特許第5676180号(P5676180)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 三星ディスプレイ株式會社の特許一覧

特許5676180ヘテロ環化合物及びこれを利用した有機発光素子
<>
  • 特許5676180-ヘテロ環化合物及びこれを利用した有機発光素子 図000046
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5676180
(24)【登録日】2015年1月9日
(45)【発行日】2015年2月25日
(54)【発明の名称】ヘテロ環化合物及びこれを利用した有機発光素子
(51)【国際特許分類】
   C07D 487/06 20060101AFI20150205BHJP
   H01L 51/50 20060101ALI20150205BHJP
   C09K 11/06 20060101ALI20150205BHJP
【FI】
   C07D487/06CSP
   H05B33/22 B
   H05B33/14 B
   C09K11/06 690
【請求項の数】18
【全頁数】40
(21)【出願番号】特願2010-187450(P2010-187450)
(22)【出願日】2010年8月24日
(65)【公開番号】特開2011-51984(P2011-51984A)
(43)【公開日】2011年3月17日
【審査請求日】2013年7月1日
(31)【優先権主張番号】10-2009-0083155
(32)【優先日】2009年9月3日
(33)【優先権主張国】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】512187343
【氏名又は名称】三星ディスプレイ株式會社
【氏名又は名称原語表記】Samsung Display Co.,Ltd.
(74)【代理人】
【識別番号】100070024
【弁理士】
【氏名又は名称】松永 宣行
(74)【代理人】
【識別番号】100159042
【弁理士】
【氏名又は名称】辻 徹二
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100095500
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 正和
(72)【発明者】
【氏名】金 榮 國
(72)【発明者】
【氏名】▲黄▼ ▲晢▼ 煥
(72)【発明者】
【氏名】郭 允 鉉
(72)【発明者】
【氏名】▲鄭▼ 惠 珍
(72)【発明者】
【氏名】李 鍾 赫
(72)【発明者】
【氏名】林 珍 ▲娯▼
(72)【発明者】
【氏名】高 煕 周
【審査官】 松澤 優子
(56)【参考文献】
【文献】 特表2008−521243(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07D
C09K
H01L
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記化学式(1)のヘテロ環化合物:
【化1】
前記化学式(1)で、Arは、置換または非置換のC−C60アリール基、置換または非置換のC−C60ヘテロアリール基、或いは置換または非置換のC−C50アリールアミノ基を示し、
ないしRは互いに独立して、水素、重水素、置換または非置換のC−C50アルキル基、置換または非置換のC−C50アルコキシ基、置換または非置換のC−C50アルコキシカルボニル基、置換または非置換のC−C60アリール基、置換または非置換のC−C50アリールオキシ基、置換または非置換のC−C50アリールチオ基、置換または非置換のC−C50アリールアミノ基、置換または非置換のC−C50脂環式基、置換または非置換のC−C60ヘテロ環基、ハロゲン原子、シアノ基、ヒドロキシル基、またはカルボキシル基を示す
【請求項2】
前記化学式(1)でArは、
フェニル基、ナフチル基、ビフェニル基、ターフェニル基、フルオレニル基及びカルバゾリル基から選択される一環ないし三環の基;またはそれらの基の水素原子が、C−Cアルキル基、C−Cアルコキシ基、シアノ基、アミン基、フェノキシ基、フェニル基及びハロゲン元素からなる群から選択された1個ないし3個で置換された前記一環ないし三環の基であることを特徴とする請求項1に記載のヘテロ環化合物。
【請求項3】
前記化学式(1)でR及びRが、
メチル基;フェニル基、ナフチル基、ビフェニル基、ターフェニル基、フルオレニル基及びカルバゾリル基から選択される一環ないし三環の基;またはそれらの基の水素原子が、C−Cアルキル基、C−Cアルコキシ基、シアノ、−N(R’)(R”)(R’及びR”は互いに独立して、水素、C−C20アルキル基、C−C20アリール基、C−C20ヘテロアリール基のうちから選択される)、C−Cアルキルフェノキシ基、フェニル基及びハロゲン原子からなる群から選択された1個ないし3個の置換基で置換された前記一環ないし三環の基であることを特徴とする請求項1又は2に記載のヘテロ環化合物。
【請求項4】
前記化学式(1)の化合物が、
下記化学式(2)ないし(4)で表示される化合物のうちから選択された一つであることを特徴とする請求項1に記載のヘテロ環化合物:
【化2】
前記化学式(2)でArは、置換または非置換のC−C60アリール基、置換または非置換のC−C60ヘテロアリール基、或いは置換または非置換のC−C50アリールアミノ基を示し、
【化3】
【化4】
前記化学式(3)及び(4)でArは、置換または非置換のC−C60アリール基、置換または非置換のC−C60ヘテロアリール基、或いは置換または非置換のC−C50アリールアミノ基
を示し、
Rは、水素、重水素、C−C20アルキル基、C−C20アルコキシ基、C−C20アルコキシカルボニル基、C−C20アリール基、C−C20アリールオキシ基、C−C20アリールチオ基、C−C20アリールアミノ基、C−C20脂環式基、C−C20ヘテロ環基、ハロゲン原子、シアノ基、ヒドロキシル基、またはカルボキシル基を示し、Rが前記アリール基及びヘテロ環基である場合、Rが結合されているフェニル基と縮合していてよく、
は、1ないし5の整数である。
【請求項5】
前記化学式(2)ないし(4)でArは、
フェニル基、ナフチル基、ビフェニル基、ターフェニル基、フルオレニル基及びカルバゾリル基から選択される一環ないし三環の基;またはそれらの基の水素原子が、C−Cアルキル基、C−Cアルコキシ基、シアノ基、アミン基、フェノキシ基、フェニル基及びハロゲン元素からなる群から選択された1個ないし3個で置換された前記一環ないし三環の基であることを特徴とする請求項4に記載のヘテロ環化合物。
【請求項6】
前記化学式(2)ないし(4)で、Arは、
下記構造式で表示される基のうち一つであることを特徴とする請求項4又は5に記載のヘテロ環化合物:
【化5】
【請求項7】
前記化学式(3)または(4)で、下記の基
【化6】
は、フェニル基、ナフチル基、またはアントラセニル基であることを特徴とする請求項4〜6のいずれか1項に記載のヘテロ環化合物。
【請求項8】
前記化学式(1)の化合物が、
下記化学式で表示される化合物のうちから選択されることを特徴とする請求項1に記載のヘテロ環化合物:
【化7】
【請求項9】
第1電極、第2電極及びそれらの間に介在された有機膜を具備する有機発光素子において、前記有機膜が請求項1〜8のいずれか1項に記載のヘテロ環化合物を含む有機発光素子。
