特許第5674955号(P5674955)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5674955
(24)【登録日】2015年1月9日
(45)【発行日】2015年2月25日
(54)【発明の名称】複数ループ対称インダクタ
(51)【国際特許分類】
   H01F 17/00 20060101AFI20150205BHJP
   H01F 27/00 20060101ALI20150205BHJP
【FI】
   H01F17/00 D
   H01F15/14
【請求項の数】7
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2013-533858(P2013-533858)
(86)(22)【出願日】2011年9月12日
(65)【公表番号】特表2013-539924(P2013-539924A)
(43)【公表日】2013年10月28日
(86)【国際出願番号】US2011051247
(87)【国際公開番号】WO2012050703
(87)【国際公開日】20120419
【審査請求日】2013年6月7日
(31)【優先権主張番号】12/906,006
(32)【優先日】2010年10月15日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】591025439
【氏名又は名称】ザイリンクス インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】XILINX INCORPORATED
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】特許業務法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】キレーフ,ワシリー
(72)【発明者】
【氏名】ウパディアヤ,パラグ
(72)【発明者】
【氏名】マーレット,マーク・ジェイ
【審査官】 久保田 昌晴
(56)【参考文献】
【文献】 特開2002−050740(JP,A)
【文献】 特開2001−267512(JP,A)
【文献】 特開2003−229485(JP,A)
【文献】 特表2005−501418(JP,A)
【文献】 特開2007−005798(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2008/0079527(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2003/0222750(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01F 5/00−5/06、17/00−19/08、27/00、
H01F 27/28−27/30、30/00−38/12、38/16、H01F 38/42、41/00−41/04、
H01L 21/822、27/04、
H05K 1/09、1/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
対称インダクタであって、
ともに複数の導電層の第1の導電層中にある、第1および第2の端子電極を備え、前記複数の導電層は、第1、第2、および第3の導電層を含み、前記対称インダクタはさらに、
前記複数の導電層の前記第3の導電層中にあるセンタータップ電極と
第1、第2、および第3の半ループ対を含む複数の半ループ対とを備え、前記第1および第2の半ループ対は、それぞれ、ともに前記第1の導電層で実施される外側および内側半ループ対であり、
前記第1の端子電極は、前記第1の半ループ対の第1の半ループ、前記第2の半ループ対の第1の半ループ、および前記第3の半ループ対の第1の半ループの順での一連の組合せを介して前記センタータップ電極に結合され
前記第1の半ループ対の前記第1の半ループは、前記対称インダクタの2つの側の第1の側の前記第1の導電層中にあり、前記第2の半ループ対の前記第1の半ループは、前記2つの側の第2の側の前記第1の導電層中にあり、前記第3の半ループ対の前記第1の半ループは、前記第1の側の前記第2の導電層および前記第3の導電層中にあり、
前記第2の端子電極は、前記第1の半ループ対の第2の半ループ、前記第2の半ループ対の第2の半ループ、および前記第3の半ループ対の第2の半ループの順での組合せを介して前記センタータップ電極に結合され、
前記第1の半ループ対の前記第2の半ループは、前記第2の側の前記第1の導電層中にあり、前記第2の半ループ対の前記第2の半ループは、前記第1の側の前記第1の導電層中にあり、前記第3の半ループ対の前記第2の半ループは、前記第2の側の前記第2の導電層および前記第3の導電層中にある、対称インダクタ。
【請求項2】
