(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明の一実施形態による半導体装置を図面を参照して説明する。本実施形態においては、上記半導体装置として、例えば半導体記憶装置であるDRAMを例として説明する。
図1は同実施形態の構成例を示すDRAMにおけるサブセルアレイに分割されたセンスアンプ部分のレイアウトの平面図である。
以下の説明において、前述した
図8に示すように、n型のウェルNW1を形成する際、フォトレジストの開口部(ウェル形成のためのレジストパターン)を介してn型不純物のイオン注入を行いウェルを形成するプロセスを用い、ウェルNW1の外縁近傍のn型不純物濃度が不均一となる場合の対応について説明する。
【0017】
すなわち、本実施形態においては、
図1に示すように、上記センスアンプにおいて増幅動作を行うpMOSトランジスタ1−P1a、1−P2a、1−P1b、1−P2bを、不純物濃度が不均一なn型のウェルNW1の外縁50あるいは外縁51から離れた、不純物濃度が均一なウェル内部の領域Bに配置する。そして、高精度にて閾値電圧制御を行い、各組のセンスアンプのpMOSトランジスタ同士の閾値電圧Vthをできるだけ同じ値として、これらトランジスタ同士間の閾値電圧Vthの電圧差を、すでに述べた増幅を行う電圧ΔVより小さく形成するものである。以下、そのレイアウトの一例を説明する。
【0018】
上記半導体記憶装置においては、メモリから読み出されたデータを増幅する
図1に示すセンスアンプ回路からなるブロックをビット線の延在方向に対して垂直方向(図の上下方向)に多数接して配置し、センスアンプ列を形成している。そして、センスアンプ列の最端部にはダミーのセンスアンプ回路が配置される。
このブロックは、センスアンプ回路SA1及びSA2の2つのセンスアンプ回路から構成されている。各センスアンプ回路におけるそれぞれのMOSトランジスタは、ブロック内でビット線の延在方向に直線状に配置されている。これは、近年の半導体記憶装置の記憶容量の増加に伴って1メモリセル当たりの面積が小さくなり、これによりビット線のピッチも小さくなったため、レイアウトの都合上、ビット線のピッチとの関係でセンスアンプ列方向のセンスアンプ幅を大きくできないという理由によるものである。
【0019】
上記センスアンプ列は、その両端に隣接するメモリセル領域に挟まれるように形成されている。
そして、
図1のレイアウト図に示すように、n型のウェルNW1内に各MOSトランジスタのソース及びドレインを構成するp型の拡散層DP5(及びDP6)、DP1、DP2、DP3、DP4、DP7(及びDP8)が直線状に配列されている(図の左から右へ)。この配列方向と平行に、p型のウェルPW1内のMOSトランジスタのn型不純物の拡散層DN1、DN2、DN5、DN6、DN7が直線状に配列されている(図の右から左へ)。同様に、p型のウェルPW2内の各MOSトランジスタのn型の拡散層DN3、DN4、DN8、DN9、DN10も直線状に配列されている(図の左から右へ)。なお、
図1の各拡散層の配列順序は、
図2の各MOSトランジスタの配列順序に対応している。
【0020】
このセンスアンプ回路SA1及びSA2が形成された上記ブロックにおけるウェル構成は、p型の不純物が注入されたp型のウェルPW1及びPW2の間に、n型の不純物が注入されたn型のウェルNW1が形成された構成となっている。また、p型のウェルPW1がn型のウェルNW1と境界を接する辺と対向する辺(ウェルPW1の左側)は、メモリセルが形成されているp型のウェル領域と境界を接している。同様に、p型のウェルPW2がn型のウェルNW1と境界を接する辺と対向する辺(ウェルPW2の右側)は、メモリセルが形成されているp型のウェル領域と境界を接している。
この各ウェルの作成は従来と同様のプロセスにて行われており、n形のウェルNW1の外縁50あるいは51近傍の領域における領域A1及びA2において、すでに述べたように、n型不純物の濃度が不均一となっている。このため、ウェル内部に近づくにつれて、すなわちウェルの外縁50あるいは51から離れるに従い、n型不純物の濃度が徐々に均一化され、上記外縁50あるいは51からある距離(実験的に、予め使用する各プロセス毎に求められた距離であり、現在使用の製造プロセスにおいては約1μm)以上離れた領域Bはn型不純物の濃度が均一となっている。
【0021】
