(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】5674986
(24)【登録日】2015年1月9日
(45)【発行日】2015年2月25日
(54)【発明の名称】放熱フィルム、並びにその製造方法及び装置
(51)【国際特許分類】
B32B 7/02 20060101AFI20150205BHJP
H01L 23/373 20060101ALI20150205BHJP
H05K 7/20 20060101ALI20150205BHJP
【FI】
B32B7/02 105
H01L23/36 M
H05K7/20 F
【請求項の数】21
【全頁数】20
(21)【出願番号】特願2014-163814(P2014-163814)
(22)【出願日】2014年8月11日
【審査請求日】2014年8月11日
(31)【優先権主張番号】特願2013-167925(P2013-167925)
(32)【優先日】2013年8月12日
(33)【優先権主張国】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】391009408
【氏名又は名称】加川 清二
(74)【代理人】
【識別番号】100080012
【弁理士】
【氏名又は名称】高石 橘馬
(72)【発明者】
【氏名】加川 清二
【審査官】
加賀 直人
(56)【参考文献】
【文献】
特開2014−127518(JP,A)
【文献】
特開2014−103283(JP,A)
【文献】
特開平11−1621(JP,A)
【文献】
特開2006−306068(JP,A)
【文献】
特開2011−249614(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B32B 7/02
H01L 23/373
H05K 7/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
薄片状炭素及びバインダ樹脂からなる混合物層の焼成により前記バインダ樹脂を炭化又は消失させてなる伝熱層と、前記伝熱層を覆うプラスチックフィルムとからなり、前記伝熱層内で前記薄片状炭素が実質的に平行に配列されており、前記伝熱層が1.9 g/cm3以上の密度及び450 W/mK以上の熱伝導率を有することを特徴とする放熱フィルム。
【請求項2】
請求項1に記載の放熱フィルムにおいて、前記薄片状炭素がグラファイト又はグラフェンであることを特徴とする放熱フィルム。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の放熱フィルムにおいて、前記伝熱層が2 g/cm3以上の密度及び600 W/mK以上の熱伝導率を有することを特徴とする放熱フィルム。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれかに記載の放熱フィルムにおいて、前記伝熱層の厚さが50〜250 g/m2(1 m2当たりの薄片状炭素の重量で表す。)であることを特徴とする放熱フィルム。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれかに記載の放熱フィルムにおいて、前記伝熱層が20Ω/□以下の表面抵抗及び90%以上の電磁波反射率を有することを特徴とする放熱フィルム。
【請求項6】
放熱フィルムを製造する方法であって、(1) 薄片状炭素とバインダ樹脂との混合物層を一対の第一のプラスチックフィルムで挟んで、積層フィルムを形成し、(2) 前記積層フィルムを熱プレスすることにより前記混合物層を緻密化させ、(3) 前記第一のプラスチックフィルムの剥離により露出した前記混合物層を焼成することにより、前記混合物層中の前記バインダ樹脂を炭化又は消失させ、(4) 得られた焼成層をプレスすることにより、緻密化した伝熱層とし、(5) 前記伝熱層を第二のプラスチックフィルムで封止することを特徴とする方法。
【請求項7】
請求項6に記載の放熱フィルムの製造方法において、5〜25質量%の薄片状炭素及び0.05〜2.5質量%のバインダ樹脂を含有し、前記バインダ樹脂と前記薄片状炭素との質量比が0.01〜0.1である有機溶媒分散液を各第一のプラスチックフィルムの一面に塗布した後乾燥する工程を複数回繰り返すことにより、前記混合物層を形成することを特徴とする方法。
【請求項8】
請求項6又は7に記載の放熱フィルムの製造方法において、前記分散液の一回の塗布量を5〜30 g/m2(1 m2当たりの薄片状炭素の重量で表す。)とすることを特徴とする方法。
【請求項9】
請求項6〜8のいずれかに記載の放熱フィルムの製造方法において、前記バインダ樹脂がアクリル樹脂、ポリスチレン樹脂又はポリビニルアルコールであることを特徴とする方法。
【請求項10】
請求項6〜9のいずれかに記載の放熱フィルムの製造方法において、少なくとも一対の加熱ロールの間に前記積層フィルムを通過させることにより前記積層フィルムを熱プレスすることを特徴とする方法。
【請求項11】
請求項10に記載の放熱フィルムの製造方法において、熱プレス温度を150〜250℃とし、熱プレス圧力を20 MPa以上とすることを特徴とする方法。
【請求項12】
請求項6〜11のいずれかに記載の放熱フィルムの製造方法において、前記混合物層中の前記バインダ樹脂が炭化するように、両面に火炎を照射するか、金型内に封止した状態で500℃以上の高温に曝すことにより、前記混合物層を焼成することを特徴とする方法。
【請求項13】
請求項6〜12のいずれかに記載の放熱フィルムの製造方法において、前記焼成層の少なくとも一対の対向辺を拘束する金型内で、前記焼成層をプレスすることを特徴とする方法。
【請求項14】
請求項6〜13のいずれかに記載の放熱フィルムの製造方法において、前記下型のキャビティ内に前記焼成層を載置した後、前記凸部が前記キャビティ内に入るように前記上型を前記下型に係合させ、組合された前記上型及び前記下型を一対の加圧ロールの間に複数回通すことにより、前記焼成層を緻密化することを特徴とする方法。
【請求項15】
請求項13又は14に記載の放熱フィルムの製造方法において、前記焼成層を含有する金型を振動をかけながら加圧することを特徴とする方法。
【請求項16】
(a) 一対の第一のプラスチックフィルムを搬送する手段と、(b) 前記第一のプラスチックフィルムに薄片状炭素及びバインダ樹脂を含有する分散液を複数回に分けて塗布するように、各第一のプラスチックフィルムに対して少なくとも1つ配置された分散液塗布手段と、(c) 前記分散液を塗布ごとに乾燥させる手段と、(d) 得られた前記薄片状炭素と前記バインダ樹脂の混合物層を有する一対の前記第一のプラスチックフィルムを、前記混合物層を内側にして積層する手段と、(e) 得られた積層フィルムを熱プレスする手段と、(f) 前記積層フィルムから前記第一のプラスチックフィルムを剥離する手段と、(g) 露出した前記混合物層中の前記バインダ樹脂が炭化するように、前記混合物層を焼成する手段と、(h) 得られた焼成層を緻密化して伝熱層とするプレス金型手段と、(i) 前記伝熱層を前記第二のプラスチックフィルムで封止する手段とを具備することを特徴とする放熱フィルムの製造装置。