【請求項10】
前記有機膜が、電子注入層または電子輸送層であることを特徴とする請求項9に記載の有機発光素子。
【請求項11】
前記有機膜が、電子注入能及び電子輸送能を同時に有する単一膜、または発光層であることを特徴とする請求項9に記載の有機発光素子。
【請求項12】
前記有機膜が発光層であり、
前記化学式(1)のヘテロ環化合物が、蛍光またはリン光のホストとして使われることを特徴とする請求項9に記載の有機発光素子。
【請求項13】
前記有機膜が発光層、電子輸送層及び電子注入層を含み、
前記電子輸送層または電子注入層が、請求項1〜8のいずれか1項に記載のヘテロ環化合物を含み、
前記発光層がアントラセンもしくはその誘導体、C−C60ヘテロ環化合物、またはスチリルアレーンもしくはその誘導体を含むことを特徴とする請求項9に記載の有機発光素子。
【請求項14】
前記有機膜が発光層、電子輸送層及び電子注入層を含み、
前記電子注入層または電子輸送層が、請求項1〜8のいずれか1項記載のヘテロ環化合物を含み、
前記発光層を構成する赤色発光層、緑色発光層、青色発光層及び白色発光層のうち、少なくとも1層の発光層がリン光化合物を含むことを特徴とする請求項9に記載の有機発光素子。
【請求項15】
前記有機膜が、正孔注入層、正孔輸送層、電子阻止層、発光層、正孔阻止層、電子輸送層及び電子注入層からなる群から選択された1層以上の層を含むことを特徴とする請求項9に記載の有機発光素子。
【請求項16】
前記素子が、第1電極/正孔注入層/発光層/第2電極、第1電極/正孔注入層/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/第2電極、または第1電極/正孔注入層/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/電子注入層/第2電極の構造を有することを特徴とする請求項15に記載の有機発光素子。
【請求項17】
請求項9〜16のいずれか1項に記載の有機発光素子を具備し、前記有機発光素子の第1電極が、薄膜トランジスタのソース電極またはドレイン電極と電気的に連結された平板表示装置。
【請求項18】
請求項9〜16のいずれか1項に記載の有機発光素子を具備し、前記有機膜が、請求項1〜8のいずれか1項に記載のヘテロ環化合物を使用した湿式工程で形成された層の少なくとも一つを含むことを特徴とする有機発光素子。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規な構造を有するヘテロ環化合物及びこれを利用した有機発光素子に関する。
【背景技術】
【0002】
電界発光素子(EL(electroluminescent) device)は、自発光型表示素子であり、視野角が広く、コントラストにすぐれるだけではなく、応答時間が短いという長所を有しているために、大きな注目を集めている。
【0003】
電界発光素子は、発光層の材料によって、無機化合物を使用する無機発光素子と、有機化合物を使用する有機発光素子とに大別される。
このうち、特に有機発光素子は、無機電界発光素子に比べて、輝度、駆動電圧及び応答速度特性にすぐれ、多色化が可能であるという点で、多くの研究がなされている。有機電界発光素子は、一般的に、アノード/有機発光層/カソードの積層構造を有し、前記アノードと発光層との間、または発光層とカソードとの間に、正孔注入層及び/または正孔輸送層、あるいは電子注入層をさらに積層し、アノード/正孔輸送層/有機発光層/カソード、アノード/正孔輸送層/有機発光層/電子輸送層/カソードなどの構造を有する。
【0004】
前記発光層の形成材料として、アントラセン誘導体が周知である(特許文献1及び2)。しかし、これまで公知の発光層の形成材料からなる発光層を有する有機発光素子は、寿命、発光効率及び消費電力特性で、満足すべきレベルに至ることができず、改善の余地が多く残されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】米国特許第6,596,415号明細書
【特許文献2】米国特許第6,465,115号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、電気的な安定性と高い電荷輸送能とを有し、ガラス転移温度が高く、かつ結晶化を防止でき、赤色、緑色、青色、白色などのあらゆるカラーの蛍光及びリン光の有機発光素子に適した有機膜の形成材料及びその製造方法、前記有機膜を具備する有機発光素子及び平板表示装置を提示するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一側面によって、下記化学式(1)で表示されるヘテロ環化合物が提供される。
【化1】
前記化学式(1)で、Arは、置換または非置換のC−C60アリール基、置換または非置換のC−C60ヘテロアリール基、或いは置換または非置換のC−C50アリールアミノ基を示し、RないしRは互いに独立して、水素、重水素、置換または非置換のC−C50アルキル基、置換または非置換のC−C50アルコキシ基、置換または非置換のC−C50アルコキシカルボニル基、置換または非置換のC−C60アリール基、置換または非置換のC−C50アリールオキシ基、置換または非置換のC−C50アリールチオ基、置換または非置換のC−C50アリールアミノ基、置換または非置換のC−C50脂環式基、置換または非置換のC−C60ヘテロ環基、ハロゲン原子、シアノ基、ヒドロキシル基、またはカルボキシル基を示し、R,R,R,R及びRのうち、隣接した置換基が互いに結合して環を形成していてよい。
本発明の他の側面によって、第1電極、第2電極及びそれらの間に介在された有機膜を具備する有機発光素子において、前記有機膜の少なくとも1層が前述のヘテロ環化合物を含んだことを特徴とする有機発光素子によってなる。
本発明のさらに他の側面によって、前述の有機発光素子を具備し、前記有機発光素子の第1電極が、薄膜トランジスタのソース電極またはドレイン電極と電気的に連結されたことを特徴とする平板表示装置が提供される。
本発明のさらに他の側面によって、有機発光素子を具備し、前記有機発光素子の1層または複層を、前述のヘテロ環化合物を使用した湿式工程で形成したことを特徴とする有機発光素子が提供される。
【発明の効果】
【0008】
化学式(1)で表示されるヘテロ環化合物は、ガラス転移温度または融点が高く、電界発光時に、有機層と金属電極との間に発生するジュール熱に対する耐熱性、及び高温環境下での耐性に優れ、電気的特性及び電荷輸送能にすぐれる。従って、このようなヘテロ環化合物は、赤色、緑色、青色、白色などのあらゆるカラーの蛍光素子及びリン光素子に適した正孔注入特性及び正孔伝達特性にすぐれる正孔注入材料及び/または正孔輸送材料として有用であるだけではなく、発光層材料としても使われうる。
前記化学式(1)のヘテロ環化合物を含む有機膜を採用すれば、保存時及び駆動時の耐久性にすぐれ、高効率、低駆動電圧、高輝度の有機発光素子を製作できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の一実施例による有機電界発光装置の概略的な構成を表す図面である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
下記化学式(1)で表示されるヘテロ環化合物が提供され、該化合物は、有機発光素子の有機膜の形成材料として使用可能である。
