(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5675027
(24)【登録日】2015年1月9日
(45)【発行日】2015年2月25日
(54)【発明の名称】自動注湯方法及び自動注湯装置
(51)【国際特許分類】
B22D 37/00 20060101AFI20150205BHJP
B22D 46/00 20060101ALI20150205BHJP
【FI】
B22D37/00 B
B22D46/00
【請求項の数】6
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2013-513442(P2013-513442)
(86)(22)【出願日】2011年11月28日
(65)【公表番号】特表2013-544188(P2013-544188A)
(43)【公表日】2013年12月12日
(86)【国際出願番号】JP2011077999
(87)【国際公開番号】WO2012074119
(87)【国際公開日】20120607
【審査請求日】2014年3月28日
(31)【優先権主張番号】特願2010-269570(P2010-269570)
(32)【優先日】2010年12月2日
(33)【優先権主張国】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000191009
【氏名又は名称】新東工業株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】391020492
【氏名又は名称】藤和電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100161425
【弁理士】
【氏名又は名称】大森 鉄平
(72)【発明者】
【氏名】阪野 厚一
(72)【発明者】
【氏名】西田 理
【審査官】
川崎 良平
(56)【参考文献】
【文献】
特開平07−227668(JP,A)
【文献】
国際公開第85/004607(WO,A1)
【文献】
米国特許第03818971(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B22D 37/00,39/04,46/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
注湯流量を制御して鋳型に溶湯を注湯する自動注湯方法であって、
注湯量と、注湯時間と、パラメータとにより注湯パターンを決定し、
前記注湯パターンは、経過時間に対する注湯流量の変化を示すものであり、注湯開始点である第1点、傾きの特異点である第2点、傾きの特異点である第3点、傾きの特異点である第4点、及び、注湯終了点である第5点を順に有し、前記第1点、前記第2点、前記第3点、前記第4点及び前記第5点を順次直線で繋いだパターンであり、
前記第4点で湯切り動作を開始するものとし、鋳物1個あたりの注湯量、前記第1点から前記第2点までの注湯量及び注湯時間、前記第2点から前記第4点までの注湯時間、前記第3点から前記第4点までの注湯時間、及び、前記第4点から前記第5点までの注湯量を予め定められた値とし、前記第3点から前記第4点までが同じ注湯流量とし、前記パラメータは、前記第2点から前記第4点までの注湯量を分子とし、前記第3点から前記第4点までの注湯流量と、前記第2点から前記第4点までの時間との積算により得られた値を分母とするものであり、
決定された前記注湯パターンに基づいて、鋳型に注湯する自動注湯方法。
【請求項2】
決定された前記注湯パターンを、前記第3点から前記第4点までの時間を変更することによって調整し、
調整後の前記注湯パターンに基づいて、鋳型に注湯する請求項1に記載の自動注湯方法。
【請求項3】
決定された前記注湯パターンを、注湯時間が長くなるほど前記第3点から前記第4点までの時間が長くなるように変更することによって調整する請求項2に記載の自動注湯方法。
【請求項4】
鋳型に溶湯を注湯する自動注湯装置であって、
鋳型に溶湯を注湯する際の注湯流量を制御する注湯流量制御手段と、
注湯量、注湯時間、及びパラメータにより注湯パターンを決定する注湯パターン決定手段と
を備え、
前記注湯パターンは、経過時間に対する注湯流量の変化を示すものであり、注湯開始点である第1点、傾きの特異点である第2点、傾きの特異点である第3点、傾きの特異点である第4点、及び、注湯終了点である第5点を順に有し、前記第1点、前記第2点、前記第3点、前記第4点及び前記第5点を順次直線で繋いだパターンであり、
