【文献】
SAMUEL J.WANG, et al.,“Fast Angiography Using Selective Inversion Recovery”,Magnetic Resonance in Medicine,1992年,Vol.23, Issue.1,P109-P121
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
被検体の撮像領域内に少なくともその一部が設定された複数の標識化領域について、スピンを反転させる標識化パルスを印加した後に、前記撮像領域のイメージングを行うイメージングユニットと、
前記標識化領域の位置、形状、大きさの少なくともいずれかと、前記標識化パルスの印加からイメージング開始までの時間を、前記複数の標識化領域のそれぞれについて個別に指定するための指定ユニットと、
前記イメージングによって得られるエコー信号に基づいて、前記撮像領域に関する画像を再構成する再構成ユニットと、
を具備する磁気共鳴イメージング装置。
被検体の撮像領域内に少なくともその一部が設定された複数の標識化領域について、スピンを反転させる標識化パルスを印加した後に、前記撮像領域のイメージングを行うイメージングユニットと、
前記標識化領域の位置、形状、大きさの少なくともいずれかを、前記複数の標識化領域のそれぞれについて個別に指定すると共に、前記複数の標識化領域の一部がオーバーラップするように指定可能である指定ユニットと、
前記イメージングによって得られるエコー信号に基づいて、前記撮像領域に関する画像を再構成する再構成ユニットと、
を具備する磁気共鳴イメージング装置。
前記標識化パルスの印加からイメージング開始までの時間又は前記標識化パルスのフリップアングルを、前記複数の標識化領域のそれぞれについて個別に指定するための指定ユニットをさらに具備する請求項1乃至5のうちいずれか一項記載の磁気共鳴イメージング装置。
前記イメージングユニットは、前記複数の標識化領域のうちの第1の標識化領域について前記標識化パルスを印加し、前記複数の標識化領域のうちの第2の標識化領域について前記標識化パルスを印加した後に、共通のイメージングシーケンスにより前記撮像領域に関するイメージングを実行する請求項1乃至6のうちいずれか一項記載の磁気共鳴イメージング装置。
被検体の撮像領域内に少なくともその一部が設定された複数の標識化領域について、スピンを反転させる標識化パルスを印加した後に、前記撮像領域のイメージングを行うイメージングユニットと、
前記イメージングによって得られるエコー信号に基づいて、前記撮像領域に関する画像を再構成する再構成ユニットと、
位置決め画像を用いて、前記複数の標識化領域及び前記標識化領域毎の前記標識化パルスの印加からイメージング開始までの時間を設定する設定ユニットと、
前記位置決め画像に対する前記各標識化領域の位置と、前記標識化領域毎の前記標識化パルスの印加からイメージング開始までの時間とを含む支援情報を表示する表示ユニットと、
を具備する磁気共鳴イメージング装置。
前記イメージングにおいて用いられた前記各標識化領域の位置決め画像上の位置を記憶する記憶ユニットをさらに具備することを特徴とする請求項1乃至9のうちいずれか一項記載の磁気共鳴イメージング装置。
被検体の撮像領域外に設定された複数の標識化領域について、スピンを反転させる標識化パルスを印加した後に、前記撮像領域のイメージングを行うイメージングユニットと、
前記標識化領域の位置、形状、大きさの少なくともいずれかと、前記標識化パルスの印加からイメージング開始までの時間を、前記複数の標識化領域のそれぞれについて個別に指定するための指定ユニットと、
前記イメージングによって得られるエコー信号に基づいて、前記撮像領域に関する画像を再構成する再構成ユニットと、
を具備する磁気共鳴イメージング装置。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態を図面に従って説明する。なお、以下の説明において、略同一の機能及び構成を有する構成要素については、同一符号を付し、重複説明は必要な場合にのみ行う。
【0014】
(第1の実施形態)
図1は、第1実施形態に係る磁気共鳴イメージング装置のブロック構成図を示している。同図に示すように、本磁気共鳴イメージング装置は、被検体としての患者Pを載せる寝台部と、静磁場を発生させる静磁場発生部と、静磁場に位置情報を付加するための傾斜磁場発生部と、高周波信号を送受信する送受信部と、システム全体のコントロール及び画像再構成を担う制御・演算部と、被検体Pの呼吸周期の波形を表す信号としての呼吸波形信号を計測する呼吸波形取得部と、患者Pに息止めを指令するための息止め指令部とを備えている。
【0015】
静磁場発生部は、例えば超電導方式の磁石1と、この磁石1に電流を供給する静磁場電源2とを含み、被検体Pが遊挿される円筒状の開口部(診断用空間)の軸方向(Z軸方向)に静磁場H
