(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5674949
(24)【登録日】2015年1月9日
(45)【発行日】2015年2月25日
(54)【発明の名称】コネクタアセンブリ
(51)【国際特許分類】
H01R 12/51 20110101AFI20150205BHJP
【FI】
H01R12/51
【請求項の数】8
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2013-529680(P2013-529680)
(86)(22)【出願日】2011年9月30日
(65)【公表番号】特表2013-541155(P2013-541155A)
(43)【公表日】2013年11月7日
(86)【国際出願番号】EP2011067146
(87)【国際公開番号】WO2012042032
(87)【国際公開日】20120405
【審査請求日】2013年3月22日
(31)【優先権主張番号】10195719.9
(32)【優先日】2010年12月17日
(33)【優先権主張国】EP
(31)【優先権主張番号】102010047282.4
(32)【優先日】2010年10月1日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】502156098
【氏名又は名称】ジョンソン・コントロールズ・ゲー・エム・ベー・ハー
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100095500
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 正和
(74)【代理人】
【識別番号】100111235
【弁理士】
【氏名又は名称】原 裕子
(72)【発明者】
【氏名】ビエレツキ−ウェルツ、 ビクトル
(72)【発明者】
【氏名】ハサン、 シェノル
(72)【発明者】
【氏名】バルドズィスキー、 プラメン
(72)【発明者】
【氏名】モンタルー、 ローラン
【審査官】
武山 敦史
(56)【参考文献】
【文献】
独国特許発明第102006037060(DE,B3)
【文献】
特開2002−056938(JP,A)
【文献】
特開2002−042961(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 12/51
H01R 12/71
H01R 12/91
H01R 13/74
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
プリント回路基板(1)に固定されるコネクタ(3)と、
前記コネクタ(3)に摺動可能に取り付けられる一体化保持フレーム(4)を有するカバー(5)と
を含むコネクタアセンブリ(V)であって、
前記カバー(5)は開口部(6)を有し、前記保持フレーム(4)は、前記開口部(6)の表面に対して補償間隙(S)を有する内部フレームとして一体化され、
前記カバー(5)は、前記カバー(5)が前記コネクタ(3)に挿入される間に前記保持フレーム(4)が前記開口部(6)の中に整合されるように、前記開口部(6)の表面と前記保持フレーム(4)との間に可撓性接続部(7)を含み、
前記可撓性接続部(7)は、前記開口部(6)の表面と前記保持フレーム(4)との間にある前記開口部(6)の切除部(8)の中に形成される弾性アーム(7.1)を含み、
前記弾性アーム(7.1)の一端と他端とは、前記コネクタ(3)のピン(3.2)が延びる方向にずらされて設けられ、
前記カバー(5)、前記可撓性接続部(7)及び前記保持フレーム(4)は、一つの形成部品として設計されるコネクタアセンブリ(V)。
【請求項2】
前記保持フレーム(4)の対向側部における少なくとも一対の締結部(F)が、前記保持フレーム(4)を前記コネクタ(3)に固定するべく設けられる、請求項1に記載のコネクタアセンブリ(V)。
【請求項3】
前記締結部(F)は、ホットスタンピング接続部、クリップ接続部、スナップオン接続部、又はねじ接続部として形成される、請求項1又は2に記載のコネクタアセンブリ(V)。
【請求項4】
各締結部(F)は、前記保持フレーム(4)及び前記コネクタ(3)の一側部に整合スナップ留め部(4.2)を含み、前記保持フレーム(4)及び前記コネクタ(3)の他側部に相補的係合部材(3.3)を含む、請求項1から3のいずれか一項に記載のコネクタアセンブリ(V)。
