(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
円形または球形の対称形低分子化合物、または放射形の高分子化合物からなる中心核の表面作用基の一部に生体適合性高分子が結合するように反応させる工程(工程1)、及び
前記工程1の中心核で未反応の表面作用基にヨード含有化合物が直接またはペプチドを通じて結合するように反応させる工程(工程2)を含有する請求項1に記載のヨードを含有した放射形状の高分子化合物の製造方法。
円形または球形の対称形低分子化合物、または放射形の高分子化合物からなる中心核の表面作用基の一部にヨード含有化合物が結合するように反応させる工程(工程1)、及び 前記工程1で中心核に結合したヨード含有化合物に生体適合性高分子が結合するように反応させる工程(工程2)を含有する請求項1に記載のヨードを含有した放射形状の高分子化合物の製造方法。
【背景技術】
【0002】
CT(computed tomography、コンピュータ断層撮影)というのは人体の目的部位を多くの方向から照射して透過したX線を検出器で収集して、その部位に対するX線の吸収差をコンピュータが数学的技法を用いて再構成する撮影技法のことをいう。すなわち、体の周囲をカメラが360゜回転して色々と異なる角度から撮した多数の2次元X線写真を、コンピュータープログラムで組換えて3次元画像にする画像技法である。
【0003】
したがって、このようなX線に基づいた画像は一般的に骨を主とした画像を具現する。原子番号が比較的高いバリウムやヨード系の造影剤を、生きている動物や人の血管に注入してCT画像を撮影する場合、体の中でそれら物質が存在する所では光電子効果にしたがって、X線がよく透過することができずに吸収されて骨(非常に明るい白)と類似に他の部位に比べてもう少し明るい白または灰色系列の画像が得られるようになる。一般的に、X線が吸収される程度(α)は、原子番号(N)とX線の波長(λ)にそれぞれ比例する。すなわち、X線が吸収される程度(α)はX線のエネルギーに反比例する。
【0004】
(数1)
α=N
5λ
7/2
【0005】
CTは、MRI(magnetic resonance imaging)とともに解剖学的な情報を提供するが、このような面で生理学的/生化学的機能に関する情報を提供するPET(positron emission tomography)またはSPECT(single photon emission computed tomography)画像技法と差別化される。また、MRIに比べて、CTの解像度が低いにもかかわらず、CTは病院になくてはならない重要な位置を占めている。その主要原因としては、短時間内の撮影が容易なこと、検査費用が比較的安いことであり、大部分の病院が備えていて装備への接近性が容易いであるいうことである。すなわち、CT撮影時間がMRIに比べて10分の1程度またはそれ以下で、短時間に早く診断を下さなければならない特に、寸時を争う脳の部位に致命的損傷を被った患者にとって必須不可欠な診断装備であるとみなされていて、MRI撮影時に発生する騒音と長期間の撮影による患者の不便さを減少させることができ、装備への接近性が容易なことと、撮影費用もMRIに比べて10分の1程度にしかならないので、患者の負担になることが少ない。
【0006】
現在まで知られている臨床に適用されたヨードを含有した低分子CT用造影剤は、大きく分けてイオン性物質と非イオン性物質に分けられる。
【0007】
【化1】
【0008】
前記化合物の中で非イオン性物質がイオン性物質より副作用がさらに少ないので、現在、患者には大部分の場合、非イオン性CT用造影剤が投与されている。また、ベンゼン環がひとつの既存のヨードを含有した低分子非イオン性CT用造影剤2〜3個を共有結合で連結して分子量を増加させて、既存の単一ベンゼン環基盤の非イオン性造影剤に比べて、体内滞留時間をもう少し延長させることができる。しかし、このようなヨードを含有した低分子CT用造影剤は、一般的に体内滞留時間(半減期)が非常に短くて、適切な水準のCT画像を得るために1回のCT撮影時に、成人の体重にしたがって多い時は80〜90g以上の過量を投与しなくてはならず、アレルギーやショックなどの異常反応が一部の患者において度々示されて、極めて珍しい場合には生命に支障をきたし得るという問題点がある。このような現象は、特に心臓部位など主に心血関係疾患の効果的な診断のために必須な十分な造影時間の確保のために、非常に過量の造影剤を投与しなければならない場合に、さらによく発生するようになる。したがって、このような問題を克服するために、さらに安全で比較的少量のCT用造影剤の投与だけでも一定時間優れた造影効果を維持する化合物の開発が急がれなければならない。その他にも、現在このようなヨードを含有した低分子CT用造影剤の問題点としては、低いLD
50値、高い滲透圧と粘度などを挙げることができる。
【0009】
最近は、このようなヨードを含有した低分子CT用造影剤が有する限界を克服するために、高分子物質に基盤を置いた新しいヨードを含有したCT用造影剤の開発に関する報告が登場している。例えば、高分子物質骨格に低分子ヨード化合物多数を共有結合で置換するとか、またはリポソーム、ミセル、その他ナノ粒子のような高分子化合物骨格に市販中の低分子ヨードを含有した低分子CT用造影剤化合物またはその誘導体を物理的に含有(physical encapsulation)させる方式がある。
【0010】
非特許文献1、非特許文献2、非特許文献3及び非特許文献4では、市販中のヨードを含有した低分子CT用造影剤化合物またはその誘導体を高分子化合物基盤リポソームに含有する方法が開示されている。
【0011】
非特許文献5、非特許文献6では、市販中のヨードを含有した低分子CT用造影剤化合物またはその誘導体を高分子化合物基盤ミセルに含有する方法が開示されている。
【0012】
非特許文献7では、市販中のヨードを含有した低分子CT用造影剤化合物またはその誘導体を高分子化合物基盤ナノ粒子に含有する方法が開示されている。
【0013】
前記非特許文献7の場合、ヨード化合物のカルボン酸末端をアルキル基でキャッピング(capping)して疎水性を増加させることで、ナノ粒子の内部によく含まれるようにした。このようなヨードを含有したナノ粒子が血管に注入されると、一般的に容易に大食細胞に吸収されて体内循環時間を増やすことができ、時間が経過するにつれて大食細胞が相対的に多く分布する炎症、癌、動脈硬化などの部位に蓄積されて、結果的にCT撮影を通じた関連疾患の診断を容易にした。一方、前記の非特許文献5の場合、親水性でありながら体内循環時間を延長させることができるPEG(ポリエチレングリコール)鎖の末端に疎水性のヨードを含有した低分子化合物多数を、共有結合で置換してミセル構造を形成することができた。しかし、このような自己組み立て(self-assembly)に基づいたリポソームやミセルのような構造は、体内環境にしたがっていつでも粒子の形態が解けて内部に含有された有毒性のヨードを含有した低分子造影物質が一時にすべて放出されたり一部が漏出したりする恐れがある。
【0014】
したがって、このような低分子ヨード化合物を含まなくても、自体として造影効果を示す金属ナノ粒子を基盤にしたCT用造影剤が開発され報告された。
【0015】
特許文献1では、表面がPEGに置換された金(Au)ナノ粒子基盤のCT用造影剤に関して開示している。
【0016】
非特許文献8では、ヘパリンでコーティングされた金ナノ粒子基盤のCT用造影剤に関して開示している。
【0017】
非特許文献9では、PEGと蛍光物質で置換された均一な大きさの酸化タンタルナノ粒子基盤のCT用造影剤に関して開示している。
【0018】
前記金属ナノ粒子を基盤にしたCT用造影剤は、高い原子番号を有する金属(Au、Taなど)自体が造影剤の役割(X線を吸収)をする原理で、ナノ粒子の表面をPEGやヘパリンでコーティングして生体適合性を向上させながら、それぞれ体内循環時間の増加を通じた円滑なCTイメージングまたは肝臓での蓄積による特定部位の造影効果増大を図った。
【0019】
