【発明が解決しようとする課題】
【0005】
位置決めトレーを用いて化粧品容器を固定する場合、包装用ケースとは別に位置決めトレーを形成する必要があるため包装コストが嵩み、包装資材の管理も面倒であり、また、位置決めトレーの凹所に化粧品容器を嵌め入れて包装ケースに収納する作業は人手に頼らざるを得ず、自動製函機や包装機には対応できない。
また、前記
図11に示された包装用ケース110は、自動製函機を利用して組み立て可能であるものの、ケース110の表面に多数の内方突起111が設けられているので、ケース110の外側から収納された物品の外観が見にくくなってしまい、物品をケース110に入れたまま陳列して展示販売するのには不向きである。
包装用ケース内部で物品が傾かないようにするため、包装用ケースに物品を入れた状態で物品の外面とケース内面間に隙間ができないように包装用ケースを形成することも可能であるが、ケース内部で物品の周囲にある程度の空間が確保されていないと、ケースに物品を収納する際にケースが物品に当たったり擦れたりして物品の表面に傷ができやすくなるため、自動包装機を利用して物品を包装することが困難となる。
【0006】
本発明は従来技術の有するこのような問題点に鑑み、透明なプラスチックシートを折り曲げて組み立てられる包装用ケースにおいて、別体の位置決めトレーを用いることなく、ケース内部に物品をその位置をずらしたり傾けたりせずに所定の収納位置に保持して運搬や展示販売に供することができ、また、自動製函機や包装機を用いても物品の包装ができるようにすることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前述の通り、包装用ケースに収納する物品の形態によっては、とりわけ縦長な物品の場合には、包装用ケース内で物品が傾いてしまうことがあり、ケース表面に多数の内方突起を設けて物品を支持したのではケース内部の視認性が低下し、展示効果が薄れてしまう。
そこで、本発明の包装用ケースは、蓋板の先端に連設させた差し込みフラップに成形部を設け、この成形部で物品を支持することで物品が傾くことなく収納位置に保持されるようにし、ケース内部の視認性も確保されるようにした。
【0008】
すなわち、前記課題を解決するため本発明は、プラスチックシートを折り曲げて多面筒体を形成し、当該筒体の開口を蓋板で閉鎖して箱状に組み立てられる包装用ケースにおいて、前記蓋板の先端に連設させた差し込みフラップに、収納物品の収納位置を規制する成形部が設けられた構成を有することを特徴とする。
これによれば、
図1(A)に示されるように、包装用ケースCの天面側の蓋板の差し込みフラップに成形部C1が設けてあれば、ケースCに物品Gが傾いた状態で収納されていても、ケースの上面開口に差し込みフラップを差し込んで蓋板を被せれば、成形部C1が物品Gの上側側面に当接して物品Gを直立状態に規制せしめ、ケースC内部で物品を直立した収納位置に保持することができる。
【0009】
前記構成の包装用ケースにおいて、筒体の開口に蓋板とともに折り重ねられるサイドフラップに収納物品の端部収納位置を規制する成形部が設けられていてもよい。
これによれば、
図1(B)に示されるように、包装用ケースCの天面側の蓋板が重なるサイドフラップと、底面側の蓋板が重なるサイドフラップとにそれぞれ成形部C2、C2が設けてあれば、両成形部C2、C2が物品の上下端部に当接して物品の両端部の位置を規制し、さらに、ケースCに物品Gが傾いた状態で収納されていても、前記蓋板の差し込みフラップに設けた成形部C1により物品Gを直立状態に規制せしめ、ケースC内部で物品を直立した収納位置に保持することができる。
【0010】
また、前記構成の包装用ケースにおいて、側板に収納物品の収納位置を規制する成形部が設けられていてもよい。
これによれば、
図1(C)に示されるように、包装用ケースCの側板に設けられた成形部C3と、前記蓋板の差し込みフラップに設けた成形部C1とにより、物品Gを直立状態に規制せしめ、ケースC内部で物品を直立した収納位置に保持することができる。この場合、側板に形成された成形部C3が包装用ケースC内部の視認性を低下させる虞があることから、成形部C3は、ケースCの正背及び左右の四側板のうち、包装された物品を展示する際に正面側に向ける面以外の側板、或いは視認性を低下させない位置や大きさ、形状の範囲で設けることが好ましい。
【0011】
前記構成の包装用ケースは、収納する物品の種類や大きさ、形状などに応じて、開口形状を三角形や四角形、五角形などの多角形状に設けることができる。