【化2】
前記化学式(1)で、Arは、置換または非置換のC−C60アリール基、置換または非置換のC−C60ヘテロアリール基、或いは置換または非置換のC−C50アリールアミノ基、を示し、RないしRは互いに独立して、水素、重水素、置換または非置換のC−C50アルキル基、置換または非置換のC−C50アルコキシ基、置換または非置換のC−C50アルコキシカルボニル基、置換または非置換のC−C60アリール基、置換または非置換のC−C50アリールオキシ基、置換または非置換のC−C50アリールチオ基、置換または非置換のC−C50アリールアミノ基、置換または非置換のC−C50脂環式基、置換または非置換のC−C60ヘテロ環基、ハロゲン原子、シアノ基、ヒドロキシル基、またはカルボキシル基を示し、R,R,R,R及びRのうち、隣接した置換基が互いに結合して環を形成していてよい。
【0011】
前記化学式(1)で、Arは、C−C60(例えば、C−C18)置換または非置換のアリール基、またはC−C60(例えば、C−C20)置換または非置換のヘテロアリール基を示す。
【0012】
前記化学式(1)中、Arで表示されるC−C60アリール基は、単環式もしくは多環式芳香族基を意味し、多環式基である場合、互いに融合され(fused)、または単結合などを介して連結されうる。例えば、フェニル基、ナフチル、アントラセニルのような縮合多環基、ビフェニル、ターフェニル基等を含む。また、前記アリール基のうち一つ以上の水素原子は、前述のC−C50アルキル基の置換基と同じ置換基で置換可能である。アリールオキシ基、アリールチオ基、アリールアミノ基等におけるアリール基においても同様である。
【0013】
置換または非置換のC−C60アリール基の例としては、フェニル基、C−C10アルキルフェニル基(例えば、エチルフェニル基)、ハロフェニル基(例えば、o−,m−及びp−フルオロフェニル基、ジクロロフェニル基)、シアノフェニル基、ジシアノェニル基、トリフルオロメトキシフェニル基、ビフェニル基、ハロビフェニル基、シアノビフェニル基、C−C10アルキルビフェニル基、C−C10アルコキシビフェニル基、o−,m−及びp−トリル基、o−,m−及びp−クメニル基、メシチル基、フェノキシフェニル基、(α,α−ジメチルベンゼン)フェニル基、(N,N’−ジメチル)アミノフェニル基、(N,N’−ジフェニル)アミノフェニル基、ペンタレニル基、インデニル基、ナフチル基、ハロナフチル基(例えば、フルオロナフチル基)、C−C10アルキルナフチル基(例えば、メチルナフチル基)、C−C10アルコキシナフチル基(例えば、メトキシナフチル基)、シアノナフチル基、アントラセニル基、アズレニル基、ヘプタレニル基、アセナフチレニル基、フェナレニル基、フルオレニル基、アントラキノリル基、メチルアントリル基、フェナントリル基、トリフェニレン基、ピレニル基、クリセニル基、エチル−クリセニル基、ピセニル基、ペリレニル基、クロロペリレニル基、ペンタフェニル基、ペンタセニル基、テトラフェニレニル基、ヘキサフェニル基、ヘキサセニル基、ルビセニル基、コロネリル基、トリナフチレニル基、ヘプタフェニル基、ヘプタセニル基、ピラントレニル基、オバレニル基などを挙げることができる。
【0014】
前記化学式(1)中、Arで表示されるC−C60ヘテロアリール基は、N,O,PまたはSのうちから選択された1,2または3個のヘテロ原子を含む、単環式もしくは多環式基を意味し、多環式である場合、それらは、互いに融合され、または単結合などを介して連結されうる。非置換のC−C60ヘテロアリール基の例としては、ピラゾリル基、イミダゾリル基、オキサゾリル基、チアゾリル基、トリアゾリル基、テトラゾリル基、オキサジアゾリル基、ピリジニル基、ピリダジニル基、ピリミジニル基、トリアジニル基、カルバゾリル基、インドリル基、キノリニル基、イソキノリニル基などを挙げることができる。また、前記ヘテロアリール基のうち一つ以上の水素原子は、後述のC−C50アルキル基の置換基と同じ置換基で置換可能である。
【0015】
前記化学式(1)中、Arで表示されるC−C50アリールアミノ基は、−NAで表示される基であり、このとき、A及びAは、前記C−C60アリール基のうちの、炭素数6〜50のものが包含される。該アリールアミノ基の例としては、ジフェニルアミノ基、ジナフチルアミノ基、あるいはジフルオレニルアミノ基などを挙げることができる。該アリールアミノ基のうち、一つ以上の水素原子は、後述の置換基で置換可能である。
【0016】
前記化学式で、RないしRで表示されるC−C50アルキル基は、線形及び分枝型であって、その非制限的な例としては、メチル、エチル、プロピル、イソブチル、sec−ブチル、ペンチル、iso−アミル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノナニル、デシルなどを挙げることができる。前記アルキル基のうち一つ以上の水素原子は、重水素原子、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、ニトロ基、シアノ基、アミノ基、アミジノ基、ヒドラジン、ヒドラゾン、カルボキシル基やその塩、スルホン酸基やその塩、リン酸やその塩、C−C10アルキル基、C−C10アルコキシ基、C−C10アルケニル基、C−C10アルキニル基、C−C16アリール基、またはC−C16ヘテロアリール基で置換されうる。
【0017】
前記化学式で、RないしRで表示されるC−C50のアルコキシ基とは、−OA(ここで、Aは前述のような非置換のC−C50アルキル基である)の構造を有する基であり、その非制限的な例として、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロピルオキシ、ブトキシ、ペントキシなどを挙げることができる。それらアルコキシ基のうち、少なくとも一つ以上の水素原子は、後述の置換基で置換可能である。
【0018】
前記化学式で、RないしRで表示されるアルコキシカルボニル基の例としては、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、n−プロポキシカルボニル基、イソ−プロポキシカルボニル基、n−ブトキシカルボニル基、tert−ブトキシカルボニル基などを含む。例としては、メトキシカルボニル基及びエトキシカルボニル基である。
【0019】
前記化学式で、RないしRで表示されるアリールオキシ基の例としては、フェニルオキシ基、1−ナフチルオキシ基、2−ナフチルオキシ基、4−ビフェニリルオキシ基、p−ターフェニル−4−イルオキシ基、p−トリルオキシ基などを含む。例としては、フェニルオキシ基及び2−ナフチルオキシ基である。
【0020】
ないしRで表示されるアリールチオ基の例としては、フェニルチオ基、1−ナフチルチオ基、2−ナフチルチオ基、4−ビフェニリルチオ基、p−ターフェニル−4−イルチオ基、p−トリルチオ基などを含む。例としては、フェニルチオ基及び2−ナフチルチオ基である。
【0021】
ないしRで表示されるC−C50アリールアミノ基は、Arに関して上述したものを同様である。
【0022】
前記化学式で、C−C50脂環式基は、C−C50環状のアルキル基、例えばシクロペンチル基、シクロヘキシル基等を意味し、前記脂環式基のうち一つ以上の水素原子は、後述の置換基で置換可能である。
【0023】