しかし、前記で説明したさまざまな高分子基盤の造影剤は、費用が高いという問題だけでなく、円滑な排泄が行なわれないで生体内に長期間蓄積される(すなわち、数年〜数十年以上の半減期)ことによる安全性の限界、または化合物構造の安全性、すなわち自己組み立て構造体が、体内環境でも安定に元々の構造を維持して、製造時にいつも同一な分子量分布を示す高分子混合物を得て、同一な性能を有するようにする再現性確保のける困難があることが予想される。また、このような高分子混合物を基盤にした人体内投与用素材の場合、現在まで、いまだに毒性試験基準が全世界的に確立されておらず、実質的に臨床試験を経て商業化するまでに色々な難関があるように見える。
【0020】
一方、リポソーム形態としてヨードを含有した低分子造影物質を含有する現在常用化されたCT用血管造影剤では、Fenestra(カナダのART社)とeXIA160(カナダのBinitio Biomedical社)を挙げることができるが、ともに動物用のみが販売されている。前記リポソーム形態のCT用血管造影剤は、マウスまたはラットに5〜10回注入する量のバイアル一個(2.5ml)の価格が、100万ウォン程度で価格が非常に高く、このような小型動物の尾静脈を通じた造影剤注入が容易ではなく、マイクロCT撮影をしなければならない基礎医学研究の従事者が使用するには、なお一層負担が大きい。また、小型動物を用いたマイクロCT撮影に人体用低分子造影剤を投与する場合、造影剤注入直後に動物をCT撮影台に移して、ソフトウェアで機器を作動してCT撮影を始めるまで最小限1〜3分程度の時間が必要となり、その間にすでに低分子造影剤は大部分が腎臓を通じて膀胱に排出されるので、実質的に適切な水準の造影が不可能である。したがって、先に言及した現在のヨードを含有した低分子CT用造影剤をヒトに過量投与してこそ適切な水準のCT画像が確保される心血関係疾患の診断のみならず、小型動物を用いた実験を正しく行なうためには、価格が安くて過量投与する必要なしに比較的長期間の循環後に円滑な排出がなされるCT用血管造影剤の開発が切実に求められている実情である。
【0021】
このような周知によって、1990年頃から少しずつ高分子の骨格にデンドリマーを用いたヨードを含有したCT用造影剤に対する論文及び特許が登場し始めた。すなわち、単一分子であるデンドリマーを高分子の骨格に用いる場合(下記の内容参照)、製造及び性能における再現性を確保することができ、金属ナノ粒子または線形高分子を基盤した造影剤に比べて、大きさが非常に小さくて体内蓄積の心配なしに一定時間の循環後の円滑な排出を期待することができる。
【0022】
デンドリマーは、たいてい直径10nm以下の比較的小さな放射形(treelikeまたはradial-shape)高分子であって、一層ずつ段階別に反復的な有機合成と精製を通じて得られる純粋単一分子である。大部分の他の典型的な高分子(多分散混合物)とは異なりデンドリマーは、特定環境(溶媒、pH、温度など)での大きさがいつも一定であり、ある程度の予測が可能で、特に高分子基盤粒子の溶液内の大きさに敏感な多様な応用研究分野において、選択的に目的に合わせた適用が可能であるので非常に有利である。具体的なデンドリマーの長所としては、化学構造上の完全性、適用する有機合成法にしたがっていくらでもデンドリマーを構成する作用基とそれに伴う物理化学的性質の変形ができること、さまざまな機能単位物質(例えば、低分子薬物、標的物質、表面改質剤など)をデンドリマーの内部と表面に容易に置換することができ、そして生物分野に応用する場合、重要な生体内酵素による破壊の可能性がほとんどないことなどを挙げることができる。
【0023】
デンドリマーがバイオ医薬分野に適用された例としては、多価陽イオン性デンドリマーを用いて陰イオン性の遺伝子と電荷複合体を成して、効果的に細胞内に運搬するする例;薬物伝達媒介体に使用されたデンドリマーが薬物を運搬する方式において、特定刺激(pH、光、酵素など)によって患部にのみ薬物が放出されるように、薬物分子をデンドリマー内の透過性空間に物理的に含有させるか、前駆薬物の形態でデンドリマーに共有結合で置換する例;デンドリマー運送体の構造変形を通じて薬物を標的指向または制御された放出速度で伝達する例;多重置換効果を用いてタンパク質(レクチン)と炭水化物リガンド間の細胞の外壁において相互作用時の結合力を大幅に増大させる例;低分子化合物基盤イメージング製剤をデンドリマー骨格に多重置換して信号を増幅させることによって、より効果的な医学的診断を可能にする例;生体適合性及び生分解性デンドリマー骨格を基盤した人工組織を製造して適用した例などを挙げることができる。
【0024】
デンドリマーは、1970年代後半にデンケウォルターによって合成されたポリリジンデンドリマーとして初めて登場して以来、新しいデンドリマーの分子設計とその合成法、その物理化学的特性研究とそれを基にした基礎的応用事例(例えば、自己組み立て、生体模倣システムなど)、その素材と医療分野への応用に対する研究が活発に進行されてきた。デンケウォルターによって合成されたポリリジンデンドリマー構造の例を、下記に示す(特許文献2)。
【0025】
【化2】
【0026】
また、デンドリマーの種類の中で、PAMAM(poly(amidoamine))デンドリマーは、ドナルド・トマリア氏が1980年代ダウケミカル社に在職していた当時に開発した物質であって、内部構造は、脂肪族アミン基または脂肪族アミド基で構成されていて、その表面はアミン基、カルボキシル基、ヒドロキシ基などさまざまな作用基からなっている。例として、コアがエチレンジアミンで、表面がアミン基からなる1〜4世代(G1、G2、G3、及びG4)PAMAMデンドリマーの構造を下記に示す。
【0027】
【化3】
【0028】
【化4】
【0029】
【化5】
【0030】
PAMAMデンドリマーは、常用化されたデンドリマーの中で最も生体内適用に相応しいことが知られていて、バイオ医薬分野で多く応用されている。一方、段階別の有機合成と精製過程を通じて合成されるデンドリマーは、原則的に単一分子でなければならないのに、市販中(Dendritech社製造、Sigma-アルドリッチ社販売)のPAMAMデンドリマーは、発散(分岐)合成方法で反応物(試薬)を過量投与して透析方法だけで非常に簡略に精製して大量生産されたもので、残余反応物によって目的物と類似の所望しない副産物が比較的多く生成されて、化学構造上不完全で異質性(polydispersity index(PDI),ca.1.01~1.1)の問題のため、単一分子水準の正確な構造分析が不可能である。したがって、PAMAMデンドリマーは、該当の生物分野の応用研究の目標に符合する最適の生体適合性単一分子デンドリマーを設計して合成する以前に、デンドリマーの導入可能性を速かに打診するための基本検証の次元で使用することが適切であると思われる。
【0031】
現在まで、デンドリマー基盤のヨード系CT用造影剤の例は多く知られていないが、それは製造方法がとても長くて複雑であり、費用が多くかかって、比較的毒性がひどく、低分子物質に比べて所望する程度の造影効果の持続時間が長く延長されず、造影効果もそれほど優秀ではないからであると推定される(非特許文献10、特許文献3、特許文献4、特許文献5、特許文献6、特許文献7、特許文献8、非特許文献11、非特許文献12)。
【0032】
一方、類似の脈絡によってデンドリマー基盤MRI用造影剤は、さらに多くの研究が行なわれてきて、参考に現在病院で患者に投与される代表的な単一低分子化合物のMRI血管造影剤であるGd−DTPA(gadopentetate dimeglumine;商標名:マグネビスト(Magnevist))を開発したバイエルシェリング社は、最も先にデンドリマーを基盤にしたMRI用血管造影剤を開発して特許を出願(特許文献9、特許文献10、特許文献11、特許文献12、特許文献13)し、現在「Gadomer-17」(あるいは、「Gd-DTPA-17」または「SH L643A」と呼ばれる;非特許文献13、非特許文献14)に対する臨床試験が進行中である。
【0033】
したがって、現在臨床で使用されるヨードを含有した低分子CT用造影剤が有した問題点を解決することができ、製造方法が比較的簡単であり、費用が安くて、造影剤として相応しい物理化学的特性を有していて、毒性がほとんどなくて、造影時間が充分に確保されて心血関係疾患診断に有利で、適切な時点に安全な経路で大部分の体外排出が成され、造影効果が優れたヨードを含有した放射形状の高分子化合物を含有するCT用造影剤の開発が切実に求められている。
【0034】
