(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】5675029
(24)【登録日】2015年1月9日
(45)【発行日】2015年2月25日
(54)【発明の名称】ペット用ボックスドライヤーの電気制御装置
(51)【国際特許分類】
A01K 13/00 20060101AFI20150205BHJP
H05K 7/20 20060101ALI20150205BHJP
【FI】
A01K13/00 F
H05K7/20 H
【請求項の数】4
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2014-103818(P2014-103818)
(22)【出願日】2014年5月19日
【審査請求日】2014年6月27日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】599160664
【氏名又は名称】株式会社ドリーム産業
(74)【代理人】
【識別番号】100115370
【弁理士】
【氏名又は名称】足立 彰
(72)【発明者】
【氏名】金田 崇司
(72)【発明者】
【氏名】金田 光博
(72)【発明者】
【氏名】佐伯 徳夫
【審査官】
竹中 靖典
(56)【参考文献】
【文献】
特開平09−243176(JP,A)
【文献】
特開2013−081644(JP,A)
【文献】
特開2007−404634(JP,A)
【文献】
特許第5478763(JP,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01K 13/00
H05K 7/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気制御装置の側面開放部にペットを収容して乾燥する筐体の側面開放部を連結させて一体化するペット用ボックスドライヤーの電気制御装置において、
前記電気制御装置の本体ケース内の配置室に電子回路及びフアン駆動用モータ、送風用フアン、ヒータがそれぞれ配置され、
前記電子回路及びフアン駆動用モータの配置室に外気を取り込む吸入通風孔(A)が設けられ、前記フアン駆動用モータを固定するモータ取付け板に吸入通風孔(B)が設けられ、
前記送風用フアンの吸引力を利用して外気を自動的に取り込んで前記電子回路及びフアン駆動用モータを冷却することを特徴とするペット用ボックスドライヤーの電気制御装置。
【請求項2】
請求項1に記載のペット用ボックスドライヤーの電気制御装置において、
前記電気制御装置と前記筐体の各側面開放部の間を仕切る仕切板が設けられ、前記仕切板の略中心部にフィルター付き窓が取り付けられ、前記仕切板の下方に温風吐き出し口が設けられ、前記筐体内の空気をフィルター付き窓を介して前記送風用フアンで取り込んで前記ヒータで加熱した後に前記温風吐き出し口から前記筐体内に放出して温度を上げるようにした構造を採用し、
前記ヒータの配置室に排気通風孔が設けられたことを特徴とするペット用ボックスドライヤーの電気制御装置。
【請求項3】
前記排気通風孔に排出量調整弁を備えたことを特徴とする請求項2に記載のペット用ボックスドライヤーの電気制御装置。
【請求項4】
前記ヒータの配置室の通風路側に黒色の温風ガイド板を設け、その反対側に熱線反射板を設けたことを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載のペット用ボックスドライヤーの電気制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ペットを収容して乾燥する筐体(乾燥室)と電気制御装置を連結させて一体化するペット用ボックスドライヤーにおいて、特に電子回路及びモータの冷却、換気及び熱交換の効率を高めるようにしたペット用ボックスドライヤーの電気制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のペット用ボックスドライヤーの電気制御装置部に組込まれている送風用モータは、モータの温度上昇を低減するために冷却用フアンを取り付けたり、送風用モータ軸にプロペラフアンを取り付けたり、あるいは電気制御装置部ケースの背面に換気孔を設けたりして、モータを冷却しているがコストアップになり、また冷却効果が低い(自然対流のため)などの欠点があった。
【0003】