前記化学式で、C−C60ヘテロ環基は、N,O,PまたはSのうちから選択された1,2または3個のヘテロ原子を含むC−C60環状の基を意味し、上記へテロアリール基及びピペリジン等のヘテロシクロ環を包含する。前記へテロ環基のうち一つ以上の水素原子は、後述の置換基で置換可能である。
【0024】
前記化学式で、ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨード原子などを挙げることができる。
【0025】
前述の各基はさらに置換され、2以上の基が存在する場合、互いに同一でもあり、または異なることもある。また、可能な場合であるならば、それらは互いに連結されて環を形成してよい。
【0026】
Ar、RないしRの各基の水素原子を置換し得る置換基の例としては、アルキル基(例えば、C−C20,C−C12,C−Cアルキル基、その例としては、メチル、エチル、イソ−プロピル、tert−ブチル、n−オクチル、n−デシル、n−ヘキサデシル、シクロプロピル、シクロペンチル、シクロヘキシルなどを含む);アルケニル基(例えば、C−C20,C−C12,C−Cアルケニル基、その例としては、ビニル、アリル、2−ブテニル、3−ペンテニルなどを含む);アルキニル基(例えば、C−C20,C−C12,C−Cアルケニル基、その例としては、3−ペンチニルなどを含む);アミノ基(例えば、C−C20,C−C12,C−Cアミノ基、その例としては、アミノ、メチルアミノ、ジメチルアミノ、ジエチルアミノ、ジフェニルアミノ、ジベンジルアミノなどを含む);アルコキシ基(例えば、C−C20,C−C12,C−Cアルキル基、その例としては、メトキシ、エトキシ、ブトキシなどを含む);アリールオキシ基(例えば、C−C20,C−C16,C−C12アリールオキシ基、その例としては、フェニルオキシ、2−ナフチルオキシなどを含む);アシル基(例えば、C−C20,C−C16,C−C12アシル基、その例としては、アセチル、ベンゾイル、ホルミル、ピバロイルなどを含む);アルコキシカルボニル基(例えば、C−C20,C−C16,C−C12アルコキシカルボニル基、その例としては、メトキシカルボニル、エトキシカルボニルなどを含む);アリールオキシカルボニル基(例えば、C−C20,C−C16,C−C10アリールオキシカルボニル基、その例としては、フェニルオキシカルボニルなどを含む);アシルオキシ基(例えば、C−C20,C−C16,C−C10アシルオキシ基、その例としては、アセトキシ、ベンゾイルオキシなどを含む);アシルアミノ基(例えば、C−C20,C−C16,C−C10アシルアミノ基、その例としては、アセチルアミノ、ベンゾイルアミノなどを含む);アルコキシカルボニルアミノ基(例えば、C−C20,C−C16,C−C12アルコキシカルボニルアミノ基、その例としては、メトキシカルボニルアミノなどを含む);アリールオキシカルボニルアミノ基(例えば、C−C20,C
−C16,C7−C12−C50アリールオキシカルボニルアミノ基、その例としては、フェニルオキシカルボニルアミノなどを含む);スルホニルアミノ基(例えば、C−C20,C−C16,C−C12スルホニルアミノ基、その例としては、メタンスルホニルアミノ、ベンゼンスルホニルアミノなどを含む);スルファモイル基(例えば、C−C20,C−C16,C−C12スルファモイル基;その例としては、スルファモイル、メチルスルファモイル、ジメチルスルファモイル、フェニルスルファモイルなどを含む);カルバモイル基(例えば、C−C20,C−C16,C−C12カルバモイル基、その例としては、カルバモイル、メチルカルバモイル、ジエチルカルバモイル、フェニルカルバモイルなどを含む);アルキルチオ基(例えば、C−C20,C−C16,C−C12アルキルチオ基、その例としては、メチルチオ、エチルチオなどを含む);アリールチオ基(例えば、C−C20,C−C16,C−C12アリールチオ基、その例としては、フェニルチオなどを含む);スルホニル基(例えば、C−C20,C−C16,C−C12スルホニル基、その例としては、メシル、トシルなどを含む);スルフィニル基(例えば、C−C20,C−C16,C−C12スルフィニル基、その例としては、メタンスルフィニル、ベンゼンスルフィニルなどを含む);ウレイド基(例えば、C−C20,C−C16,C−C12ウレイド基、その例としては、ウレイド、メチルウレイド、フェニルウレイドなどを含む);リン酸アミド基(例えば、C−C20,C−C16,C−C12リン酸アミド基、その例としては、ジエチルリン酸アミド、フェニルリン酸アミドなどを含む);ヒドロキシル基;メルカプト基;ハロゲン原子(例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子及びヨード原子);シアノ基;スルホ基;カルボキシル基;ニトロ基;ヒドロキサム酸基;スルフィノ基;ヒドラジノ基;イミノ基;ヘテロ環基(例えば、C−C30,C−C15ヘテロ環基、ヘテロ原子の例としては、窒素原子、酸素原子、硫黄原子であり、ヘテロ環基の具体的な例としては、イミダゾリル、ピリジル、キノリル、フリル、チエニル、ピペリジル、モルフォリノ、ベンズオキサゾリル、ベンズイミダゾリル、ベンゾチアゾイル、カルバゾリルなど
を含む);シリル基(例えばC−C40,C−C30,C−C24シリル基、その例としては、トリメチルシリル、トリフェニルシリルなどを含む)などを含む。これらの置換体は、さらに置換されうる。また、2以上の置換体がある場合、前記置換体は、互いに同一であるか、または異なることもある。また、可能な場合であるならば、互いに連結されて環を形成できる。
【0027】
前記化学式(1)のヘテロ環化合物は、下記化学式(2)ないし(4)で表示される化合物のうちから選択されることが好ましい。
【化3】
前記化学式(2)で、Arは、置換または非置換のC−C60アリール基、置換または非置換のC−C60ヘテロアリール基、置換または非置換のC−C50アリールアミノ基を示す。
【化4】
【化5】
前記化学式(3)及び(4)で、Arは、置換または非置換のC−C60アリール基、置換または非置換のC−C60ヘテロアリール基、または置換または非置換のC−C50アリールアミノ基を示し、Rは、水素、重水素,C−C20アルキル基,C−C20アルコキシ基、C−C20アルコキシカルボニル基、C−C20アリール基、C−C20アリールオキシ基、C−C20アリールチオ基、C−C20アリールアミノ基、C−C20脂環式基、C−C20ヘテロ環基ハロゲン原子、シアノ基、ヒドロキシル基、またはカルボキシル基を示し、Rが前記アリール基及びヘテロ環基である場合、Rが結合されているフェニル基と縮合していてよく、あるいは隣接した置換基が互いに結合して環を形成していてよく、nは、1ないし5の整数である。
【0028】
一実施例によれば、前記化学式(1)ないし(4)で、Arは、フェニル基、ナフチル基、ビフェニル基、ターフェニル基、フルオレニル基及びカルバゾリル基から選択される一環ないし三環の基、またはそれらの基の水素原子が、C−Cアルキル基、C−Cアルコキシ基、シアノ基、アミン基、フェノキシ基、フェニル基及びハロゲン元素からなる群から選択された1個ないし3個で置換された前記一環ないし三環の基でありうる。
【0029】