それで、本発明者は前記問題点を解決するCT用造影剤に関して研究中、生体適合性高分子が、中心核及び内部に置換されたヨード含有化合物を取り囲む保護膜を形成することを特徴とする、ヨードを含有した放射形状の高分子化合物が既存のヨードを含有した低分子造影剤化合物に比べて、造影効果持続時間が顕著に向上して、中心核の表面近くに置換された毒性と各種異常反応を起こす素地があるヨード含有化合物を、比較的長さが長い生体適合性高分子鎖の層で取り囲む保護膜を形成して、それらの外部環境への露出を防止することによって体内毒性を減少させるだけでなく、大食細胞による早期の吸収を防止して体内循環時間を延長して、体内注入後の適切な時間の経過後に体外排出がなされて、製造方法及び精製方法が非常に簡単で高収率及び低費用で大量生産が可能であり、多分散性が非常に低くて製造と効果面で再現性が高く、製造されるヨードを含有した放射形状の高分子化合物の構造が、すべて共有結合からなっていて構造的にも非常に安定していることを確認して、本発明を完成した。
【発明を実施するための形態】
【0048】
本発明は、円形または球形の対称形低分子化合物、または放射形の高分子化合物で構成される中心核;
前記中心核に直接またはペプチドを通じて結合されるヨード含有化合物、及び
前記中心核に直接またはペプチドを通じて結合されるか、または前記中心核に結合されたヨード含有化合物に直接結合される生体適合性高分子を含有するが、前記中心核及びヨード含有化合物が生体内に露出しないように前記生体適合性高分子が保護膜を形成する構造を有する、ヨードを含む放射形状の高分子化合物を提供する。
【0049】
本発明によるヨードを含有した放射形状の高分子化合物において、前記中心核を構成する円形または球形の対称形低分子化合物は、α−、β−及びγ−シクロデキストリン、グルコース、ガラクトース、マンノース及びそれらの誘導体からなる群から選択されるいずれか1種の炭水化物、ポルフィリン(porphyrin)及びその誘導体、DOTA(1,4,7,10-テトラアザシクロデカン-1,4,7,10-テトラ酢酸)及びその誘導体、リジン、アスパラギン酸、グルタミン酸、セリン、システイン、及びチロシンからなる群から選択されるいずれか1種以上のペプチドが2〜4個連結して形成された環状ペプチド及びそれらの誘導体を使用することができ、
前記中心核を構成する放射形の高分子化合物は、ポリアミドアミン(PAMAM)デンドリマー、ポリリジンデンドリマー、ポリプロピレンイミン(PPI)デンドリマー、ポリエステルデンドリマー、ポリグルタミン酸デンドリマー、ポリアスパラギン酸デンドリマー、ポリグリセロ−ルデンドリマー及びポリメラミンデンドリマーからなる群から選択されるいずれか1種のデンドリマー、ポリリジン、ポリエステル、ポリグルタミン酸、ポリアスパラギン酸、及びポリグリセロ−ルからなる群から選択されるいずれか1種の高次分枝型高分子、ポリエチレングリコール(PEG)及びその共重合体誘導体からなる群から選択されるいずれか1種の星形の高分子及びそれらの誘導体を使用することができる。
【0050】
本発明によるヨードを含有した放射形状の高分子化合物において、前記ヨード含有化合物の好ましい例として、下記の化学式2、3、4及び10で表される化合物を使用することができる。
【0055】
前記化学式2〜4または化学式10において、
R
1、R2及びR
3はそれぞれ独立して、または選択的に、−NH
2、−NHR
4、−NR
42、−NHNH
2、−NHNHR
4、−NHNR
42、−OH、−OR
4、−SHまたは−SR
4で、
R
4は、−H、−Boc、C
1−6の置換または置換されない直鎖または分枝鎖アルキルまたはヘテロアルキル、または置換または置換されないC
5−7のアリールまたはヘテロアリールで、
R
5は、R
4と同じか、−(C=O)R
4、−(C=O)OR
4、−(C=O)NHR
4または−(C=O)NR
42である。
【0056】
ここで、前記化学式2、3及び4のヨード含有化合物は、下記の化学式1及び化学式9で表されるヨード化合物を前駆体にして製造することができる。
【0059】
本発明によるヨードを含有した放射形状の高分子化合物において、前記生体適合性高分子はポリエチレングリコール(PEG)、ヒアルロン酸、ヘパリン及びそれらの誘導体を使用することができる。
【0060】
本発明によるヨードを含有した放射形状の高分子化合物において、前記ペプチドは、ジリジン、トリリジン、テトラリジン、ジグルタミン酸、トリグルタミン酸、テトラグルタミン酸、ジアスパラギン酸、トリアスパラギン酸、テトラアスパラギン酸、ジシステイン、トリシステイン、テトラシステイン、ジセリン、トリセリン、及びテトラセリンからなる群から選択される1種の繰り返し単位が2〜4個であるペプチドである。
【0061】
本発明によるヨードを含有した放射形状の高分子化合物において、前記中心核、ヨード含有化合物、ペプチドまたは生体適合性高分子が互いに連結される場合、前記連結部位は、−NHC(=O)−、−C(=O)O−、−NHC(=O)NH−、−NHC(=O)O−、−NHC(=S)NH−、−C=N−NH−、−C=N−NHC(=O)−、−NH−、−S−、−SS−、−NHCH
2CH(OH)−、−O−または
【0064】
さらに、前記連結部位の両末端は追加的にそれぞれ独立してまたは選択的に、−(CH
2)
m−、−(CH
2)
m(C=O)−、C
3−20のシクルロアルキル−(CH
2)
m−、C
4−20のアリール−(CH
2)
m−及び−NH−CH
2CH
2−からなる群から選択されるいずれか一つを通じて前記中心核、ヨード含有化合物、ペプチドまたは生体適合性高分子と連結することができ、ここで前記mは、0〜10の整数であるものを使用することができる。
【0065】
本発明によるヨードを含有した放射形状の高分子化合物において、前記中心核はペプチド、ヨード含有化合物または生体適合性高分子と結合することができるアミン基、ヒドロキシ基、ヒドロキシアミン基、カルボキシル基、カルボキシヒドラジド基、ヒドラジン基、チオール基、アジド基、アルキニル基、ハロゲン基、アルデヒド基、ケトン基、エポキシ基、3−カルボメトキシピロリジノン(3-carbomethoxypyrrolidinone)基、トリ−(C
1−4のアルコキシ)−シリル(tri-(C
1-4 alkoxy)-silyl)基などの表面作用基を一つ以上有する。
【0066】
本発明によるヨードを含有した放射形状の高分子化合物は、平均分子量が8,000〜150,000Daであることが好ましい。万一、平均分子量が8,000Da未満の場合には、血管内の長期間循環が充分に成り立たないで低分子化合物と類似に腎臓を通じて比較的早く排出される心配があり、150,000Daを超過する場合には、高い粘度による血管での注入時の難しさと体内異常反応(ショック、アレルギーなど)の発生可能性が増加、高い毒性による肝臓での蓄積増加、体外排出の難しさ(非常に長い半減期)などの問題がある。
【0067】
本発明の実施例1〜4で作られたG1、G2、G3、及びG4PAMAMデンドリマーを中心核に使用した高分子化合物1c、2c、3c、及び4cの
1H NMR及びICP−MSによるヨード含量を根拠した理論的な平均分子量が、それぞれおおよそ10,000、18,000、40,000、及び86,000Daで、多分散性のPAMAMデンドリマーとPEGを含有した最終化合物であることを考慮する時(実施例1〜4のMALDI−MS参照)、8,000〜150,000Daで範囲とすることが妥当である。
【0068】
参考に、実施例の中で最も分子量が小さな実施例1の化合物1cの場合、
図3に示されたように造影剤注入後の比較的早い時間内に(1時間経過参照)すでに相当量が腎臓で見られ、最も分子量が大きい実施例4の化合物4cの場合、注入時に実施例2の化合物2cや実施例3の化合物3cに比べて造影剤溶液がもう少しどろどろしているように感じられ、前記造影剤を作った濃度で緩衝液に溶解するのも、化合物1c、2c、及び3cに比べてずっと難しく、ここで相対的にさらに多くの熱を発生しながらさらに長い時間超音波粉砕処理をしなければならず、本発明と類似の方式にしたがって化合物4cよりさらに分子量が大きい高分子化合物を作ることは、CT用造影剤として相応しくないと判断される。
【0069】