0を発生させる。なお、この磁石部にはシムコイル14が設けられている。このシムコイル14には、後述するホスト計算機の制御下で、シムコイル電源15から静磁場均一化のための電流が供給される。寝台部は、被検体Pを載せた天板を磁石1の開口部に退避可能に挿入できる。
【0016】
傾斜磁場発生部は、傾斜磁場コイルユニット3を含む。この傾斜磁場コイルユニット3は、互いに直交するX、Y及びZ軸方向の傾斜磁場を発生させるための3組のコイル3x、コイル3y,コイル3zを備える。傾斜磁場発生部はまた、コイル3x〜3zに電流を供給する傾斜磁場電源4を含む。傾斜磁場電源4は、後述するシーケンサ5の制御のもと、傾斜磁場を発生させるためのパルス電流をコイル3x〜3zに供給する。
【0017】
傾斜磁場電源4からコイル3x〜3zに供給されるパルス電流を調整することにより、物理軸であるX,Y,Z方向の各軸の傾斜磁場を合成して、互いに直交するスライス方向傾斜磁場Gs、位相エンコード方向傾斜磁場Ge、及び読出し方向(周波数エンコード方向)傾斜磁場Grの各論理軸方向を任意に設定することができる。スライス方向、位相エンコード方向及び読出し方向の各傾斜磁場は、静磁場H
0に重畳される。
【0018】
送受信部は、磁石1内の撮影空間にて被検体Pの近傍に配設されるRFコイル7と、このコイル7に接続された送信器8T及び受信器8Rとを含む。送信器8T及び受信器8Rは、後述するシーケンサ5の制御の下で動作する。送信器8Tは、核磁気共鳴(NMR)を起こさせるためのラーモア周波数のRFパルスをRFコイル7に供給する。受信器8Rは、RFコイル7が受信したエコー信号(高周波信号)を取り込み、これに前置増幅、中間周波変換、位相検波、低周波増幅、フィルタリングなどの各種の信号処理を施した後、A/D変換してエコー信号に応じたデジタル量のエコーデータ(原データ)を生成する。
【0019】
制御・演算部は、シーケンサ(シーケンスコントローラとも呼ばれる)5、ホスト計算機6、演算ユニット10、記憶ユニット11、表示器12、入力器13及び音声発生器16を含む。このうち、ホスト計算機6は、記憶したソフトウエア手順により、シーケンサ5にパルスシーケンス情報を指令すると共に、装置全体の動作を統括する機能を有する。
【0020】
ホスト計算機6は、位置決め用スキャンなどの準備作業に引き続いて、イメージングスキャンを実施する。イメージングスキャンは、画像再構成に必要なエコーデータの組を収集するスキャンである。また、ホスト計算機6は、後述するように、設定されるTag領域等に基づいて非造影MRAに関するスキャンシーケンスを決定する。
【0021】
パルスシーケンスとしては、3次元(3D)スキャンまたは2次元(2D)スキャンである。そのパルス列の形態としては、例えばSE(スピンエコー)法、FSE(高速スピンエコー)法、FASE(高速Asymmetricスピンエコー)法、EPI(エコープラナーイメージング)法、コヒーレント型のグラディエントエコー(True SSFP, True FISP, balanced FFE)法等を用いることができる。
【0022】
シーケンサ5は、CPU及びメモリを備えており、例えばホスト計算機6から送られてくる非造影MRAに関するパルスシーケンス情報を記憶し、この情報に従って傾斜磁場電源4、送信器8T及び受信器8Rのそれぞれの動作を制御すると共に、受信器8Rが出力したエコーデータを一旦入力し、これを演算ユニット10に転送する。パルスシーケンス情報は、一連のパルスシーケンスに従って傾斜磁場電源4、送信器8T及び受信器8Rを動作させるために必要な全ての情報であり、例えばコイル3x〜3zに印加するパルス電流の強度、印加時間、印加タイミングなどに関する情報を含む。
【0023】
演算ユニット10は、受信器8Rが出力したエコーデータをシーケンサ5を介して入力する。演算ユニット10は、その内部メモリ上のフーリエ空間(k空間または周波数空間とも呼ばれる)にエコーデータを配置し、このエコーデータを各組毎に2次元または3次元のフーリエ変換に付して実空間の画像データに再構成する。また演算ユニットは、必要に応じて、画像に関するデータの合成処理や差分演算処理などを行うことができる。
【0024】
合成処理には、2次元の複数フレームの画像データを対応する画素毎に加算する加算処理、3次元データに対して視線方向の最大値または最小値を選択する最大値投影(MIP)処理または最小値投影処理などが含まれる。また、合成処理の別の例として、フーリエ空間上で複数フレームの軸の整合をとってエコーデータのまま1フレームのエコーデータに合成するようにしてもよい。なお、加算処理には、単純加算処理、加算平均処理、重み付け加算処理などが含まれる。
【0025】