一実施例によれば、前記化学式(1)ないし(4)でR及びRが、メチル基;フェニル基、ナフチル基、ビフェニル基、ターフェニル基、フルオレニル基及びカルバゾリル基から選択される一環ないし三環の基;またはそれらの基の水素原子が、C−Cアルキル基、C−Cアルコキシ基、シアノ基、−N(R’)(R”)(R’及びR”は互いに独立して、水素、C−C20アルキル基、C−C20アリール基、C−C20ヘテロアリール基のうちから選択される)、C−Cアルキルフェノキシ基、フェニル基及びハロゲン原子からなる群から選択された1個ないし3個の置換基で置換された前記一環ないし三環の基である。
【0030】
前記化学式(1)、特に化学式(1)ないし(4)で、Arは、下記構造式で表示される基のうち一つでありうる。
【化6】
【0031】
また、前記化学式(1)で、RないしRは互いに独立して、下記構造式で表示される一価の有機基でありうる。
【化7】
【0032】
前記化学式(3)または(4)で、下記の基
【化8】
は、フェニル基、ナフチル基またはアントラセニル基でありうる。
【0033】
前記化学式(1)で表示されるヘテロ環化合物は、有機膜の形成材料、特に電子注入層材、電子輸送層材及び/または発光層材としての機能を有する。
【0034】
また、化学式(1)の化合物は、分子内にヘテロ環基を有するので、ガラス転移温度(Tg)や融点が高い。従って、電界発光時における有機層内、有機層間、ないしは有機層と金属電極との間で発生するジュール熱に対して耐熱性及び高温環境下での耐性が高い。このようなヘテロ環化合物を利用して製造された有機電界発光素子は、保存時及び駆動時の耐久性が高い。
【0035】
前記化学式(1)の化合物の例として、下記化合物を挙げることができる。
【化9】
【0036】
特に、前記化学式(1)の化合物は、上記化合物5、化合物8、化合物21、化合物26、化合物30または化合物47であることが望ましい。
【化10】
【0037】
以下、前記化学式(1)で表示されるヘテロ環化合物の合成過程について述べる。化学式(1)のヘテロ環化合物は、一実施例として、上記ヘテロ環化合物5を挙げて、その合成方法について述べれば、次の通りである。
【化11】
【0038】
前記化学式で、Xは、ハロゲン原子であり、R,Rは、化学式(1)で定義された通りである。
【0039】
前記反応式に示されているように、化学式(5)の化合物に、ベンゾフェノンヒドラゾン、ブトキシドナトリウム、二酢酸パラジウム及び2−ジシクロヘキシルホスフィノ−2’,4’,6’−トリイソプロピルビフェニルを混合して、これを熱処理し、前記化学式(6)の化合物を得ることができる。
【0040】
前記ベンゾフェノンヒドラゾンの 量は、化学式(5)の化合物1モルに対して、1.05ないし1.2モルであることが望ましく、前記ブトキシドナトリウムの量は、化学式(5)の化合物1モルに対して、1.2ないし1.5モルであることが望ましい。そして、二酢酸パラジウム及び2−ジシクロヘキシルホスフィノ−2’,4’,6’−トリイソプロピルビフェニルの量は、それぞれ化学式(5)の化合物1モルを基準として、0.02ないし0.05モルであることが望ましい。
【0041】
前記熱処理温度は、80ないし100℃であることが望ましい。もし熱処理温度が前記範囲を外れれば、化学式6の化合物の収率が減少しうる。
【0042】
次に、得られた化学式(6)の化合物を、p−トルエンスルホン酸一水和物及び化学式(8)の化合物と混合してこれを熱処理し、化学式(7)の化合物を得ることができる。
【0043】
前記反応のための熱処理温度は、60ないし100℃であることが望ましい。もし熱処理温度が前記範囲を外れれば、化学式(7)の化合物の収率が減少しうる。
【0044】
前記p−トルエンスルホン酸一水和物の含有量は、化学式(6)の化合物1モルに対して、1.5ないし2.0モルであり、化学式8の化合物の含有量は、化学式(6)の化合物1モルに対して、1.5ないし2.0モルであることが望ましい。ここで、化学式(8)の化合物の一例として、ベンジルフェニルケトンを挙げることができる。
【0045】
得られた化学式(7)の化合物に、2−ブロモ−9,9−ジメチルフルオレン等のハロゲン化アリールもしくはヘテロアリールを加熱下で反応させて、定法に従い精製することによって、化学式(1)で表示されるヘテロ環化合物、例えば化合物5を得ることができる。
【0046】
本発明は、第1電極、第2電極、及び前記第1電極と前記第2電極との間に形成された有機膜の少なくとも1層が、前述のような化学式(1)で表示されるヘテロ環化合物を含んだ有機発光素子を提供する。
前記ヘテロ環化合物は、単独または混合物の成分として含まれる。
【0047】
前記化学式(1)で表示される化合物を含んだ有機膜は、電子注入層または電子輸送層であって、電子注入機能及び電子輸送機能を有する単一膜でもありうる。または、前記化学式(1)で表示される化合物を含んだ有機膜は、発光層でもありうる。このとき、前記化学式(1)で表示されるヘテロ環化合物は、青色、緑色または赤色の蛍光材またはリン光材のホスト材として使われうる。
【0048】
例えば、前記化学式(1)で表示される化合物を含んだ有機膜は、電子注入層または電子輸送層である。
【0049】
前記有機膜は、発光層、電子輸送層及び電子注入層を含み、前記電子注入層または電子輸送層が、前記化学式(1)で表示されるヘテロ環化合物を含み、前記発光層は、アントラセンもしくはその誘導体を含むことができる。
【0050】
前記有機膜は、発光層、電子輸送層及び電子注入層を含み、前記電子注入層または電子輸送層が、前記化学式(1)で表示されるヘテロ環化合物を含み、前記発光層は、C−C60ヘテロ環化合物、またはスチリルアレーンもしくはその誘導体を含むことができる。
【0051】
一方、前記第1電極はアノードであり、前記第2電極はカソードであるが、これと反対の場合も、もちろん可能である。
【0052】
前述のような有機発光素子は、必要によって、正孔注入層、正孔輸送層、電子阻止層、発光層、正孔阻止層、電子輸送層及び電子注入層のうち、1層以上の層をさらに具備でき、必要によっては、前記有機層を2層の有機層で形成することも可能である。
例えば、前記有機発光素子は、第1電極/正孔注入層/発光層/第2電極、第1電極/正孔注入層/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/第2電極、または第1電極/正孔注入層/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/電子注入層/第2電極構造を有することができる。または、前記有機発光素子は、第1電極/正孔注入機能及び正孔輸送機能を同時に有する単一膜/発光層/電子輸送層/第2電極、または第1電極/正孔注入機能及び正孔輸送機能を同時に有する単一膜/発光層/電子輸送層/電子注入層/第2電極構造を有することができる。
【0053】
有機発光素子は、前面発光型、背面発光型など、多様な構造で適用可能である。
以下、有機発光素子の製造方法について、図1に図示された有機発光素子を参照しつつ、述べることとする。
図1の有機発光素子は、基板(図示せず)、第1電極(アノード)、正孔注入層、正孔輸送層、発光層、電子輸送層、電子注入層及び第2電極(カソード)を具備している。
【0054】
まず、基板上部に大きい仕事関数を有する第1電極用物質を、蒸着法またはスパッタリング法などによって形成し、第1電極を形成する。
前記第1電極は、アノードまたはカソードでありうる。ここで、基板としては、一般的な有機発光素子で使われるものを使用するが、機械的強度、熱的安定性、透明性、表面平滑性、取扱容易性及び防水性にすぐれるガラス基板または透明プラスチック基板が望ましい。第1電極用物質としては、伝導性にすぐれる酸化インジウムスズ(ITO)、酸化インジウム亜鉛(IZO)、酸化スズ(SnO)、酸化亜鉛(ZnO)、Al、Ag、Mgなどを利用でき、透明電極または反射電極として形成されうる。
