(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5676184
(24)【登録日】2015年1月9日
(45)【発行日】2015年2月25日
(54)【発明の名称】画像系列を時間的に位置合わせする方法及びレジストレーション装置
(51)【国際特許分類】
G06T 7/20 20060101AFI20150205BHJP
H04N 5/76 20060101ALI20150205BHJP
【FI】
G06T7/20 C
H04N5/76 B
【請求項の数】14
【外国語出願】
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2010-199581(P2010-199581)
(22)【出願日】2010年9月7日
(65)【公開番号】特開2011-65642(P2011-65642A)
(43)【公開日】2011年3月31日
【審査請求日】2013年8月28日
(31)【優先権主張番号】0956302
(32)【優先日】2009年9月14日
(33)【優先権主張国】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】501263810
【氏名又は名称】トムソン ライセンシング
【氏名又は名称原語表記】Thomson Licensing
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100091214
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 進介
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(72)【発明者】
【氏名】セヴリーヌ ボードリー
(72)【発明者】
【氏名】ベルトラン シュポー
(72)【発明者】
【氏名】フレデリック ルフェヴル
【審査官】
松浦 功
(56)【参考文献】
【文献】
特開2004−045565(JP,A)
【文献】
特開2003−281542(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2006/0195860(US,A1)
【文献】
米国特許出願公開第2009/0154806(US,A1)
【文献】
MASSOUDI, A. et al.,A Video Fingerprint Based on Visual Digest and Local Fingerprints,2006 IEEE International Conference on Image Processing Proceedings,2006年10月,Pages 2297 - 2300
【文献】
CHUPEAU, B. et al.,Temporal Video Registration for Watermark Detection,2006 IEEE International Conference on Acoustics, Speech and Signal Processing Proceedings Volume II of V,2006年 5月,pp. II-157 - II-160
【文献】
CHENG, H. et al,Spatial temporal and histogram video registration for digital watermark detection,2003 International Conference on Image Processing Proceedings Volume II of III,IEEE,2003年 9月,pp. II-735 - II-738
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06T 7/00 − 7/60
G06T 1/00
H04N 5/76
H04N 19/60
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(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一の画像からなる第一の系列と第二の画像からなる第二の系列とを時間的に位置合わせする方法であって、前記第一の画像と前記第二の画像のそれぞれに前記第一の画像及び前記第二の画像のそれぞれの内容から決定されるシグネチャが関連付けされており、