また、乾燥室内送り込まれた温風により、乾燥体(濡れた状態のペット)の水分が蒸発して湿度が上昇し、乾燥速度が低下するので、乾燥室扉の周辺に大きな開口部を設け乾燥室内に外気を取り込み高温高湿の空気を排出している。そのため寒冷地等の野外で使用するとき所定の温度まで上昇しなく実用に耐えなかった。また、乾燥体の離毛が作業室内に飛散する等の欠点があった。
【0004】
また、温風送風用モータ及び制御回路からの発熱が作業室内に放出され、その室内の冷却に多くの電気量を必要とするなどの欠点があった。
【0005】
また、ヒータからの放出される熱線処理も満足できるものではなかった。
【0006】
一方、乾燥室に乾燥モジュールが設置されたペット用乾燥装置については、以下に示すような発明が提案されている。
【0007】
実用新案登録第3166426号公報(特許文献1)には、シャワーを終えて収容空間に入れられたペットに対し、ペットの全身の乾燥作業が行なえ、便利で、スピーディーにペットを乾燥することを目的とし、箱体と乾燥モジュール包含し、該箱体の内部にドアを供えた収容空間があり、並びに収容空間の一側に空気を外に排出、送出する出気ダクトが設けられ、該乾燥モジュールは該箱体に取り付けられ、乾燥器具を収容する収容室を具え、該収容室の側辺に、外部空気を進入させる入気ダクトが設けられ、該乾燥器具の一側に熱エネルギーを送出する出口があり、該出口に送出方向の変換操作のためのコントロールバルブが接続され、該コントロールバルブの一側に、該箱対の外部で乾燥作業を行なうための延伸管が接続され、別側に該箱体の収容空間内に連通する導入管が設けられたこと特徴とする「ペット用乾燥装置」が提案されている。
【0008】
しかしながら、上記のペット乾燥装置には、外気空気により送風用モータや制御回路を冷却することが開示されていない。またフィルターで離毛を取り除いた温風を排出することも開示されていない。
【0009】
なお、本願出願人は、電気制御装置と筐体(乾燥室)をユニット化すると共に筐体をモジュール化することにより、低廉化を図り且つ簡便に組立可能なペット用ボックスドライヤーを開発し、既に特許権を取得している(特許第5478763号公報、特許文献2)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】実用新案登録第3166426号公報
【特許文献2】特許第5478763号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は、本願出願人が鋭意検討した結果、ペット用ボックスドライヤーの電気制御装置に更なる改良を施したものであり、電気制御装置に組込まれている電子回路及びモータの冷却、換気及び熱交換の効率を高めることを目的とし、具体的には効率よいモータの冷却、モータの発熱エネルギーの再利用、作業室内への離毛飛散防止、ヒータの発熱を効率よく温風に変換、および温風排気制御などが図られ、更に製造原価の低減が図れるペット用ボックスドライヤーの電気制御装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記の課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、電気制御装置の側面開放部にペットを収容して乾燥する筐体の側面開放部を連結させて一体化するペット用ボックスドライヤーの電気制御装置において、前記電気制御装置の本体ケース内の配置室に電子回路及びフアン駆動用モータ、送風用フアン、ヒータがそれぞれ配置され、前記電子回路及びフアン駆動用モータの配置室に外気を取り込む吸入通風孔(A)が設けられ、前記フアン駆動用モータを固定するモータ取付け板に吸入通風孔(B)が設けられ、前記送風フアンの吸引力を利用して外気を自動的に取り込んで前記電子回路及びフアン駆動用モータを冷却することを特徴とする。
【0013】
また、請求項2に記載の発明は、
請求項1に記載のペット用ボックスドライヤーの電気制御装置において、前記電気制御装置と前記筐体の各側面開放部の間を仕切る仕切板が設けられ、前記仕切板の略中心部にフィルター付き窓が取り付けられ、前記仕切板の下方に温風吐き出し口が設けられ、前記筐体内の空気をフィルター付き窓を介して前記送風用フアンで取り込んで前記ヒータで加熱した後に前記温風吐き出し口から前記筐体内に放出して温度を上げるようにした構造を採用し、前記ヒータの配置室に排気通風孔が設けられたことを特徴とする。
【0014】
また、請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の前記排気通風孔に排出量調整弁を備えたことを特徴とする。