【0055】
次に、前記第1電極上部に、真空蒸着法、スピンコーティング法、キャスト法、LB(Langmuir-Blodgett)法のような多様な方法を利用し、正孔注入層(HIL)を形成できる。
真空蒸着法によって正孔注入層を形成する場合、その蒸着条件は、正孔注入層の材料として使用する化合物、目的とする正孔注入層の構造及び熱的特性などによって異なるが、一般的に、蒸着温度100ないし500℃、真空度10−8ないし10−3torr、蒸着速度0.01ないし100Å/sec、膜厚は、一般的に10Åないし5μm範囲で適切に選択することが望ましい。
【0056】
スピンコーティング法によって正孔注入層を形成する場合、そのコーティング条件は、正孔注入層の材料として使用する化合物、目的とする正孔注入層の構造及び熱的特性によって異なるが、約2,000rpmないし5,000rpmのコーティング速度、コーティング後の溶媒除去のための熱処理温度は、約80℃ないし200℃の温度範囲で適切に選択することが望ましい。
【0057】
前記正孔注入層物質としては、公知の正孔注入材料を使用し、例えば、銅フタロシアニンなどのフタロシアニン化合物;スターバスト型アミン誘導体類である(4,4−トリ(N−カルバゾリル)トリフェニルアミン)(TCTA)、4,4’,4”−トリス(3−メチルフェニルフェニルアミノ)トリフェニルアミン(m−MTDATA)、N,N’−ジ(1−ナフチル)−N,N’−ジフェニルベンジジン(NPB)、4,4’,4”−トリス{N,Nジフェニルアミノ}トリフェニルアミン(TDATA)、4,4’−ビス[N−(ナフチル)−N−フェニル−アミノ]ビフェニル(2−TNATA);ポリアニリン/ドデシルベンゼンスルホン酸(Pani/DBSA)、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)/ポリ(4−スチレンスルホネート)(PEDOT/PSS)、ポリアニリン/カンファースルホン酸(Pani/CSA)またはポリアニリン/ポリ(4−スチレンスルホネート)(PANI/PSS)などを使用できるが、これらに限定されるものではない。
【化12】
【0058】
前記正孔注入層の厚みは、約100Åないし10,000Å、例えば100Åないし1,000Åでありうる。前記正孔注入層の厚みが前記範囲を満足するならば、駆動電圧の上昇なしに、優秀な正孔特性を確保することができる。
【0059】
次に、前記正孔注入層の上部に、真空蒸着法、スピンコーティング法、キャスト法、LB法のような多様な方法を利用し、正孔輸送層(HTL)を形成できる。真空蒸着法及びスピンコーティング法によって正孔輸送層を形成する場合、その蒸着条件及びコーティング条件は、使用する化合物によって異なるが、一般的に、正孔注入層の形成とほぼ同じ条件範囲で選択される。
【0060】
前記正孔輸送層物質は、公知の正孔輸送物質から選択された物質を利用して形成できる。
公知の正孔輸送物質の具体的な例として、N−フェニルカルバゾール、ポリビニルカルバゾールなどのカルバゾール誘導体;4,4’−ビス[N−(1−ナフチル)−N−フェニルアミノ]ビフェニル(NPB)、N,N’−ビス(3−メチルフェニル)−N,N’−ジフェニル−[1,1−ビフェニル]−4,4’−ジアミン(TPD)などの芳香族縮合環を有する一般的なアミン誘導体などが使われる。
【化13】
【0061】
前記正孔輸送層の厚みは、約50Åないし1,000Å、例えば100Åないし600Åでありうる。前記正孔輸送層の厚みが前記範囲であるとき、実質的な駆動電圧の上昇なしに、良好な正孔輸送特性が確保できる。
【0062】
前記正孔輸送層の上部には、電子阻止層が選択的に形成されることも可能である。前記電子阻止層は、電子が正孔輸送層に移動することを阻止する役割を行うものであり、例えば、下記化学式で表示される化合物(TATT)を含むことができる。
【化14】
【0063】
前記電子阻止層の厚みは、50ないし200Åでありうる。前記電子阻止層の厚みが前記範囲であるとき、実質的な駆動電圧の上昇なしに、電子ブロックキング特性が良好である。
【0064】
次に、得られた層の上部に発光層(EML)を形成する。このとき発光層は、真空蒸着法、スピンコーティング法、キャスト法、LB法のような方法を利用して形成できる。真空蒸着法及びスピンコーティング法によって発光層を形成する場合、その蒸着条件は、使用する化合物によって異なるが、一般的に、正孔注入層の形成とほぼ同じ条件範囲で選択される。
【0065】
前記発光層は、化学式(1)のヘテロ環化合物を利用して形成できる。ここで、化学式(1)のヘテロ環化合物は、ホストとして使われうる。
【0066】
もし化学式(1)のヘテロ環化合物が電子輸送層または電子注入層の形成時に使われるならば、有機発光素子の発光層は、有機発光素子で一般的に使われる発光層材を使用することが可能である。
前記一般的に使われる発光層材としては、公知のホスト及びドーパントを利用して形成することもできる。前記ドーパントとしては、公知の蛍光ドーパント及び公知のリン光ドーパントをいずれも使用できる。
【0067】
例えば、ホストとしては、トリス(8−キノラト)アルミニウム(Alq3)、4,4’−N,N’−ジカルバゾール−ビフェニル(CBP)、9,10−ジ(ナフタレン−2−イル)アントラセン(ADN)、またはジスチリルアリーレン(DSA)などを使用でき、これら以外にも、アリールヘテロ環化合物、対称または非対称の構造を有するアントラセン化合物、スチリルアントラセン化合物、対称または非対称の構造を有するピレン化合物、スピロフルオレン化合物、フルオレン化合物などを使用できるが、これらに限定されるものではない。
【0068】
ドーパントとして、蛍光ドーパント及びリン光ドーパントをいずれも使用できるが、前記蛍光ドーパントとしては、スチリル化合物、アリールヘテロ環化合物、スチリルヘテロ環化合物、アミノピレン化合物などを使用できる。そして、前記リン光ドーパントとしては、Ir(ppy)(ppyは、フェニルピリジンの略語である)(緑色);白金(II)オクタエチルポルフィリン(PtOEP);下記化学式で表示される化合物A;FIrpic;UDC社の赤色リン光ドーパントであるRD 61;またはIr、Ru、Pd、Pt、Os、Reなどを中心金属として有する金属錯体化合物を使用できるが、これらに限定されるものではない。
【化15】
【0069】
ドーパントについてさらに説明すれば、公知の赤色ドーパントとして、PtOEP、Ir(piq)、BtpIr(acac)、DCJTBなどを利用できるが、これらに限定されるものではない。
【化16】
【0070】
また、公知の緑色ドーパントとして、Ir(ppy)(ppy=フェニルピリジン)、Ir(ppy)(acac)、Ir(mpyp)、C545Tなどを利用できるが、これらに限定されるものではない。
【化17】
【0071】
一方、公知の青色ドーパントとして、FIrpic、(Fppy)Ir(tmd)、Ir(dfppz)、ter−フルオレン、4,4’−ビス(4−ジフェニルアミノスチリル)ビフェニル(DPAVBi)、2,5,8,11−テトラ−tー−ブチルペリレン(TBPe)などを利用できるが、これらに限定されるものではない。
【化18】
【0072】