前記第4点で湯切り動作を開始するものとし、鋳物1個あたりの注湯量、前記第1点から前記第2点までの注湯量及び注湯時間、前記第2点から前記第4点までの注湯時間、前記第3点から前記第4点までの注湯時間、及び、前記第4点から前記第5点までの注湯量を予め定められた値とし、前記第3点から前記第4点までが同じ注湯流量とし、前記パラメータは、前記第2点から前記第4点までの注湯量を分子とし、前記第3点から前記第4点までの注湯流量と、前記第2点から前記第4点までの時間との積算により得られた値を分母とするものであり、
前記注湯流量制御手段は、前記注湯パターン決定手段で決定された注湯パターンに基づいて、注湯流量を制御する自動注湯装置。
【請求項5】
決定された前記注湯パターンを、前記第3点から前記第4点までの時間を変更することによって調整する調整手段を有し、
前記注湯流量制御手段は、調整後の前記注湯パターンに基づいて、注湯流量を制御する請求項4に記載の自動注湯装置。
【請求項6】
前記調整手段は、決定された前記注湯パターンを、注湯時間が長くなるほど前記第3点から前記第4点までの時間が長くなるように変更することによって調整する請求項5に記載の自動注湯装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鋳型に溶湯を注湯する自動注湯方法及び自動注湯装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、鋳造工場の注湯装置の注湯動作を記憶させ、自動注湯するには、固定プログラム方式やティーチングプレーバック方式が採用されている。
【0003】
生型砂鋳造ラインにおける自動注湯装置では、予め鋳型への注湯動作をティーチングしておき、プレーバックする方法が多く使用されている。生型砂鋳造ラインの自動注湯装置におけるティーチングプレーバック方式とは、予め、熟練作業者の注湯パターン(微小時間毎の取鍋傾動速度、流量等)、又は、鋳型もしくは方案などによる湯の飲み込みに合わせた注湯パターンを登録し、それを再現させていくものである。なお、取鍋毎に異なる傾動角度と流量の変化、つまり、取鍋の形状データは、予め、データとして持っておく。まず、鋳型への注湯流線を目視確認しながら、最適な注湯流線になるよう、ノズル先端中心の取鍋傾動速度を変化させて注湯する。例えば
図1に示すような操作盤1に設けた可変ボリューム2等を操作することにより注湯する。また、操作盤1には表示器3が設けられている。その注湯結果が最適であれば、鋳込み速度プログラムが最適であるとして、この注湯パターンを登録釦で鋳込みデータとして記憶させる。これが、ティーチングである。なお、可変ボリューム2は、制御装置の処理装置に接続され、傾動駆動システムと連結している。
【0004】
同一パターンの鋳型への注湯は、このティーチングした最適鋳込みプログラムで、注湯動作を実現する。つまり、出湯開始からの流量を実際の出湯開始位置から、順次、取鍋傾動速度に変換し出湯させる。なお、取鍋傾動による出湯口の位置(高さ、前後位置)は、取鍋の形状や大きさによって異なる。使用する取鍋によらず出湯口の位置が一定となるように、高さ及び前後位置の移動動作が行われる。この動作は、傾動動作と同時に行われる。これをプレーバックとしている。ティーチングエリアは、出湯開始から、湯切りまでである(
図2参照)。
【0005】
図2は、従来のティーチング方式における注湯パターンの一例を示すものであり、縦軸Vは、傾動角速度(注湯流量に相当)を示し、縦軸tは、経過時間を示す。V102は、出湯前傾動角速度である。T101は、P100で示す出湯開始後の出湯前加速時間である。T102は、出湯後減速時間である。T103は、ティーチング領域である。図示しない光センサ等の出湯検出器により、P101の点で出湯検出する。ロードセルによる溶湯重量変化から、必要注湯量に至ったら、P102で示す湯切りする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許2668487号公報
【特許文献2】特許3361369号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、上述したティーチングプレーバックは、実際に、鋳型に注湯して、そのデータを登録しなければならず、経験と勘を有する熟練作業者が必要になる場合がある。また、注湯時間が数秒と短い注湯パターンはティーチングが困難で、鋳型に溶湯が不足したり、あふれたりするおそれがある。