前記センタータップ電極は、前記複数の半ループ対の一つの前記第1および第2の半ループを分離し、前記複数の半ループ対の一つは、前記第2の導電層中にある、請求項1に記載の対称インダクタ。
【請求項3】
それぞれの非導電性領域は、前記半ループ対の前記導電層中の各半ループ対を分離する、請求項1または2に記載の対称インダクタ。
【請求項4】
対称インダクタを形成する方法であって、
集積回路の複数の導電層中に複数の半ループ対を形成するステップを含み、前記複数の導電層は、第1、第2、および第3の導電層を含み、前記方法はさらに、
ともに前記複数の導電層の前記第1の導電層中にある、第1および第2の端子電極を形成するステップと、
前記複数の導電層の前記第3の導電層中にセンタータップ電極を形成するステップとを含み、
前記複数の半ループ対は、第1、第2、および第3の半ループ対を含み、前記第1および第2の半ループ対は、それぞれ、ともに前記第1の導電層で実施される外側および内側半ループ対であり、前記方法はさらに、
前記第1の端子電極を、前記第1の半ループ対の第1の半ループ、前記第2の半ループ対の第1の半ループ、および前記第3の半ループ対の第1の半ループの順での一連の組合せを介して前記センタータップ電極に結合するステップを含み、
前記第1の半ループ対の前記第1の半ループは、前記対称インダクタの2つの側の第1の側の前記第1の導電層中にあり、前記第2の半ループ対の前記第1の半ループは、前記2つの側の第2の側の前記第1の導電層中にあり、前記第3の半ループ対の前記第1の半ループは、前記第1の側の前記第2の導電層および前記第3の導電層中にあり、前記方法はさらに、
前記第2の端子電極を、前記第1の半ループ対の第2の半ループ、前記第2の半ループ対の第2の半ループ、および前記第3の半ループ対の第2の半ループの順での組合せを介して前記センタータップ電極に結合するステップを含み、
前記第1の半ループ対の前記第2の半ループは、前記第2の側の前記第1の導電層中にあり、前記第2の半ループ対の前記第2の半ループは、前記第1の側の前記第1の導電層中にあり、前記第3の半ループ対の前記第2の半ループは、前記第2の側の前記第2の導電層および前記第3の導電層中にある、方法。
【請求項5】
前記複数の導電層は、前記集積回路の複数の異なる金属層である、請求項4に記載の対称インダクタを形成する方法。
【請求項6】
前記第3の導電層は、前記第2の導電層より下側の層であり、前記第2の導電層は、前記第1の導電層より下側の層である、請求項1に記載の対称インダクタ。
【請求項7】
前記第3の導電層は、前記第2の導電層より下側の層であり、前記第2の導電層は、前記第1の導電層より下側の層である、請求項4に記載の対称インダクタを形成する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
1以上の実施形態は、一般的にインダクタに関し、より特定的には、集積回路で実施されるインダクタに関する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0002】
背景
インダクタは、電子フィルタおよび共振回路を実施するために有用である。しかしながら、集積回路におけるインダクタは、必要とされるインダクタンスを得るために大きな面積を占め、高い品質因子Qを有するインダクタは、集積回路で実施するのが難しい。
【0003】
1以上の実施形態は、上記の課題の1以上に対処し得る。
【課題を解決するための手段】
【0004】
概要
一実施形態では、対称インダクタは、集積回路のそれぞれの導電層中に半ループ対を含み得る。各半ループ対は、それぞれの導電層中に第1および第2の半ループを含み得る。この実施形態では、対称インダクタは、第1の導電層中の第1および第2の端子電極と、第2の導電層中のセンタータップ電極とをさらに含み得る。第1の端子電極およびセンタータップ電極は、各半ループ対の第1の半ループを含む第1の一連の組合せを介して結合され得る。第2の端子電極およびセンタータップ電極は、各半ループ対の第2の半ループを含む第2の一連の組合せを介して結合され得る。
【0005】
この実施形態では、それぞれの導電層は、集積回路の異なる金属層であり得る。センタータップ電極は、半ループ対の一つの第1および第2の半ループを分離し得、半ループ対の一つは、第2の導電層中にあり得る。それぞれの非導電性領域は、半ループ対のそれぞれの導電層中の各半ループ対を分離し得る。対称インダクタは、半ループ対の第1の半ループ対の第1の半ループと、追加の半ループ対の第1の半ループとの間にクロスオーバー接続を含み得る。クロスオーバー接続および追加の半ループ対は、第1の半ループ対のそれぞれの導電層上に配置され得、追加の半ループ対は、第1の半ループ対内に配置され得る。センタータップ電極およびクロスオーバー接続は、半ループ対の第1および第2の半ループをさらに分離し得る。半ループ対のそれぞれの非導電性領域中を除いて、半ループ対は、集積回路の2つの横方向寸法にともに延在する。
