング、スプレーコーティング等のコーティング法や、インクジェット印刷、スクリーン印刷、オフセット印刷、凸版印刷等の印刷法、マイクロコンタクトプリンティング法等のソフトリソグラフィーの手法等、さらにはこれらの手法を複数組み合わせた方法を採用しうる。
更に、塗布方法に類似した方法として水面上に上記のインクを滴下することにより作製した半導体層の単分子膜を基板に移し積層するラングミュアプロジェクト法、液晶や融液状態の材料を2枚の基板で挟みこみ、毛管現象で基板間に導入する方法等も採用できる。
この方法により作製される有機半導体層の膜厚は、機能を損なわない範囲で、薄い方が好ましい。膜厚が大きくなると漏れ電流が大きくなる懸念がある。有機半導体層の膜厚は、通常1nm〜10μm、好ましくは5nm〜5μm、より好ましくは10nm〜3μmである。
【0117】
このように形成された半導体層(図2(5)参照)は、後処理によりさらに特性を改良することが可能である。例えば、熱処理により、半導体特性の向上や安定化を図ることができる。この原因は、熱処理により成膜時に生じた膜中の歪みが緩和されること、ピンホール等が低減されること、膜中の配列・配向が制御できる等の理由が考えられている。本発明の電界効果トランジスタの作製時にはこの熱処理を行うことが特性の向上の為には効果的である。本熱処理は半導体層を形成した後に基板を加熱することによって行う。熱処理の温度は特に制限は無いが通常、室温〜200℃程度で、この時の熱処理時間については特に制限は無いが通常1分〜24時間である。その時の雰囲気は大気中でもよいが、窒素やアルゴンなどの不活性雰囲気下でもよい。
またその他の半導体層の後処理方法として、酸素や水素等の酸化性あるいは還元性の気体や、酸化性あるいは還元性の液体などと処理することにより、酸化あるいは還元による特性変化を誘起することもできる。これは例えば膜中のキャリア密度の増加あるいは減少の目的で利用することが多い。
【0118】
また、ドーピングと呼ばれる手法において、微量の元素、原子団、分子、高分子を半導体層に加えることにより、半導体層特性を変化させることができる。例えば、酸素、水素、塩酸、硫酸、スルホン酸等の酸;PF5、AsF5、FeCl3等のルイス酸;ヨウ素等のハロゲン原子;ナトリウム、カリウム等の金属原子;等をドーピングすることができる。これは、半導体層に対して、これらのガスを接触させたり、溶液に浸したり、電気化学的なドーピング処理をすることにより達成できる。これらのドーピングは半導体層の作製後でなくても、半導体材料の合成時に添加したり、また半導体素子作製用インクを用いて半導体層を作製するプロセスにおいては、そのインクに添加したり、さらに例えば特許文献2に開示された前駆体薄膜を形成する工程段階などで添加することができる。また半導体層を形成する材料に、蒸着の際にドーピングに用いる材料を添加して共蒸着したり、半導体層を作製する時の周囲の雰囲気に混合したり(ドーピング材料を存在させた環境下で半導体層を作製する)、さらにはイオンを真空中で加速して膜に衝突させてドーピングすることも可能である。
【0119】
これらのドーピングの効果は、キャリア密度の増加あるいは減少による電気伝導度の変化、キャリアの極性の変化(p型、n型)、フェルミ準位の変化等が挙げられる。この様なドーピングは、特にシリコンなどの無機系の材料を用いた半導体素子ではよく利用されているものである。
【0120】
(保護層)
有機半導体層上に保護層7を形成すると、外気の影響を最小限にでき、また、有機電界効果トランジスタの電気的特性を安定化できるという利点がある(図2(6)参照)。保護層材料としては前記のものが使用される。
保護層7の膜厚は、その目的に応じて任意の膜厚を採用できるが、通常100nm〜1mmである。
保護層を成膜するにあたっては各種の方法を採用し得るが、保護層が樹脂からなる場合は、例えば、樹脂溶液を塗布後、乾燥させて樹脂膜とする方法;樹脂モノマーを塗布あるいは蒸着したのち重合する方法;などが採用できる。さらに成膜後に架橋処理を行ってもよい。保護層が無機物からなる場合は、例えば、スパッタリング法、蒸着法等の真空プロセスでの形成方法や、ゾルゲル法等の溶液プロセスでの形成方法も用いることができる。
本発明の電界効果トランジスタにおいては有機半導体層上の他、各層の間にも必要に応じて保護層を設けることができる。それらの層は有機電界効果トランジスタの電気的特性の安定化に役立つ場合がある。
【0121】
本発明によれば、有機材料を半導体材料として用いているため比較的低温プロセスでの製造が可能である。従って、高温にさらされる条件下では使用できなかったプラスチック板、プラスチックフィルム等フレキシブルな材質も基板として用いることができる。その結果、軽量で柔軟性に優れ、壊れにくい素子の製造が可能になり、ディスプレイのアクティブマトリクスのスイッチング素子等として利用することができる。ディスプレイとしては、例えば液晶ディスプレイ、高分子分散型液晶ディスプレイ、電気泳動型ディスプレイ、ELディスプレイ、エレクトロクロミック型ディスプレイ、粒子回転型ディスプレイ等が挙げられる。
【0122】
本発明の電界効果トランジスタは、メモリー回路素子、信号ドライバー回路素子、信号処理回路素子などのデジタル素子やアナログ素子としても利用できる。さらにこれらを組み合わせることによりICカードやICタグの作製が可能となる。更に、本発明の電界効果トランジスタは化学物質等の外部刺激によりその特性に変化を起こすことができるので、FETセンサーとしての利用も可能である。
【0123】
電界効果トランジスタの動作特性は、半導体層のキャリア移動度、電導度、絶縁体層の静電容量、素子の構成(ソース・ドレイン電極間距離及び幅、絶縁体層の膜厚等)などにより決まる。電界効果トランジスタに用いる半導体材料としては、半導体層を形成した場合のキャリア移動度が高いものほど好ましい。本発明における化合物(1)の複素環式化合物は成膜性が優れている。さらにペンタセン誘導体などは、大気中においては大気に含まれる水分などにより分解を生じるなど、不安定で取扱が難しい化合物であるが、本発明の化合物(1)の複素環式化合物を半導体材料として用いた場合には、半導体層の作製後においても安定性が高く寿命が長いという利点がある。また化合物(1)の複素環式化合物により形成された半導体層を有するトランジスタは、低い閾値電圧を有することから、実際の使用においては、駆動電圧が低くなり、消費電力が従来のものよりも低下することにより省エネルギー化が可能となり、例えば充電型のバッテリー使用時に、より長時間の駆動が要求される携帯型のディスプレイ等への使用に有効である。また閾値電圧が低くなることによってエネルギーの消費が低減し、さらに閾値電圧の低下によって電極から半導体膜への電荷の注入障壁が低減されることにより、半導体素子及びそれを有する半導体デバイス自体の耐久性の向上にも効果があると期待される。
【実施例】
【0124】
以下、実施例を挙げて本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの例に限定されるものではない。実施例中、「部」は特に指定しない限り「質量部」を、また「%」は「質量%」をそれぞれ表す。また反応温度は、特に断りのない限り反応系内の内温を記載した。
合成例にて得られた各種の化合物は、必要に応じてmp(融点)、NMR(1H,13C)、IR(赤外吸収スペクトル)、MS(質量分析スペクトル)、元素分析の各種の測定を行うことによりその構造式を決定した。測定機器は以下の通りである。
mp:柳本微量融点測定装置 MP−S3
NMR:JEOL Lambda 400 spectrometer
IR:島津フーリエ変換赤外分光光度計 IR Prestige−21
MSスペクトル:Shimadzu QP−5050A
元素分析:Parkin Elmer2400 CHN型元素分析計
まずは、化合物の合成について詳細に説明する。
【0125】
実施例1 6−n−デシル−2−メトキシナフタレン化合物(化合物(3)−64)の合成
【0126】
(実施例1−1):2−デカノイル−6−メトキシナフタレンの合成
窒素雰囲気下、試薬メーカーから容易に入手可能な2−メトキシナフタレン(64g,0.41mol)をモレキュラーシーブ3Aで乾燥させたニトロメタン(150ml)に溶解させ、氷浴下で塩化アルミニウム(80g,0.60mol)を加えた。引き続き氷浴下でそこへ塩化デカノイル(92ml,0.45mol)を滴下し、室温下で5時間撹拌した後、水(100ml)を氷浴下で滴下した。反応液を塩化メチレン(200ml×4)で抽出し、有機層を水(100ml×3)で洗浄した。有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥、濾過後、溶媒を減圧下で留去した。得られた黄色固体をヘキサンから再結晶することで2−デカノイル−6−メトキシナフタレン(102g,82%)を白色固体として得た。
1H-NMR(270 MHz, CDCl3) δ0.88(t,2H,J = 6.5 Hz), 1.18-1.49(br,16H), 1.78(m,2H), 3.07(t,2H,J = 7.4 Hz), 3.95(s,3H), 7.16(d,1H,J = 2.6 Hz), 7.20(dd,1H,J = 8.9Hz,2.3 Hz), 7.77(d,1H, J = 8.6 Hz), 7.86(d,1H,J = 8.9 Hz), 8.01(dd,1H,J = 8.6 Hz,1.6Hz), 8.40(s,1H) ;EIMS(70 eV) m/z=312(M+)
【0127】
(実施例1−2):6−n−デシル−2−ヒドロキシナフタレンの合成
【化19】