【0008】
このため、当該技術分野では、平易で数値化することができる注湯パターンを作成し、各種造型ラインの鋳型に対して溶湯を過不足なく高速注湯することを可能とする自動注湯方法及び自動注湯装置が望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一側面に係る自動注湯方法は、注湯流量を制御して、鋳型に溶湯を注湯する自動注湯方法であって、注湯量と、注湯時間と、パラメータとにより注湯パターンを決定し、前記注湯パターンは、経過時間に対する注湯流量の変化を示すものであり、注湯開始点である第1点、傾きの特異点である第2点、傾きの特異点である第3点、傾きの特異点である第4点、及び、注湯終了点である第5点を順に有し、
前記第1点、前記第2点、前記第3点、前記第4点及び前記第5点を順次直線で繋いだパターンであり、前記第4点で湯切り動作を開始するものとし、
鋳物1個あたりの注湯量、前記第1点から前記第2点までの注湯量及び注湯時間、前記第2点から前記第4点までの注湯時間、前記第3点から前記第4点までの注湯時間、及び、前記第4点から前記第5点までの注湯量を予め定められた値とし、前記第3点から前記第4点までが同じ注湯流量と
し、前記パラメータは、前記第2点から前記第4点までの注湯量を分子とし、前記第3点から前記第4点までの注湯流量と、前記第2点から前記第4点までの時間との積算により得られた値を分母とするものであり、決定された前記注湯パターンに基づいて、鋳型に注湯する。
【0010】
本発明の別の側面に係る自動注湯装置は、鋳型に溶湯を注湯する際の注湯流量を制御する注湯流量制御手段と、注湯量、注湯時間、及びパラメータにより注湯パターンを決定する注湯パターン決定手段とを備え、前記注湯パターンは、経過時間に対する注湯流量の変化を示すものであり、注湯開始点である第1点、傾きの特異点である第2点、傾きの特異点である第3点、傾きの特異点である第4点、及び、注湯終了点である第5点を順に有し、
前記第1点、前記第2点、前記第3点、前記第4点及び前記第5点を順次直線で繋いだパターンであり、前記第4点で湯切り動作を開始するものとし、
鋳物1個あたりの注湯量、前記第1点から前記第2点までの注湯量及び注湯時間、前記第2点から前記第4点までの注湯時間、前記第3点から前記第4点までの注湯時間、及び、前記第4点から前記第5点までの注湯量を予め定められた値とし、前記第3点から前記第4点までが同じ注湯流量と
し、前記パラメータは、前記第2点から前記第4点までの注湯量を分子とし、前記第3点から前記第4点までの注湯流量と、前記第2点から前記第4点までの時間との積算により得られた値を分母とするものであり、前記注湯流量制御手段は、前記注湯パターン決定手段で決定された注湯パターンに基づいて、注湯流量を制御する。
【発明の効果】
【0011】
本発明の種々の側面及び実施形態によれば、製品毎に決まる注湯量及び注湯時間に加えて設定したパラメータに基づいて注湯パターンを決定するので、注湯パターンの姿(形)を直感で把握させることができる。また、注湯パターンを数値化することができるので、容易に管理することができるとともに、各種造型ラインの鋳型に対して過不足なく高速注湯することが可能となる。さらに、ティーチングが困難であった注湯時間の短い製品に対しても容易に注湯パターンを決定して適切に注湯を行うことを実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】注湯装置に設けられる制御盤の一例を示す図である。
【
図2】ティーチング方式の注湯パターンの一例を示す図である。
【
図3】実施形態に係る自動注湯方法においてパラメータ(FB比)により決定される注湯パターンを示す図である。
【
図4】該自動注湯方法で決定される注湯パターンの例をFB比の変化とともに示す図である。(a)は、FB比>1の場合の注湯パターンを示す図であり、(b)は、FB比=1の場合の注湯パターンを示す図であり、(c)は、FB比<1の場合の注湯パターンを示す図である。
【
図5】該自動注湯方法の実施に用いられる自動注湯装置の正面図である。
【
図8】該自動注湯装置による注湯パターンの例を示す図である。(a)は、
図4(a)と対応し、(b)は、
図4(b)と対応し、(c)は、