開口形状が四角形の本発明の包装用ケースは、折り曲げ罫線を挟んで正面板、左右側面板、背面板及び糊代片が連設され、前記各面板の上下両端に折り曲げ罫線を挟んでサイドフラップと蓋板が連設されてなるプラスチックシートであって、前記蓋板の先端に連設した差し込みフラップに、収納物品の収納位置を規制する成形部が形成され、且つ、前記各面板を折り曲げ罫線に沿って折り曲げ、糊代片と当該プラスチックシート端部に接着して方形筒体を形成し、当該筒体の開口をサイドフラップと蓋板を折り重ね、前記差し込みフラップを前記サイドフラップと前記面板の間に差し込んで、箱状に組み立てられるケースに用いることを特徴とするケース組み立て用プラスチックシート用いて構成することができる。
【0012】
前記構成のケース組み立て用プラスチックシートにおいて、サイドフラップに収納物品の端部収納位置を規制する成形部を設けることができる。
また、正面板、左右側面板又は背面板に収納物品の収納位置を規制する成形部を設けてもよい。
【0013】
前記構成のケース及びプラスチックシートにおいて、蓋板の差し込みフラップやサイドフラップなどに形成する成形部は、ケースに収納される物品に当接し或いは物品の表面近傍に偏在して、物品が傾くことを防止して物品が直立した状態に保持されるように収納位置を規制する、ケースの内方に突出し或いは膨出した凸面部や湾曲面部であり、収納する物品の大きさや形状などに応じて適宜な形状及び大きさに設けることができる。
【0014】
蓋板の差し込みフラップに設ける成形部の面積は、差し込みフラップの面積に対して10〜80%の割合で成形することが好ましい。10%より大きければ物品を収納位置に規制するのに充分な大きさであり、80%より小さければ差し込みフラップを差し込み易い。より好ましくは20〜60%の割合で成形することが好ましい。
蓋板の差し込みフラップに設ける成形部の高さは、収納する物品の大きさや形状にもよるが、左右側面板の奥行きに対して3〜40%の割合で成形することが好ましい。成形部の高さが3%より高ければ物品を保持するのに充分な高さである。40%より低ければ差込フラップを差し込み易い。より好ましくは5〜20%の割合で成形することが好ましい。成形部の高さはサイドフラップ方向に高さを変化させてもよく、サイドフラップ近傍を低くすることでより差し込み易い形状となる。
【0015】
蓋板の差し込みフラップに設ける成形部の形状は、差し込みフラップの表面を断面略台形状、断面半円形状、断面湾曲形状、或いは断面三角形状に内側へ突出させた膨出面部や湾曲面部とすることができる。好ましくは差し込みフラップの先端側を緩やかに傾斜させる形状とすることで、差し込みフラップを差し込み易く、物品を収納位置に緩やかに規制することができるため好ましい。
また、差し込みフラップを差し込んだ際に接面する面板に、差し込みフラップと嵌合する内面側に突出した成形部を設けることで、差し込みフラップを抜け防止の構造とすることもできる。
サイドフラップに設ける成形部は、物品の上端又は下端の輪郭形状に対応した凹凸面形状に設けてもよい。成形部は差し込みフラップやサイドフラップの表面に複数の凸面部や湾曲面部を設けて構成されていてもよい。
【0016】
また、収納される物品に応じ、天面側の蓋板の差し込みフラップに成形部を設ける代わりに、底面側の蓋板の差し込みフラップに成形部を設けてもよく、或いは天面側と底面側の両蓋板の差し込みフラップの両方に成形部を設けてよい。サイドフラップに設ける成形部は、天面側のサイドフラップと底面側のサイドフラップの何れか一方にのみ或いは両方に設けることができる。さらに、蓋板を挟んで配置される左右のサイドフラップの一方にのみ成形部を設けても、左右のサイドフラップの両方に成形部を設けても何れでもよい。
【0017】
前記構成において、ケースを構成するプラスチックシートの材質としては、耐折性が良好なポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリカーボネート、或いはポリ乳酸などの生物由来性樹脂、その他の樹脂単体又はこれらの複合体からなるプラスチックシートを用いることができる。特にポリエチレンテレフタレート製のシートは、透明性が良好で剛性が高い点で好ましく、中でもアモルファスPET(A−PET)は、より透明性が良好で且つ未延伸であるためシートの方向に関係なく強度が高い点で好ましい。
プラスチックシートの肉厚は、0.1〜0.8mmに設定することができる。0.1mmより薄いとシート面板の折れ曲がりや破損を来しやすくなり、0.8mmよりも厚いと折り曲げ加工に要する圧力は大となる。耐折性や剛性などを考慮すると、0.2〜0.6mmに設定することが好ましい。
プラスチックシートに付設される折り曲げ罫線の種類は問わず、ミシン目などのスリットを断続させた罫線や凹穴状の押し罫線、V字やU字状、台形状の溝を断続又は連続させた罫線、溝内を二段溝状とした二段罫線、筋状の溝を平行に近接配置した罫線などプラスチックシートを罫線に沿って折り曲げることが可能な適宜な種類の罫線をケースの寸法やプラスチックシートの材質、剛性、厚みなどに応じて適宜に設定することができる。