特許第5676043号(P5676043)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】5676043
(24)【登録日】2015年1月9日
(45)【発行日】2015年2月25日
(54)【発明の名称】音響を発生させる装置
(51)【国際特許分類】
   H04R 17/00 20060101AFI20150205BHJP
   H04R 7/04 20060101ALI20150205BHJP
   H04R 1/02 20060101ALI20150205BHJP
   H04M 1/03 20060101ALI20150205BHJP
【FI】
   H04R17/00
   H04R7/04
   H04R1/02 102Z
   H04M1/03 C
【請求項の数】11
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2014-161510(P2014-161510)
(22)【出願日】2014年8月7日
【審査請求日】2014年11月11日
(31)【優先権主張番号】特願2013-223431(P2013-223431)
(32)【優先日】2013年10月28日
(33)【優先権主張国】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000134257
【氏名又は名称】NECトーキン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100117341
【弁理士】
【氏名又は名称】山崎 拓哉
(74)【代理人】
【識別番号】100148840
【弁理士】
【氏名又は名称】松本 健志
(72)【発明者】
【氏名】阿部 善幸
(72)【発明者】
【氏名】熊坂 克典
(72)【発明者】
【氏名】習田 浩一
(72)【発明者】
【氏名】山崎 修
(72)【発明者】
【氏名】嶋 博司
(72)【発明者】
【氏名】池沢 紀研
【審査官】 千本 潤介
(56)【参考文献】
【文献】 特開2013−150212(JP,A)
【文献】 特開平10−285253(JP,A)
【文献】 国際公開第2002/021881(WO,A1)
【文献】 特開平10−056498(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04M 1/03
H04R 1/02
H04R 7/04
H04R 17/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
振動板として利用される主面部材と、電気信号に応じて振動する圧電体板と、前記圧電体板を支持する第1支持部と、筐体とを備える装置であって、
前記筐体は、前記主面部材を支持すると共に前記主面部材と交差する所定方向に延びる第2支持部を有しており、
前記第1支持部は、前記圧電体板の振動に応じて前記第2支持部が前記所定方向に振動するように、前記第2支持部に固定されており、
前記圧電体板の振動を前記第1支持部及び前記第2支持部を介して前記主面部材に伝達することにより前記主面部材を振動させて音響を発生させる
装置。
【請求項2】
請求項1記載の装置であって、
前記第1支持部は、前記圧電体板の振動に応じて前記第2支持部が前記主面部材と平行な方向にも振動するように、前記第2支持部に固定されている
装置。
【請求項3】
請求項1又は請求項2記載の装置であって、
前記第1支持部は、前記圧電体板を支持する板状の主支持部と、前記第2支持部に固定される固定部とを有しており、
前記主支持部は、前記所定方向と交差する方向に長手方向を有しており、
前記固定部は、前記主支持部の前記長手方向の一端又は一端近傍において前記主支持部と接続されている
装置。
【請求項4】
請求項3記載の装置であって、
前記主支持部の厚みは、0.2mm以上2.0mm以下である
装置。
【請求項5】
請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の装置であって、
前記第1支持部は、前記第2支持部に対して接着又は溶着されている
装置。
【請求項6】
請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の装置であって、
前記第1支持部は、前記第2支持部と同一材料からなり且つ一体成型されている
装置。
【請求項7】
請求項1乃至請求項6のいずれかに記載の装置であって、
前記第1支持部は、ISO178に規定された弾性率が7.6GPa以上12.4GPa以下の絶縁体からなる
装置。
【請求項8】
請求項1乃至請求項7のいずれかに記載の装置であって、