窒素雰囲気下、2−デカノイル−6−メトキシナフタレン(9.4g,30mmol)、水酸化カリウム(67g,1.2mol)をヒドラジン一水和物(70ml,1.4mol)、ジエチレングリコール(200ml)に溶解させ、17時間還流させた後、水(36ml)を加え、窒素気流下で蒸留し過剰量のヒドラジンと水を留去した。さらに窒素雰囲気下で41時間還流させた。その後、氷浴を用いつつ反応液に氷を入れることで冷却しながら、中性になるまで塩酸をゆっくりと加えた。反応液をエーテル(100ml×3)で抽出し、有機層を飽和食塩水(100ml×5)で洗浄した。有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥、濾過後、溶媒を減圧下で留去した。得られた褐色固体をヘキサンから再結晶することで6−デシル−2−ヒドロキシナフタレン(7.3g,90%)を白色固体として得た。
1H-NMR(270 MHz, CDCl3) δ0.88(t,2H,J = 6.5 Hz), 1.18-1.43(br,17H), 1.59-1.75(br,3H), 2.72(t,2H,J = 7.7 Hz), 4.99(s,1H), 7.07(dd,1H,J = 8.9Hz,2.6 Hz), 7.11(d,J =2.3 Hz), 7.28(dd,1H,J = 8.4 Hz, 1.8 Hz), 7.53(br,1H), 7.60(d,1H,J = 8.6 Hz), 7.68(d,1H,J = 8.9 Hz) ;EIMS(70 eV) m/z=284(M+)
【0128】
(実施例1−3):6−n−デシル−2−メトキシナフタレン(化合物(3)−64)の合成
【化20】

窒素雰囲気下、6−n−デシル−2−ヒドロキシナフタレン(5.68g,20mmol)と55%NaH(オイルディスパージョン、880mg,20mmol)のTHF(200ml)溶液を40分間室温で攪拌した。混合液にCH3I(1.48ml,24mmol)を加え、12時間加熱還流した。混合物に水(20ml)を0℃で加え、食塩水で洗浄した。有機層を合わせてMgSO4で乾燥して、エバポレータで濃縮した。濃縮液をメタノールから再結晶し6−n−デシル−2−メトキシナフタレン(化合物(3)−64)(5.0g,85%)を白色固体として得た。
1H-NMR(270 MHz, CDCl3) δ0.88-1.70(aliphatic), 2.72(t, 2H, J = 7.2 Hz), 3.90(s,3H), 7.09-7.13(m,2H,), 7.29(dd,1H, J = 8.2Hz, 1.6 Hz), 7.53(br,1H), 7.64(d,1H, J= 2.0 Hz), 7.68(d,1H, J = 3.3 Hz) ;EIMS(70 eV) m/z = 298(M+)
【0129】
実施例2 6−n−デシル−2−メトキシナフタレン(化合物(3)−64)の別法による合成
【化21】

試薬メーカーから容易に入手可能な6−ブロモ−2−メトキシナフタレン(2.37g,10mmol)とNi(dppp)Cl2(271mg,0.5mmol)のTHF(10ml)溶液にn−デシルマグネシウムブロミドのTHF溶液(n−デシルブロミド(2.2ml,11mmol)とMg(292mg,12mmol)のTHF(2ml)溶液として調製)を加え、19時間混合物を加熱還流した。冷却後、混合液を水で希釈して(10ml)、未反応のMgをろ別した。濾過した溶液をエーテル(5ml×3)で抽出し、抽出した有機層を合わせて(10ml×3)、MgSO4で乾燥し、エバポレータで濃縮した。濃縮したものをヘキサンで再結晶し6−n−デシル−2−メトキシナフタレン(化合物(3)−64)を淡黄色固体として得た。
mp 48.6〜49.3 ℃; 1H NMR (270 MHz, CDCl3) δ0.87 (t, J = 6.7 Hz, 3H), 1.25-1.32(m, 14H), 1.67 (quint, J= 7.7 Hz, 2H), 2.72 (t, J = 7.2 Hz, 2H), 3.90 (s, 3H),7.09-7.13 (m, 2H), 7.29 (dd, J = 8.2Hz, 1.6 Hz, 1H), 7.53 (brs, 1H), 7.64 (d, J= 2.0 Hz, 1H), 7.68 (d, J = 3.3 Hz, 1H); 13C NMR (100 MHz, CDCl3); δ14.1, 22.7, 29.4, 29.6(×3), 31.5, 31.9, 35.9, 55.2, 105.6, 118.5, 126.1, 126.0, 127.9, 128.9, 129.1, 132.9, 138.1, 157.0; EIMS (70 eV) m/z = 298 (M+); Anal. Calcd for C21H30O: C, 84.51; H, 10.13%. Found: C, 84.62; H, 10.41%.
【0130】
実施例3 7−デシル−2−メトキシナフタレン(化合物(3)−12)の合成
【化22】

1−デシン(1.2g,6.5mmol)と、PdCl2(PPh3)2(0.12g,0.16mmol)と、CuI(13mg,0.065mmol)と、トリエチルアミン(14ml,9.8mmol)とを7−メトキシ−2−ナフチルトリフルオロメタンスルフォネート(1.0g,3.3mmol)のTHF(20ml)溶液に加えた。この溶液を4時間室温で混合した後、水(30ml)で希釈し、希塩酸(2M)で酸性にし、ジクロロメタン(30ml×3)で抽出した。抽出液を水(100ml×3)で洗浄しMgSO4で乾燥した。これを濃縮して、カラムクロマトグラフィー(シリカゲル、ジクロロメタンで展開)により、7−デシン−1−イル−2−メトキシナフタレンの淡黄色油状物を得た。得られた7−デシン−1−イル−2−メトキシナフタレン(2.8mmol)と10% Pd/C(0.16g)のTHF(13ml)とを50mlの丸底フラスコに入れ、水素雰囲気下にし、TLCで反応追跡しながら反応終了まで攪拌した(約12時間)。反応が終了したら、触媒をろ別し、ろ液を濃縮した。濃縮液をカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、ジクロロメタンで展開)により精製し、7−デシル−2−メトキシナフタレン(化合物(3)−12)(0.80g,82%)を得た。
mp 29.9〜30.8℃; 1H NMR (270 MHz, CDCl3) δ0.88 (t, J = 7.0 Hz, 3H), 1.27-1.171(m, 16H), 2.74 (t, J= 7.7 Hz, 2H), 3.92 (s, 3H), 7.07 (dd, J= 9.7, 2.4 Hz, 1H),7.09 (s, 1H), 7.19 (dd, J = 8.3, 1.7 Hz, 1H), 7.51 (s, 1H), 7.68 (d, J = 8.3 Hz,1H), 7.70 (d, J = 9.7 Hz, 1H); 13C NMR (100 MHz, CDCl3); δ 14.4, 23.0, 29.6, 29.7, 29.9, 30.2(×2), 31.7, 32.3, 36.5, 55.6, 105.8, 118.1, 125.6, 125.7, 127.8(×2), 129.4, 135.1, 141.4, 158.0; EIMS (70 eV) m/z = 298 (M+); Anal. Calcd for C21H30O: C, 84.51; H, 10.13%. Found: C, 84.48; H, 10.44%.
【0131】
実施例4 7−フェニル−2−メトキシナフタレン(化合物(3)−22)の合成
リン酸カリウムのn水和物(34g,0.16mol)とフェニルホウ酸(3.7g,30mmol)とを7−メトキシ−2−ナフチルトリフルオロメタンスルフォネート(6.1g,20mmol)のDMF(350ml)溶液に加えた。これを30分間窒素でバブリングして窒素置換し、PdCl2(PPh)2(0.71g,1mmol)を加え、4時間、80℃で加熱した。混合物に飽和塩化アンモニウム水溶液(500ml)を加え、この操作により析出した結晶をろ別し、水(100ml×3)で洗浄し、電気乾燥機(60℃)で乾燥した。粗製物をカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、ジクロロメタンで展開)により精製し7−フェニル−2−メトキシナフタレン(化合物(3)−22)3.4g)を得た。
収率73%;黄色結晶(ヘキサン再結晶);
mp 65.4〜66.3℃; 1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ3.95 (s, 3H), 7.15 (dd, J= 8.9, 2.5 Hz, 1H), 7.38 (tt, J= 7.4, 1.2 Hz, 1H), 7.46-7.50 (m, 2H), 7.60 (dd, J = 8.5, 1.6Hz, 1H), 7.70-7.72 (m, 2H), 7.76 (d, J = 8.9 Hz, 1H), 7.84 (d, J = 8.5 Hz, 1H),7.95 (d, J = 1.6 Hz, 1H); 13C NMR (100 MHz, CDCl3) δ 55.7, 106.5, 119.1, 123.7, 125.1, 127.7, 127.8, 128.5・(×2), 129.2, 129.5, 135.2, 139.5, 141.7, 158.4; EI-MS, m/z = 234 (M+); Anal. Calcd for C17H14O: C, 87.15; H, 6.02%. Found: C, 87.23; H, 6.03%.