記憶ユニット11は、再構成された画像データのみならず、上述の合成処理や差分処理が施された画像データを保管することができる。表示器12は、ホスト計算機6の制御の下に画像を表示する。入力器13は、術者が希望する撮影条件、パルスシーケンス、画像合成や差分演算に関する情報をホスト計算機6に入力するためのI/Fである。さらに、入力器13は、後述する単数又は複数のTag領域の位置、大きさ等を設定・変更するためのI/Fを有する。
【0026】
息止め指令部の一要素として音声発生器16を備える。この音声発生器16は、ホスト計算機6から指令の下に、息止め開始及び息止め終了のメッセージを音声として発することができる。
【0027】
呼吸波形取得部は、被検体の体動等を計測して患者の呼吸波形を取得し、これをホスト計算機6及びシーケンサ5に出力する呼吸波形収集ユニット18を含む。呼吸波形収集ユニット18による呼吸波形は、イメージングスキャンを実行するときにシーケンサ5により用いられる。これにより、呼吸同期法による呼気同期タイミングを適切に設定でき、この同期タイミングに基づくイメージングスキャンを行ってデータ収集できるようになっている。
【0028】
(非造影MRA機能)
次に、本磁気共鳴イメージング装置が有する非造影MRA機能について説明する。この機能は、IRパルスを印加することにより被検体のある領域を時間的及び空間的にラベリング(或いはTag付け)し、血液等からのMR信号をそれ以外の領域からの信号に比して高強度又は低強度で描出するものである。このとき、Tag付けの為のIRパルス印加時刻からイメージングのための最初のRFパルス印加時刻までの期間(以下、「TI」と呼ぶ。)を調整することで、所定部位への血液の流入状態、組織の描出のさせ方(例えば、コントラスト等)を制御することができる。
【0029】
なお、この機能に従う映像化方法は、IRパルスを印加することにより被検体のある領域を時間的及び空間的にラベリングするという側面から、Time−SLIP(Time-Spatial Labeling Inversion pulse)法と呼ばれることがある。また、IRパルスが印加されTag付けの対象とされる被検体のある領域(或いは、これに対応する画像上の領域)は、Tag領域と呼ばれる。
【0030】
[Tag領域を単数とする非造影MRA]
図2は、Tag領域を単数とする非造影MRAにおけるスキャンシーケンスの一例を示した図である。この
図2に示したシーケンスを用いて腎動脈の血流を非造影的に高信号で描出する場合を例として説明する。
【0031】
なお、
図2では、三次元SSFP(Steady-State Free Precession)法を用いたイメージングを行うシーケンスを例示した。しかしながら、当該例に拘泥されず、例えば三次元FSE(Fast Spin-Echo)法、三次元FASE(Fast Advanced Spin-Echo)法等の他のスキャンシーケンスを用いてイメージングを行うようにしてもよい。また、画像収集形態は、シングルショット又はマルチショットのいずれであってもよい。例えば
図2の例がシングルショット三次元SSFP法に従うシーケンスであれば、イメージングIにおいて1枚目のスライスエンコードを実行し、続くイメージングIIにおいて2枚目のスライスエンコードを実行することになる。一方、例えば
図2の例がマルチショット(2ショット)三次元SSFP法に従うシーケンスであれば、イメージングIにおいて1枚目のスライスエンコードの1ショット目を実行し、続くイメージングIIにおいて1枚目のスライスエンコードの2ショット目を実行することになる。
【0032】
まず、シーケンサ5は、例えば肝臓から脚部にかけて予め設定されたTag領域(
図3参照)に対して、呼気開始時刻から所定期間だけ遅延させたタイミングでIRパルスが印加されTag付けを実行する。このTag付けにより、Tag領域内の肝臓、腎臓、その他の実質部及び門脈、静脈系からのMR信号が抑制される。
【0033】
次に、シーケンサ5は、Tag付け(すなわち、IRパルス印加)時刻から予め設定されたTI経過後、イメージングのためのスキャン(一画像の再構成に必要なデータを収集するためのスキャン)を実行する。また、必要に応じてこれらを繰り返し実行する。演算ユニット10は、イメージングスキャンによって取得されたMR信号を用いて画像再構成を行い、時系列なMR画像を生成する。
【0034】
以上述べたスキャンシーケンスによれば、期間TIにおいて、IRパルスによる信号抑制を受けていない血液が、Tag領域の外側にある上流側の腎動脈からIRパルスによる信号抑制を受けたTag領域内へと流入する。この期間TI経過後に撮像領域に関するイメージングを実行するため、例えば
図3に示すように、期間TIにTag領域内に流入した腎動脈の血液が周囲よりも高強度(高輝度)で描出されたMR画像を取得することができる。
【0035】
なお、
図2には、FatSatパルス(Fat Saturationパルス)を用いるスキャンシーケンス例を示した。このFatSatパルスは、空間非選択的に印加されているものとする。しかしながら、FatSatパルスによる脂肪抑制は、本発明の技術的思想に従う非造影MRAにおいては必須ではなく、必要に応じて省略するようにしてもよい。