前記第1支持部は、繊維強化プラスチックからなる
装置。
【請求項9】
請求項8記載の装置であって、
前記繊維強化プラスチックは、ガラス繊維強化ポリアミド樹脂である
装置。
【請求項10】
請求項1乃至請求項9のいずれかに記載の装置であって、
前記圧電体板又は前記第1支持部に配された錘を更に備える
装置。
【請求項11】
請求項1乃至請求項10のいずれかに記載の装置であって、
前記筐体は、前記主面部材と別体である
装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、音響を発生させる装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、圧電素子をケースに収容してなる加振器について開示している。特許文献1においては、例えば、加振器を自動二輪車のカウルに装着し、加振器から振動をカウルに伝達してカウルを振動板として振動させて音響を発生させる。特許文献2は、圧電素子を内蔵した圧電振動ユニットを開示している。圧電振動ユニットは、例えば、携帯電話機のパネルに装着され、パネルを振動板として振動させて音響を発生させる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−251669号公報
【特許文献2】特開2007−208883号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年、電子機器の一部を振動板として振動させて音響を発生させたいという要求がある。しかしながら、小型化且つ薄型化された電子機器内に特許文献1の加振器や特許文献2の圧電振動ユニットを組み込んだとしても、十分な音圧を確保することは困難である。
【0005】
そこで、本発明は、小型化且つ薄型化された電子機器内であっても十分な音圧を確保することのできる構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、第1の装置として、
振動板として利用される主面部材と、電気信号に応じて振動する圧電体板と、前記圧電体板を支持する第1支持部と、筐体とを備える装置であって、
前記筐体は、前記主面部材を支持すると共に前記主面部材と交差する所定方向に延びる第2支持部を有しており、
前記第1支持部は、前記圧電体板の振動に応じて前記第2支持部が前記所定方向に振動するように、前記第2支持部に固定されており、
前記圧電体板の振動を前記第1支持部及び前記第2支持部を介して前記主面部材に伝達することにより前記主面部材を振動させて音響を発生させる
装置を提供する。
【0007】
ここで、装置は、例えば、携帯電話機やタブレット、PCのような電子機器である。主面部材は、例えば、その電子機器の画面を構成するガラス板である。第2支持部は、例えば、電子機器の筐体の側壁部分(ガラス板を支持している部分)である。
【0008】
また、本発明は、第2の装置として、第1の装置であって、
前記第1支持部は、前記圧電体板の振動に応じて前記第2支持部が前記主面部材と平行な方向にも振動するように、前記第2支持部に固定されている
装置を提供する。
【0009】
また、本発明は、第3の装置として、第1又は第2の装置であって、
前記第1支持部は、前記圧電体板を支持する板状の主支持部と、前記第2支持部に固定される固定部とを有しており、
前記主支持部は、前記所定方向と交差する方向に長手方向を有しており、
前記固定部は、前記主支持部の前記長手方向の一端又は一端近傍において前記主支持部と接続されている
装置を提供する。
【0010】
また、本発明は、第4の装置として、第3の装置であって、
前記主支持部の厚みは、0.2mm以上2.0mm以下である
装置を提供する。
【0011】
また、本発明は、第5の装置として、第1乃至第4のいずれかの装置であって、
前記第1支持部は、前記第2支持部に対して接着又は溶着されている
装置を提供する。
【0012】
また、本発明は、第6の装置として、第1乃至第4のいずれかの装置であって、
前記第1支持部は、前記第2支持部と同一材料からなり且つ一体成型されている
装置を提供する。
【0013】
また、本発明は、第7の装置として、第1乃至第6のいずれかの装置であって、
前記第1支持部は、ISO178に規定された弾性率が7.6GPa以上12.4GPa以下の絶縁体からなる
装置を提供する。
【0014】
また、本発明は、第8の装置として、第1乃至第7のいずれかの装置であって、
前記第1支持部は、繊維強化プラスチックからなる
装置を提供する。
【0015】
また、本発明は、第9の装置として、第8の装置であって、
前記繊維強化プラスチックは、ガラス繊維強化ポリアミド樹脂である
装置を提供する。
【0016】