このため、電位を比較するビット線の組において、このビット線間の電位差である電圧ΔVを増幅するためのセンスアンプにおける増幅動作に用いるpMOSトランジスタ1−P1a及び1−P2aのトランジスタ対と、pMOSトランジスタ1−P2b及び1−P1bのトランジスタ対とを、ウェルNW1の外縁50あるいは51から離れたウェルNW1内の領域Bに形成している。すなわち、上記トランジスタを構成するp型不純物からなる拡散層(DP1、DP2、DP3、DP4)及びチャネル領域(ゲート配線層領域GP1、GP2、GP3、GP4)を、ウェルNW1の外縁50あるいは51から離れたウェルNW1内の領域Bに形成している。
図1のレイアウトの例では、pMOSトランジスタ1−P1aを構成するp型不純物からなる拡散層DP1が、ウェルNW1の外縁50から1.3μm離れてウェルNW1内の領域(領域B)に配置されている。pMOSトランジスタ1−P1bを構成する拡散層DP4についても、ウェルNW1の外縁51から同様の距離だけ離れてウェルNW1領域(領域B)に配置されている。
すなわち、本実施形態においては、センスアンプに用いられるような、ばらつきの少ない高精度の閾値電圧制御を行う必要のあるMOSトランジスタを、ウェルの不純物濃度が不均一な領域A1及びA2でなく、ウェルの不純物濃度が均一な領域Bに形成しているため、高精度にてMOSトランジスタの閾値電圧制御が行えることになる。したがって、センスアンプ回路において対として用いられるMOSトランジスタ間の閾値電圧Vthを実用上問題ない程度に等しくすることが可能であり、ビット線間における微少な電圧ΔVを高感度で正確に増幅するセンスアンプ回路を構成することができる。
【0022】
また、pMOSトランジスタ1−P1aとn型のウェルNW1の外縁50との間に、pMOSトランジスタ1−P3a及び1−P4aのp型不純物からなる拡散層(DP5、DP6)及びチャネル領域(ゲート配線層領域GP5)を形成することを検討した。同様に、pMOSトランジスタ1−P1bとウェルNW1の外縁51との間に、pMOSトランジスタ1−P3b及び1−P4bのp型不純物からなる拡散層(DP7、DP8)及びチャネル領域(ゲート配線層領域GP6)を形成することを検討した。
領域A1及びA2に形成されたpMOSトランジスタの閾値電圧Vthのばらつきを測定した結果、本来、不純物濃度が不均一であるため、高精度の閾値電圧制御が必要なMOSトランジスタを形成できない領域A1及びA2においても、ビット線に対してプリチャージを行うスイッチング機能、すなわちオン/オフ機能のみを必要とする、高精度の閾値電圧制御がそれほど必要のないMOSトランジスタであれば形成できることを確認した。
つまり、n型のウェルNW1内でセンスアンプを構成するpMOSトランジスタ1−P1aと1−P2a、又は1−P1bと1−P2bは、その動作上、特性パラメータである閾値電圧に高精度な制御が要求されものであり、ウェルNW1のn型不純物濃度のばらつきに伴うMOSトランジスタの閾値電圧Vthのばらつき(変動)が、これらpMOSトランジスタが搭載された集積回路の動作に与える影響が相対的に大きい素子である。本発明では、このような素子をセンシティブな素子と称する。従って、センスアンプを構成するpMOSトランジスタは、ウェルの不純物濃度のばらつきに対して相対的にセンシティブということになり、このようなセンシティブな素子は、ウェルNW1の外縁50あるいは51から離れたウェルNW1内の領域Bに形成する必要がある。
【0023】
一方、同じウェル内に配置されビット線のプリチャージ用であるpMOSトランジスタ1−P3aと1−P4a、又は1−P31bと1−P4bは、その動作上、特性パラメータである閾値電圧に高精度な制御が要求されず、ウェルNW1のn型不純物濃度のばらつきに伴うMOSトランジスタの閾値電圧Vthのばらつきが、これらpMOSトランジスタが搭載された集積回路の動作に与える影響が相対的に小さい素子である。本発明では、このような素子を非センシティブな素子と称する。つまり、これらプリチャージ回路を構成するpMOSトランジスタは、ウェルの不純物濃度のばらつきに対して相対的に非センシティブということになり、このような非センシティブな素子は、ウェルNW1の外縁50又は51の近傍である領域A1またA2に形成することができることを想到し、本発明に至ったものである。
ウェルの不純物濃度のばらつきによる影響を受ける素子の特性パラメータとしては、MOSトランジスタの閾値電圧Vthに以外にも、上述したように、MOSトランジスタのチャネル間リーク電流や、このウェルに逆導電型半導体層が接する接合を有するダイオードの接合容量、接合リーク電流、接合耐圧等がある。これらのトランジスタやダイオードを同一の半導体基板に搭載した半導体装置において、これらの素子が半導体装置上で適用される機能に応じて、センシティブ素子、又は非センシティブな素子に成り得ることは明らかである。