【0006】
この実施形態では、半ループ対は、互いに垂直な2つの横方向寸法に実質的にともに延在し得、半ループ対は、2つの横方向寸法の両方に垂直な別の寸法に沿って分離され得る。各第1の半ループは、第1の導電層から第2の導電層の第1の順での第1の一連の組合せにおいて接続され得、各第2の半ループは、第1の導電層から第2の導電層の第2の順での第2の一連の組合せにおいて接続され得、それぞれの導電層の第1および第2の順は、同一であり得る。第1および第2の端子電極は、それぞれ、対称インダクタの第1および第2の側にあり得、各々の半ループ対の第1および第2の半ループの各々は、第1および第2の側の一方側にあり得、各第1の半ループを有する第1の一連の組合せは、第1の側から始まり得、第2の側と第1の側との間に交互にあり得、各第2の半ループを有する第2の一連の組合せは、第2の側から始まり得、第1の側と第2の側との間に交互にあり得る。
【0007】
この実施形態では、第1および第2の端子電極は、それぞれ、対称インダクタの第1および第2の側にあり得、半ループ対の各々の第1および第2の半ループの各々は、第1および第2の側の一方側にあり得、各第1の半ループを有する第1の一連の組合せは、第1の側から始まり得、第2の側と第1の側との間に交互にあり得、各第2の半ループを有する第2の一連の組合せは、第2の側から始まり得、第1の側と第2の側との間に交互にあり得る。半ループ対は、第1および第2の半ループ対を含み得、第1の端子電極は、第1の半ループ対の第1の半ループおよび第2の半ループ対の第1の半ループの順での第1の一連の組合せを介して、センタータップ電極に連結され得、第1の半ループ対の第1の半ループは、対称インダクタの2つの側の第1の側の第1の導電層中にあり得、第2の半ループ対の第1の半ループは、2つの側の第2の側の第2の導電層中にあり得、第2の端子電極は、第1の半ループ対の第2の半ループおよび第2の半ループ対の第2の半ループの順での第2の一連の組合せを介して、センタータップ電極に連結され得、第1の半ループ対の第2の半ループは、第2の側の第1の導電層中にあり得、第2の半ループ対の第2の半ループは、第1の側の第2の導電層中にあり得、第2および第1の導電層は、それぞれ、集積回路中に順に配置される下側および上側導電層であり得る。
【0008】
この実施形態では、半ループ対は、第1、第2、および第3の半ループ対を含み得、第1の端子電極は、第1の半ループ対の第1の半ループ、第2の半ループ対の第1の半ループ、および第3の半ループ対の第1の半ループの順での第1の一連の組合せを介して、センタータップ電極に結合され得る。第1の半ループ対の第1の半ループは、対称インダクタの2つの側の第1の側の第1の導電層中にあり得、第2の半ループ対の第1の半ループは、2つの側の第2の側のそれぞれの導電層中にあり得、第3の半ループ対の第1の半ループは、第1の側の第2の導電層中にあり得る。第2の端子電極は、第1の半ループ対の第2の半ループ、第2の半ループ対の第2の半ループ、および第3の半ループ対の第2の半ループの順での第2の一連の組合せを介して、センタータップ電極に結合され得る。第1の半ループ対の第2の半ループは、第2の側の第1の導電層中にあり得、第2の半ループ対の第2の半ループは、第1の側のそれぞれの導電層中にあり得、第3の半ループ対の第2の半ループは、第2の側の第2の導電層中にあり得る。
【0009】
この実施形態では、第2の導電層、第2の半ループ対のそれぞれの導電層、および第1の導電層は、それぞれ、順に集積回路中に配置される下側、中間、および上側導電層であり得る。第2の半ループ対のそれぞれの導電層、第2の導電層、および第1の導電層は、それぞれ、順に集積回路中に配置される下側、中間、および上側導電層であり得る。
【0010】
この実施形態では、半ループ対は、第1、第2、および第3の半ループ対を含み得、第1および第2の半ループ対は、それぞれ、ともに第1の導電層で実施される外側および内側半ループ対であり得、第3の半ループ対は、第2の導電層で実施され得、第1の端子電極は、第1の半ループ対の第1の半ループ、第2の半ループ対の第1の半ループ、および第3の半ループ対の第1の半ループの順での第1の一連の組合せを介して、センタータップ電極に結合され得る。第1の半ループ対の第1の半ループは、対称インダクタの2つの側の第1の側の第1の導電層中にあり得、第2の半ループ対の第1の半ループは、2つの側の第2の側の第1の導電層中にあり得、第3の半ループ対の第1の半ループは、第1の側の第2の導電層中にあり得る。第2の端子電極は、第1の半ループ対の第2の半ループ、第2の半ループ対の第2の半ループ、および第3の半ループ対の第2の半ループの順での第2の一連の組合せを介して、センタータップ電極に結合され得る。第1の半ループ対の第2の半ループは、第2の側の第1の導電層中にあり得、第2の半ループ対の第2の半ループは、第1の側の第1の導電層中にあり得、第3の半ループ対の第2の半ループは、第2の側の第2の導電層中にあり得る。
