(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
ステッピングモータのロータの回転によって発生する誘起信号を検出し、複数の区間を有する検出区間において前記誘起信号が所定の基準しきい電圧を超えたか否かを検出する回転検出手段と、前記複数の区間において前記回転検出手段によって検出された誘起信号が前記基準しきい電圧を超えるか否かを表すパターンに基づいて前記ステッピングモータの回転状況を判定し、前記判定結果に基づいて相互にエネルギが相違する複数の主駆動パルスのいずれか又は前記各主駆動パルスよりもエネルギの大きい補正駆動パルスによって前記ステッピングモータを駆動制御する制御手段とを備え、
前記検出区間として、第1区間と前記第1区間に続く第2区間とを含む第1検出区間と、前記第1区間、前記第2区間、及び、前記第2区間に続く第3区間を含む第2検出区間とを少なくとも有する複数種類の検出区間が設けられて成り、
前記制御手段は、前記第1区間の検出結果に基づく前記主駆動パルスの駆動余力の程度に応じて、前記第1検出区間又は第2検出区間のいずれかの検出区間を選択し該選択した検出区間における前記パターンを用いて前記ステッピングモータの回転状況を判定するものであって、前記第1区間において、通常駆動の状態の際には、前記ロータを中心とする空間の第3象限において前記ロータの最初の正方向回転状況を判定し、前記通常駆動に対して駆動余裕がなくなる程度に負荷が増えた状態で前記主駆動パルスによって駆動する負荷増分中駆動状態の際には、前記ロータを中心とする空間の第2象限において前記ロータの最初の正方向回転状況を判定し、前記第2区間において、前記通常駆動の状態の際には、前記第3象限において前記ロータの最初の正方向回転状況及び最初の逆方向回転状況を判定し、前記負荷増分中駆動状態の際には、第3象限においてロータの最初の正方向回転状況及び最初の逆方向回転状況を判定し、前記第3区間において、前記負荷増分中駆動状態の際には、前記第3象限においてロータの最初の逆方向回転状況及び前記逆方向回転後の回転状況を判定し、これら判定結果に基づいて相互にエネルギが相違する複数の主駆動パルスのいずれか又は前記各主駆動パルスよりもエネルギの大きい補正駆動パルスによって前記ステッピングモータを駆動制御することを特徴とするステッピングモータ制御回路。
前記制御手段は、前記第1検出区間における前記第1区間の検出結果に応じて駆動余力の程度を判定し、前記判定結果に基づいて前記第1検出区間を継続して検出するか或いは前記第2検出区間に切り替えて検出するかを選択し該選択した検出区間のパターンを用いて前記ステッピングモータの回転状況を判定することを特徴とする請求項1又は2記載のステッピングモータ制御回路。
前記第1検出区間において前記第1区間の後に設けられた第2区間は、前記第2検出区間において前記第1区間の後に設けられた第2区間よりも早く開始することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一に記載のステッピングモータ制御回路。
前記制御手段は、主駆動パルスによって駆動した場合に、駆動余力の大きい回転状況が1回生じたときは前記主駆動パルスをパルスダウンすることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか一に記載のステッピングモータ制御回路。
前記制御手段は、主駆動パルスによって駆動した場合に、駆動余力の小さい回転状況が連続して所定回数生じたときは前記主駆動パルスをパルスダウンすることを特徴とする請求項1乃至7のいずれか一に記載のステッピングモータ制御回路。
前記回転検出手段は、前記ステッピングモータに発生する誘起信号を検出素子によって検出する検出ループと、前記ステッピングモータを短絡することによって前記ステッピングモータに制動をかける閉ループとを所定周期で繰り返すことによって前記誘起信号を検出するように構成されて成り、前記ステッピングモータの回転余力が所定値以下のとき、前記無効領域では検出ループに制御して前記ステッピングモータに制動をかけることを特徴とする請求項9又は10記載のステッピングモータ制御回路。
前記回転検出手段は、前記ステッピングモータに発生する誘起信号を検出素子によって検出する検出ループと、前記ステッピングモータを短絡することによって前記ステッピングモータに制動をかける閉ループとを所定周期で繰り返すことによって前記誘起信号を検出するように構成されて成り、前記ステッピングモータの回転余力が所定値を超えるとき、前記無効領域では閉ループに制御することを特徴とする請求項9乃至11のいずれか一に記載のステッピングモータ制御回路。
【発明を実施するための形態】
【0012】
図1は、本発明の各実施の形態に係るモータ制御回路を用いたアナログ電子時計に共通するブロック図で、アナログ電子腕時計の例を示している。
図1において、アナログ電子時計は、所定周波数の信号を発生する発振回路101、発振回路101で発生した信号を分周して計時の基準となる時計信号を発生する分周回路102、電子時計を構成する各電子回路要素の制御や駆動パルスの変更制御等の制御を行う制御回路103、制御回路103からの制御信号に基づいてモータ回転駆動用の駆動パルスを選択し出力する駆動パルス選択回路104、駆動パルス選択回路104からの駆動パルスによって回転駆動されるステッピングモータ105、ステッピングモータ105によって回転駆動され時刻を表示する時刻針(
図1の例では時針107、分針108、秒針109の3種類)を有するアナログ表示部106を備えている。
【0013】
また、アナログ電子時計は、ステッピングモータ105のロータの回転によって発生し所定の基準しきい電圧を超える誘起信号VRsを所定の検出区間において検出する回転検出回路110、回転検出回路110が基準しきい電圧Vcompを超える誘起信号VRsを検出した時点と検出した区間とを比較して、当該誘起信号VRsがどの区間において検出されたのかを判別する検出区間判別回路111を有している。
尚、詳細は後述するが、検出区間として、複数の区間を有する第1検出区間Txと、複数の区間を有する第2検出区間Tyとが用意されており、主駆動パルスP1の駆動余力の大きさに応じて前記第1検出区間Txと第2検出区間Tyのいずれかを選択的に用いて回転状況を判定し、パルス制御を行うようにしている。
【0014】
回転検出回路110は、前記特許文献1に記載された回転検出回路と同様の原理を利用して誘起信号VRsを検出する構成のものであり、ステッピングモータ105が回転した場合等のように回転動作が速い場合には所定の基準しきい電圧Vcompを越える誘起信号VRsが発生し、モータ105が回転しなかった場合等のように回転動作が遅い場合には誘起信号VRsは基準しきい電圧Vcompを越えないように基準しきい電圧Vcompが設定されている。
ここで、発振回路101及び分周回路102は信号発生手段を構成し、アナログ表示部106は時刻表示手段を構成している。回転検出回路110は回転検出手段を構成し、制御回路103、駆動パルス選択回路104及び検出区間判別回路111は制御手段を構成している。
【0015】
図2は、本発明の各実施の形態に共通使用するステッピングモータ105の構成図で、アナログ電子時計で一般に用いられている時計用ステッピングモータの例を示している。
図2において、ステッピングモータ105は、ロータ収容用貫通孔203を有するステータ201、ロータ収容用貫通孔203に回転可能に配設されたロータ202、ステータ201と接合された磁心208、磁心208に巻回されたコイル209を備えている。ステッピングモータ105をアナログ電子時計に用いる場合には、ステータ201及び磁心208はネジ(図示せず)によって地板(図示せず)に固定され、互いに接合される。コイル209は、第1端子OUT1、第2端子OUT2を有している。
【0016】