当該方法は、
a)前記第一の画像のシグネチャの第一の部分と前記第二の画像のシグネチャの対応する部分とを比較する第一比較ステップと、
b)前記第一比較ステップの結果に従って、前記第一の系列のそれぞれの第一の画像を前記第二の画像のうちの1つと時間的に位置合わせするステップと、
c)それぞれの第一の画像について、前記第一の画像の位置合わせの品質を表す値を計算するステップと、
d)前記位置合わせの品質を表す値がある閾値以下であるそれぞれの第一の画像について、前記第一の画像と該第一の画像を時間的に囲んでいる前記第一の系列のうちの画像とを含む第一のサブ系列と、前記第一の画像が位置合わせされた第二の画像と該第二の画像を時間的に囲んでいる前記第二の系列のうちの画像とを含む第二のサブ系列とを定義するステップと、
e)それぞれの第一のサブ系列について、前記第一のサブ系列のうちの前記第一の画像のシグネチャの第二の部分と、前記第二の対応するサブ系列のうちの前記第二の画像のシグネチャの対応する部分とを比較する第二比較ステップと、前記シグネチャの第二の部分は、前記シグネチャの第一の部分とは異なり、
f)前記第二比較ステップの結果に従って、前記第一のサブ系列のそれぞれの第一の画像を前記第二のサブ系列の第二の画像のうちの1つと時間的に位置合わせするステップと、
を含む方法。
【請求項2】
前記ステップc)から前記ステップf)は、前記第一の系列のそれぞれの第一の画像について、前記第一の画像の位置合わせの品質を表す値が前記閾値よりも大きくなるまで、前記第一の画像のシグネチャの他の部分及び前記第二の画像のシグネチャの対応する部分について反復される、
請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記第二の部分は前記第一の部分を含む、
請求項1又は2記載の方法。
【請求項4】
前記第二の部分は前記第一の部分とは互いに素である、
請求項1又は2記載の方法。
【請求項5】
前記第一の部分は、低周波のウェーブレット係数を含み、前記第二の部分は、高周波のウェーブレット係数を含む、
請求項1又は2記載の方法。
【請求項6】
前記シグネチャは、ウェーブレット係数を含み、前記第一及び第二の系列の少なくとも1つについて、前記ウェーブレット係数は符号化され、
当該方法は、前記比較ステップのそれぞれの前に、前記シグネチャの部分を復号化するステップを更に含み、前記比較ステップは、復号化されたシグネチャの部分に適用される、
請求項1乃至5の何れか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記シグネチャのそれぞれは、
現在の画像である前記シグネチャが関連付けされる画像と前記現在の画像を時間的に囲んでいる画像のうちの1つとの間で画素毎に差分画像を決定するステップと、
前記差分画像をウェーブレット係数に変換するステップと、
前記ウェーブレット係数の少なくとも1部を階層的に符号化するステップと、
に従って計算される、
請求項1乃至6の何れか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記ウェーブレット係数の前記少なくとも1部は、前記少なくとも1部のウェーブレット係数のエネルギー値がある閾値よりも大きくなるように定義される、
請求項7記載の方法。
【請求項9】
前記ウェーブレット係数の前記少なくとも1部は、前記少なくとも1部のウェーブレット係数のエントロピー値がある閾値よりも大きくなるように定義される、
請求項7記載の方法。
【請求項10】
前記階層的な符号化ステップは、SPIHT(Set Partitioning in Hierarchical Trees)符号化方法及びEZW(Embedded Zero-tree Wavelet)符号化方法を含む階層的な符号化方法のセットに属する符号化方法のうちの1つを実行する、
請求項7乃至9の何れか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記エネルギー値は、前記少なくとも1部のウェーブレット係数の自乗の総和として定義される、
請求項8記載の方法。
【請求項12】
前記エネルギー値は、前記係数が属するサブバンド及び解像度レベルに依存する重みにより重み付けされた前記少なくとも1部のウェーブレット係数の自乗の総和として定義される、
請求項8記載の方法。
【請求項13】