【0011】
この実施形態では、第3の半ループ対の第1の半ループは、第2の導電層および第3の導電層の両方において第1の側で実施され得、第3の半ループ対の第2の半ループは、第2の導電層および第3の導電層の両方において第2の側で実施され得る。
【0012】
対称インダクタの別の実施形態は、集積回路の導電層中に半ループ対を含み得、半ループ対の各々は、導電層の一つの中に第1および第2の半ループを含み得る。さらに、対称インダクタは、ともに導電層の第1の導電層中にある第1および第2の端子電極を含み得、第1および第2の端子電極は、それぞれ、対称インダクタの第1および第2の側に配置され得、対称インダクタはさらに、導電層の第2の導電層中にセンタータップ電極を含み得、センタータップ電極は、第1および第2の側の間の対称軸に沿って配置され得、第1の端子電極およびセンタータップ電極は、半ループ対の各々の第1の半ループの第1の一連の組合せを介して結合され得、第2の端子電極およびセンタータップ電極は、半ループ対の各々の第2の半ループの第2の一連の組合せを介して結合され得る。
【0013】
この実施形態では、第1の一連の組合せにおける各第1の半ループは、第1の側から始まって第1の側と第2の側との間に交互にあり得、第2の一連の組合せにおける各第2の半ループは、第2の側から始まって第1の側と第2の側との間に交互にあり得る。各半ループ対の第1の半ループが第1の一連の組合せに現われる位置は、半ループ対の第2の半ループが第2の一連の組合せに現われる位置に一致し得る。
【0014】
対称インダクタを形成する方法の一実施形態は、集積回路のそれぞれの導電層中に半ループ対を形成するステップを含み、各半ループ対は、それぞれの導電層中に第1および第2の半ループを含み、方法はさらに、ともにそれぞれの導電層の第1の導電層中にある、第1および第2の端子電極を形成するステップと、それぞれの導電層の第2の導電層中にセンタータップ電極を形成するステップと、半ループ対の各々の第1の半ループの第1の一連の組合せを用いて、第1の端子電極とセンタータップ電極とを結合するステップと、半ループ対の各々の第2の半ループの第2の一連の組合せを用いて、第2の端子電極とセンタータップ電極とを結合するステップとを含み得る。この実施形態では、それぞれの導電層は、集積回路の異なる金属層である。
【0015】
さまざまな他の実施形態は、以下の詳細な説明および請求の範囲に記載されることが認識されるであろう。
【0016】
開示される実施形態のさまざまな局面および利点が、次の詳細な説明を検討し、かつ図面を参照すると明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】一実施形態に従う2ループの対称インダクタの一つの導電層のレイアウト図である。
図2図1の2ループの対称インダクタの別の導電層のレイアウト図である。
図3図1および図2の2ループの対称インダクタの簡略化した斜視図である。
図4】一実施形態に従う3つの導電層上に3つのループを有する対称インダクタの簡略化した斜視図である。
図5】一実施形態に従う3つの導電層上に3つのループを有する別の対称インダクタの簡略化した斜視図である。
図6】一実施形態に従う一つの導電層上に2つのループを有する3ループの対称インダクタの簡略化した斜視図である。
図7】一実施形態に従う一つの導電層上に2つのループを有する追加の3ループの対称インダクタの簡略化した斜視図である。
図8】一実施形態に従う一つの導電層上に2つのループを有する追加の3ループの対称インダクタの簡略化した斜視図である。
図9図6の3ループの対称インダクタの一実施形態の分解レイアウト図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
図面の詳細な説明
図1は、一実施形態に従う2ループの対称インダクタの一つの導電層のレイアウト図である。図1は、対称インダクタの第1の金属層101上の1対の半ループを示し、図2は、対称インダクタの第2の金属層201上の1対の半ループを示す。一実施形態では、図1および図2で示される金属層101および201は、集積回路の異なる金属層である。
【0019】
対称インダクタは、図1に示す第1の金属層101中に2つの端子電極102および104を有する。第1の半ループ対は、2つの半ループ106および108を含み、半ループ106および108は、関連付けられる第1の金属層101の不在の非導電性領域110により分離される。第1の金属層101の別の不在の非導電性領域112は、第1の半ループ対の端子電極102および104ならびに2つの半ループ106および108を分離する。
【0020】