実際、G5PAMAMデンドリマーを基盤にした物質を製造し、合成と物質分析は行なったが、造影剤として使用するために緩衝液に該当の濃度で溶解させるのには困難が多く、実際の注入実験に使用することができなかった。また、PDI(polydispersity index)が相対的に非常に高く、化合物の均一度が下がってそれほど有用ではない物質であると判断された。
【0070】
本発明によるヨードを含有した放射形状の高分子化合物の好ましい例として、化学式5ないし8で表される化合物を使用することができる。
【0075】
前記化学式5ないし化学式8において、
前記中心核は、α−、β−及びγ−シクロデキストリン、グルコース、ガラクトース及びマンノースからなる群から選択されるいずれか1種の環状炭化水素、ポルフィリン及びその誘導体、DOTA(1,4,7,10-テトラアザシクロデカン-1,4,7,10-テトラ酢酸)及びその誘導体、リジン、アスパラギン酸、グルタミン酸、セリン、システイン、及びチロシンからなる群から選択されるいずれか1種以上のペプチドが2〜4個連結して形成された環状ペプチド、ポリアミドアミン(PAMAM)デンドリマー、ポリリジンデンドリマー、ポリプロピレンイミン(PPI)デンドリマー、ポリエステルデンドリマー、ポリグルタミン酸デンドリマー、ポリアスパラギン酸デンドリマー、ポリグリセロ−ルデンドリマー及びポリメラミンデンドリマーからなる群から選択されるいずれか1種のデンドリマー、ポリリジン、ポリエステル、ポリグルタミン酸、ポリアスパラギン酸、及びポリグリセロ−ルからなる群から選択されるいずれか1種の高次分枝型高分子、ポリエチレングリコール(PEG)及びその共重合体誘導体からなる群から選択されるいずれか1種の星形の高分子及びそれらの誘導体で、
T
1及びT2はヨード含有化合物であって、T
1は
【0085】
で、ここで前記R
1及びR
3はそれぞれ独立してまたは選択的に、
−NH−、−NR
4−、−NNH
2−、−NNHR
4−、−NNR
42−、−O−または−S−で、R
2は、−NH
2、−NHR
4、−NR
42、−NHNH
2、−NHNHR
4、−NHNR
42、−OH、−OR
4、−SHまたは−SR
4で、前記R
4は、−H、−Boc、C
1−6の直鎖または分枝鎖アルキル、または非置換または置換されたC
5−7のアリールまたはヘテロアリールで、前記R
5はR
4と同じか、−(C=O)R
4、−(C=O)OR
4、−(C=O)NHR
4または−(C=O)NR
42で、
Dは、ペプチドであって、ジリジン、トリリジン、テトラリジン、ジグルタミン酸、トリグルタミン酸、テトラグルタミン酸、ジアスパラギン酸、トリアスパラギン酸、テトラアスパラギン酸、ジシステイン、トリシステイン、テトラシステイン、ジセリン、トリセリン、及びテトラセリンからなる群から選択される1種の繰り返し単位が2〜4個であるペプチドで、
Pは、ポリエチレングリコール(PEG)、ヒアルロン酸、ヘパリンまたはそれらの誘導体で、
Xは、前記中心核の表面作用基であって、
アミン基、ヒドロキシ基、ヒドロキシアミン基、カルボキシル基、カルボキシヒドラジド基、ヒドラジン基、チオール基、アジド基、アルキニル基、ハロゲン基、アルデヒド基、ケトン基、エポキシ基、3−カルボメトキシピロリジノン(3-carbomethoxypyrrolidinone)基、トリ−(C
1−4のアルコキシ)−シリル(tri-(C
1-4 alkoxy)-silyl)基で、
L
1及びL
2は、前記中心核、ヨード含有化合物(T
1またはT
2)、ペプチド(D)または生体適合性高分子(P)の間の連結部位として、−NHC(=O)−、−C(=O)O−、−NHC(=O)NH−、−NHC(=O)O−、−NHC(=S)NH−、−C=N−NH−、−C=N−NHC(=O)−、−NH−、−S−、−SS−、−NHCH
2CH(OH)−、−O−または
【0087】
で、前記連結部位の両末端は追加的にそれぞれ、−(CH
2)
m−、−(CH
2)
m(C=O)−、C
3−20のシクルロアルキル−(CH
2)
m−、C
4−20のアリール−(CH
2)
m−及び−NH−CH
2CH
2−からなる群から独立してまたは選択的に選択されるいずれか一つを通じて前記中心核、ヨード含有化合物、ペプチドまたは生体適合性高分子と連結され、ここで前記mは、0〜10の整数で、
a及びbはそれぞれ独立してまたは選択的に、0または1の整数で、
cは2〜4の整数で、
d、e、f、g、h及びiはそれぞれ独立してまたは選択的に、2ないし60の整数で、
jは1〜10の整数である。
【0088】
ここで、前記化学式7及び化学式8の場合、前記生体適合性高分子がPEGの場合には、中心核から外部に向かう末端が、C
1−4のアルコキシ基であるものを使用することが好ましい。
【0089】
本発明によるヨードを含有した放射形状の高分子化合物の好ましい例として、前記化学式5ないし8で表される化合物をさらに具体的に説明するため、下記のそのイメージを示した。
【0091】
前記のイメージで、
Aの場合には、中心核(灰色の大きい円)にそれぞれヨード含有化合物(赤色の小さい円)と生体適合性高分子(緑の長い波線)を結合させることで化学式5の化合物をイメージ化したもので、
Bの場合には、中心核に結合されたヨード含有化合物に生体適合性高分子を結合させることで化学式6の化合物をイメージ化したもので、
Cの場合には、2〜4個のヨード含有化合物が束で置換されたペプチド(青色の短い波線)及び生体適合性高分子を中心核に独立的に結合させることで化学式7の化合物をイメージ化したもので、
Dの場合には、中心核に結合された2〜4個のヨード含有化合物が束で置換されたペプチドに生体適合性高分子を結合させることで化学式8の化合物をイメージ化したものである。
【0092】
本発明によるヨードを含有した放射形状の高分子化合物は、既存のヨードを含有した低分子造影剤化合物と比較して造影効果の持続時間が顕著に向上し、中心核表面近くに置換された毒性と各種異常反応を起こす素地があるヨード含有化合物を、比較的長さが長い生体適合性高分子鎖の層で取り囲む保護膜を形成して、それらの外部環境への露出を防止することによって体内毒性を減少させるだけでなく、大食細胞による早期の吸収を防止して体内循環時間を延長して、体内注入後の適切な時間の経過後に体外排出がなされて、製造方法及び精製方法が非常に簡単で高収率及び低費用で大量生産が可能であり、多分散性が非常に低くて製造と効果の面で再現性が高く、製造されるヨードを含有した放射形状の高分子化合物の構造が、すべて共有結合で成り立っていて構造的にも非常に安定であるので、CT用造影剤の製造に有用に用いることができる。
【0093】
また、本発明は円形または球形の対称形低分子化合物、または放射形の高分子化合物からなる中心核の表面作用基の一部に生体適合性高分子が結合するように反応させる工程(工程1)、及び
前記工程1の中心核で未反応の表面作用基にヨード含有化合物が直接またはペプチドを通じて結合するように反応させる工程(工程2)を含有する、前記ヨードを含有した放射形状の高分子化合物の製造方法を提供する。
【0094】
さらに、本発明は円形または球形の対称形低分子化合物、または放射形の高分子化合物からなる中心核の表面作用基一部にヨード含有化合物が結合するように反応させる工程(工程1);及び
前記工程1で中心核に結合されたヨード含有化合物に生体適合性高分子が結合するように反応させる工程(工程2)を含有する前記ヨードを含有した放射形状の高分子化合物の製造方法を提供する。
【0095】
また、本発明はヨード含有化合物が生体適合性高分子とペプチドを通じて結合するように反応させる工程(工程1);及び
前記工程1でペプチドを通じて生体適合性高分子に結合されたヨード含有化合物が円形または球形の対称形低分子化合物、または放射形の高分子化合物からなる中心核の表面作用基に結合するように反応させる工程(工程2)を含有する前記ヨードを含有した放射形状の高分子化合物の製造方法を提供する。
【0096】
本発明によるヨードを含有した放射形状の高分子化合物の製造方法において、前記円形または球形の対称形低分子化合物、放射形の高分子化合物、表面作用基、ヨード含有化合物、ペプチド、生体適合性高分子の例は上述したとおりである。
【0097】