ロータ202は、2極(S極及びN極)に着磁されている。磁性材料によって形成されたステータ201の外端部には、ロータ収容用貫通孔203を挟んで対向する位置に複数(本実施の形態では2個)の切り欠き部(外ノッチ)206、207が設けられている。各外ノッチ206、207とロータ収容用貫通孔203間には可飽和部210、211が設けられている。
可飽和部210、211は、ロータ202の磁束によっては磁気飽和せず、コイル209が励磁されたときに磁気飽和して磁気抵抗が大きくなるように構成されている。ロータ収容用貫通孔203は、輪郭が円形の貫通孔の対向部分に複数(本実施の形態では2つ)の半月状の切り欠き部(内ノッチ)204、205を一体形成した円孔形状に構成されている。
【0017】
切り欠き部204、205は、ロータ202の停止位置を決めるための位置決め部を構成している。コイル209が励磁されていない状態では、ロータ202は、
図2に示すように前記位置決め部に対応する位置、換言すれば、ロータ202の磁極軸Aが、切り欠き部204、205を結ぶ線分と直交するような位置(角度θ0位置)に安定して停止している。ロータ202の回転軸(回転中心)を中心とするXY座標空間を4つの象限(第1象限I〜第4象限IVに区分している。
【0018】
いま、駆動パルス選択回路104から矩形波の駆動パルスをコイル209の端子OUT1、OUT2間に供給して(例えば、第1端子OUT1側を正極、第2端子OUT2側を負極)、
図2の矢印方向に電流iを流すと、ステータ201には破線矢印方向に磁束が発生する。これにより、可飽和部210、211が飽和して磁気抵抗が大きくなり、その後、ステータ201に生じた磁極とロータ202の磁極との相互作用によって、ロータ202は
図2の矢印方向に180度回転し、磁極軸Aが角度θ1位置で安定的に停止する。尚、ステッピングモータ105を回転駆動することによって通常動作(本実施の形態ではアナログ電子時計であるため運針動作)を行わせるための回転方向(
図2では反時計回り方向)を正方向とし、その逆(時計回り方向)を逆方向としている。
【0019】
次に、駆動パルス選択回路104から、逆極性の矩形波の駆動パルスをコイル209の端子OUT1、OUT2に供給して(前記駆動とは逆極性となるように、第1端子OUT1側を負極、第2端子OUT2側を正極)、
図2の反矢印方向に電流を流すと、ステータ201には反破線矢印方向に磁束が発生する。これにより、可飽和部210、211が先ず飽和し、その後、ステータ201に生じた磁極とロータ202の磁極との相互作用によって、ロータ202は前記と同一方向(正方向)に180度回転し、磁極軸Aが角度θ0位置で安定的に停止する。
【0020】
以後、このように、コイル209に対して極性の異なる信号(交番信号)を供給することによって、前記動作が繰り返し行われて、ロータ202を180度ずつ矢印方向に連続的に回転させることができるように構成されている。尚、本実施の形態では、駆動パルスとして、後述するように、相互にエネルギの異なる複数の主駆動パルスP10〜P1m及び補正駆動パルスP2を用いている。
【0021】
図3は、本発明の第1の実施の形態において主駆動パルスP1によってステッピングモータ105を駆動した場合のタイミング図で、主駆動パルスP1のエネルギと負荷の大きさの相対的な関係に基づく回転の状態、ロータ202の回転位置を示す回転挙動、誘起信号VRsが発生するタイミング、駆動余力を含む回転状況を表すパターン及びパルスダウン等のパルス制御動作をあわせて示している。
図3において、P1は主駆動パルスP1を表すと共にロータ202が主駆動パルスP1によって回転駆動される区間を表し、又、a〜eは主駆動パルスP1の駆動停止後の自由振動によるロータ202の回転位置を表す領域である。
【0022】
制御回路103は、検出区間として、複数の区間(本実施の形態では2つの区間T11、T21)を有する第1検出区間Txと、複数の区間(本実施の形態では3つの区間T11、T2、T3)を有する第2検出区間Tyとを有しており、ステッピングモータ105の負荷に対する主駆動パルスP1の相対的な駆動余力の大きさに応じて前記第1検出区間Tx、第2検出区間Tyのいずれかを選択的に用いて回転状況を判定し、パルス制御を行う。
【0023】
第1検出区間Txは、主駆動パルスP1による駆動直後の所定時間を第1区間T11、前記第1区間T11よりも後の所定時間を第2区間T21としている。このように、主駆動パルスP1による駆動直後から始まる第1検出区間Txを連続する複数の区間に区分している。
また、前記第2検出区間Tyは、主駆動パルスP1による駆動直後の所定時間を第1区間T11、前記第1区間T11よりも後の所定時間を第2区間T2、第2区間T2よりも後の所定時間を第3区間T3としている。
【0024】
第2検出区間Tyの第1区間T1は第1検出区間Txの第1検出区間T11を兼用している。第2検出区間Tyの第2区間T2は第1検出区間Txの第2区間T21よりも後に始まるように、第1区間T11と第2区間T2の間には無効領域Tsが設けられている。無効領域Tsは、制御回路103が無効領域Ts内で発生する誘起信号VRsを考慮せずにステッピングモータ105の回転状況を判定する領域である。回転検出回路110は、ステッピングモータ105の自由振動によって発生する誘起信号VRsを、所定のサンプリング周期で検出するように構成されており、少なくとも1回のサンプリングによって検出される誘起信号VRsを考慮しないように構成できればよいため、無効領域Tsの時間幅は少なくとも誘起信号VRsのサンプリング周期以上であればよい。
【0025】
尚、本実施の形態では、第2検出区間Tyの第1区間T1は、第1検出区間Txの第1区間T11を兼用しているが、他の長さの区間、例えば、主駆動パルスP1による駆動終了直後から第2区間T2まで連続する長さの区間に設定するようにしてもよい。この場合、第1検出区間Txの第1区間は第2検出区間Tyの第1区間T1よりも短い時間幅に設定できることになる。
【0026】
本実施の形態では、回転検出回路110は制御回路103が駆動余力に基づいて選択した検出区間TxまたはTyの各区間で基準しきい電圧Vcompを超える誘起信号VRsを検出すると共に、検出区間判別回路111は回転検出回路110が検出した基準しきい電圧Vcompを超える誘起信号VRsがどの前記区間に属するのかを判別し、制御回路103は、検出区間判別回路111が判別した結果に基づいて回転状況を判定し、パルス制御を行うように構成している。
【0027】
例えば、制御回路103は、基準しきい電圧Vcompを超える誘起信号VRsが回転検出回路110によって第1検出区間Txの第1区間T11内で検出されなかったと判定した場合には、主駆動パルスP1は駆動余力があると判定して、第1検出区間Tx(即ち、第1区間T11及び第2区間T21)を用いて回転状況を判定し、パルス制御を行う。また、制御回路103は、基準しきい電圧Vcompを超える誘起信号VRsが回転検出回路110によって第1検出区間Txの第1区間T11内で検出されたと判定した場合には、主駆動パルスP1は駆動余力がないと判定して、第2検出区間Ty(即ち、第1区間T11、第2区間T2及び第3区間T3)を用いて回転状況を判定し、パルス制御を行う。
【0028】
ロータ202を中心として、その回転によってロータ202の主磁極が位置するXY座標空間を第1象限I〜第4象限IVに区分した場合、第1検出区間Txの第1区間T11、第2区間T21、及び、第2検出区間Tyの第1区間T11、第2区間T2、第3区間T3は次のように表すことができる。
通常駆動の状態において、第1検出区間Txの第1区間T11はロータ202を中心とする空間の第3象限IIIにおいてロータ202の最初の正方向回転状況を判定する区間、前記第1区間T11の後の第2区間T21は第3象限IIIにおいてロータ202の最初の正方向回転状況及び最初の逆方向回転状況を判定する区間である。また、通常駆動の状態において、第2検出区間Tyの第3区間T3は第3象限IIIにおいてロータ202の最初の逆方向回転後の回転状況を判定する区間となる。