【請求項5】
案内スロット(9)が前記コネクタ(3)のピンソケット(3.1)と前記保持フレーム(4)との間に係合可能である、請求項1から4のいずれか一項に記載のコネクタアセンブリ(V)。
【請求項6】
前記保持フレーム(4)を前記開口部(6)の中に可動に固定するべく、前記開口部(6)の対向側部に少なくとも一対の可撓性接続部(7)が設けられる、請求項1から5のいずれか一項に記載のコネクタアセンブリ(V)。
【請求項7】
前記形成部品は鋳造部品である、請求項1から6のいずれか一項に記載のコネクタアセンブリ(V)。
【請求項8】
前記コネクタ(3)は多ピンコネクタであり、前記多ピンコネクタは、複数の離間したピン(3.2)を有する少なくとも一つのピンソケット(3.1)を含む、請求項1から7のいずれか一項に記載のコネクタアセンブリ(V)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プリント回路基板のためのコネクタアセンブリに関する。
【背景技術】
【0002】
プリント回路基板のための様々なタイプの電気コネクタが周知である。一般に、これらは、プリント回路基板上の自動組み付けを可能とする支持ベース又はブロックによって、互いに接続されるピンとして設計される。
【0003】
加えて、当該ピンは一般に、損傷から当該ピンを保護するフレーム状の保持部によって囲まれる。支持部及びこれに配置されるピンによって形成されるこのようなコネクタアセンブリは、当該ピンの損傷を回避するべく、組み付け中において、すべての部品の複雑かつ極めて正確な整合を必要とする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】独国特許出願公告第102006037060(B3)号明細書
【特許文献2】米国特許出願公開第2010/144196(A1)号明細書
【特許文献3】米国特許第5004430号明細書
【特許文献4】欧州特許出願公開第797273(A2)号明細書
【発明の概要】
【0005】
本発明の目的は、当該組み付けに関して改善されたコネクタアセンブリを与えることにある。
【0006】
本発明によれば、当該目的は、請求項1に係るコネクタアセンブリによって達成される。
【0007】
本発明の好ましい実施例が従属項に与えられる。
【0008】
コネクタアセンブリは、プリント回路基板に固定されるコネクタと、当該コネクタに摺動可能に取り付けられる一体化保持フレームを有するカバーとを含む。したがって、カバーは開口部を有し、保持フレームは当該開口部の表面に対して補償間隙を有する内部フレームとして一体化される。さらに、カバーは、当該カバーがコネクタに挿入される間に保持フレームが当該開口部の中に整合されるように、開口部の表面と保持フレームとの間に可撓性接続部を含む。
【0009】
開口部の中における保持フレームの、このような相対的に自由な可動配置は、コネクタ上の及びプリント回路基板に対する保持フレームの容易な整合及びセンタリングを可能とする。すなわち、カバーをコネクタに挿入する間における保持フレームのコネクタへの配置及び組み付けが改善される。
【0010】
コネクタは従来より、例えばピンが物質強制されて(material-forced)、特にはんだ付けされて、プリント回路基板上に取り付けられる。したがって、保持フレームのみを、コネクタに対して整合する必要がある。保持フレームのサイズ及び形状は、長手方向及び/又は側方方向の配向で当該保持フレームがカバーの開口部の中を自由に動くように設計される。
【0011】
コネクタ、例えばピンブロックをプリント回路基板コネクタに対してセンタリングするべく、当該コネクタは、当該プリント回路基板のボアに固定可能なボルト、ねじ、又は他の手段を含む。
【0012】
加えて、プリント回路基板の対応コネクタアセンブリを、例えば拡張基板又は対応コネクタアセンブリに、特にピン対応ソケットに接続する場合、保持フレームのみが、当該対応コネクタアセンブリに対して当該開口部の中に整合される。従来のようにコネクタのピンの各行及び各列と対応コネクタアセンブリの対応ソケットの各行及び各列との複雑な整合が回避される。その結果、当該組み付けが単純化され、その時間が低減される。
【0013】