【0024】
このように、ウェルの不純物濃度のばらつきによる影響を受ける素子のある特性パラメータが、この素子の搭載された半導体装置の動作に対して与える影響が相対的に大きいセンシティブな素子をウェル外縁から離れたウェル内に配置し、この素子の搭載された半導体装置の動作に対して与える影響が相対的に小さい非センシティブな素子をウェル外縁の近傍に配置する、というのが本発明の基本的な技術的思想である。
ウェルの不純物濃度のばらつきに対して相対的にセンシティブな素子というのは、ウェルの不純物濃度が所定値ばらついたとき、この素子が搭載された半導体装置の期待される動作に与える影響が非センシティブな素子に比べて相対的に大きいということである。
また、半導体装置に期待される動作としては、機能的ものと特性的なものがあるが、製品としてこの両者を満足する必要がある。従って、機能的、特性的にできる限り大きな動作マージンを確保できるよう考慮して、ウェル内のセンシティブな素子と非センシティブな素子の配置を決定することになる。
【0025】
以上の説明から明らかなように、センスアンプに本発明を適用すると、高精度の閾値電圧制御を必要とするMOSトランジスタを形成できずに空いているウェル外縁50あるいは51近傍の領域A1及びA2を、高精度の閾値電圧制御を必要としないMOSトランジスタを形成することによって有効利用することが可能となり、MOSトランジスタを形成しない無駄な領域を生じさせず、チップ面積を増大させることなく、高精度にデータ読み出し可能なセンスアンプ回路を実現することができる。
また、本実施形態において、n型のウェルNW1の領域A1、A2には、上述したようにビット線プリチャージ用pMOSトランジスタ1−P3aと1−P4aの対、及び1−P3bと1−P4bの対を夫々配置した。これは、
図5におけるビット線プリチャージ用nMOSトランジスタ2−N6aと2−N7aの対、及び2−N6bと2−N7bの対の代わりとして配置したものである。つまり、ウェルNW1の領域A1、A2を有効に利用するため、ビット線プリチャージ用MOSトランジスタを
図5のnチャネル型からpチャネル型に変更して領域A1、A2に配置したものである。ここで、ビット線プリチャージ用pMOSトランジスタのゲート電極に、内部電源電圧VDD(例えば、1.4ボルト)と接地電位Vss(0ボルト)との間で振幅する
図5のBLイコライズ用MOS活性化信号の反転信号を印加することも可能である。
【0026】
しかし、pMOSトランジスタをnMOSトランジスタと同じサイズで形成した場合、pMOSトランジスタの方がオン時(ゲート電圧がVss:0ボルト)の電流駆動能力が低下することが知られている。そこで、ビット線プリチャージ用pMOSトランジスタのゲート電圧として内部電源電圧VDD(例えば、1.4ボルト)と負電位VBB(例えば、−0.5ボルト)との間で振幅するBLイコライズ用MOS活性化信号を、信号線BLPRBを介して印加しても良い。これにより、内部電源電圧VDDと接地電位Vssとの間よりさらに振幅が大きくなるため、ビット線プリチャージ用pMOSトランジスタのオン時(ゲート電圧がVBB:-0.5ボルト)の電流駆動能力が向上し、ビット線プリチャージの高速化を図ることができる。
また、ビット線プリチャージ用pMOSトランジスタ1−P3a、1−P4a、1−P3b及び1−P4bのオン時のゲート電圧をVBBとすることで、これらトランジスタの閾値電圧Vthがばらついたとしても、ビット線プリチャージとして十分なスピードを確保できる。
【0027】
上述したように、本実施形態によれば、センスアンプSA1(あるいは、SA2)を構成するpMOSトランジスタ1−P1a(1−P1b)及び1−P2a(1−P2b)がn型のウェルNW1において形成される位置を、ビット線プリチャージ用のpMOSトランジスタ1−P3a(1−P3b)及び1−P4a(1−P4b)が形成される位置に比べて、n型のウェルNW1の外縁50(51)からの距離がより大きい位置に配置した。そのため、不純物濃度が不均一な領域に形成することなく、pMOSトランジスタ1−P1a(1−P1b)及び1−P2a(1−P2b)の閾値電圧のバラツキを低減させ、ビット線間における微少な電位差である電圧ΔVを実用上問題のない高精度で増幅することが可能なセンスアンプを形成することができる。
【0028】
