特許第5674931号(P5674931)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5674931粒子形態のカチオン性ポリマーを含む安定的な非水性液体組成物
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5674931
(24)【登録日】2015年1月9日
(45)【発行日】2015年2月25日
(54)【発明の名称】粒子形態のカチオン性ポリマーを含む安定的な非水性液体組成物
(51)【国際特許分類】
   D06M 15/09 20060101AFI20150205BHJP
   D06M 15/03 20060101ALI20150205BHJP
   C11D 3/37 20060101ALI20150205BHJP
   C11D 17/08 20060101ALI20150205BHJP
   C11D 3/43 20060101ALI20150205BHJP
   C11D 3/22 20060101ALI20150205BHJP
   D06M 15/53 20060101ALI20150205BHJP
【FI】
   D06M15/09
   D06M15/03
   C11D3/37
   C11D17/08
   C11D3/43
   C11D3/22
   D06M15/53
【請求項の数】8
【全頁数】24
(21)【出願番号】特願2013-516737(P2013-516737)
(86)(22)【出願日】2011年6月22日
(65)【公表番号】特表2013-534981(P2013-534981A)
(43)【公表日】2013年9月9日
(86)【国際出願番号】US2011041460
(87)【国際公開番号】WO2011163371
(87)【国際公開日】20111229
【審査請求日】2012年12月21日
(31)【優先権主張番号】10167227.7
(32)【優先日】2010年6月24日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】590005058
【氏名又は名称】ザ プロクター アンド ギャンブル カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100117787
【弁理士】
【氏名又は名称】勝沼 宏仁
(74)【代理人】
【識別番号】100091487
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 行孝
(74)【代理人】
【識別番号】100155631
【弁理士】
【氏名又は名称】榎 保孝
(72)【発明者】
【氏名】レジーヌ、ラベク
(72)【発明者】
【氏名】ラジャ、ブーレシュ
(72)【発明者】
【氏名】マルク、ジェニュイン
【審査官】 家城 雅美
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第1999/025313(WO,A1)
【文献】 特表2002−541083(JP,A)
【文献】 特表2006−520823(JP,A)
【文献】 特表2007−533866(JP,A)
【文献】 特表2005−537408(JP,A)
【文献】 特表2009−526026(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
D06M13/00− 15/715
C11D 1/00− 19/00
C08L 1/00−101/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
非水性液体組成物であって、
a)0.01重量%〜20重量%の粒子形態のカチオン性ポリマーであって、前記カチオン性ポリマーがカチオン性多糖であるカチオン性ポリマーと、
b)0.5重量%〜75重量%の非水性分散剤であって、前記非水性分散剤が、エタノール、グリセロール、分子量100〜400のポリエチレングリコールからなる群から選択されるアルコール又はポリオールである非水性分散剤と
c)20重量%未満の水と、
d)0.1重量%〜30重量%のスペーサー粒子であって、前記スペーサー粒子がアニオン性に帯電しており、前記スペーサー粒子が0.1マイクロメートル〜1マイクロメートルの面積平均直径(D90)を有し、かつ前記スペーサー粒子がポリアクリレート又はコポリマーを含むスペーサー粒子と、
を含み、前記カチオン性ポリマーが前記非水性液体組成物中に安定的に分散し、かつ前記非水性液体組成物が水溶性又は水分散性フィルムに封入されている、非水性液体組成物。
【請求項2】
前記粒子形態のカチオン性ポリマーが一部水和及び/又は溶媒和されている、請求項1に記載の非水性液体組成物。
【請求項3】
前記粒子形態のカチオン性ポリマーが、150マイクロメートル未満の面積平均直径(D90)を有する、請求項1又は2に記載の非水性液体組成物。
【請求項4】
前記カチオン性多糖が次の構造:
【化1】
を有するカチオン性セルロースであり、式中、
a.mは20〜10,000の整数であり、
b.各R4はHであり、かつR、R、Rは各々独立して、H、C〜C32アルキル、C〜C32置換アルキル、C〜C32若しくはC〜C32アリール、C〜C32若しくはC〜C32置換アリール又はC〜C32アルキルアリール、又はC〜C32置換アルキルアリール及び
【化2】
からなる群から選択され、
nは0〜10から選択される整数であり、
RxはR
【化3】
からなる群から選択され、
前記多糖中の少なくとも1つのRxは、
【化4】
からなる群から選択される構造を有し、
はアニオンであり、
qは1〜4から選択される整数であり、
各Rは、H、C〜C32アルキル、C〜C32置換アルキル、C〜C32若しくはC〜C32アリール、C〜C32若しくはC〜C32置換アリール、C〜C32アルキルアリール、C〜C32置換アルキルアリール、及びOHからなる群から独立して選択され、
各RはH、C〜C32アルキル、C〜C32置換アルキル、C〜C32若しくはC〜C32アリール、C〜C32若しくはC〜C32置換アリール、C〜C32アルキルアリール、及びC〜C32置換アルキルアリールからなる群から独立して選択され、
各Tは独立してH、
【化5】
からなる群から選択され、
前記多糖中の各vは、1〜10の整数であり、前記多糖中の各Rxの添字vの和は1〜30であり、鎖中の末端
【化6】
基において、Tは常にHである、請求項1〜3のいずれか一項に記載の非水性液体組成物。
【請求項5】
.6重量%〜10重量%の前記粒子形態のカチオン性ポリマーを含む、請求項1〜のいずれか一項に記載の非水性液体組成物。
【請求項6】
重量%〜50重量%の前記非水性分散剤を含む、請求項1〜のいずれか一項に記載の非水性液体組成物。
【請求項7】
前記組成物が0.5重量%〜15重量%の前記スペーサー粒子を含む、請求項1〜9のいずれか一項に記載の非水性液体組成物。
【請求項8】
前記水溶性又は水分散性フィルムが、ポリビニルアルコール、ポリビニルアルコールコポリマー、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、及びこれらの混合物を含む、請求項1〜のいずれか一項に記載の非水性液体組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、良好な布地ケア効果をもたらす、安定で注ぎやすい、非水性液体組成物に関する。本発明は、非水性液体組成物にカチオン性ポリマーを安定的に懸濁させる方法にも関する。
【背景技術】
【0002】
現在、消費者らは、柔軟効果が改善されている、布地に生じるしわが減少している、洗浄時の機械的損傷が減少している、毛玉/けば立ちが減少している、並びに色移り又は色あせが減少しているなど、布地ケア効果が改善され洗濯用品を簡単に使用する方法を所望している。カチオン性ポリマーが、布地ケア性能を改善し、特に布地を柔軟化し、及び肌触りを改善することは当該技術分野において既知である。したがって、コンパクト組成物、及び単位用量の液体洗濯物品などの液体組成物には、これらのポリマーを加えることが強く望まれている。
【0003】
液体洗濯組成物がよりコンパクト化されるにつれて、組成物の性能を改善することのない水などの成分を減少させること又は取り除くことが所望されるようになっている。しかしながら、カチオン性ポリマーなどの特定の成分は、水が少量しか存在しない場合、又はまったく存在しない場合には可溶化させることが難しい。同様に、これらの成分は、低い水濃度下では組成物の粘度を許容できない程度にまで上昇させる。この問題を克服するための様々な手段が試みられてきた。カチオン性ポリマーを少量の水に予め溶解させた場合には、工程で使用するのが困難なほど非常に粘稠なプレミックスが生じる。国際公開第2007/107215号は、カチオン性セルロースポリマーをまず水に、及び任意に溶媒に溶解させるという工程を開示している。加えて、最近では、単位用量物品の場合、一般的にアニオン性に帯電している水溶性又は水分散性フィルムにカチオン性ポリマーを封入することで、複雑性が増す恐れがあることが判明している。このような封入により、フィルムの溶解性は乏しくなる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