図2は、図1の2ループの対称インダクタの別の導電層201のレイアウト図である。対称インダクタは、図1に示す半ループ106および108と図2に示す半ループ202および204とを結合させる。対称インダクタは、第1の半ループ対の半ループ106の接触エリア114と第2の半ループ対の半ループ202の接触エリア206とを結合させる。同様に、対称インダクタは、半ループ108の接触エリア116と半ループ204の接触エリア208とを結合させる。
【0021】
対称インダクタは、図2に示す第2の金属層201中にセンタータップ電極210を有する。一実施形態では、センタータップ電極は、対称インダクタの左側120と右側122との間の対称軸に沿って配置される。図1では、端子電極102は、対称インダクタの左側120に配置され、端子電極104は、対称インダクタの右側122に配置される。
【0022】
第2の金属層201の不在の非導電性領域212は、第2の半ループ対と関連付けられ、不在の非導電性領域212は、半ループ202および204を分離する。センタータップ電極210も半ループ202および204を分離する。
【0023】
一実施形態では、図1に示す第1の半ループ対および図2に示す第2の半ループ対は、集積回路の2つの横方向寸法に実質的にともに延在する。第1および第2の金属層101および201の不在の非導電性領域110、112、および212を除いて、第1および第2の半ループ対は、図1および図2の面を通って2つの横方向寸法にともに延在する。したがって、第1および第2の半ループ対の集積回路の表面内への突出は、不在の非導電性領域110、112、および212の突出を除いて、同一である。2つの横方向寸法は、垂直であり、図1および図2に示す2つの半ループ対は、2つの横方向寸法の両方に垂直な鉛直寸法に沿って積層されて、分離される。
【0024】
一実施形態では、半ループ106および108の対は、不在の非導電性領域110を除いて、左側120と右側122との間の対称軸を軸として互いの鏡像であるため、一致する半ループである。同様に、半ループ202および204の対は、不在の非導電性領域212を除いて互いに鏡像であるため、一致する半ループである。
【0025】
図3は、図1および図2の2ループの対称インダクタの簡略化した斜視図である。図3は、インダクタの全体的な対称性を示す。導電層間の接続を行なう接点は、点線の矢印で示される。
【0026】
対称インダクタは、集積回路の上側導電層上に端子電極302および304を含み、端子電極302は、インダクタの一方側306にあり、端子電極304は、インダクタの他方側308にある。対称インダクタは、側306と側308との間の中心に位置する下側導電層上にセンタータップ電極も含む。
【0027】
第1の半ループ対は、上側導電層上にあり、半ループ312および314を含む。第2の半ループ対は、下側導電層上にあり、半ループ316および318を含む。
【0028】
第1の端子電極302およびセンタータップ電極310は、半ループ対の半ループ312および316の第1の一連の組合せを介して結合され、第2の端子電極304およびセンタータップ電極310は、半ループ対の半ループ314および318の第2の一連の組合せを介して結合される。したがって、第1の一連の組合せは、各半ループ対の一つの半ループを含み、第2の一連の組合せは、各半ループ対の他方の半ループを含む。
【0029】
半ループ312および316は、第1の一連の組合せにおいてその順に接続され、半ループ314および318は、第2の一連の組合せにおいてその順に接続される。第1および第2の一連の組合せはともに、上側導電層上のそれぞれの半ループ312および314から始まって、第1および第2の一連の組合せはともに、下側導電層上のそれぞれの半ループ316および318で終わる。両方の一連の組合せについての導電層の順番は、上側導電層から始まって、下側導電層で終わる。したがって、両方の一連の組合せについて、導電層の同一の順序が存在する。
【0030】
第1の半ループ対は、第1の一連の組合せに現われる最初の半ループ312および第2の一連の組合せに現われる最初の半ループ314を与える。第2の半ループ対は、第1の一連の組合せに現われる最後の半ループ316および第2の一連の組合せに現われる最後の半ループ318を与える。したがって、第1の対の半ループ312および314は、第1および第2の一連の組合せにおいて一致する最初の位置に現われ、第2の対の半ループ316および318は、第1および第2の一連の組合せにおいて一致する最後の位置に現われる。
【0031】
半ループ312、314、316、および318の各々は、対称インダクタの側306および側308の一方にある。第1の一連の組合せは、第1の端子電極302の側306の半ループ312から始まって、第1の一連の組合せは、側308の半ループ316で終わる。同様に、第2の一連の組合せは、第2の端子電極304の側308の半ループ314から始まって、側306の半ループ318で終わる。したがって、第1の一連の組合せにおける半ループ312および316は、側306および308間に交互にあり、第2の一連の組合せにおける半ループ314および318は、側308および306間に交互にある。
