特許第5676005号(P5676005)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5676005S−[2−([[1−(2−エチルブチル)シクロヘキシル]カルボニル]アミノ)フェニル]2−メチルプロパンチオアート及びクロスカルメロースナトリウムを含む組成物
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  • 特許5676005-S−[2−([[1−(2−エチルブチル)シクロヘキシル]カルボニル]アミノ)フェニル]2−メチルプロパンチオアート及びクロスカルメロースナトリウムを含む組成物 図000049
  • 特許5676005-S−[2−([[1−(2−エチルブチル)シクロヘキシル]カルボニル]アミノ)フェニル]2−メチルプロパンチオアート及びクロスカルメロースナトリウムを含む組成物 図000050
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5676005
(24)【登録日】2015年1月9日
(45)【発行日】2015年2月25日
(54)【発明の名称】S−[2−([[1−(2−エチルブチル)シクロヘキシル]カルボニル]アミノ)フェニル]2−メチルプロパンチオアート及びクロスカルメロースナトリウムを含む組成物
(51)【国際特許分類】
   A61K 31/167 20060101AFI20150205BHJP
   A61K 47/38 20060101ALI20150205BHJP
   A61K 47/34 20060101ALI20150205BHJP
   A61K 47/32 20060101ALI20150205BHJP
   A61K 47/36 20060101ALI20150205BHJP
   A61K 47/10 20060101ALI20150205BHJP
   A61K 47/12 20060101ALI20150205BHJP
   A61K 47/04 20060101ALI20150205BHJP
   A61K 47/14 20060101ALI20150205BHJP
   A61K 9/20 20060101ALI20150205BHJP
   A61P 9/10 20060101ALI20150205BHJP
   A61P 3/06 20060101ALI20150205BHJP
   A61P 9/12 20060101ALI20150205BHJP
   A61P 3/10 20060101ALI20150205BHJP
   A61P 3/04 20060101ALI20150205BHJP
【FI】
   A61K31/167
   A61K47/38
   A61K47/34
   A61K47/32
   A61K47/36
   A61K47/10
   A61K47/12
   A61K47/04
   A61K47/14
   A61K9/20
   A61P9/10
   A61P3/06
   A61P9/12
   A61P3/10
   A61P3/04
【請求項の数】15
【全頁数】43
(21)【出願番号】特願2013-537093(P2013-537093)
(86)(22)【出願日】2011年10月31日
(65)【公表番号】特表2013-541572(P2013-541572A)
(43)【公表日】2013年11月14日
(86)【国際出願番号】EP2011069087
(87)【国際公開番号】WO2012059447
(87)【国際公開日】20120510
【審査請求日】2013年7月2日
(31)【優先権主張番号】10190045.4
(32)【優先日】2010年11月4日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】591003013
【氏名又は名称】エフ.ホフマン−ラ ロシュ アーゲー
【氏名又は名称原語表記】F. HOFFMANN−LA ROCHE AKTIENGESELLSCHAFT
(74)【代理人】
【識別番号】110001508
【氏名又は名称】特許業務法人 津国
(74)【代理人】
【識別番号】100078662
【弁理士】
【氏名又は名称】津国 肇
(74)【代理人】
【識別番号】100131808
【弁理士】
【氏名又は名称】柳橋 泰雄
(74)【代理人】
【識別番号】100119079
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 佐保子
(74)【代理人】
【識別番号】100135873
【弁理士】
【氏名又は名称】小澤 圭子
(74)【代理人】
【識別番号】100116528
【弁理士】
【氏名又は名称】三宅 俊男
(74)【代理人】
【識別番号】100122736
【弁理士】
【氏名又は名称】小國 泰弘
(74)【代理人】
【識別番号】100122747
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 洋子
(74)【代理人】
【識別番号】100132540
【弁理士】
【氏名又は名称】生川 芳徳
(74)【代理人】
【識別番号】100146031
【弁理士】
【氏名又は名称】柴田 明夫
(72)【発明者】
【氏名】クラビヒラー,ミヒャエラ
(72)【発明者】
【氏名】メイエール,ベルナール
(72)【発明者】
【氏名】ヴィンツェンブルク,カールステン
【審査官】 ▲高▼岡 裕美
(56)【参考文献】
【文献】 特表2006−520808(JP,A)
【文献】 医薬品添加物事典 2007,株式会社薬事日報社,第1版,p.93,1086
【文献】 改訂 医薬品添加物ハンドブック Handbook of PHARMACEUTICAL EXCIPIENTS Fifth Edition,株式会社薬事日報社,2007年 2月28日,p.276-282
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 31/00−31/80
CAplus/REGISTRY(STN)
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
a) 48重量%〜55重量%のS−[2−([[1−(2−エチルブチル)−シクロヘキシル]−カルボニル]アミノ)フェニル]2−メチルプロパンチオアート;
b) 4重量%〜8重量%のクロスカルメロースナトリウム;
c) 32重量%〜41重量%の水不溶性の吸湿性ポリマー;及び
d) 4重量%〜5重量%の水溶性の吸湿性ポリマー、ここで、該吸湿性ポリマーは、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルメチルセルロース、カルボキシポリメチレン、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、セルロースアセタート、ポリビニルピロリドン、架橋性ポリビニルピロリドン、微粉化架橋性ポリビニルピロリドン、カルボキシメチルセルロースカルシウム、架橋性カルボキシメチルセルロース、微結晶セルロース、ケイ化微結晶セルロース、セルロース粉体、カルボキシメチルデンプン、デンプン、アルファ化デンプンから選択される;
を含む、組成物。
【請求項2】
吸湿性ポリマー賦形剤が、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、微結晶セルロース及び微粉化架橋性ポリビニルピロリドンである、請求項記載の組成物。
【請求項3】
a) S−[2−([[1−(2−エチルブチル)−シクロヘキシル]−カルボニル]アミノ)フェニル]2−メチルプロパンチオアート;
b) 微結晶セルロース;
c) 微粉化クロスポビドン;
d) ヒドロキシプロピルメチルセルロース;及び
e) クロスカルメロースナトリウム
を含む、請求項1〜のいずれか一項記載の組成物。
【請求項4】
a) 48重量%〜55重量%のS−[2−([[1−(2−エチルブチル)−シクロヘキシル]−カルボニル]アミノ)フェニル]2−メチルプロパンチオアート;及び
b) 少なくとも30重量%のヒドロキシプロピルメチルセルロース、クロスカルメロースナトリウム、微結晶セルロース及び微粉化架橋性ポリビニルピロリドン
を含む、請求項1〜3のいずれか一項記載の組成物。
【請求項5】
a)−[2−([[1−(2−エチルブチル)−シクロヘキシル]−カルボニル]アミノ)フェニル]2−メチルプロパンチオアート;
b) マンニトール;