したがって、非水性液体組成物にカチオン性ポリマーを安定的に組み込むための手法が未だに必要とされている。同様に、封入するフィルムの溶解性に影響を与えずに、液体を含む単位用量物品にカチオン性ポリマーを安定的に組み込むための手法が未だに必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明により、非水性液体組成物であって、粒子形態のカチオン性ポリマーと、非水性分散剤と、を含み、このカチオン性ポリマーが非水性液体組成物に安定的に分散している、非水性液体組成物が提供される。本発明は、非水性液体組成物を調製するための方法であって、カチオン性ポリマーと分散剤を組み合わせることによりカチオン性ポリマー分散体を提供する工程と、カチオン性ポリマー分散体を非水性液体フィードと組み合わせる工程と、を含むことを特徴とする、方法も提供する。
【発明を実施するための形態】
【0006】
本発明は、カチオン性ポリマーを含む、安定的で、低含水量の液体組成物に関する問題を解決する。驚くべきことに、カチオン性ポリマーを組成物に可溶化させることにまつわる問題は、非水性組成物中に粒子形態のカチオン性ポリマーの安定な懸濁液を作ることで回避できることが判明した。
【0007】
非水性分散剤を添加しない場合、カチオン性ポリマー粒子を非水性組成物に均一に分散させるのは極めて困難である。加えて、このような粒子分散体は不安定であり、沈降し、再分散させることが非常に難しいケーキを、あるいは凝集塊を形成する傾向がある。カチオン性ポリマー粒子を分散させるために非水性分散剤を使用することで、非常に粘稠なポリマープレミックスにまつわる問題も回避される。同様に、非水性分散剤を添加することで、最終組成物においてカチオン性ポリマー分散体の物理安定性が改善されることも判明した。このような組成物では、ケーキ又は凝集塊が生じた場合、単に振り混ぜて再分散させることができる。例えば、振り混ぜとは、使用時の分配以外の撹拌、あるいは洗浄の初期段階での単位用量物品の撹拌に相当する。カチオン性ポリマー粒子が一部水和又は溶媒和される場合、凝集塊は更に容易に再懸濁される。一部水和又は溶媒和されている粒子とは、粒子を完全に可溶化させるには不十分な程度に水及び/又は他の溶媒を含む粒子である。粒子形態のカチオン性ポリマーを含む液体含有単位用量物品では、カチオン性ポリマーはフィルムと複合体を作ることができないことから、水溶性又は水分散性フィルム溶解性の低下が予防される。
【0008】
本明細書で使用されるすべてのパーセント、比率及び割合は、非水性液体組成物の重量パーセントによる。本明細書で使用するとき、単位用量物品を指して言う場合、すべてのパーセント、比率及び割合は単位用量区画に含まれる内容物の重量パーセントによるものである。つまり、封入材の重量は除外するものである。本明細書で使用するとき、多区画単位に関しては、パーセント、比及び割合は、別途記載のない限り、個別の単位用量区画の内容物の重量パーセントによるものである。
【0009】
非水性液体組成物:
本明細書で使用するとき、「非水性液体組成物」は、含水率が20重量%未満、好ましくは15重量%未満、より好ましくは12重量%未満、最も好ましくは8重量%未満の任意の液体組成物を指す。例えば、他の構成成分による持ち込みに由来する量を超える追加の水を含有しない。同様に、用語「液体」は、ゲル及びペーストなどの粘稠な形態も包含する。非水性液体には、好適に小分けすることのできる他の固体又は気体も包含され得るが、但し全く液体でない錠剤又は顆粒などの形態は除外される。
【0010】
同様に、本発明の非水性組成物は、2重量%〜40重量%、より好ましくは5重量%〜25重量%の非水性溶媒も含み得る。本明細書で使用するとき、「非水性有機溶媒」は、アミノ官能基を全く含まない任意の有機溶媒を指す。好ましい非水性有機溶媒としては、一価アルコール、二価アルコール、多価アルコール、グリセロール、ポリエチレングリコールなどのポリアルキレングリコールが挙げられるグリコール、及びこれらの混合物が挙げられる。より好ましい非水性溶媒としては、一価アルコール、二価アルコール、多価アルコール、グリセロール、及びこれらの混合物が挙げられる。極めて好ましいものは、溶媒の混合物、特に、エタノール、プロパノール、ブタノール、イソプロパノールなどの低級脂肪族アルコール、1,2−プロパンジオール又は1,3−プロパンジオールなどのジオール、及びグリセロールのうちの2つ以上の混合物である。同様に好ましいのは、プロパンジオール、及びジエチレングリコールとプロパンジオールとの混合物であり、その場合、混合物はメタノール又はエタノールを含有しない。したがって、本発明の非水性液体組成物の実施形態には、プロパンジオールは使用されるがメタノール及びエタノールは使用されない実施形態が含まれ得る。
【0011】
好ましい非水性溶媒は周囲温度及び周囲圧力(すなわち、21℃かつ0.1MPa(1気圧))にて液体であり、炭素、水素及び酸素を含む。非水性溶媒は、プレミックス調製時に、又は最終非水性組成物中に存在し得る。
【0012】
粒子形態のカチオン性ポリマー:
本発明の非水性液体組成物は、0.01重量%〜20重量%、好ましくは0.1重量%〜15重量%、より好ましくは0.6重量%〜10重量%の粒子形態のカチオン性ポリマーを含み得る。すなわち、カチオン性ポリマーは、非水性液体組成物に不溶性であり、あるいは非水性液体組成物に完全には溶解しない。
【0013】
カチオン性ポリマー粒子は、好ましくは、300マイクロメートル未満、好ましくは200マイクロメートル未満、より好ましくは150マイクロメートルの面積平均直径(D90)を有する。面積平均直径(D90)は、粒子のうちの90%が、D90径をもつ円の面積よりも小さい面積をもつものとして定義される。粒径の測定法は、試験方法に記載する。カチオン性ポリマー粒子は、好ましくは可能な限り小さい。粒径をより小さくすることで、粒子は特に低温下でより迅速に溶解するようになり、特に低温での布地処理時に布地ケア効果をもたらすのに好適のものになる。
【0014】
好適な微粒子形態としては、水及び/又は他の溶媒を全く含まない固体が挙げられるが、一部水和及び/又は溶媒和されている固体も包含される。カチオン性ポリマーを一部水和及び/又は溶媒和させる利点は、凝集形態で存在する場合にケーキ化する強度が低くなり、再分散が容易になるということである。このような水和又は溶媒和粒子は、概して0.5%〜50%、好ましくは1%〜20%の水又は溶媒である。水が好ましいものの、カチオン性ポリマーを一部溶媒和させることのできる任意の溶媒を使用してもよい。
【0015】
カチオン性ポリマーは、非水性液体組成物のpH下で好ましくは0.005〜23、より好ましくは0.01〜12、最も好ましくは0.1〜7ミリ当量/gのカチオン電荷密度を有する。電荷密度は、繰り返し単位当たりの正味電荷数を、繰り返し単位の分子量で除することにより計算される。正電荷は、ポリマーの主鎖上及び/又はポリマーの側鎖上に配置され得る。
【0016】
同様に、用語「カチオン性ポリマー」には、非水性組成物のpH下で正味カチオン性電荷を有する両性ポリマーが包含される。好適なカチオン性ポリマーの非限定例としては、多糖、タンパク質及び合成ポリマーが挙げられる。カチオン性多糖としては、カチオン性セルロース誘導体、カチオン性グアーガム誘導体、キトサン及び誘導体、並びにカチオン性デンプンが挙げられる。好適なカチオン性多糖としては、カチオン変性セルロース、特にカチオン性ヒドロキシエチルセルロース及びカチオン性ヒドロキシプロピルセルロースが挙げられる。本明細書に用いるのに好ましいカチオン性セルロースは、疎水性改質されていても、されていなくてもよく、疎水性改質されたカチオン性セルロースとしては、分子量50,000〜2,000,000、より好ましくは100,000〜1,000,000、及び最も好ましくは200,000〜800,000の疎水性置換基を有するものが挙げられる。これらのカチオン性物質は、次の一般構造式Iに従う、置換型の無水グルコース反復単位を有する。
【化1】
(式中、
a.mは20〜10,000の整数であり、
b.各R4はHであり、かつR、R、Rは各々独立して、H、C〜C32アルキル、C〜C32置換アルキル、C〜C32若しくはC〜C32アリール、C〜C32若しくはC〜C32置換アリール、又はC〜C32アルキルアリール、又はC〜C32置換アルキルアリール及び
【化2】
からなる群から選択される)。好ましくは、R、R、Rは各々独立して、H、及びC〜Cアルキルからなる群から選択される
(式中、
nは0〜10から選択される整数であり、
RxはR
【化3】
からなる群から選択され、
上記多糖中の少なくとも1つのRxは、
【化4】
からなる群から選択される構造を取る)。
【0017】