ここで、通常駆動とは通常時の駆動状態を意味し、本実施の形態では、所定の主駆動パルスP1によって時刻針(時針107、分針108、秒針109)を駆動する状態を通常駆動としており、主駆動パルスP1のエネルギがステッピングモータ105を回転させる駆動余力のある回転(余裕回転)である。
【0029】
通常駆動に対して駆動余裕がなくなる程度に負荷が増えた状態で前記主駆動パルスP1によって駆動する状態(負荷増分中駆動)では、第2検出区間Tyの第1区間T11はロータ202を中心とする空間の第2象限IIにおいてロータ202の最初の正方向回転状況を判定する区間、前記第1の区間T11の後の第2区間T2は第3象限IIIにおいてロータ202の最初の正方向回転状況及び最初の逆方向回転状況を判定する区間、前記第2区間T2の後の第3区間T3は第3象限IIIにおいてロータ202の最初の逆方向回転状況及び前記逆方向回転後の回転状況を判定する区間であり、主駆動パルスP1のエネルギがステッピングモータ105を回転させる余裕のない回転(余裕なし回転)である。
【0030】
通常駆動よりも大きなエネルギによって駆動する状態(通常駆動よりもエネルギが大きい主駆動パルスP1によって通常駆動時の負荷を駆動する状態)(高エネルギ駆動)は、主駆動パルスP1のエネルギがステッピングモータ105を回転させる駆動余力のある回転(余裕回転)である。
また、通常駆動に対して大きな負荷が増えた状態で前記主駆動パルスP1によって駆動する状態(負荷増分大駆動)は、主駆動パルスP1のエネルギがステッピングモータ105を回転させるのにぎりぎりの状態の回転(ぎりぎり回転)である。
また、通常駆動に対して極めて大きな負荷が増えた状態で前記主駆動パルスP1によって駆動する状態(負荷増分極大駆動)は、主駆動パルスP1のエネルギがステッピングモータ105を回転させるのに不足している状態の駆動であり、ステッピングモータ105を回転させることができない駆動状態(非回転)である。
【0031】
基準しきい電圧Vcompはステッピングモータ105で発生する誘起信号VRsの電圧レベルを判定する基準電圧であり、ステッピングモータ105が回転した場合等のようにロータ202が一定の速い動作を行った場合には誘起信号VRsが基準しきい電圧Vcompを超え、回転しない場合等のようにロータ202が一定の速い動作を行わない場合には誘起信号VRsが基準しきい電圧Vcompを超えないように基準しきい電圧Vcompは設定されている。
【0032】
例えば、
図3において通常駆動の状態では、領域bで生じた誘起信号VRsは第1区間T11において検出され、領域cで生じた誘起信号VRsは第2区間T21において検出される。このように、通常駆動状態では駆動余力があるため、第1検出区間Txにおいて誘起信号VRsを検出する。したがって、第3区間T3における検出は行われず、第1検出区間Txの第1区間T11及び第2区間T21で検出した誘起信号VRsに基づいて回転状況が判定される。
【0033】
また、
図3において負荷増分中駆動の状態では、領域aで生じた誘起信号VRsは第1区間T11において検出され、領域bで生じた誘起信号VRsは第2区間T2において検出され、領域cで生じた誘起信号VRsは第2区間T2において検出される。このように、負荷増分中駆動状態では駆動余力がないため、第2検出区間Tyにおいて誘起信号VRsを検出する。したがって、第2区間T21における検出は行わず、第2区間T2において検出を行い、第2検出区間Tyの第1区間T11、第2区間T2で検出した誘起信号VRsに基づいて回転状況が判定される。
【0034】
回転検出回路110が基準しきい電圧Vcompを超える誘起信号VRsを検出した場合を判定値「1」、回転検出回路110が基準しきい電圧Vcompを超える誘起信号VRsを検出できなかった場合を判定値「0」とすると、
図3の通常駆動の例では、第1区間T11の判定値が「0」であるため駆動余力のある可能性有りと判定して第1検出区間Txを用いて回転状況を判定する。この場合、回転状況を表すパターン(第1区間T11の判定値,第2区間T21の判定値)として(0,1)が得られており、制御回路103は通常駆動(余裕回転)と判定して、主駆動パルスP1のエネルギを1ランクダウン(パルスダウン)するようにパルス制御を行う。
【0035】
また、
図3の負荷増分中駆動の例では、第1区間T11の判定値が「1」であるため駆動余力のある可能性無しと判定して第2検出区間Tyを用いて回転状況を判定する。この場合、回転状況を表すパターン(第1区間T11の判定値,第2区間T2の判定値)として(1,1)が得られており、制御回路103は負荷増分中駆動(余裕なし回転)と判定して、主駆動パルスP1のエネルギを変更せずに維持するようにパルス制御を行う。
【0036】
図4は本第1の実施の形態の動作をまとめた判定チャートである。
図4において、前述したとおり、基準しきい電圧Vcompを超える誘起信号VRsを検出した場合を判定値「1」、基準しきい電圧Vcompを超える誘起信号VRsを検出できなかった場合を判定値「0」と表している。また、「−」は回転状況を判定する際に考慮しない区間を表している。
図4に示すように、回転検出回路110が基準しきい電圧Vcompを超える誘起信号VRsの有無を検出し、検出区間判別回路111が前記誘起信号VRsの発生区間を判別したパターンに基づいて、制御回路103内部に記憶した
図4の判定チャートを参照して、制御回路103及び駆動パルス選択回路104は主駆動パルスP1のパルスアップやパルスダウンあるいは補正駆動パルスP2による駆動等の後述する駆動パルス制御を行ってステッピングモータ105を回転制御する。
【0037】
例えば、制御回路103は、パターン(1,0,0)の場合、第1区間T11が「1」であるため第2検出期間Tyを用いて回転状況を判定する。この場合、制御回路103はステッピングモータ105が回転していない(非回転)と判定して、補正駆動パルスP2によってステッピングモータ105を駆動するように駆動パルス選択回路104を制御した後、次回駆動時に1ランクアップ(パルスアップ)した主駆動パルスP1に変更して駆動するように駆動パルス選択回路104を制御する。
【0038】
制御回路103は、パターン(1,0,1)の場合、ステッピングモータ105は回転したが、駆動状態は通常負荷に対して大きい負荷が増えた状態での駆動(負荷増分大駆動)であり、次回駆動時に非回転になる恐れがある(ぎりぎり回転)と判定して、補正駆動パルスP2による駆動を行うことなく、非回転となる前に早めに、次回駆動時に1ランクアップした主駆動パルスP1に変更して駆動するように駆動パルス選択回路104を制御する。
【0039】
図5及び
図6は、本第1の実施の形態に係るステッピングモータ制御回路及びアナログ電子時計の動作を示すフローチャートで、
図5は本第1の実施の形態に特有の処理を示すフローチャート、
図6は後述する他の実施の形態と共通の処理を示すフローチャートである。
以下、
図1〜
図6を参照して、本第1の実施の形態に係るステッピングモータ制御回路及びアナログ電子時計の動作を詳細に説明する。
【0040】
図1において、発振回路101は所定周波数の基準クロック信号を発生し、分周回路102は発振回路101で発生した前記信号を分周して計時の基準となる時計信号を発生し、制御回路103に出力する。
制御回路103は、前記時計信号を計数して計時動作を行い、先ず主駆動パルスP1nのランクn及び駆動余力がある回転状況(駆動状態が余裕回転及びやや余裕なし回転)の連続発生回数Nを0にして(
図5のステップS501)、最小パルス幅(最小エネルギランク)の主駆動パルスP10でステッピングモータ105を回転駆動するように制御信号を出力する(ステップS502、S503)。
【0041】
駆動パルス選択回路104は、制御回路103からの制御信号に応答して、主駆動パルスP10によってステッピングモータ105を回転駆動する。ステッピングモータ105は主駆動パルスP10によって回転駆動されて、時刻針107〜109を回転駆動する。これにより、ステッピングモータ105が正常に回転した場合には、表示部106では、時刻針107〜109によって現在時刻が随時表示される。