第一の画像からなる第一の系列と第二の画像からなる第二の系列とを時間的に位置合わせするレジストレーション装置であって、前記第一の画像と前記第二の画像のそれぞれに前記第一の画像及び前記第二の画像のそれぞれの内容から決定されるシグネチャが関連付けされており、
当該装置は、
a)前記第一の画像のシグネチャの第一の部分と前記第二の画像のシグネチャの対応する部分とを比較する第一比較手段と、
b)前記第一比較手段によってなされた比較に従って、前記第一の系列のそれぞれの第一の画像を前記第二の画像のうちの1つと時間的に位置合わせする第一レジストレーション手段と、
c)それぞれの第一の画像について、前記第一の画像の位置合わせの品質を表す値を計算する計算手段と、
d)前記位置合わせの品質を表す値がある閾値以下であるそれぞれの第一の画像について、前記第一の画像と該第一の画像を時間的に囲んでいる前記第一の系列のうちの画像とを含む第一のサブ系列と、前記第一の画像が位置合わせされた第二の画像と該第二の画像を時間的に囲んでいる前記第二の系列のうちの画像とを含む第二のサブ系列とを定義する定義手段と、
e)それぞれの第一のサブ系列について、前記第一のサブ系列のうちの前記第一の画像のシグネチャの第二の部分と、前記第二の対応するサブ系列のうちの前記第二の画像のシグネチャの対応する部分とを比較する第二比較手段と、前記シグネチャの第二の部分は、前記シグネチャの第一の部分とは異なり、
f)前記第二比較手段によってなされた比較に従って、前記第一のサブ系列のそれぞれの第一の画像を前記第二のサブ系列の第二の画像のうちの1つと時間的に位置合わせする第二レジストレーション手段と、
を含むレジストレーション装置。
【請求項14】
請求項1乃至12のうちいずれか一項に記載の方法のステップを実行するよう構成される請求項13に記載のレジストレーション装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像レジストレーションの一般的な分野に関する。
本発明は、より詳細には、第一の系列の画像と第二の系列の画像とに関連する
シグネチャ(signature)からの第一の系列の画像と第二の系列の画像とのレジストレーションの方法、及びこれらの画像を位置合わせすることを目的とした、これらの画像の
シグネチャの計算の方法に関する。
【背景技術】
【0002】
2つの画像系列を
時間的に位置合わせするため、当該技術分野においてこれらの画像に関連する
シグネチャを比較することが知られている。
シグネチャは、画像の内容から決定される。
シグネチャのサイズが大きくなると、低レベルの動きをもつ系列に属する画像について特に、レジストレーションが正確になる。係るレジストレーションを正確にするため、方法は、
シグネチャを記憶するための多くのメモリスペースと、
シグネチャを比較するための多くの計算時間が必要となる。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【非特許文献1】Massoudi A等“A Video Fingerprint Based on Visual Digest and Local Fingerprints”Image Processing, 2006 IEEE International Conference On, IEEE, PI LNKD-DOI: 10.1109/ICIP.2006.312834, 1 Octobre 2006 (2006-10-01), pages 2297-2300, XP031049132 ISBN: 978-1-4244-0480-3。
【非特許文献2】Chupeau B等“Temporal Video Registration for Watermark Detection”1 Janvier 2006 (2006-01-01), Acoustics, Speech and Signal Processing, 2006 ICASSP 2006 Proceedings. 2006 IEEE International Conference On Toulouse, France 14-19 May 2006, Piscataway, NJ, USA, Page(S) II-II, XP031100563 ISBN: 9781424404698。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、従来技術の少なくとも1つの問題点を克服することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するため、本発明は、第一の画像からなる第一の系列と第二の画像からなる第二の系列との