【請求項17】
請求項16に記載の放熱フィルムの製造装置において、各第一のプラスチックフィルムの進行方向に沿って所定の間隔で配置された複数の分散液塗布手段を具備することを特徴とする装置。
【請求項18】
請求項16又は17に記載の放熱フィルムの製造装置において、一対の分散液塗布手段及び積層用ロールがチャンバ内に配置されており、前記チャンバは、各第一のプラスチックフィルムが進入する第一の開口部と、前記第一の開口の近隣に設けられた一対の熱風送給口と、排気口と、前記積層フィルムを取り出す第二の開口部とを具備することを特徴とする装置。
【請求項19】
請求項16〜18のいずれかに記載の放熱フィルムの製造装置において、前記混合物層を焼成する手段が、前記混合物層の両面に火炎を照射するバーナーか、封止した状態で500℃以上の高温に曝す金型であることを特徴とする装置。
【請求項20】
請求項16〜19のいずれかに記載の放熱フィルムの製造装置において、焼成層を緻密化するプレス金型手段が、(a) キャビティを有する下型と、前記キャビティに係合する凸部を有する上型とからなる金型と、(b) 前記金型を上下から押圧する一対の加圧ロールと、(c) ロールギャップの上流側及び下流側に延在するガイド板と、(d) 前記ガイド板に沿って前記金型を一対の前記加圧ロールのギャップを通過するように往復動させる手段とを具備することを特徴とする装置。
【請求項21】
請求項20に記載の放熱フィルムの製造装置において、さらに前記加圧ロールの一方に振動を与える手段を有し、もって前記焼成層を振動加圧することにより緻密化することを特徴とする装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ノート型パソコン、スマートフォン、携帯電話等の小型の電子機器における電子部品等から発生する熱を効率良く外部に放熱するために使用する放熱フィルム、及びその製造方法及び装置に関する。
【背景技術】
【0002】
高性能化及び多機能化が進むノート型パソコン、スマートフォン、携帯電話等の小型の電子機器では、マイクロプロセッサー、画像処理チップ、メモリー等の電子部品を密に実装しなければならないので、熱による誤作動を防止するために、それらの電子部品の放熱が重要になってきている。
【0003】
グラファイトのような薄片状炭素からなる電子部品用の放熱シートとして、ポリイミドを無酸素状態で3000℃で熱処理することにより水素、酸素及び窒素を脱離させ、残留する炭素をアニールすることにより結晶化させてなるグラファイトシートが使用されている。グラファイトシートの熱伝導率は面内方向で800 W/mK、及び厚さ方向で15 W/mKと高い。しかし、高価なポリイミドを高温で熱処理するので、グラファイトシートには非常に高価であるという問題がある。
【0004】
安価な薄片状炭素の放熱シートとして、特開2006-306068号(特許文献1)は、少なくともグラファイトフィルムと粘着性樹脂組成物とを含み、粘着性樹脂組成物が反応硬化型ビニル系重合体である熱伝導シートを開示している。このグラファイトフィルムは、(a) エキスパンド法により作製された膨張黒鉛、又は(b) ポリイミドフィルム等を2400℃以上の温度で熱処理することにより得られたものである。膨張黒鉛からなるグラファイトフィルムは、グラファイトを硫酸等の酸に浸漬してグラファイト層間化合物を作製し、熱処理により発泡させてグラファイト層間を剥離し、得られたグラファイト粉末を洗浄して酸を除去し、得られた薄膜状のグラファイト粉末をロール圧延することにより得られる。しかし、膨張黒鉛からなるグラファイトフィルムは膜強度が不十分である。またポリイミドフィルム等の熱処理により得られたグラファイトフィルムは高い放熱性を有するが、高価である。
【0005】
特開2012-211259号(特許文献2)は、グラファイト片を含有する熱伝導シートであって、グラファイト片は、熱分解グラファイトシートを細長く切断した複数個の第一のグラファイト片と、第一のグラファイト片の短辺長さより小さい第二のグラファイト片とからなり、少なくとも第一のグラファイト片が熱伝導シートの両面を連結している熱伝導シートを開示している。この熱伝導シートは、例えばアクリルポリマー及び溶媒の混合物に、第一及び第二のグラファイト片をブレンドし、押出成形することにより得られる。しかし、押出成形してなる熱伝導シートでは、樹脂の体積分率が大きいので、十分な放熱性が得られない。
【0006】
特開2006-86271号(特許文献3)は、グラファイトを、ガラス転移温度が−50℃〜+50℃であるバインダ樹脂(例えば、非晶質飽和共重合ポリエステル)で結着させてなる放熱シートであって、グラファイト/バインダ樹脂の質量比が66.7/33.3〜95/5であり、シート厚さが50〜150μmである放熱シートを開示している。この放熱シートは、グラファイト/バインダ樹脂/有機溶媒のスラリーを離型剤塗布フィルムの離型層上に塗布し、熱風乾燥により有機溶媒を除去した後、例えば30 kg/cm
2の圧力でプレス加工することにより作製される。特許文献3は、グラファイト/バインダ樹脂のシートをプレス加工することにより、熱伝導率が向上すると記載している。特許文献3ではグラファイト/バインダ樹脂/有機溶媒のスラリーを一回で塗布しているが、一回の塗布ではグラファイトの分布が不均一になることが分った。その上、実施例ではグラファイト/バインダ樹脂の質量比が余り高くないので(実施例1では80/20、実施例2では89/11)、グラファイトに固有の高い熱伝導率を十分に引き出せない。
【0007】
特開平11-1621号(特許文献4)は、フレーク状の高配列グラファイト粒子と、圧縮下で重合させたバインダポリマーとを含有し、高熱伝導率を有する放熱体用固体複合材を開示している。この固体複合材は、フレーク状グラファイトをエポキシ樹脂のような熱硬化性モノマーと混合し、少なくとも40体積%のグラファイトを含有する組成物を形成し、グラファイトがほぼ平行に整列するのに十分な圧力をかけて組成物を圧縮しながら、モノマーを重合させることにより製造される。特許文献4は、複合材中のグラファイトの体積分率が40%から95%まで可能であるが、55〜85%が好ましいと記載している。しかし、95%と高濃度のフレーク状グラファイトを含有するエポキシ樹脂では、フレーク状グラファイトの分布が不均一となるという問題がある。そのため、特許文献4には、フレーク状グラファイトの体積分率が60%のときの実験結果しか記載されていない。
【0008】
上記の通り、従来の放熱シートはグラファイトにバインダ樹脂をブレンドしてなるが、バインダ樹脂は熱伝導率が低いので、グラファイトの高い熱伝導性を十分に利用できていない。また、グラファイトの分布が不均一であると、放熱フィルムの放熱性能がさらに低下するだけでなく、所定の形状及びサイズに裁断した後で小型の電子機器内に配置される放熱フィルム内のグラファイトの分布も不均一になり、放熱フィルムの性能にばらつきが生じる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2006-306068号公報
【特許文献2】特開2012-211259号公報