【0042】
制御回路103は、回転検出回路110が所定の基準しきい電圧Vcompを超えるステッピングモータ105の誘起信号VRsを検出したか否かの判定、及び、検出区間判別回路111が前記誘起信号VRsの検出時刻tは第1検出区間Txの第1区間T11内と判定したか否かの判定(即ち、基準しきい電圧Vcompを超える誘起信号VRsを第1検出区間Txの第1区間T11内で検出したか否かの判定)を行う(ステップS504)。
【0043】
制御回路103は、処理ステップS504において基準しきい電圧Vcompを超える誘起信号VRsを第1区間T11内で検出していないと判定した場合には(パターンが(0,−,−)の場合である。ここで、判定値「−」は「1」か「0」か不定であることを意味している。)、第1区間T11が「0」であるため駆動余力のある可能性有りと判定して第1検出区間Txを用いて回転状況を判定する。
この場合、制御回路103は、前記同様にして、基準しきい電圧Vcompを超える誘起信号VRsを第1検出区間Txの第2区間T21内で検出したか否かを判定する(ステップS505)。
【0044】
制御回路103は、処理ステップS505において基準しきい電圧Vcompを超える誘起信号VRsを第2区間T21内で検出していないと判定した場合(パターンが(0,0,−)であり、
図3及び
図4の非回転の場合である。)、補正駆動パルスP2によってステッピングモータ105を駆動した後(ステップS507)、当該主駆動パルスP1のランクnが最大ランクmでない場合には主駆動パルスP1を1ランクアップして主駆動パルスP1(n+1)に変更した後に処理ステップS502に戻り、次回の駆動はこの主駆動パルスP1(n+1)によって駆動する(ステップS508、S510)。
【0045】
制御回路103は、処理ステップS508において当該主駆動パルスP1のランクnが最大ランクmの場合にはパルスアップできないため、主駆動パルスP1を変更せずに処理ステップS502に戻り、次回の駆動はこの主駆動パルスP1mによって駆動する(ステップS509)。
制御回路103は、処理ステップS504において基準しきい電圧Vcompを超える誘起信号VRsを第1区間T11内で検出したと判定した場合(パターンが(1,−,−)の場合である。)、第1区間T11が「1」であるため駆動余力のある可能性無しと判定して第2検出区間Tyを用いて回転状況を判定する。
この場合、制御回路103は、前記同様にして、基準しきい電圧Vcompを超える誘起信号VRsを第2検出区間Tyの第2区間T2内で検出したか否かを判定する(ステップS514)。
【0046】
制御回路103は、処理ステップS514において基準しきい電圧Vcompを超える誘起信号VRsを第2区間T2内で検出していないと判定した場合(パターンが(1,0,−)の場合である。)、基準しきい電圧Vcompを超える誘起信号VRsを第3区間T3内で検出したか否かを判定する(ステップS513)。
制御回路103は、処理ステップS513において基準しきい電圧Vcompを超える誘起信号VRsを第3区間T3内で検出していないと判定した場合(パターンが(1,0,0)であり、
図4の非回転の場合である。)、処理ステップS507に移行して前記処理を行う。
【0047】
制御回路103は、処理ステップS513において基準しきい電圧Vcompを超える誘起信号VRsを第3区間T3内で検出したと判定した場合(パターンが(1,0,1)であり、
図3及び
図4の負荷増分大駆動、ぎりぎり回転の場合である。)、主駆動パルスP1のランクnが最大ランクmでない場合には1ランクアップして処理ステップ502に戻り(ステップS512、S510)、最大ランクmの場合にはランクアップできないため変更せずに処理ステップS502に戻る(ステップS512、S511)。
また、制御回路103は、処理ステップS514において基準しきい電圧Vcompを超える誘起信号VRsを第2区間T2内で検出したと判定した場合(パターンが(1,1,−)であり、
図3及び
図4の負荷増分中、余裕なし回転である。)、主駆動パルスP1のランクは変更せずに処理ステップS502に戻る(ステップS511)。
【0048】
一方、制御回路103は、処理ステップS505において基準しきい電圧Vcompを超える誘起信号VRsを第2区間T21内で検出したと判定した場合(パターンが(0,1,−)であり、
図3及び
図4の通常駆動又は高エネルギ駆動の場合であり、余裕回転の場合である。)、主駆動パルスP1のランクnが最低ランク0のときは(ステップS515)、ランクを下げることができないためランクを変更せずに処理ステップS502に戻る(ステップS509)。
【0049】
制御回路103は、処理ステップS515において主駆動パルスP1のランクnが最低ランク0ではないと判定したきは、回数Nに1加算する(ステップS516)。制御回路103は、加算後の回数Nが所定回数(本実施の形態では80回)に到達したと判定した場合(ステップS517)、主駆動パルスP1を1ランクダウンすると共に回数Nを0にして処理ステップS502に戻り(ステップS518)、回数Nが前記所定回数に到達していないと判定した場合には、主駆動パルスP1を変更せずに処理ステップS502に戻る(ステップS509)。これにより、主駆動パルスのエネルギに駆動余力のある駆動状態が所定回数連続して発生した場合にパルスダウンが行われるため、安定した駆動状態の下でパルスダウンが行われ、パルスダウン後にエネルギ不足によって非回転となることを防止できると共に、省電力化が可能になる。
【0050】
図7は、
図6とともに本発明の第2の実施の形態の動作を示すフローチャートである。
前記実施の形態と本第2の実施の形態との相違点は
図7に示す処理であり、ブロック図等の構成は同一である。以下、
図1〜
図4、
図6、
図7を用いて前記相違点について説明する。
制御回路103は、
図7の処理ステップS505において基準しきい電圧Vcompを超える誘起信号VRsを第2区間T21内で検出したと判定した場合、主駆動パルスP1のランクnが最低ランク0のときは(ステップS515)、ランクを下げることができないためランクを変更せずに処理ステップS502に戻る(ステップS509)。
【0051】
制御回路103は、処理ステップS515において主駆動パルスP1のランクnが最低ランク0ではないと判定したきは、直ちに主駆動パルスP1のランクを1ランクダウンして処理ステップS502に戻る(ステップS518)。これにより、主駆動パルスのエネルギに駆動余力のある駆動状態が1回発生した場合にパルスダウンが行われるため、大幅な省電力化が可能になる。
【0052】
図8は、本発明の第3の実施の形態に係るステッピングモータ制御回路及びアナログ電子時計の動作を説明するためのタイミング図である。本第3の実施の形態のブロック図は
図1と同じであり又、使用するステッピングモータも
図2のものと同じである。
前記第1の実施の形態では検出区間として2つの区間T11、T21を有する第1検出区間Txと3つの区間T11、T2、T3を有する第2検出区間Tyとを用いてステッピングモータ105の回転状況を判定したが、本第3の実施の形態では、検出区間として、複数の区間(本第3の実施の形態では3つの区間T11、T21、T3)を有する第1検出区間Twと、複数の区間(本第3の実施の形態では3つの区間T11、T2、T3)を有する第2検出区間Tzとを用いて、ステッピングモータの回転状況を判定するようにしている。第1検出区間Twと第2検出区間Tzにおいて、第1区間T11と第3区間T3は兼用しており、第2区間T21と第2区間T2が相違するように構成されている。
【0053】
即ち、第1検出区間Twでは、主駆動パルスP1による駆動直後の所定時間を第1区間T11、前記第1区間T11よりも後の所定時間を第2区間T21、前記第2区間T11よりも後の所定時間を第3区間T3としている。このように、主駆動パルスP1による駆動直後から始まる第1検出区間Twを連続する複数の区間に区分している。