【0036】
図4は、
図2に示したパルスシーケンスに従って取得されたMR画像の他の例を示した図である。この例によれば、Tag領域を肝臓及び心臓側に設定し当該Tag領域内からのMR信号を抑制すると共に、期間TIにTag領域外からTag領域内の肝臓に流入した血液を高強度(高輝度)で描出することができる。
【0037】
図5は、
図2に示したパルスシーケンスに従って取得されたMR画像の他の例を示した図である。この例によれば、Tag領域を大脳皮質を含む頭部全体に設定し当該Tag領域内からのMR信号を抑制すると共に、期間TIにTag領域外からTag領域内の動脈に流入した血液を高強度(高輝度)で描出することができる。
【0038】
以上述べた各例においては、一回のIRパルスをTag領域内に印加することで、当該Tag領域内の組織等のMR信号を抑制させると共に、期間TIにTag領域外からTag領域内の動脈に流入する血液を高強度(高輝度)で描出するものである。しかしながら、これらに拘泥されず、本非造影MRA機能には種々のバリエーションが存在する。
【0039】
例えば、同一撮像領域につき、IRパルスでTag付けを行わないMR画像、IRパルスでTag付けされるTag領域の位置や大きさをそれぞれにおいて変更した複数のMR画像等を収集し、これらを用いた差分演算を行う手法がある。これにより、造影剤を用いることなく、Tag付けされた血流のみを抽出した画像や血管以外の部分のMR信号が抑制された画像を生成することができる。
【0040】
また、撮像領域全体にスピン励起のための第1のIRパルス(スピンを180°反転させるパルス)を印加し、この直後(例えば2〜10ms後)に当該撮像領域内のTag領域にTag付けのための第2のIRパルス(同じく、スピンを180°反転させるパルス)を印加する手法もある。第1のIRパルスの印加時刻及び第2のIRパルスの印加時刻は、血流に比して極めて短い。このため、Tag領域内の血液は、実質的に同時に第1及び第2のIRパルス(共にスピンを180°反転させるパルス)を受けることになり、その縦磁化はほぼ初期状態に戻されることとなり、所定期間の後(例えば、TIの後)、第1IRパルスのみを受けた下流側の領域に流入する。その結果、第1のIRパルス及び第2のIRパルスを受けた血液は、第1のIRパルスのみを受けた組織領域よりもそのMR信号が高強度な領域として描出されることになる。
【0041】
なお、以上述べた非造影MRA機能のバリエーションは、いずれも本発明の技術的思想に適用可能である。また、上記第2のIRパルスは、撮像領域内のTag領域を選択しこれにTag付けをするための用途であることから、「領域選択IRパルス」と呼ばれ、上記第1のIRパルスは、この様な用途ではないことから、「領域非選択IRパルス」と呼ばれることがある。後者は、選択する非造影MRAの種別により自動的に、或いは入力器13からの所定の操作により、自由にON/OFFすることができる。
【0042】
[Tag領域を複数とする非造影MRA]
例えば、
図3に示したTag領域を単数とする非造影MRAにおいては、診断対象とする肝臓脈の血流の他に、上行大動脈も高強度に描出されている。これは、被検体の部位によっては、複数の血管により多方向から血液が流れ込むものがあり、係る部位が撮像領域に含まれる場合、Tag領域が一つでは、診断対象とする血管のみをラベリングすることは困難であることに起因する。
【0043】
本Tag領域を複数とする非造影MRA機能では、同一のイメージングシーケンスにおいて複数のTag領域を利用して、関心のない血管を描出せずに診断対象とする血管(血流)のみを高信号で選択的に描出することができる。その結果、画像観察の利便性の向上、関心のない血管の背後に隠れていた部位の視認等を可能とする。
【0044】
図6は、Tag領域を複数とする非造影MRAにおけるスキャンシーケンスの一例を示した図である。この
図6に示したシーケンスを用いて腎動脈の血流のみを非造影的に高信号で描出する場合を例として説明する。なお、
図6においては、
図2と同様、イメージングのためのシーケンス(SSFP)は一例であり、三次元FSE法、三次元FASE法等を用いるようにしてもよい。また、設定されるTag領域は、例えば
図7に示すTag領域A、Tag領域Aに対して上行大静脈の上流側に位置するTag領域Bの二つであるとする。しかし、当然ながら、Tag領域の数は二つに拘泥されず、3つ以上設定することができる。
【0045】
まず、シーケンサ5は、肝臓から脚部にかけて予め設定されたTag領域Aに対して、呼気開始時刻から第1の所定期間TD1だけ遅延させたタイミングでIRパルスが印加されTag付けを実行する。このTag付けにより、Tag領域A内の肝臓、腎臓、その他の実質部及び門脈、静脈系からのMR信号が抑制される。