【特許文献3】特開2006-86271号公報
【特許文献4】特開平11-1621号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
従って本発明の第一の目的は、薄片状炭素が高密度かつ均一に分布しているために、小型の電子機器内に配置したときに優れた放熱性能を発揮し得る安価な放熱フィルムを提供することである。
【0011】
本発明の第二の目的は、かかる放熱フィルムを低コストで製造する方法及び装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的に鑑み鋭意研究の結果、本発明者は、優れた熱伝導率を有する薄片状炭素と少量のバインダ樹脂とからなる複合フィルム中のバインダ樹脂を焼成すると、バインダ樹脂は炭化又は消失し、その状態でプレスすると薄片状炭素が高密度に結合した伝熱層を有する放熱フィルムが得られることを発見し、本発明に想到した。
【0013】
すなわち、本発明の放熱フィルムは、薄片状炭素及びバインダ樹脂からなる混合物層の焼成により前記バインダ樹脂を炭化又は消失させてなる伝熱層と、前記伝熱層を覆うプラスチックフィルムとからなり、前記伝熱層内で前記薄片状炭素が実質的に平行に配列されており、前記伝熱層が1.9 g/cm
3以上の密度及び450 W/mK以上の熱伝導率を有することを特徴とする。
【0014】
前記薄片状炭素はグラファイト又はグラフェンであるのが好ましい。
【0015】
前記伝熱層は2 g/cm
3以上の密度を有するのが好ましい。また前記伝熱層は600 W/mK以上の熱伝導率を有するのが好ましい。
【0016】
前記伝熱層の厚さは50〜250 g/m
2(1 m
2当たりの薄片状炭素の重量で表す。)であるのが好ましい。
【0017】
前記放熱フィルムの表面抵抗は20Ω/□以下であるのが好ましい。前記放熱フィルムの電磁波シールド率(反射率)は90%以上であるのが好ましい。
【0018】
上記放熱フィルムを製造する本発明の方法は、(1) 薄片状炭素とバインダ樹脂との混合物層を一対の第一のプラスチックフィルムで挟んで、積層フィルムを形成し、(2) 前記積層フィルムを熱プレスすることにより前記混合物層を緻密化させ、(3) 前記第一のプラスチックフィルムの剥離により露出した前記混合物層を焼成することにより、前記混合物層中の前記バインダ樹脂を炭化又は消失させ、(4) 得られた焼成層をプレスすることにより、緻密化した伝熱層とし、(5) 前記伝熱層を第二のプラスチックフィルムで封止することを特徴とする。
【0019】
前記薄片状炭素と前記バインダ樹脂との混合物層は、5〜25質量%の薄片状炭素及び0.05〜2.5質量%のバインダ樹脂を含有し、前記バインダ樹脂と前記薄片状炭素との質量比が0.01〜0.1である有機溶媒分散液を各第一のプラスチックフィルムの一面に塗布した後乾燥する工程を複数回繰り返すことにより、形成するのが好ましい。
【0020】
前記分散液の一回の塗布量を5〜30 g/m
2(1 m
2当たりの薄片状炭素の重量で表す。)とするのが好ましい。
【0021】
前記バインダ樹脂はアクリル樹脂、ポリスチレン樹脂又はポリビニルアルコールであるのが好ましい。
【0022】
前記有機溶媒はケトン類、芳香族炭化水素類及びアルコール類からなる群から選ばれた少なくとも一種であるのが好ましい。
【0023】
前記分散液の塗布をスプレー法により行うのが好ましい。
【0024】
前記第一のプラスチックフィルムは、前記分散液を塗布する面に離型層を有するのが好ましい。前記離型層はアルミニウム蒸着層であるのが好ましい。
【0025】
前記乾燥工程を30〜100℃で行うのが好ましい。
【0026】
前記積層フィルムの熱プレスは、少なくとも一対の加熱ロールの間に前記積層フィルムを通過させることにより行うのが好ましい。熱プレス温度は150〜250℃であるのが好ましい。また熱プレス圧力は20 MPa以上であるのが好ましい。
【0027】
前記混合物層の焼成には、前記混合物層中の前記バインダ樹脂が炭化するように、両面に火炎を照射するか、金型内に封止した状態で500℃以上の高温に曝すのが好ましい。前記混合物層の焼成は空気中、不活性ガス中又は真空中で行うことができる。
【0028】
焼成層のプレスは、前記焼成層の少なくとも一対の対向辺を拘束する金型内で行うのが好ましい。
【0029】
前記下型のキャビティ内に前記焼成層を載置した後、前記凸部が前記キャビティ内に入るように前記上型を前記下型に係合させ、組合された前記上型及び前記下型を一対の加圧ロールの間に複数回通すことにより、前記焼成層を緻密化するのが好ましい。
【0030】
前記焼成層を含有する金型を振動しながら加圧するのが好ましい。
【0031】
前記第二のプラスチックフィルムを前記第一のプラスチックフィルムより薄くするのが好ましい。前記伝熱層の前記第二のプラスチックフィルムによる封止はヒートシールであるのが好ましい。ヒートシールする前記第二のプラスチックフィルムは前記伝熱層に貼付される側にシーラント層を有するのが好ましい。
【0032】
前記伝熱層を所望の形状に裁断した後、前記第二のプラスチックフィルムで封止するのが好ましい。
【0033】
上記放熱フィルムを製造する本発明の装置は、(a) 一対の第一のプラスチックフィルムを搬送する手段と、(b) 前記第一のプラスチックフィルムに薄片状炭素及びバインダ樹脂を含有する分散液を複数回に分けて塗布するように、各第一のプラスチックフィルムに対して少なくとも1つ配置された分散液塗布手段と、(c) 前記分散液を塗布ごとに乾燥させる手段と、(d) 得られた前記薄片状炭素と前記バインダ樹脂の混合物層を有する一対の前記第一のプラスチックフィルムを、前記混合物層を内側にして積層する手段と、(e) 得られた積層フィルムを熱プレスする手段と、(f) 前記積層フィルムから前記第一のプラスチックフィルムを剥離する手段と、(g) 露出した前記混合物層中の前記バインダ樹脂が炭化又は消失するように、前記混合物層を焼成する手段と、(h) 得られた焼成層を緻密化して伝熱層とするプレス金型手段と、(i) 前記伝熱層を前記第二のプラスチックフィルムで封止する手段とを具備することを特徴とする。
【0034】
本発明の装置は、各第一のプラスチックフィルムの進行方向に沿って所定の間隔で配置された複数の分散液塗布手段を具備するのが好ましい。
【0035】
一対の分散液塗布手段及び積層用ロールはチャンバ内に配置されており、前記チャンバは、各第一のプラスチックフィルムが進入する第一の開口部と、前記第一の開口の近隣に設けられた一対の熱風送給口と、排気口と、前記積層フィルムを取り出す第二の開口部とを具備するのが好ましい。複数対の分散液塗布手段を有する場合、全ての分散液塗布手段が前記チャンバ内に配置されている。
【0036】
前記手段(a) により各第一のプラスチックフィルムは前記積層用ロールの両側に水平に搬送されるのが好ましい。
【0037】
分散液塗布手段はスプレーノズルであるのが好ましい。
【0038】
前記積層手段及び前記熱プレス手段はともにヒートロールであるのが好ましい。
【0039】
前記混合物層を焼成する手段は、前記混合物層の両面に火炎を照射するバーナーか、封止した状態で500℃以上の高温に曝す金型であるのが好ましい。