時間的なレジストレーション方法に関し、
シグネチャは、第一及び第二の画像のそれぞれと関連される。時間的なレジストレーション方法は、以下のステップを含む。a)第一の画像の
シグネチャの第一の部分を第二の画像の
シグネチャの対応する部分と比較する第一の比較ステップ。b)第一の比較ステップの結果に従って、第一の系列のそれぞれの第一の画像を第二の画像のうちの1つと時間的に位置合わせするステップ。c)第一の画像の位置合わせの品質を表す値をそれぞれの第一の画像について計算するステップ。d)位置合わせの品質を表わす値がある閾値よりも小さいそれぞれの第一の画像について、第一の画像と該第一の画像を時間的に囲んでいる第一の系列のうちの画像とを含む第一のサブ系列と、第一の画像が位置合わせされた第二の画像と該第二の画像を時間的に囲んでいる第二の系列のうちの画像とを含む第二のサブ系列とを定義するステップ。e)それぞれの第一のサブ系列について、第一のサブ系列のうちの第一の画像の
シグネチャの第二の部分と、第二の対応するサブ系列の第二の画像の
シグネチャの対応する部分とを比較する第二の比較ステップ。
シグネチャの第二の部分は、
シグネチャの第一の部分とは異なる。f)第二の比較ステップの結果に従って、第一のサブ系列のそれぞれの第一の画像を第二のサブ系列の第二の画像のうちの1つと時間的に比較するステップ。
【0006】
本発明に係るレジストレーション方法は、必要とされるメモリを制限しつつ、第一の系列の画像が第二の系列の画像と正確に位置合わせされるのを有利にも可能にする。ある
シグネチャ全体
と他の
シグネチャ全体との比較は、極めてまれに実行される。
【0007】
本発明の特定の態様によれば、ステップc)〜f)は、第一の系列のそれぞれの第一の画像について第一の画像の位置合わせの品質を表す値が閾値よりも大きくなるまで、第一の
画像のシグネチャの他の部分及び第二の
画像のシグネチャの対応する部分で反復される。
【0008】
本発明の特定の特徴によれば、第二の部分は、第一の部分を含む。
【0009】
本発明の別の特定の特徴によれば、第二の部分及び第一の部分は互いに素(disjointed)である。
【0010】
本発明の特定の特徴によれば、第一の部分は、低周波のウェブレット係数を含み、第二の部分は、高周波のウェーブレット係数を有する。
【0011】
本発明の特定の特徴によれば、
シグネチャは、ウェーブレット係数を含み、第一及び第二の系列のうちの少なくとも1つについて、ウェーブレット係数が符号化される。この場合、レジストレーション方法は、さらに、それぞれの比較ステップの前に、
シグネチャの部分を復号化するステップを含み、比較ステップは、復号化された
シグネチャの部分に適用される。
【0012】
また、本発明は、系列を画像の別の系列との位置合わせの目的で、画像からなるある系列のうちの画像の
シグネチャを計算する方法に関する。
シグネチャを計算する方法は、系列のうちの現在の画像について、以下のステップを含む。現在の画像と該現在の画像を時間的に囲んでいる画像のうちの1つとの間で画素毎に差分画像を決定するステップ。差分画像をウェーブレット係数に変換するステップ。ウェーブレット係数の少なくとも1部を階層的に符号化するステップ。
【0013】
本発明の特定の特徴によれば、ウェーブレット係数の少なくとも1つの部分は、少なくとも1つの部分のウェーブレット係数のエネルギー値はある閾値よりも大きいように定義される。
【0014】
本発明の特定の特徴によれば、ウェーブレット係数の少なくとも1つの部分は、少なくとも1つの部分のウェーブレット係数のエントロピー値がある閾値よりも大きいように定義される。
【0015】
有利なことに、プログレッシブ符号化ステップは、SPIHT型の符号化方法及びEZW型の符号化方法を含むプログレッシブ符号化方法のセットに属する符号化方法のうちの1つを実行する。
【0016】
本発明の特定の特徴によれば、エネルギー値は、少なくとも1つの部分のウェーブレット係数の平方の総和として定義される。
【0017】
本発明の特定の特徴によれば、エネルギー値は、係数が属するサブバンド及び解像度レベルに依存する重みにより重み付けされた少なくとも1つの部分のウェーブレット係数の平方の総和として定義される。
【図面の簡単な説明】
【0018】