c) 微粉化クロスポビドン;
d) ヒドロキシプロピルメチルセルロース;
e) クロスカルメロースナトリウム;
f) 微結晶セルロース
を含む、請求項1〜のいずれか一項記載の組成物。
【請求項6】
a) 48重量%〜55重量%の−[2−([[1−(2−エチルブチル)−シクロヘキシル]−カルボニル]アミノ)フェニル]2−メチルプロパンチオアート;
b) 4重量%〜8重量%のクロスカルメロースナトリウム;及び
c) 35重量%〜44重量%のヒドロキシプロピルメチルセルロース、微結晶セルロース及び微粉化クロスポビドン、
を含む、請求項1〜のいずれか一項記載の組成物。
【請求項7】
a) 48重量%〜55重量%のS−[2−([[1−(2−エチルブチル)−シクロヘキシル]−カルボニル]アミノ)フェニル]2−メチルプロパンチオアート;
b) 24重量%〜26重量%の微結晶セルロース;
c) 11重量%〜12重量%の微粉化クロスポビドン;
d) 4重量%〜5重量%のヒドロキシプロピルメチルセルロース;
e) 4重量%〜6重量%のクロスカルメロースナトリウム
を含む、請求項1〜又はのいずれか一項記載の組成物。
【請求項8】
a) 48重量%〜55重量%のS−[2−([[1−(2−エチルブチル)−シクロヘキシル]−カルボニル]アミノ)フェニル]2−メチルプロパンチオアート;
b) 24重量%〜26重量%の微結晶セルロース;
c) 11重量%〜12重量%の微粉化クロスポビドン;
d) 4重量%〜5重量%のヒドロキシプロピルメチルセルロース;
e) 4重量%〜6重量%のクロスカルメロースナトリウム;
f) 0〜1重量%のステアリン酸マグネシウム;
g) 0〜1重量%のコロイド状二酸化ケイ素;
h) 0〜1重量%のフマル酸ステアリルナトリウム
を含む、請求項1〜又はのいずれか一項記載の組成物。
【請求項9】
組成物が、錠剤の形態である、請求項1〜のいずれか一項記載の組成物。
【請求項10】
S−[2−([[1−(2−エチルブチル)−シクロヘキシル]−カルボニル]アミノ)フェニル]2−メチルプロパンチオアートが、結晶質形態である、請求項1〜のいずれか一項記載の組成物。
【請求項11】
心血管障害を治療又は予防するための、請求項1〜10のいずれか一項記載の組成物。
【請求項12】
請求項1〜10のいずれか一項記載の組成物を含む錠剤。
【請求項13】
心血管障害の治療又は予防のための医薬の製造のための、ここで、心血管障害が、アテローム性動脈硬化症、末梢血管疾患、脂質代謝異常症、脂質異常症、高βリポタンパク血症、低αリポタンパク血症、高コレステロール血症、高トリグリセリド血症、家族性高コレステロール血症、狭心症、虚血、心虚血、脳卒中、心筋梗塞、再灌流傷害、血管形成術後再狭窄、高血圧、循環器疾患、冠動脈性心疾患、冠動脈疾患、高脂タンパク血症、糖尿病の血管合併症、肥満症又は内毒素血症である、請求項1〜10のいずれか一項記載の組成物の使用。
【請求項14】
S−[2−([[1−(2−エチルブチル)−シクロヘキシル]−カルボニル]アミノ)フェニル]2−メチルプロパンチオアートが、1日用量300mg〜900mgで投与される、請求項13記載の使用。
【請求項15】
下記の工程:
a) S−[2−([[1−(2−エチルブチル)−シクロヘキシル]−カルボニル]アミノ)フェニル]2−メチルプロパンチオアート、微粉化クロスポビドン、微結晶セルロース、クロスカルメロースナトリウム及びヒドロキシプロピルメチルセルロースを混合及び造粒する工程;
b) 水中又はエタノール10重量%〜30重量%/水70重量%〜90重量%中の最大0.5重量%のヒドロキシプロピルメチルセルロースを、工程a)に従って得た造粒物上に噴霧する工程;
c) 造粒物を乾燥させる工程;そして
d) 微結晶セルロース、コロイド状二酸化ケイ素及びフマル酸ステアリルナトリウムを、工程c)に従って得た乾燥造粒物と配合する工程
を含む組成物の調製方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、吸湿性のマトリックス型製剤、その製造方法及び疾患の処置におけるその使用に関する。
【0002】
エステル、アミド又はチオエステル官能性を示す活性医薬成分は、多くの場合、水分感受性であり、通常使用されている広範な医薬賦形剤としばしば化学配合禁忌を示すため、脂質ベースの薬物送達システムのような典型的な製剤手法を考慮に入れることができない。吸湿性のポリマーマトリックスに薬剤物質を組み込むことは、化学的には勿論のこと、物理的安定性の点からも危険な場合がある。固体剤形中の賦形剤による水分の収着は、含有されている活性医薬が、加水分解感受性官能基の存在により水中で不安定である場合、重大な安定性の問題を招きうる。理論上、吸湿性のポリマーは、製剤中の水分と結合し、これにより、活性医薬成分を加水分解から保護するが、これを達成するにはかなり大量のポリマーが必要となり、通常、即放性錠剤製剤のキャッピング又はクラッキングを招く。したがって、適切な製剤及び一次包装の両方によって、保存期間中の水分収着を防止することが、通常不可欠である。
【0003】
本発明による組成物の製造は、ロウ状粘稠性を有する疎水性で水に不安定な化合物を含むこれまでの組成物よりも、驚くほど優れた流動性を示す。例えば、本発明による組成物は、極端なファンネルフローを示さない。
【0004】
第1の態様において、本発明は、ロウ状粘稠性を有する疎水性で水に不安定な化合物及び超崩壊剤を含む医薬組成物を提供する。
【0005】
第2の態様において、本発明は、ロウ状粘稠性を有する疎水性で水に不安定な化合物、超崩壊剤及び800g/L未満のかさ密度を有する、少なくとも2種の希釈剤を含む医薬組成物を提供する。
【0006】
本発明は、また、本発明が提供する、治療的有効量の医薬組成物を、そのような処置を必要とする哺乳類に投与することにより、哺乳類における心血管障害を治療又は予防するための方法を提供する。
【0007】
本発明は、さらに心血管障害を治療又は予防するための製剤を提供する。心血管障害の治療又は予防における使用のための本発明による組成物もまた、本発明の一部である。
【0008】
吸湿性のマトリックス型製剤は、ロウ状粘稠性を有する疎水性及び加水分解感受性の化合物(例えば、コレステリルエステル輸送タンパク質阻害剤(CETP阻害剤))を化学的に安定させ、該製剤を含む錠剤の物性値を安定させるのに有用である。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、実施例1に従って製造した錠剤の全X線スライスの3D再構成である。
図2図2は、プラシーボ例Aによる錠剤の全X線スライスの3D再構成である。
図3図3は、S−[2−([[1−(2−エチルブチル)シクロヘキシル]カルボニル]アミノ)フェニル]2−メチルプロパンチオアート結晶質形態(別名形態A)のX線粉末回折図を示す。
【0010】
特段の記載がない限り、本明細書及び請求の範囲で用いる以下の用語は、以下に述べる意味を有する。
【0011】
用語「かさ密度」は、物質の体積が粒子間に捕捉された空気を含む、疎(loose)な、圧縮されていない物質の密度測定値を指す。かさ密度は、European Pharmacopeia(欧州薬局方)に従い、メスシリンダーで測定する。
【0012】
用語「希釈剤」は、製造向きに、また、消費者にとって使用し易くするために、錠剤又はカプセルの大きさを満たす賦形剤を指す。適切な希釈剤は、例えば、微結晶セルロース(例えば、Avicel(登録商標))、微粉化クロスポビドン、セルロース粉体、噴霧乾燥乳糖、無水乳糖、乳糖一水和物、第2リン酸カルシウム、糖、糖アルコール、トウモロコシデンプン、デンプン、アルファ化デンプン、コロイド状二酸化ケイ素、多糖及びそれらの混合物のような、薬学的に許容しうる充てん剤を包含する。
【0013】
用語「疎水性の」は、水に不溶性であり、容易に水分を吸収しないか、又は水により悪影響を受けることがない、すなわち、水に不相溶であるか、又はそれに対しほとんど親和性を有しないことを意味する。換言すると、疎水性の薬剤又は化合物は、自然に水に分散することはない。具体的には、疎水性は、logP>3を意味する。logPは、測定するか、又は実験的データがない場合、Moriguchi (S. Moriguchi, S. Hirono, I. Nakagome, H. Hirano, (1994). "Comparison of reliability of log P values for drugs calculated by several methods" Chem Pharm Bull1994, 42 : 976−978)の開発したモデルに従い、clogPとして算出する。