【0040】
焼成層を緻密化するプレス金型手段は、(a) キャビティを有する下型と、前記キャビティに係合する凸部を有する上型とからなる金型と、(b) 前記金型を上下から押圧する一対の加圧ロールと、(c) ロールギャップの上流側及び下流側に延在するガイド板と、(d) 前記ガイド板に沿って前記金型を一対の前記加圧ロールのギャップを通過するように往復動させる手段とを具備するのが好ましい。
【0041】
前記プレス金型手段は前記加圧ロールの一方に振動を与える手段を有し、もって前記焼成層を振動加圧することにより緻密化するのが好ましい。
【発明の効果】
【0042】
本発明では、薄片状炭素及びバインダ樹脂からなる混合物層を熱プレスにより緻密化させた後、焼成することによりバインダ樹脂を炭化又は消失させ、得られた焼成層をプレスすることにより緻密な伝熱層を形成するので、伝熱層は高密度で高い熱伝導率を有し、また性能にばらつきがない。さらに、プラスチックフィルム上に薄片状炭素及びバインダ樹脂の分散液を塗布することにより混合物層を形成するので、製造コストを低く抑えることができる。従って、本発明の放熱フィルムは高い熱伝導率を均一に有する。このような特徴を有する本発明の放熱フィルムは、ノート型パソコン、スマートフォン、携帯電話等の小型の電子機器に使用するのに好適である。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【
図2】薄片状炭素の粒径を求める方法を示す概略図である。
【
図3】プラスチックフィルムに薄片状炭素/バインダ樹脂の分散液を厚く塗布した結果、薄片状炭素が凝集した状態を示す断面図である。
【
図4】プラスチックフィルムに分散液を薄く塗布した結果、薄片状炭素の均一な分散が維持されている状態を概略的に示す断面図である。
【
図5】プラスチックフィルムに塗布した分散液を乾燥した後、薄片状炭素の分散液を薄く塗布した状態を示す断面図である。
【
図6】本発明の放熱フィルムを製造する装置を示す断面図である。
【
図7】混合物層の縁部を切除する切断線を示す平面図である。
【
図8(a)】混合物層の焼成方法の一例を示す概略断面図である。
【
図8(b)】混合物層の焼成方法の他の例を示す概略断面図である。
【
図9(a)】焼成層をプレスする装置における下型を示す平面図である。
【
図9(b)】焼成層をプレスする装置における上型及び下型を示す分解断面図である。
【
図10】上型及び下型からなる金型により焼成層をプレスする様子を示す断面図である。
【
図11(a)】一対の加圧ロールにより
図10の金型を加圧する様子を示す部分断面図である。
【
図11(b)】一対の加圧ロールにより
図10の金型を繰り返し加圧する様子を示す部分断面図である。
【
図12(a)】焼成層をプレスする金型を示す平面図である。
【
図12(b)】焼成層をプレスする金型を示す断面図である。
【
図13】プレスにより得られた伝熱層の縁部を切除して所定のサイズにするための切断線を示す平面図である。
【
図14】プレスにより得られた伝熱層を最終形状に分割するための切断線を示す平面図である。
【
図15】
図13に示す伝熱層を貼付した一方の第二のプラスチックフィルムに他方の第二のプラスチックフィルムを積層する方法を示す断面図である。
【
図16(a)】第二のプラスチックフィルムに貼付した最終形状の伝熱層を示す平面図である。
【
図16(b)】最終形状の伝熱層を貼付した一方の第二のプラスチックフィルムに他方の第二のプラスチックフィルムを積層してなる積層フィルムを示す平面図である。
【
図17】最終形状の伝熱層を貼付した一方の第二のプラスチックフィルムに他方の第二のプラスチックフィルムを積層する方法を示す断面図である。
【
図18】最終形状の伝熱層を有する積層フィルムを個々の放熱フィルムに分割するための切断線を示す平面図である。
【
図19】一対の第二のプラスチックフィルムにより封止された伝熱層からなる放熱フィルムを示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0044】
本発明の実施形態を添付図面を参照して以下詳細に説明するが、下記説明は限定的ではなく、本発明の技術的思想の範囲内で種々の変更をしても良い。特に断りがなければ一つの実施形態に関する説明は他の実施形態にも適用される。
【0045】
[1] 放熱フィルム
図1に示すように、本発明の放熱フィルム1は、伝熱層10と、伝熱層10を封止するようにその両面に接着された一対のプラスチックフィルム2,2とからなる。
【0046】
(1) 伝熱層
薄片状炭素/バインダ樹脂の混合物層を焼成することにより得られた伝熱層10は、主として薄片状炭素からなる。薄片状炭素はグラファイト又はグラフェンからなるのが好ましい。以下、特に断りがなければまとめて薄片状炭素として説明する。
【0047】
(a) 薄片状炭素
薄片状グラファイト及び薄片状グラフェンはいずれもベンゼン環が二次元的に連結した板状の多層構造を有する。両者とも六角状の格子構造を有するので、各炭素原子は3つの炭素原子に結合し、化学結合に用いられる4つの外殻電子のうちの1つは自由な状態にある(自由電子となる)。自由電子は結晶格子に沿って移動できるので、薄片状グラファイトは高い熱伝導率を有する。
【0048】
両者とも板状であるので、その径は板面部の直径とする。
図2に示すように、薄片状グラファイト(グラフェン)31の板面部の輪郭は異形状であるので、薄片状グラファイト(グラフェン)31の径は、同じ面積Sを有する円の直径dと定義する。各薄片状グラファイト(グラフェン)31のサイズは直径d及び厚さtにより表されるので、使用した薄片状グラファイト(グラフェン)31の平均径は(Σd)/n[ただし、nは測定した薄片状グラファイト(グラフェン)31の個数]により表され、平均厚さは(Σt)/nにより表される。薄片状グラファイト(グラフェン)31の直径d及び厚さtは、薄片状グラファイト(グラフェン)31の顕微鏡写真を画像処理することにより求めることができる。
【0049】
薄片状グラファイトの平均径は5〜100μmの範囲内であれば良い。薄片状グラファイトの平均径が5μm未満であると、結合している炭素原子の長さが不十分であるので、得られる伝熱層10の熱伝導率が小さすぎる。一方、薄片状グラファイトの平均径が100μm超になると、スプレーによる塗布が困難になる。薄片状グラファイトの好ましい平均径は5〜50μmであり、より好ましくは10〜30μmである。薄片状グラファイトの平均厚さは200 nm以上であり、好ましくは200 nm〜10μmであり、より好ましくは200 nm〜5μmである。
【0050】
薄片状グラフェンの平均径は5〜100μmの範囲内であれば良い。薄片状グラフェンの平均径が5μm未満であると、結合している炭素原子の長さが不十分であるので、得られる伝熱層10の熱伝導率が小さすぎる。一方、薄片状グラフェンの平均径が100μm超になると、スプレーによる塗布が困難になる。薄片状グラフェンの好ましい平均径は5〜50μmであり、より好ましくは10〜30μmである。薄片状グラフェンの平均厚さは5〜50 nmの範囲内であれば良い。薄片状グラフェンの平均厚さが5 nm未満であると、薄片状グラフェン/バインダ樹脂の混合物層の焼成により得られた伝熱層10の抵抗が大きくなる。一方、薄片状グラフェンの平均厚さが50 nm超であると、薄片状グラフェンを溶媒に均一に分散させるときに薄片状グラフェンが破壊し易い。薄片状グラフェンの平均厚さは好ましくは5〜30 nmであり、より好ましくは10〜25 nmである。