は好適なアニオンである。好ましくは、Aは、Cl、Br、I、メチルスルファート、エチルスルファート、トルエンスルホネート、カルボキシレート、及びホスフェートからなる群から選択され、
Zはカルボキシレートホスフェート、ホスホネート、及びサルフェートからなる群から選択され、
qは1〜4から選択される整数であり、
各Rは、H、C〜C32アルキル、C〜C32置換アルキル、C〜C32若しくはC〜C32アリール、C〜C32若しくはC〜C32置換アリール、C〜C32アルキルアリール、C〜C32置換アルキルアリール、及びOHからなる群から独立して選択される。好ましくは、各Rは、H、C〜C32アルキル、及びC〜C32置換アルキルからなる群から選択される。より好ましくは、Rは、H、メチル、及びエチルからなる群から選択される。
【0018】
各Rは、H、C〜C32アルキル、C〜C32置換アルキル、C〜C32若しくはC〜C32アリール、C〜C32若しくはC〜C32置換アリール、C〜C32アルキルアリール、及びC〜C32置換アルキルアリールからなる群から独立して選択される。好ましくは、各Rは、H、C〜C32アルキル、及びC〜C32置換アルキルからなる群から選択される。
【0019】
各Tは独立して、H、
【化5】
から選択され、
上記多糖中の各vは1〜10の整数である。好ましくは、vは1〜5の整数である。上記多糖中の各Rxの添字vの総合計は1〜30の整数であり、より好ましくは1〜20、更により好ましくは1〜10である。鎖中の最後の
【化6】
基において、Tは常にHである。
【0020】
ポリマーの無水グルコース環上のアルキル置換の程度は、高分子物質に含まれるグルコース単位1個当り約0.01%〜5%であり、より好ましくはグルコース単位1個当り約0.05%〜2%である。
【0021】
周囲温度下で水に加えられる場合、カチオン性セルロースは、集合体、小塊又はその他の凝集塊の形成を防ぐためにもグリオキシルなどのジアルデヒドにより軽度に架橋されていてよい。
【0022】
構造式Iのカチオン性セルロースエーテルには、同様に、市販のものが包含され、市販物質を従来の化学修飾によって調製できる物質が更に包含される。構造式Iを有する市販のセルロースエーテルの例としては、INCI名ポリクアテルニウム10(商標名Ucare Polymer JR 30M、JR 400、JR 125、LR 400及びLK 400ポリマーとして市販されるものなど);ポリクアテルニウム67(商標名Softcat SK(商標)として市販されるものなど)(これらのすべてはAmerchol Corporation(Edgewater NJ)により市販);並びにポリクアテルニウム4(商標名Celquat H200及びCelquat L−200としてNational Starch and Chemical Company(Bridgewater,NJ)から入手可能)が挙げられる。他の好適な多糖としては、グリシジルC12〜C22アルキルジメチルアンモニウムクロリドで四級化されたヒドロキシエチルセルロース又はヒドロキシプロピルセルロースが挙げられる。このような多糖の例としては、商品名クオタニウムLM 200でAmerchol Corporation(Edgewater NJ)から市販のINCI名称ポリクアテルニウム24のポリマー、D.B.Solarekにより、「Modified Starches、Properties and Uses」(CRC Pressにより出版,1986年)並びに米国特許第7,135,451号、第2段落、第33行〜第4段落第67行に記載のカチオン性デンプンが挙げられる。好適なカチオン性ガラクトマンナンとしては、カチオン性グアーガム又はカチオン性ローカストビーンガムが挙げられる。カチオン性グアーガムの一例は、商品名:Jaguar C13及びJaguar ExcelでRhodia(Cranbury NJ)から、並びにN−HanceでAqualon(Wilmington,DE)から市販されるものなどの、ヒドロキシプロピルグアーの第四級アンモニウム誘導体が挙げられる。
【0023】
合成カチオン性ポリマーもカチオン性ポリマーとして有用である。合成ポリマーとしては、合成により重合された、次式を有するポリマーが挙げられる:
【化7】
式中、各Rは独立して、水素、C〜C12アルキル、置換又は非置換フェニル、置換又は非置換ベンジル、−OR、又は−C(O)ORであってよく、Rは、水素、C〜C24アルキル、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される。Rは、好ましくは、水素、C〜Cアルキル、又は−OR、又は−C(O)ORであり、
式中、各Rは、水素、ヒドロキシル、ハロゲン、C〜C12アルキル、−OR、置換又は非置換フェニル、置換又は非置換ベンジル、炭素環、複素環、及びこれらの組み合わせからなる群から独立して選択される。Rは、好ましくは、水素、C〜Cアルキル、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される。
【0024】
各Zは独立して、水素、ハロゲン、直鎖又は分枝鎖C〜C30アルキル、ニトリロ、N(R−C(O)N(R、−NHCHO(ホルムアミド)、−OR、−O(CHN(R、−O(CH(R、−C(O)OR、−C(O)N−(R、−C(O)O(CHN(R、−C(O)O(CH(R、−OCO(CHN(R、−OCO(CH(R、−C(O)NH−(CHN(R、−C(O)NH(CH(R、−(CHN(R、−(CH(Rであってよい。
【0025】
各Rは、独立して、水素、C〜C24アルキル、C〜Cヒドロキシアルキル、ベンジル、置換ベンジル、及びこれらの組み合わせからなる群から選択されてよく、
各Rは、独立して、水素、C〜C24アルキル、
【化8】
及びこれらの組み合わせからなる群から選択されてよい。
【0026】
Xは水溶性アニオンであってよい。nは1〜6であってよい。
【0027】
は、独立して水素、C〜Cアルキル、及びこれらの組み合わせからなる群から選択されてよい。
【0028】
構造式IIからのZも、第四級アンモニウムイオンを含有している非芳香族窒素複素環、N−酸化物部分を含有している複素環、芳香族窒素を含有している複素環、及びこれらの組み合わせからなる群から選択されてよく、窒素原子のうち1個以上は四級化され、芳香族窒素を含有している複素環では少なくとも1個の窒素はN−酸化物であってよい。複素環式Z単位を含有する追加の重合性モノマーの非限定例としては、1−ビニル−2−ピロリジノン、1−ビニルイミダゾール、四級化ビニルイミダゾール、2−ビニル−1,3−ジオキソラン、4−ビニル−1−シクロヘキセン1,2−エポキシド、並びに2−ビニルピリジン、2−ビニルピリジンN−オキシド、4−ビニルピリジン4−ビニルピリジンN−オキシドが挙げられる。
【0029】
カチオン性電荷をその場に生成することのできるZ単位の非限定例は−NHCHO単位(ホルムアミド)であり得る。配合者は、ホルムアミド単位を含むポリマー又はコポリマーを調製し、続いてこの単位のうち一部を加水分解してビニルアミン等価物を形成することができる。
【0030】
ポリマー又はコポリマーには、周期的に重合するモノマーから誘導される環状ポリマー単位を1つ以上含有させてもよい。周期的に重合するモノマーの一例は、次式を有するジメチルジアリルアンモニウムである:
【化9】
【0031】
好適なコポリマーは、N,N−ジアルキルアミノアルキルメタクリレート、N,N−ジアルキルアミノアルキルアクリレート、N,N−ジアルキルアミノアルキルアクリルアミド、N,N−ジアルキルアミノアルキルメタクリルアミド、四級化N,N−ジアルキルアミノアルキルメタクリレート、四級化N,N−ジアルキルアミノアルキルアクリレート、四級化N,N−ジアルキルアミノアルキルアクリルアミド、四級N,N−ジアルキルアミノアルキルメタクリルアミド、ビニルアミン及びその誘導体、アリルアミン及びその誘導体、ビニルイミダゾール、四級ビニルイミダゾール及びジアリルジアルキルアンモニウムクロリド、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される1つ以上のカチオン性モノマーと、所望によりアクリルアミド、N,N−ジアルキルアクリルアミド、メタクリルアミド、N,N−ジアルキルメタクリルアミド、C〜C12アルキルアクリレート、C〜C12ヒドロキシアルキルアクリレート、ポリアルキレングリコールアクリレート、C〜C12アルキルメタクリレート、C〜C12ヒドロキシアルキルメタクリレート、ポリアルキレングリコールメタクリレート、酢酸ビニル、ビニルアルコール、ビニルホルムアミド、ビニルアセトアミド、ビニルアルキルエーテル、ビニルピリジン、ビニルピロリドン、ビニルイミダゾール及び誘導体、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、ビニルスルホン酸、スチレンスルホン酸、アクリルアミドプロピルメタンスルホン酸(AMPS)及びこれらの塩、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される第2モノマーとから製造することができる。ポリマーは、場合により架橋されていてもよい。好適な架橋モノマーとしては、エチレングリコールジアクリレート、ジビニルベンゼン、ブタジエンが挙げられる。