また、本発明は、第10の装置として、第1乃至第9のいずれかの装置であって、
前記圧電体板又は前記第1支持部に配された錘を更に備える
装置を提供する。
【0017】
また、本発明は、第11の装置として、第1乃至第10のいずれかの装置であって、
前記筐体は、前記主面部材と別体である
装置を提供する。
【0018】
更に、本発明は、
振動板として利用される主面部材と、電気信号に応じて振動する圧電体板と、前記圧電体板を支持する第1支持部と、主面部材とは別体の筐体とを備える装置であって、
前記筐体は、前記主面部材を支持すると共に前記主面部材と交差する所定方向に延びる第2支持部を有しており、
前記第1支持部は、前記第2支持部に固定されており、
前記圧電体板の振動を前記第1支持部及び前記第2支持部を介して前記主面部材に伝達することにより前記主面部材を振動させて音響を発生させる
装置を提供する。
【発明の効果】
【0019】
筐体の一部であって所定方向に延びる第2支持部を少なくとも所定方向に振動させることで主面部材を振動させて音響を発生させることとしたところ、主面部材に加振器や圧電振動ユニットを取り付けた場合と比較して、十分な音圧を確保することができた。
【0020】
第1支持部で圧電体板を支持すると共に、第1支持部を第2支持部に直接固定することとししたことから、筐体内に圧電体板を収容するためのケースを別途設ける必要がない。このように、筐体内において圧電体板のために大きなスペースを確保する必要がないことから、装置全体が小型化且つ薄型化された場合であっても、音響を発生させる構造を筐体内に組み込むことができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本発明の第1の実施の形態による装置を示す斜視図である。
図2図1の装置の一部をA--A線に沿って示す断面図である。
図3図2の装置に含まれる圧電体板及び第1支持部を示す斜視図である。
図4図2の圧電体板及び第1支持部の変形例を示す斜視図である。
図5図2の圧電体板及び第1支持部の他の変形例を示す斜視図である。
図6】本発明の第2の実施の形態による装置に含まれる圧電体板及び第1支持部を示す斜視図である。
図7図6の第1支持部の固定部を第2支持部に固定した状態をB--B線に沿って示す断面図である。
図8】本発明の第3の実施の形態による装置に含まれる圧電体板及び第1支持部を示す斜視図である。
図9図8の第1支持部の固定部を第2支持部に固定した状態をC--C線に沿って示す断面図である。
図10】本発明の第4の実施の形態による装置に含まれる圧電体板及び第1支持部を示す上面図である。
図11図10の第1支持部の固定部を第2支持部に固定した状態をD--D線に沿って示す断面図である。
図12】本発明の第5の実施の形態による装置に含まれる圧電体板及び第1支持部を示す斜視図である。
図13図12の第1支持部の固定部を第2支持部に固定した状態をE--E線に沿って示す断面図である。
図14】本発明の第6の実施の形態による装置に含まれる圧電体板及び第1支持部を示す上面図である。
図15図14の第1支持部の固定部を第2支持部に固定した状態をF--F線に沿って示す断面図である。
図16】本発明の実施例による装置において発生する音響の音圧の周波数特性を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
(第1の実施の形態)
図1及び図2を参照すると、本発明の第1の実施の形態による装置10は、振動板として利用される主面部材30と、圧電体板40と、圧電体板40を支持する第1支持部50と、筐体20とを備えている。例えば、本実施の形態の装置10は、携帯電話機やタブレット、PCのような電子機器であり、主面部材30は、その電子機器の画面を構成するガラス板である。本実施の形態において、主面部材30は、水平面(XY平面)と平行になるように配されている。
【0023】
図1及び図2に示されるように、筐体20は、主面部材30を支持すると共に主面部材30と交差する所定方向に延びる第2支持部24を有している。本実施の形態において、所定方向は、主面部材30と直交する垂直方向(Z方向)であり、第2支持部24は、電子機器の筐体20の側壁部分(即ち、ガラス板からなる主面部材30を支持している部分)である。このように、本実施の形態の筐体20は、主面部材30と別体である。
【0024】