また、第2検出区間Tzでは、主駆動パルスP1による駆動直後の所定時間を第1区間T11、前記第1区間T11よりも後の所定時間を第2区間T2、第2区間T2よりも後の所定時間を第3区間T3としている。このように、主駆動パルスP1による駆動直後から始まる第2検出区間Tzを複数の区間に区分している。第2検出区間Tzの第2区間T2は第1検出区間Twの第2区間T21よりも後に始まるように、第1区間T11と第2区間T2の間には無効領域Tsが設けられている。
尚、本実施の形態では、第2検出区間Tzの第1区間T1及び第3区間T3は、第1検出区間Twの第1区間T11及び第3区間T3を兼用しているが、他の長さの区間に設定するようにしてもよい。また、第1検出区間Twの区間と第2検出区間Tzの区間を同数に設定しているが、必ずしも同数にする必要はない。
【0054】
ロータ202を中心として、その回転によってロータ202の主磁極が位置するXY座標空間を第1象限I〜第4象限IVに区分した場合、第1検出区間Twの第1区間T11、第2区間T21、T3、及び、第2検出区間Tzの第1区間T11、第2区間T2、第3区間T3は次のように表すことができる。
通常駆動の状態において、第1検出区間Twの第1区間T11はロータ202を中心とする空間の第3象限IIIにおいてロータ202の最初の正方向回転状況を判定する区間、前記第1区間T11の後の第2区間T21は第3象限IIIにおいてロータ202の最初の正方向回転状況及び最初の逆方向回転状況を判定する区間、前記第2区間T21の後の第3区間T3は第3象限IIIにおいてロータ202の最初の逆方向回転後の回転状況を判定する区間である。
【0055】
また、通常駆動に対して駆動余裕がなくなる程度に負荷が増えた状態で前記主駆動パルスP1によって駆動する状態(負荷増分中駆動)では、第2検出区間Tzの第1区間T11は第2象限IIにおいてロータ202の最初の正方向回転状況を判定する区間、前記第1区間T11の後の第2区間T2は第3象限IIIにおいてロータ202の最初の正方向回転状況及び最初の逆方向回転状況を判定する区間、前記第2区間T2の後の第3区間T3は第3象限IIIにおいてロータ202の最初の逆方向回転状況及び前記逆方向回転後の回転状況を判定する区間であり、主駆動パルスP1のエネルギがステッピングモータ105を回転させる余裕のない回転(余裕なし回転)である。
【0056】
例えば、
図8の通常駆動の例では、第1検出区間Twの第1区間T11の判定値が「0」であるため駆動余力のある可能性有りと判定して第1検出区間Twを用いて回転状況を判定する。この場合、回転状況を表すパターン(第1区間T11の判定値,第2区間T21の判定値,第3区間T3の判定値)として(0,1,0)が得られており、制御回路103は通常駆動(余裕回転)と判定して、この駆動余力の大きい状態が1回発生した時点で直ちに主駆動パルスP1のエネルギを1ランクダウン(パルスダウン)するようにパルス制御を行う。
【0057】
また、
図8の負荷増分中駆動の例では、第1検出区間Twの第1区間T11の判定値が「1」であるため駆動余力のある可能性無しと判定して第2検出区間Tzを用いて回転状況を判定する。この場合、回転状況を表すパターン(第1区間T11の判定値,第2区間T2の判定値)として(1,1)が得られており、制御回路103は負荷増分中駆動(余裕なし回転)と判定して、主駆動パルスP1のエネルギを変更せずに維持するようにパルス制御を行う。
【0058】
また、
図8の負荷増分小駆動の例では、第1検出区間Twの第1区間T11の判定値が「0」であるため駆動余力のある可能性有りと判定して第1検出区間Twを用いて回転状況を判定する。この場合、回転状況を表すパターン(第1区間T11の判定値,第2区間T21の判定値,第3区間T3の判定値)として(0,1,1)が得られており、制御回路103は負荷増分小常駆動(やや余裕なし回転)と判定して、この駆動余力の小さい状態が所定回数(例えば80回)連続して発生した場合に主駆動パルスP1のエネルギを1ランクダウン(パルスダウン)するようにパルス制御を行う。
【0059】
図9は本第3の実施の形態の動作をまとめた判定チャートである。
図9における記号の意味は
図4と同じである。
例えば、制御回路103は、パターン(1,0,0)の場合、第1区間T11が「1」であるため第2検出期間Tzを用いて回転状況を判定する。この場合、制御回路103はステッピングモータ105が回転していない(非回転)と判定して、補正駆動パルスP2によってステッピングモータ105を駆動するように駆動パルス選択回路104を制御した後、次回駆動時に1ランクアップ(パルスアップ)した主駆動パルスP1に変更して駆動するように駆動パルス選択回路104を制御する。
【0060】
制御回路103は、パターン(1,0,1)の場合、ステッピングモータ105は回転したが、駆動状態は通常負荷に対して大きい負荷が増えた状態での駆動(負荷増分大駆動)であり、次回駆動時に非回転になる恐れがある(ぎりぎり回転)と判定して、補正駆動パルスP2による駆動を行うことなく、非回転となる前に早めに、次回駆動時に1ランクアップした主駆動パルスP1に変更して駆動するように駆動パルス選択回路104を制御する。
図10は
図6とともに本第3の実施の形態の動作を示すフローチャートであり、
図5と同一処理を行う部分には同一符号を付している。
【0061】
以下、
図1、
図2、
図8〜
図10を参照して、前記第1の実施の形態と相違する部分について説明する。
図10の処理ステップS505において、制御回路103は、基準しきい電圧Vcompを超える誘起信号VRsを第2区間T21内で検出したと判定した場合(パターンが(0,1,−)であり、
図8及び
図9の負荷増分小駆動、通常駆動又は高エネルギ駆動の場合であり、やや余裕なし回転又は余裕回転の場合である。)、基準しきい電圧Vcompを超える誘起信号VRsを第3区間T3内で検出したか否かを判定する(ステップS522)。
【0062】
制御回路103は、処理ステップS522において基準しきい電圧Vcompを超える誘起信号VRsを第3区間T3内で検出していないと判定した場合(パターンが(0,1,0)であり、
図8及び
図9の通常駆動又は高エネルギ駆動の場合であり、余裕回転の場合である。)、主駆動パルスP1が最低ランク0でないときは、この大きな駆動余裕を持つ状態が1回発生すると直ちに1ランク下げて処理ステップS502に戻り(ステップS521、S520)、主駆動パルスP1が最低ランク0のときはランクを下げることができないためランクは変更せずに処理ステップS502に戻る(ステップS509)。このように、駆動余力の大きい回転状況が1回生じたときは主駆動パルスP1を直ちにパルスダウンするため、低消費電力化が可能になる。
【0063】
制御回路103は、処理ステップS522において基準しきい電圧Vcompを超える誘起信号VRsを第3区間T3内で検出したと判定した場合(パターンが(0,1,1)であり、
図8及び
図9の負荷増分小駆動の場合であり、駆動余力の小さいやや余裕なし回転の場合である。)、主駆動パルスP1が最低ランク0のときは(ステップS515)、ランクを下げることができないためランクは変更せずに処理ステップS502に戻る(ステップS519)。
【0064】
制御回路103は、処理ステップS515において主駆動パルスP1のランクnが最低ランク0ではないと判定したきは、回数Nに1加算する(ステップS516)。制御回路103は、加算後の回数Nが所定回数(本実施の形態では80回)に到達したと判定した場合(ステップS517)、主駆動パルスP1を1ランクダウンすると共に回数Nを0にして処理ステップS502に戻り(ステップS518)、回数Nが前記所定回数に到達していないと判定した場合には、主駆動パルスP1を変更せずに処理ステップS502に戻る(ステップS519)。これにより、駆動余力の小さい回転状況が所定回数連続して発生した場合にパルスダウンが行われるため、安定した駆動状態の下でパルスダウンが行われ、パルスダウン後にエネルギ不足によって非回転となることを防止できると共に、省電力化が可能になる。