【0014】
用語「吸湿性ポリマー賦形剤」は、例えば、室温(例えば、約25℃)で、50%という低い相対湿度においても、吸収又は吸着により水分を吸収するポリマー賦形剤を意味する。水分吸収は、例えば、室温での動的蒸気収着により測定する。例として、吸湿性は、the European Pharmacopoeia - 6th Edition (2008), Chapter 5.11に開示されている方法により、測定することができる。動的蒸気収着方法は、生成物を取り囲む蒸気濃度を変化させることにより生じる質量の変化を測定する。適切な「吸湿性ポリマー賦形剤」は、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルメチルセルロース、カルボキシポリメチレン、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、セルロースアセタート、ポリビニルピロリドン、架橋性ポリビニルピロリドン、微粉化架橋性ポリビニルピロリドン、カルボキシメチルセルロースナトリウム、カルボキシメチルセルロースカルシウム、架橋性カルボキシメチルセルロース、微結晶セルロース、ケイ化微結晶セルロース、セルロース粉体、カルボキシメチルデンプン、デンプン、アルファ化デンプン又はそれらの混合物である。特に「吸湿性ポリマー賦形剤」は、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、微結晶セルロース及び微粉化架橋性ポリビニルピロリドンを指す。室温(例えば、約25℃)での「水不溶性吸湿性ポリマー」の例は、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシポリメチレン、エチルセルロース、セルロースアセタート、架橋性ポリビニルピロリドン、微粉化架橋性ポリビニルピロリドン、カルボキシメチルセルロースカルシウム、微結晶セルロース、ケイ化微結晶セルロース、セルロース粉体及びデンプンを包含する。
【0015】
用語「超崩壊剤」は、水に触れると急速に膨張する崩壊剤を指す。一般的に、超崩壊剤は、同じ効果を得るのに、普通の崩壊剤の数分の1の量で使用できる崩壊化剤である。超崩壊剤の例は、架橋性カルボキシメチルセルロースナトリウム(別名クロスカルメロースナトリウム)、デンプングリコール酸ナトリウム及び架橋性ポリビニルピロリドン(別名クロスポビドン)を包含する。クロスカルメロースナトリウムは、FMC Corp.からAc-Di-Sol(登録商標)の商品名で、またAvebe Corp.からPrimellose(登録商標)の商品名で市販されている。デンプングリコール酸ナトリウムは、Penwest Pharmaceuticals Co.からExplotab(登録商標)の商品名で、またAvebe Corp.からPrimojel(登録商標)の商品名で市販されている。クロスポビドンは、BASF Corp.からKollidon(登録商標)CLの商品名で、また、International Specialty Chemicals Corp.からPolyplasdone(登録商標)の商品名で市販されている。クロスカルメロースは、またMingtai Chemical Co. LtdからDISOLCEL(登録商標)の商品名で、またJ. Rettenmaier & Sohne GmbH + Co (JRS)からVivasol(登録商標)の商品名でも市販されている。最も好適な超崩壊剤は、クロスカルメロースナトリウム及びクロスポビドンである。
【0016】
用語「水不安定性」は、エステル、アミド又はチオエステルのような、加水分解感受性の官能基の存在を意味する。
【0017】
用語「ロウ状粘稠性」は、ガラス転移温度(Tg)が、25℃を下回ることを意味する。
【0018】
用語「ハロ」は、クロロ、ブロモ、ヨード又はフルオロを意味する。
【0019】
「アリール」は、一価の単環式又は二環式の芳香族炭化水素部分を意味する。更に具体的には、用語アリールは、フェニル、1−ナフチル、2−ナフチル等を包むがこれらに限定されず、その各々は、置換されているか又は非置換でありうる。
【0020】
「(C−C)アルケニル」は、少なくとも1つの二重結合を有する、直鎖又は分岐鎖の、2〜6個の炭素原子、特に2〜4個の炭素原子を指す。アルケニルの例は、エテニル、プロペニル、プロパ−2−エニル、イソプロペニル、n−ブテニル、i−ブテニル及びt−ブテニルを包含する。
【0021】
「(C−C)アルキル」は、1〜8個の炭素原子の分岐鎖又は直鎖の炭化水素鎖、例えば、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、t−ブチル、ペンチル、ヘキシル及びヘプチルを指す。(C−C)アルキルが、好ましい。
【0022】
「ハロ−(C−C)アルキル」は、1つ以上のハロゲン原子、好ましくは1〜3個のハロゲン原子で置換されている、上に定義したとおりのアルキルを指す。より好適なハロ−(C−C)アルキルは、クロロ−及びフルオロ−(C−C)アルキルである。
【0023】
「アラルキル」は、式−Rbc−Rbd(ここで、Rbdはアリールであり、そしてRbcは、本明細書で定義されたとおりの(C−C)アルキレンである)の部分を指す。
【0024】
「(C−C)アルコキシ」は、式−ORab(Rabは、本明細書で定義されたとおりの(C−C)アルキル部分である)の部分を意味する。アルコキシ部分の例は、メトキシ、エトキシ、イソプロポキシ等を含むがこれらに限定されない。
【0025】
「(C−C)シクロアルキル」は、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル及びシクロオクチルのような、単一飽和炭素環を指す。
【0026】
「C−CシクロアルキルC−Cアルキル」は、上に定義したとおりの(C−C)シクロアルキル1個で置換されている、上に定義したとおりのアルキルを指す。
【0027】
「アシル」は、式−C(O)−Rag、−C(O)−ORag、−C(O)−OC(O)Rag又は−C(O)−NRagah(式中、Ragは、水素、本明細書で定義されたとおりの(C−C)アルキル、ハロ(C−C)アルキル又はアミノであり、そしてRahは、水素であるか又は本明細書で定義されたとおりの(C−C)アルキルである)の基を意味する。
【0028】
特段の記載がない限り、パーセントはすべて、組成物の全重量中の重量パーセントである。
【0029】
特定の実施態様において、ロウ状粘稠性を有する疎水性で水に不安定な化合物は、EP1020439A1に開示されているもののような、CETP阻害剤チオエステル誘導体である。具体的なチオエステル化合物は、例えば、式I:
【化1】

[式中、
Rは、C−Cアルキル、C−Cアルケニル、ハロC−Cアルキル、C−Cシクロアルキル、C−CシクロアルキルC−Cアルキル、アリール、アラルキル又は1〜3個の窒素、酸素又は硫黄原子を有する5員もしくは6員の複素環式基であり、
、X、X及びXは、独立に、水素、ハロゲン、C−Cアルキル、ハロC−Cアルキル、C−Cアルコキシ、シアノ、ニトロ、アシル又はアリールであり、
Yは、−CO−又は−SOであり;そして
Zは、水素、C−Cアルキル、C−Cシクロアルキル又はC−CシクロアルキルC−Cアルキルである]の化合物を有するそれらを包含する。
【0030】
本発明のより好適な実施態様において、CETP阻害剤チオエステル誘導体は、チオイソ酪酸S−(2−{[1−(2−エチル−ブチル)−シクロヘキサンカルボニル]−アミノ}−フェニル)エステル、別名S−[2−([[1−(2−エチルブチル)−シクロヘキシル]−カルボニル]アミノ)フェニル]2−メチルプロパンチオアート、ダルセトラピブ(dalcetrapib)又は式I’:
【化2】

の化合物である。
【0031】