【0051】
(b) バインダ樹脂
バインダ樹脂は、有機溶媒に可溶で薄片状炭素を均一に分散できるものであれば特に限定されず、ポリメチルアクリレート、ポリメチルメタクリレート等のアクリル樹脂、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリ塩化ビニル、ABS樹脂、低立体規則性ポリプロピレン、アタクチックポリプロピレン等が挙げられるが、なかでもポリメチルメタクリレート、ポリスチレン及び低立体規則性ポリプロピレンが好ましい。
【0052】
(c) 組成比
バインダ樹脂/薄片状炭素の質量比が小さい程、伝熱層10を高密度化及び高熱伝導率化することができる。しかし、バインダ樹脂の割合が低すぎると混合物層における薄片状炭素の密着強度が不十分であり、混合物層は破断し易い。高い熱伝導率及び強度を有するために、バインダ樹脂/薄片状炭素の質量比を0.01〜0.1とするのが好ましい。バインダ樹脂/薄片状炭素の質量比の上限は0.08がより好ましく、0.06が最も好ましい。バインダ樹脂/薄片状炭素の質量比の下限は、薄片状炭素の結着性を確保できる限りできるだけ小さい方が良いが、技術的限界としては0.01であり、実用的には0.03である。
【0053】
(d) 薄片状炭素の均一分布
混合物層における薄片状炭素の分布が均一でないと、(a) 薄片状炭素の凝集により薄片状炭素が不十分な領域が発生し、放熱フィルムは所望の熱伝導率を有さないだけでなく、(b) 熱伝導率の分布が不均一になり、個々の電子機器又は部品に応じて放熱フィルムを分割して使用する場合、熱伝導率が不十分な分割片ができるという問題も発生する。熱伝導率の分布が均一な伝熱層を得るためには、各塗布工程で薄片状炭素の分布が均一な混合物層を形成しなければならない。
【0054】
混合物層で薄片状炭素の凝集が起こると、薄片状炭素の凝集域と、薄片状炭素が存在しないか希薄な領域とが生じる。薄片状炭素が存在しないか希薄な領域が存在すると、伝熱層全体の熱伝導率が低下するので、薄片状炭素はできるだけ均一に分散していなければならない。
【0055】
(e) 表面抵抗
本発明の放熱フィルムは、電磁波シールドフィルムとしても機能させることができる。十分な電磁波シールド機能を発揮するためには、伝熱層10の表面抵抗は好ましくは20Ω/□以下であり、より好ましくは10Ω/□以下である。表面抵抗は、10 cm×10 cmの正方形状に切り出した伝熱層10の試験片に対して直流二端子法により測定する。
【0056】
(f) 厚さ
伝熱層10の熱伝導率は伝熱層10の厚さに依存するが、薄片状炭素と焼成により少なくとも部分的に炭化したバインダ樹脂とからなる伝熱層10のうち熱伝導率に大きく寄与するのは薄片状炭素であるので、伝熱層10の厚さを単位面積当たりの薄片状炭素の量により表すのが好ましい。薄片状炭素の単位面積当たりの量で表した伝熱層10の厚さは好ましくは50〜250 g/m
2であり、より好ましくは70〜220 g/m
2であり、最も好ましく80〜200 g/m
2である。
【0057】
(2) プラスチックフィルム
プラスチックフィルムを形成する樹脂は、絶縁性とともに十分な強度、可撓性及び加工性を有する限り特に制限されず、例えばポリエステル(ポリエチレンテレフタレート等)、ポリアリーレンサルファイド(ポリフェニレンサルファイド等)、ポリエーテルサルフォン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリアミド、ポリイミド、ポリオレフィン(ポリプロピレン等)等が挙げられる。プラスチックフィルムの厚さは5〜20μm程度で良い。
【0058】
(3) 放熱シートの切断
本発明の放熱シートは比較的大型に形成できるので、適当なサイズに切断することにより、小型の電子機器に装着することができる。このとき、伝熱層10の切断面が露出しないように、ブレードの両側に平坦部を有するカッタを用い、切断しつつ加熱又は超音波によりプラスチックフィルム2の切断部を融着するのが好ましい。また後述するように、伝熱層10を所定のサイズに切断した後でプラスチックフィルム2を積層し、プラスチックフィルム2の部分で切断しても良い。
【0059】
[2] 放熱フィルムの製造装置及び方法
図6は放熱フィルムを製造する装置100を概略的に示す。図示の例では、左右一対の分散液塗布手段を有する。製造装置100は、(a) 一対の分散液塗布域14a,14bを有し、各分散液塗布域14a,14bが第一のプラスチックフィルム12a,12bの各送給口41a,41bと、各熱風送給口42a,42bとを有し、かつ両分散液塗布域14a,14bが合流する位置に排気口43を具備するチャンバ4と、(b) 第一のプラスチックフィルム12a,12bに混合物層11a,11bを形成するために、薄片状炭素/バインダ樹脂の分散液をスプレーするように分散液塗布域14a,14bのチャンバ4の天井に設けられた一対のノズル45a,45bと、(c) 混合物層11a,11bが形成された第一のプラスチックフィルム12a,12bを混合物層11a,11bを内側にして積層するための一対のロール46a,46bと、(d) 得られた積層フィルム1’を熱プレスするための少なくとも一対の加熱ロール(図示の例では二対の加熱ロール47a,47b,48a,48b)と、(e) 積層フィルム1’を搬送するガイドロール49と、(f) 積層フィルム1’から第一のプラスチックフィルム12a,12bを剥離するための一対のロール101a,101bと、(g) 露出した混合物層11を焼成するための手段(図示せず)と、(h) 得られた焼成層110をプレスする手段120と、(i) 得られた伝熱層10を一対の第二のプラスチックフィルム13a,13bで封止するための一対のロール102a,102bと、(j) 得られた放熱フィルム1を巻き取るためのリール60とを具備する。リール70a,70bから巻き戻された第一のプラスチックフィルム12a,12bは複数のガイドロールを経てチャンバ4の左右の開口部41a,41bに送給される。図示の例では、各分散液塗布域14a,14bに1つの分散液スプレー用ノズル45a,45bが設けられているが、勿論各分散液塗布域14a,14bに複数のノズルを設けても良い。
【0060】
積層工程及び熱プレス工程に耐えられるように、第一のプラスチックフィルム12a,12bは十分な機械的強度及び耐熱性を有していなければならない。そのため、第一のプラスチックフィルム12a,12bは比較的厚い耐熱性樹脂製のフィルムとするのが好ましい。耐熱性樹脂としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリイミド等が好ましい。第一のプラスチックフィルム12a,12bの厚さは20〜60μmが好ましい。第一のプラスチックフィルム12は剥離後に再利用できる。