図4(c)と対向する図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、一実施形態に係る自動注湯方法及び自動注湯装置について、図面を参照して説明する。一実施形態に係る自動注湯方法は、注湯流量を制御して、鋳型に溶湯を注湯する際に、注湯量と、注湯時間と、所定のパラメータ(以下、「FB比」ともいう。)とにより注湯パターンを決定し、決定された注湯パターンに基づいて、鋳型に溶湯を注湯する。
【0014】
ここで、注湯パターンは、
図3に示すように、経過時間に対する注湯流量の変化を示すものである。注湯パターンは、第1点P1〜第5点P5を有し、順次それを繋ぐ直線からなるパターンであるものとする。また、注湯開始点を第1点P1とする。第2点P2及び第3点P3を経た第4点P4で湯切り動作を開始するものとする。第2点P2、第3点P3及び第4点P4のそれぞれは、傾きの特異点である。「傾きの特異点」とは、本実施形態では傾きの変更点である。特異点は、例えば、異なる関数の接続点、変曲点又は停留点であってもよい。第5点P5を注湯終了点とする。第3点P3から第4点P4までが同一の注湯流量であるものとしている。
【0015】
また、FB比(パラメータ)は、第2点P2から第4点P4までの注湯量を分子とし、第3点P3から第4点P4までの注湯流量と、第2点P2から第4点P4までの時間との積算により得られた値を分母として表されるものである。
【0016】
以下、
図3に示す注湯パターンについてさらに具体的に説明する。
図3等において、横軸は経過時間を示し、縦軸は、注湯流量を示す。注湯開始を示す第1点P1から第2点P2までの注湯量をS1とする。第2点P2のときの注湯流量をQ1とする。注湯流量が同一である第3点P3から第4点P4までの注湯流量をQ2とする。第2点P2から第4点P4までの時間T3の間、注湯流量がQ2であったと仮定した場合の注湯量をS2とする。すなわち、S2は、時間T3と、注湯流量Q2との積算で得られる注湯量である。また、第2点P2から第3点P3までに注湯流量がQ1からQ2まで変化している。この間の注湯流量がQ2であったと仮定した場合に対する流量差(ここでは増分の流量差)をS3とする。第4点P4から注湯終了を示す第5点P5までの注湯量をS4とする。すなわち注湯量S1〜S4は、
図3中に示す面積で表される量でもある。第3点P3から第4点P4までの時間T5は、湯切後の慣性の湯の飛び出し量を抑制するための時間である。時間T5は、2秒程度である。注湯開始を示す第1点P1から第2点P2までの注湯量S1と、第4点P4から注湯終了を示す第5点P5までの注湯量S4との合計注湯量は、経験的に平均流量の2秒分程度である。
【0017】
注湯パターンを決定するためのパラメータであるFB比は、次式(1)である。式中FB比はXと示す。この式(1)は式(2)のように変形することができる。
X=(S3+S2)/S2 ・・・(1)
S3=S2×(X−1) ・・・(2)
【0018】
また、鋳物1個あたりの注湯重量をS0とすると、式(3)の関係が成立する。(S1+S4)は、平均流量の2秒分が一般的であるので、式(4)の関係が成立する。式(3)及び式(4)を整理すると式(5)が得られる。
S0=S1+S2+S3+S4 ・・・(3)
(S1+S4)=2×S0/T3 ・・・(4)
(S2+S3)=S0−2×S0/T3 ・・・(5)
【0019】
式(5)と上述の式(1)とから次式(6)が得られる。また、式(1)と式(6)より次式(7)が得られる。
S2=(S0/X)×(1−2/T3) ・・・(6)
S3=S0×(1−2/T3)×(X−1)/X ・・・(7)
【0020】
第2点P2から第3点P3までの流量関数Q(t)は、式(8)のように表される。ここで、a,bは定数であり、tは注湯開始からの経過時間を示す。この式(8)に第2点P2の条件により得られる式(9)と、第3点P3の条件により得られる式(10)とを得る。この式(9)及び式(10)から式(11)が得られる。
Q(t)=a×t+b ・・・(8)
Q1=a×T2+b ・・・(9)
Q2=a×(T2+T3−T5)+b ・・・(10)
Q1−Q2=−a×(T3−T5) ・・・(11)
【0021】
式(11)を変形すると、式(12)が得られる。式(12)と式(9)より、式(13)が得られる。
a=−(Q1−Q2)/(T3−T5) ・・・(12)
b=Q1+T2×(Q1−Q2)/(T3−T5) ・・・(13)
【0022】
