(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5675083
(24)【登録日】2015年1月9日
(45)【発行日】2015年2月25日
(54)【発明の名称】内燃機関用の燃料噴射装置
(51)【国際特許分類】
F02M 55/02 20060101AFI20150205BHJP
F02M 63/00 20060101ALI20150205BHJP
【FI】
F02M55/02 350A
F02M55/02 310C
F02M55/02 310B
F02M55/02 350C
F02M55/02 350D
F02M63/00 L
【請求項の数】1
【全頁数】5
(21)【出願番号】特願2009-275403(P2009-275403)
(22)【出願日】2009年12月3日
(65)【公開番号】特開2010-144716(P2010-144716A)
(43)【公開日】2010年7月1日
【審査請求日】2012年12月3日
(31)【優先権主張番号】10 2008 054 805.7
(32)【優先日】2008年12月17日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】390023711
【氏名又は名称】ローベルト ボツシユ ゲゼルシヤフト ミツト ベシユレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】ROBERT BOSCH GMBH
(74)【代理人】
【識別番号】100061815
【弁理士】
【氏名又は名称】矢野 敏雄
(74)【代理人】
【識別番号】100112793
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 佳大
(74)【代理人】
【識別番号】100135633
【弁理士】
【氏名又は名称】二宮 浩康
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(72)【発明者】
【氏名】ダーヴィット スティンゲレ
【審査官】
安井 寿儀
(56)【参考文献】
【文献】
独国特許出願公開第102006003639(DE,A1)
【文献】
国際公開第2008/126842(WO,A1)
【文献】
特開2000−192872(JP,A)
【文献】
特開2002−089401(JP,A)
【文献】
特開2005−163556(JP,A)
【文献】
特開2007−270682(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F02M 55/02
F02M 63/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
コモンレール構造の内燃機関用の燃料噴射装置であって、第1のレール(17)と、接続管路(19)を介して第1のレール(17)に接続された第2のレール(21)と、分配ブロック(16)に燃料を供給する高圧ポンプ(12)とが設けられており、分配ブロック(16)がダイバータレール(18)の形成下で第1のレール(17)に組み込まれており、第1及び第2のレール(17,21)が、内燃機関のシリンダの数に対応する数のインジェクタ供給管路(23,26)の接続部を有している形式のものにおいて、ダイバータレール(18)の容積が、分配ブロック(16)の容積と第1のレール(17)の容積とから成っていて、分配ブロック(16)の容積が、接続管路(19)及び第2のレール(21)の容積の和と第1のレール(17)の容積との間の容積差の0.5〜1倍の範囲の値であることを特徴とする、内燃機関用の燃料噴射装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コモンレール構造の内燃機関用の燃料噴射装置であって、第1のレールと、接続管路を介して第1のレールに接続された第2のレールと、分配ブロックに燃料を供給する高圧ポンプとが設けられており、分配ブロックがダイバータレールの形成下で第1のレールに組み込まれており、第1及び第2のレールが、内燃機関のシリンダの数に対応する数のインジェクタ供給管路の接続部を有している形式のものに関する。
【背景技術】
【0002】
DE102006003639A1に基づいて、多シリンダ内燃機関用の燃料噴射装置が公知である。この燃料噴射装置は第1のレールと第2のレールとを有しており、第1のレールには第1のインジェクタが配置され、第2のレールには第2のインジェクタが配置されており、これらのインジェクタは、各1つのシリンダ列の対応するシリンダに燃料を供給する。高圧ポンプによって制御される分配ブロックはこの場合両レールのうちの一方に組み込まれている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】DE102006003639A1