【0065】
以上述べたように前記各実施の形態によれば、ステッピングモータ105のロータ202の回転によって発生する誘起信号VRsを検出し、複数の区間を有する検出区間において誘起信号VRsが所定の基準しきい電圧Vcompを超えたか否かを検出する回転検出回路110と、前記複数の区間において回転検出回路110によって検出された誘起信号VRsが基準しきい電圧Vcompを超えるか否かを表すパターンに基づいてステッピングモータ105の回転状況を判定し、前記判定結果に基づいて相互にエネルギが相違する複数の主駆動パルスp1のいずれか又は各主駆動パルスP1よりもエネルギの大きい補正駆動パルスP2によってステッピングモータ105を駆動制御する制御手段とを備え、前記検出区間として複数種類の検出区間が設けられて成り、前記制御手段は、主駆動パルスP1の駆動余力の程度に応じて、前記いずれかの検出区間を選択し該選択した検出区間におけるパターンを用いてステッピングモータ105の回転状況を判定し、前記判定結果に基づいて相互にエネルギが相違する複数の主駆動パルスP1のいずれか又は各主駆動パルスP1よりもエネルギの大きい補正駆動パルスP2によってステッピングモータ105を駆動制御するように構成している。
また、主駆動パルスP1による駆動直後の区間の検出結果に応じて、2区間目の検出タイミングを変化して駆動余力を含む回転状況状を検出するように構成している。
【0066】
したがって、負荷に対する駆動エネルギの相対的な変化によって誘起信号Vrsの発生タイミングが変化した場合でも回転状況を正確に検出することが可能になり、適正なパルス制御を行うことが可能になる。
また、簡単な構成で、駆動エネルギの異なる複数の駆動パルスを誤判定無く制御することが可能になる。
また、主駆動パルスP1のエネルギ可変範囲が広範囲に設定されている場合に、負荷に比べて過大なエネルギの主駆動パルスP1によって駆動したときでも、回転状況を正確に判定することが可能になる。
【0067】
また、前記第1〜第3の実施の形態では、所定領域(前記各実施の形態では第1区間と第2区間の間)に無効領域Tsを設けているため、ステッピングモータ105の負荷と駆動パルスの駆動エネルギとが相対的に変動して、誘起信号VRsが本来の発生時点の前後に変動して発生した場合でも、誘起信号VRsの発生タイミングの変動による回転状況の誤判定を防止できるようにしている。
例えば、第1区間の後部領域を無効領域Tsとすることにより、主駆動パルスP1のエネルギが所定値を超える場合に第2区間で発生すべき誘起信号VRsが第1区間で早めに発生したときでも、誘起信号VRsは無効領域Ts内に入るため回転状況を正確に判定することが可能になり、正常にパルス制御することが可能になる。また、第1区間の後部領域と第2区間の前部領域に跨って無効領域Tsを設けることにより、前記効果を奏するばかりでなく、主駆動パルスP1のエネルギが所定値以下の場合に誘起信号VRsが遅れて発生したときでも、誘起信号VRsは無効領域Ts内に入るため回転状況を正確に判定することが可能になり、正常にパルス制御することが可能になる。
【0068】
また、前記各実施の形態では、制御手段は無効領域Tsにおいて発生する誘起信号VRsを考慮せずに回転状況を判定するように構成しているため、回転検出回路110は、無効領域Tsでは、誘起信号VRsを必ずしも検出する必要がない。
回転検出回路110自体は、ステッピングモータ105が発生する誘起信号VRs検出素子をコイル209と直列に挿入してループ構成する状態(検出ループ(RSループ))と、ステッピングモータ105のコイル209を短絡してループ構成し制動をかける状態(閉ループ)とを所定周期で繰り返すことによって誘起信号VRsを検出するように構成された公知のものである。
【0069】
したがって、回転検出回路110は、ステッピングモータ105の制御状態を検出ループに維持するように構成する、あるいは、ステッピングモータ105の制御状態を閉ループに維持するように構成することが可能である。また、無効領域Tsにおいて検出ループと閉ループを所定周期で交互に繰り返す動作を行うが誘起信号VRsを検出しないように構成する、あるいは、無効領域Tsにおいて検出した誘起信号VRsは回転状況の判定には使用しないように構成する等の変更も可能である。
【0070】
以下に述べる本発明の第4〜第6の実施の形態では、無効領域Tsとして相互に長さの異なる複数種類の無効領域が用意されており、制御回路103は回転余力に応じて無効領域Tsの種類を選択し、回転検出回路110の回転検出動作や検出区間判別回路111の区間判別動作を制御する。回転検出回路110は、制御回路103の制御に応答して、所定長の無効領域Ts1の場合にはステッピングモータ105が閉ループを構成するように駆動し、無効領域Tsよりも長い所定長の無効領域Ts2の場合にはステッピングモータが検出ループを構成するように駆動する。このように、回転余力に応じて無効領域Tsの長さやループ状態を変えることによって、回転検出回路110が誘起信号VRsの発生時点を正確に検出できるようにし、回転検出の精度を向上させている。
【0071】
次に、本発明の第4の実施の形態について説明する。本第4の実施の形態の構成の構成や動作は前記第1実施の形態の
図1、
図2、
図4、
図6と同じであり、以下、相違点についてのみ説明する。
図11は、駆動パルス選択回路104及び回転検出回路110の一部を詳細に示す回路図で、公知のものである。
図12及び
図13はステッピングモータ105の回転状況を検出する回転検出動作の説明図である。
【0072】
図12は検出ループを構成した状態を示す図で、誘起信号VRs検出用の検出素子(検出用抵抗301または302)をステッピングモータ105のコイル209と直列に接続してループを構成している。
図13は閉ループを構成した状態を示す図で、ステッピングモータ105のコイル209を短絡してループを構成している。
【0073】
図11において、PチャネルMOSトランジスタQ1、Q2、NチャネルMOSトランジスタQ3、Q4は駆動パルス選択回路104の構成要素で、トランジスタQ1及びトランジスタQ3のソース接続点と、トランジスタQ2及びトランジスタQ4のソース接続点との間には、ステッピングモータ105のコイル209が接続されている。
【0074】
一方、NチャネルMOSトランジスタQ3〜Q6、トランジスタQ5に直列接続された検出用抵抗301、トランジスタQ6に直列接続された検出用抵抗302は回転検出回路110の構成要素である。
各トランジスタQ1〜Q6のゲートは制御回路103によってオン/オフ制御される。検出用抵抗301とコイル209の接続点OUT2、及び、検出用抵抗302とコイル209の接続点OUT1は、回転検出回路110内のコンパレータ(図示せず)の入力部に接続されている。また、前記コンパレータの基準入力部には、予め定めた所定の基準しきい電圧Vcompが入力され、前記コンパレータによって検出した誘起信号VRsが所定の基準しきい電圧Vcompを超えたか否かを判定する。
【0075】
尚、トランジスタQ3は第1スイッチ素子、トランジスタQ1は第2スイッチ素子、トランジスタQ4は第3スイッチ素子、トランジスタQ2は第4スイッチ素子、トランジスタQ5は第5スイッチ素子、トランジスタQ6は第6スイッチ素子、検出用抵抗301は第1検出用素子、検出用抵抗302は第2検出用素子を構成している。トランジスタQ5と検出用抵抗301は第1直列回路を、又、トランジスタQ6と検出用抵抗302は第2直列回路を構成している。
【0076】