上述のようにS2とQ2とT3の関係は式(14)のとおりである。また、S3は、式(15)のように表すことができる。式(15)を変形して、式(16)を得る。式(16)を、式(14)を用いてさらに変形して、式(17)を得る。
Q2=S2/T3 ・・・(14)
S3=(Q1−Q2)×(T3−T5)/2 ・・・(15)
Q1−Q2=2×S3/(T3−T5) ・・・(16)
Q1=2×S3/(T3−T5)+S2/T3 ・・・(17)
【0023】
時間T5は、2秒程度であるから、製品の注湯重量、注湯時間が決まれば、上述の関係式よりFB比のみで注湯パターンが決められることが示された。すなわち、FB比を設定するのみで、所望の注湯パターンが得られるとともに、直感的にその注湯パターンの姿(形状)をイメージさせることが可能であることも示された。
【0024】
次に、
図4を用いて、FB比の機能を説明する。
図4(a)はFB比が1より大きい場合の模式図であり、注湯の前半の溶湯流量が後半に比べて大きい場合である。
図4(b)はFB比が1の時の模式図であり、注湯の全般に亘って溶湯流量が等しい場合である。
図4の(c)はFB比が1より小さい場合の模式図であり、溶湯の後半の溶湯流量が前半に比べて大きい場合である。
図4に示すようにFB比の可変によって、注湯パターンの姿(形状)を変更することができる。すなわち、製品の形状や方案に応じた注湯パターン(前半の流量が大きい場合、平均的な場合、後半の流量が大きい場合)が変更できることが示されている。また、時間T5の値を変更して、注湯パターンを変更することができる。例えば時間T5の値を大きくすることによって、すなわち、第3点P3から第4点P4までを大きくすることによって、注湯時間が比較的長いものにも対応することが可能である。すなわち、時間T5は、標準値として2秒に設定されているとともに第3点P3から第4点P4を調整するように変更することが可能なように構成することで、注湯時間が短いものから比較的長いものにも対応することが可能となる。
【0025】
以上のように、一実施形態に係る自動注湯方法によれば、製品毎に決まる注湯量及び注湯時間に加えて設定したパラメータに基づいて注湯パターンを決定するので、注湯パターンの姿(形)を直感で把握させることができる。また、注湯パターンを数値化することができるので、容易に管理することができるとともに、各種造型ラインの鋳型に対して過不足なく高速注湯することが可能となる。さらに、ティーチングが困難であった注湯時間の短い製品に対しても容易に注湯パターンを決定して適切に注湯を行うことを実現することができる。
【0026】
すなわち、該方法において、注湯パターンを変更するパラメータとして、感覚的な設定でなく、数値で決定することができ、管理がしやすい。また、ティーチングが困難な注湯時間の短い製品などに対しても容易に注湯パターンが決められる手法として、製品で決定される注湯重量及び注湯時間の他に、前後の注湯流量の比率を示すFB比なるパラメータを設ける点にも特徴を有する。このFB比は、注湯流量を前半と後半のいずれに比重をおくかの比率ともいえる。
【0027】
よって、該自動注湯方法は、自動注湯装置において、製品毎に決まる注湯重量および注湯時間に加えて、FB比を設け、経過時間毎の注湯流量を決定する注湯パターンを算出(決定)することができるので、注湯姿が把握しやすい。さらに、数値で決定することができるので管理がしやすい。また、ティーチングが困難な注湯時間の短い製品などに容易に注湯パターンが決められる等種々の効果がある。換言すると、該方法は、ゲート、中子など各方案に相当する湯の飲み込みに合致した平易で数値化することができる注湯パターンを作成することができる。このため該方法は、溶湯の過不足のない、各種造型ラインの造型に対応して高速注湯をすることを可能とする。
【0028】
次に、該自動注湯方法を行う自動注湯装置20について説明する。自動注湯装置20は、鋳型に溶湯を注湯する際の注湯流量を制御する注湯流量制御手段21と、注湯量、注湯時間、及び上述のFB比により注湯パターンを決定する注湯パターン決定手段22とを備える。注湯流量制御手段21は、注湯パターン決定手段22で決定された注湯パターンに基づいて、注湯流量を制御する。
【0029】
具体的に自動注湯装置20は、
図5及び
図6に示すように、走行台車30の上面に、取鍋31を傾動させる傾動駆動装置32と、傾動駆動装置32を上下させる昇降駆動装置33と、傾動駆動装置32及び昇降駆動装置33を図示されない造型機で造型された鋳型34に対して前後させる前後駆動装置35と、これらの装置全体の重量を計測するロードセル36と、走行台車30を駆動する走行駆動装置37と、これらを制御する制御装置38と、自動注湯装置を操作する操作盤39とを備える。