【0032】
特定の実施形態では、合成ポリマーは、ポリ(アクリルアミド−コ−ジアリルジメチルアンモニウムクロリド)、ポリ(アクリルアミド−メタクリルアミドプロピルトリメチルアンモニウムクロリド)、ポリ(アクリルアミド−コ−N,N−ジメチルアミノエチルメタクリレート)、ポリ(アクリルアミド−コ−N,N−ジメチルアミノエチルメタクリレート)、ポリ(ヒドロキシエチルアクリレート−コ−ジメチルアミノエチルメタクリレート)、ポリ(ヒドロキシプロピルアクリレート−コ−ジメチルアミノエチルメタクリレート)、ポリ(ヒドロキシプロピルアクリレート−コ−メタクリルアミドプロピルトリメチルアンモニウムクロリド)、ポリ(アクリルアミド−コ−ジアリルジメチルアンモニウムクロリド−コ−アクリル酸)、ポリ(アクリルアミド−メタクリルアミドプロピルトリメチルアンモニウムクロリド−コ−アクリル酸)である。他の好適な合成ポリマーの例は、ポリクアテルニウム−1、ポリクアテルニウム−5、ポリクアテルニウム−6、ポリクアテルニウム−7、ポリクアテルニウム−8、ポリクアテルニウム−11、ポリクアテルニウム−14、ポリクアテルニウム−22、ポリクアテルニウム−28、ポリクアテルニウム−30、ポリクアテルニウム−32、及びポリクアテルニウム−33である。他のカチオン性ポリマーとしては、ポリエチレンアミン及びその誘導体、並びにポリアミドアミン−エピクロロヒドリン(PAE)樹脂が挙げられる。一態様では、ポリエチレン誘導体は商品名Lupasol SKで市販のポリエチレンイミンのアミド誘導体であってよい。同様に、アルコキシル化ポリエチレンイミン、アルキルポリエチレンイミン及び四級ポリエチレンイミンが挙げられる。これらのポリマーは、Wet Strength resins and their applications(L.L.Chan編,TAPPI Press(1994))に記載されている。ポリマーの重量平均分子量は、分子ふるいクロマトグラフィーを用い、RI検出によりポリエチレンオキシド標準に対して測定した場合に、概して10,000〜5,000,000、又は100,000〜200,000、又は200,000〜1,500,000ダルトンであり得る。使用する移動相は、0.4モルのMEA、0.1モルのNaNO、3%の酢酸の20%メタノール溶液であり、Waters Linear Ultrahdyrogelカラムを2本直列に接続させて用いる。カラム及び検出器は40℃に保持する。流量は0.5mL/分に設定する。
【0033】
非水性分散剤:
本発明の非水性組成物は、非水性組成物全体にカチオン性ポリマーを分散させる非水性分散剤を含む。非水性液体組成物には、0.05重量%〜98重量%、好ましくは0.5重量%〜75重量%、より好ましくは3重量%〜50重量%の非水性分散剤を含み得る。驚くべきことに、非水性分散剤も、非水性組成物中でのカチオン性ポリマー粒子の物理的安定性を非常に改善することが判明している。加えて、非水性分散剤が存在すると、経時的に生じ得る任意の凝集形態をもたらすが、穏やかな撹拌により容易に再分散する。好適な分散剤としては、23〜36、好ましくは27〜29のハンセン溶解度パラメータを有する非水性分散剤が挙げられる。ハンセン溶解度パラメータの算出方法は試験方法の項において記載する。特に好ましい分散剤は、エタノール、グリセロール、分子量100〜400のポリエチレングリコールからなる群から選択されるアルコール又はポリオールである。分子量100〜400のポリエチレングリコールは好適な非水性溶媒としてみなすことができるものの、存在する場合、それらは非水性分散剤として存在する。
【0034】
形成し得る任意の凝集体の強度は、スペーサー粒子を加えることで更に減少させることができる。5マイクロメートル未満、好ましくは0.1マイクロメートル〜1マイクロメートルの面積平均直径(D90)を有するスペーサー粒子が好適であり得る。スペーサー粒子はポリマーであってもポリマーでなくてもよい。ポリマー以外の好適なスペーサー粒子としては、雲母が挙げられる。好適なポリマー系スペーサー粒子としては、ポリマー及び/又はコポリマーを含むものが挙げられる。好ましくは、スペーサー粒子はポリアクリレートポリマー又はコポリマーを含むものなどのようにアニオン性に帯電している。アニオン性電荷によりスペーサー粒子はカチオン性ポリマー粒子に引き寄せられると考えられる。本発明の非水性組成物は、0.1重量%〜30重量%、好ましくは0.5重量%〜15重量%のスペーサー粒子を含み得る。
【0035】
可溶性カチオン及び/又は多価アニオンを存在させることで、任意のカチオン性ポリマー粒子の凝集塊を形成しにくくさせることもできる。多価金属カチオンが、特に異なる電荷群に由来する電荷を有する多価カチオンが好ましいものの、一価のカチオンでさえも効果をもたらすことが示されている。カチオンは、カチオン性ポリマー粒子間の誘引を減少させ得る二層を形成すると考えられる。好適な単独種の多価カチオンとしては、マグネシウム及びカルシウムカチオンが挙げられる。好適なカチオン性界面活性剤は、好ましくは水溶性であるものの、水分散性又は非水溶性であってもよい。このようなカチオン性界面活性剤は、少なくとも1個の四級化窒素と、少なくとも1個の長鎖ヒドロカルビル基を有する。2個、3個又は更には4個の長鎖ヒドロカルビル基を含む化合物もまた含まれる。例としては、C12アルキルトリメチルアンモニウムクロリドなどのアルキルトリメチルアンモニウム塩、又はそれらのヒドロキシアルキル置換された類似体が挙げられる。本発明は、1重量%以上のカチオン性界面活性剤を含んでもよい。両性界面活性剤、特に非水性組成物のpHにて正味カチオン性電荷を有するものも、本発明のカチオンとして有用である。好適な多価アニオンとしては、クエン酸、ジエチレントリアミン五酢酸(DTPA)、1−ヒドロキシエタン1,1−ジホスホン酸(HEDP)、マレイン酸、ポリアクリレート、ポリアクリル酸/マレイン酸コポリマー、コハク酸、及びこれらの混合物が挙げられる。非水性組成物は、0.1重量%〜30重量%、好ましくは0.5重量%〜15重量%のカチオン及び/又は多価アニオンを含んでもよい。
【0036】
洗濯助剤:
本発明の非水性液体組成物としては、アニオン性及び非イオン性界面活性剤;追加の界面活性剤;酵素;酵素安定剤;両親媒性アルコキシル化グリースクリーニングポリマー、粘土汚れクリーニングポリマー、汚れ剥離ポリマー、及び汚れ懸濁ポリマーなどのクリーニングポリマー;漂白剤系;蛍光増白剤;色相染料;粒子材料;香料及び他の悪臭制御剤;ヒドロトロープ;抑泡剤;布地ケア有益剤;pH調整剤;移染防止剤;保存料;非織物直接染料並びにこれらの混合物からなる群から選択される従来の洗濯洗剤成分を含み得る。使用することのできる一部の追加成分を、以下の通りに更に詳細に記載する:
アニオン性及び非イオン性界面活性剤:本発明の非水性液体組成物は、1重量%〜70重量%、好ましくは10重量%〜50重量%、及びより好ましくは15重量%〜45重量%のアニオン性及び/又は非イオン性界面活性剤を含んでもよい。
【0037】
本発明の非水性液体組成物は、好ましくは、1〜70重量%、より好ましくは5〜50重量%の1種以上のアニオン性界面活性剤を含む。好ましいアニオン性界面活性剤は、C11〜C18アルキルベンゼンスルホン酸塩、C10〜C20分枝鎖及びランダムアルキル硫酸塩、C10〜C18アルキルエトキシ硫酸塩、中鎖分枝状アルキル硫酸塩、中鎖分枝状アルキルアルコキシ硫酸塩、1〜5エトキシ単位を含むC10〜C18アルキルアルコキシカルボン酸塩、変性アルキルベンゼンスルホン酸塩、C12〜C20メチルエステルスルホン酸塩、C10〜C18 α−オレフィンスルホン酸塩、C6〜C20スルホコハク酸塩、及びこれらの混合物からなる群から選択される。しかしながら、W.M.Linfield,Marcel Dekker編「Surfactant Science Series」、Vol.7に開示されるものなどの、洗剤組成物の技術分野において既知の各アニオン性界面活性剤を本質的に使用することができる。しかしながら、本発明の組成物は、好ましくは、少なくとも1種のスルホン酸界面活性剤(例えば線状アルキルベンゼンスルホン酸など)、又は水溶性の塩形態を含む。
【0038】