コネクタアセンブリの一実施例において、少なくとも一対の締結部が、保持フレームをコネクタに固定するべく当該保持フレームの対向側部に設けられる。これにより、保持フレームを有するカバーを、コネクタに容易に組み付けかつ固定することができる。締結部は
、ホットスタンピング接続部、クリップ接続部、スナップオン接続部、又はねじ接続部として形成される。
【0014】
好ましくは、各締結部は、保持フレーム及びコネクタの一側部に整合スナップ留め部を含み、当該保持フレーム及びコネクタの他側部に相補的係合部材を含む。
【0015】
追加的に簡単なカバーのコネクタへの組み付けとして、コネクタのピンソケットと保持フレームとの間に案内スロットが係合可能である。案内スロットにより、保持フレームは、組み付け中に容易に動くことができる。
【0016】
さらなる実施例において、保持フレームを開口部の中に可動に固定するべく、当該開口部の対向側部に少なくとも一対の可撓性接続部が設けられる。このような可撓性接続部により、一体化自由可動保持フレームを有するカバーを容易にコネクタに組み付けることができるような、カバー内の保持フレームのクリアランスが許容される。
【0017】
一実施例において、可撓性接続部は、開口部の表面と保持フレームとの間にある当該開口部の切除部の中に形成される弾性アームを含む。例えば、弾性アームはカーブを有する。このようなカーブ、特にS字カーブの弾性アームにより、開口部の中での保持フレームの容易な整合及びセンタリングが可能となる。これにより、カバーをコネクタに挿入する間の改善された組み付けが可能となる。
【0018】
本発明のさらなる特徴は、コネクタアセンブリの部品数を低減することにある。コネクタアセンブリは、カバー、可撓性接続部、及び保持フレームが、一つの形成部品、特に一つの鋳造部品として設計される態様で構成される。このような一つの鋳造部品は、安価であり、かつ、例えば射出成形のような製造が容易となる。
【0019】
コネクタアセンブリのさらに簡単な構成を目的として、コネクタは多ピンコネクタであり、当該多ピンコネクタは、複数の離間したピンを有する少なくとも一つのピンソケット(短く称するとピンブロック)を含む。
【0020】
本発明の詳細が以下に説明される。しかしながら、当該詳細な説明及び具体的な例は本発明の可能な実施例を示し、例示のみによって与えられる。例示の実施例の、本発明の要旨及び範囲内にある様々な変形及び修正が、当業者に理解される。
【図面の簡単な説明】
【0021】
本発明は、以下に与えられる詳細な説明により良好に理解される。添付の図面は、例示のみを目的として与えられ、本発明の範囲を制限するものではない。
【0022】
【
図1】プリント回路基板の表面上に配列されたコネクタアセンブリの概略的斜視図である。コネクタが保持フレームに挿入され、保持フレームはカバー内を自由に動くことができる。
【
図2】プリント回路基板上に配列されたコネクタアセンブリを有するカバーの概略的平面図である。
【
図3】コネクタアセンブリの拡大部分の概略的斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
図1は、プリント回路基板1の斜視図を示す。プリント回路基板1には、表面2上にコネクタ3が設けられる。
【0024】
コネクタ3は、ピン3.2を有するピンソケット3.1として設計される。ピン3.2は行及び列に配列される。例えば、コネクタ3は、10、24、51、若しくは81ピンのコネクタ又は他のタイプのコネクタとして形成される。コネクタ3のピン3.2は、プリント回路基板1の平坦表面上に延びる。
【0025】
ピン3.2は導電性金属ピンとして設計される。ピン3.2は、圧力固着及び/若しくは形状固着並びに/又は物質固着されるようにプリント回路基板1の型孔内に固定される。例えばピン3.2を受容する通路を有するベース又はブロックのようなピンソケット3.1は、非導電性材料、特にプラスチックから形成され得る。
【0026】
加えて、コネクタ3は、プリント回路基板1にボルト4.1により従来の態様で固定される。
【0027】
コネクタ3上には、保持フレーム4が取り付け可能である。コネクタ3と保持フレーム4とは、保持フレーム4の対向側部上の少なくとも一対の締結部Fによって、互いに取り外し可能に接続される。
【0028】
締結部Fは
、ホットスタンピング接続部、クリップ接続部、スナップ接続部、又はねじ接続部として形成される。
【0029】
各締結部Fに対し、ピンソケット3.