S−[2−([[1−(2−エチルブチル)シクロヘキシル]カルボニル]アミノ)フェニル]2−メチルプロパンチオアートは、ヒト(de Grooth et al., Circulation, 105, 2159-2165 (2002))及びウサギ(Shinkai et al., J. Med. Chem., 43, 3566-3572 (2000); Kobayashi et al., Atherosclerosis, 162, 131-135 (2002); and Okamoto et al., Nature, 406 (13), 203-207 (2000) )において、CETP活性の阻害剤であることが示されている。S−[2−([[1−(2−エチルブチル)シクロヘキシル]カルボニル]アミノ)フェニル]2−メチルプロパンチオアートは、ヒト(de Grooth et al.、上述)及びウサギ(Shinkai et al.、上述;Kobayashi et al.、上述;Okamoto et al.、上述)において、血漿HDLコレステロールを増加させることが示されている。さらに、S−[2−([[1−(2−エチルブチル)シクロヘキシル]カルボニル]アミノ)フェニル]2−メチルプロパンチオアートは、ヒト(de Grooth et al.、上述)及びウサギ(Okamoto et al.、上述)において、LDLコレステロールを減少させることが示されている。さらに、S−[2−([[1−(2−エチルブチル)シクロヘキシル]カルボニル]アミノ)フェニル]2−メチルプロパンチオアートは、ウサギ(Okamoto et al.、上述)において、アテローム性動脈硬化症の進行を阻害することが示されている。S−[2−([[1−(2−エチルブチル)シクロヘキシル]カルボニル]アミノ)フェニル]2−メチルプロパンチオアート並びに本化合物の製造方法及び使用は、欧州特許 EP1020439、Shinkai et al., J. Med. Chem. 43:3566-3572(2000)又はWO2007/051714、WO2008/074677又はWO2011/000793に記載されている。
【0032】
好適な実施態様において、CETP阻害剤チオエステル誘導体(例えば、式I又はI’の化合物)は、結晶質又は無定形の形態の、より好ましくは結晶質形態の固体である。特定の実施態様において、S−[2−([[1−(2−エチルブチル)−シクロヘキシル]−カルボニル]アミノ)フェニル]2−メチルプロパンチオアートは、結晶質形態Aである。
【0033】
形態Aは、約7.9°、8.5°、11.7°、12.7°、17.1°、18.0°、18.5°、20.2°、22.1°、24.7°±0.2°でのピークを有するX線粉末回折図形、特に回折角2qで観察される、XRPDピーク7.9°、11.7°、17.1°、18.5°(±0.2°)により特徴づけられる。
【0034】
本医薬組成物は、哺乳類、とりわけヒト(すなわち、男性又は女性のヒト)における、アテローム性動脈硬化症、末梢血管疾患、脂質代謝異常症(例えば、脂質異常症)、高βリポタンパク血症、低αリポタンパク血症、高コレステロール血症、高トリグリセリド血症、家族性高コレステロール血症、狭心症、虚血、心虚血、脳卒中、心筋梗塞、再灌流傷害、血管形成術後再狭窄、高血圧、循環器疾患、冠動脈性心疾患、冠動脈疾患、高脂タンパク血症、糖尿病の血管合併症、肥満症又は内毒素血症を含むがこれらに限定されない、心血管障害の治療又は予防に使用することができる。
【0035】
したがって、本発明は、治療的有効量の本医薬組成物を哺乳類(好ましくはそれを必要とする哺乳類)に投与することを含む方法であって、哺乳類における心血管障害を治療又は予防する方法を提供する。哺乳類は、好ましくは、ヒト(すなわち、男性又は女性のヒト)である。ヒトは、どの人種(例えば、白人又は東洋人)でもよい。心血管障害は、好ましくは、哺乳類におけるアテローム性動脈硬化症、末梢血管疾患、脂質代謝異常症、高βリポタンパク血症、低αリポタンパク血症、高コレステロール血症、高トリグリセリド血症、家族性高コレステロール血症、狭心症、虚血、心虚血、脳卒中、心筋梗塞、再灌流傷害、血管形成術後再狭窄、高血圧及び糖尿病の血管合併症、肥満症又は内毒素血症からなる群より選択される。より好ましくは、心血管障害は、循環器疾患、冠動脈性心疾患、冠動脈疾患、低αリポタンパク血症、高βリポタンパク血症、高コレステロール血症、脂質異常症、アテローム性動脈硬化症、高血圧、高トリグリセリド血症、高脂タンパク血症、末梢血管疾患、狭心症、虚血及び心筋梗塞からなる群より選択される。
【0036】
本発明の特定の実施態様において、本医薬組成物は、10重量%〜69重量%、好ましくは40重量%〜60重量%、より好ましくは48重量%〜55重量%の、ロウ状粘稠性を有する疎水性で水に不安定な化合物を含む。
【0037】
本発明の特定の実施態様において、本医薬組成物は、1重量%〜10重量%、好ましくは5重量%〜10重量%、より好ましくは4重量%〜8重量%の超崩壊剤を含む。
【0038】
本発明の特定の実施態様において、本医薬組成物は、30重量%〜70重量%、好ましくは30重量%〜60重量%、より好ましくは40重量%〜50重量%の、800g/L未満のかさ密度を有する、少なくとも2種の希釈剤を含む。
【0039】
特定の実施態様において、本発明は、
− 10重量%〜69重量%、好ましくは40重量%〜60重量%、より好ましくは48重量%〜55重量%のロウ状粘稠性を有する疎水性で水に不安定な化合物、
− 1重量%〜10重量%、好ましくは5重量%〜10重量%、より好ましくは4重量%〜8重量%の超崩壊剤及び
− 30重量%〜70%重量、好ましくは30重量%〜60重量%、より好ましくは40重量%〜50重量%の、800g/L未満のかさ密度を有する、少なくとも2種の希釈剤
を含む医薬組成物を提供する。
【0040】
本明細書で定義したように、本発明の特定の実施態様において、超崩壊剤は、吸湿性ポリマー賦形剤である。特に、超崩壊剤としての吸湿性ポリマー賦形剤は、クロスカルメロースナトリウムである。
【0041】
特定の実施態様において、本発明は、
a) S−[2−([[1−(2−エチルブチル)−シクロヘキシル]−カルボニル]アミノ)フェニル]2−メチルプロパンチオアート及び
b) クロスカルメロースナトリウム
を含む組成物を提供する。
【0042】
本明細書で定義したように、本発明の特定の実施態様において、本組成物は、少なくとも1種の追加の吸湿性ポリマー賦形剤をさらに含む。
【0043】
本明細書で定義したように、本発明の特定の実施態様において、本組成物は、少なくとも2種の吸湿性ポリマー賦形剤をさらに含む。
【0044】
本明細書で定義したように、本発明の特定の実施態様において、本組成物は、少なくとも3種の吸湿性ポリマー賦形剤をさらに含み、そのうちの2種が、800g/L未満のかさ密度を有する希釈剤である。
【0045】
本明細書で定義したように、本発明の特定の実施態様において、本組成物は、10重量%〜69重量%のS−[2−([[1−(2−エチルブチル)−シクロヘキシル]−カルボニル]アミノ)フェニル]2−メチルプロパンチオアートを含む。
【0046】
本発明の特定の実施態様において、本医薬組成物は、10重量%〜69重量%、好ましくは40重量%〜60重量%、より好ましくは48重量%〜55重量%のS−[2−([[1−(2−エチルブチル)−シクロヘキシル]−カルボニル]アミノ)フェニル]2−メチルプロパンチオアートを含む。
【0047】
本明細書で定義したように、本発明の特定の実施態様において、本組成物は、1重量%〜10重量%、好ましくは5重量%〜10重量%、より好ましくは5重量%〜8重量%のクロスカルメロースナトリウムをを含む。より特には、特定の実施態様において、本組成物は、5重量%〜7重量%のクロスカルメロースナトリウムを含む。
【0048】
本明細書で定義したように、本発明の特定の実施態様において、本組成物は、少なくとも30重量%、特に44重量%〜50重量%、より特には46重量%〜48重量%の吸湿性ポリマー賦形剤を含み、ここで、吸湿性ポリマー賦形剤は、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、クロスカルメロースナトリウム、微結晶セルロース及び微粉化架橋性ポリビニルピロリドンである。
【0049】
本明細書で定義したように、本発明の特定の実施態様において、本組成物は、少なくとも30重量%、好ましくは34重量%〜44重量%、より好ましくは40重量%〜44重量%の吸湿性ポリマー賦形剤を含む。
【0050】
本明細書で定義したように、本発明の特定の実施態様において、本組成物は、少なくとも30重量%、好ましくは34重量%〜44重量%、より好ましくは40重量%〜44重量%の追加の吸湿性ポリマー賦形剤を含む。
【0051】
特定の実施態様において、本発明は、
− 10重量%〜69重量%、好ましくは40重量%〜60重量%、より好ましくは48重量%〜55重量%のS−[2−([[1−(2−エチルブチル)−シクロヘキシル]−カルボニル]アミノ)フェニル]2−メチルプロパンチオアート;
− 1重量%〜10重量%、好ましくは5重量%〜10重量%、より好ましくは4重量%〜8重量%のクロスカルメロースナトリウム及び