ステッピングモータ105を回転駆動する回転駆動期間においてステッピングモータ105を回転駆動する場合には、制御回路103からの回転駆動用制御パルスに応答して、トランジスタQ2、Q3を同時にオン状態とする、あるいは、トランジスタQ1、Q4を同時にオン状態とすることによってコイル209に対して正方向あるいは逆方向に電流を供給し、これによってステッピングモータ105を回転駆動する。
【0077】
前記回転駆動期間に続く検出区間Tにおいて、回転駆動によってステッピングモータ105に生じる誘起信号VRsを検出する場合、制御回路103からの回転検出用制御パルスに応答して、トランジスタQ4、Q5をオンに保持した状態で、トランジスタQ3を所定周期でオン/オフスイッチング制御することによって検出用抵抗301に発生する検出信号(ステッピングモータ105の回転によって発生する誘起信号VRsに相当する信号)を取り出して基準しきい電圧Vcompと比較する、あるいは、トランジスタQ3、Q6をオンに保持した状態で、トランジスタQ4を所定周期でオン/オフスイッチング制御することによって検出用抵抗302に発生する検出信号(ステッピングモータ105の回転によって発生する誘起信号VRsに相当する信号)を取り出して基準しきい電圧Vcompと比較する。これにより、回転検出回路110によって検出区間Tにおいて基準しきい値電圧Vcompを超える誘起信号VRsが発生したか否かが検出される。
【0078】
即ち、検出区間Tにおいて誘起信号VRsを検出する場合、制御回路103からの回転検出用制御パルスに応答して、トランジスタQ4、Q5をオンに保持した状態でトランジスタQ3をオフにする状態(
図12の検出ループ)と、トランジスタQ4、Q5をオンに保持した状態でトランジスタQ3をオンにする状態(
図13の閉ループ)とを所定周期で交互に繰り返す。あるいは、制御回路103からの回転検出用制御パルスに応答して、トランジスタQ3、Q6をオンに保持した状態で、トランジスタQ4を所定周期でオン/オフスイッチング制御する(即ち、検出ループと閉ループを所定周期で交互に繰り返す)。
【0079】
このとき、検出ループの状態では、トランジスタQ4、Q5、検出用抵抗301、コイル209、又は、トランジスタQ3、Q6、検出用抵抗302、コイル209、によってループが構成されるためステッピングモータ105には制動がかからない。
しかしながら、閉ループの状態では、トランジスタQ3、Q4及びコイル209によってループが構成されてコイル209が短絡されるためステッピングモータ105には制動がかかり、ステッピングモータ105の自由振動が抑制される。
【0080】
本第4の実施の形態では、ステッピングモータ105駆動後の回転余力が大きいか否かに応じて、検出区間の種類、無効領域Tsの長さ、無効領域Tsにおけるループの状態を変えるようにしている。
具体的には、検出区間Tの第1区間において誘起信号VRsが「0」の場合、回転余力が所定値を超える(回転余力大)と判定して、検出区間Tを第1検出区間Tx、長さが第1所定値の無効領域Ts1、無効領域Ts1におけるループを閉ループとするように制御している。このようにステッピングモータ105の回転に必要な駆動エネルギよりも駆動パルスP1の駆動エネルギが十分大きい(回転余力が大きい)場合に、無効領域T1で制動をかけることにより、ロータ202の自由振動を短時間で抑制して安定した回転検出を行うことができるようにしている。
【0081】
また、検出区間Tの第1区間において誘起信号VRsが「1」の場合、ステッピングモータ105の回転に必要な駆動エネルギに対して駆動パルスP1の駆動エネルギの余裕が所定値以下(回転余力小)と判定して、検出区間Tを第2検出区間Ty、長さが前記第1所定値よりも長い第2所定値の無効領域Ts2、無効領域Ts2におけるループを検出ループとするように制御している。このように、回転余力が小さい場合に、長い無効領域T2を使用することによって、回転が遅くなることによって区間T11で発生した誘起信号VRsが区間T2にずれ込んで誤検出されて誤ってランクダウンするような事態の発生を防止できる。
【0082】
図14は、本発明の第4〜第6の実施の形態において、主駆動パルスP1によってステッピングモータ105を駆動した場合のタイミング図で、
図3に対応付けて描いた図である。
図14において、前述したように第1区間T11が「0」の場合(回転余力大の場合が含まれる。)、検出区間として第1検出区間Txを用いる。また、無効領域として長さが短い第1所定長の無効領域Ts1を用い、無効領域Ts1ではステッピングモータ105を閉ループに制御している。したがって、無効領域Tsでは誘起信号VRsが発生していない。
【0083】
また、第1区間T11が「1」の場合(回転余力小の場合)、検出区間として第2検出区間Tyを用いる。また、無効領域として無効領域Ts1より所定長長い第2所定長の無効領域Ts2を用い、無効領域Ts2ではステッピングモータ105を検出ループに制御している。したがって、無効領域Ts2では誘起信号VRsが発生している。
図15は、本第4の実施の形態の処理を示すフローチャートである。
以下、
図1、
図2、
図4、
図6、
図11〜
図15を用いて、前記第1の実施の形態と相違する部分について本第4の実施の形態の動作を説明する。
【0084】
制御回路103は、処理ステップS504において基準しきい電圧Vcompを超える誘起信号VRsを第1区間T11内で検出していないと判定した場合には(パターンが(0,−,−)の場合である。ここで、判定値「−」は「1」か「0」か不定であることを意味している。)、第1区間T11が「0」であるため回転余力のある可能性有りと判定して第1検出区間Txを用いて回転状況を判定すると共に、第1検出区間Txの無効領域Ts1を閉ループに制御する(
図15のステップS151)。
【0085】
回転検出回路110は、制御回路103の制御に応答して、処理ステップS151以後検出区間の変更が行われない限り、第1検出区間Txを用いて誘起信号VRsを検出すると共に、無効領域Ts1では閉ループに制御する。また、検出区間判別回路111は、制御回路103の制御に応答して、処理ステップS151以後検出区間の変更が行われない限り、第1検出区間Txを用いて、基準しきい電圧Vcompを超える誘起信号VRsが発生した区間を判定する。
【0086】
一方、制御回路103は、処理ステップS504において基準しきい電圧Vcompを超える誘起信号VRsを第1区間T11内で検出したと判定した場合には(パターンが(1,−,−)の場合である。)、第1区間T11が「1」であるため回転余力のある可能性なしと判定して第2検出区間Tyを用いて回転状況を判定すると共に、第2検出区間Tyの無効領域Ts2を検出ループに制御する(ステップS152)。
【0087】
回転検出回路110は、制御回路103の制御に応答して、処理ステップS152以後検出区間の変更が行われない限り、第2検出区間Tyを用いて誘起信号VRsを検出すると共に、無効領域Ts2では検出ループに制御する。また、検出区間判別回路111は、制御回路103の制御に応答して、処理ステップS152以後検出区間の変更が行われない限り、第2検出区間Tyを用いて基準しきい電圧Vcompを超える誘起信号VRsが発生した区間を判定する。
以上のようにして、
図15及び
図6の処理を行う。
【0088】
以上述べたように、本第4の実施の形態によれば、回転検出回路110は、回転検出時、ステッピングモータ105の回転余力が所定値を超えるとき、無効領域Ts1では閉ループに制御してステッピングモータ105に制動をかけるようにしている。また、回転検出回路110は、回転検出時、ステッピングモータ105の回転余力が所定値以下のとき、無効領域Ts2では検出ループに制御するように構成している。
【0089】
このように、回転余力の大きさに応じて無効領域Tsのループ状態を変えることによって、誘起信号VRsの発生時点を正確に検出することが可能になり、回転検出の精度を向上させることが可能になる。