本明細書に用いるのに好適なアニオン性スルホン酸塩又はスルホン酸界面活性剤としては、酸及び塩形態の、直鎖又は分岐鎖のC5〜C20、より好ましくはC10〜C16、最も好ましくはC11〜C13アルキルベンゼンスルホン酸塩、C5〜C20アルキルエステルスルホン酸塩、C6〜C22一級又は二級アルカンスルホン酸塩、C5〜C20スルホン化ポリカルボン酸、及びこれらの混合物が挙げられる。上記界面活性剤は、2−フェニル異性体含有率が幅広く異なり得る。本発明の組成物に使用するのに好適なアニオン性硫酸塩としては、9〜22個の炭素原子、より好ましくは12〜18個の炭素原子を有する直鎖又は分岐鎖アルキル又はアルケニル部分を有する、一級及び二級アルキル硫酸塩;β−分枝状アルキルサルフェート界面活性剤;及びこれらの混合物が挙げられる。中鎖分岐アルキル硫酸塩又はスルホン酸塩もまた、本発明の組成物に使用するのに好適なアニオン性界面活性剤である。好ましいものはC5〜C22の、好ましくはC10〜C20の中鎖分岐アルキル一級硫酸塩である。混合物を使用する場合、アルキル部分の炭素原子の好適な平均合計数は、好ましくは14.5〜17.5の範囲内である。好ましいモノ−メチル−分岐型一級アルキル硫酸塩は、3−メチル〜13−メチルペンタデカノール硫酸塩、対応するヘキサデカノール硫酸塩、及びこれらの混合物からなる群から選択される。ジメチル誘導体、又は軽度に分岐を有する他の生分解性のアルキル硫酸塩も同様に使用することができる。本明細書での使用に好適な他のアニオン性界面活性剤としては、脂肪族メチルエステルスルホン酸塩及び/又はアルキルエトキシ硫酸塩(AES)及び/又はアルキルポリアルコキシル化カルボン酸塩(AEC)が挙げられる。アニオン性界面活性剤の混合物を使用することもできる(例えば、アルキルベンゼンスルホン酸塩とAESとの混合物)。
【0039】
アニオン性界面活性剤は、典型的にはアルカノールアミン又はアルカリ金属(ナトリウム及びカリウムなど)との塩形態で存在する。好ましくは、モノエタノールアミン又はトリエタノールアミンなどのアニオン性界面活性剤はアルカノールアミンで中和され、非水性液体組成物に完全に可溶性である。
【0040】
本発明の非水性液体組成物は、1〜70%、好ましくは5〜50%の非イオン性界面活性剤を含んでもよい。好適な非イオン性界面活性剤としては、いわゆるピークの狭いアルキルエトキシレートを含むC12〜C18アルキルエトキシレート(「AE」)、C6〜C12アルキルフェノールアルコキシレート(特にエトキシレート及びエトキシレート/プロポキシレート混合物)、C6〜C12アルキルフェノールのブロック型アルキレンオキシド縮合体、C8〜C22アルカノールのアルキレンオキシド縮合体、及びエチレンオキシド/プロピレンオキシドブロックポリマー(Pluronic(登録商標)−BASF Corp.)、並びに半極性の非イオン性物質(例えば、アミンオキシド及びホスフィンオキシド)が挙げられるが、これらに限定されない。好適な非イオン性界面活性剤の広範囲にわたる開示は、米国特許第3,929,678号に見出すことができる。
【0041】
米国特許第4,565,647号に開示されているようなアルキル多糖もまた本発明の組成物で有用な非イオン性界面活性剤である。アルキルポリグルコシド界面活性剤もまた好適である。一部の実施形態では、好適な非イオン性界面活性剤としては、式R1(OCOHのものが挙げられ、式中、R1は、C10〜C16アルキル基又はC8〜C12アルキルフェニル基であり、nは3〜80である。一部の実施形態では、非イオン性界面活性剤は、アルコール1モル当たり5〜20モルのエチレンオキシドとC12〜C15アルコール、例えば、アルコール1モル当たり6.5モルのエチレンオキシドとC12〜C13アルコール、の縮合生成物であってもよい。別の好適な非イオン性界面活性剤としては、次の式のポリヒドロキシ脂肪酸アミドが挙げられる。
【化10】
式中、RはC9〜C17アルキル又はアルケニルであり、R1はメチル基であり、Zは還元糖又はそのアルコキシル化誘導体由来のグリシジルである。実施例としては、N−メチルN−1−デオキシグリシチルココアミド及びN−メチルN−1−デオキシグリシチルオレアミドが挙げられる。
【0042】
追加の界面活性剤:本発明の非水性液体組成物は、アニオン性、カチオン性、非イオン性、両性及び/又は双極性イオン性界面活性剤及びこれらの混合物からなる群から選択された追加の界面活性剤を含有する。
【0043】
組成物に使用するのに好適な両性洗浄界面活性剤としては、脂肪族二級及び三級アミンの誘導体として幅広く記載される界面活性剤が挙げられ、この界面活性剤では、脂肪族ラジカルは直鎖又は分枝鎖であってよく、かつ脂肪族置換基のうちの1つは8〜18個の炭素原を含有し、1つはカルボキシ、スルホネート、サルフェート、ホスフェート又はホスホネートのようなアニオン性基を含有する。本発明での使用に好適な両性洗浄界面活性剤としては、限定するものではないが:ココアンホアセテート、ココアンホジアセテート、ラウロアンホアセテート、ラウロアンホジアセテート、及びこれらの混合物が挙げられる。
【0044】
非水性液体組成物で用いるのに好適な双極性イオン洗浄性界面活性剤は当該技術分野において周知であり、脂肪族第四級アンモニウム、ホスホニウム、及びスルホニウム化合物の誘導体として広く記述される界面活性剤が挙げられ、脂肪族ラジカルは直鎖又は分枝鎖であることができ、脂肪族置換基の1つは8〜18個の炭素原子を含有し、1つはカルボキシ、スルホネート、サルフェート、ホスフェート又はホスホネートのようなアニオン性基を含有する。ベタインなどの双極性イオン性界面活性剤もまた、本発明に好適である。更に、以下の式を有するアミンオキシド界面活性剤もまた本発明の組成物に有用である:R(EO)(PO)(BO)N(O)(CHR’).qH2O。Rは、飽和又は不飽和の、線状又は分岐鎖であることができる比較的長鎖のヒドロカルビル部分であり、8〜20個、好ましくは10〜16個の炭素原子を含有することができ、より好ましくはC12〜C16一級アルキルである。R’は短鎖部分であり、好ましくは水素、メチル及び−CHOHから選択される。x+y+zが0ではない場合、EOはエチレンオキシ、POはプロピレンオキシ、BOはブチレンオキシである。アミンオキシド界面活性剤は、C12〜C14アルキルジメチルアミンオキシドで示される。
【0045】
本組成物に用いるのに好適な他のアニオン性、双性イオン性、両性、又は任意の追加の界面活性剤の非限定的な例は、McCutcheon’s,Emulsifiers and Detergents(1989年刊,M.C.Publishing Co.出版)、並びに米国特許第3,929,678号、同第2,658,072号、同第2,438,091号、同第2,528,378号に記載されている。
【0046】
酵素:本発明の非水性液体組成物は、クリーニング性能及び/又は布地ケア効果をもたらす洗浄性酵素を0.0001重量%〜8重量%含み得る。このような組成物は、6〜10.5の組成物pHを有することが好ましい。好適な酵素は、リパーゼ、プロテアーゼ、アミラーゼ、セルラーゼ、マンナナーゼ、ペクチン酸リアーゼ、キシログルカナーゼ、及びこれらの混合物からなる群から選択することができる。好ましい酵素の組み合わせは、リパーゼ、プロテアーゼ、セルラーゼ及びアミラーゼなどの従来の洗浄性酵素の混合物を含む。洗浄性酵素は、米国特許第6,579,839号でより詳細に記載されている。
【0047】
酵素安定剤:酵素は、カルシウム及び/又はマグネシウム化合物、ホウ素化合物及び置換されたホウ酸、芳香族ホウ酸エステル、ペプチド及びペプチド誘導体、ポリオール、低分子量カルボン酸塩、比較的疎水性の有機化合物[例えば、特定のエステル、ジアルキルグリコールエーテル、アルコール、又はアルコールアルコキシレート]、カルシウムイオン源に加えてアルキルエーテルカルボン酸塩、ベンズアミジン次亜塩素酸塩、低脂肪族アルコール及びカルボン酸、N,N−ビス(カルボキシメチル)セリン塩;(メタ)アクリル酸−(メタ)アクリル酸エステルコポリマー及びPEG;リグニン化合物、ポリアミドオリゴマー、グリコール酸又はその塩;ポリヘキサメチレンビグアニド又はN,N−ビス−3−アミノ−プロピル−ドデシルアミン又は塩;及びこれらの混合物のようなあらゆる既知の安定剤系を使用して安定化できる。
【0048】
布地ケア有益剤:非水性組成物は、更に1重量%〜15重量%、より好ましくは2重量%〜7重量%の布地ケア有益剤を含んでもよい。本明細書で使用するとき、「布地ケア有益剤」は、布地ケア効果をもたらすことのできる、任意の物質を指す。布地ケア効果の非限定例としては、布地の柔軟化、色保護、色復元、毛玉/毛羽立ちの軽減、抗摩擦、抗しわが挙げられるが、これらに限定されない。布地ケア有益剤の非限定例としては、シリコーン誘導体、例えば、ポリジメチルシロキサン及びアミノ官能性シリコーンなど;油性糖誘導体;分散性ポリオレフィン;ポリマーラテックス;カチオン性界面活性剤及びこれらの組み合わせが挙げられる。
【0049】