1は係合部材3.3を有する。係合部材3.3は周方向リッジとして設計され、プリント回路基板1に対向して配列される。保持フレーム4に形成された整合スナップ留め部4.2が、形状封止及び/又は圧力封止の態様で係合部材3.3に係合する。
【0030】
保持フレーム4は、中実の、かつ、特に電気的及び/又は熱的に伝導性のフレームとして形成される。保持フレーム4は、金属材料、例えばアルミニウム圧力鋳造から作ることができる。
【0031】
保持フレーム4は、留め手段によって、例えばコネクタ3のボルト4.1のような図示しないボルトによって、従来の態様でプリント回路基板1に追加的に固定される。代替的に、保持フレーム4は、ねじ、リベット、又は他の手段によって固定することができる。
【0032】
保持フレーム4は、例えば落下若しくは打撃の際に又は他の機械的応力が加わる際にピン3.2が損傷から保護されるように、コネクタ3と保持フレーム4とが組み付けられた状態でピン3.2の側方がプリント回路基板1の当該側部の保持フレーム4に囲まれるような、又は当該保持フレーム4がピン3.2の上方にそびえるような寸法、特に側壁の高さを有する。
【0033】
プリント回路基板1に機械的に結合され得るカバー5によって、コネクタアセンブリVの側方が、図示しない態様でプリント回路基板1の表面2に封止される。
【0034】
保持フレーム4はカバー5と一体化され、保持フレーム4はカバー5とともにコネクタ3に摺動可能に取り付けられる。これを目的として、カバー5は開口部6を有する。開口部6において、保持フレーム4が内部フレームとして一体化される。
【0035】
代替的に、保持フレーム4は、カバー5に機械的に結合される別個のコンポーネントとして設計される。
【0036】
さらに、カバー5は、複数の可撓性接続部7を含む。可撓性接続部7はそれぞれ、保持フレーム4の対向する2つの外部側方壁の方向の中心に留められる。
【0037】
これらの可撓性接続
部7、特に、保持フレーム4の各側部に配列される所定数の可撓性接続
部7は、カーブした弾性アーム7.1によって行われる。弾性アーム7.1は、カバー5の対応切除部8において、カバー5から自由に突出かつ曲げられる。したがって、弾性アーム7.1は、コネクタ3の長手軸に沿ってこれと平行に延びる。可撓性接続部7の弾性端が、プリント回路基板1に対向して配列される保持フレーム4の開放端に留められる。
【0038】
カバー5の開口部6が、保持フレーム4とカバー5との間に補償間隙Sが形成されるように選択される。代替的に、保持フレーム4のサイズ及び形状は、補償間隙Sを形成する間に長手方向又は側方方向の配向で保持フレーム4がカバー6の開口部6の中を自由に動くように設計され得る。これにより、開口部6において保持フレーム4の容易な整合及びセンタリングが可能となり、カバー5がコネクタ3に挿入される間の改善された組み付けが可能となる。
【0039】
保持フレーム4のコネクタ3上での、特にピンソケット3.1上での実質的に自由な遊び及び中心留めを目的として、ピンソケット3.1は案内スロット9又は抜き部を有する。
【0040】
好ましい実施例において、保持フレーム4のみが、補償間隙Sにおける開口部6の中で、プリント回路基板1のコネクタアセンブリVの接続中に、例えば図示しない拡張板又は図示しない対応コネクタアセンブリと整合される必要がある。
【0041】
したがって、従来のようにコネクタ3のピン3.2の各行及び各列と対応コネクタアセンブリVの対応ソケットの各行及び各列との複雑な整合が回避される。その結果、当該組み付けが単純化され、その時間が低減される。
【0042】
さらに、はんだ側及びピン側が同じであるコネクタアセンブリVは、これを、はんだ付けプロセスの間に組み付けることを可能とする。
【0043】
加えて、
図1は、回路基板1を支持するビーム10も示す。ビーム10は、網状支持構造又は支持板として設計される。
【0044】
図2は、プリント回路基板1上にコネクタアセンブリVを有するカバー5の平面図を概略的に示す。
【0045】
図3は、
図2に係るコネクタアセンブリVの拡大部分を概略的に示す。
【符号の説明】
【0046】
1 プリント回路基板
2 表面
3 コネクタ
3.1 ピンソケット
3.2 ピン
3.3 係合部材
4 保持フレーム
4.1 ボルト
4.2 スナップ留め部
5 カバー
6 開口部
7 可撓性接続部
7.1 弾性アーム
8 切除部
9 案内スロット
10 ビーム
F 締結部
S 補償間隙
V コネクタアセンブリ