本発明の一実施例による製造方法において、中心核の表面作用基の一部に生体適合性高分子を約15〜50%程度に結合させた後、過量のヨード含有化合物を投与して反応しないで残っている中心核の表面作用基に結合させて、放射形状の高分子化合物中のヨード含量が約15〜50%程度になるように調節することができる。
【0098】
また、本発明は前記ヨードを含有した放射形状の高分子化合物を有効成分として含有するCT用造影剤組成物を提供する。
【0099】
ここで、前記ヨードを含有した放射形状の高分子化合物は、ヨード含量が15〜50%であることが好ましい。万一、ヨードを含有した放射形状の高分子化合物中のヨード含量が15%未満の場合には造影効果が十分ではなく、過量の造影剤を投与しなければならないので、生体内注入時の異常反応発生の可能性が高いという問題があり、50%を超過する場合には毒性が増加して生体注入用として使用し難いという問題がある。
【0100】
以下、本発明の理解を助けるために好ましい実施例を提示する。しかし、下記の実施例は本発明をより容易に理解するためのみに提供するものであって、実施例によって本発明の内容が限定されるのではない。
【0101】
<製造例1>環化された中性のフタルイミド誘導体(8)の製造
【0103】
化合物6(TIPN,2.40g,3.68mmol)及び化合物7(N−ターシャリ−Boc−エチレンジアミン,200mg,1.22mmol)をDMSO(5.0ml)に溶解して、そこにトリエチルアミン(0.50ml,3.59mmol)を添加した。反応容器にアルゴンガスを満たした後、前記反応混合物を40℃で16時間撹拌した。前記未精製反応生成物をサイズ排除クロマトグラフィー(SEC)カラム(モデル:Bio-Beads S-X1,H36cm×O.D.4.5cm,製造社:バイオ・ラッド)でDMFでろ過してDMSOを除去して、減圧下で溶媒を除去した後、シリカゲルクロマトグラフィー(10:1 CH
2Cl
2/アセトン)を行って目的化合物8を黄色い粉末で得た(60.1mg,75.7μmol,6%)。
【0104】
R
f:0.63[シリカゲル,10:1 CH
2Cl
2/アセトン];
1H NMR (600 MHz, DMSO-d
6) d 6.89 (t, 1H, J = 6.4 Hz, H
3), 3.60 (t, 2H, J = 5.6 Hz, H
1), 3.14 (q, 2H, J = 5.8 Hz, H
2), 1.29 (s, 9H, H
4);
13C NMR (150 MHz, DMSO-d
6) d 164.1, 155.7, 135.4, 134.4, 104.0, 77.7, 38.9, 37.5, 28.1;
HRMS (ESI) Calcd for C
15H
14N
2O
4I
4Na (M + Na)
+: 816.7030, Found: 816.7028。
【0105】
<製造例2>環化された中性のフタルイミド誘導体(10)の製造
【0107】
化合物6(TIPN,3.84g,5.89mmol)及び化合物9(エチルアルコールアミン、300mg,4.91mmol)をDMSO(8ml)に溶解させた溶液にトリエチルアミン(0.82ml,5.88mmol)を添加して、50℃に加熱して19時間撹拌した。前記反応混合物からDMSO溶媒を除去するために、移動相にDMFを使用したSECカラム(モデル:Bio-Beads S-X1,H36cm×O.D.4.5cm,製造社:バイオ・ラッド)で分離して、減圧下で濃縮させて得た生成物をシリカゲルクロマトグラフィー(10:1 CH
2Cl
2/アセトン)で精製して、化合物10を黄色い粉末で得た(1.11g,1.60mmol,33%)。
【0108】
化合物6(TIPN,3.84g,5.89mmol)及び化合物9(エチルアルコールアミン,300mg,4.91mmol)をDMSO(8.0ml)に溶解して、そこにトリエチルアミン(0.82ml,5.88mmol)を添加した。反応容器にアルゴンガスを満たした後、前記反応混合物を50℃で19時間撹拌した。前記未精製反応生成物をSECカラム(モデル:Bio-Beads S-X1,H36cm×O.D.4.5cm,製造社:バイオ・ラッド)でDMFでろ過してDMSOを除去して、減圧下で溶媒を除去した後、シリカゲルクロマトグラフィー(10:1 CH
2Cl
2/アセトン)を行って目的化合物10を黄色い粉末で得た(1.11g,1.60mmol,33%)。
【0109】
R
f:0.37 [silica gel,10:1 CH
2Cl
2/アセトン];
1H NMR (600 MHz, DMSO-d
6) d 3.62 (t, 2H, J = 5.8 Hz, H
1), 3.55 (q, 2H, J = 5.8 Hz, H
2);
13C NMR (150 MHz, DMSO-d
6) d 164.2, 135.5, 134.4, 104.0, 57.5, 41.3。
【0110】
<実施例1>G1 PAMAM−mPEG
2000−TIPAA結合体(1c)の製造
【0112】
工程1:G1 PAMAM−mPEG
2000結合体(1b)の製造
【0114】
アルドリッチ社から購入したG1 PAMAMデンドリマー(1a)を真空状態で乾燥してメタノールを除去した。前記化合物1a(1.31g,0.916mmol)をDMSO(100ml)に溶解させて、撹拌中の前記溶液にmPEGカーボネート化合物5(4.95g,2.27mmol)を一度に添加した。反応容器にアルゴンガスを満たした後、前記反応混合物を常温で2日間撹拌した後、メタノール相で6時間撹拌して透析(モデル:Spectra/Por Regenerated Cellulose(RC)membrane,MWCO1000,製造社:スペクトラムラボラトリーズ)を2回実施した。次に、減圧下で溶媒を除去して得られた未精製生成物をSECカラム(モデル:Bio-Beads S-X1,H40cm×O.D.4.5cm,製造社:バイオ・ラッド)でDMFで精製して、真空状態で乾燥して化合物1bを溶媒の一部が含まれたまま得た(5.65g)。
【0115】
1H NMR (600 MHz, DMSO-d
6) d 8.12-7.87 (m, NH
G0 and NH
G1), 7.22 (br s, 2.94H, NH
PEG of major isomer), 6.80 (br s, 0.34H, NH
PEG of minor isomer), 4.04 (t, 6.17H, J = 4.7 Hz, H
h), 3.62-3.39 (m, 667.57H, H
i, H
j, and H
k), 3.24 (s, H
l), 3.10-2.99 (m, 33.53H, H
d, H
f, H
fPEG, and H
gPEG), 2.66-2.58 (m, 33.08H, H
b and H
g), 2.43 (m, 11.86H, H
e and H
a), 2.19 (m, 24.00H, H
c);
MS (MALDI-TOF, DHB matrix) M
n 7698.11, M
w 7747.40, PDI 1.01;
MS (MALDI-TOF, THAP matrix) M
n 7757.35, M
w 7795.41, PDI 1.00。
【0116】
工程2:G1 PAMAM−mPEG
2000−TIPAA結合体(1c)の製造
前記工程1で得た化合物1b溶液(5.65g)及び4,5,6,7−テトラヨードベンゾフラン−1,3−ジオン(6)(TIPN,5.90g,9.05mmol)をDMSO(100ml)に溶解して、そこにN,N−ジイソプロピルエチルアミン(DIEA,2.40ml,13.8mmol)を添加した。反応容器にアルゴンガスを満たした後、前記反応混合物を常温で2日間撹拌して、そこに追加でTIPN(3.00g,4.60mmol)を一度に添加した後、反応混合物を常温で24時間撹拌した。前記反応混合物をメタノール相で6時間撹拌して透析(モデル:Spectra/Por Regenerated Cellulose(RC)membrane,MWCO1000,製造社:スペクトラムラボラトリーズ)を2回実施した。次に、減圧下で溶媒を除去して得られた未精製生成物をSEC(モデル:Bio-Beads S-X1,H40cm×O.D.4.5cm,製造社:バイオ・ラッド)で精製した。前記で精製された生成物を合わせてSECカラム(Sephadex LH-20,H40cm×O.D.3.0cm)でろ過して残っているDMFを除去して、エチルアルコール(80ml)に溶解してシリンジフィルター(モデル:Puradisc25 Syringe Filter,細孔サイズ0.45μm,PTFE,製造社:ワットマン)で滅菌ろ過した後、真空状態で3日間乾燥させて目的化合物1cを得た(3.89g)。