− 30重量%〜90重量%、好ましくは34重量%〜44重量%、より好ましくは40重量%〜44重量%の吸湿性ポリマー賦形剤を含み、
ここで、吸湿性ポリマー賦形剤が、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、微結晶セルロース及び微粉化架橋性ポリビニルピロリドンから選択される、医薬組成物を提供する。
【0052】
本明細書で定義したように、本発明の特定の実施態様において、本組成物は、
a) 48重量%〜55重量%のS−[2−([[1−(2−エチルブチル)−シクロヘキシル]−カルボニル]アミノ)フェニル]2−メチルプロパンチオアート;
b) 4重量%〜8重量%のクロスカルメロースナトリウム;
c) 32重量%〜41重量%の水不溶性の吸湿性ポリマー;及び
d) 4重量%〜5重量%の水溶性の吸湿性のポリマーを含む。
【0053】
本明細書で定義したように、本発明の特定の実施態様において、吸湿性ポリマー賦形剤は、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルメチルセルロース、カルボキシポリメチレン、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、セルロースアセタート、ポリビニルピロリドン、架橋性ポリビニルピロリドン、微粉化架橋性ポリビニルピロリドン、カルボキシメチルセルロースカルシウム、架橋性カルボキシメチルセルロース、微結晶セルロース、ケイ化微結晶セルロース、セルロース粉体、カルボキシメチルデンプン、デンプン及びアルファ化デンプンから選択される。
【0054】
本明細書で定義したように、本発明の特定の実施態様において、吸湿性ポリマー賦形剤は、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、微結晶セルロース及び微粉化架橋性ポリビニルピロリドンである。
【0055】
その他の実施態様において、本発明は、下記の工程を含む本組成物の調製方法を提供する:
a) S−[2−([[1−(2−エチルブチル)−シクロヘキシル]−カルボニル]アミノ)フェニル]2−メチルプロパンチオアート、クロスポビドン、微結晶セルロース、クロスカルメロースナトリウム及びヒドロキシプロピルメチルセルロースを混合及び造粒する工程;
b) 水中又はエタノール10%〜30重量%/水70%〜90重量%中の最大0.5重量%のHPMCを、工程a)に従って得た造粒物上に噴霧する工程;
c) 造粒物を乾燥させる工程;そして
d) 微結晶セルロース、コロイド状二酸化ケイ素及びフマル酸ステアリルナトリウムを、工程c)に従って得た乾燥造粒物と配合する工程。
【0056】
本明細書で定義したように、本発明の特定の実施態様において、2種の希釈剤は、吸湿性ポリマー賦形剤である。特に希釈剤としての吸湿性ポリマー賦形剤は、エチルセルロース、微粉化架橋性ポリビニルピロリドン、微結晶セルロース、ケイ化微結晶セルロース、セルロース粉体、デンプン、アルファ化デンプンである。
【0057】
本明細書で定義したように、本発明の特定の実施態様において、少なくとも2種の吸湿性ポリマー賦形剤が存在する。
【0058】
本明細書で定義したように、本発明の特定の実施態様において、超崩壊剤及び少なくとも希釈剤のうちの1種又は少なくとも2種の希釈剤は、吸湿性ポリマー賦形剤である。より好ましくは、少なくとも超崩壊剤及び希釈剤のうちの1種は、吸湿性ポリマー賦形剤である。
【0059】
本明細書で定義したように、本発明の特定の実施態様において、超崩壊剤及び2種の希釈剤は、吸湿性ポリマー賦形剤である。
【0060】
本明細書で定義したように、本発明の特定の実施態様において、少なくとも30重量%、好ましくは44重量%〜50重量%の吸湿性ポリマー賦形剤が存在する。
【0061】
本発明の特定の実施態様において、超崩壊剤は、クロスカルメロースナトリウムである。特に、本発明は、最大6重量%のクロスカルメロースナトリウムを含む。
【0062】
本発明は、好ましくは単位当たり40重量%以上の量の、少なくとも1種の吸湿性のポリマー、例えば、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース(L−HPC)、ヒドロキシエチルメチルセルロース(HEMC)、カルボキシポリメチレン(カルボマー(Carbomer))、メチルセルロース(MC)、エチルセルロース(EC)、ヒドロキシエチルセルロース(HEC)、セルロースアセタート、ポリビニルピロリドン(PVP)、架橋性ポリビニルピロリドン(クロスポビドン(Crospovidone))、微粉化架橋性ポリビニルピロリドン(微粉化クロスポビドン)、カルボキシメチルセルロースナトリウム(クロスカルメロースナトリウム、CMC Na)、カルボキシメチルセルロースカルシウム(クロスカルメロースカルシウム、CMC Ca)、架橋性カルボキシメチルセルロース(架橋性CMC)、微結晶セルロース(MCC)、ケイ化微結晶セルロース(ケイ化MCC)、セルロース粉体、カルボキシメチルデンプン(デンプングリコール酸ナトリウム)、デンプン(トウモロコシデンプン、ジャガイモデンプン、米デンプン、小麦デンプン、タピオカデンプン)、アルファ化デンプン又はそれらの組み合わせからなる化学的に保護性の吸湿性のポリマーマトリックス錠剤に埋め込まれた、少なくとも1種の疎水性及び水に不安定なコレステリルエステル輸送タンパク質(CETP)阻害剤又はそれらの組み合わせを含む、物理的に安定な医薬組成物を提供する。
【0063】
本発明は、好ましくは単位当たり40重量%以上の量の少なくとも1種の吸湿性のポリマー、例えば、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース(L−HPC)、ヒドロキシエチルメチルセルロース(HEMC)、カルボキシポリメチレン(カルボマー)、メチルセルロース(MC)、エチルセルロース(EC)、ヒドロキシエチルセルロース(HEC)、セルロースアセタート、ポリビニルピロリドン(PVP)、架橋性ポリビニルピロリドン(クロスポビドン)、微粉化架橋性ポリビニルピロリドン(微粉化クロスポビドン)、カルボキシメチルセルロースナトリウム(クロスカルメロースナトリウム、CMC Na)、カルボキシメチルセルロースカルシウム(クロスカルメロースカルシウム、CMC Ca)、架橋性カルボキシメチルセルロース(架橋性CMC)、微結晶セルロース(MCC)、ケイ化微結晶セルロース(ケイ化MCC)、セルロース粉体、カルボキシメチルデンプン(デンプングリコール酸ナトリウム)、デンプン(トウモロコシデンプン、ジャガイモデンプン、米デンプン、小麦デンプン、タピオカデンプン)、アルファ化デンプン又はそれらの組み合わせからなる化学的に保護性の吸湿性のポリマーマトリックス錠剤に組み込まれた、少なくともS−[2−([[1−(2−エチルブチル)−シクロヘキシル]−カルボニル]アミノ)フェニル]2−メチルプロパンチオアート又はそれらの組み合わせを含む、物理的に安定な医薬組成物を提供する。
【0064】
特に、本発明は、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、微結晶セルロース及び微粉化架橋性ポリビニルピロリドンからなる化学的に保護性の吸湿性のポリマーマトリックス錠剤に埋め込まれた、少なくとも1種の疎水性及び水に不安定なコレステリルエステル輸送タンパク質(CETP)阻害剤を含む、物理的に安定な医薬組成物を提供する。
【0065】
特に、本発明は、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、微結晶セルロース及び微粉化架橋性ポリビニルピロリドンからなる、化学的に保護性の吸湿性のポリマーマトリックス錠剤に埋め込まれた、少なくともS−[2−([[1−(2−エチルブチル)−シクロヘキシル]−カルボニル]アミノ)フェニル]2−メチルプロパンチオアートを含む、物理的に安定な医薬組成物を提供する。
【0066】
本発明は、好ましくは単位当たり40重量%以上の量のヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、微結晶セルロース及び微粉化架橋性ポリビニルピロリドンからなる、化学的に保護性の吸湿性のポリマーマトリックス錠剤に組み込まれた、少なくともS−[2−([[1−(2−エチルブチル)−シクロヘキシル]−カルボニル]アミノ)フェニル]2−メチルプロパンチオアートを含む、物理的に安定な医薬組成物を提供する。
【0067】