【0046】
次に、シーケンサ5は、Tag領域Aに対して上行大静脈の上流側に位置するTag領域Bに対して、Tag領域Aに対するIRパルスの印加時刻から第2の所定期間TD2(例えば、600ms)だけ遅延させたタイミングでIRパルスが印加されTag付けを実行する。このTag付けにより、Tag領域B内の実質部及び血液のMR信号が抑制される。
【0047】
次に、シーケンサ5は、Tag領域Aに対するIRパルスの印加時刻から予め設定されたTIA(例えば、1200ms)経過後、或いは、Tag領域Bに対するIRパルスの印加時刻から予め設定されたTIB(例えば、600ms)経過後、イメージングのためのスキャンを実行する。また、必要に応じてこれらを繰り返し実行する。演算ユニット10は、イメージングスキャンによって取得されたMR信号を用いて画像再構成を行い、時系列なMR画像を生成する。
【0048】
以上述べたスキャンシーケンスによれば、期間TIAにおいて、Tag領域Aに対するIRパルスによる信号抑制を受けていない血液が、Tag領域Aの外側にある上流側の腎動脈からIRパルスによる信号抑制を受けたTag領域A内へと流入する。また、期間TIBにおいて、Tag領域Bに対するIRパルスにより信号抑制を受けた上行大静脈の血液が、同じく信号抑制を受けた下流側のTag領域A内へと流入する。診断画像収集のためのイメージングは、この期間TIA(及び期間TIB)経過後に実行される。このため、例えば
図7に示すように、上行大静脈からのMR信号が抑制され、期間TIにTag領域A内に流入した腎動脈の血液のみが周囲よりも高強度(高輝度)で描出され、上行大静脈の背後に隠れていた下流の大動脈をも観察することができるMR画像を取得することができる。
【0049】
図8は、
図6に示したパルスシーケンスに従ってTag領域を二つ(肝臓及び心臓側に設定されたTag領域C、上行大動脈の上流側に位置するTag領域D)とする非造影MRAにおけるスキャンシーケンスの他の例を示した図である。この例によれば、期間TIC(例えば、1200ms)において、Tag領域Cに対するIRパルスによる信号抑制を受けていない血液が、Tag領域Cの外側にある上流側の門脈からIRパルスによる信号抑制を受けたTag領域C内へと流入する。また、期間TID(例えば、1100ms)において、Tag領域Dに対するIRパルスにより信号抑制を受けた上行大静脈の血液が、同じく信号抑制を受けた下流側のTag領域C内へと流入する。従って、期間TIC(及び期間TID)経過後に診断画像収集のためのイメージングを実行することで、上行大静脈からのMR信号が抑制され、期間TIにTagC領域内の門脈及び肝臓内への流入した血液のみが周囲よりも高強度(高輝度)で描出されたMR画像を取得することができる。
【0050】
図9は、
図6に示したパルスシーケンスに従ってTag領域を二つ(動脈の上流側に位置するTag領域E、大脳領域に設定されたTag領域F)とする非造影MRAにおけるスキャンシーケンスの他の例を示した図である。この例によれば、期間TI1(例えば、8000ms)において、Tag領域Eに対するIRパルスによる信号抑制を受けていない血液が、Tag領域Eの外側にある上流側の動脈からIRパルスによる信号抑制を受けたTag領域E及びTag領域F内へと流入する。また、期間TI2(例えば、350ms)において、Tag領域Fに対するIRパルスにより、大脳組織は信号抑制を受ける。従って、期間TI1(及び期間TI2)経過後に診断画像収集のためのイメージングを実行することで、脳内動脈(
図9中の楕円形枠内参照)が大脳組織に埋もれることなく高強度(高輝度)で描出されたMR画像を取得することができる。
【0051】
(動作)
次に、非造影MRA機能を用いた処理(非造影MRA処理)における本磁気共鳴イメージング装置の動作について説明する。
【0052】
図10は、非造影MRA処理の流れを示したフローチャートである。以下、同図のフローチャートに従って、
図6に示したシーケンスを用いて腎動脈の血流のみを非造影的に高信号で描出する場合を例として説明する。
【0053】
図10に示すように、まず、入力器13から患者情報、診断部位、イメージングに用いるスキャンシーケンス等の入力、選択がなされると(ステップS1)、ホスト計算機6は、撮像範囲及びTag領域の設定に用いる位置決め画像を取得するための位置決めスキャンを実行する(ステップS2)。
【0054】
次に、取得された位置決め画像を用いて、入力器13からの入力に従って、
図7に示すような撮像範囲及び複数のTag領域A、Tag領域B、Tag領域毎のTI(TIA=1200ms、TIB=600ms)が設定される(ステップS3)。
【0055】
次に、シーケンサ5は、設定された撮像範囲及び複数のTag領域、Tag領域毎のTIによって決定されるスキャンシーケンス(