【0061】
しかし、熱伝導率が低いプラスチックフィルムが厚くなると、伝熱層10の両面がプラスチックフィルムで覆われた構造を有する放熱シート1の熱伝導率は低くなる。そのため、伝熱層10の両面を覆うプラスチックフィルムはできるだけ薄い必要がある。上記の通り、第二のプラスチックフィルム13a,13bの厚さは5〜15μmが好ましい。第二のプラスチックフィルム13a,13bは、熱ラミネーション法等により伝熱層10に強固に熱融着するように、シーラント層を有するのが好ましい。第二のプラスチックフィルム13a,13bの材質は第一のプラスチックフィルム12a,12bと同じで良いが、非常に薄いポリエチレンテレフタレートフィルムが市販されているので、それを用いるの実用上好ましい。
【0062】
チャンバ4には排気口43の左右に一対の開口垂直壁4a,4bが設けられており、各開口垂直壁4a,4bにより区切られた領域は、各ノズル45a,45bを有する分散液塗布域14a,14bである。積層用ロール46a,46bの左右には、各第一のプラスチックフィルム12a,12bを支持する水平プレート44a,44bが配置されており、各第一のプラスチックフィルム12a,12bは各水平プレート44a,44b上を水平に移動する。
【0063】
(1) 薄片状炭素の分散液の調製
薄片状炭素、バインダ樹脂及び有機溶媒を含有する分散液は、薄片状炭素の有機溶媒分散液にバインダ樹脂の有機溶媒溶液を混合することにより調製するのが好ましい。これは、薄片状炭素が凝集し易いため、薄片状炭素及びバインダ樹脂を同時に有機溶媒に混合すると、薄片状炭素が凝集してしまうおそれがあるためである。両溶液を混合することにより得られる薄片状炭素の分散液において、薄片状炭素の濃度は5〜25質量%が好ましく、8〜20質量%がより好ましく、10〜20質量%が最も好ましい。また、バインダ樹脂/薄片状炭素の質量比は0.01〜0.1である。バインダ樹脂/薄片状炭素の質量比はそのまま混合物層でも維持される。
【0064】
分散液に用いる有機溶媒としては、薄片状炭素を良く分散させ、バインダ樹脂を溶解するとともに、乾燥時間を短くするために蒸発し易い有機溶媒が好ましい。このような有機溶媒の例として、メチルエチルケトンのようなケトン類、ヘキサン等の脂肪族炭化水素類、キシレン等の芳香族炭化水素類、イソプロピルアルコール等のアルコール類が挙げられる。なかでもメチルエチルケトン、キシレン等が好ましい。これらは単独で用いても良いが、混合しても良い。
【0065】
(2) 分散液の塗布・乾燥
所望の濃度の分散液をプラスチックフィルムに一回で塗布すると、
図3に概略的に示すように、分散液3中の薄片状炭素31が乾燥過程で凝集してしまうことが分った。
図3において、33は薄片状炭素31が凝集した領域を示す。鋭意研究の結果、分散液をできるだけ小量ずつ複数回に分けて塗布すると、薄片状炭素31の凝集を防止できることが分った。
図4に示す第一回目の塗布では、分散液層3aの量は少なく、かつその厚さは薄片状炭素31の平均径に対して十分に小さいので、分散液層3aを乾燥させても薄片状炭素31は凝集することなく分散した状態を維持する。従って、分散液層3aを乾燥してなる混合物層3a’では、ごく少量のバインダ樹脂により結合された薄片状炭素31がほぼ均一に分布している。
【0066】
一回に塗布する分散液の量は、薄片状炭素の単位面積当たりの重量として5〜30 g/m
2であるのが好ましく、7〜20 g/m
2であるのがより好ましい。分散液の塗布量が5 g/m
2未満であると、混合物層の形成に時間がかかり過ぎ、また30 g/m
2超であると薄片状炭素の凝集が起こり易くなる。このような少量の分散液を均一に塗布するためには、スプレー法が好ましい。
【0067】
分散液層3aを乾燥させた後、次の塗布を行う。分散液層3aの乾燥は自然乾燥で良いが、塗布工程を短時間化するためにプラスチックフィルムが変形しない程度に加熱しても良い。加熱温度は使用する有機溶媒の沸点に応じて決める。例えば、メチルエチルケトンを使用する場合、加熱温度は30〜100℃が好ましく、50〜80℃がより好ましい。乾燥は、塗布した分散液層3a中の有機溶媒が完全に蒸発するまで行う必要はなく、次の塗布で薄片状炭素が遊離しない程度に乾燥させれば良い。
【0068】
乾燥した第一の混合物層3a’の上に、第二回目の分散液の塗布を行うと、
図5に概略的に示すように、第一の混合物層3a’を実質的に溶解せずに新たな分散液層3bが形成される。分散液層3bを乾燥すると、第一の混合物層3a’と一体的な第二の混合物層3b’となる。このように分散液の塗布及び乾燥のサイクルを複数回繰り返すと、薄片状炭素が平行に配列された比較的厚い一体的な混合物層が得られる。分散液の塗布及び乾燥のサイクルの回数は、形成すべき混合物層の厚さに応じて決める。
【0069】
上記分散液の塗布・乾燥工程を
図6に示す装置100で行うには、まずリール70a,70bから巻き戻した各第一のプラスチックフィルム12a,12bをチャンバ4内で停止させる。この状態で、分散液塗布域14a,14bにある各第一のプラスチックフィルム12a,12bの部分に、各ノズル45a,45bより分散液を均一にスプレーする。分散液の均一な塗布を達成するため、各ノズル45a,45bは自由に動けるようになっている。各第一のプラスチックフィルム12a,12b上に形成した分散液層を熱風により乾燥させる。この分散液の塗布及び乾燥の工程を複数回繰り返し、各第一のプラスチックフィルム12a,12b上に所定の厚さの混合物層11a,11bを形成する。
【0070】
(3) 混合物層の積層及び熱プレス
混合物層11a,11bが形成された第一のプラスチックフィルム12a,12bを、混合物層11a,11bを内側にして一対のロール46a,46bで積層することにより、混合物層11a,11b同士は接着して、一体的な混合物層11となる。
【0071】
積層により混合物層11a,11b同士が完全に融着するように、積層用ロール46a,46bは高温に加熱されているのが好ましい。積層用ロール46a,46bの温度はバインダ樹脂の種類に応じて変わるが、一般に100〜250℃が好ましく、150〜200℃がより好ましい。積層用ロール対46a,46bの圧着圧力は大きくなくても良く、例えば1〜10 MPaで良い。
【0072】
一方、分散液塗布域14a,14bに到達した各第一のプラスチックフィルム12a,12bの新しい部分に対しては、分散液の塗布及び乾燥の工程を複数回繰り返し、所定の厚さの混合物層11a,11bを形成する。このように、分散液の塗布及び乾燥の工程を複数回繰り返した後、各第一のプラスチックフィルム12a,12bを間欠的に繰り出すことにより、一対の第一のプラスチックフィルム12a,12bの間に混合物層11を間欠的に有する積層フィルム1’を形成する。
【0073】
図4及び
図5に示すように、分散液層3aでは薄片状炭素31はほぼ平行に分散しているが、完全に平行である訳ではない。そのため、分散液層3aを乾燥すると、薄片状炭素31間の有機溶媒だけが蒸発し、ごく少量のバインダ樹脂により結合されたほぼ平行の薄片状炭素31の間には隙間が残る。薄片状炭素31間に隙間を有する混合物層3a’が多層に積層されるので、積層すべき混合物層11a,11bは多孔質である。従って、混合物層11a,11bを有する第一のプラスチックフィルム12a,12bを積層しただけでは緻密な混合物層11は得られない。