前記ドーパントの含有量は、発光層の形成材料100重量部(すなわち、ホストとドーパントとの総重量は100重量部である)を基準として、0.1ないし20重量部、特に0.5〜12重量部であることが望ましい。ドーパントの含有量が前記範囲を満足するならば、濃度消光現象が実質的に防止されうる。
【0073】
前記発光層の厚みは、約100Åないし1,000Å、例えば200Åないし600Åでありうる。前記発光層の厚みが前記範囲であるとき、発光特性の低下なしに、駆動電圧にすぐれる。
【0074】
発光層がリン光ドーパントを含む場合、三重項励起子または正孔が電子輸送層に拡散する現象を防止するために、正孔阻止層(HBL)を発光層の上部に形成できる(図1には図示せず)。このとき使用できる正孔阻止層物質は、特別に制限されるものではなく、公知の正孔阻止層物質から任意に選択して利用できる。例えば、オキサジアゾール誘導体やトリアゾール誘導体、フェナントロリン誘導体、ビス(2−メチル−8−キノリラート)−(p−フェニルフェノラート)−アルミニウム(BAlq)、BCP(bathocuproine)、トリス(N−アリールベンズイミダゾール)(TPBI)などを利用できる。
【化19】
【0075】
前記正孔阻止層の厚みは、約50Åないし1,000Å、例えば100Åないし300Åでありうる。前記正孔阻止層の厚みが前記範囲であるとき、正孔阻止特性が低下せずに、駆動電圧にすぐれる。
【0076】
次に、電子輸送層(ETL)を、真空蒸着法、またはスピンコーティング法、キャスト法などの多様な方法を利用して形成する。真空蒸着法及びスピンコーティング法によって電子輸送層を形成する場合、その条件は、使用する化合物によって異なるが、一般的に、正孔注入層の形成とほぼ同じ条件範囲で選択される。
【0077】
前記電子輸送層物質は、化学式(1)のヘテロ環化合物を利用でき、または公知の電子輸送層の形成材料のうちから任意に選択されうる。
公知の電子輸送物質は、特別に制限されるものではなく、その例としては、Alq3、BAlqのようなキノリン誘導体や1,2,4−トリアゾール誘導体(TAZ)のような公知の材料を使用することができるが、これらに限定されるものではない。
【化20】
【0078】
前記電子輸送層の厚みは、約100Åないし1,000Å、例えば100Åないし500Åでありうる。前記電子輸送層の厚みが前述のような範囲を満足する場合、実質的な駆動電圧の上昇なしに、優秀な電子輸送特性を得ることができる。
【0079】
また、電子輸送層の上部に、カソードから電子の注入を容易にする機能を有する物質である電子注入層(EIL)が積層されうる。
前記電子注入層の形成材料としては、化学式(1)のヘテロ環化合物を使用したり、または公知の電子注入層の形成材料を利用できる。
前記公知の電子注入層材としては、BaF、LiF、NaCl、CsF、LiO、BaO、Liqなどの物質を利用できるが、これらに限定されるものではない。
【化21】
【0080】
前記電子注入層の蒸着条件及びコーティング条件は、使用する化合物によって異なるが、一般的に、正孔注入層の形成とほぼ同じ条件範囲で選択される。
前記電子注入層の厚みは、約1Åないし100Å、例えば5Åないし90Åでありうる。前記電子注入層の厚みが前述のような範囲を満足する場合、実質的な駆動電圧の上昇なしに、優秀な電子注入特性を得ることができる。
【0081】
最後に、電子注入層の上部に、真空蒸着法やスパッタリング法などの方法を利用し、第2電極を形成できる。前記第2電極は、カソードまたはアノードとして使われうる。前記第2電極形成用物質としては、小さい仕事関数を有する金属、合金、電気伝導性化合物及びそれらの混合物を使用できる。具体的な例としては、リチウム(Li)、マグネシウム(Mg)、アルミニウム(Al)、アルミニウム−リチウム(Al−Li)、カルシウム(Ca)、マグネシウム−インジウム(Mg−In)、マグネシウム−銀(Mg−Ag)などを挙げることができる。また、前面発光素子を得るために、ITO、IZOを使用した透明カソードを使用することもできる。
【0082】
有機発光素子は、多様な形態の平板表示装置、例えば、受動マトリックス有機発光表示装置及び能動マトリックス有機発光表示装置に備えられ得る。特に、能動マトリックス有機発光表示装置に備えられる場合、基板側に備えられた第1電極は画素電極であり、薄膜トランジスタのソース電極またはドレイン電極と電気的に連結されうる。また、前記有機発光素子は、両面に画面を表示できる平板表示装置に備えられ得る。
【0083】
また、有機発光素子の1層以上の層は、前記化学式(1)の化合物を使用し、蒸着方法で形成し、または溶液に製造された化学式(1)の化合物をコーティングする湿式方法でも形成することができる。
【0084】
以下、化合物5,8,21,26,30,47の合成例及び実施例について、具体的に例示するが、本発明は下記の実施例に限定されることを意味するものではない。
【0085】
<合成例1:化合物5の合成>
【化22】
【0086】
<中間体1の合成>
1,6−ジブロモピレン3.6g(10mmol)、ベンゾフェノンヒドラゾン2.15g(11mmol)、t−BuONa 1.44g(15mmol)、Pd(OAc) 45mg(0.2mmol)そして2−ジシクロヘキシルホスフィノ−2’,4’,6’−トリイソプロピルビフェニル95mg(0.2mmol)を、トルエン30mLに溶かした後、90℃で3時間撹拌した。常温に冷やした反応物に蒸溜水を加え、ジエチルエーテル80mLで二回、ジクロロメタン80mLで一回抽出した。集められた有機層を硫酸マグネシウムで乾燥させて濾過した後、溶媒を蒸発させて得られた残留物を、シリカゲル・カラムクロマトグラフィで分離精製し、中間体1を5.5g(収率93%)得て、生成された化合物は、HR−MS(high resolution mass spectroscopy)を用いて確認した。
4230計算値:590.2470;実測値:590.2473
【0087】
<中間体2の合成>
中間体1を5.9g(10mmol)、p−トルエンスルホン酸一水和物3.8g(20mmol)の混合物に、メチルエチルケトン50mLを加えた後、110℃で24時間撹拌した。常温に冷やした反応物に蒸溜水を加え、ジエチルエーテル80mLで二回、ジクロロメタン80mLで二回抽出した。集められた有機層を硫酸マグネシウムで乾燥させて濾過した後、溶媒を蒸発させて得られた残留物を、シリカゲル・カラムクロマトグラフィで分離精製し、中間体2を2.4g(収率71%)得て、生成された化合物は、HR−MSを用いて確認した。
2420計算値:336.1626;実測値:336.1628
【0088】
<化合物5の合成>
窒素下で、前記の中間体2を2.35g(7.0mmol)、2−ブロモ−9,9−ジメチルフルオレン2.29g(8.4mmol)、t−BuONa 2.01g(21mmol)、Pd(dba) 130mg(0.14mmol)そしてP(t−Bu) 28mg(0.14mmol)を、トルエン30mLに溶かした後、90℃で3時間撹拌した。前記反応が完結した後、常温に冷やし、これを、蒸溜水とジエチルエーテル50mLとで三回抽出した。集められた有機層を硫酸マグネシウムで乾燥させて溶媒を蒸発させて得られた残留物を、シリカゲル・カラムクロマトグラフィで分離精製して化合物5を3.5g(収率69%)得て、生成された化合物は、HR−MSとNMR(nuclear magnetic resonance)とを用いて確認した。