通常、水分感受性の活性医薬成分を、HPMC、HPC、PVP、クロスポビドン、CMC、架橋性CMC及びMCのような、大量の吸湿性のポリマーと接触させることは、物理的安定性に極めて重要であると考えられる。
【0068】
驚くべきことに、疎水性の加水分解感受性のCETP阻害剤の場合、逆の効果が観察されうることが見出された。活性剤を、以下の成分を含む吸湿性のポリマーマトリックスに埋め込むことにより、活性医薬成分及び即放性錠剤の両方を安定させることができた。
【表1】
【0069】
さらに、驚くべきことに、疎水性化合物の存在下、吸湿性(hydroscopic)ポリマーの量を、その通常の範囲である10〜20重量%から30重量%を上回る量に増やすと、これまで予想されたような即放性錠剤製剤のキャッピング又はクラッキングが生じないことが分かった。したがって、疎水性化合物は、即放性錠剤のうちの30重量%を上回る量が吸湿性ポリマー賦形剤からなる場合、該錠剤のクラックの形成を防止する。
【0070】
その他の実施態様において、本発明は、
a) 48重量%〜55重量%のCETP阻害剤チオエステル誘導体;及び
b) 組成物重量に対し、少なくとも30%、好ましくは44重量%〜50重量%の吸湿性ポリマー賦形剤を含む組成物を提供する。
【0071】
その他の実施態様において、本発明は、
a) 48重量%〜55重量%のCETP阻害剤チオエステル誘導体;
b) 40重量%〜45重量%の水不溶性の吸湿性ポリマー;
c) 4重量%〜5重量%の水溶性の吸湿性ポリマーを含む組成物を提供する。
【0072】
本発明の特定の実施態様において、800g/L未満のかさ密度を有する、少なくとも2種の希釈剤は、微結晶セルロース及びマンニトールである。
【0073】
本発明の特定の実施態様において、800g/L未満のかさ密度を有する、少なくとも2種の希釈剤は、微結晶セルロース及び微粉化クロスポビドンである。
【0074】
本発明の特定の実施態様において、微結晶セルロース及びマンニトールは、重量比約9:1〜1:1で存在する。
【0075】
本発明の特定の実施態様において、微結晶セルロース及び微粉化クロスポビドンは、重量比約5:1〜5:3で存在する。
【0076】
その他の実施態様において、本発明は、
− 48重量%〜55重量%のCETP阻害剤チオエステル誘導体;及び
− 少なくとも30重量%、好ましくは44重量%〜50重量%のヒドロキシプロピルメチルセルロース、クロスカルメロースナトリウム、微結晶セルロース及び微粉化架橋性ポリビニルピロリドンを含む組成物を提供する。
【0077】
その他の実施態様において、本発明は、
a) 48重量%〜55重量%のCETP阻害剤チオエステル誘導体;
b) 4重量%〜8重量%のクロスカルメロースナトリウム;及び
c) 35重量%〜44重量%のヒドロキシプロピルメチルセルロース、微結晶セルロース及び微粉化クロスポビドンを含む組成物を提供する。
【0078】
その他の実施態様において、本発明は、
a) 48重量%〜55重量%のCETP阻害剤チオエステル誘導体;
b) 12重量%より少ない微粉化クロスポビドン;及び
c) 35重量%〜44重量%のヒドロキシプロピルメチルセルロース、微結晶セルロース及びクロスカルメロースナトリウムを含む組成物を提供する。
【0079】
その他の実施態様において、本発明は、
a) CETP阻害剤チオエステル誘導体、より特にはS−[2−([[1−(2−エチルブチル)−シクロヘキシル]−カルボニル]アミノ)フェニル]2−メチルプロパンチオアート;
b) クロスカルメロースナトリウムを含む組成物を提供する。
【0080】
その他の実施態様において、本発明は、
a) CETP阻害剤チオエステル誘導体、より特にはS−[2−([[1−(2−エチルブチル)−シクロヘキシル]−カルボニル]アミノ)フェニル]2−メチルプロパンチオアート;
b) 微結晶セルロース;
c) 微粉化クロスポビドン;
d) ヒドロキシプロピルメチルセルロース;及び
e) クロスカルメロースナトリウムを含む組成物を提供する。
【0081】
その他の実施態様において、本発明は、
a) CETP阻害剤チオエステル誘導体、より特にはS−[2−([[1−(2−エチルブチル)−シクロヘキシル]−カルボニル]アミノ)フェニル]2−メチルプロパンチオアート;
b) マンニトール;
c) 微粉化クロスポビドン;
d) ヒドロキシプロピルメチルセルロース;
e) クロスカルメロースナトリウムを含む組成物を提供する。
【0082】
その他の実施態様において、本発明は、
a) CETP阻害剤チオエステル誘導体、より特にはS−[2−([[1−(2−エチルブチル)−シクロヘキシル]−カルボニル]アミノ)フェニル]2−メチルプロパンチオアート;
b) マンニトール;
c) 微粉化クロスポビドン;
d) ヒドロキシプロピルメチルセルロース;
e) クロスカルメロースナトリウム;
f) 微結晶セルロースを含む組成物を提供する。
【0083】
その他の実施態様において、本発明は、
a) 48重量%〜55重量%のCETP阻害剤チオエステル誘導体、より特にはS−[2−([[1−(2−エチルブチル)−シクロヘキシル]−カルボニル]アミノ)フェニル]2−エチルプロパンチオアート;
b) 24重量%〜26重量%の微結晶セルロース;
c) 11重量%〜12重量%の微粉化クロスポビドン;
d) 4重量%〜5重量%のヒドロキシプロピルメチルセルロース;
e) 4重量%〜6重量%のクロスカルメロースナトリウムを含む組成物を提供する。
【0084】
その他の実施態様において、本発明は、
a) 48重量%〜55重量%のCETP阻害剤チオエステル誘導体、より特にはS−[2−([[1−(2−エチルブチル)−シクロヘキシル]−カルボニル]アミノ)フェニル]2−エチルプロパンチオアート;
b) 24重量%〜26重量%の微結晶セルロース;
c) 11重量%〜12重量%の微粉化クロスポビドン;
d) 4重量%〜5重量%のヒドロキシプロピルメチルセルロース;
e) 4重量%〜6重量%のクロスカルメロースナトリウム;
f) 0〜1重量%のステアリン酸マグネシウム;
g) 0〜1重量%のコロイド状二酸化ケイ素;
h) 0〜1重量%のフマル酸ステアリルナトリウムを含む組成物を提供する。
【0085】
その他の実施態様において、本発明は、
a) 48重量%〜55重量%のCETP阻害剤チオエステル誘導体、より特にはS−[2−([[1−(2−エチルブチル)−シクロヘキシル]−カルボニル]アミノ)フェニル]2−メチルプロパンチオアート;
b) 10重量%〜14重量%のマンニトール;
c) 8%〜12重量%の微粉化クロスポビドン;
d) 2重量%〜6重量%のヒドロキシプロピルメチルセルロース;
e) 5%〜9%のクロスカルメロースナトリウムを含む組成物を提供する。
【0086】
その他の実施態様において、本発明は、
a) 48重量%〜55重量%のCETP阻害剤チオエステル誘導体、より特にはS−[2−([[1−(2−エチルブチル)−シクロヘキシル]−カルボニル]アミノ)フェニル]2−メチルプロパンチオアート
b) 10重量%〜14重量%のマンニトール;
c) 8%〜12重量%の微粉化クロスポビドン;
d) 2重量%〜6重量%のヒドロキシプロピルメチルセルロース;
e) 5重量%〜9重量%のクロスカルメロースナトリウム;
f) 11重量%〜15重量%の微結晶セルロースを含む組成物を提供する。
【0087】
本発明の特定の実施態様において、本組成物は、医薬組成物である。
【0088】
本医薬組成物は、例えば、各々、所定量のCETP阻害剤チオエステルを含有し、特に飲み易いようにコーティングされている、丸薬、カプセル剤又は錠剤の形態、粉末剤又は顆粒剤の形態でありうる。特に、本医薬組成物は、CETP阻害剤チオエステル誘導体と、本明細書で使用され記載されている錠剤の成分とを含む錠剤形態である。経口投与用に、微粉末剤又は顆粒剤は、希釈剤、分散剤及び/又は界面活性剤を含有してよく、そして、例えば、乾燥状態でのカプセル剤もしくはサシェ剤又は結合剤及び滑沢剤が含まれうる錠剤であってよい。甘味料、香料、保存剤、懸濁化剤、増粘剤及び/又は乳化剤のような成分も、本医薬組成物中に存在してよい。
【0089】
特定の実施態様において、本明細書における本組成物は、ポリビニルアルコールベースコーティング(PVAベースコーティング)、特に20mg以下のPVAベースコーティング、より特には15mgのPVAベースコーティングでフィルムコーティングされている。
【0090】