本発明は、限定することなしに、添付図面を参照して、実施の形態及び有利な実現により良好に理解及び例示される。
【
図1】本発明に係るレジストレーション方法を示す図である。
【
図2】本発明に係る
シグネチャ計算方法を示す図である。
【
図3】本発明の変形例に係る
シグネチャ計算方法を示す図である。
【
図4】本発明に係るレジストレーション装置の異なる変形例を示す図である。
【
図5】本発明に係るレジストレーション装置の異なる変形例を示す図である。
【
図6】本発明に係るレジストレーション装置の異なる変形例を示す図である。
【
図7】本発明に係るレジストレーション装置の異なる変形例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
図1を参照して、本発明は、N1及びN2を整数として、N1個の画像{I1t1}1≦t1≦N1からなる第一の系列Seq1とN2個の画像{I2t2}1≦t2≦N2からなる第二の系列Seq2とのレジストレーション方法に関するものである。第一及び第二の画像は、
シグネチャとそれぞれ関連されており、
シグネチャS1t1は第一の画像I1t1について関連され、
シグネチャS2t2は第二の画像I2t2について関連される。第一の画像の
シグネチャのセットは、第一の系列Seq1の
シグネチャを形成し、第二の画像の
シグネチャのセットは、第二の系列Seq2の
シグネチャを形成する。
【0020】
ステップ10の間、Seq1の第一の画像の
シグネチャ{S1t1}1≦t1≦N1の第一の部分は、Seq2の第二の画像の
シグネチャ{S2t2}1≦t2≦N2の対応する部分と比較される。
シグネチャ{S1t1}1≦t1≦N1と{S2t2}1≦t2≦N2は、たとえば
図2に関して記載されるような、同じ
シグネチャ計算方法に従って計算される。この比較ステップ10の間、第一の系列のそれぞれの画像は、たとえばd(S1t1,S2t2)として示されるそれぞれの
シグネチャのペアの間の距離を計算することで、第二の系列のそれぞれの画像と比較される。なお、この場合、S1t1,S2t2は、
シグネチャの第一の部分を示す。係る距離は、画像I1t1及びI2t2が視覚的に近いときに小さく、視覚的に非常に異なるときに大きい。
シグネチャが同じ長さを有さない場合、2つの
シグネチャのうちの長い方の
シグネチャと同じ長さを有するように、2つの
シグネチャのうちの短い
シグネチャにおいてヌル係数が加えられる。特定の実施の形態によれば、距離d(.,.)は、2つの
シグネチャS1t1,S2t2の間で計算される2次の平均の誤差(mean quadratic error)である。変形例によれば、この距離は、2つの
シグネチャS1t1とS2t2の間で計算された2次の平均の誤差と先験的な項(a priori term)との重み付け総和である。先験的な項は、たとえば画像I1t1及びI2t2に時間的に先行する画像の
シグネチャ間で計算される距離に依存する。たとえば、先験的な項は、以下の距離d(S1t1,S2t2-1),d(S1t1-1,S2t2-1)及びd(S1t1-1,S2t2)のうちで最小の距離である。変形例によれば、先見的な項の計算において、画像I1t1及びI2t2に時間的に先行する多くの画像が考慮される。先験的な項は、レジスタリングされるべき画像の時間的に近傍の画像を考慮するのを可能にする。
【0021】
ステップ12の間、それぞれの第一の画像I
1t1は、比較ステップ10の結果に従って第二の画像I
2t2のうちの1つと時間的に位置合わせされる。たとえば、それぞれの画像I
1t1は、ステップ10で計算された距離が最も短い画像I
2t2と位置合わせされる。
【0022】
変形例によれば、ステップ10及び12は、たとえば、2007年4月26日に公開された特許出願WO2007045680、及びCheng.H等による2003年にICIPで公開された文献“Spatial Temporal and Histogram Video Registration for Digital Watermark Detection”(vol.2,pp735-738)で記載されるダイナミックプログラミング型のアルゴリズムにより実行される。この場合、第一の系列の最後の画像I
1N1は、ステップ10で計算された距離が最も短い第二の画像I
1t2と位置合わせされる。第一の系列の第一の画像は、第一の画像I
11が最後に位置合わせされる、時間的に逆の順序でダイナミックプログラミングアルゴリズムに従って位置合わせされる。それぞれ位置合わせされた画像I