【0015】
また、請求項4に記載の発明は、請求項1乃至請求項3に記載の前記ヒータの配置室の通風路側に黒色の温風ガイド板を設け、その反対側に熱線反射板を設けたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
以上のように、本発明によれば、電子回路及びモータの配置室に外気を取り込む吸入通風孔(A)とモータを固定するモータ取付け板に吸入通風孔(B)が設けられているので、送風用フアンの吸引力を利用して外気より強制的に低温の空気を取り込み、電気制御装置内のモータや電子回路などを冷却するので効率よい冷却が可能となる。また、モータや電子回路からの発熱を乾燥室内の加熱に再利用することにより、省エネ対策が施されたペット用ボックスドライヤーの電気制御装置を提供できる。
【0017】
また、筐体(乾燥室)内の空気をフィルター付き窓を介して送風用フアンで取り込んでヒータで加熱した後に温風吐き出し口から筐体内(乾燥室)に放出して温度を上げるようにした構造を備え、ヒータの配置室に排気通風孔が設けられているので、筐体(乾燥室)内を介せず電気制御装置よりヒータで過熱する前の温風の一部を排出することで、室内に離毛を飛散させないし、無駄なエネルギーも放出されない。また、電気制御装置の温風の一部を排出する排気通風孔の排出量を調整可能にしているので、筐体(乾燥室)内の温度を速く上昇させることもでき、また寒冷地等の野外使用にも耐え、またヒータの熱交換を良くする事で同様に筐体(乾燥室)内の温度を速く上昇させることも可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本発明の電気制御装置の一例を示す斜視図である。
【
図2】本発明の筐体(乾燥室)の一例を示す分解斜視図である。
【
図3】
図1のフアン駆動用モータと送風用フアンを示す斜視図である。
【
図5】
図1に示す電気制御装置の構造断面図である。
【
図6】ペット用ボックスドライヤーの一例を示す完成斜視図である。
【
図7】本発明の電気制御装置の内部の空気の流れを示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施の一形態について図を参酌しながら説明する。
図1は電気制御装置の一例を示す斜視図、
図2は筐体(乾燥室)の一例示す分解斜視図、
図3はフアン駆動用モータと送風用フアンを示す斜視図、
図4は排気通風孔を示す斜視図、
図5は電気制御装置の構造断面図である。なお、本発明のペット用ボックスドライヤーの電気制御装置の各構成については、以下の実施例に限定されるものではなく、使用状況によって適宜変更することができる。
【0020】
図1に示すように、電気制御装置1には、後述する筐体(乾燥室)12内に温風を送風するための送風用フアン2、フアン駆動用モータ3、ヒータ5が組み込まれている。また、フアン駆動用モータ3の回転数や温度調整等は電子回路6で制御されている。さらに、ヒータ5の配置室には、後述するようにヒータ5が効率よく熱変換を行なうため、温黒色の風ガイド板4aと熱線反射板4bを組込むことができる。
【0021】
図1に示すように、電気制御装置1の本体ケース1aは4個の室(配置室)に区切られていて、第1の室にはフアン駆動用モータ3と電子回路6が配置され、第2の室は送風用フアン2が配置され、第3の室には温風ガイド板4aと反射板4bとヒータ5が配置され、第4の室は空気流量を調節するダンパー部7cが配置されている。また、第1の室には外気を取り込む吸入通風孔(A)8aが設けられており、更にフアン駆動用モータ3を固定するモータ取付け板7aに吸入通風孔(B)8bが設けられている。さらに、第3の室は隔壁板7bで囲われていて上方部に排気通風孔(A)9aが設けられ、第4の室には外気に排出する排気通風孔(B)9b設けられている。なお、本実施例では、本体ケース1aが4個の室(配置室)に区切られている例を説明したが、室の数はこれに限定されるものではなく、少なくとも第1〜第3の各室が配置されていればよい。即ち、第4の室(ダンパー部の配置室)については省略することが可能であり、この場合は第3の室(ヒータの配置室)に設けられた排気通風孔より外気に排気する。
【0022】