図6参照)に従って、非造影MRAを実行する。すなわち、呼気のトリガから所定期間だけ遅延させたタイミングでTag領域Aに第1のIRパルスが印加され、さらに第1のIRパルス印加から所定期間経過後にTag領域Bに第2のIRパルスが印加される(ステップS4)。第1のIRパルスの印加時刻から期間TIAの経過後(又は、第2のIRパルスの印加時刻から期間TIBの経過後)、所定のシーケンスに従ってイメージングスキャンが実行される(ステップS5)。
【0056】
次に、演算ユニット10は、イメージングによって得られたMR信号を用いて画像再構成を行い、MR画像を生成する(ステップS6)。表示器12は、生成されたMR画像を動画的に、或いは静止画として表示する(ステップS7)。
【0057】
(応用例1:Tag領域の数、位置、サイズ)
本非造影MRA機能では、設定するTag領域の数、位置、形状、サイズを任意に制御することができる。従って、一枚のMR画像収集において3つ以上のTag領域、向きやサイズの異なる複数のTag領域等を設定することができる。また、Tag領域同士を重複するように設定することも可能である。
【0058】
図11は、Tag領域G(TIG=1000ms)、Tag領域H(TIH=990ms)をクロスさせて設定した場合の一例を示している。本例の様に二つのTag領域がクロスして設定され、且つ双方のTIが近いか同じである場合には、二つのTag領域が重複する領域(クロス部分)は180°反転パルス(スピン励起パルス)を実質的に同時に2回印加されることとなるため、当該重複領域ではスピンは初期状態に戻る。従って、二つのTag領域が重複する領域から外側に流出する血液のみが高信号で描出され、且つ重複しないTag領域内に存在する実質部の信号が抑制されたMR画像を取得することができる。
【0059】
図12は、Tag領域I(TII=1000ms)内にTag領域J(TIJ=990ms)を重畳させて設定した場合の一例を示している。重畳領域であるTag領域Jでは180°反転パルス(スピン励起パルス)を実質的に同時に2回印加されることとなるため、当該重複領域ではスピンは初期状態に戻る。従って、Tag領域Jから外側に流出する血液のみが高信号で描出され、且つ重複しないTag領域内に存在する実質部の信号が抑制されたMR画像を取得することができる。
【0060】
[応用例2:フリップ角によるTIの制御]
図13は、IRパルスによるフリップ角=180°とした場合の縦磁化Mzの経時的変化を示した図である。同図に示すように、フリップ角=180°とした場合には、Mz=0となるまでにt1までの時間が必要となる。
【0061】
しかしながら、例えば呼吸同期を伴う撮像の場合、呼吸同期トリガ時刻から期間TIだけ待ってイメージングシーケンスを実行する。このため、期間TIが長いと呼吸同期トリガからの時間差が増えるため、呼吸同期の精度が低下する可能性が増える。
【0062】
そこで、本非造影MRA機能では、Tag付けのためのIRパルスによるフリップ角θを例えば90°≦θ≦180°の範囲で制御することで、縦磁化かゼロになるTIを任意に調整する。
【0063】
図14は、IRパルスによるフリップ角を例えば120°とした場合の縦磁化Mzの経時的変化を示した図である。同図に示すように、フリップ角=120°とした場合には、Mz=0となるまでの時間をt2(<t1)に短縮することができる。これにより、TIを短縮することができ、例えば患者が短時間しか呼吸を止めることができない場合等であっても、同期に連動した信頼性の高いMR画像を取得することができる。
【0064】
なお、Mz=0となる時刻は、Tag付けの対象とされる組織のTIとIRパルスによるフリップ角θとから、Bloch方程式を用いて解析的に求めることも可能である。
【0065】
[応用例3:TI設定支援機能]
TIの長さは、描出しようとする血流の速度及びIRパルスにより信号抑制しようとする実質の縦磁化の回復時間に基づいて決定するのが一般的である。しかしながら、例えば個体差等のため、上記基準に従って決定されたTIでは、診断対象とする血流を適切に描出することができない場合がある。
【0066】
この様な場合等であっても診断対象とする血流を適切に描出可能とするため、本磁気共鳴イメージング装置は、TI設定支援機能を有する。この機能は、各Tag領域につき、複数のTI設定値によって非造影MRAを実行し、TI設定値毎のMR画像をTI設定支援情報として提供するものである。
【0067】
図15は、TI設定支援機能に従う処理(TI設定支援処理)の流れを示したフローチャートである。同図に示すように、まず、入力器13を介して複数のTag領域が設定される(ステップS11)。なお、ここでは説明を具体的にするためTag領域を複数とするが、単数であってもよい。
【0068】