【0132】
実施例5 6−フェニル−2−メトシキナフタレン(化合物(3)−31)の合成
実施例4の7−フェニル−2−メトキシナフタレンの合成方法と同様の操作で6−ブロモ−2−メトシキナフタレン(試薬メーカーから容易に入手可能)とフェニルホウ酸とから90%の収率で目的物である6−フェニル−2−メトシキナフタレン(化合物(3)−31)を得た。
mp 135.4〜136.4 ℃; 1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ3.95 (s, 3H), 7.17 (s, 1H), 7.19 (dd, J = 7.9, 2.5 Hz, 1H), 7.38 (tt, J = 7.4, 1.2 Hz, 1H), 7.45-7.49 (m, 2H), 7.72 (dd, J = 8.5, 1.8 Hz, 1H), 7.70-7.72 (m, 2H), 7.80 (d, J = 7.9 Hz, 1H), 7.82 (d, J = 7.9 Hz, 1H), 7.98 (d, J = 1.8 Hz, 1H); EI-MS, m/z = 234 (M+); Anal. Calcd for C17H14O: C, 87.15; H, 6.02%. Found: C, 86.86; H, 5.94%
【0133】
実施例6 6−トリル−2−メトキシナフタレン(化合物(3)−32)の合成
実施例4の7−フェニル−2−メトキシナフタレンの合成方法と同様の操作で、7−メトシキ−2−ナフチルトリフルオロメタンスルフォネートの代わりに6−ブロモ−2−メトキシナフタレン(38.9g,0.16mol)と、4−フェニルホウ酸の代わりに4−メチルフェニルホウ酸(25.0g,0.21mol)とを用いることにより、6−トリル−2−メトキシナフタレン(化合物(3)−32,33.3g,収率82%)を得た。
EI-MS, m/z=248(M+)
【0134】
実施例7 7−トリル−2−メトキシナフタレン(化合物(3)−23)の合成
実施例4の7−フェニル−2−メトキシナフタレンの合成方法と同様の操作で、7−メトシキ−2−ナフチルトリフルオロメタンスルフォネート(30.63g,0.10mol)と4−メチルフェニルホウ酸(16.12g,0.12mol)を用いて、7−トリル−2−メトキシナフタレン(化合物(3)−23,22.5g,収率96%)を得た。
EI-MS, m/z=248(M+)
【0135】
実施例8 6−ビフェニル−2−メトキシナフタレン(化合物(3)−33)の合成
実施例4の7−フェニル−2−メトキシナフタレンの合成方法と同様の操作で、7−メトシキ−2−ナフチルトリフルオロメタンスルフォネートの代わりに6−ブロモ−2−メトキシナフタレン(22.5g,94.8mmol)と、4−ビフェニルホウ酸(23.48g,119mmol)とを用い、6−ビフェニル−2−メトキシナフタレン(化合物(3)−33,24.8g,収率84%)を得た。
EI-MS, m/z=310(M+)
【0136】
実施例9 7−ビフェニル−2−メトキシナフタレン(化合物(3)−24)の合成
実施例4の7−フェニル−2−メトキシナフタレンの合成方法と同様の操作で、7−メトシキ−2−ナフチルトリフルオロメタンスルフォネート(29.05g,94.8mmol)と4−ビフェニルホウ酸(23.48g,119mmol)とを用いて、7−ビフェニル−2−メトキシナフタレンの合成(化合物(3)−24,21.9g,収率74%)を得た。
EI-MS, m/z=310(M+)
【0137】
実施例10 7−ブチル−2−メトキシナフタレン(化合物(3)−04)の合成
実施例3の7−デシル−2−メトキシナフタレンの合成方法と同様の操作で、7−メトシキ−2−ナフチルトリフルオロメタンスルフォネート(30.63g,0.10mol)とブチンガス(東京化成品,100g,大過剰)を用いて、7−ブチン−1−イル−2−メトキシナフタレン合成を行い、カラムクロマトグラフィー(シリカゲル,トルエンとヘキサンの混合物で展開)により7−ブチン−1−イル−2−メトキシナフタレンの淡黄色油状物を得た(18.1g,収率56%)。得られた7−ブチン−1−イル−2−メトキシナフタレン(全量)をトルエン(275ml)中、10%Pd/C(1.83g)を加えて、水素雰囲気下で接触還元を行い、カラムクロマトグラフィー(シリカゲル,トルエンとヘキサンの混合物で展開)により7−ブチル−2−メトキシナフタレン(化合物(3)−04, 17.80g,収率 97%)を得た。
EI-MS, m/z=214(M+)
【0138】
実施例11 7−ヘキシル−2−メトキシナフタレン(化合物(3)−08)の合成
実施例3の7−デシル−2−メトキシナフタレンの合成方法と同様の操作で、7−メトシキ−2−ナフチルトリフルオロメタンスルフォネート(30.63g,0.10mol)と1−ヘキシン(10.27g,0.125mol)とを用いて、7−ヘキシン−1−イル−2−メトキシナフタレン合成を行い、カラムクロマトグラフィー(シリカゲル,トルエンとヘキサンの混合物で展開)により7−ヘキシン−1−イル−2−メトキシナフタレンの淡黄色油状物を得た(20.5g,収率86%)。得られた、7−ヘキシン−1−イル−2−メトキシナフタレン(全量)をトルエン(275ml)中、10%Pd/C(1.83g)を加えて、水素雰囲気下で接触還元を行い、カラムクロマトグラフィー(シリカゲル,トルエンとヘキサンの混合物で展開)により7−ヘキシル−2−メトキシナフタレン(化合物(3)−08, 20.70g,収率 99%)を得た。
EI-MS, m/z=242(M+)
【0139】
実施例12 7−オクチル−2−メトキシナフタレン(化合物(3)−10)の合成
実施例3の7−デシル−2−メトキシナフタレンの合成方法と同様の操作で、7−メトシキ−2−ナフチルトリフルオロメタンスルフォネート(30.63g,0.10mol)と1−オクチン(13.78 g,0.125mol)を用いて、7−オクチン−1−イル−2−メトキシナフタレン合成を行い、カラムクロマトグラフィー(シリカゲル,トルエンとヘキサンの混合物で展開)により7−オクチン−1−イル−2−メトキシナフタレンの淡黄色油状物を得た(22.9g,収率86%)。得られた、7−オクチン−1−イル−2−メトキシナフタレン(全量)をトルエン(213ml)中、10%Pd/C(2.13g)を加えて、水素雰囲気下で接触還元を行い、カラムクロマトグラフィー(シリカゲル,トルエンとヘキサンの混合物で展開)により7−オクチル−2−メトキシナフタレン(化合物(3)−10,24.30g,収率 90%)を得た。
EI-MS, m/z=270(M+)
【0140】
実施例13 7−ドデシル−2−メトキシナフタレン(化合物(3)−14)の合成
実施例3の7−デシル−2−メトキシナフタレンの合成方法と同様の操作で、7−メトシキ−2−ナフチルトリフルオロメタンスルフォネート(30.63g,0.10mol)と1−ドデシン(20.79g,0.125mol)を用いて、7−ドデシン−1−イル−2−メトキシナフタレン合成を行い、カラムクロマトグラフィー(シリカゲル,トルエンとヘキサンの混合物で展開)により7−ドデシン−1−イル−2−メトキシナフタレンの淡黄色油状物を得た(32.0g,定量的)。得られた、7−ドデシン−1−イル−2−メトキシナフタレン(全量)をトルエン(316ml)中、10%Pd/C(2.11g)を加えて、水素雰囲気下で接触還元を行い、カラムクロマトグラフィー(シリカゲル,トルエンとヘキサンの混合物で展開)により7−ドデシル−2−メトキシナフタレンの合成(化合物(3)−14,31.10g,収率96%)を得た。
EI-MS, m/z=326(M+)
【0141】
化合物(3)から化合物(4)へ誘導する実施例を以下に示す。
実施例14 6−n−デシル−3−メチルチオ−2−メトキシナフタレン(化合物(4)−64)の合成
6−n−デシル−2−メトキシナフタレン(化合物(3)−64)(12g,40mmol)のTHF(100ml)溶液に1.57Mn−BuLiのヘキサン溶液(28ml,44mmol)を−78℃で加え、室温で1時間攪拌した。ここにジメチルジスルフィド(4.4ml,48mmol)を−78℃で加え、18時間室温で攪拌した。反応液を飽和塩化アンモニウム水溶液(50ml)に加えエーテル(30ml×3)で抽出した。3回の抽出により得られた抽出液を合わせ、飽和食塩水(30ml×3)で洗浄後、MgSO4で乾燥した。エバポレータで濃縮して6−n−デシル−3−メチルチオ−2−メトキシナフタレン(化合物(4)−64)(15.2g,定量的)を黄色オイルとして得た。次の反応には、これ以上精製せずに用いることができる。
1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ0.87 (t, J = 6.7 Hz, 3H), 1.25-1.32 (m, 14H), 1.67 (quint, J = 7.7 Hz, 2H), 2.72 (t, J = 7.2 Hz, 2H), 2.53 (s, 3H), 2.72 (t, J = 7.8 Hz, 2H), 3.98 (s, 3H), 7.05 (s, 1H), 7.23 (d, J = 6.8 Hz, 1H), 7.40 (s, 1H), 7.48(s, 1H), 7.62 (d, J = 8.8 Hz, 1H); 13C NMR (100 MHz, CDCl3); δ14.1, 14.6, 22.7, 29.4, 29.6(×3), 31.5, 31.9, 36.0, 55.8, 104.6, 122.9, 125.0, 126.3, 127.0,129.4, 130.4, 138.7, 154.0; EIMS (70 eV) m/z = 344 (M+). Anal Calcd for C22H32OS: C, 76.69; H, 9.36%. Found: C, 76.83; H, 9.66%.
【0142】
実施例15 7−デシル−3−メチルチオ−2−メトキシナフタレン(化合物(4)−12)の合成
実施例14と同様の方法で、7−デシル−2−メトキシナフタレン(化合物(3)−12)とジメチルジスルフィドから、7−デシル−3−メチルチオ−2−メトキシナフタレン(化合物(4)−12)を合成した(93%の収率、ヘキサンから再結晶し黄色結晶を得た)。
mp 49.5〜50.4℃; 1H NMR (500 MHz, CDCl3) δ0.87 (t, J = 6.8 Hz, 3H), 1.24-1.69 (m, 16H), 2.53 (s, 3H), 2.72 (t, J = 7.8 Hz, 2H), 3.99 (s, 3H), 7.03 (s, 1H), 7.18 (d, J = 8.4 Hz, 1H), 7.44 (s, 1H), 7.48 (s, 1H), 7.62 (d, J = 8.4 Hz, 1H); 13CNMR (126 MHz, CDCl3); δ14.5, 15.1, 23.0, 29.7(×2), 29.9(×2), 30.0, 31.7, 32.2, 36.4 56.2, 104.8, 123.7, 125.4, 126.0, 126.6, 128.0, 128.6, 132.7, 140.6, 155.0; EIMS (70 eV) m/z = 344 (M+). Anal Calcd for C22H32OS: C, 76.69; H, 9.36%. Found: C, 76.83; H, 9.66%.
【0143】
実施例16 3−メチルチオ−7−フェニル−2−メトキシナフタレン(化合物(4)−22)
実施例14と同様な方法で、7−フェニル−2−メトキシナフタレン(化合物(3)−22)とジメチルジスルフィドから、3−メチルチオ−7−フェニル−2−メトキシナフタレン(化合物(4)−22)を収率77%で得た(再結晶をヘキサンから行い、黄色結晶を得た。)。
mp 149〜150℃; 1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ2.56 (s, 3H), 4.03 (s, 3H), 7.15 (s, 1H), 7.38 (tt, J = 7.4, 1.3 Hz, 1H), 7.46−7.49 (m, 2H), 7.47 (s, 1H), 7.61 (dd, J= 8.4, 1.8 Hz, 1H), 7.70−7.72 (m, 2H), 7.77 (d, J = 8.5 Hz, 1H), 7.92 (d, J =1.8 Hz, 1H);EI−MS, m/z = 280 (M+); Anal. Calcd for C18H16OS: C, 77.11; H, 5.75%. Found: C,77.05; H, 5.64%.
【0144】
実施例17 3−メチルチオ−6−フェニル−2−メトキシナフタレン(化合物(4)−31)の合成
実施例14と同様の方法で、6−フェニル−2−メトシキナフタレン(化合物(3)−31)とジメチルジスルフィドから、3−メチルチオ−6−フェニル−2−メトキシナフタレン(化合物(4)−31)を合成した。
mp 124〜125.2℃; 1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ2.56 (s, 3H), 4.02 (s, 3H), 7.11 (s,1H), 7.36 (tt, J = 7.4, 1.3 Hz, 1H), 7.45−7.50 (m, 2H), 7.53 (s, 1H), 7.66 (dd,J = 8.5, 1.6 Hz, 1H), 7.69−7.72 (m, 2H), 7.77 (d, J = 8.5 Hz, 1H), 7.92 (d, J= 1.6 Hz, 1H); 13C NMR (100 MHz, CDCl3) δ 14.9, 56.3, 104.8, 123.7, 124.8, 125.4, 127.3, 127.4, 127.6, 129.2, 129.9, 130.6, 131.6, 137.2, 141.6; EI−MS, m/z =280 (M+); Anal. Calcd for C18H16OS: C, 77.11; H, 5.75%. Found: C, 77.22; H, 5.75%.