また、本実施形態によれば、上述したように、高精度の閾値電圧制御が必要なpMOSトランジスタ1−P1a(1−P1b)及び1−P2a(1−P2b)を形成する位置と、ウェルの外縁50(51)との間に、pMOSトランジスタ1−P1a(1−P1b)及び1−P2a(1−P2b)より低い精度の閾値電圧制御でもよいpMOSトランジスタ1−P3a(1−P3b)及び1−P4a(1−P4b)を形成した。そのため、ウェルの外縁50とpMOSトランジスタ1−P1a(1−P1b)及び1−P2a(1−P2b)との距離を離して空いた領域を有効に利用することとなり、チップの面積の増加を抑制することが可能となる。
【0029】
すなわち、ウェル(例えば、ウェルNW1)内に形成され、2組のセンスアンプを構成する第1のMOSトランジスタ(pMOSトランジスタ1−P1aと1−P2a、1−P1bと1−P2b)が、上記ウェルの外縁(外縁50あるいは51)から所定の距離離れた、ウェルの不純物濃度が均一となる領域Bに形成されている。
これにより、不純物濃度が不均一なウェル領域A1、A2から、第1のMOSトランジスタを離して形成することができるため、より不純物濃度が均一なウェル内の領域にて高精度の閾値電圧制御を行うことが可能となる。
【0030】
また、第2のMOSトランジスタ(pMOSトランジスタ1−P3a、1−P4a、1−P3b、1−P4b)を形成する位置に対し、該第2のMOSトランジスタに比して高精度の閾値電圧制御が必要な第1のMOSトランジスタ(pMOSトランジスタ1−P1aと1−P2a、1−P1bと1−P2b)を形成する位置を、該ウェル(ウェルNW1)の外縁(外縁50あるいは51)からの距離をより大きくして配置している。
これにより、ウェル外縁に隣接した不純物濃度が不均一な領域から、高精度の閾値電圧制御が必要な第1のMOSトランジスタを離して形成することができるため、より不純物濃度が均一なウェル内の領域に配置して高精度の閾値電圧制御を行うことが可能となる。
【0031】
また、第2のMOSトランジスタ(pMOSトランジスタ1−P3a、1−P4a、1−P3b、1−P4b)が、ウェル(ウェルNW1)の外縁(50あるいは51)と第1のMOSトランジスタ(pMOSトランジスタ1−P1aと1−P2a、あるいは1−P1bと1−P2a)の間に形成されている。
上述のように、この第2のMOSトランジスタはウェル外縁に隣接した不純物濃度が不均一なウェル領域に配置することが可能であるため、この領域に第2のMOSトランジスタを形成することで外縁に隣接した領域を有効に利用することとなり、チップの面積の増加を抑制することが可能となる。
【0032】
また、ウェル(ウェルNW1)がn型であり、第2のMOSトランジスタ(pMOSトランジスタ1−P3a、1−P4a、1−P3b、1−P4b)及び第1のMOSトランジスタ(MOSトランジスタ1−P1a、1−P1b)がpチャネル型であり、第2のMOSトランジスタをオン状態とする際、ゲートに負の電圧を印加しても良い。
これにより、ウェルの外縁近傍の不純物濃度が不均一な領域において形成された第2のMOSトランジスタをオンする場合、不純物濃度の不均一による閾値電圧のばらつきを補償すると共に、オン抵抗を小さくして電流駆動能力を増加させることができる。
【0033】
また、本実施形態において、
図8を参照して、p型不純物がイオン注入されて形成されたp型のウェルPW(ウェルNW1を形成することにより、ウェルPW1とPW2とに分離される)に対し、n型不純物をイオン注入することにより、n型のウェルNW1を形成する際、ウェルNW1内においてウェルNW1の外縁50あるいは51近傍における領域A1及びA2のn型の不純物濃度がウェル内において不均一となることを説明した。
しかしながら、p型のウェルを形成するために、p型不純物を注入する際、
図8と同様に、フォトレジストを全面に塗布し、リソグラフィ工程によりウェルを形成する位置に対応してフォトレジストを開口して、この開口部にp型不純物をイオン注入する場合、p型のウェルPW1の外縁50あるいはPW2の外縁51近傍において、不純物濃度が不均一となる。この領域にnMOSトランジスタを形成すると、
図8について述べたことと同様の理由により高精度の閾値電圧制御が行えなくなる。
【0034】
したがって、nMOSトランジスタを形成する際に、フォトレジストの開口部を介してイオン注入を行ってp型のウェルを形成するプロセスを用いる場合、上述した実施形態と同様に、高精度の閾値電圧制御を行う必要のあるMOSトランジスタを、比較的大きな閾値電圧のバラツキを許容するMOSトランジスタに比較してp型のウェルの外縁50及び51から離して形成する必要がある。