次に、入力器13を介してTag領域毎にTI範囲(例えば、TIの上限値と下限値)、TI幅が設定されると、ホスト計算機6は、これらに基づいて各Tag領域につき、複数のTI設定値を設定する(ステップS12)。すなわち、例えばあるTag領域についてTIの上限値=1200ms、TIの下限値600ms、TI幅=10msと設定された場合には、ホスト計算機6は、入力された値に基づいて、当該Tag領域にき600ms≦TI≦1200msの範囲で10ms刻みのTI(すなわち、600ms、610ms、620ms、・・・、1190ms、1200ms)を設定する。
【0069】
次に、シーケンサ5は、各TIを用いて既述のシーケンスに従い非造影MRAを実行する(ステップS13、S14)。このとき、処理の効率化の観点から、各TIの適否を判断するのに必要最小限な画像(例えば、位置決め画像に代表される二次元画像)を取得するように、イメージングスキャンを実行することが好ましい。
【0070】
次に、演算ユニット10は、各TI設定値に対応するイメージングによって得られた各MR信号を用いて画像再構成を行い、TI設定値毎のMR画像を生成する(ステップS15)。表示器12は、生成されたTI設定値毎のMR画像を所定の形態で表示する(ステップS16)。ユーザは、表示されたTI設定値毎の各MR画像を観察し、例えば診断対象とする血流が好適に描出されているMR画像を選択することで、好適なTIを自動的に設定することができる。
【0071】
[応用例4:差分処理のバリエーション]
本磁気共鳴イメージング装置では、Tag領域を複数とする非造影MRAを実行する場合、領域選択パルスのON/OFFの組み合わせに基づく差分演算により、種々の差分画像を生成することができる。
【0072】
例えば、Tag領域A及びTag領域Bが設定された
図4を例とすると、次のような差分画像を生成することが可能である。すなわち、Tag領域A及びTag領域BにつきTag付けが実行され取得されたMR画像と、同一の撮像領域につきIRパルスでTag付けを行わないMR画像とを用いた差分画像を生成することができる。また、Tag領域A及びTag領域BにつきTag付けが実行され取得されたMR画像と、同一の撮像領域につきTag領域AのみのTag付けが実行され取得されたMR画像とを用いた差分画像を生成することができる。さらに、Tag領域A及びTag領域BにつきTag付けが実行され取得されたMR画像と、同一の撮像領域につきTag領域BのみのTag付けが実行され取得されたMR画像とを用いた差分画像を生成することができる。
【0073】
(効果)
以上述べた構成によれば、以下の効果を得ることができる。
【0074】
本磁気共鳴イメージング装置によれば、Tag領域の数、位置、サイズを任意に設定することができる。このため、非造影MRAにおいて、Tag領域の数、位置、サイズ、形状等を好適に設定することで、診断対象とする血管等に関するMR信号の時間的及び空間的標識化を好適に行うことができる。その結果、診断対象とする血管等を、造影剤を用いずとも選択的且つ好適に描出することができる。
【0075】
また、本磁気共鳴イメージング装置によれは、同一のイメージングシーケンスにおいて設定された複数のTag領域のそれぞれについてTIを設定・変更することができる。従って、描出しようとする血流の速度及びIRパルスにより信号抑制しようとする実質の縦磁化の回復時間に応じて適切なTIを設定することで、より好適な非造影MRAを実現することができる。
【0076】
また、本磁気共鳴イメージング装置によれは、TI設定支援情報を用いて、TIの異なる種々のMR画像を実際に観察し、これに基づいて適切なTIを迅速に決定することができる。従って、常に好適な血管描出を行うことができ、TIの不適切な設定による撮像のやり直しを防止することができる。
【0077】
さらに、本磁気共鳴イメージング装置によれは、Tag領域を複数とする非造影MRAを実行する場合、領域選択パルスのON/OFFの組み合わせに基づく差分演算により、種々の差分画像を生成することができる。従って、差分演算に用いるMR画像のTag領域に関する領域選択パルスのON/OFFを好適に組み合わせることで、診断対象とする血管及びその周辺をより好適に描出することができる。
【0078】
(第2の実施形態)
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。本実施形態に係る磁気共鳴イメージング装置1は、Tag領域設定を支援するための機能(Tag領域設定支援機能)を有するものである。なお、当該機能を用いた複数のTag領域の設定は、例えば
図10のステップS3、
図15のステップS1において実行される。
【0079】
本Tag領域設定支援機能に従う複数のTag領域の設定は、例えば次の様である。すなわち、まず、入力器13やGUI等のユーザインタフェースを用いて、位置決め画像上に、撮像範囲、複数のTag領域が、所望の位置、大きさ、形状で設定される。また、同じく入力器13やGUI等のユーザインタフェースを用いて、各Tag領域毎のフリップアングル(FA)、TIが設定される。なお、複数のTag領域の設定順序、各Tag領域のフリップアングル、TIの設定順序は、操作者の自由である。