本発明の特定の実施態様において、本組成物は、100mg〜600mgのS−[2−([[1−(2−エチルブチル)−シクロヘキシル]−カルボニル]アミノ)フェニル]2−メチルプロパンチオアートを含む。特に、本組成物は、150mg〜450mgのS−[2−([[1−(2−エチルブチル)−シクロヘキシル]−カルボニル]アミノ)フェニル]2−メチルプロパンチオアートを含む。より特には、本組成物は、250mg〜350mgのS−[2−([[1−(2−エチルブチル)−シクロヘキシル]−カルボニル]アミノ)フェニル]2−メチルプロパンチオアートを含む。最も特に、本組成物は、250mg〜350mgのS−[2−([[1−(2−エチルブチル)−シクロヘキシル]−カルボニル]アミノ)フェニル]2−メチルプロパンチオアートを含む。
【0091】
本発明のその他の実施態様において、本組成物は、小児への使用のための、25mg〜300mgのS−[2−([[1−(2−エチルブチル)−シクロヘキシル]−カルボニル]アミノ)フェニル]2−メチルプロパンチオアートを含む。特に小児用組成物は、75mg〜150mgのS−[2−([[1−(2−エチルブチル)−シクロヘキシル]−カルボニル]アミノ)フェニル]2−メチルプロパンチオアートを含む。
【0092】
CETP阻害剤は、任意の適切な用量(例えば、治療的有効量を達成するため)で哺乳類に投与しうる。例えば、患者への投与のための治療的有効量の化合物Iの適切な用量のは、約100mg〜約1800mg/日である。望ましい用量は、好ましくは約300mg〜約900mg/日である。好適な用量は、約600mg/日である。
【0093】
その他の実施態様において、本発明は、治療的有効量のCETP阻害剤チオエステル誘導体及び組成物重量に対し少なくとも30重量%の吸湿性ポリマー賦形剤を含む医薬組成物、処方情報(別名「説明書」)、ブリスターパッケージ又はボトル(HDPEもしくはガラス状物)及び容器を含むキットを提供する。処方情報は、好ましくは、特に、CETP阻害剤チオエステル誘導体の生物学的利用能を向上させるための、CETP阻害剤チオエステル誘導体(例えば、式(I’)の化合物)の食物と一緒の投与についての、患者への助言を含む。
【0094】
その他の実施態様において、本発明は、本発明に記載したとおりの組成物、処方情報(別名「説明書」)、ブリスターパッケージ又はボトル(HDPEもしくはガラス状物)及び容器を含むキットを提供する。処方情報は、好ましくは、特に、CETP阻害剤チオエステル誘導体の生物学的利用能を向上させるための、CETP阻害剤チオエステル誘導体(例えば、式(I’)の化合物)の食物と一緒の投与についての、患者への助言を含む。
【0095】
その他の実施態様において、本発明は、治療的有効量のS−[2−([[1−(2−エチルブチル)−シクロヘキシル]−カルボニル]アミノ)フェニル]2−メチルプロパンチオアート及び組成物重量に対し少なくとも30重量%の吸湿性ポリマー賦形剤を含む組成物、処方情報、ブリスターパッケージ又はボトル及び容器を含むキットを提供する。本発明の特定の実施態様は、処方情報が、S−[2−([[1−(2−エチルブチル)−シクロヘキシル]−カルボニル]アミノ)フェニル]2−メチルプロパンチオアートの食物と一緒の投与についての患者への助言を含む、本明細書において記載したとおりのキットを提供する。
【0096】
その他の実施態様において、本発明は、本明細書において記載したとおりの組成物を含む錠剤を提供する。
【0097】
その他の実施態様において、本発明は、心血管障害の治療又は予防のための医薬の製造のための、本明細書において記載したとおりの組成物(ここで、特に、S−[2−([[1−(2−エチルブチル)−シクロヘキシル]−カルボニル]アミノ)フェニル]2−メチルプロパンチオアートは、1日用量100mg〜1800mg、特に300mg〜900mg、より特に600mgで投与され、より特には、S−[2−([[1−(2−エチルブチル)−シクロヘキシル]−カルボニル]アミノ)フェニル]2−メチルプロパンチオアートは、食物と一緒に投与される)を提供する。その他の実施態様において、本発明は、本明細書において記載したとおりの組成物の調製方法であって、下記の工程:
a) ロウ状粘稠性を有する水に不安定な化合物、微粉化クロスポビドン、微結晶セルロース、クロスカルメロースナトリウム及び場合によりヒドロキシプロピルメチルセルロースを混合及び造粒する工程;
b) 水中又はエタノール10重量%〜30重量%/水70重量%〜90重量%中、より特にはエタノール20重量%/水80重量%中の最大0.5重量%のヒドロキシプロピルメチルセルロースを、工程a)に従って得た造粒物上に噴霧する工程;
c) 造粒物を乾燥させる工程;そして
d) 微結晶セルロース、コロイド状二酸化ケイ素及びフマル酸ステアリルナトリウムを、工程c)に従って得た乾燥造粒物と配合する工程
を含む方法を提供する。
【0098】
その他の実施態様において、本発明は、下記の工程:
a) ロウ状粘稠性を有する水に不安定な化合物、微粉化クロスポビドン、マンニトール、クロスカルメロースナトリウム及びヒドロキシプロピルメチルセルロースを混合及び造粒する工程;
b) 水中又はエタノール10重量%〜30重量%/水70重量%〜90重量%中、より特には、エタノール20重量%/水80重量%中の最大0.5重量%のヒドロキシプロピルメチルセルロースを、工程a)に従って得た造粒物上に噴霧する工程;
c) 造粒物を乾燥させる工程;そして
d) 微結晶セルロース、コロイド状二酸化ケイ素及びフマル酸ステアリルナトリウムを、工程c)に従って得た乾燥造粒物と配合する工程
を含む、本明細書において記載したとおりの本組成物の調製方法を提供する。
【0099】
その他の実施態様において、本発明は、下記の工程:
a) ロウ状粘稠性を有する水に不安定な化合物、微粉化クロスポビドン、微結晶セルロース及びクロスカルメロースナトリウムを混合及び造粒する工程;
b) エタノール10%〜30重量%/水70%〜90重量%、より特にはエタノール20重量%/水80重量%中のヒドロキシプロピルメチルセルロースを、工程a)に従って得た造粒物上に噴霧する工程;
c) 造粒物を乾燥させる工程;そして
d) 微結晶セルロース、コロイド状二酸化ケイ素及びフマル酸ステアリルナトリウムを、工程c)に従って得た乾燥造粒物と配合する工程
を含む、本明細書において記載したとおりの組成物の調製方法を提供する。
【0100】
その他の実施態様において、本発明は、下記の工程:
a) ロウ状粘稠性を有する水に不安定な化合物、微粉化クロスポビドン、微結晶セルロース、クロスカルメロースナトリウム及びヒドロキシプロピルメチルセルロースを混合及び造粒する工程;
b) エタノール10重量%〜30重量%/水70重量%〜90重量%、より特にはエタノール20重量%/水80重量%からなる造粒液(granulation fluid)を、工程a)に従って得た造粒物上に噴霧する工程;
c) 造粒物を乾燥させる工程;
d) 微結晶セルロース、コロイド状二酸化ケイ素及びフマル酸ステアリルナトリウムを、工程c)に従って得た乾燥造粒物と配合する工程;
e) 錠剤を打錠する工程;
f) 錠剤を、≦60℃の流入空気で、錠剤温度がおよそ43℃に達するまで、予熱する工程;
g) コーティング懸濁液Opadry(登録商標)を錠剤に噴霧する工程;そして
h) フィルムコーティングした錠剤を、多孔コーティングパン(perforated coating パン)内で、定速回転下で乾燥させる工程;
を含む、本明細書において記載したとおりの組成物の調製方法を提供する。
【0101】
製造プロセス:
本明細書において、APIは、ロウ状粘稠性を有する疎水性で水に不安定な化合物、特にCETP阻害剤チオエステル誘導体、より特には式(I)又は(I’)のCETP阻害剤チオエステル誘導体である、活性物質を指す。実施例1〜45において、APIは、結晶質形態の、式(I’)のチオイソ酪酸S−(2−{[1−(2−エチル−ブチル)−シクロヘキサンカルボニル]−アミノ}−フェニル)エステルを指す。
【0102】
本発明の組成物は、APIを、実質的に結晶質形態(無定形の疎水性のAPIの量が、10重量%を上回らない)に結果的に維持する、任意の公知の方法に従って調製しうる。さらに、本発明の組成物は、APIを、実質的に結晶質形態(実質的に無定形の、ロウ状粘稠性を有する疎水性で水に不安定な化合物の量が、10重量%を上回らない)に結果的に維持する、任意の公知の方法に従って調製しうる。
【0103】
本発明による医薬組成物を調製する方法は、下記の工程:
1) エタノール20重量%及び水80重量%中に、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(全ヒドロキシプロピルメチルセルロースの0.5重量%)を、一定撹拌下で溶解する工程;