【0032】
一実施形態では、導電層は、集積回路において順に作製または配置される下側金属層および上側金属層である。第1の端子電極302は、第1の半ループ対の第1の半ループ312および第2の半ループ対の第1の半ループ316の順での第1の一連の組合せを介して、センタータップ電極310に結合される。第1の半ループ対の第1の半ループ312は、対称インダクタの第1の側306の上側金属層中にあり、第2の半ループ対の第1の半ループ316は、第2の側308の下側金属層中にある。第2の端子電極304は、第1の半ループ対の第2の半ループ314および第2の半ループ対の第2の半ループ318の順での第2の一連の組合せを介して、センタータップ電極310に結合される。第1の半ループ対の第2の半ループ314は、第2の側308の上側金属層中にあり、第2の半ループ対の第2の半ループ318は、第1の側306の下側金属層中にある。
【0033】
インダクタは、センタータップ電極310に対する対称性を有する。なぜなら、端子電極302または304のいずれかからセンタータップ電極310への経路は、同一の導電層上の一致する半ループ対を介して順番に側306と側308との間に交互にある、それぞれの半ループを介した一連の組合せであるためである。
【0034】
半ループ対は、さまざまな実施形態において積層される。半ループ対がともに密に積層されて、集積回路の2つの横方向寸法に実質的にともに延在すると、各半ループ対により発生される磁束が、一般的に、他のすべての半ループ対を通って結合される。これが起きると、インダクタにより発生されるインダクタンスは、導電性ループの数の二乗に比例する。このために、インダクタのサイズは、特定のインダクタンスについて劇的に減少され得、集積回路は、これらのインダクタのより多くを実施することができる。
【0035】
さまざまな実施形態は、拡大した周波数範囲にわたって動作する積層されたインダクタを提供する。インダクタの品質因子Qは、リアクタンスを抵抗で割ったものである。インダクタを通過する信号の周波数が増加するにつれて、寄生要素はインダクタQを低下させる。インダクタQが低下し過ぎると、インダクタを含む応用回路は低下した有用性で動作するか、または全く動作しなくなる。たとえば、インダクタは、可変発振器のLC共振タンク回路を実施するのに有用である。高いQを有するインダクタは、可変発振器のジッタを低減させる。可変発振器が累進的に高くなる周波数に合わせるにつれて、Qは、ジッタが許容不可になるか、または共振タンク回路が発振しなくなるまで低下する。対称性を有するインダクタは、応用回路の差動実施においてより少ないノイズを結合することが発見された。
【0036】
図4は、一実施形態に従う3つの導電層上に3つのループを有する対称インダクタの簡略化した斜視図である。端子電極404または406のいずれかからセンタータップ電極402までの経路は、一致する導電層の交互する側408および側410のそれぞれの半ループを通る一連の組合せであるため、インダクタは、センタータップ電極402に対する対称性を有する。
【0037】
第1の半ループ対は、端子電極404および406の上側導電層上にあり、側408の半ループ412および側410の半ループ414を含み、第2の半ループ対は、中間導電層上にあり、側410の半ループ416および側408の半ループ418を含み、第3の半ループ対は、センタータップ電極402の下側導電層上にあり、側408の半ループ420および側410の半ループ422を含む。
【0038】
第1の端子電極404は、第1の対の第1の半ループ412、第2の対の第1の半ループ416、および第3の対の第1の半ループ420の順での第1の一連の組合せを介して、センタータップ電極402に結合される。第1の対の第1の半ループ412は、対称インダクタの第1の側408の上側導電層中にあり、第2の対の第1の半ループ416は、第2の側410の中間導電層中にあり、第3の対の第1の半ループ420は、第1の側408の下側導電層中にある。
【0039】
第2の端子電極406は、第1の対の第2の半ループ414、第2の対の第2の半ループ418、および第3の対の第2の半ループ422の順での第2の一連の組合せを介して、センタータップ電極402に結合される。第1の対の第2の半ループ414は、第2の側410の上側導電層中にあり、第2の対の第2の半ループ418は、第1の側408の中間導電層中にあり、第3の対の第2の半ループ422は、第2の側410の下側導電層中にある。
【0040】
図5は、一実施形態に従う3つの導電層上に3つのループを有する別の対称インダクタの簡略化した斜視図である。図5は、センタータップ電極502に対する対称性を維持しつつ、図4の対称インダクタの導電層を再配列している。
【0041】