【0145】
実施例18 6−トリル−3−メチルチオ−2−メトキシナフタレン(化合物(4)−32)の合成
実施例14と同様の方法で、6−トリル−2−メトキシナフタレン(化合物(3)−32,33.3g)とジメチルジスルフィドから、6−トリル−3−メチルチオ−2−メトキシナフタレン(化合物(4)−32,19.22g,49%)を得た。次の反応には、これ以上精製せずに進めることができる。
EI-MS, m/z=294(M+)
【0146】
実施例19 7−トリル−3−メチルチオ−2−メトキシナフタレン(化合物(4)−23)の合成
実施例14と同様の方法で、7−トリル−2−メトキシナフタレン(化合物(3)−23,22.2g,89mmol)から、7−トリル−3−メチルチオ−2−メトキシナフタレンの合成を行い、トルエンから再結晶し化合物(化合物(4)−23,11.5g,収率44%)を得た。次の反応には、これ以上精製せずに進めることができる。
EI-MS, m/z=294(M+)
【0147】
実施例20 6−ビフェニル−3−メチルチオ−2−メトキシナフタレン(化合物(4)−33)の合成
実施例14と同様の方法で、6−ビフェニル−2−メトキシナフタレン(化合物(3)−33,24.0g)から、6−ビフェニル−3−メチルチオ−2−メトキシナフタレン(化合物(4)−33,22.3g,81%)を得た。次の反応には、これ以上精製せずに進めることができる。
EI-MS, m/z=356(M+)
【0148】
実施例21 7−ビフェニル−3−メチルチオ−2−メトキシナフタレン(化合物(4)−24)の合成
実施例14と同様の方法で、7−ビフェニル−2−メトキシナフタレン(化合物(3)−24,21.5g)から、7−ビフェニル−3−メチルチオ−2−メトキシナフタレンの合成(化合物(4)−24)の合成を行い、トルエンから再結晶し化合物(4)−23(16.0g,収率65%)を得た。次の反応には、これ以上精製せずに進めることができる。
EI-MS, m/z=356(M+)
【0149】
実施例22 7−ブチル−3−メチルチオ−2−メトキシナフタレン(化合物(4)−04)の合成
実施例14と同様の方法で、7−ブチル−2−メトキシナフタレン(化合物(3)−04,17.80g,83.1mmol)から、7−ブチル−3−メチルチオ−2−メトキシナフタレン(化合物(4)−04,22.3g,収率100%)を得た。次の反応には、これ以上精製せずに進めることができる。
EI-MS, m/z=260(M+)
【0150】
実施例23 7−ヘキシル−3−メチルチオ−2−メトキシナフタレン(化合物(4)−08)の合成
実施例14と同様の方法で、7−ヘキシル−2−メトキシナフタレン(化合物(3)−08)から、7−ヘキシル−3−メチルチオ−2−メトキシナフタレン(化合物(4)−08,24.7g,定量的)を得た。次の反応には、これ以上精製せずに進めることができる。
EI-MS, m/z=288(M+)
【0151】
実施例24 7−オクチル−3−メチルチオ−2−メトキシナフタレン(化合物(4)−10)の合成
実施例14と同様の方法で、7−オクチル−2−メトキシナフタレン(化合物(3)−10)から、7−オクチル−3−メチルチオ−2−メトキシナフタレンの合成(化合物(4)−10,27.09g,収率95%)を得た。次の反応には、これ以上精製せずに進めることができる。
EI-MS, m/z=316(M+)
【0152】
実施例25 7−ドデシル−3−メチルチオ−2−メトキシナフタレン(化合物(4)−14)の合成
実施例14と同様の方法で、7−ドデシル−2−メトキシナフタレン(化合物(3)−14)から、7−ドデシル−3−メチルチオ−2−メトキシナフタレン(化合物(4)−14,34.1g,収率96%)を得た。次の反応には、これ以上精製せずに進めることができる。
EI-MS, m/z=372(M+)
【0153】
化合物(4)の置換基は、以下の操作により容易に他の置換基を持つ誘導体へと変換することが可能である。
【0154】
合成例1 6−デシル−3−メチルチオ−2−(トリフルオロメタンスルフォニルオキシ)ナフタレン(化合物(4)−81)の合成
【0155】
(合成例1−1):6−デシル−3−メチルチオ−2−ヒドロキシナフタレンの合成
【化23】

6−デシル−3−メチルチオ−2−メトキシナフタレン(化合物(4)−64)(28g,81mmol)のジクロロメタン(50ml)溶液をBBr(ca.2M70ml,140mmol)のジクロロメタン溶液に−78℃で加えた。12時間室温で攪拌し、混合物に氷(約20g)を加えた。反応液をジクロロメタン(20ml×3)で抽出した。3回の抽出により得られた有機層を合わせて、飽和食塩水(30ml×3)で洗浄し、MgSOで乾燥し、濃縮した。残渣をカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、ジクロロメタン:ヘキサン=1:1で展開)により精製し、ヘキサンより再結晶し6−デシル−3−メチルチオ−2−ヒドロキシナフタレン(18.1g,72%)を白色結晶として得た。
mp 65.5〜66.0 ℃; 1H NMR (270 MHz, CDCl3) δ0.88 (t, J = 6.7 Hz, 3H), 1.26-1.32(m, 14H), 1.67 (quint, J= 7.7 Hz, 2H), 2.41 (s, 3H), 2.71 (t, J = 7.3 Hz, 2H), 6.57 (s, 1H), 7.28 (s, 1H), 7.28 (dd, J = 8.2 Hz, 1.6 Hz, 1H), 7.48 (brs, 1H), 7.61 (d, J = 8.6 Hz, 1H), 7.94 (s, 1H); 13C NMR (100 MHz, CDCl3) δ14.1, 19.9, 22.7, 29.3, 29.6 (×3), 31.4, 31.9, 35.9, 109.1, 124.1, 125.7, 126.3, 128.7, 129.1, 133.5 (×2), 138.5, 152.1; IR (KBr) ν3402 cm-1(OH); EIMS (70 eV) m/z = 330 (M+); Anal. Calcd for C21H30OS: C, 76.31; H, 9.15%. Found: C, 76.34; H, 9.23%.
【0156】
(合成例1−2):6−デシル−3−メチルチオ−2−(トリフルオロメタンスルフォニルオキシ)ナフタレン(化合物(4)−81)の合成
【化24】

得られた6−デシル−3−メチルチオ−2−ヒドロキシナフタレン(3.63g,10mmol)とピリジン(2.5ml,30mmol)とのジクロロメタン(50ml)溶液にトリフルオロメタンスルホン酸無水物(3ml,15mmol)を0℃で加えた。これを25分間室温で攪拌したのち、混合物を水(20ml)で希釈し塩酸(4M,20ml)を加えた。この混合物をジクロロメタン(30ml×3)で抽出した。3回の抽出により得られた有機層を合わせ、飽和食塩水(30ml×3)で洗浄し、MgSO4で乾燥し濃縮して6−デシル−3−メチルチオ−2−(トリフルオロメタンスルフォニルオキシ)ナフタレン(化合物(4)−81)(4.89g,99%)を得た。
mp 42.0〜42.9℃; 1H NMR (270 MHz, CDCl3) δ0.88 (t, J = 6.7 Hz, 3H), 1.26-1.32(m, 14H), 1.68 (quint, J= 7.7 Hz, 2H), 2.59 (s, 3H), 2.76 (t, J = 7.3 Hz, 2H), 7.36 (dd, J = 8.7 Hz, 1.8 Hz, 1H), 7.57 (brs, 1H), 7.63 (s, 1H), 7.68 (s, 1H), 7.72 (d, J = 8.2 Hz, 1H); 13C NMR (100 MHz, CDCl3) δ14.1, 15.8, 22.7, 29.3 (×2), 29.5, 29.6 (×2), 31.2, 31.9, 36.1, 118.7 (q, J = 319 Hz), 119.2, 125.2, 126.3, 127.7, 128.4, 129.4, 130.7, 133.0, 142.7, 144.8; IR (KBr) ν1423, 1211 cm-1 (-O-SO2-); EIMS (70 eV) m/z = 462 (M+); Anal. Calcd for C22H29F3O3S2: C, 57.12; H, 6.32%. Found C, 56.91; H, 6.15%.
【0157】
合成例2 7−デシル−3−メチルチオ−2−(トリフルオロメタンスルホニルオキシ)ナフタレン(化合物(4)−77)の合成
【0158】
(合成例2−1):7−デシル−3−メチルチオ−2−ヒドロキシナフタレンの合成
実施例15で合成した7−デシル−3−メチルチオ−2−メトキシナフタレン(化合物(4)−12)を、(合成例1−1)の操作で脱メチル化し、7−デシル−3−メチルチオ−2−ヒドロキシナフタレンを得た。
収率85%;黄色結晶(ヘキサン再結晶);
mp 64.4〜65.4℃; 1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ0.88 (t, J = 6.9 Hz, 3H), 1.24-1.72 (m, 16H), 2.40 (s, 3H), 2.72 (t, J = 7.7 Hz, 2H), 6.63 (s, 1H), 7.17 (dd, J = 8.4, 1.6 Hz, 1H), 7.45 (s, 1H), 7.63 (d, J = 8.4 Hz, 1H), 7.97 (s, 1H); 13C NMR (100 MHz, CDCl3) δ14.4, 20.4, 23.0, 29.6, 29.7, 29.9 (×2), 31.6, 32.2, 36.5, 109.1, 123.4, 125.2, 125.9, 127.5, 127.8, 134.5, 135.8, 142.3, 153.2; IR (KBr) ν3402 cm-1 (OH); EI-MS, m/z = 330 (M+); Anal. Calcd for C21H30OS: C, 76.31; H, 9.15%. Found: C, 76.62; H, 9.38%.
【0159】
(合成例2−2):7−デシル−3−メチルチオ−2−(トリフルオロメタンスルホニルオキシ)ナフタレン(化合物(4)−77)の合成
(合成例1−2)における操作と同様の操作で7−デシル−3−メチルチオ−2−ヒドロキシナフタレンをトリフルオロメタンスルホニル化し、7−デシル−3−メチルチオ−2−(トリフルオロメタンスルホニルオキシ)ナフタレン(化合物(4)−77)を得た。
収率94%;黄色結晶(ヘキサン再結晶);
mp 149〜150℃; 1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ2.44 (s, 3H), 6.64 (s, 1H), 7.38-7.40 (m, 2H), 7.48 (tt, J = 7.6, 1.8 Hz, 1H), 7.60 (d, J = 8.5 Hz, 1H), 7.70-7.72 (m, 2H), 7.80 (dd, J = 8.5, 2.0 Hz, 1H), 7.88 (s, 1H), 8.02 (d, J = 2.0 Hz, 1H); 13C NMR (126 MHz, CDCl3) δ14.4, 16.4, 23.0, 29.6, 29.7, 29.8, 29.9, 30.0, 31.5, 32.2, 36.3, 119.0 (q, J = 320 Hz), 119.3, 126.6, 127.0, 127.5, 129.7, 129.9, 131.6, 131.8, 142.1, 125.9; IR (neat) ν1427, 1213 cm-1 (-O-SO2-); EI-MS, m/z =266 (M+); Anal. Calcd for C17H14OS: C, 76.66; H, 5.30%. Found: C, 76.97; H, 5.14%.