【0117】
ヨード含量(Inductively coupled plasma mass spectrometry,ICP−MS):20.7%。
【0118】
<実施例2>G2 PAMAM−mPEG
2000−TIPAA結合体(2c)の製造
【0120】
工程1:G2 PAMAM−mPEG
2000コンジュゲート(2b)の製造
【0122】
アルドリッチ社から購入したG2 PAMAMデンドリマー(2a)を真空状態で乾燥してメタノールを除去した。前記化合物2a(1.32g,0.405mmol)をDMSO(90ml)に溶解させて、撹拌中の前記溶液にmPEGカーボネート化合物5(3.94g,1.81mmol)を一度に添加した。反応容器にアルゴンガスを満たした後、前記反応混合物を常温で2日間撹拌した後、メタノール相で6時間撹拌して透析(モデル:Spectra/Por Regenerated Cellulose(RC)membrane,MWCO3500,製造社:スペクトラムラボラトリーズ)を2回実施した。次に、減圧下で溶媒を除去して得られた未精製生成物をSECカラム(モデル:Bio-Beads S-X1,H40cm×O.D.4.5cm,製造社:バイオ・ラッド)でDMFで精製して、真空状態で乾燥して化合物2bを溶媒の一部が含まれたまま得た(5.20g)。
【0123】
1H NMR (600 MHz, DMSO-d
6) d 8.03-7.83 (m, NH
G0, NH
G1, and NH
G2), 7.21 (br s, 4.50H, NH
PEG of major isomer), 6.80 (br s, 0.60H, NH
PEG of minor isomer), 4.04 (t, 8.61H, J = 4.6 Hz, H
h), 3.62-3.39 (m, 925.04H, H
i, H
j, and H
k), 3.24 (s, H
l), 3.10-3.00 (m, 70.07H, H
d, H
f, H
fPEG, and H
gPEG), 2.65 (m, 52.49H, H
b), 2.57 (m, 19.21H, H
g), 2.43 (m, 27.58H, H
e and H
a), 2.20 (m, 56.00H, H
c);
MS (MALDI-TOF, THAP matrix) M
n 11742.14, M
w 11785.30, PDI 1.00。
【0124】
工程2:G2 PAMAM−mPEG
2000−TIPAA結合体(2c)の製造
前記工程1で得た化合物2b溶液(5.20g)及びTIPN(6)(1.89g,2.90mmol)をDMSO(94ml)に溶解して、そこにDIEA(0.80ml,4.6mmol)を添加した。反応容器にアルゴンガスを満たした後、前記反応混合物を常温で2日間撹拌して、そこに追加でTIPN(990mg,1.52mmol)を一度に添加した後、反応混合物を常温で24時間撹拌した。前記反応混合物をメタノール相で6時間撹拌して透析(モデル:Spectra/Por Regenerated Cellulose(RC)membrane,MWCO8000,製造社:スペクトラムラボラトリーズ)を2回実施した。次に、減圧下で溶媒を除去して得られた未精製生成物をSEC(モデル:Bio-Beads S-X1,H 40cm×O.D.4.5cm,製造社:バイオ・ラッド)で精製した。前記で精製された生成物を合わせてSECカラム(Sephadex LH-20,H40cm×O.D.3.0cm)でろ過して残っているDMFを除去して、エチルアルコール(80ml)に溶解してシリンジフィルター(モデル:Puradisc25 Syringe Filter,細孔サイズ0.45μm,PTFE,製造社:ワットマン)で滅菌ろ過した後、真空状態で3日間乾燥させて目的化合物2cを得た(3.04g)。
【0125】
ヨード含量(Inductively coupled plasma mass spectrometry,ICP−MS):23.0%。
【0126】
<実施例3>G3 PAMAM−mPEG
2000−TIPAA結合体(3c)の製造
【0128】
工程1:G3 PAMAM−mPEG
2000コンジュゲート(3b)の製造
【0130】
アルドリッチ社から購入したG3 PAMAMデンドリマー(3a)を真空状態で乾燥してメタノールを除去した。前記化合物3a(1.16g,0.168mmol)をDMSO(112ml)に溶解させて、撹拌中の前記溶液にmPEGカーボネート化合物5(3.27g,1.50mmol)を一度に添加した。反応容器にアルゴンガスを満たした後、前記反応混合物を常温で2日間撹拌した後、メタノール相で6時間撹拌して透析(モデル:Spectra/Por Regenerated Cellulose(RC)membrane,MWCO1000,製造社:スペクトラムラボラトリーズ)を2回実施した。次に、減圧下で溶媒を除去して得られた未精製生成物をSECカラム(モデル:Bio-Beads S-X1,H40cm×O.D.4.5cm,製造社:バイオ・ラッド)でDMFで精製して、真空状態で乾燥して化合物3bを溶媒の一部が含まれたまま得た(3.29g)。
【0131】
1H NMR (600 MHz, DMSO-d
6) d 8.13-7.83 (m, NH
G0, NH
G1, NH
G2, and NH
G3), 7.22 (br s, 8.98H, NH
PEG of major isomer), 6.80 (br s, 1.16H, NH
PEG of minor isomer), 4.04 (t, 17.51H, J = 4.5 Hz, H
h), 3.62-3.39 (m, 1846.66H, H
i, H
j, and H
k), 3.24 (s, H
l), 3.10-2.99 (m, 149.85H, H
d, H
f, H
fPEG, and H
gPEG), 2.66-2.59 (m, 146.61H, H
b and H
g), 2.43 (m, 56.55H, H
e and H
a), 2.20 (m, 120.00H, H
c);
MS (MALDI-TOF, DHB matrix) M
n 21045.06, M
w 22307.71, PDI 1.06。
【0132】
工程2:G3 PAMAM−mPEG
2000−TIPAA結合体(3c)の製造
前記工程1で得た化合物3b溶液(3.24g)及びTIPN(6)(3.86g,5.92mmol)をDMSO(100ml)に溶解して、そこにDIEA(1.50ml,8.61mmol)を添加した。反応容器にアルゴンガスを満たした後、前記反応混合物を常温で2日間撹拌して、そこに追加でTIPN(1.93g,2.96mmol)を一度に添加した後、反応混合物を常温で24時間撹拌した。前記反応混合物をメタノール相で6時間撹拌して透析(モデル:Spectra/Por Regenerated Cellulose(RC)membrane,MWCO1000,製造社:スペクトラムラボラトリーズ)を2回実施した。次に、減圧下で溶媒を除去して得られた未精製生成物をSEC(モデル:Bio-Beads S-X1,H40cm×O.D.4.5cm,製造社:バイオ・ラッド)で精製した。前記で精製された生成物を合わせてSECカラム(Sephadex LH-20,H40cm×O.D.3.0cm)でろ過して残っているDMFを除去して、エチルアルコール(80ml)に溶解してシリンジフィルター(モデル:Puradisc25 Syringe Filter,細孔サイズ0.45μm,PTFE,製造社:ワットマン)で滅菌ろ過した後、真空状態で3日間乾燥させて目的化合物3cを得た(3.32g)。
【0133】
ヨード含量(Inductively coupled plasma mass spectrometry,ICP−MS):26.5%。
【0134】
<実施例4>G4 PAMAM−mPEG
2000−TIPAA結合体(4c)の製造
【0136】
工程1:G4 PAMAM−mPEG
2000結合体(4b)の製造
【0138】