第1の半ループ対は、端子電極504および506の上側導電層上にあり、側508の半ループ512および側510の半ループ514を含み、第2の半ループ対は、下側導電層上にあり、側510の半ループ516および側508の半ループ518を含み、第3の半ループ対は、中間導電層上にあり、側508の半ループ520および側510の半ループ522を含む。
【0042】
電流がインダクタを通ると、各連続的な半ループ512、514、516、518、520、および522のインピーダンス間に電圧降下が生じる。電極504および506間の半ループの完全な一連の組合せは、半ループ512、516、520、522、518、および514をその順に含む。2つの半ループ間の電圧差は、この一連の組合せにおいて分離が増加するとともに増加する。
【0043】
半ループ512、514、516、518、520、および522は、それらの間に寄生容量を有し、寄生容量は、隣接する導電層の同じ側の半ループ間に主に存在する。したがって、主な寄生容量は、半ループ520と、その物理的に隣接する半ループ512および518との間、ならびに、半ループ522とその物理的に隣接する半ループ514および516との間に存在する。
【0044】
各寄生容量からの悪影響は、大まかには、寄生容量と寄生容量間の電圧降下との積である。自己共振より低い周波数についての圧力分布は、インダクタンスにより規定される。隣接する層間の圧力降下が大きいほど、それらの間の容量はより有効となる。したがって、層間の電圧降下がより小さい配列は、より小さい寄生容量を有することとなる。半ループ520は、半ループ512から一つの半ループ516により分離され、半ループ520は、半ループ518から一つの半ループ522により分離される。同様に、半ループ522は、半ループ514から一つの半ループ518により分離され、半ループ522は、半ループ516から一つの半ループ520により分離される。したがって、図5のインダクタは、大まかに、4つの寄生容量×1つの半ループ間の電圧差である、半ループ512、514、516、518、520、および522間の寄生容量からの悪影響を有する。
【0045】
反対に、図4のインダクタは、大まかに、4つの寄生容量×3つの半ループ間の電圧差である、半ループ412、414、416、418、420、および422間の寄生容量からの悪影響を有する。したがって、図5のインダクタにおける導電層の配列は、図4のインダクタにおける導電層の配列に対して大幅な改善である。
【0046】
図5の図示される実施形態では、センタータップ電極502は、下側導電層上にあり、中間導電層中の半ループ520と522との間の接点を介して接続される。別の実施形態では、センタータップ電極は、半ループ520と522との間に直接接続される中間導電層上にある。
【0047】
図6は、一実施形態に従う一つの導電層上に2つのループを有する3ループの対称インダクタの簡略化した斜視図である。端子電極604または606のいずれかからセンタータップ電極602までの経路は、一致する導電層の交互する側608および側610上のそれぞれの半ループを介した一連の組合せであるため、インダクタは、センタータップ電極602に対する対称性を有する。
【0048】
第1の半ループ対は、端子電極604および606の上側導電層上の外側対である。第1の半ループ対は、側608の半ループ612および側610の半ループ614を含む。第2の半ループ対は、半ループ612および614の外側対の内部の上側導電層上にもある内側対である。第2の半ループ対は、側610の半ループ616および側608の半ループ618を含む。第3の半ループ対は、下側導電層上にあり、側608の半ループ620および側610の半ループ622を含む。
【0049】
第1の端子電極604は、第1の対の第1の半ループ612、第2の対の第1の半ループ616、および第3の対の第1の半ループ620の順での第1の一連の組合せを介して、センタータップ電極602に結合される。第1の対の第1の半ループ612は、第1の側608の上側導電層中にあり、第2の対の第1の半ループ616は、第2の側610の上側導電層中にあり、第3の対の第1の半ループ620は、第1の側608の下側導電層中にある。
【0050】
第2の端子電極606は、第1の対の第2の半ループ614、第2の対の第2の半ループ618、および第3の対の第2の半ループ622の順での第2の一連の組合せを介して、センタータップ電極602に結合される。第1の対の第2の半ループ614は、第2の側610の上側導電層中にあり、第2の対の第2の半ループ618は、第1の側608の上側導電層中にあり、第3の対の第2の半ループ622は、第2の側610の下側導電層中にある。
【0051】