5444計算値:720.3504;実測値:720.3509
H NMR(CDCl、400MHz)δ(ppm)8.12(d、2H)、7.95(d、2H)、7.80(d、2H)、7.57(d、2H)、7.51(d、2H)、7.31(d、2H)、7.22(t、2H)、6.95(t、2H)、6.36(d、2H)、6.01(dd、2H)、2.29(s、6H)、2.22(s、6H)、1.85(s、12H)
【0089】
<合成例2:化合物8の合成>
【化23】
前記の化合物5の合成と同じ方法で、9,9’−ジメチル−2−ブロモフルオレンの代わりに、3−ヨード−9−フェニルカルバゾールで反応させ、化合物8を72%の収率で合成し、生成された化合物は、HR−MSとNMRとを用いて確認した。
6042計算値:818.3409;実測値:818.3411
H NMR(CDCl、400MHz)δ(ppm)8.13(m、4H)、8.05(d、2H)、7.95(d、2H)、7.48(m、10H)、7.32(m、10H)、6.63(dd、2H)、2.29(s、6H)、2.22(s、6H)
【0090】
<合成例3:化合物21の合成>
【化24】
前記の化合物5の合成と同じ方法で、9,9’−ジメチル−2−ブロモフルオレンの代わりに、4−ブロモトリフェニルアミンを反応させ、化合物21を78%の収率で合成し、生成された化合物は、HR−MSとNMRとを用いて確認した。
6046計算値:822.3722;実測値:822.3725
H NMR(CDCl、400MHz)δ(ppm)8.13(d、2H)、7.95(d、2H)、7.42(d、4H)、7.30(m、10H)、6.62(t、4H)、6.10(d、4H)、5.69(d、8H)、2.29(s、6H)、2.22(s、6H)
【0091】
<合成例4:化合物26の合成>
【化25】
【0092】
<中間体3の合成>
中間体1を5.9g(10mmol)、p−トルエンスルホン酸一水和物3.44g(20mmol)、そしてベンジルフェニルケトン3.92g(20mmol)の混合物に、エタンオール40mLとトルエン20mLとを加えた後、110℃で24時間撹拌した。常温に冷やした反応物に蒸溜水を加え、ジエチルエーテル60mLで二回、ジクロロメタン60mLで二回抽出した。集められた有機層を硫酸マグネシウムで乾燥させて濾過した後、溶媒を蒸発させて得られた残留物を、シリカゲル・カラムクロマトグラフィで分離精製し、中間体3を7.92g(収率66%)得て、生成された化合物は、HR−MSを用いて確認した。
6046計算値:822.3722;実測値:822.3725
【0093】
<化合物26の合成>
前記の化合物5の合成と同じ方法で、中間体2の代わりに中間体3を使用してブロモベンゼンと反応させ、化合物26を82%の収率で合成し、生成された化合物は、HR−MSとNMRとを用いて確認した。
5636計算値736.2878;実測値:736.2880
H NMR(CDCl、400MHz)δ(ppm)8.15(d、2H)、8.10(d、2H)、7.88(s、2H)、7.57−7.25(m、26H)、7.05(d、4H)
【0094】
<合成例5:化合物30の合成>
【化26】
前記の化合物26の合成と同じ方法で、ブロモベンゼンの代わりに2−ブロモナフタレンを使用し、化合物30を86%の収率で合成し、生成された化合物は、HR−MSとNMRとを用いて確認した。
6440計算値:836.3191;実測値:836.3193
H NMR(CDCl、400MHz)δ(ppm)8.15(d、2H)、8.10(d、2H)、7.88(s、2H)、7.82(d、2H)、7.72(d、2H)、7.57−7.25(m、30H)
【0095】
<合成例6:化合物47の合成>
【化27】
前記の化合物26の合成と同じ方法で、ブロモベンゼンの代わりに2−ブロモピリジンを使用し、化合物47を76%の収率で合成し、生成された化合物は、HR−MSとNMRとを用いて確認した。
5434計算値:738.2783;実測値:738.2788
H NMR(CDCl、400MHz)δ(ppm)8.74(m、2H)、8.31(m、2H)、8.19(d、2H)、8.14(d、2H)、7.972(s、2H)、7.57−7.24(m、22H)、7.08−7.05(m、2H)
【実施例1】
【0096】
アノードは、コーニング(Corning)15Ωcm(1,200Å)ITOガラス基板を50mm×50mm×0.7mmサイズに切り、イソプロピルアルコールと純水とを利用してそれぞれ5分間超音波洗浄した後、30分間紫外線を照射してオゾンに露出させて洗浄して用意し、真空蒸着装置にこのガラス基板を設置した。
前記基板上部に、まず正孔注入層として2−TNATAを真空蒸着し、600Å厚に形成した後、次に、4,4’−ビス[N−(1−ナフチル)−N−フェニルアミノ]ビフェニル(NPB)を300Å厚に真空蒸着し、正孔輸送層を形成した。
前記正孔輸送層の上部に、青色蛍光ホストである9,10−ジ−ナフタレン−2−イル−アントラセン(DNA)と、青色蛍光ドーパントとしての化合物5とを、重量比98:2で同時蒸着し、300Å厚に発光層を形成した。
次に、前記発光層の上部に、Alq3を電子輸送層として300Å厚に蒸着し、LiFを電子注入層として10Å厚に蒸着し、Alを3,000Å厚に真空蒸着してLiF/Al電極を形成することによって、有機発光素子を製造した。
【化28】
【実施例2】
【0097】
発光層の形成時に、化合物5の代わりに化合物8を利用したことを除いては、実施例1と同様に実施して有機発光素子を製作した。
【実施例3】
【0098】
発光層の形成時に、化合物5の代わりに化合物21を利用したことを除いては、実施例1と同様に実施して有機発光素子を製作した。
【実施例4】
【0099】
発光層の形成時に、化合物5の代わりに化合物26を利用したことを除いては、実施例1と同様に実施して有機発光素子を製作した。
【実施例5】
【0100】
発光層の形成時に、化合物5の代わりに化合物30を利用したことを除いては、実施例1と同様に実施して有機発光素子を製作した。
【実施例6】
【0101】
発光層の形成時に、化合物5の代わりに化合物47を利用したことを除いては、実施例1と同様に実施して有機発光素子を製作した。
【0102】
<比較例1>
発光層の形成時に、前記化合物5の代わりに、公知の青色蛍光ドーパントである1,4−ビス−(2,2−ジフェニルビニル)ビフェニル(DPVBi)を利用したことを除いては、実施例1と同様にして有機発光素子を製作した。
【化29】
【0103】
前記実施例1ないし6及び比較例1によって製作された有機発光素子の駆動電圧、輝度、色座標及び発光効率を、電流密度50mA/cmで測定し、半減寿命を電流密度100mA/cmで測定し、その結果を下記表1に示した。
【表1】
【0104】
前記表1から分かるように、本発明の化合物を発光層の形成材料として利用した有機発光素子は、DPVBiと比較して、駆動電圧特性が改善され、かつ発光効率が非常に向上した優秀なI−V−L特性を示した。特に寿命改善効果が顕著であり、実施例1ないし6は、比較例1に比べ、非常に向上された寿命を示した。
以上、製造例を参照しつつ説明したが、当該技術分野の熟練した当業者は、特許請求の範囲に記載された発明の思想及び領域から外れない範囲内で、本発明を多様に修正及び変更させることができるということを理解することができるであろう。
図1