例えば、
図1において、ウェルPW1の外縁50から、nMOSトランジスタ1−N4a及び1−N5aまで所定の距離離し、すなわちn型不純物からなる拡散層(DN1、DN2)及びチャネル領域(ゲート配線層領域GN1、GN2)を、ウェルPW1の外縁50から所定の距離離れたウェルPW1内に形成する。このとき、上述した実施形態と同様に、ウェルPW1の外縁50と、nMOSトランジスタ1−N5aとの間に、nMOSトランジスタ1−N4a及び1−N5aに比較して低い精度の閾値電圧制御でも良い、スイッチング動作のみを行うnMOSトランジスタ1−N1aの拡散層DN5及びチャネル領域(ゲート配線層領域GN5)を配置することができる。このように配置することで、ウェルPW1の外縁50近傍領域を有効に利用することができ、チップの面積の増加を抑制することが可能となる。
【0035】
同様に、p型のウェルPW2の外縁51から、nMOSトランジスタ1−N4b及び1−N5bまでの距離を離し、すなわちn型不純物からなる拡散層(DN3、DN4)及びチャネル領域(ゲート配線層領域GN3、GN4)を、ウェルPW2の外縁51から離れたウェルPW2内に形成する。また、ウェルPW2の外縁51と、nMOSトランジスタ1−N4bとの間に、nMOSトランジスタ1−N4b及び1−N5bに比較して低い精度の閾値電圧制御でも良い、スイッチング動作のみを行うnMOSトランジスタ1−N1bの拡散層DN8及びチャネル領域(ゲート配線層領域GN8)を配置することができる。このように配置することで、ウェルPW2の外縁51近傍領域を有効に利用することができ、チップの面積の増加を抑制することができる。
【0036】
これにより、不純物濃度が不均一なウェルPW1の外縁50あるいはウェルPW2の外縁51に対し、高精度の閾値電圧制御が必要なnMOSトランジスタ1−N4a及び1−N5aとnMOSトランジスタ1−N4b及び1−N5bとを各々離して形成するこができる。そのため、ウェルの外縁近傍に比較して不純物濃度が均一なウェル領域において、それぞれのMOSトランジスタの高精度な閾値電圧制御を行うことが可能となる。ここで、n型のウェルNW1の外縁50あるいは51は、このウェルNW1と接するp型のウェルPW1、PW2の外縁でもある。
そして、ウェルPW1の外縁50と、nMOSトランジスタ1−N4a及び1−N5aとの距離を離し、また、ウェルPW2の外縁51と、nMOSトランジスタ1−N4b及び1−N5bとの距離を離した。そのため、それぞれの空いた領域に、低い精度の閾値電圧制御でも良いnMOSトランジスタ1−N1a、1−N1bをそれぞれ形成することで、この空いた領域を有効に利用することとなり、チップの面積の増加を抑制することができる。
【0037】
図2は、DRAMにおけるサブセルアレイに分割されたメモリセル領域における、
図1に示すレイアウトに対応したセンスアンプ回路の構成例を示す概念図である。
このセンスアンプ領域の両端にはメモリセル領域が配置されており、ビット線BLTa、BLTb、またビット線BLBa、BLBbそれぞれにメモリセルが接続されている。このメモリセルは、スイッチトランジスタと、このスイッチトランジスタを介してビット線に接続されるキャパシタから構成されている。このキャパシタにデータとして、スイッチトランジスタを介して電荷が蓄積あるいは放電され、「1」または「0」のデータが書き込まれる。
図5の従来例にてすでに述べたように、このキャパシタに蓄積される電荷量により、ビット線の変化する電圧ΔVが決定される。
【0038】
センスアンプ回路SA1は、pMOSトランジスタ1−P1a、1−P2a、1−P3a及び1−P4aと、nMOSトランジスタ1−N1a、1−N2a、1−N3a、1−N4a及び1−N5aとから構成されている。ただし、1−N3aは、センスアンプSA2側に配置されている。
また、センスアンプ回路SA2は、pMOSトランジスタ1−P1b、1−P2b、1−P3b及び1−P4bと、nMOSトランジスタ1−N1b、1−N2b、1−N3b、1−N4b及び1−N5bとから構成されている。ただし、1−N2bは、センスアンプSA
1側に配置されている。
以下、
図2の説明において、( )内は、センスアンプSA1の各構成に対応した、センスアンプSA2における構成を示している。
増幅動作を行うセンスアンプは、nMOSトランジスタ1−N5a(1−N5b)及び
1−P2a(1−P2b)が対となり、nMOSトランジスタ1−N4a(1−N4b)及び1−P1a(1−P1b)が対となっている。