図2に示されるように、圧電体板40上には、2つの外部電極60,62が形成されている。外部電極60,62には、FPC(Flexible Printed Circuit)64に形成された導体66,68を介して、電気信号(駆動電圧)が供給される。圧電体板40は、供給された電気信号に応じて振動する。図2及び図3から理解されるように、本実施の形態において、圧電体板40は、X方向に長手方向を有しており、Y方向に短手方向を有している。電気信号が供給されると、圧電体板40の長手方向の両端が垂直方向(Z方向)に移動するように圧電体板40が振動する。換言すると、本実施の形態の圧電体板40は、電気信号に応じて、長手方向を進行方向とする定在波であって長手方向の両端において振幅が最大となるような屈曲運動を行うものである。
【0025】
図2及び図3に示されるように、第1支持部50は、圧電体板40を支持する板状の主支持部52と、第2支持部24に固定される固定部54とを有している。主支持部52は、圧電体板40と同様に、X方向に長手方向を有しており、Y方向に短手方向を有している。固定部54は、主支持部52の長手方向の一端近傍において主支持部52と接続されている。詳しくは、固定部54は、主支持部52の長手方向の一端近傍に位置しており、主支持部52の短手方向の一端から垂直方向に延びている。特に、本実施の形態において、固定部54は、主支持部52の振動を制約しないように設けられている。
【0026】
本実施の形態の第1支持部50は、曲げに対する復元力のある素材である繊維強化プラスチックからなる。より具体的には、第1支持部50は、ガラス繊維強化ポリアミド樹脂からなる。本発明はこれに限定されるわけではなく、例えば、第1支持部50は金属を曲げて形成されたものであってもよい。但し、第1支持部50の材料としては、金属板の場合よりも自由な形状をできることから樹脂の方が好ましい。主支持部52の厚み(Z方向のサイズ)は、圧電体板40の振動を伝達する観点から、0.2mm以上2.0mm以下であることが望ましい。また、第1支持部50は、圧電体板40の振動を伝達する観点から、ISO178に規定された弾性率が7.6GPa以上12.4GPa以下の絶縁体からなることが望ましい。
【0027】
図2に示されるように、第1支持部50の固定部54は、第2支持部24に固定されている。具体的には、第1支持部50は、第2支持部24に対して接着又は溶着されている。この固定により、圧電体板40の屈曲振動に応じて、第2支持部24は、垂直方向(所定方向:Z方向)と圧電体板40の長手方向(X方向)とに振動する。即ち、第1支持部50は、圧電体板40の振動に応じて第2支持部24が垂直方向に振動すると共に主面部材30と平行な方向(X方向)にも振動するように、第2支持部24に固定されている。第2支持部24の振動は、主面部材30に伝達され、主面部材30が振動して音響を発生する。このように、本実施の形態においては、圧電体板40の振動を第1支持部50及び第2支持部24を介して主面部材30に伝達することにより主面部材30を振動させて音響を発生させている。特に、本実施の形態の第2支持部24は、垂直方向と圧電体板40の長手方向とに振動することから、主面部材30は、捩じりが繰り返し加えられるように振動する。その結果、複数の共振点が発生することになり、良好な周波数特性を有する音響を発生させることができる。
【0028】
本実施の形態において、圧電体板40を支持する第1支持部50は、筐体20の第2支持部24に直接固定されており、筐体20内において圧電体板40を収容するためのケースなどは用いられていない。そのため、特許文献1や特許文献2の場合と異なり、圧電体板40を収容するためのケース等により音圧の減衰も生じず、また、筐体20内において必要とされるスペースも少なくて済む。即ち、本実施の形態の装置10は、小型化且つ薄型化された場合であっても、十分な音圧を確保することができる。
【0029】
また、本実施の形態によれば、第1支持部50が片持ち梁に近い状態で第2支持部24に固定されていることから、落下等により筐体20に衝撃が加わった場合でも、圧電体板40に伝わる衝撃を軽減することができる。
【0030】
上述した実施の形態において、図4に示されるように、圧電体板40に固定された錘70を更に備えることとしてもよいし、図5に示されるように、第1支持部50に固定された錘70aを更に備えることとしてもよい。このような錘70,70aを設けることとすると、錘70,70aの固定位置により、音圧の周波数特性の調整をすることができる。図4及び図5に示される錘70,70aの数は、夫々1つであったが、錘70,70aの数は、2つ以上であってもよい。
【0031】
(第2の実施の形態)
本発明の第2の実施の形態による装置は、図1及び図2に示される第1の実施の形態による装置10の変形であり、第1支持部の構成と第2支持部に対する固定構造以外については、同様の構成を備えている。従って、以下においては、第1支持部について詳細に説明する。
【0032】