クロスオーバー接続は、半ループ612および614の外側対ならびに半ループ616および618の内側対の両方の上側導電層中にある部分624を含む。クロスオーバー接続の部分624は、外側対の半ループ612と内側対の半ループ616とを結合させる。クロスオーバー接続は、集積回路の中間導電層中の部分626も含む。クロスオーバー接続の部分626は、外側対の半ループ614と内側対の半ループ618とを結合させる。センタータップ電極602および部分624と626とを有するクロスオーバー接続は、上側導電層上の外側対の半ループ612および614と、上側導電層上の内側対の半ループ616および618と、下側導電層上の対の半ループ620および622とを分離する。
【0052】
図7および図8は、一実施形態に従う1つの導電層上に2つのループを有する追加の3ループの対称インダクタの簡略化した斜視図を示す。図7および図8は、図6の対称インダクタの変形例である。
【0053】
集積回路の製造プロセスにおける金属層は、一般的に異なる。たとえば、上側金属層は、一般的に、より厚みがあり、下側金属層よりも低い1平方当たりの抵抗を有する。したがって、上側金属層における半ループが下側金属層における半ループとともに2つの横方向寸法にともに延在するとき、下側金属層における半ループは一般的に、上側金属層における半ループよりも高い抵抗を有する。この下側金属層の1平方当たりのより高い抵抗を打消すためには、下側金属層の2つ以上をともに束ねることにより、結果的に、上側金属層の1平方当たりの抵抗に近いか、より一層低い、束ねられた下側金属層の1平方当たりの抵抗が得られる。
【0054】
図7では、第3の半ループ対の第1の半ループ704が、センタータップ電極702の下側導電層および中間導電層の両方における第1の側706で実施され、第3の半ループ対の第2の半ループ710が、下側導電層および中間導電層の両方における第2の側708で実施される。
【0055】
図8は、同様に、対称インダクタ800の下側金属層および中間金属層を束ねている。
図9は、図6の3ループの対称インダクタの一実施形態の分解レイアウト図である。3つの半ループ対は、上側金属層932および下側金属層934上にあり、中間金属層936は、上側金属層932と下側金属層934との間に接続を設けている。インダクタは、センタータップ電極902に対する対称性を有する。
【0056】
第1の半ループ対は、端子電極904および906の上側金属層932上の外側対である。第1の半ループ対は、側908の半ループ912および側910の半ループ914を含む。第2の半ループ対は、半ループ912および914の外側対の内部の上側金属層932上にもある内側対である。第2の半ループ対は、側910の半ループ916および側908の半ループ918を含む。第3の半ループ対は、下側金属層934上にあり、側908の半ループ920および側910の半ループ922を含む。
【0057】
第1の端子電極904は、第1の対の第1の半ループ912、上側金属層932上のクロスオーバー接続924、第2の対の第1の半ループ916、中間金属層936上の接続928、および第3の対の第1の半ループ920の順での第1の一連の組合せを介して、センタータップ電極902に結合される。
【0058】
第2の端子電極906は、第1の対の第2の半ループ914、中間金属層936上のクロスオーバー接続926、第2の対の第2の半ループ918、中間金属層936上の接続930、および第3の対の第2の半ループ922の順での第2の一連の組合せを介して、センタータップ電極902に結合される。
【0059】
図示した実施形態では、上側金属層932上の半ループ912、914、916、および918の組合せは、下側金属層934上の半ループ920および922とともに、2つの横方向寸法に実質的にともに延在している。別の実施形態では、下側金属層934上の半ループ920および922は、上側金属層932上の半ループ912および918を分離する空間と、半ループ914および916を分離する同様の空間とともに、部分的または完全にともに延在する、それぞれのスロット(図示せず)を有する。
【0060】
一実施形態では、半ループ912および914の対は、接続924および926の近傍を除いて、互いの対称な鏡像であるため、一致する半ループである。同様に、半ループ916および918の対は、一致する半ループであり、半ループ920および922の対は、一致する半ループの対である。なぜなら、それらは実質的に対称的であるためである。
【0061】
1以上の実施形態は、インダクタを含む種々のシステムに適用可能であると考えられる。他の局面および実施形態は、ここに開示される明細書および1以上の実施形態の実践を考慮して、当業者に明らかであろう。実施形態は、特定用途向け集積回路(ASIC)またはプログラム可能な論理素子で実施され得る。明細書および説明した実施形態は、単に一例とみなされるに過ぎず、本発明の真の範囲および精神は、以下の請求項の範囲によって示される。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9