【0039】
すなわち、pMOSトランジスタ1−P1a(1−P1b)は、ソースが電源ノードSA−P−MOSに接続され、ゲートがビット線BLBa(BLBb)に接続され、ドレインがビット線BLTa(BLTb)に接続されている。同様に、pMOSトランジスタ1−P2a(1−P2b)は、ソースが電源ノードSA−P−MOSに接続され、ゲートがビット線BLTa(BLTb)に接続され、ドレインがビット線BLBa(BLBb)に接続されている。
また、nMOSトランジスタ1−N4a(1−N4b)は、ドレインが電源ノードSA−N−MOSに接続され、ゲートがビット線BLBa(BLBb)に接続され、ソースがビット線BLTa(BLTb)に接続されている。同様に、nMOSトランジスタ1−N5a(1−N5b)は、ドレインが電源ノードSA−N−MOSに接続され、ゲートがビット線BLTa(BLTb)に接続され、ソースがビット線BLBa(BLBb)に接続されている。
【0040】
ここで、pMOSトランジスタ1−P1a及び1−P2a(1−P1b及び1−P2b)は、メモリセルのキャパシタに蓄積された電荷量による微小な電圧差を増幅するのに高精度の閾値電圧制御が必要なため、後述するようにスイッチングの機能のみを必要とし、ある程度の閾値電圧のバラツキを許容するpMOSトランジスタ1−P3a及び1−P4a(1−P3b及び1−P4b)に比較して、ウェルNW1の外縁50(51)から離れた距離に配置される。
【0041】
pMOSトランジスタ1−P3a(1−P3b)及び1−P4a(1−P4b)は、その配置がビット線の延在方向(メモリセルのビット線方向)に対して直交方向に配置され、各ゲートが信号線BLPRBに接続されている。pMOSトランジスタ
1−P3a(
1−P3b)は、ソースが信号線LVBLに接続され、ドレインがビット線BLTa(BLTb)に接続されている。また、pMOSトランジスタ1−P4a(1−P4b)は、ソースが信号線LVBLに接続され、ドレインがビット線BLBa(BLBb)に接続されている。ここで、ビット線のプリチャージを行うため、信号線BLPRBのプリチャージMOS活性化信号が負電位の信号レベル(例えば、−0.5ボルト)となると、pMOSトランジスタ1−P3a(1−P3b)及び1−P4a(1−P4b)のゲートに負電位が印加されることでオン状態となり、pMOSトランジスタ1−P3a(1−P3b)はビット線BLTa(BLTb)を電圧VBL(例えば、0.6ボルト)にプリチャージし、pMOSトランジスタ1−P4a(1−P4b)はビット線BLBa(BLBb)を電圧VBLにプリチャージする。
【0042】
nMOSトランジスタ1−N1a(1−N1b)は、ソースがビット線BLBa(BLBb)に接続され、ゲートが信号線BLEQTに接続され、ドレインがビット線BLTa(BLTb)に接続されている。信号線BLEQTを介してnMOSトランジスタ1−N1a(1−N1b)のゲートに対してイコライズMOS活性化信号の「H」レベル(内部電源電圧
VDD:例えば、1.4ボルト)が印加されると、nMOSトランジスタ1−N1a(1−N1b)はオン状態となり、ビット線BLTa(BLTb)とBLBa(BLBb)との電位を同様のプリチャージ電圧VBLとするイコライズ処理を行う。このとき、電源ノードSA−P−MOS及び電源ノードSA−N−MOSへの電源供給源がオフされており、これらのノードもプリチャージ電圧VBLにイコライズされている。
なお、上記信号線BLPRBに印加されるプリチャージMOS活性化信号は、上記信号線BLEQTに印加されるイコライズ用MOS活性化信号の反転信号である。
【0043】
nMOSトランジスタ1−N2a(1−N2b)は、ドレインがビット線BLTa(BLTb)に接続され、ゲートが信号線CLMに接続され、ソースがローカルIO線LIOTa(LIOTb)に接続されている。
nMOSトランジスタ1−N3a(1−N3b)は、ドレインがビット線BLBa(BLBb)に接続され、ゲートが信号線CLMに接続され、ソースがローカルIO線LIOBa(LIOBb)に接続されている。
信号線CLMに「H」レベルのカラム選択信号が印加されると、nMOSトランジスタ1−N2a(1−N2b)及び1−N3a(1−N3b)がオン状態となり、ビット線BLTa(BLTb)がローカルIO線LIOTa(LIOTb)に接続され、ビット線BLBa(BLBb)がローカルIO線LIOBa(LIOBb)に接続される。
【0044】
次に、
図2及び