図6及び図7を参照すると、本実施の形態による第1支持部50bは、圧電体板40を支持する板状の主支持部52bと、第2支持部24に固定される固定部54bとを有している。図6に示されるように、主支持部52bは、圧電体板40と同様、X方向に長手方向を有しており、Y方向に短手方向を有している。固定部54bは、主支持部52bの長手方向の一端近傍において主支持部52bと接続されている。詳しくは、固定部54bは、主支持部52bの長手方向の一端近傍に位置しており、主支持部52bの短手方向の一端から垂直方向に延びている。
【0033】
図6及び図7に示されるように、固定部54bには、複数の貫通孔56bが形成されている。図7に示されるように、固定部54bは、接着剤58bを用いて第2支持部24に固定されている。この固定により、上述した第1の実施の形態の場合と同様に、圧電体板40の振動を主面部材30(図1参照)に伝達することができる。
【0034】
更に、本実施の形態のように固定部54bに対して貫通孔56bを設けると、図7に示されるように、接着剤58bを用いて固定部54bを第2支持部24に接着固定する際に、接着剤58bが貫通孔56b内にも充填され、接着剤58bと固定部54bとの接着面積を大きくすることができるため、固定部54bの第2支持部24への固定強度を増すことができる。なお、同様の効果を得るためには、例えば、貫通孔56bに代えて、固定部54bの上端(+Z側端部)まで達する溝や固定部54bの側端(+X側端部や−X側端部)まで達する溝を形成することとしてもよい。
【0035】
(第3の実施の形態)
本発明の第3の実施の形態による装置は、図1及び図2に示される第1の実施の形態による装置10の変形であり、第1支持部の構成と第2支持部に対する固定構造以外については、同様の構成を備えている。従って、以下においては、第1支持部について詳細に説明する。
【0036】
図8及び図9を参照すると、本実施の形態による第1支持部50cは、圧電体板40を支持する板状の主支持部52cと、第2支持部24に固定される固定部54cとを有している。主支持部52cは、圧電体板40と同様、X方向に長手方向を有しており、Y方向に短手方向を有している。固定部54cは、ブロック形状を有しており、主支持部52cの長手方向の一端において主支持部52cと接続されている。詳しくは、固定部54cは、主支持部52cの長手方向の一端に位置しており、主支持部52cの長手方向において主支持部52cと並んでいる。
【0037】
図9に示されるように、固定部54cは、主支持部52cの長手方向において、第2支持部24に接着剤58cを用いて接着固定されている。このように固定部54cを第2支持部24に固定すると、圧電体板40の振動に応じて第2支持部24が垂直方向(所定方向)に振動し、それによって主面部材30(図1参照)が振動し、音響を発生させることができる。
【0038】
(第4の実施の形態)
本発明の第4の実施の形態による装置は、図1及び図2に示される第1の実施の形態による装置10の変形であり、第1支持部の構成と第2支持部に対する固定構造以外については、同様の構成を備えている。従って、以下においては、第1支持部について詳細に説明する。
【0039】
図10及び図11を参照すると、本実施の形態による第1支持部50dは、圧電体板40を支持する板状の主支持部52dと、第2支持部24に固定される固定部54dとを有している。図10に示されるように、主支持部52dは、圧電体板40と同様、X方向に長手方向を有しており、Y方向に短手方向を有している。固定部54dは、主支持部52dの長手方向の一端近傍において主支持部52bと接続されている。詳しくは、固定部54dは、主支持部52dの長手方向の一端近傍に位置しており、主支持部52dの短手方向の一端から主支持部52dと同じ平面内(XY平面内)に延びている。
【0040】
図11に示されるように、固定部54dは、第2支持部24に嵌め込まれ固定されている。固定手段は、例えば、接着であってもよいし超音波溶着であってもよい。この固定により、上述した第1の実施の形態の場合と同様に、圧電体板40の振動を主面部材30(図1参照)に伝達することができる。
【0041】
(第5の実施の形態)
本発明の第5の実施の形態による装置は、図1及び図2に示される第1の実施の形態による装置10の変形であり、第1支持部の構成と第2支持部に対する固定構造以外については、同様の構成を備えている。従って、以下においては、第1支持部について詳細に説明する。
【0042】
図12及び図13を参照すると、本実施の形態による第1支持部50eは、圧電体板40を支持する板状の主支持部52eと、第2支持部24に固定される固定部54eとを有している。主支持部52eは、圧電体板40と同様、X方向に長手方向を有しており、Y方向に短手方向を有している。固定部54eは、主支持部52eの長手方向の一端において主支持部52eと接続されている。詳しくは、固定部54eは、主支持部52eの長手方向の一端から垂直方向(所定方向)に延びている。