アルドリッチ社から購入したG4 PAMAMデンドリマー(4a)を真空状態で乾燥してメタノールを除去した。前記化合物4a(579mg,0.0407mmol)をDMSO(27ml)に溶解させて、撹拌中の前記溶液にmPEGカーボネート化合物5(1.94g,0.890mmol)を一度に添加した。反応容器にアルゴンガスを満たした後、前記反応混合物を常温で2日間撹拌した後、メタノール相で6時間撹拌して透析(モデル:Spectra/Por Regenerated Cellulose(RC)membrane,MWCO1000,製造社:スペクトラムラボラトリーズ)を2回実施した。次に、減圧下で溶媒を除去して得られた未精製生成物をSECカラム(モデル:Bio-Beads S-X1,H40cm×O.D.4.5cm,製造社:バイオ・ラッド)でDMFで精製して、真空状態で乾燥して化合物4bを溶媒の一部が含まれたまま得た(1.67g)。
【0139】
1H NMR (600 MHz, DMSO-d
6) d 8.04-7.81 (m, NH
G0, NH
G1, NH
G2, NH
G3, and NH
G4), 7.22 (br s, 20.62H, NH
PEG of major isomer), 6.81 (br s, 2.90H, NH
PEG of minor isomer), 4.03 (t, 39.80H, J = 4.5 Hz, H
h), 3.62-3.39 (m, 4330.96H, H
i, H
j, and H
k), 3.24 (s, H
l), 3.11-2.99 (m, 310.94H, H
d, H
f, H
fPEG, and H
gPEG), 2.68-2.61 (m, 299.21H, H
b and H
g), 2.43 (m, 104.94H, H
e and H
a), 2.20 (m, 248.00H, H
c);
MS (MALDI-TOF, DHB matrix) M
n 44435.05, M
w 46195.16, PDI 1.04。
【0140】
工程2:G4 PAMAM−mPEG
2000−TIPAA結合体(4c)の製造
前記工程1で得た化合物4b溶液(1.63g)及びTIPN(6)(1.35g,2.07mmol)をDMSO(32ml)に溶解して、そこにDIEA(0.54ml,3.10mmol)を添加した。反応容器にアルゴンガスを満たした後、前記反応混合物を常温で2日間撹拌して、そこに追加でTIPN(677mg,1.04mmol)を一度に添加した後、反応混合物を常温で24時間撹拌した。前記反応混合物をメタノール相で6時間撹拌して透析(モデル:Spectra/Por Regenerated Cellulose(RC)membrane,MWCO1000,製造社:スペクトラムラボラトリーズ)を2回実施した。次に、減圧下で溶媒を除去して得られた未精製生成物をSEC(モデル:Bio-Beads S-X1,H40cm×O.D.4.5cm,製造社:バイオ・ラッド)で精製した。前記で精製された生成物を合わせてSECカラム(Sephadex LH-20,H40cm×O.D.3.0cm)でろ過して残っているDMFを除去して、エチルアルコール(80ml)に溶解してシリンジフィルター(モデル:Puradisc25 Syringe Filter,細孔サイズ0.45μm,PTFE,製造社:ワットマン)で滅菌ろ過した後、真空状態で3日間乾燥させて目的化合物4cを得た(1.27g)。
【0141】
ヨード含量(Inductively coupled plasma mass spectrometry,ICP−MS):25.2%。
【0142】
<実験例1>細胞毒性試験
細胞毒性試験に使用したHeLa細胞株は、ATCC(American Type Culture Collection, Manassas,VA)から購入し、10%FBS(fetal bovine serum)、50U/mlのペニシリン及び50μg/mlのストレプトマイシンが補充されたDMEM(Dulbecco’s modified eagle medium,Gibco)で37℃、5%二酸化炭素(CO
2)の雰囲気下の条件で保存した。
【0143】
実施例1〜4で製造した真空状態で乾燥した固体のPAMAM−PEG
2000−TIPAA結合体1c〜4c各10mgを1.0mlの3次蒸留水(Millipore Milli-Q)に溶解して、10mg/ml濃度の母液を製造した。それぞれの母液は、短く超音波処理して均質化した。次に、無血清DMEM溶液を使用して、1、5、10、50、100及び500μg/mlの濃度で段階的に希釈したサンプルを準備した。HeLa細胞は、ウェル当り1×10
3の密度で細胞が存在する96ウェルプレート(Corning Costar,Cambridge,MA)で37℃、5%CO
2雰囲気下の条件で24時間培養した。細胞は、各ウェル当り100μlの前記希釈液または100μlの無血清DMEM(対照群)で処理して、37℃、5%CO
2雰囲気下の条件でそれぞれ24、48及び72時間培養した。前記製剤は、5mg/mlの3−(4,5−ジメチルチアゾール−2−イル)−2,5−ジフェニルテトラゾリウムブロマイド(MTT)を溶解した無血清DMEMに交換して、細胞を追加で4時間培養した。MTTを吸入除去してDMSO(100μl)を各ウェルに加えてホルマザン(formazan)結晶を溶解させた(Mosmann, T., J. Immunol. Methods 1983年,第65巻,P.55-63)。吸光度は、570nmでマイクロプレートリーダー(モデル:BioRad microplate reader,製造社:バイオ・ラッド)を用いて測定し、その結果を
図1に示した。前記分析は4回ずつ反復測定した。
【0144】
図1に示されたように、実施例1〜4で製造した4種のCT用造影剤化合物1c、2c、3c、及び4cは、実施した細胞毒性テスト環境の中で最も極限の条件(500μg/mlの造影剤濃度下で72時間培養)でも、それぞれ順に88.5%、88.4%、88.4%、及び87.9%の非常に高い細胞生存率を示し、細胞に対する毒性がほとんどないことが示された。
【0145】
したがって、本発明によるヨードを含有した放射形状の高分子化合物を含有するCT用造影剤の体内安全性が非常に優れていることが分かる。
【0146】
<実験例2>生体外(インビトロ)マイクロCT撮影評価
実施例1〜4で製造した化合物1c〜4cを有効成分として含む造影剤組成物で、生体外マイクロCTを撮影した場合の造影効果を調べるために、次のように実験した。
【0147】
準備工程:CT用造影剤組成物の製造
実施例1〜4で製造したそれぞれのPAMAM−PEG
2000−TIPAA結合体(化合物1c、2c、3c、及び4c)を滅菌処理された20mMトリス緩衝液(pH7.4,0.1mg/ml、EDTA含有)に溶解して、250mg/ml溶液を作った。前記溶液を短く超音波処理して均質化し、すぐ使用しない場合は4℃で保管した。前記溶液を動物に注入する前に、前記溶液を冷蔵庫から取り出しておいて室温に合わせてボルテックス(vortex)でよく振った。
【0148】
下記の表1に本発明のCT用造影剤の粘度(30℃)及び滲透圧の測定結果を整理した。
【0150】
前記表1で、測定値は平均±標準偏差で示した。それぞれ同一条件下で5回ずつ測定して、最高値と最低値を除いた残り3個のデータに対する平均と標準偏差を求めた。
【0151】
生体外(インビトロ)マイクロCT撮影評価
前記準備工程で製造した実施例1〜4の化合物1c、2c、3c、または4cを含有するCT用造影剤(250mg/ml)を生体内に注入するまえに、予備点検でそれらのX線吸光度を市販中の人体用及び動物用CT用造影剤と比較するためにチューブ上で2D X線瞬間撮影画像を得る下記のような実験を行なった。
【0152】