また、回転余力の大きさに応じて無効領域Tsを閉ループにする時間と検出ループにする時間を異ならせている(本第4の実施の形態では、閉ループの長さは検出ループの長さよりも短い。)。したがって、回転余力が大きい場合には制動をかけて早く検出可能にすることが可能になる。また、回転余力が小さい場合、回転が遅くなることによって区間T11で発生した誘起信号VRsが区間T2にずれ込んで誤検出され、誤ってランクダウンすることを防止できる等の効果を奏する。
【0090】
次に、本発明の第5の実施の形態について説明する。
図16は、本第5の実施の形態の処理を示すフローチャートであり、
図6のフローチャートと合わせてパルス制御動作を行う処理である。その他の構成や動作は前記第2の実施の形態と同じである。
以下、
図1、
図2、
図4、
図6、
図11〜
図14、
図16を用いて、前記第2の実施の形態と相違する部分について本第5の実施の形態の動作を説明する。
【0091】
制御回路103は、処理ステップS504において基準しきい電圧Vcompを超える誘起信号VRsを第1区間T11内で検出していないと判定した場合には(パターンが(0,−,−)の場合である。ここで、判定値「−」は「1」か「0」か不定であることを意味している。)、第1区間T11が「0」であるため回転余力のある可能性有りと判定して第1検出区間Txを用いて回転状況を判定すると共に、第1検出区間Txの無効領域Ts1を閉ループに制御する(
図16のステップS151)。
【0092】
回転検出回路110は、制御回路103の制御に応答して、処理ステップS151以後検出区間の変更が行われない限り、第1検出区間Txを用いて誘起信号VRsを検出すると共に、無効領域Ts1では閉ループに制御する。また、検出区間判別回路111は、制御回路103の制御に応答して、処理ステップS151以後検出区間の変更が行われない限り、第1検出区間Txを用いて基準しきい電圧Vcompを超える誘起信号VRsが発生した区間を判定する。
【0093】
一方、制御回路103は、処理ステップS504において基準しきい電圧Vcompを超える誘起信号VRsを第1区間T11内で検出したと判定した場合には(パターンが(1,−,−)の場合である。)、第1区間T11が「1」であるため回転余力のある可能性なしと判定して第2検出区間Tyを用いて回転状況を判定すると共に、第2検出区間Tyの無効領域Ts2を検出ループに制御する(ステップS152)。
【0094】
回転検出回路110は、制御回路103の制御に応答して、処理ステップS152以後検出区間の変更が行われない限り、第2検出区間Tyを用いて誘起信号VRsを検出すると共に、無効領域Ts2では検出ループに制御する。また、検出区間判別回路111は、制御回路103の制御に応答して、処理ステップS152以後検出区間の変更が行われない限り、第2検出区間Tyを用いて基準しきい電圧Vcompを超える誘起信号VRsが発生した区間を判定する。
以上のようにして、
図16及び
図6の処理を行う。
【0095】
以上述べたように、本第5の実施の形態によれば、前記第4の実施の形態と同様に、回転余力の大きさに応じて無効領域Tsのループ状態を変えることによって、誘起信号VRsの発生時点を正確に検出することが可能になり、回転検出の精度を向上させることが可能になる。また、回転余力の大きさに応じて無効領域Tsを閉ループにする時間と検出ループにする時間を異ならせているため、回転余力が大きい場合には制動をかけて早く検出可能にすることが可能になる。また、回転余力が小さい場合、回転が遅くなることによって区間T11で発生した誘起信号VRsが区間T2にずれ込んで誤検出され、誤ってランクダウンすることを防止できる等の効果を奏する。
【0096】
次に、本発明の第6の実施の形態について説明する。
図17は、本発明の第6の実施の形態に係るステッピングモータ制御回路及びアナログ電子時計の動作を説明するためのタイミング図である。また、
図18は、本第6の実施の形態の処理を示すフローチャートであり、
図6のフローチャートと合わせてパルス制御動作を行う処理である。その他の構成や動作は前記第3の実施の形態と同じである。
以下、
図1、
図2、
図4、
図6、
図11〜
図13、
図17、
図18を用いて、前記第3の実施の形態と相違する部分について本第6の実施の形態の動作を説明する。
【0097】
制御回路103は、処理ステップS504において基準しきい電圧Vcompを超える誘起信号VRsを第1区間T11内で検出していないと判定した場合には(パターンが(0,−,−)の場合である。ここで、判定値「−」は「1」か「0」か不定であることを意味している。)、第1区間T11が「0」であるため回転余力のある可能性有りと判定して第1検出区間Twを用いて回転状況を判定すると共に、第1検出区間Twの無効領域Ts1を閉ループに制御する(
図18のステップS151)。
【0098】
回転検出回路110は、制御回路103の制御に応答して、処理ステップS151以後検出区間の変更が行われない限り、第1検出区間Twを用いて誘起信号VRsを検出すると共に、無効領域Ts1では閉ループに制御する。また、検出区間判別回路111は、制御回路103の制御に応答して、処理ステップS151以後検出区間の変更が行われない限り、第1検出区間Twを用いて基準しきい電圧Vcompを超える誘起信号VRsが発生した区間を判定する。
【0099】
一方、制御回路103は、処理ステップS504において基準しきい電圧Vcompを超える誘起信号VRsを第1区間T11内で検出したと判定した場合には(パターンが(1,−,−)の場合である。)、第1区間T11が「1」であるため回転余力のある可能性なしと判定して第2検出区間Tzを用いて回転状況を判定すると共に、第2検出区間Tzの無効領域Ts2を検出ループに制御する(ステップS152)。
【0100】
回転検出回路110は、制御回路103の制御に応答して、処理ステップS152以後検出区間の変更が行われない限り、第2検出区間Tzを用いて誘起信号VRsを検出すると共に、無効領域Ts2では検出ループに制御する。また、検出区間判別回路111は、制御回路103の制御に応答して、処理ステップS152以後検出区間の変更が行われない限り、第2検出区間Tzを用いて基準しきい電圧Vcompを超える誘起信号VRsが発生した区間を判定する。
以上のようにして、
図18及び
図6の処理を行う。
【0101】
以上述べたように、本第6の実施の形態によれば、前記第4の実施の形態と同様に、回転余力の大きさに応じて無効領域Tsのループ状態を変えることによって、誘起信号VRsの発生時点を正確に検出することが可能になり、回転検出の精度を向上させることが可能になる。また、回転余力の大きさに応じて無効領域Tsを閉ループにする時間と検出ループにする時間を異ならせているため、回転余力が大きい場合には制動をかけて早く検出可能にすることが可能になり又、本来であれば第3区間T3で発生する誘起信号VRsが早まって第2区間T21で誤検出されるような事態の発生を防止できる。また、回転余力が小さい場合、回転が遅くなることによって区間T11で発生した誘起信号VRsが区間T2にずれ込んで誤検出され、誤ってランクダウンすることを防止できる等の効果を奏する。
【0102】
また、本発明の実施の形態に係るアナログ電子時計によれば、時刻針を回転駆動するステッピングモータと、前記ステッピングモータを制御するステッピングモータ制御回路とを有するアナログ電子時計において、前記ステッピングモータ制御回路として、前記各実施の形態に係るステッピングモータ制御回路を用いたことを特徴としているので、負荷に対する駆動エネルギの相対的な変化によって誘起信号の発生タイミングが変化した場合でも、回転状況を正確に検出して正確な運針駆動を可能にすることが可能になる等の効果を奏する。
【0103】
尚、前記各実施の形態では、各主駆動パルスP1のエネルギを変えるために、パルス幅が異なるようにしたが、櫛歯状パルスのパルス数を変える、あるいは、パルス電圧を変える等によっても、エネルギを変えることが可能である。
また、ステッピングモータの応用例としてアナログ電子時計の例で説明したが、モータを使用する電子機器に適用可能である。