クリーニングポリマー:本明細書の非水性液体組成物は、表面及び布地に関する様々な汚れに対しクリーニングをもたらすクリーニングポリマーを0.01重量%〜10重量%、好ましくは0.05重量%〜5重量%、より好ましくは0.1重量%〜2.0重量%含有してもよい。任意の好適なクリーニングポリマーを使用することができる。有用なクリーニングポリマーは、US 2009/0124528A1に記載されている。クリーニングポリマーの有用な部類の非限定例としては、両親媒性アルコキシル化グリースクリーニングポリマー、粘土汚れクリーニングポリマー、汚れ剥離ポリマー、及び汚れ懸濁ポリマーが挙げられる。汚れに対するクリーニング性を改良するのに有用な他のアニオン性ポリマーとしては、天然資源由来のシリコーン不含有ポリマーが挙げられるが、合成資源由来のポリマーも包含される。好適なシリコーン不含アニオン性ポリマーは、キサンタンガム、アニオン性デンプン、カルボキシメチルグアー、カルボキシメチルヒドロキシプロピルグアー、カルボキシメチルセルロース及びエステル変性カルボキシメチルセルロース、N−カルボキシアルキルキトサン、N−カルボキシアルキルキトサンアミド、ペクチン、カラギーナンガム、コンドロイチン硫酸、ガラクトマンナン、ヒアルロン酸系及びアルギン酸系ポリマー、及びこれらの誘導体、並びにこれらの混合物からなる群から選択される。より好ましくは、シリコーン不含アニオン性ポリマーは、カルボキシメチルグアー、カルボキシメチルヒドロキシプロピルグアー、カルボキシメチルセルロース及びキサンタンガム、及び誘導体、並びにこれらの混合物から選択される。好ましいシリコーン不含アニオン性ポリマーとしては、CPKelcoから商品名Kelzan(登録商標)RDで市販のポリマー、及びAqualonから商品名Galactosol(登録商標)SP722S、Galactosol(登録商標)60H3FD、及びGalactosol(登録商標)70H4FDで市販のポリマーが挙げられる。
【0050】
蛍光増白剤:これらは、織物のための蛍光白色化剤としても知られている。好ましい濃度は非水性液体組成物の0.001重量%〜2重量%である。好適な増白剤は、例えば、欧州特許第686691B号に開示されており、疎水性の種類のもの、並びに親水性の種類のものが挙げられる。Brightener 49は、本発明で使用するのに好ましい。
【0051】
色相染料:色相染料又は布地シェーディング染料は、非水性液体組成物において洗濯助剤として有用である。好適な染料としては、色相効果又はシェーディング効果を有する青色染料及び/又はバイオレット染料が挙げられる。例えば、国際特許出願公開第2009/087524 A1号、同第2009/087034A1号、及びそれらの引用文献を参照されたい。本発明に好適である近年の開発としては、亜鉛又はアルミニウムの中心原子を有するスルホン酸塩化フタロシアニン染料が挙げられる。本明細書の非水性液体組成物は、0.00003重量%〜0.1重量%、好ましくは0.00008重量%〜0.05重量%の布地色相染料を含んでもよい。
【0052】
粒子状材料:非水性組成物は、粘土などの更なる粒子材料、抑泡剤、香料(香料マイクロカプセル)、漂白剤及び酵素のようなカプセル化酸化感応性及び/又は熱感応性成分、あるいは雲母、色素粒子などを含む真珠光沢剤のような美的助剤などの粒子状材料を含み得る。好適な濃度は、非水性組成物の0.0001重量%〜10重量%、又は0.1重量%〜5重量%である。
【0053】
香料及び他の臭気制御剤:好ましい実施形態では、非水性組成物は、遊離及び/又はマイクロカプセル化された香料を含む。存在する場合、遊離香料は、典型的には、非水性組成物の0.001重量%〜10重量%、好ましくは0.01重量%〜5重量%、より好ましくは0.1重量%〜3重量%の濃度で組み込まれている。
【0054】
存在する場合、香料マイクロカプセルは、香料原料物質を壁材料で少なくとも部分的に取り囲むことによって形成される。好ましくは、マイクロカプセル壁材料は、ホルムアルデヒドで架橋されたメラミン、ポリ尿素、ホルムアルデヒドで架橋された尿素又はグルテルアルデヒドで架橋された尿素を含む。適当な芳香剤マイクロカプセル及び芳香剤ナノカプセルには、以下の文献に述べられるものが挙げられる。すなわち、米国特許出願公開第2003215417 A1号、同第2003216488 A1号、同第2003158344 A1号、同第2003165692 A1号、同第2004071742 A1号、同第2004071746 A1号、同第2004072719 A1号、同第2004072720 A1号、欧州特許出願公開第1393706 A1号、米国特許出願公開第2003203829 A1号、同第2003195133 A1号、同第2004087477 A1号、同第20040106536 A1号、米国特許第6645479号、同第6200949号、同第4882220号、同第4917920号、同第4514461号、米国再発行特許第RE 32713号、米国特許第4234627号。
【0055】
他の実施形態において、非水性組成物は、米国特許第5,942,217号に記載されている非錯体化型シクロデキストリンなどの悪臭制御剤を含む。他の好適な臭気抑制剤としては、米国特許第5,968,404号、同第5,955,093号、同第6,106,738号、同第5,942,217号、及び同第6,033,679号に記載されているものが挙げられる。
【0056】
ヒドロトロープ:本発明の非水性液体組成物は、典型的には、組成物が容易に水に分散するよう有効な量でヒドロトロープを含み、好ましくは15重量%まで、より好ましくは1重量%〜10重量%、最も好ましくは3重量%〜6重量%のヒドロトロープを含む。本明細書における使用に適したヒドロトロープとしては、米国特許第3,915,903号に開示されているような、アニオン型のヒドロトロープ、特にキシレンスルホン酸ナトリウム、キシレンスルホン酸カリウム、及びキシレンスルホン酸アンモニウム、トルエンスルホン酸ナトリウム、トルエンスルホン酸カリウム及びトルエンスルホン酸アンモニウム、クメンスルホン酸ナトリウム、クメンスルホン酸カリウム及びクメンスルホン酸アンモニウム、並びにこれらの混合物が挙げられる。
【0057】
多価の水溶性有機ビルダー及び/又はキレート剤:本発明の非水性液体組成物は、0.6重量%〜25重量%、好ましくは1重量%〜20重量%、より好ましくは2重量%〜7重量%の多価の水溶性有機ビルダー及び/又はキレート剤を含んでもよい。水溶性有機ビルダーは、カルシウム及びマグネシウムイオン封鎖(硬水中でのクリーニング性が改善される)、アルカリ性の供給、遷移金属イオンの錯化、金属酸化物コロイドの安定化、及び他の汚れの解膠及び懸濁のための実質的な表面電荷の供給、などの様々な効果を提供する。キレート剤は、洗浄液中で染み除去性及び漂白剤成分(有機漂白触媒など)の安定性に影響を与える遷移金属(鉄、銅及びマンガンなど)に選択的に結合する。好ましくは、本発明の多価水溶性有機ビルダー及び/又はキレート剤は、次のものからなる群から選択される:MEAクエン酸塩、クエン酸、アミノアルキレンポリ(アルキレンホスホン酸塩)、アルカリ金属エタン1−ヒドロキシビスホスホン酸塩(disphosphonate)、及びニトリロトリメチレン、ホスホン酸塩、ジエチレントリアミンペンタ(メチレンホスホン酸)(DTPMP)、エチレンジアミンテトラ(メチレンホスホン酸)(DDTMP)、ヘキサメチレンジアミンテトラ(メチレンホスホン酸)、ヒドロキシ−エチレン1,1ジホスホン酸(HEDP)、ヒドロキシエタンジメチレンホスホン酸、エチレンジアミン二コハク酸(EDDS)、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、ヒドロキシエチルエチレンジアミン三酢酸塩(HEDTA)、ニトリロ三酢酸塩(NTA)、メチルグリシン二酢酸塩(MGDA)、イミノ二コハク酸塩(IDS)、ヒドロキシエチルイミノ二コハク酸塩(HIDS)、ヒドロキシエチルイミノ二酢酸塩(HEIDA)、グリシン二酢酸塩(GLDA)、ジエチレントリアミン五酢酸塩(DTPA)、及びこれらの混合物。
【0058】
外部構造化系:非水性液体組成物中でのカチオン性ポリマー粒子の物理的安定性は、非水性液体組成物が外部構造化剤も含む場合には、更に改善され得る。外部構造化系は、組成物の洗浄性界面活性剤の何らかの構造化効果とは独立して、すなわち洗浄性界面活性剤以外により非水性液体組成物を安定化させるのに十分な降伏応力又は低せん断粘度のいずれかをもたらす、化合物又は化合物の混合物を指す。本発明の非水性液体組成物は、外部構造化系を0.01重量%〜10重量%、好ましくは0.1重量%〜4重量%含み得る。好適な外部構造化系としては、非ポリマー結晶質のヒドロキシ官能性構造剤、ポリマー構造剤、又はこれらの混合物が挙げられる。
【0059】
好ましくは、外部構造化系は、21℃かつ20s−1で1〜1500cpsの高せん断粘度、並びに5000cps超の低せん断粘度(21℃、0.05s−1で)を付与する。粘度は、直径40mmの平板鋼製スピンドル及び間隙サイズ500μmを使用するTA instruments製のAR 550レオメーターを使用して測定される。20s−1での高せん断粘度及び0.5s−1での低せん断粘度は、21℃で3分間の0.1s−1〜25s−1の対数せん断速度掃引から得ることができる。
【0060】