【0074】
そのため、積層用ロール対46a,46bを通過して得られた積層フィルム1’を、下流に設けられた一段又は多段の熱プレスロール対47a,47b,48a,48bにより熱プレスする必要がある。熱プレス条件は、バインダ樹脂の種類にもよるが、一般に100〜250℃の温度及び20 MPa(約200 kgf/cm
2)以上の圧力であるのが好ましい。熱プレス温度が100℃未満であると、伝熱層10の十分な緻密化が達成されない。また熱プレス温度を250℃超にしても、バインダ樹脂の流動化効果は頭打ちで、経済的でない。熱プレス温度は好ましくは120〜200℃であり、より好ましくは150〜180℃である。熱プレス圧力が20 MPa未満であると、混合物層11の十分な緻密化が達成されない。
【0075】
熱プレス用ロール対47a,47b,48a,48bは一段でも多段でも良いが、十分に緻密な混合物層11を有する積層フィルム1’を製造するために、多段とするのが好ましい。熱プレス用ロール47a,47b,48a,48bの段数は圧下率に応じて適宜設定できる。
【0076】
(4) 混合物層の焼成
熱プレスした混合物層11は、バインダ樹脂の流動により縁部が若干乱れているので、
図7に示すように、例えば破線111に沿って所定の形状及びサイズに切断するのが好ましい。切断した混合物層112を、
図8(a) に示すように金網113上に載置し、バーナー114から噴出する約900〜1200℃の火炎により焼成する。焼成は混合物層112の片面でも良いが、両面に行うのが好ましい。バーナー114の火炎に曝された混合物層112内のバインダ樹脂は炭化又は消失する。バインダ樹脂の炭化により生成する不定形炭素は薄片状炭素の間に残留しても良い。バインダ樹脂の炭化又は消失により体積が減少するので、生じた空隙をプレスにより消失させると、薄片状炭素はより高密度になり、もってより高い熱伝導率を有する伝熱層10が得られる。
【0077】
図8(b) は混合物層112を焼成する別の方法を示す。この方法では、キャビティを有する下型121とキャビティより僅かに大きな上型122とからなる金型を用い、下型121に混合物層112を入れた後、混合物層112の上に上型122を載置し、一対のヒータ123a,123bの間に置いて、混合物層112の加熱を行う。ヒータ123a,123bの温度は約500〜1000℃で良い。加熱時間はバインダ樹脂の消失が進み過ぎないように設定する。前記混合物層の焼成を空気中、不活性ガス中又は真空中のいずれで行っても良い。
【0078】
混合物層の焼成によるバインダ樹脂の炭化又は消失は、バインダ樹脂が100%炭化又は消失する場合だけでなく、バインダ樹脂が部分的に炭化又は消失する場合も含む。高熱伝導率を得るためにはバインダ樹脂はできるだけ炭化又は消失しているのが好ましいが、少なくとも90%のバインダ樹脂が炭化又は消失すれば良い。
【0079】
(5) 焼成層のプレス
得られた焼成層131を緻密化するために、
図9(a) 及び
図9(b) に示すように、キャビティ141aを有する下型141と、キャビティ141aに係合する凸部142aを有する上型142とからなる金型140を用いる。図示の例では、キャビティ141aは長手方向に貫通しており、焼成層131と同じ幅を有する。
図10に示すように、キャビティ141a内に焼成層131を載置した後、凸部142aが焼成層131を覆うように上型142を下型141の上に置く。このとき、焼成層131の厚さはキャビティ141aの深さより十分に小さいので、上型142の凸部142aはキャビティ141a内に入る。これにより、下型141に対して上型142を正確に位置決めすることができる。
【0080】
図6、
図11(a) 及び
図11(b) に示すように、焼成層131を緻密化するプレス金型手段は、(a) 焼成層131を挟んで組合せた下型141及び上型142からなる金型140と、(b) 金型140を加圧するための一対のロール103a,103bと、(c) ロール103a,103bのギャップの上流側及び下流側に延在するガイド板143a,143bと、(d) ガイド板143a,143bに沿って金型140を一対の加圧ロール103a,103bのギャップを通過するように往復動させる手段(図示せず)とを具備する。
【0081】
一対の加圧ロール103a,103bのうち、下の加圧ロール103aは駆動ロールであり、上の加圧ロール103bは従動ロールである。従動ロール103bの直径を駆動ロール103aの直径より僅かに小さくすると、加圧により上型142が反るのを防止できる。金型140の往復動の範囲は焼成層131より十分に長い範囲とする。往復動は1回〜数回で良い。加圧ロール103a,103bのギャップを通過するたびに金型140にかける加圧力を大きくしても良い。焼成層131は、金型140を用いたプレスにより伝熱層10となる。
【0082】
振動モータ(図示せず)により、下の加圧ロール103aに振動与えると、焼成層131の緻密化が促進される。振動周波数は50〜500 Hzが好ましく、100〜300 Hzがより好ましい。
【0083】
図12(a) 及び
図12(b) は、焼成層を緻密化するプレス金型手段に用いる金型の別の例である。この金型150は、上下に貫通するキャビティ151aを有する型本体151と、キャビティ151aに上から入る上ポンチ152aと、キャビティ151aに下から入る下ポンチ152bとからなる。キャビティ151aに下ポンチ152bを入れた後、下ポンチ152bの上に焼成層131を載置し、キャビティ151aに上から入れた上ポンチ152aを下降させ、焼成層131を加圧して緻密化する。上ポンチ152aに上記と同じ振動を与えると、より大きな加圧効果が得られる。
【0084】
(6) 伝熱層の封止
得られた伝熱層10は、プレスにより縁部が若干乱れるので、(1)
図13に示すように破線161に沿って伝熱層10の縁部を切除し、所定のサイズの伝熱層10aとするか、(2)
図14に示すように破線162に沿って伝熱層10を最終的な大きさの伝熱層10bに分割する場合とがある。
図14に示す場合、伝熱層10bのサイズ、形状及び数は任意に設定することができる。
【0085】
図13に示すように大きな伝熱層10aの場合、
図15に示すように伝熱層10aを所定の間隔で貼付した一方の第二のプラスチックフィルム13aと、他方の第二のプラスチックフィルム13bとを一対のロール102a,102bにより積層し、得られた積層フィルムを伝熱層10aごとに切断し、個々の放熱フィルムとする。第二のプラスチックフィルム13aに粘着層を形成しておくと、貼付した伝熱層10aの位置がずれることはない。また、伝熱層10aを介した第二のプラスチックフィルム13a,13bの積層は熱ラミネーション法により行うのが好ましい。
【0086】
図14に示すように最終的な大きさの伝熱層10bに切断した場合、まず
図16(a) に示すように所定の間隔で複数の伝熱層10bを貼付した一方の第二のプラスチックフィルム13aと、他方の第二のプラスチックフィルム13bとを、