1t1について、それに先行する画像が考慮され、ステップ10で計算された距離に従って、最も可能性が高い画像が決定される。このように徐々に進行される。
【0023】
ステップ14の間、位置合わせの品質を表す値Cは、それぞれの第一の画像について計算される。たとえば、この値は、以下の距離d(S
1t1,S
2t2),d(S
1t1,S
2t2-1)及びd(S
1t1,S
2t2+1)を比較することで計算される。これらの3つの距離が非常に近いとき、位置合わせの品質は良好ではない。より詳細には、画像I
1t1の乏しいレジストレーションを有する確率が高い。たとえば、C=min(|d(S
1t1,S
2t2)−d(S
1t1,S
2t2-1)|;|d(S
1t1,S
2t2)−d(S
1t1,S
2t2+1)|)である。
【0024】
ステップ16の間、位置合わせの品質を表わす値が閾値Tよりも小さいそれぞれの第一の画像について、この第一の画像とこの第一の画像を時間的に囲んでいる第一の系列Seq1の画像とを含む第一のサブ系列が定義され、同様に、ステップ12で第一の画像が位置合わせされる第二の画像とこの第二の画像を時間的に囲んでいる第二の系列Seq2の画像とを含んでいる第二の対応するサブ系列が定義される。
【0025】
ステップ18の間、それぞれの第一のサブ系列について、第一のサブ系列のうちの第一の画像の
シグネチャの第二の部分は、第二の対応するサブ系列のうちの第二の画像の
シグネチャの対応する部分と比較される。
シグネチャの第二の部分は、
シグネチャの第一の部分とは異なり、たとえば第一の部分と第二の部分とは互いに素の関係にあるか、又は第二の部分が第一の部分を含み且つ更なる係数を有する。ステップ18は、サブ系列Seq1及びSeq2に関する動作及び
シグネチャの第一の部分とは異なる
シグネチャの第二の部分に関する動作を除いて、ステップ10と同じである。
【0026】
ステップ20の間、それぞれの第一のサブ系列のそれぞれの第一の画像I
1t1は、比較ステップ18の結果に従って、第二の対応するサブ系列の第二の画像I
1t2のうちの画像と時間的に位置合わせされる。
【0027】
ステップ10〜12は、CPU及びメモリの観点で、おおよそ粗いものの安価な最初のレジストレーションとなる。ステップ18〜20は、このレジストレーションが、サブ系列、すなわちレジストレーションが不十分な系列に関して改善されるのを可能にする。
【0028】
変形例によれば、ステップ14〜20は、第一の系列のそれぞれの第一の画像について、この第一の画像の位置合わせの品質を表す値Cが閾値Tよりも大きくなるまで、第一の
シグネチャの他の部分と第二の
シグネチャの対応する部分について反復される。
【0029】
別の変形例によれば、第一及び/又は第二の画像の
シグネチャは、バイナリ形式で符号化される。この変形例によれば、レジストレーション方法は、比較ステップ10及び18のそれぞれの前に加えて、第一及び/又は第二の画像の
シグネチャの一部を復号化するステップを含み、比較ステップ10及び18は、第一及び/又は第二の復号化画像の
シグネチャの一部に適用される。
【0030】
図2を参照して、本発明は、ある画像の系列と別の画像の系列とのレジストレーションのための、ある画像系列のうちの画像の
シグネチャを計算する方法に関する。
【0031】
ステップ22の間、差分画像Dhは、現在の画像とこの現在の画像を時間的に囲んでいる画像のうちの1つとの間で画素毎に決定される。
【0032】
ステップ24の間、差分画像Dhは、たとえばHaar又はDaubechies変換を使用して、ウェーブレット係数に変換される。
【0033】
図3に示される変形例によれば、本方法は、符号化のステップ26を含む。ステップ26の間、ウェーブレット係数の少なくとも1つの部分は、階層的に符号化される。たとえば、SPIHT(Set Partitioning in Hierarchical Trees)型又はEZW(Embedded Zero-tree Wavelet)型の符号化アルゴリズムである。係るアルゴリズムは、ウェーブレット係数を階層的な形式で符号化し、最も重要な情報を表す低周波係数は符号化され、はじめに送信される。第一ビットが受信されるとすぐ、復号化を開始することができ、差分画像Dhの粗い近似が得られる。係るアルゴリズムは、符号化された形式で階層化された形式で