【0030】
そして、
図7に示すように、システム構成は、大きく分けて、駆動計測系25と、制御装置38と、制御装置38内の処理装置27と、操作盤39に分けられる。駆動計測系25は、昇降駆動装置33の昇降軸サーボモータ40と、前後駆動装置35の前後軸サーボモータ41と、傾動駆動装置32の傾動軸サーボモータ42と、走行駆動装置37の走行軸サーボモータ43と、ロードセル36とを有する。
【0031】
制御装置38は、昇降軸サーボモータ40を駆動処理する昇降軸サーボアンプ50と、前後軸サーボモータ41を前後処理する前後軸サーボアンプ51と、傾動軸サーボモータ42を駆動処理する傾動軸サーボアンプ52と、走行軸サーボモータ43を駆動処理する走行軸サーボアンプ53と、処理装置27とを有する。昇降軸サーボアンプ50と、前後軸サーボアンプ51と、傾動軸サーボアンプ52と、走行軸サーボアンプ53とには、電源26が接続されている。
【0032】
処理装置27は、高速カウンタユニット60と、A/D変換ユニット61と、D/A変換ユニット62と、中央演算処理装置63とを有する。中央演算処理装置63は、操作盤39に接続されている。操作盤39は、
図1と同様に、表示器や各種操作釦等が設けられる。中央演算処理装置63は、上述した注湯流量制御手段21及び注湯パターン決定手段22として機能する。
【0033】
中央演算処理装置63は、速度指令を、D/A変換ユニット62を介し、各軸のサーボアンプへ出力する。これにより、各軸サーボモータが駆動し、昇降軸、前後軸および傾動軸の各軸が動作する。各軸のサーボモータの位置検出器から出力された信号は、サーボアンプを介して、高速カウンタユニット60に入力される。このため、中央演算処理装置63は、位置データを把握することができる。よって、速度・位置決め装置が構成することができる。また、ロードセル36の信号はロードセル変換器54を介して入力される。これにより、溶湯重量を計測することができ、さらに、溶湯流量を算出することができる。FB比による注湯パターンから、注湯開始からの時間と注湯流量曲線が決定することができる。このため、溶湯流量を各軸の速度・位置決め制御にフィードバックして、所定の注湯パターンを再現する(特許文献1,2参照)。
図8は、
図4の注湯パターンで注湯した時の実際の注湯流量データを示す。
図8の(a)〜(c)は、それぞれ
図4(a)〜(c)と対応している。
【0034】
また、操作盤39の表示器のタッチパネル上で、
図9に示すような手書曲線C12の入力あるいは修正も可能である。例えば、キャビティ、ゲートの大きさ、中子のガス発生程度などの要因から入力し又は修正することができる。また、製品の注湯重量及び注湯時間による注湯パターンの自動修正も可能なように構成しても良い。例えば、処理装置27が、調整手段として機能する。処理装置27は、製品の注湯時間が長いほど時間T5の値を大きくする。すなわち、処理装置27は、製品の注湯時間が長いほど第3点P3から第4点P4までの時間T5を大きくする。このように構成することで注湯時間が比較的長い製品にも対応することが可能である。すなわち、時間T5は、処理装置27によって、標準値として2秒に設定されているとともに第3点P3から第4点P4を調整するように変更することが可能である。このため、注湯時間が短いものから比較的長いものにも対応することが可能となる。
図9中、手書曲線で修正後の曲線が、修正手書曲線C11を示し、P11は、注湯開始を示し、P12は、湯切を示す。
【0035】
一実施形態に係る自動注湯装置20は、上述のような注湯流量制御手段21及び注湯パターン決定手段22を備え、製品毎に決まる注湯量及び注湯時間に加えて設定したパラメータに基づいて注湯パターンを決定する。このため、注湯パターンの姿(形)を直感で把握させることができる。また、注湯パターンを数値化できるので、管理を容易にできるとともに、各種造型ラインの鋳型に対して過不足なく高速注湯することが可能となる。さらに、ティーチングが困難であった注湯時間の短い製品に対しても容易に注湯パターンを決定して適切に注湯を行うことを実現することができる。
【符号の説明】
【0036】
20…自動注湯装置、21…注湯流量制御手段、22…注湯パターン決定手段、31…取鍋、32…傾動駆動部、33…昇降駆動部、34…鋳型、38…制御装置、39…操作盤、63…中央演算処理装置。