【0160】
合成例3 3−メチルチオ−7−フェニル−2−(トリフルオロメタンスルホニルオキシ)ナフタレン(化合物(4)−72)の合成
【0161】
(合成例3−1):3−メチルチオ−7−フェニル−2−ナフトールの合成
実施例16で合成した3−メチルチオ−7−フェニル−2−メトキシナフタレン(化合物(4)−22)を(合成例1−1)の操作で脱メチル化し、3−メチルチオ−7−フェニル−2−ナフトールを得た。
収率94%;黄色結晶(ヘキサン再結晶);
mp 149〜150℃; 1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ2.44 (s, 3H), 6.64 (s, 1H), 7.38-7.40 (m, 2H), 7.48 (tt, J = 7.6, 1.8 Hz, 1H), 7.60 (d, J = 8.5 Hz, 1H), 7.70-7.72 (m, 2H), 7.80 (dd, J = 8.5, 2.0 Hz, 1H), 7.88 (s, 1H), 8.02 (d, J = 2.0 Hz, 1H); 13C NMR (100 MHz, CDCl3) δ20.2, 109.8, 124.1, 124.7, 127.7, 127.9, 128.5, 129.2 (×2), 134.1, 135.7, 140.1, 141.3, 153.4; IR (KBr) ν3497 cm-1 (OH); EI-MS, m/z = 266 (M+); Anal. Calcd for C17H14OS: C, 76.66; H, 5.30%. Found: C, 76.97; H,5.14%.
【0162】
(合成例3−2):3−メチルチオ−7−フェニル−2−(トリフルオロメタンスルホニルオキシ)ナフタレン(化合物(4)−72)の合成
(合成例1−2)における操作と同様の操作で3−メチルチオ−7−フェニル−2−ナフトールをトリフルオロメタンスルホニル化し、3−メチルチオ−7−フェニル−2−(トリフルオロメタンスルホニルオキシ)ナフタレン(化合物(4)−72)を得た。
収率98%;黄色結晶(ヘキサン再結晶);
mp 87.8〜88.7℃; 1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ2.62 (s, 3H), 7.41 (tt, J = 7.2, 1.2 Hz, 1H), 7.45-7.52 (m, 2H), 7.68-7.71 (m, 2H), 7.72 (s, 1H), 7.79 (s, 1H), 7.82 (dd, J = 8.4, 1.6 Hz, 1H), 7.87 (d, J = 8.4 Hz, 1H), 8.00 (s, 1H); 13C NMR (126 MHz, CDCl3) δ16.0, 119.0 (q, J = 321 Hz), 120.0, 125.9, 126.8, 127.6, 127.7, 127.8, 128.2, 129.3, 131.3, 131.7, 132.3, 139.8, 140.5, 146.0; IR (KBr) ν1425, 1209 cm-1(O-SO2-); EI-MS, m/z = 398 (M+); Anal. Calcd for C18H13O3S2F3: C, 54.26; H, 3.29%. Found: C, 54.42; H, 3.08%.
【0163】
合成例4 3−メチルチオ−6−フェニル−2−(トリフルオロメタンスルホニルオキシ)ナフタレン(化合物(4)−73)の合成
(合成例4−1):3−メチルチオ−6−フェニル−2−ナフトールの合成
実施例17で合成した3−メチルチオ−6−フェニル−2−メトキシナフタレン(化合物(4)−31)を、(合成例1−1)の操作で脱メチル化し、3−メチルチオ−6−フェニル−2−ナフトールを得た。
収率73%;黄色結晶(ヘキサン再結晶);
mp 128.9〜129.8℃; 1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ2.45 (s, 3H), 6.63 (s, 1H), 7.35 (s, 1H), 7.37 (tt, J = 7.4, 1.3 Hz, 1H), 7.45-7.50 (m, 2H), 7.72 (dd, J = 8.5, 1.8 Hz, 1H), 7.76 (d, J = 8.6 Hz, 1H) 7.68-7.72 (m, 2H), 7.76 (d, J = 8.5 Hz, 1H), 7.92 (d, J = 1.8 Hz, 1H); 13C NMR (100 MHz, CDCl3) δ20.2, 109.4, 125.2, 125.5, 127.1, 127.3, 127.5, 127.6, 129.2, 129.5, 134.5 (×2), 137.0, 141.3, 153.1; IR (KBr) ν3402 cm-1 (OH); EI-MS, m/z = 266 (M+); Anal. Calcd for C17H14OS: C, 76.66; H, 5.30%. Found: C, 76.50; H, 5.15%.
【0164】
(合成例4−2):3−メチルチオ−6−フェニル−2−(トリフルオロメタンスルホニルオキシ)ナフタレン(化合物(4)−73)の合成
(合成例1−2)の操作と同様の操作で3−メチルチオ−6−フェニル−2−ナフトールをトリフルオロメタンスルホニル化し、3−メチルチオ−6−フェニル−2−(トリフルオロメタンスルホニルオキシ)ナフタレン(化合物(4)−73)を得た。
収率 定量的;黄色結晶(ヘキサン再結晶);
mp 79.4〜80.3℃; 1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ2.62 (s, 3H), 7.42 (tt, J = 7.4, 1.3Hz, 1H), 7.43-7.52 (m, 2H), 7.68-7.71 (m, 2H), 7.74 (s, 1H), 7.75 (s, 1H), 7.77 (dd, J = 8.5, 1.8 Hz, 1H), 7.88 (d, J = 8.5 Hz, 1H), 7.99 (d, J = 1.8 Hz, 1H); 13C NMR (126 MHz, CDCl3) δ16.0, 119.0 (q, J = 321 Hz), 119.6, 124.9, 126.8, 127.1, 127.8, 128.2, 128.7, 129.3, 130.5, 131.9, 133.4, 140.7, 140.9, 145.6; IR (KBr) ν1429, 1225 cm-1(O-SO2-); EI-MS, m/z = 398 (M+); Anal. Calcd for C18H13O3S2F3: C, 54.26; H, 3.29%. Found: C, 54.17; H, 3.01%.
【0165】
合成例5 6−トリル−3−メチルチオ−2−トリフルオロメタンスルフォニルオキシナフタレン(化合物(4)−83)の合成
(合成例1−1)と同様の方法で、実施例18で得られた6−トリル−3−メチルチオ−2−メトキシナフタレン(化合物(4)−32,10.5g)をBBrのジクロロメタン溶液で脱メチル化し、その後、CFSO化して、6−トリル−3−メチルチオ−2−トリフルオロメタンスルフォニルオキシナフタレンの合成(化合物(4)−83,12.5g,収率85%)を得た。
EI-MS, m/z=412(M+)
【0166】
合成例6 7−トリル−3−メチルチオ−2−トリフルオロメタンスルフォニルオキシナフタレンの合成(化合物(4)−82)
(合成例1−1)と同様の方法で、実施例19で得られた7−トリル−3−メチルチオ−2−メトキシナフタレン(化合物(4)−23,15.4g)をBBrのジクロロメタン溶液で脱メチル化し、その後、CFSO化して、7−トリル−3−メチルチオ−2−トリフルオロメタンスルフォニルオキシナフタレン(化合物(4)−82,8.62g,収率67%)を得た。
EI-MS, m/z=412(M+)
【0167】
合成例7 6−ビフェニル−3−メチルチオ−2−トリフルオロメタンスルフォニルオキシナフタレンの合成(化合物(4)−85)
(合成例1−1)と同様の方法で、実施例20で得られた6−ビフェニル−3−メチルチオ−2−メトキシナフタレンの合成(化合物(4)−33,15.4g)をBBrのジクロロメタン溶液で脱メチル化し、その後、CFSO化して、6−ビフェニル−3−メチルチオ−2−トリフルオロメタンスルフォニルオキシナフタレン(化合物(4)−85,15.9g,収率77%)を得た。
EI-MS, m/z=474(M+)
【0168】
合成例8 7−ビフェニル−3−メチルチオ−2−トリフルオロメタンスルフォニルオキシナフタレン(化合物(4)−84)の合成
(合成例1−1)と同様の方法で、実施例21で得られた7−ビフェニル−3−メチルチオ−2−メトキシナフタレンの合成(化合物(4)−24,15.8g)をBBrのジクロロメタン溶液で脱メチル化し、その後、CFSO化して、7−ビフェニル−3−メチルチオ−2−トリフルオロメタンスルフォニルオキシナフタレン(化合物(4)−84,18.9g,収率93%)を得た。
EI-MS, m/z=474(M+)
【0169】
合成例9 7−ブチル−3−メチルチオ−2−トリフルオロメタンスルフォニルオキシナフタレン(化合物(4)−74)の合成
(合成例1−1)と同様の方法で、実施例22で得られた7−ブチル−3−メチルチオ−2−メトキシナフタレン(化合物(4)−04,21.63g,83.1mmol)をBBrのジクロロメタン溶液で脱メチル化し、その後、CFSO化して、7−ブチル−3−メチルチオ−2−トリフルオロメタンスルフォニルオキシナフタレン(化合物(4)−74,18.5g,収率59%)を得た。
EI-MS, m/z=378(M+)
【0170】
合成例10 7−ヘキシル−3−メチルチオ−2−トリフルオロメタンスルフォニルオキシナフタレンの合成(化合物(4)−75)
(合成例1−1)と同様の方法で、実施例23で得られた7−ヘキシル−3−メチルチオ−2−メトキシナフタレン(化合物(4)−08,24.7g)をBBrのジクロロメタン溶液で脱メチル化し、その後、CFSO化して、7−ヘキシル−3−メチルチオ−2−トリフルオロメタンスルフォニルオキシナフタレン(化合物(4)−75,23.5g,収率70%)を得た。
EI-MS, m/z=406(M+)
【0171】
合成例11 7−オクチル−3−メチルチオ−2−トリフルオロメタンスルフォニルオキシナフタレン(化合物(4)−76)の合成
(合成例1−1)と同様の方法で、実施例24で得られた7−オクチル−3−メチルチオ−2−メトキシナフタレン(化合物(4)−10,27.09g)をBBrのジクロロメタン溶液で脱メチル化し、その後、CFSO化して、7−オクチル−3−メチルチオ−2−トリフルオロメタンスルフォニルオキシナフタレン(化合物(4)−76,25.00g,収率64%)を得た。
EI-MS, m/z=434(M+)
【0172】
合成例12 7−ドデシル−3−メチルチオ−2−トリフルオロメタンスルフォニルオキシナフタレン(化合物(4)−78)の合成
(合成例1−1)と同様の方法で、実施例25で得られた7−ドデシル−3−メチルチオ−2−メトキシナフタレンの合成(化合物(4)−14,34.1g)をBBrのジクロロメタン溶液で脱メチル化し、その後、CFSO化して、7−ドデシル−3−メチルチオ−2−トリフルオロメタンスルフォニルオキシナフタレン(化合物(4)−78,33.7g,収率72%)を得た。
EI-MS, m/z=490(M+)
【0173】
合成例13 1,2−ビス(トリブチルスタニル)エチレン(化合物(5)−05)の合成
【0174】
(合成例13−1):トリブチルスタニルアセチレンの合成
【化25】

窒素雰囲気下、18w%Naアセチレンのキシレンと、ミネラルオイルのディスパージョンオイル(10ml,8.5g,32mmol)とのTHF(60ml)溶液にトリブチルチンクロリド(8.6ml,32mmol)を0℃で加えた。17時間室温で攪拌した後、混合物をヘキサンで抽出し食塩水で洗浄した。有機層を混合しMgSOで乾燥したのち濃縮した。減圧蒸留(85〜120℃,約0.7mmHg)して、トリブチルスタニルアセチレン(3.6g,34%)を無色油状物質として得た。