シグネチャを表現するために使用される。符号化されたウェーブレット係数の一部は、この部分のウェーブレット係数のエネルギーレベル値又はエントロピーが閾値ETよりも大きいように定義される。より詳細には、差分画像Dhの新たなウェーブレット係数の符号化のそれぞれのセットで、符号化された係数のエネルギーレベル又はエントロピーは、この瞬間にまで計算され、このエネルギーレベル又はエントロピーは、閾値ETと比較される。エネルギーレベル又はエントロピーがETよりも小さい場合、より多くのウェーブレット係数がこの差分画像Dhについて符号化される。たとえば、エネルギーレベルは、ウェーブレット係数の自乗の総和に等しい。エントロピーは、符号化された係数のバイナリビットレートを測定することで推定される。
【0034】
特定の実施の形態によれば、
図1を参照して記載されたレジストレーション方法は、
図2及び
図3を参照して上述されたように計算されたウェーブレット係数を含む
シグネチャに適用される。有利なことに、
シグネチャの第一の部分は、低周波のウェーブレット係数を含み、
シグネチャの第二の部分は、高周波のウェーブレット係数を含む。
【0035】
変形例によれば、ウェーブレット係数は、第一及び第二の系列の少なくとも1つについて、すなわち系列の画像について符号化される。レジストレーション方法は、比較ステップのそれぞれの前に加えて、
シグネチャの部分を復号化するステップを含み、比較ステップは、復号化された
シグネチャの部分に適用される。
【0036】
また、本発明は、
図4を参照して記載されたレジストレーション装置3に関する。レジストレーション装置3は、第一の
シグネチャ{S1t1}1≦t1≦N1を受ける第一の入力30と、第二の
シグネチャ{S2t2}1≦t2≦N2を受ける第二の入力32を有する。レジストレーション装置3は、これらの入力に接続され、本発明に係るレジストレーション方法のステップ10,12,16,18及び20を実行するレジストレーションモジュール34を有する。また、レジストレーション装置3は、レジストレーションの品質を表す値の計算のためのモジュール36を有する。計算モジュール36は、本発明に係るレジストレーション方法のステップ14を実行し、レジストレーションの品質に関する懸念が存在することを画像レジストレーションモジュール344に通知する。レジストレーションモジュール34は、ステップ16に従って、ステップ18及び20を動作するためにサブ系列を定義する。レジストレーションモジュール34は、出力モジュール38を更に有する。
【0037】
図5に示される第一の変形例によれば、レジストレーション装置3は、
シグネチャ復号化モジュール31及び32を有する。この変形例によれば、入力30及び32は、
図3を参照して記載される
シグネチャ計算方法のステップ26に従って、第一の
シグネチャ{S1t1}1≦t1≦N1及び第二の
シグネチャ{S2t2}1≦t2≦N2を符号化された形式で受ける。
【0038】
図6に示される第二の変形例によれば、レジストレーション装置3は、画像{I1t1}1≦t1≦N1を受けるために入力32の代わりに入力40を有する。また、レジストレーション装置3は、
シグネチャ計算モジュール42を有する。このモジュールは、
図2を参照して記載された
シグネチャ計算方法のステップ22及び24を実行する。
【0039】
第三の変形例は、
図7に示される。この変形例は、第一の変形例と第二の変形例との組み合わせである。この図では、同じ参照符号を使用して、
図5及び
図6に示されるモジュールと同じモジュールが識別される。
【0040】
以上により、本発明は、上述された実施の形態の例に限定されるものではない。特に、当業者であれば、任意の変形例を説明された実施の形態に適用して、それらを組み合わせて様々な利点を得る場合がある。任意のプログレッシブな符号化ダイアグラムにダイレクトに一般化することができる。SVCのような他の符号化タイプは、最も高い視覚的な重要な情報が優先的に符号化されることを保証するビットレート割り当てメカニズムと合わせて使用することができる。
【産業上の利用可能性】
【0041】
有利なことに、本発明は、海賊版の画像の系列を原画像の系列と位置合わせするために使用することができる。
【符号の説明】
【0042】
3 :レジストレーション装置
30:第一の入力
32:第二の入力
34:レジストレーションモジュール
36:計算モジュール
38:出力モジュール
40:入力
42:
シグネチャ計算モジュール