電気制御装置1の側面開放部1bには、仕切り板10がビス等で固定されている。この仕切り板10の略中心部には、離毛を取り除くためのむフィルター付き窓11が取り付けられている。このフィルター付き窓11と対向した位置に送風用フアン2が配置されていることにより、排出空気が犬毛を含まず作業場の環境が改善される。また、仕切板10の下方には、温風吐き出し口10aが設けられている。
【0023】
図2に示すように、電気制御装置1の側面開放部1aに仕切り板10を介して連結する筐体(乾燥室)12には、その前面にペットを出し入れするための扉15が蝶番13により回転自在に取り付けられている。また、電気制御装置1に連結される側面開放部12bとは反対側の側面に側板16がネジ等で取り付けられている。また、筐体(乾燥室)12内の下面にはスノコ14が置かれている。
【0024】
図3に示すように、取り込んだ外気を万遍にフアン駆動用モータ3の外ケースを通るようにするために、モータ取付け板7aにフアン駆動用モータ3の外形に沿うように吸入通風孔B(8b)が設けられていている。
【0025】
図4に示すように、排気通風孔(B)9bは排出量調整弁17を備えている。排出量調整弁17を適宜回転させることにより排気通風孔(B)9bの開放面積を変えることで、外気温度に関係なく筐体(乾燥室)12内の温度を制御できる。
【0026】
図5に示すように、ヒータ5の配置室の通風路側に黒色の温風ガイド板4aを設け、その反対側に熱線反射板5を設けることにより、熱交換の効率を上げ、短時間で所定の温度に上昇させることができる。
【0027】
図6はペット用ボックスドライヤーの一例を示す完成斜視図である。本発明のペット用ボックスドライヤーの電気制御装置1は、筐体(乾燥室)12と側板16をユニット化してそれぞれネジ等の固定具により連結することにより、簡単に組立及び分解することができる。
【0028】
図7は電気制御装置の内部の空気の流れを示す説明図である。外気空気を吸入通風孔(A)8aから取り込み、その吸入空気100によって電子回路6を冷却し、更にフアン駆動用モータ3の外周を冷却して吸入通風孔(B)8bから送風用フアン2に吸い込まれる。これにより、送風用フアン2の吸引力を利用して外気より強制的に低温の空気を取り込み、電気制御装置1内のフアン駆動用モータ3や電子回路6などを冷却するので効率よい冷却が可能となる。また、フアン駆動用モータ3や電子回路6からの発熱を筐体(乾燥室)12内の加熱に再利用することにより、省エネ対策を施すことが可能となる。
一方、フィルター付き窓11(
図1参照)から吸い込まれた空気と吸入空気100とが混ざり、その一部が排出空気110となり排気通風孔(A)9a及び排気通風孔(B)9bを介して本体ケース1aの外に放出されるが、大部分は再度ヒータ5で加熱されて温風空気120が筐体(乾燥室)12内に放出される。これにより、筐体(乾燥室)12内を介せず電気制御装置1よりヒータ5で過熱する前の温風の一部を排出することで、室内に離毛を飛散させないし、無駄なエネルギーも放出されない。また、電気制御装置1の温風の一部を排出する排気通風孔(B)9bの排出量を調整可能にしているので、筐体(乾燥室)12内の温度を速く上昇させることもでき、また寒冷地等の野外使用にも耐え、またヒータ5の熱交換を良くする事で同様に筐体(乾燥室)12内の温度を速く上昇させることも可能になる。
【符号の説明】
【0029】
1 電気制御装置
1a 本体ケース
1b 側面開放部
2 送風用フアン
3 フアン駆動用モータ
4a 温風ガイド板
4b 反射板
5 ヒータ
6 電子回路
7a モータ取付け板
7b 隔壁板
7c ダンパー部
8a 吸入通風孔(A)
8b 吸入通風孔(B)
9a 排気通風孔(A)
9b 排気通風孔(B)
10 仕切り板
10a 温風吐き出し口
11 フィルター付き窓
12 筐体(乾燥室)
12b 側面開放部
13 蝶番
14 スノコ
15 扉
16 側板
17 排出量調整弁
100 吸入空気
110 排出空気
120 温風空気
【要約】
【課題】電気制御装置に組込まれている電子回路及びモータの冷却、換気及び熱交換の効率を高めることを目的としたペット用ボックスドライヤーの電気制御装置を提供する。
【解決手段】電気制御装置1の本体ケース1a内の配置室に電子回路6及びフアン駆動用モータ3、送風用フアン2、ヒータ5がそれぞれ配置され、電子回路及6及びフアン駆動用モータ3の配置室に外気を取り込む吸入通風孔(A)8aが設けられ、フアン駆動用モータ3を固定するモータ取付け板7aに吸入通風孔(B)8bが設けられ、送風用フアン2の吸引力を利用して外気を自動的に取り込んで電子回路6及びフアン駆動用モータ3を冷却する。
【選択図】
図1