【0043】
図13に示されるように、固定部54eは、主支持部52eの長手方向において、第2支持部24に接着剤58eを用いて接着固定されている。このように固定部54eを第2支持部24に固定すると、圧電体板40の振動に応じて第2支持部24が垂直方向(所定方向)に振動し、それによって主面部材30(図1参照)が振動し、音響を発生させることができる。
【0044】
(第6の実施の形態)
本発明の第6の実施の形態による装置は、図1及び図2に示される第1の実施の形態による装置10の変形であり、第1支持部の構成と第2支持部に対する固定構造以外については、同様の構成を備えている。従って、以下においては、第1支持部について詳細に説明する。
【0045】
図14及び図15を参照すると、本実施の形態による第1支持部50fは、圧電体板40を支持する板状の主支持部52fと、第2支持部24に固定される固定部54fとを有している。主支持部52fは、圧電体板40と同様、X方向に長手方向を有しており、Y方向に短手方向を有している。固定部54fは、主支持部52fの長手方向の一端において主支持部52fと接続されている。詳しくは、固定部54fは、主支持部52fの長手方向の一端から主支持部52fと同じ平面内(XY平面内)に延びている。即ち、主支持部52fと固定部54fとは主支持部52fの長手方向(X方向)に並んでいる。
【0046】
図15に示されるように、固定部54fは、第2支持部24に嵌め込まれ固定されている。固定手段は、例えば、接着であってもよいし超音波溶着であってもよい。この固定により、圧電体板40の振動に応じて第2支持部24が垂直方向(所定方向)に振動し、それによって主面部材30(図1参照)が振動し、音響を発生させることができる。
【0047】
以上、本発明について、複数の実施の形態を掲げて説明してきたが、本発明は、これらに限定されるものではない。例えば、第1支持部50,50b,50c,50d,50e,50fは、筐体20の第2支持部24とは別体であるとして図示してきたが、本発明はこれに限定されるわけではない。例えば、第1支持部50,50b,50c,50d,50e,50fは、第2支持部24と同一材料からなり且つ一体成型されていてもよい。その場合、固定部54,54b,54c,54,54e,54は第2支持部24の一部であってもよい。
【実施例】
【0048】
上述した第1の実施の形態の構成(図1乃至図3参照)を備える実施例1,2を作製した。実施例1の第1支持部50は、ステンレス製であり、長さ13.0mm、幅4.5mm、厚さ1.0mmの主支持部52と、幅6.0mm、高さ3.0mm、厚さ1.0mmの固定部54とを有している。実施例2の第1支持部50は、ガラス繊維強化ポリアミド樹脂からなるものであり、実施例1と同じサイズを有している。
【0049】
図16は、上述した実施例1と実施例2の第1支持部50を備える装置10において発生する音響の音圧の周波数特性を示す。
【0050】
図16を参照すると、実施例1により発生した音響は、可聴域の上限3.3kHzを超えても充分な音圧を得ることができている。更に、実施例2により発生した音響は、1kHzから3kHzまでの辺りで実施例1の音圧を上回っている。
【符号の説明】
【0051】
10 装置
20 筐体
24 第2支持部
30 主面部材(ガラス板:振動板)
40 圧電体板
50,50b,50c,50d,50e,50f 第1支持部
52,52b,52c,52d,52e,52f 主支持部
54,54b,54c,54d,54e,54f 固定部
56b 貫通孔
58b,58c,58e 接着剤
60,62 外部電極
64 FPC
66,68 導体
70,70a 錘
【要約】
【課題】小型化且つ薄型化された電子機器内であっても十分な音圧を確保することのできる構造を提供すること。
【解決手段】装置10は、振動板として利用される主面部材30と、電気信号に応じて振動する圧電体板40と、圧電体板40を支持する第1支持部50と、筐体20とを備えている。筐体20は、主面部材30を支持すると共に主面部材30と交差するZ方向に延びる第2支持部24を有している。第1支持部50は、圧電体板40の振動に応じて第2支持部24が少なくともZ方向に振動するように、第2支持部24に固定されている。圧電体板40の振動を第1支持部50及び第2支持部24を介して主面部材30に伝達することにより、主面部材30を振動させて音響を発生させる。
【選択図】図2
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16