1H-NMR (400 MHz, CDCl3) δ0.91 (t, 9H, J = 8.0 Hz), 1.02 (t, 8H, J = 8.0 Hz), 1.35 (sextet, 6H, J = 8.0 Hz), 1.58 (quintet, 6H, J = 8.0 Hz), 2.20 (s,1H)
【0175】
(合成例13−2):1,2−ビス(トリブチルスタニル)エチレン(化合物(5)−05)の合成
【化26】

窒素雰囲気下、トリブチルスタニルアセチレン(1.6g,5mmol)と、トリブチルチンハイドライド(1.3ml,5mmol)とのトルエン(20ml)溶液にアゾビスイソブチロニトリル(100mg,0.60mmol)を加えた。この混合物を17時間、90℃で加熱攪拌し、水(20ml)を加えたのち濃縮した。混合物をヘキサンで抽出し、抽出液を食塩水で洗浄して1,2−ビス(トリブチルスタニル)エチレン(化合物(5)−05)(3.0g,90%)を無色油状物質として得た。
1H-NMR (400 MHz, CDCl3) δ0.86-0.91 (multiplet, 15H), 1.31 (sextet, 6H, J = 8.0Hz), 1.50 (quintet,6H, J = 8.0 Hz), 6.88 (s,2H)
【0176】
実施例26 trans−1,2−ビス(6−デシル−3−メチルチオナフタレン−2−イル)エチレン(化合物(6)−64)の合成
【化27】

6−デシル−3−メチルチオ−2−(トリフルオロメタンスルフォニルオキシ)ナフタレン(化合物(4)−81)(1.9g,4.1mmol)と、1,2−ビス(トリブチルスタニル)エチレン(化合物(5)−05)とのDMF(40ml)溶液に、Pd(PPh(322mg,0.29mmol,7mol%)を加えた。混合物を暗所、90℃で17時間加熱攪拌し、水で希釈しクロロホルムで抽出した。この抽出液をMgSOで乾燥して濃縮した。残渣をカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、ジクロロメタンで展開)により精製し、トランス−1,2−ビス(6−デシル−3−メチルチオナフタレン−2−イル)エチレン(化合物(6)−64)(2.3g,定量的)を黄色固体として得た。
mp 116.8〜117.7℃; 1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ0.88 (t, J = 6.4 Hz, 6H), 1.29-1.70 (m, 32H), 2.58 (s, 6H), 2.75 (t, J = 8.4 Hz, 4H), 7.29 (dd, J = 8.8, 1.6 Hz, 2H), 7.52 (s, 2H), 7.59 (s, 2H), 7.64 (s, 2H), 7.76 (d, J = 8.4 Hz, 2H), 8.06 (s, 2H); 13C NMR (100 MHz, CDCl3) δ14.4, 16.8, 23.0, 24.2, 29.6, 29.8, 29.9, 30.0, 31.7, 32.2, 36.5, 124.3, 125.2, 125.3, 127.6, 128.0, 128.4, 130.3, 133.9, 134.5, 136.0, 141.6; EI-MS m/z = 652 (M+).
【0177】
実施例27 trans−1,2−ビス(7−デシル−3−メチルチオナフタレン−2−イル)エチレン(化合物(6)−12)の合成
実施例26と同様の操作で7−デシル−3−メチルチオ−2−(トリフルオロメタンスルフォニルオキシ)ナフタレン(化合物(4)−77)及び1,2−ビス(トリブチルスタニル)エチレン(化合物(5)−05)から、trans−1,2−ビス(7−デシル−3−メチルチオナフタレン−2−イル)エチレン(化合物(6)−12)を得た。
収率98%;黄色結晶(再結晶ヘキサン);
mp 87.8-88.7℃; 1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 2.62 (s, 3H), 7.41 (tt, J = 7.2, 1.2Hz, 1H), 7.45-7.52 (m, 2H), 7.68-7.71 (m, 2H), 7.72 (s, 1H), 7.79 (s, 1H), 7.82 (dd, J= 8.4, 1.6 Hz, 1H), 7.87 (d, J= 8.4 Hz, 1H), 8.00 (s, 1H); EI-MS, m/z = 398 (M+); Anal. Calcd for C18H13O3S2F3: C, 54.26; H, 3.29%. Found: C, 54.42; H, 3.08%.
【0178】
実施例28 trans−1,2−ビス(3−メチルチオ−7−フェニルナフト−2−イル)エチレン(化合物(6)−22)の合成
実施例26と同様の操作で3−メチルチオ−7−フェニル−2−(トリフルオロメタンスルホニルオキシ)ナフタレン(化合物(4)−72)と、1,2−ビス(トリブチルスタニル)エチレン(化合物(5)−05)とから、trans−1,2−ビス(3−メチルチオ−7−フェニルナフト−2−イル)エチレン(化合物(6)−22)を得た。
収率63%;黄色固体(再結晶ヘキサン);
mp 87.8〜88.7℃; 1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ2.63 (s, 6H), 7.40 (tt, J = 7.4, 1.2 Hz, 2H), 7.48-7.52 (m, 4H), 7.68 (s, 2H), 7.73-7.76 (m, 4H), 7.72 (s, 2H), 7.72 (d, J = 8.2 Hz, 2H), 7.83 (d, J = 8.2 Hz, 2H), 8.08 (s, 2H), 8.17 (s, 2H); EI-MS, m/z = 524 (M+); Anal. Calcd for C34H25S2: C, 82.40; H, 5.38%. Found: C, 82.38; H, 5.22%.
【0179】
実施例29 trans−1,2−ビス(3−メチルチオ−6−フェニルナフト−2−イル)エチレン(化合物(6)−31)の合成
実施例26と同様の操作で3−メチルチオ−6−フェニル−2−(トリフルオロメタンスルホニルオキシ)ナフタレン(化合物(4)−73)と、1,2−ビス(トリブチルスタニル)エチレン(化合物(5)−05)とから、trans−1,2−ビス(3−メチルチオ−6−フェニルナフト−2−イル)エチレン(化合物(6)−31)を得た。
収率57%;黄色固体(再結晶ヘキサン);
mp 191.5〜192.4℃; 1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ2.64 (s, 6H), 7.40 (tt, J = 7.2, 1.6 Hz, 2H), 7.48-7.53 (m, 4H), 7.71 (s, 2H), 7.72 (s, 2H), 7.73-7.76 (m, 4H), 7.76 (d, J = 8.7 Hz, 2H), 7.94 (d, J = 8.7 Hz, 2H), 7.97 (s, 2H), 8.14 (s, 2H); EI-MS, m/z = 524 (M+); Anal. Calcd for C34H25S2: C, 82.40; H, 5.38%. Found: C, 82.22; H, 5.29%.
【0180】
実施例30 trans−1,2−ビス(6−トリル−3−メチルチオナフタレン−2−イル)エチレン(化合物(6)−32)の合成
実施例26と同様の操作で、6−トリル−3−メチルチオ−2−トリフルオロメタンスルフォニルオキシナフタレンの合成(化合物(4)−83,12.5g)から、trans−1,2−ビス(6−トリル−3−メチルチオナフタレン−2−イル)エチレン(化合物(6)−32,2.0g,収率24%)を淡黄色固体で得た。
EI-MS, m/z=552(M+)
【0181】
実施例31 trans−1,2−ビス(7−トリル−3−メチルチオナフタレン−2−イル)エチレン(化合物(6)−23)の合成
実施例26と同様の操作で、7−トリル−3−メチルチオ−2−トリフルオロメタンスルフォニルオキシナフタレン(化合物(4)−82,8.50g)から、trans−1,2−ビス(7−トリル−3−メチルチオナフタレン−2−イル)エチレン(化合物(6)−23,3.64g,収率64%)を淡黄色固体で得た。
EI-MS, m/z=552(M+)
【0182】
実施例32 trans−1,2−ビス(6−ビフェニル−3−メチルチオナフタレン−2−イル)エチレン(化合物(6)−33)の合成
実施例26と同様の操作で、6−ビフェニル−3−メチルチオ−2−トリフルオロメタンスルフォニルオキシナフタレン(化合物(4)−85,15.8g)から、trans−1,2−ビス(6−ビフェニル−3−メチルチオナフタレン−2−イル)エチレン(化合物(6)−33,8.52g,収率76%)を淡黄色固体で得た。
EI-MS, m/z=676(M+)
【0183】
実施例33 trans−1,2−ビス(7−ビフェニル−3−メチルチオナフタレン−2−イル)エチレン(化合物(6)−24)の合成
実施例26と同様の操作で、7−ビフェニル−3−メチルチオ−2−トリフルオロメタンスルフォニルオキシナフタレン(化合物(4)−84,18.9g)から、trans−1,2−ビス(7−ビフェニル−3−メチルチオナフタレン−2−イル)エチレン(化合物(6)−24,11.56g,収率86%)を淡黄色固体で得た。
EI-MS, m/z=676(M+)
【0184】
実施例34 trans−1,2−ビス(7−ブチル−3−メチルチオナフタレン−2−イル)エチレン(化合物(6)−04)の合成
実施例26と同様の操作で、7−ブチル−3−メチルチオ−2−トリフルオロメタンスルフォニルオキシナフタレン(化合物(4)−74,18.20g,47.6mmol)から、trans−1,2−ビス(7−ブチル−3−メチルチオナフタレン−2−イル)エチレン(化合物(6)−04)を淡黄色固体(5.32g,収率45%)で得た。
EI-MS, m/z=492(M+)
【0185】
実施例35 trans−1,2−ビス(7−ヘキシル−3−メチルチオナフタレン−2−イル)エチレン(化合物(6)−08)の合成
実施例26と同様の操作で、7−ヘキシル−3−メチルチオ−2−トリフルオロメタンスルフォニルオキシナフタレン(化合物(4)−75,23.3g)から、trans−1,2−ビス(7−ヘキシル−3−メチルチオナフタレン−2−イル)エチレン(化合物(6)−08)を淡黄色固体(6.73g,収率43%)で得た。
EI-MS, m/z=540(M+)
【0186】
実施例36 trans−1,2−ビス(7−オクチル−3−メチルチオナフタレン−2−イル)エチレン(化合物(6)−10)の合成
実施例26と同様の操作で、7−オクチル−3−メチルチオ−2−トリフルオロメタンスルフォニルオキシナフタレン(化合物(4)−76,25.00g)から、trans−1,2−ビス(7−オクチル−3−メチルチオナフタレン−2−イル)エチレン(化合物(6)−10)を淡黄色固体(7.46g,収率43%)で得た。
EI-MS, m/z=596(M+)
【0187】
実施例37 trans−1,2−ビス(7−ドデシル−3−メチルチオナフタレン−2−イル)エチレン(化合物(6)−14)の合成
実施例26と同様の操作で、7−オクチル−3−メチルチオ−2−トリフルオロメタンスルフォニルオキシナフタレンの合成(化合物(4)−78,27.8g)から、trans−1,2−ビス(7−ドデシル−3−メチルチオナフタレン−2−イル)エチレン(化合物(6)−14)を淡黄色固体(8.08g,収率40%)で得た。
EI-MS, m/z=709(M+)
【0188】
合成例14 2,9−ジデシルジナフト[2,3−b:2’,3’−f]チエノ[2,3−b]チオフェン(化合物(2)−64)の合成
【化28】

trans−1,2−ビス(6−デシル−3−メチルチオナフタレン−2−イル)エチレン(化合物(6)−64)(38mg,58mmol)とI(470mg,1.8mmol)とのクロロホルム(4ml)溶液を20時間室温で攪拌した。この混合物を濃縮し、メタノール(5ml)とNaHSO水溶液(5ml)とを加えた。ろ別してから、水、アセトン、メタノール、及びトルエンで洗浄し、2,9−ジデシルジナフト[2,3−b:2’,3’−f]チエノ[2,3−b]チオフェン(化合物(2)−64)(29mg,81%)を黄色固体として得た。
EIMS (70 eV) m/z = 620 (M+).