図3を用い、本実施形態によるセンスアンプ回路の動作を説明する。
図3は、
図2に示すセンスアンプ回路の動作例を説明する波形図である。ここで、例として、ビット線BLTaに接続されたメモリセルからデータを読み出す場合を説明する。このメモリセルには「1」のデータが記憶されている。このため、センスアンプ回路SA1についての動作を説明するが、センスアンプ回路SA2においてセンスアンプ回路SA1と対応する制御信号が入力されるMOSトランジスタの各々は、センスアンプ回路SA1と同様の動作を行う。
【0045】
時刻t1において、信号線LVBLに対してビット線のプリチャージ電圧VBL(例えば、0.6ボルト)が印加されるとともに、信号線BLPRBを介して、pMOSトランジスタ1−P3a及び1−P4aのゲートに負電位VBB(例えば、−0.5ボルト)のプリチャージMOS活性化信号が印加されると、pMOSトランジスタ1−P3a及び1−P4aがオン状態となり、ビット線BLTa及びBLBaが電圧VBLにプリチャージされる。このとき、信号線BLEQTを介して、nMOSトランジスタ1−N1aのゲートに対し、「H」レベル(内部電源電圧VDD:例えば、1.4ボルト)のBLイコライズ用MOS活性化信号が印加されると、nMOSトランジスタ1−N1aがオン状態となり、ビット線BLTa及びBLBaがプリチャージ電圧VBLにイコライズされる。このとき、電源ノードSA−N−MOS及び電源ノードSA−P−MOSへの電源供給源がオフされており、これらのノードもプリチャージ電圧VBLにイコライズされている。
【0046】
そして、時刻t2において、信号線BLPRBを「H」レベル(内部電源電圧VDD)とし、信号線BLEQTを「L」レベル(接地電位VSS)とすると、nMOSトランジスタ1−N1a、pMOSトランジスタ1−P3a及び1−P4a各々がオフ状態となり、ビット線BLTa及びBLBaがオープン状態となり、電圧レベルがプリチャージ電圧VBLに維持された状態となる。
【0047】
次に、時刻t3において、ビット線BLTaに接続されている上記メモリセルに対応するワード線WLをアクティブ状態(
図3では電圧VPPの「H」レベルのオン状態:例えば、VPP=2.7ボルト)とすると、スイッチトランジスタ(nMOSトランジスタ)がオン状態となり、このスイッチトランジスタを介し、メモリセルからビット線BLTaに対してキャパシタに蓄積された電荷が移動し、ビット線BLTaの電位がこの電荷量に対応して電圧ΔV上昇する。
また、ビット線BLBaの電位がプリチャージ電圧VBLを維持するため、この結果、ビット線BLTa及びBLBa間にて電圧ΔVの電位差が発生することになる。
【0048】
そして、時刻t4において、電源ノードSA−N−MOSを接地電位VSSとし、電源ノードSA−P−MOSをVDL((例えば、1.2ボルト)とすることにより、ゲートにビット線BLTaが接続されたpMOSトランジスタ1−P2aに比較して、ゲートにビット線BLBaが接続されたpMOSトランジスタ1−P1aの方が、ビット線BLBaが電圧ΔV低い分だけより強くオン状態(オン抵抗小)となる。
一方、ゲートにビット線BLBaが接続されたnMOSトランジスタ1−N4aに比較して、ゲートにビット線BLTaが接続されたnMOSトランジスタ1−N5aの方が、ビット線BLTaが電圧ΔV高い分だけより強くオン状態(オン抵抗小)となる。
これにより、よりビット線BLTaの電位が上昇し、一方、ビット線BLBaの電位が下降し、最終的に、ビット線BLTaの電位が電源ノードSA−P−MOSのVDLとなり、ビット線BLBaの電位が接地電位Vssとなり、センスアンプにおける電圧ΔVの増幅動作が終了する。
【0049】
次に、時刻t5において、カラム選択信号CLMを「H」レベル(内部電源電圧VDD)とすることにより、nMOSトランジスタ1−N2a及び1−N3aがオン状態となり、ビット線BLTaがローカルIO線LIOTaに接続されることにより、増幅後のビット線BLTaの電位VDLがローカルIO線LIOTaに出力され、また、ビット線BLBaがローカルIO線LIOBaに接続されることにより、増幅後のビット線BLBaの電位VSSがローカルIO線LIOBaに出力される。
【0050】
そして、時刻t6において、カラム選択信号CLMを「L」レベル(接地電位)とすることにより、nMOSトランジスタ1−N2a及び1−N3aがオフ状態となり、ビット線BLTaがローカルIO線LIOTaから切り離され、また、ビット線BLBaがローカルIO線LIOBaから切り離される。
【0051】