2) 底部駆動の攪拌羽根を有する造粒機(高速せん断混合機:例えば、Diosna(登録商標))、縦型造粒機に、ロウ状粘稠性を有する疎水性で水に不安定な化合物、微粉化クロスポビドン、微結晶セルロース、クロスカルメロースナトリウム及びヒドロキシプロピルメチルセルロースの残りを投入する工程;
3) 攪拌羽根及びチョッパーを用いて、乾燥造粒成分を混合する工程;
4) 攪拌羽根及びチョッパーを用いた一定撹拌下、造粒液を噴霧することにより、造粒物を増湿する工程;
5) 攪拌羽根及びチョッパーを用いて、湿潤した造粒物を混練する工程;
6) 湿潤造粒物を送り出し、それを10平方mmスクリーン付きコニカルミル[例えば、Frewitt(登録商標)(回転攪拌羽根付きスクリーニングミル)]で選別し;そして流動床乾燥器に投入する工程
7) 流動床乾燥器(例:Glatt(登録商標))中の造粒物を、温度≦60℃の流入空気で、最終LOD(乾燥による損失)が≦3.5重量%に達するまで乾燥する工程;
8) 乾燥させた造粒物を送り出し、そして、1.5mm円の穿孔スクリーンを付けた衝撃式ミル(例えば、Frewitt(登録商標)(回転ハンマー付衝撃式ミル)を用いて粉砕する工程;
9) 外相(例えば、微結晶セルロース、コロイド状二酸化ケイ素及びフマル酸ステアリルナトリウム)の成分を、1mm円穿孔スクリーンを付けた篩にかけて造粒物に加える工程
10) 全成分を、ビンブレンダー中、例えば、Tumblemix(登録商標)(ビンブレンダー中の回転配合)で配合する工程;
11) 錠剤を、ロータリー打錠機(例えば、Korsch(登録商標)(電動アシスト式)上で、小さい打錠力(およそ6kN)で打錠する工程;
12) 水中にOpadry(登録商標)完全コーティング系を一定撹拌下で懸濁することにより、コーティング懸濁液を調製する工程;
13) 穿孔付きコーティングパンに錠剤を投入する工程;
14) 錠剤を、穿孔付きコーティングパン(例えば、Glatt(登録商標)(穿孔付きコーティング系))の定速回転下で、≦60℃の流入空気で、錠剤温度が約43℃に達するまで、余熱する工程;
15) 穿孔付きコーティングパンの定速回転下、コーティング懸濁液を錠剤上に噴霧する工程;
16) フィルムコーティングした錠剤を、定速回転下、穿孔付きコーティングパン中で乾燥させる工程;
17) フィルムコーティングした錠剤を送り出す工程
を含みうる。
【0104】
あるいは、例えば、ヒドロキシプロピルメチルセルロース6cpを有する本組成物のための、本発明による医薬組成物を調製する方法は、下記の工程:
1) 全ヒドロキシプロピルメチルセルロースを、エタノール20重量%及び水80重量%中に、一定撹拌下で溶解する工程;
2) 底部駆動の攪拌羽根を有する造粒機(高速せん断混合機:例えば、Diosna(登録商標))、縦型造粒機に、ロウ状粘稠性を有する疎水性で水に不安定な化合物、微粉化クロスポビドン、微結晶セルロース及びクロスカルメロースナトリウムを投入する工程;
3) 攪拌羽根及びチョッパーを用いて、乾燥造粒成分を混合する工程;
4) 攪拌羽根及びチョッパーを用いた一定撹拌下、造粒液を噴霧することにより、造粒物を増湿する工程;
5) 攪拌羽根及びチョッパーを用いて、湿潤した造粒物を混練する工程;
6) 湿潤造粒物を送り出し、それを10平方mmスクリーン付きコニカルミル(例えば、Frewitt(登録商標)(回転攪拌羽根付きスクリーニングミル))で選別し;そして流動床乾燥器に投入する工程
7) 流動床乾燥器(例:Glatt(登録商標))中の造粒物を、流入空気温度≦60℃で、最終LOD(乾燥による損失)が≦3.5重量%に達するまで乾燥する工程;
8) 乾燥させた造粒物を送り出し、そして、1.5mm円の穿孔スクリーンを付けた衝撃式ミル(例えば、Frewitt(登録商標)(回転ハンマー付衝撃式ミル))を用いて粉砕する工程;
9) 外相(例えば、微結晶セルロース、コロイド状二酸化ケイ素及びフマル酸ステアリルナトリウム)の成分を、1mm円穿孔スクリーン付きの篩にかけて造粒物に加える工程;
10) 全成分を、ビンブレンダー中、例えば、Tumblemix(登録商標)(ビンブレンダー中の回転配合)で配合する工程;
11) 錠剤を、ロータリー打錠機(例えば、Korsch(登録商標)(電動アシスト式))上で、小さい打錠力(およそ6kN)で打錠する工程;
12) Opadry(登録商標)完全コーティング系を、一定撹拌下で水中に懸濁することにより、コーティング懸濁液を調製する工程;
13) 穿孔付きコーティングパンに錠剤を投入する工程;
14) 錠剤を、穿孔付きコーティングパン(例えば、Glatt(登録商標)(穿孔付きコーティング系))の定速回転下で、≦60℃の流入空気で、錠剤温度が約43℃に達するまで、余熱する工程;
15) 穿孔付きコーティングパンの定速回転下、コーティング懸濁液を錠剤上に噴霧する工程;
16) フィルムコーティングした錠剤を、定速回転下、穿孔付きコーティングパン中で乾燥させる工程;
17) フィルムコーティングした錠剤を送り出す工程
を含みうる。
【0105】
本発明のその他の特徴及び実施態様は、その意図した範囲を限定するためではなく、本発明を説明するために記載する下記の実施例から明らかになるであろう。
【0106】
実施例1〜42及びプラシーボ例Aを、上述の一般的方法により調製した(ここで、API、例えばAは、マンニトールで置き換えられている)。実施例1〜42を、すべて20mgのPVAベースコーティング(例えば、Opadry(登録商標))でフィルムコートした。
【0107】
実施例番号1
【表2】
【0108】
実施例番号2
【表3】
【0109】
実施例番号3
【表4】
【0110】
実施例番号4
【表5】
【0111】
実施例番号5
【表6】
【0112】
実施例番号6
【表7】
【0113】
実施例番号7
【表8】
【0114】
実施例番号8
【表9】
【0115】
実施例番号9
【表10】
【0116】
実施例番号10
【表11】
【0117】
実施例番号11
【表12】
【0118】
実施例番号12
【表13】
【0119】
実施例番号13
【表14】
【0120】
実施例番号14
【表15】
【0121】
実施例番号15
【表16】
【0122】
実施例番号16
【表17】
【0123】
実施例番号17
【表18】
【0124】
実施例番号18
【表19】
【0125】
実施例番号19
【表20】
【0126】
実施例番号20
【表21】
【0127】
実施例番号21
【表22】
【0128】
実施例番号22
【表23】
【0129】
実施例番号23
【表24】
【0130】
実施例番号24
【表25】
【0131】
実施例番号25
【表26】
【0132】
実施例番号26
【表27】
【0133】
実施例番号27
【表28】
【0134】
実施例番号28
【表29】
【0135】
実施例番号29
【表30】
【0136】
実施例番号30
【表31】
【0137】
実施例番号31
【表32】
【0138】
実施例番号32
【表33】
【0139】
実施例番号33
【表34】
【0140】
実施例番号34
【表35】
【0141】
実施例番号35
【表36】
【0142】
実施例番号36
【表37】
【0143】
実施例番号37
【表38】
【0144】
実施例番号38
【表39】
【0145】
実施例番号39
【表40】
【0146】
実施例番号40
【表41】
【0147】
実施例番号41
【表42】
【0148】
実施例番号42
【表43】
【0149】
実施例番号A
【表44】
【0150】
実施例B:
実施例1及び実施例Aに従って製造した2種の錠剤をスライスし、それらのX線画像を回収した。両図は、測定中に得られた全X線スライスを重ね合わせ、3D錠剤を再構築したものを表す。図1は、何ら欠陥のない滑らかな表面を示しているが、図2には、多くのひび割れがある。これらのひび割れは、人の目でも検出可能である。
【0151】
実施例C:
S−[2−([[1−(2−エチルブチル)シクロヘキシル]カルボニル]アミノ)フェニル]2−メチルプロパンチオアート結晶質形態AのXRPDパターンを、周囲条件下、STOE STADI P回折計(CuKアルファ放射源、第一級モノクロメーター、位置感応検出器、角度範囲3°〜42°2θ、全測定時間約60分間)を用いて、透過幾何学を用いて記録した。サンプルを調製し、そして、さらに加工(例えば、粉砕又はふるい分け)することなく、物質を分析した。
【0152】
【表45】
図1
図2
図3