【0189】
実施例38 3,10−ジデシルジナフト[2,3−b:2’,3’−f]チエノ[2,3−b]チオフェン(化合物(1)−12)の合成
合成例14と同様の方法で、trans−1,2−ビス(7−デシル−3−メチルチオナフタレン−2−イル)エチレン(化合物(6)−12)から、3,10−ジデシルジナフト[2,3−b:2’,3’−f]チエノ[2,3−b]チオフェン(化合物(1)−12)を得た。
収率71%;mp 187〜188℃;
1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ0.88 (t, J = 6.9 Hz, 6H), 1.24-1.79 (m, 32H), 2.82 (t, J = 7.7 Hz, 4H), 7.38 (dd, J = 8.5, 1.6 Hz, 2H), 7.79 (s, 2H), 7.86 (d, J = 8.5 Hz, 2H), 8.29 (s, 2H), 8.36 (s, 2H); EI-MS, m/z = 620 (M+); Anal. Calcd for C42H52S2: C, 81.46; H, 8.43%. Found: C, 81.13; H, 8.43%.
【0190】
実施例39 3,10−ジフェニルジナフト[2,3−b:2’,3’−f]チエノ[3,2−b]チオフェン(3,10−PhDNTT)(化合物(1)−22)の合成
合成例14と同様の方法で、trans−1,2−ビス(3−メチルチオ−7−フェニルナフト−2−イル)エチレン(化合物(6)−22)から、3,10−ジフェニルジナフト[2,3−b:2’,3’−f]チエノ[3,2−b]チオフェン(3,10−PhDNTT)(化合物(1)−22)を得た。
収率85%;mp>300℃;
EI−MS, m/z = 492 (M+); Anal. Calcd for C34H20S2: C, 82.89 H, 4.09%. Found: C, 82.80 H 3.78%.
【0191】
実施例40 2,9−ジフェニルジナフト[2,3−b:2’,3’−f]チエノ[3,2−b]チオフェン(2,9−PhDNTT)(化合物(1)−31)の合成
合成例14と同様の方法で、trans−1,2−ビス(3−メチルチオ−6−フェニルナフト−2−イル)エチレン(化合物(6)−31)から、2,9−ジフェニルジナフト[2,3−b:2’,3’−f]チエノ[3,2−b]チオフェン(2,9−PhDNTT)(化合物(1)−31)を得た。
収率89%;mp>300℃;
EI-MS, m/z = 492 (M+); Anal. Calcd for C34H20S2: C, 82.89 H, 4.09%. Found: C, 82.73 H, 3.75%.
【0192】
実施例41 2,9−ジトリルジナフト[2,3−b:2’,3’−f]チエノ[2,3−b]チオフェン(化合物(1)−32)の合成
合成例14と同様の方法で、trans−1,2−ビス(6−トリル−3−メチルチオナフタレン−2−イル)エチレンの合成(化合物(6)−32,2.0g)から、2,9−ジトリルジナフト[2,3−b:2’,3’−f]チエノ[2,3−b]チオフェン(化合物(1)−32)を黄色固体(1.78g,95%)で得た。
EI-MS, m/z=520(M+),427,260(M+/2)。
熱分析(吸熱ピーク):492℃(TG−DTA使用、窒素)
【0193】
実施例42 3,10−ジトリルジナフト[2,3−b:2’,3’−f]チエノ[2,3−b]チオフェン(化合物(1)−23)の合成
合成例14と同様の方法で、trans−1,2−ビス(7−トリル−3−メチルチオナフタレン−2−イル)エチレン(化合物(6)−23,3.60g)から、3,10−ジトリルジナフト[2,3−b:2’,3’−f]チエノ[2,3−b]チオフェン(化合物(1)−23)を黄色固体(3.38g,定量的)で得た。
EI-MS, m/z=520(M+),427,260(M+/2),172.
熱分析(吸熱ピーク):401℃(TG−DTA使用、窒素)
【0194】
実施例43 2,9−ジビフェニルジナフト[2,3−b:2’,3’−f]チエノ[2,3−b]チオフェン(化合物(1)−33)の合成
合成例14と同様の方法で、trans−1,2−ビス(6−ビフェニル−3−メチルチオナフタレン−2−イル)エチレンの合成(化合物(6)−33,8.40g)をヨウ素と反応させ、2,9−ジビフェニルジナフト[2,3−b:2’,3’−f]チエノ[2,3−b]チオフェン(化合物(1)−33)を黄色固体(7.76g,97%)で得た。
EI-MS, m/z=644(M+),566,490,429,322(M+/2),207.
熱分析(吸熱ピーク)500℃まで明確なピークなし(TG−DTA使用、窒素)
【0195】
実施例44 3,10−ジビフェニルジナフト[2,3−b:2’,3’−f]チエノ[2,3−b]チオフェン(化合物(1)−24)の合成
合成例14と同様の方法で、trans−1,2−ビス(7−ビフェニル−3−メチルチオナフタレン−2−イル)エチレン(化合物(6)−24,11.50g)をヨウ素と反応させ、3,10−ジビフェニルジナフト[2,3−b:2’,3’−f]チエノ[2,3−b]チオフェン(化合物(1)−24)を黄色固体(10.32g,収率94%)で得た。
EI-MS, m/z=644(M+),492,429,322(M+/2),270.
熱分析(吸熱ピーク):500℃まで明確なピークなし(TG−DTA使用、窒素)
【0196】
実施例45 3,10−ジブチルジナフト[2,3−b:2’,3’−f]チエノ[2,3−b]チオフェン(化合物(1)−04)の合成
合成例14と同様の方法で、trans−1,2−ビス(7−ブチル−3−メチルチオナフタレン−2−イル)エチレン(化合物(6)−04)をヨウ素と反応させ、3,10−ジブチルジナフト[2,3−b:2’,3’−f]チエノ[2,3−b]チオフェン(化合物(1)−04)を黄色固体(4.66g,定量的)で得た。
EI-MS, m/z=452(M+),409,366,184,183.