外部構造化系は、非ポリマー結晶性ヒドロキシル官能性構造剤を含んでもよい。このような非ポリマー結晶性ヒドロキシル官能性構造化剤は、一般に、最終非水性組成物中への分散を補助するために、予め乳化が可能な結晶化可能グリセリドを含む。好適な結晶化可能なグリセリドとしては、非水性組成物内で結晶化させることができるという条件で、硬化ヒマシ油(hydrogenated castor oil)つまり「HCO」又はその誘導体が挙げられる。好適な外部構造化系の他の実施形態は、天然由来及び/又は合成のポリマー系構造化剤を含んでもよい。好適な天然由来のポリマー系構造化剤としては:ヒドロキシエチルセルロース、疎水変性ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、多糖誘導体、及びこれらの混合物が挙げられる。好適な多糖誘導体としては、ペクチン、アルギン酸塩、アラビノガラクタン(アラビアゴム)、カラギーナン、ジェランガム、キサンタンガム、グアーガム及びこれらの混合物が挙げられる。好適な合成ポリマー構造化剤としては:ポリカルボキシレート、ポリアクリレート、疎水変性エトキシル化ウレタン、疎水変性非イオン性ポリオール、及びこれらの混合物が挙げられる。
【0061】
単位用量物品
本発明の非水性液体組成物は、液体充填区画を少なくとも1つ有する単位用量物品中に含まれ得る。液体充填区画とは、例えば衣類などの繊維を湿潤させることが可能な液体を含む単位用量物品の仕切を指す。このような単位用量物品は、単独で容易に用いることのできる剤形(例えば、粒子形態のカチオン性ポリマーが非水性分散剤により非水性組成物中に安定的に懸濁され、水溶性又は水分散性フィルムに封入された形態)を含む。
【0062】
単位用量物品は、非水性組成物を保持するのに好適な、すなわち単位用量物品を水と接触させる前に非水性組成物及び任意の追加の成分を単位用量物品から漏れさせない任意の形態、形状、及び材料であってよい。正確な実行法は、例えば、単位用量物品に含まれる組成物の種類及び量、単位用量物品に含まれる区画の数、並びに組成物又は成分の保持、保護、及び送達又は放出に必要とされる特徴に依存して決まる。
【0063】
単位用量物品は、非水性組成物を含む少なくとも1つの内部容積が完全に密閉された、水溶性又は水分散性フィルムを含む。単位用量物品は、所望により、非水性液体及び/又は固体成分を含む追加の区画を含み得る。あるいは、任意の追加の固体成分を液体入り区画に懸濁させてもよい。化学的に不適合性の成分を分離するという理由で、又は成分の一部分を初期又は後期に洗濯水に放出させることが望ましい場合に、複数区画の単位用量形態が望ましい。
【0064】
液体成分を含む任意の区画が気泡も含むことが好ましい場合もある。気泡は、区画の容積空間の50%未満、好ましくは40%未満、より好ましくは30%未満、より好ましくは20%未満、最も好ましくは10%未満を占める。理論に束縛されるものではないが、気泡の存在により、区画内で液体成分が移動することに対する単位用量物品の耐性を高め、それにより区画からの液体成分の漏れリスクを低減すると考えられる。
【0065】
水溶性又は分散性フィルム:水溶性又は分散性フィルムは、少なくとも50%、好ましくは少なくとも75%、より好ましくは少なくとも95%の水溶解度を有する。フィルムの水溶解性を測定するための方法を試験方法に記載する。水溶性又は水分散性フィルムは、典型的には100秒未満、好ましくは85秒未満、より好ましくは75秒未満、最も好ましくは60秒未満の溶解時間を有する。フィルム溶解時間を測定する方法は、試験方法に記載する。
【0066】
好ましいフィルムは、ポリマー材料、好ましくはフィルム又はシートに形成されるポリマーである。フィルムは、当該技術分野において既知のように、ポリマー材料のキャスティング、吹込成形、押出成形、又はインフレーションによって得ることができる。好ましくは、水溶性又は水分散性フィルムは、ポリマー、コポリマー又はそれらの誘導体、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリビニルピロリドン、ポリアルキレンオキシド、アクリルアミド、アクリル酸、セルロース、セルロースエーテル、セルロースエステル、セルロースアミド、ポリビニルアセテート、ポリカルボン酸及びその塩、ポリアミノ酸又はペプチド、ポリアミド、ポリアクリルアミド、マレイン酸/アクリル酸のコポリマー、デンプン及びゼラチンを含む多糖、キサンタン及びカラゴム、並びにこれらの混合物などの天然ゴムを含む。より好ましくは、水溶性又は水分散性フィルムは、ポリアクリレート及び水溶性アクリル酸コポリマー、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、デキストリン、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、マルトデキストリン、ポリメタクリレート、並びにこれらの混合物を含む。最も好ましくは、水溶性又は水分散性フィルムは、ポリビニルアルコール、ポリビニルアルコールコポリマー、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、及びこれらの混合物を含む。好ましくは、フィルム中のポリマー又はコポリマーの濃度は、少なくとも60重量%である。ポリマー又は共重合体は、好ましくは1000〜1,000,000、より好ましくは10,000〜300,000、更により好ましくは15,000〜200,000、及び最も好ましくは20,000〜150,000の重量平均分子量を有する。
【0067】
コポリマー、及びポリマー混合物を使用することもできる。このような使用は、その用途及び必要とされるニーズに応じて、区画又は単位用量物品の機械的特性及び/又は溶解特性を制御するのに特に有益であり得る。例えば、1つのポリマー材料が別のポリマー材料より高い水溶性を有することにより、及び/又は、1つのポリマー材料が別のポリマー材料より高い機械的強度を有することにより、ポリマーの混合物がフィルムに存在することが好ましい場合がある。コポリマー及びポリマーの混合物を用いることで、洗剤成分に対する水溶性又は水分散性フィルムの長期弾力性が改善されるなどの他の効果が得られる場合もある。例えば、米国特許第6,787,512号は、洗剤成分に対する弾力性を改善するための、酢酸ビニルと第2スルホン酸モノマーとの加水分解コポリマーを含むポリビニルアルコールコポリマーフィルムを開示している。このようなフィルムの一例はMonosol(Merrillville,Indiana,US)から商品名M8900で販売されている。異なる重量平均分子量を有するポリマーの混合物、例えば、重量平均分子量10,000〜40,000のポリビニルアルコール又はそのコポリマーと重量平均分子量100,000〜300,000の他のポリビニルアルコール又はそのコポリマーとの混合物を使用するのが好ましい場合があり得る。
【0068】
また、例えば、ポリラクチドとポリビニルアルコールを混合することで得られる、典型的には1〜35重量%のポリラクチドと65〜99重量%のポリビニルアルコールを混合することで得られる、ポリラクチドとポリビニルアルコールとの水溶性ポリマーブレンドといった、加水分解により分解できる水溶性ポリマーブレンドを含む、ポリマーブレンド組成物も有用である。フィルムに存在するポリマーは、フィルム材料の溶解性/分散性を改善するために60%〜98%、より好ましくは80%〜90%加水分解されていることが好ましい場合もある。
【0069】
本発明では、水溶性又は水分散性フィルムは、ポリマー又はコポリマー成分以外の添加成分を含んでもよい。例えば、グリセロール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ソルビトール及びこれらの混合物などの可塑剤、追加の水、及び/又は崩壊助剤を加えることが有益である場合がある。
【0070】
他の市販の水溶性フィルムの好適な例としては、ポリビニルアルコール及び一部加水分解されたポリビニルアセテート、アルギネート、セルロースエーテル、例えばカルボキシメチルセルロース及びメチルセルロース、ポリエチレンオキシド、ポリアクリレート、及びこれらの組み合わせが挙げられる。Monosol(Merrillville,Indiana,US)の参照番号M8630として既知のフィルムを含む、ポリビニルアルコールと同様の特性を有するフィルムが最も好ましい。
【0071】
製造方法:
本発明は、(i)カチオン性ポリマーと分散剤を組み合わせることによりカチオン性ポリマー分散体を提供する工程と、(ii)カチオン性ポリマー分散体を非水性液体フィードと組み合わせる工程と、を含む、本発明の非水性組成物の好ましい製造方法も提供する。好ましくは、カチオン性ポリマー分散体は、1重量%〜35重量%、より好ましくは10重量%〜25重量%のカチオン性ポリマーを含む。カチオン性ポリマーが粒子形態であることから、カチオン性ポリマー分散体の粘度は低いままであり、一般的な混合法により非水性液体フィードに容易に組み込むことができる。非水性フィードは、アニオン性及び/又は非イオン性界面活性剤などの残りの成分を一部又はすべて含み得る。一実施形態では、カチオン性ポリマー分散体は、カチオン性ポリマーが一部水和又は溶媒和されるよう更に水及び/又は溶媒を含む。存在する場合、水及び/又は溶媒は、好ましくはカチオン性ポリマー分散体の1重量%〜50重量%の濃度で存在する。他の実施形態では、方法は、外部構造化剤プレミックスを形成する工程と、外部構造化剤プレミックスとカチオン性セルロースポリマー又は非水性フィードあるいは組み合わせたカチオン性セルロースポリマー分散体/非水性フィードと、を組み合わせる工程と、を含み得る。