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の課題は、インジェクタから噴射される燃料の噴射量を、シリンダ間における噴射量の差異が可能な限り小さくなるように、調整することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この課題を解決する本発明による燃料噴射装置は、第1のレールと、接続管路を介して第1のレールに接続された第2のレールと、分配ブロックに燃料を供給する高圧ポンプとを有しており、分配ブロックがダイバータレールの形成下で第1のレールに組み込まれており、第1及び第2のレールが、内燃機関のシリンダの数に対応する数のインジェクタ供給管路の接続部を有している形式において、ダイバータレールの容積が、分配ブロックの容積と第1のレールの容積とから成っており、分配ブロック自体の容積は、接続管路の容積と第2のレールの容積との和から、第1のレールの容積をひいて、0.5〜1の範囲の係数を掛けた値である。
【発明の効果】
【0006】
このように構成されていると、インジェクタ相互の噴射量に関して差異を最小することができ、ひいては内燃機関の運転が最適化される。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】本発明による燃料噴射装置の1実施例を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
次に図面を参照しながら本発明の実施の形態を説明する。
【0009】
図1に示された2つのシリンダ列を備えた内燃機関用の燃料噴射装置11は、高圧ポンプ12を有しており、この高圧ポンプ12は、第1の供給管路13と第2の供給管路14とを介して燃料を分配ブロック16に供給する。ダイバータレール(Diverterrail)18の形成下で第1のレール17に組み込まれている分配ブロック16は、燃料を、接続管路19を介して第2のレール21に供給する。ダイバータレール18の内部において燃料は、分配ブロック16から第1のレール17に、これらの部材を液圧的に接続する絞り22を介して、ひいてはその他の接続管路を省いて、供給される。
【0010】
第1のレール17には第1のインジェクタ供給管路23を介して第1のインジェクタ24が接続されており、第2のレール21には第2のインジェクタ供給管路26を介して第2のインジェクタ27が接続されている。
【0011】
第1のインジェクタ24は、内燃機関の4つのシリンダを備えた第1のシリンダ列に配属されている。第1のインジェクタ24はそれぞれ、第1のレール17内に高圧下で集められた燃料を、第1のシリンダ列の各シリンダ内に噴射する。
【0012】
同様に、第2のインジェクタ27は、4つのシリンダを備えた第2のシリンダ列に配属されている。第2のインジェクタ27はそれぞれ、第2のレール21内に高圧下で集められた燃料を、第2のシリンダ列の各シリンダ内に噴射する。
【0013】
高圧ポンプ12は図示されていないが2つのピストンを有しており、両ピストンは、圧力負荷された燃料を脈動するように吐出する。従ってこれによって生じる圧力変動は、燃料噴射装置11の個々のインジェクタ24,27の間における均一な噴射特性に不都合な影響を及ぼす。
【0014】
さらなる圧力変動も生じる。それというのは、インジェクタ24,27の噴射は、一方のレール17,21のインジェクタ24,27のうちの1つと他方のレール17,21のインジェクタ24,27のうちの1つとから、常に交互に行われるのではないからである。また、他方のレール17,21のインジェクタ24,27のうちの1つが噴射を行う前に、一方のレール17,21の2つのインジェクタ24,27が相前後して噴射を行うような場合もある。レール17,21において噴射によって生じる圧力降下により、上記のような噴射順序では、レール17,21は短時間著しく異なった充填状態になり、このようなレール17,21間における充填状態の差をバランスする際には必然的に圧力変動が生じる。
【0015】
さらに、第1のレール17に分配ブロック16がダイバータレール18の形成下で組み込まれていることによって、それ自体は燃料噴射装置11の製造時におけるコスト節減、部材の節減及び構造空間の節約が達成され、望まれていることであるが、燃料噴射装置11のコンポーネントは非対称的に構成されることになる。このような非対称性によって、燃料噴射装置11の内部における圧力変動、及び圧力変動時間の相違が助長され、ひいてはインジェクタ24,27の噴射量における変動が助長されてしまう。
【0016】
請求項1の特徴部記載のように構成された本発明による燃料噴射装置11によって、上に述べた不都合な影響は回避される。この場合ダイバータレール18の容積は、分配ブロック16の容積と第1のレール17の容積とから成っている。分配ブロック16自体の容積は、接続管路19の容積と第2のレール21の容積との和から、第1のレール17の容積を減じて、0.5〜1の範囲の係数を掛けた値である。ダイバータレール18の構成におけるこの範囲内において、圧力変動の上記影響、燃料噴射装置11のコンポーネント内部における非対称性、及びこれに関連した圧力変動時間の相違を、接続管路19によって最小にすることができ、燃料噴射装置11の噴射特性を著しく対称的にすることができる。このようにして例えば、汎用の燃料噴射装置のコンポーネントの対称的な構成においてさもないと生じる±1.35mm
3の噴射精度とは異なり、±0.5mm
3までの噴射量精度を得ることができる。
【符号の説明】
【0017】
11 燃料噴射装置、 12 高圧ポンプ、 13 第1の供給管路、 14 第2の供給管路、 16 分配ブロック、 17 第1のレール、 18 ダイバータレール、 19 接続管路、 21 第2のレール、 22 絞り、 23 インジェクタ供給管路、 24 第1のインジェクタ、 26 第2のインジェクタ、 27 第2のインジェクタ