図17に示すように一対のロール102a,102bにより積層し、
図18に示す積層フィルムを得る。
図18に示すように、積層フィルムを破線163に沿って分割し、個々の放熱フィルムとする。
【0087】
図19に示すように、個々の伝熱層10a(10b)は一対の第二のプラスチックフィルム13a,13bに封止されており、第二のプラスチックフィルム13a,13bの縁部はヒートシールされている。
【0088】
本発明を以下の実施例によりさらに詳細に説明するが、本発明はそれらに限定されるものではない。
【0089】
実施例1
25質量%の薄片状グラファイト(日本黒鉛工業株式会社製UP-35N、灰分:1.0%未満、平均粒径:25μm)と、1.25質量%のポリメチルメタクリレート(PMMA)と、73.75質量%のメチルエチルケトンとからなる分散液を、厚さ30μmの2枚のアルミニウム蒸着ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(第一のプラスチックフィルム)12a,12bの各々のアルミニウム蒸着面に塗布し、40℃で2分間乾燥させて、厚さ50 g/m
2(1 m
2当たりの薄片状グラファイトのグラム数で表す。)の薄片状グラファイト/PMMAの塗布層を形成した。この手順を合計5回繰り返し、各PETフィルム12a,12bに薄片状グラファイト/PMMAの混合物層11a,11b(厚さ100 g/m
2)を形成した。
【0090】
図6に示すように混合物層11a,11bが内側になるように、混合物層11a,11bを有する一対の各PETフィルム12a,12bを一対のロール46a,46bにより120℃で積層し、次いで150℃の複数対の加熱ロール47a,47b,48a,48bにより20 MPaで熱プレスし、混合物層11を有する積層フィルム1’を形成した。
【0091】
積層フィルム1’から両方のPETフィルム12a,12bを剥離した後、
図8(a) に示すガスバーナー114の火炎(温度:約1000℃)を混合物層11に片面づつ照射し、混合物層11の焼成を行った。得られた焼成層を
図9に示す金型140のキャビティ141aに入れ、200 Hzの振動を与えながら
図11(a) 及び
図11(b) に示すように一対のロール103a,103bにより7 トンの荷重で繰り返し加圧した。
【0092】
得られた伝熱層10を所定のサイズに切断した後、その密度、比熱及び面内方向及び厚さ方向の熱拡散率(m
2/s)を測定した。熱拡散率と熱容量(密度×比熱)の積から熱伝導率(W/mK)を求めた。その結果、伝熱層10の密度は1.97 g/cm
3であり、熱伝導率は面内方向で499 W/mKであり、厚さ方向で17.7 W/mKであった。
【0093】
また
図15に示すように、伝熱層10を一方のPETフィルム13aに貼付し、一対のロール102a,102bにより他方のPETフィルム13bと積層した。得られた積層フィルム1’を切断し、個々の放熱フィルムとした。
【0094】
実施例2
バインダ樹脂を低立体規則性ポリプロピレンに変更した以外実施例1と同様にして伝熱層を形成し、放熱フィルムを製造した。実施例1と同様に測定した伝熱層の密度は1.98 g/cm
3であり、伝導率は面内方向で516 W/mKであり、厚さ方向で22.9 W/mKであった。
【0095】
実施例3
6質量%の薄片状グラフェン(XG Sciences社製の「H-15」、平均径:15μm)と、0.06質量%のポリメチルメタクリレート(PMMA)と、93.94質量%のメチルエチルケトンとからなる分散液を、2枚の厚さ30μmのPETフィルム12a,12bの各々に塗布し、40℃で2分間乾燥させて、厚さ5 g/m
2(1 m
2当たりの薄片状グラフェンのグラム数で表す。)の薄片状グラフェン/PMMAの塗布層を形成した。この手順を合計15回繰り返し、各PETフィルム12に薄片状グラフェン/PMMAの混合物層(1 m
2当たり75 g/m
2の薄片状グラフェンを含有)11a,11bを形成した。
【0096】
図6に示すように混合物層11a,11bが内側になるように、一対の塗布層付き各PETフィルム12a,12bを一対のロール46a,46bにより120℃で積層し、次いで150℃の複数対の加熱ロール47a,47b,48a,48bにより20 MPaで熱プレスし、厚さ100μmの伝熱層11(1 m
2当たり150 g/m
2の薄片状グラフェンを含有)を有する積層フィルム1’を形成した。
【0097】
積層フィルム1’から両方のPETフィルム12a,12bを剥離した後、
図8(a) に示すガスバーナー114の火炎(温度:約1000℃)を混合物層11に片面づつ照射し、混合物層11の焼成を行った。得られた焼成層を
図9に示す金型140のキャビティ141aに入れ、200 Hzの振動を与えながら
図11(a) 及び
図11(b) に示すように一対のロール103a,103bにより7 トンの荷重で繰り返し加圧した。
【0098】
得られた伝熱層10の密度は1.98 g/cm
3であり、熱伝導率は面内方向で514 W/mKであり、厚さ方向で5.8 W/mKであった。
【符号の説明】
【0099】
1・・・放熱フィルム
10・・・伝熱層
11,11a,11b・・・混合物層
12a,12b・・・第一のプラスチックフィルム
13a,13b・・・第二のプラスチックフィルム
2・・・プラスチックフィルム
3・・・分散液
3a・・・分散液層
3a’・・・乾燥したバインダ樹脂/薄片状炭素層
3b・・・次の分散液層
31・・・薄片状炭素
32・・有機溶媒
33・・薄片状炭素が凝集した領域
34・・薄片状炭素が存在しないか希薄な領域
4・・・チャンバ
41a,41b・・・第一のプラスチックフィルムの送給口
42a,42b・・・熱風の送給口
43・・・排気口
45a,45b・・・分散液スプレー用ノズル
46a,46b・・・積層用ロール
47a,47b,48a,48b・・・熱プレス用ロール
49・・・ガイドロール
60,70a,70b・・・リール
100・・・放熱フィルムの製造装置
101a,101b・・・第一のプラスチックフィルムを剥離するための一対のロール
102a,102b・・・第二のプラスチックフィルムを接着するための一対のロール
103a,103b・・・プレス金型を加圧するために一対のロール
【要約】
【課題】 小型の電子機器内に配置したときに優れた放熱性能を発揮し得る安価な放熱フィルムを提供する。
【解決手段】 薄片状炭素及びバインダ樹脂からなる混合物層の焼成によりバインダ樹脂を炭化又は消失させてなる伝熱層と、伝熱層を覆うプラスチックフィルムとからなり、伝熱層が1.9 g/cm
3以上の密度及び450 W/mK以上の熱伝導率を有する放熱フィルムは、(1) 薄片状炭素とバインダ樹脂との混合物層を一対の第一のプラスチックフィルムで挟んで積層フィルムを形成し、(2) 積層フィルムを熱プレスすることにより混合物層を緻密化させ、(3) 混合物層を焼成することにより混合物層中のバインダ樹脂を炭化させ、(4) 得られた焼成層をプレスすることにより伝熱層とし、(5) 伝熱層を第二のプラスチックフィルムで封止することにより製造される。
【選択図】
図1