【0072】
非水性液体組成物は単位用量物品に含ませてもよい。このような単位用量物品は、当該技術分野で既知の方法により調製することができる。例えば、水溶性又は水分散性フィルムを適切な大きさに裁断し、次いで折り畳んで、必要とされる数及び大きさの区画を形成させる。次に端を任意の好適な技術、例えば、熱シーリング、湿潤シーリング又は圧縮シーリングなどを用いてシールする。好ましくは、シーリング供給源をフィルムと接触させ、加熱又は加圧することでフィルム材をシールさせる。
【0073】
典型的には、水溶解性又は水分散性フィルムを成形型に敷入れ、真空を用いて、フィルムを型に引き込み、内側表面にぴったり貼り付かせることで、フィルム材料にへこみ又は窪みを形成する。これは真空成形と呼ばれる。別の好適な方法は熱成形である。熱成形は、典型的には、フィルムを変形させ、型取りをさせるような熱適用下で、水溶性又は水分散性フィルムを成形型内で成形する工程を包含する。
【0074】
典型的には、一片を超える水溶性又は水分散性フィルム材料を使用して単位用量物品を製造する。例えば、真空を用いて第一フィルム材料片を型に引き込み、フィルム材料を成形型の内側表面にぴったり貼り付けることができる。次に、第二フィルム材料片を、第一フィルム材料と完全に重なるように配置することができる。第一フィルム材料片と第二フィルム材料片とを合わせてシールする。第一及び第二水溶性又は水分散性フィルム片は同じ材料から製造してよく、あるいは異なる材料から製造してもよい。
【0075】
多区画単位用量物品の調製方法では、1片の水溶性又は水分散性フィルム材料片を少なくとも2回折り畳んだ、又は少なくとも3回折り畳んだフィルム材料を使用し、あるいは少なくとも1片のフィルム材料を少なくとも1回折り畳んだ少なくとも2片のフィルム材料を使用する。第三フィルム材料片又はフィルム材料折り畳み片は、フィルム材料を合わせてシールした場合に、単位用量物品の内部容量を2つ以上の区画に分割するバリア層を生成する。
【0076】
多区画単位用量物品は、型に第一フィルム材料片を合わせて調製することもできる。次に、組成物、又はその材料を型に注ぎこむことができる。次に、予成形区画を組成物又はその材料を含有している型を覆って配置することができる。予成形区画は、好ましくは組成物、又はその構成成分も含有する。予成形区画及び上記第1片の水溶性又は水分散性フィルム材料を合わせてシールして多区画単位用量物品を形成する。
【0077】
試験方法:
1)pH測定:
ゲル充填プローブ(Toledoプローブ、部品番号52 000 100など)を取り付け、取扱説明書に記載の手順に従って較正したSantarius PT−10P pHメーターを用い未希釈組成物のpHを25℃にて測定する。
【0078】
2)ハンセン溶解度パラメータ:
ハンセン溶解度パラメータは、分散項(δ)、水素結合項(δ)、及び極性項(δ)を含む三要素測定系である。ハンセン溶解度パラメータ「δ」は、すべての凝集結合を切断するのに必要とされるエネルギーである、総凝集エネルギーが、次式に記載のように分散力(d)と分子の双極子力(p)と水素結合力(h)の組み合わせであることから誘導される。
【0079】
δ=δ+δ+δ (1)
分散力は非極性分子間の弱い誘引力である。これらの誘引力の程度は分子の分極率に応じて異なり、分散体のハンセン溶解度パラメータ、δは、通常、分子の体積(及び大きさ)が増加するにつれ増加し、他のすべての特性は概ね均等である。パラメータ「δ」は、分子の極性が増加するに伴い増加する。
【0080】
25℃下での、ハンセン溶解度パラメータは、ハンセンにより実験的に得られた溶媒についてthe Handbook of Solubility Parameters and Other Parameters(Allan F.M.Barton(CRC Press,1983))で公開されている値に基づき、未公開の専用のアルゴリズムを使用するChemSW’s Molecular Modeling Pro v.6.1.9ソフトウェアパッケージを用い、算出される。本明細書で報告されるハンセン溶解度パラメータのすべての値はMPa0.5(メガパスカル平方根)単位である。ハンセンは、そもそもポリマー溶液用の溶媒の溶解度パラメータを決定している。
【0081】
3)粒径測定方法:
Occhio Flow Cell FC200−S(Angleur,Belgium)を使用して粒度分布を測定する。解析される粒子を含有しているサンプルをPEG200により2重量%に希釈して、確実に単独の粒子が検出されるようにする。装置について提供されている取扱説明書に従って、2mLの希釈サンプルを分析する。
【0082】
4)水溶性又は水分散性フィルムの溶解度の測定方法:
5.0グラム±0.1グラムの水溶性又は水分散性フィルムを、予め重量を測った400mLのビーカーに入れ、245mL±1mLの蒸留水を添加する。これを、600rpmに設定した磁性撹拌器で、30分間激しく撹拌する。次いで、最大で20マイクロメートルの孔径を有する焼結ガラスフィルターを通して混合物を濾過する。回収した濾液からいずれかの従来法によって水を乾燥させ、残った材料の重量を測定する(これが溶解又は分散画分である)。次いで、溶解度又は分散度%を計算することができる。
【0083】
5)水溶性又は水分散性フィルムの溶解時間の測定方法:
フィルムを裁断し、スライド枠に合わせて折り畳んだ24mm×36mm透明陽画フィルム(diapositive film)をガラスは用いずにスライドに載せる(品番94.000.07、Else(The Netherlands)により市販、但し、他の供給元から市販されるプラスチック製折り畳み枠も使用することができる)。
【0084】
標準的な600mLのガラス製ビーカーに10℃の水道水を500mL充填し、渦流の底がビーカーの400mLの目盛り線の高さになるように磁気撹拌棒を用い撹拌する。
【0085】
スライドをスタンドのアームにクリップで留め、36mmの片を水平にして、ビーカーの円周からスライドの端部を5mm離してビーカーの円周に添わせてスライドを水中に垂らし、スライドの頂端が400mLの目盛り線の高さにくるように設置する。スライドを水中に配置すると同時にストップウォッチを起動させ、フィルムが完全に溶解した時点で停止させる。この間の時間を「フィルム溶解時間」として記録する。
【実施例】
【0086】
実施例1〜16は、良好な安定性を有し、優れた柔軟効果を提供する本発明の実施形態である。これらの実施形態では、粒子形態のカチオン性ポリマーは、35℃で4週間の経時処理後でさえも十分に安定であるか、あるいは穏やかに振盪させることで容易に再分散させることのできるようなわずかな沈降を示すかのいずれかであった。
【表1】
【表2】
Dow Chemicals(Edgewater,NJ)より市販
1,2プロパンジオールは、30.3のHansenパラメータを有する
Rhodia,Inc(Cranbury NJ)
BASF Corporation(North Mount Olive,NJ)
0.17マイクロメートルの平均粒径を有するスチレン/アクリレートコポリマーの40重量%分散体
外部構造化剤系プレミックスにより持ち込まれた
【0087】
好適なスペーサー粒子を存在させることで、より小さなカチオン性ポリマー粒子が生じ、またカチオン性ポリマー粒子の凝集は阻害される。例えば、3.5重量%のAcusol OP301(大きさが0.17マイクロメートルのスチレン/アクリレートコポリマー粒子を40重量%含む)が存在する実施例2では、カチオン性ポリマー粒子に対して18マイクロメートルの面積平均D90をもたらす。これは、実施例1のカチオン性ポリマー粒子に対する56マイクロメートルの面積平均D90と比較する。
【0088】
実施例1〜16とは対照的に、比較例1〜5は不安定である。比較例1では、粒子形態のカチオン性ポリマーは1日も経たずして沈殿し、穏やかに撹拌しても十分に再分散させることのできない沈降物を生じた。比較例2〜4は、製造の直後に、加工することのできない非常に粘稠なペーストを生じた。同様に、比較例5も、振盪又は再混合により再分散させることのできないカチオン性ポリマー粒子が沈降し、塊を形成することから非常に粘稠であり、加工が難しかった。
【表3】
Dow Chemicalsにより市販
外部構造化剤系プレミックスにより持ち込まれた
イソプロパノールは30.3のハンセンパラメータを有する
【0089】
実施例1〜16の非水性液体組成物も水溶性フィルム(M8630など、Monosolにより供給)に封入して、本発明の、液体を含む安定な単位用量物品を形成することもできる。
【0090】
本明細書に開示した寸法及び値は、記述された正確な数値に厳しく限定されるものと理解すべきでない。むしろ、特に言及しない限り、そのようなそれぞれの寸法は、記述された値と、その値の周辺の機能的に同等の範囲との両方を意味することを意図する。例えば、「40mm」として開示された寸法は、「約40mm」を意味することを意図する。