ここで、陽性成対照群では血管内注入時に急速な排出がなされる低分子化合物基盤人体用CT用造影剤である「Iobrix」(テジュン製薬)と血管内注入時に比較的長期間循環が可能なエマルジョンナノ粒子基盤の動物用CT用造影剤である「Fenestra VC」(ART,カナダ)を使用した。すなわち、それぞれの250μlチューブに前記準備工程で製造したCT用造影剤4種と「Fenestra VC」、「Iobrix」そして、陰性対照群として20mMトリス緩衝液(pH7.4,0.1mg/ml EDTA含有)各250μlずつを入れ、また空のチューブ一つも陰性対照群として準備した。前記8個のチューブをNFR Polaris-G90インビボマイクロCTスキャナー(製造社:NanoFocusRay)の撮影用ベッドに、一列に並べて乗せて、2D X線瞬間撮影画像を撮って[画像パラメーター:60kVp,60mA,500ms exposure time, field of view (FOV) 80.00 × 83.71mm
2, 1.4 × magnification]、その結果を
図2に示した。
【0153】
図2に示されたように、陰性対照群に使用した20mMトリス緩衝液(X線透過信号強度:1359.5)及び空のチューブ(X線透過信号強度:1676.5)に比べて、すべてのCT用造影剤のX線透過率(X線吸光度に反比例)がずっと低い値を示し、この中で、急速な排出がなされる人体用CT用造影剤である「Iobrix」が最も高いX線吸光度(X線透過信号強度:198.0)を示し、動物用CT用造影剤である「Fenestra VC」(X線透過信号強度:866.0)と実施例1〜4で製造した化合物1c、2c、3c、及び4cを含有したCT用造影剤(X線透過信号強度:順に904.5、838.0、826.5、及び827.0)は、生体外チューブ2D X線瞬間撮影画像においてすべて類似な水準のX線吸光度を示した。
【0154】
したがって、本発明によるヨードを含有した放射形状の高分子化合物を含有するCT用造影剤は、造影効果が十分であることが分かる。
【0155】
<実験例3>生体内(インビボ)マイクロCT撮影評価
実施例1〜4で製造した化合物1c〜4cを有効成分として含有した造影剤組成物で生体内マイクロCTを撮影した場合の造影効果を調べるために、小型動物用マイクロCT機器を用いて次のように実験した。
【0156】
具体的に、実験動物には、15〜22gの6〜8週齢の元気な雄のC57BL/6マウス(オリエント・バイオ、韓国)を使用した。マウスは、造影剤を注入の12時間前から注入後 4時間経過後まで水と餌を与えないで、造影剤注入後から4時間経過後のCT撮影が終わった直後から水と餌を一緒に与えた。造影剤注入前の陰性対照群として造影剤の注入なしにマウスを3%のイソフルランを含有した酸素雰囲気下の誘導チャンバに5分程度入れて置いて痲酔させた後、マウスをNFR Polaris-G90インビボマイクロCTスキャナー(NanoFocusRay,韓国)の撮影用ベッド(bed)に背を上に向けるようにして載せて、1.5%イソフルランを含有した酸素雰囲気下で痲酔状態を維持しながらベースライン(すなわち、precontrast)CTスキャンをした[画像パラメーター:60kVp,60μA,500ms exposure time,360゜scan angle,600scan number,512slices(i.e., image number); FOV:80.00×83.71mm
2 for low resolution whole-body imaging (1.4×magnification),33.94×35.52mm
2 for mid resolution chest and abdominal imaging(3.3×magnification)、及び26.67×27.90mm
2 for high resolution brain imaging(4.2×magnification)]。以後、ベースラインCTスキャンを行なったマウスを1.5%イソフルランを含有した酸素雰囲気下で痲酔状態を維持しながら、マウスの尾を温い水に30〜60秒ほど浸けて血管を拡張させた後、各造影剤を該当容積程度(実施例1〜4の化合物を含有した造影剤の場合、15ml/kg、陽性対照群「Fenestra VC」の場合は10ml/kg、そして陽性対照群「Iobrix」の場合は2.5ml/kg)マウスの尾静脈を通じて徐々に注入した。造影剤注入直後、直ちにマウスをマイクロCT器機の撮影用ベッドに背を上に向けるようにして載せて、1.5%イソフルランを含有した酸素雰囲気下で痲酔状態を維持しながら該当の解像度(low, mid,またはhigh)でCTスキャンを行なった。それが注入前のCT画像(0時間)に該当する。
【0157】
その後、同じ方式で追加的造影剤の注入なしに各マウスに対するCTスキャンを造影剤注入後、1、2、4、8、24、及び48時間経過時点で行なった。CTスキャンをしない間は各マウスを徹底的に統制された恒温恒湿環境(22〜25℃及び50〜60%湿度)の個別ケージに移して回復させた。各造影剤に対して、3〜6匹のマウスを使用して前記記述した注入後の経過時点に全身CTスキャンを行ない、各造影剤別に一匹に対して注入後7日経過後のCTスキャンを行なって、この地点で大部分の造影剤が体外に排出されたかどうかを確認した。
【0158】
また、本発明によるCT用造影剤に対して1〜2匹のマウスを使用して胸部と腹部(mid resolution)、そして脳部位(high resolution)に対するCTスキャンを前述した画像パラメーターで行なって、より高い解像度で本発明のCT用造影剤の造影効果を検討した。各CTスキャン後に得られたロー(raw)画像ファイルは、スキャン終了直後、断面画像の間違いの有無を確認するために、すぐに512×512ピクセルのDICOM(digital imaging and communications in medicine)ファイルフォーマットに組換えした。また、Lucionソフトウエア(Infinitt Healthcare,韓国)を用いて、DICOMファイルから3D CT画像を得た。
【0159】
本発明によるCT用造影剤と陽性対照群に使用した「Fenestra VC」及び「Iobrix」をマウスの尾静脈を通じて注入した後、時間の経過にしたがって撮った何種類かの関心部位を示す冠状面(coronal)及び矢状面(sagittal)の全身CT断面画像を
図3〜4(冠状面)及び
図5〜6(矢状面)にそれぞれ示した。
【0160】
また、本発明によるCT用造影剤をマウスの尾静脈を通じて注入した後、時間の経過にしたがって撮った胸部と腹部(mid resolution)及び脳部位(high resolution)のCT断面画像を
図7〜8(胸部と腹部)、
図9〜10(脳部位)にそれぞれ示した。
【0161】
図3ないし
図6に示されたように、CT用造影剤が注入されたマウスの血管部位は明るい灰色で示された(骨は非常に明るい白部分で示され)。ここで、陽性対照群に使用した低分子化合物基盤人体用CT用造影剤である「Iobrix」は、注入直後数分以内(注入後0時間経過CTスキャン参照)に、非常に早い速度で腎臓を通じて排出されたとみなすことができ、エマルジョンナノ粒子基盤の動物用CT用造影剤である「Fenestra VC」は、本発明の実施例1〜4で製造した化合物を含有したCT用造影剤と同様に、造影剤注入後の約2〜4時間までは注入直後とほとんど同一な強度の血管内造影効果を示すなど、初期には類似の様相で時間帯別の体内分布を示したが、注入後24時間が経過しながら本発明によるCT用造影剤に比べて、相対的に肝臓への分布がより多くなって毒性がさらに強いことが推定される。
【0162】
図7ないし
図10に示されたように、本発明の実施例1〜4で製造した化合物を含有したCT用造影剤の場合、分子量(すなわち、大きさ)が増加するにしたがって相対的に血管に循環する時間が長くなる様相を示し、体外排出経路も比較的分子量が小さな実施例1で製造した化合物を含有した造影剤の場合、大部分が腎臓(注入後1時間のCT画像参照)を経て膀胱に排出されることが示された一方、分子量が大きくなるほど(実施例2<実施例3<実施例4)膀胱とともにますます肝臓への相対的分布がさらに増加し、「Fenestra VC」に比べて造影剤注入後24時間経過時点までも、心臓部位での画像信号が相対的に段々強く感知された。また、本発明のCT用造影剤を注入してCTスキャンを実施する間にネズミは死ななかったし、CTスキャンが終わった後に実施した剖検結果の肝臓、腎臓などの臓器に全く損傷を与えないことを確認した。
【0163】
したがって、本発明によるヨードを含有した放射形状の高分子化合物を含有するCT用造影剤は、造影効果が十分でかつ造影時間が持続するだけでなく、体外排出も適切になされることが分かる。