熱分析(吸熱ピーク):185,283℃(DSC使用、窒素)
1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ0.98 (t, 6H), δ1.35〜1.50 (m, 4H), δ1.70-1.80 (m, 4H),δ2.80-2.90 (m, 4H) δ7.39 (dd, 2H, ArH) δ7.78 (s, 2H, ArH) δ7.84 (d, 2H, ArH) δ8.27 (s, 2H, ArH) δ8.34 (s, 2H, ArH) 。
【0197】
実施例46 3,10−ジヘキシルジナフト[2,3−b:2’,3’−f]チエノ[2,3−b]チオフェン(化合物(1)−08)の合成
合成例14と同様の方法で、trans−1,2−ビス(7−ヘキシル−3−メチルチオナフタレン−2−イル)エチレン(化合物(6)−08,6.50g)をヨウ素と反応させ、3,10−ジヘキシルジナフト[2,3−b:2’,3’−f]チエノ[2,3−b]チオフェン(化合物(1)−08)を黄色固体(3.18g,収率52%)で得た。
EI-MS, m/z=508(M+),437,366,184,183
熱分析(吸熱ピーク):202,259℃(DSC使用、窒素)
1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ0.90 (t, 6H), δ1.20〜1.55 (m, 12H), δ1.70-1.80 (m, 4H), δ2.75-2.90 (m, 4H) δ7.39 (dd, 2H, ArH) δ7.78 (s, 2H, ArH) δ7.84 (d, 2H, ArH) δ8.27 (s, 2H, ArH) δ8.34 (s, 2H, ArH) 。
【0198】
実施例47 3,10−ジオクチルジナフト[2,3−b:2’,3’−f]チエノ[2,3−b]チオフェン(化合物(1)−10)の合成
合成例14と同様の方法で、trans−1,2−ビス(7−ヘキシル−3−メチルチオナフタレン−2−イル)エチレン(化合物(6)−10,7.20g,12.1mmol)をヨウ素と反応させ、3,10−ジオクチルジナフト[2,3−b:2’,3’−f]チエノ[2,3−b]チオフェン(化合物(1)−10)を黄色固体(3.50g,収率51%)で得た。
EI-MS, m/z=564(M+),465,366,184,183
熱分析(吸熱ピーク):177,237℃(DSC使用、窒素)
1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ0.88 (m, 6H), δ1.10〜1.50 (m, 20H), δ1.60-1.85 (m, 4H), δ2.70-2.90 (m, 4H) δ7.36 (m, 2H, ArH) δ7.77 (s, 2H, ArH) δ7.83 (d, 2H, ArH) δ8.26 (s, 2H, ArH) δ8.30 (s, 2H, ArH) 。
【0199】
実施例48 3,10−ジドデシルジナフト[2,3−b:2’,3’−f]チエノ[2,3−b]チオフェン(化合物(1)−14)の合成
合成例14と同様の方法で、trans−1,2−ビス(7−ドデシル−3−メチルチオナフタレン−2−イル)エチレン(化合物(6)−14,7.80,11mmol)をヨウ素と反応させ、3,10−ジドデシルジナフト[2,3−b:2’,3’−f]チエノ[2,3−b]チオフェン(化合物(1)−14)を黄色固体(6.26g,収率84%)で得た。
EI-MS, m/z=677(M+),521,366,184,183
熱分析(吸熱ピーク):100,123,158,212℃(DSC使用、窒素)
1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ0.80-0.90 (m, 6H), δ1.20〜1.60 (m, 36H), δ1.70-1.85 (m, 4H), δ2.80-2.90 (m, 4H) δ7.36 (dd, 2H, ArH) δ7.80 (s, 2H, ArH) δ7.83 (d, 2H, ArH) δ8.26 (s, 2H, ArH) δ8.34 (s, 2H, ArH) 。
【0200】
以上のように、新規な合成法が開発されることで、様々な位置に置換基を有する極めて高性能な有機半導体である各種DNTT誘導体(1)、(2)の合成を可能にすることができた。特に、半導体として優れた特性を示す、化合物(1)の合成は、本発明において初めて成功した。
【0201】
次に化合物(1)の新規複素環式化合物及び該化合物からなる半導体層を有する電界効果トランジスタ、及び本発明によって合成した化合物(2)からなる半導体層を有する電界効果トランジスタについて詳細に説明する。
【0202】
実施例49(トップコンタクト型電界効果トランジスタの作製)
オクタデシルトリクロロシラン処理を行った300nmのSiO熱酸化膜付きnドープシリコンウェハー(面抵抗0.02Ω・cm以下)を真空蒸着装置内に設置し、装置内の真空度が5.0×10−3Pa以下になるまで排気した。抵抗加熱蒸着法によって、この電極に基板温度約60℃の条件下、化合物(1)−12、(1)−22及び(1)−31をそれぞれ50nmの厚さに蒸着し、半導体層(2)を形成した。次いでこの基板に電極作製用シャドウマスクを取り付け、真空蒸着装置内に設置し、装置内の真空度が1.0×10−4Pa以下になるまで排気し、抵抗加熱蒸着法によって、金の電極、すなわちソース電極(1)及びドレイン電極(3)を40nmの厚さに蒸着し、TC(トップコンタクト)型である本発明の電界効果トランジスタを得た。
【0203】
なお、電界効果トランジスタにおいては、熱酸化膜付きnドープシリコンウェハーにおける熱酸化膜が絶縁体層(4)の機能を有し、nドープシリコンウェハーが基板(6)及びゲート電極(5)の機能を兼ね備えている(図3参照)。
得られた電界効果トランジスタをプローバー内に設置し半導体パラメーターアナライザー4155C(Agilent社製)を用いて半導体特性を測定した。半導体特性はゲート電圧を10V〜−100Vまで20Vステップで走査し、またドレイン電圧を10V〜−100Vまで走査し、ドレイン電流−ドレイン電圧を測定した。その結果、電流飽和が観測され、得られた電圧電流曲線より、本素子はp型半導体を示し、算出したキャリア移動度を表7に示した。
【0204】
比較例1
実施例49で用いた本願実施化合物の代わりにDNTT(Ref−01)、3,10−DM−DNTT(Ref−02;(1)におけるRがメチル基の化合物)及び2,9−DM−DNTT(Ref−03;(1)におけるRがメチル基の化合物)を用いて、実施例49と同様の操作により、TC型の電界効果トランジスタを得た。使用した化合物、及びその結果を表7に示した。
【0205】
【化29】
【0206】
【表7】
【0207】
Ref−02,Ref−03のアルキル鎖が短いDNTTでは、母核のDNTT(Ref−01)以下の特性しか示さなかった。しかしながら、本発明の化合物(1)を用いた場合ではその特性は通常の有機物を半導体として蒸着法を用いた電界効果トランジスタとしては非常に高かった。工業的には実現性の低い、単結晶を用いた電界効果トランジスタの移動度に匹敵するレベルであり、工業的な適性のある真空蒸着法で非常に高い移動度が得られた。本願の電界効果トランジスタは高性能であるため使用できるアプリケーションの幅が拡がるなど工業的な価値が非常に高くなった。
【0208】
実施例50
実施例38から実施例48で合成した本願化合物及び比較例1のRef−01化合物、化合物(2)−64を用いて、HMDS−SAMにより処理基板を用いて蒸着時基板温度を25℃及び100℃,L=50μm,W=2000μmとした以外は実施例49と同様の操作にてTC型の電界効果トランジスタを作製した。得られたトランジスタの半導体特性を実施例49に倣って測定し、算出したキャリア移動度を表8に示した。これらの結果から本願化合物はいずれもp型半導体材料としての高い性能を示すことがわかった。
【表8】

実施例51
実施例39で合成した化合物(1)−22及び合成例14で合成した化合物(2)−64を用いて、HMDS−SAMにより処理基板を用いて蒸着時基板温度100℃,L=40μm,W=1500μmとした以外は実施例49と同様の操作により、TC型の電界効果トランジスタを作製し、耐熱性試験を行った。測定結果を表9に示した。初期特性(μ=1.66cm/Vs,Vth=−14V,Ion/off〜10)と比較して、100℃、および150℃でのアニール後でも移動度は、〜1.6cm/Vsであり、初期値とほぼ同程度を維持し、Vthは、低電位側にシフトするなど特性が向上していた。それに対して、化合物(2)−64では120℃程度で移動度が半減した。これらの実験から、本発明である化合物(1)−22などのアリール基が置換する化合物では、高い熱的安定性をもち、工業的プロセスにも耐え得るトランジスタを実現することが可能であることが確認できた。
【0209】
【表9】
【0210】
実施例52
2,9位にC10アルキル基を有するDNTT(化合物(2)−64)や3,10位にC10アルキル基を有するDNTT(化合物(1)−12)等をクロロホルムに溶解して得られる飽和溶液の吸収スペクトルを図4に示す。C10の長鎖アルキル基を有するDNTTは置換位置による最長吸収波長における相対強度から、2,9−C10−DNTT(化合物(2)−64)を1とした場合、結果より、3,10−C10−DNTT(化合物(1)−12)は3.9であり、置換位置の違いにより高い溶解性を示すことが判明した。また、トルエン中、60℃での溶解度は、2,9−C10−DNTT(化合物(2)−64)は45mg/L、3,10−C10−DNTT(化合物(1)−09)は>260mg/Lとなり、加温状態においても、3,10−C10−DNTT(化合物(1)−12)の溶解性の高さが明確に認められた(表10)。
【0211】
【表10】
【0212】
また、図4よりDNTTを1とした場合、Ref−02およびRef−03のアルキル鎖が短いDNTTの溶解度比は、それぞれ0.1および0.5であり、母核のDNTT(Ref−01、この化合物はほとんどの溶剤に溶解しない)と同様にほとんどの溶剤に溶解しない。2,9位にアルキル置換された化合物(2)−64よりも、3,10位にアルキル置換された化合物(1)−12の方がいずれの場合も溶剤溶解性が高く、溶液プロセスを考えると、3,10位に置換された化合物の方がさらに優れていることがわかった。すなわち、この優れた溶解性を利用すれば、実用的な半導体デバイス作製用インクの作製や作製したインクを塗布することによって電界効果トランジスタを製造することが可能となる。
【0213】
実施例53
オクタデシルトリクロロシラン処理を行った300nmのSiO熱酸化膜付きnドープシリコンウェハー(面抵抗0.02Ω・cm以下)を真空蒸着装置内に設置し、装置内の真空度が5.0×10−3Pa以下になるまで排気した。抵抗加熱蒸着法によって、この電極に基板温度約100℃の条件下、化合物(1)−12、2−(64)をそれぞれ50nmの厚さに蒸着し、半導体層(2)を形成した。次いでこの基板にチャネル長Lが40μm又は190μmである電極作製用シャドウマスク(チャンネル幅は1500μm)を取り付け、真空蒸着装置内に設置し、装置内の真空度が1.0×10−4Pa以下になるまで排気し、抵抗加熱蒸着法によって、金の電極、すなわちソース電極(1)及びドレイン電極(3)を40nmの厚さに蒸着し、TC(トップコンタクト)型である本発明の電界効果トランジスタを得た。実施例49と同様にしてこれらの半導体特性を測定した結果を表11に纏めた。3,10位に置換した化合物(1)−12はL=40μmとL=190μmの場合とを比較して、移動度がほとんど低下せず、チャネル長依存性が少ないことを示した。一方で2,9位に置換した化合物(2)−64はL=190μmの時は移動度6.1cm2/Vsのトランジスタを与えるが、チャネル長依存性が顕著であり、L=40μmで移動度が半減以下となった。
【表11】
【0214】
デバイスを作製するときには更なる短チャネル化が要求されることも想定され、その際も移動度の低下等特性の低下を抑える必要があるが、この結果により、チャネル長依存性の低い3,10置換のDNTTを用いることによって、実際のデバイスでも耐え得る電界効果トランジスタの製造が可能になることが分った。
【0215】
以上より、本発明の化合物(1)のRがそれぞれ独立にC2−C16アルキル基を表す時、Rは水素原子である、化合物(3,10−アルキル置換DNTT)は、2,9−アルキル置換DNTTよりも、溶解性が向上していることが明らかとなった。また、R、R少なくともいずれか一方がアリール基であれば、それが置換していないDNTTと比べて、大幅に耐熱性が向上しており、有機半導体としての特性が格段に向上していることがわかった。このように本発明により、優れた特性を持つ有機電界効果トランジスタが得られ、実用的なキャリア移動度を示す素子を作製することが出来た。これにより様々なデバイス作製プロセスに対して適応性を有し、使用できるプロセスやアプリケーションの幅が拡がるなど工業的な価値が高いことが明らかとなった。
【符号の説明】
【0216】
図1図3において同じ名称には同じ番号を付すものとする。
1 ソース電極
2 半導体層
3 ドレイン電極
4 絶縁体層
5 ゲート電極
6 基板
7 保護層
図1
図2
図3
図4