次に、時刻t7において、ワード線WLが「L」レベル(接地電位Vss)となり、上記スイッチトランジスタがオフ状態となり、データの読み出しを行っていたメモリセルがビット線BLTaから切り離される。
そして、時刻t8以降において、メモリセルからの読み出しが継続される場合、時刻1から時刻7までの動作が繰り返されることになる。
【0052】
上述したように、本実施形態においては、センスアンプを構成するトランジスタのウェル内での配置を工夫することにより、高精度に閾値電圧制御されたpMOSトランジスタ1−P1a、1−P2a、または、pMOSトランジスタ1−P1b、1−P2bを実現することができる。そのため、pMOSトランジスタ1−P1a、1−P2a間の閾値電圧のバラツキ、あるいはpMOSトランジスタ1−P1b、1−P2b間の閾値電圧のバラツキを従来に比較して低く抑えることが可能となる。よって、従来に比較し、上記動作において、より上記電圧ΔVが低い場合でも増幅動作することが可能となり、チップ面積の増加を招くことなくメモリセルからのデータの読み出し精度を向上させることができる。
【0053】
次に、
図4を用いて、
図1から
図3を用いて説明した本実施形態が用いられた半導体記憶装置の説明を行う。この
図4は、本実施形態によるセンスアンプ回路が用いられた半導体記憶装置の構成例を示す概略ブロック図である。
ここでは、一例として、SDRAM(Synchronous Dynamic Random Access Memory)を用いて示す。
上記半導体記憶装置は、内部CLK(クロック)生成回路807、制御信号生成回路808、Xデコーダ・Xタイミング生成回路802、Yデコーダ・Yタイミング生成回路803、データ制御回路804、DLL(Delay Locked Loop)回路809、メモリアレイ801、データラッチ回路805、入出力インターフェース806を備えている。
【0054】
上記メモリアレイ801は、複数のメモリバンクBank0〜Bankmを具備する。メモリバンクBank0〜Bankmは、それぞれX制御回路31と、Y制御回路32と、複数のサブワードドライバ回路302と、複数のセンスアンプ列207と、複数のメモリマット列810a、810b、810c、…、とを有する。複数のメモリマット列810a、810b、810c、…、それぞれは、複数のメモリマットを有しており、メモリマットには複数のメモリセルが含まれて構成される。また、センスアンプ列207は、複数のセンスアンプ回路203を具備する。ここで、このセンスアンプ回路203が本実施形態のセンスアンプ回路に対応している。
【0055】
上記半導体記憶装置において、Xデコーダ・Xタイミング生成回路802が外部装置から入力されるアドレス信号ADDのロウ(X)・アドレスをデコードする。また、Yデコーダ・Yタイミング生成回路803が上記アドレス信号のカラム(Y)・アドレスをデコードする。また、半導体記憶装置は、上記デコード結果に応じ、メモリアレイ801が有するメモリバンクBank0〜Bankmのワード線WL及びビット線(BLTa、BLTb、BLBa、BLBb)を選択し、選択したワード線WL及びビット線(BLTa、BLTb、BLBa、BLBb)の交点に配置されたメモリセルMCに記憶されているデータを、センスアンプ列207のセンスアンプ回路203及びローカルIO線(LIOTa及びLIOBaのビット線対、またはLIOTb及びLIOBbのビット線対)を介して、読み出す又は、当該メモリセルMCにデータを記憶させる。入出力インターフェース806は、DLL回路809により外部クロックに同期して読み出したデータを外部装置に出力し、あるいは書き込むデータを外部装置から入力する。上記各回路は、内部CLK生成回路807が入力される外部クロックから生成した内部クロックにより動作する。
【0056】
本実施形態により形成されるセンスアンプ回路を用いることにより、メモリセルからのデータの読み出し精度が、従来に比較して向上した半導体記憶装置を提供することができる。
【0057】
以上述べたように、本発明は、ウェルへの不純物のイオン注入時におけるフォトレジストの側壁からの反射などの影響によりウェルの不純物濃度がばらつくという知見に基づき、ウェルの不純物濃度のばらつきによる影響を受ける特性パラメータを有する素子について、そのウェルの不純物濃度のばらつきに対して相対的にセンシティブな素子をウェル外縁から離れたウェル内に配置し、ウェルの不純物濃度のばらつきに対して相対的に非センシティブな素子をウェル外縁の近傍に配置するという新規な技術を提供するものである。