【0080】
この様な各Tag領域の位置やTI等の設定時において、例えば
図16に示すようなTag領域設定支援画面が表示器12に表示される。このTag領域設定支援画面においては、撮像範囲及び各Tag領域に関する位置決め画像上の位置、サイズ、形状が示されると共に、各Tag領域のフリップアングル、TIの値が示される。また、TIの長さによって各Tag領域(の輪郭)を色分け表示すると共に、TIの長さを示すカラーバーCBが表示される。なお、同図では、各Tag領域はTIの短い順番に1、2、3と番号付けしてある。しかしながら、この番号付けは、あくまでも一例であり、本Tag領域設定支援機能は、各Tag領域の番号付けの手法に拘泥されない。
【0081】
また、脂肪抑制パルスを空間選択的に印加する場合、本Tag領域設定支援機能を用いてその印加対象となる領域(SatBand)を設定することも可能である。
図17は、脂肪抑制パルスを空間選択的に印加する場合のTag領域設定支援画面の一例を示した図である。同図に示すように、入力器13やGUI等のユーザインタフェースを用いて、Tag領域設定支援画面に表示された位置決め画像上の所望の位置(
図17の例では、撮影領域及び各Tag領域に対して血管の上流側)にSatBandが設定される。
【0082】
以上述べたTag領域設定支援機能によれば、位置決め画像の所望の位置に複数のTag領域やSatBandを容易且つ迅速に設定することができる。また、操作者は、位置決め画像に撮影領域、複数のTag領域、SatBandの位置等が設定されたTag領域設定支援画面を観察することで、各Tag領域の位置、サイズ、形状、撮影領域やSatBandとの相対的な位置関係を迅速且つ容易に視認することができる。さらに、各Tag領域毎にフリップアングル、TIが表示されると共に、TIの長さに応じてTag領域が色別表示されるため、各Tag領域のTIの長さ、Tag領域間のTIの長さの違い等を容易且つ迅速に視認することができる。
【0083】
なお、本発明は上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。具体的な変形例としては、例えば次のようなものがある。
【0084】
(1)各実施形態に係る各機能は、当該処理を実行するプログラムをワークステーション等のコンピュータにインストールし、これらをメモリ上で展開することによっても実現することができる。このとき、コンピュータに当該手法を実行させることのできるプログラムは、磁気ディスク(フロッピー(登録商標)ディスク、ハードディスクなど)、光ディスク(CD−ROM、DVDなど)、半導体メモリなどの記録媒体に格納して頒布することも可能である。
【0085】
(2)上記各実施形態においては、呼吸同期の場合を例に説明を行った。しかしながら、本非造影MRA機能の適用は、呼吸同期を伴う場合に拘泥されない。例えば、心臓を撮像対象とする場合には呼吸同期の代わりに心電同期を用いることができる。また、頭部、四肢等を撮像する場合には、呼吸同期及び心電同期を利用することなく、本非造影MRA機能を用いた撮像を行うことができる。さらに、励起対象となる領域の縦、横磁化を回復するまでの時間を所定の手法で計算し、当該計算された時間を基準として装置自身が擬似的なトリガ信号を発生するようにしてもよい。
【0086】
(3)上記各実施形態において設定されたTag領域の位置決め画像上の位置を記憶し、診断支援情報として事後的に活用するようにしてもよい。例えば、ある患者の術後経過の画像診断において、前回と同じTag領域の位置に関する情報は、例えば術後の経過を観察するために、前回と同じ位置にTag領域を設定し画像撮影を行いたい場合がある。係る場合には、今回の位置決め画像と、Tag領域の位置が記録された前回の位置決め画像とを対応づけることで、自動的に前回撮影に対応した位置にTag領域を設定することができる。
【0087】
(4)上記各実施形態から明らかなように、少なくとも一つのTag領域を設定する場合、必要に応じて、領域選択IRパルスと非領域選択IRパルスとを併用することも可能である。また、少なくとも一つのTag領域は、必ずしもその一部が撮像領域(FOV)と重複する必要はなく、例えば撮像領域の外側に設定するようにしてもよい。係る場合においても、例えば撮像領域、少なくとも一つのTag領域を含む全領域に非領域選択IRパルスを印加し、その後少なくとも一つのTag領域に領域選択IRパルスを印加する等、領域選択IRパルスと非領域選択IRパルスとを併用することで、良好な非造影MRAを実現することができる。
【0088】
また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。