(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
ソーラモジュールは通常、直列接続された複数の太陽電池を含んでいるが、それは、各電池が、モジュールからの出力電圧として必要とされるよりも小さい制限電圧のみを生成するからである。出力電圧は最初と最後の太陽電池の間で生成され、また、バスバーとも称される、例えば金属リボンの形態の導体線によって通常は引き出される。導体線は、ガラス板などのシートの一方の側に配置され、電流は、電気負荷が接続可能な、接合ボックスとも称される1つまたは2つの接続ボックスに導体線からガイドされる必要がある。
【0003】
刊行物「Shell Power Max Eclipse 80−C Produktinformation」、Vl/PowerMaxEclipse/80−C−Grid−Power/D/11/05 SAP Ref.:400829は、一連の二セレン化銅インジウムタイプの薄膜太陽電池を含む従来のソーラモジュールを開示している。知られているモジュールの太陽電池は矩形のガラス板に配置され、導体線はガラス板の長辺と平行になっており、また太陽電池は導体線間に直列に配置される。このモジュールにおいて、2つの直列接続が配置されるため、合計2対の導体線が存在することになる。フロントガラスは太陽電池構造にラミネートされ、導体線は、モジュールからモジュールの短辺の回路基板を介して共通コネクタボックスに側方に導出される。回路基板は、導体線が交差される必要があり、かつラミネートの厚さ以内では可能でない、2つの直列接続の並列接続を提供する。他方、回路基板は、モジュールのアクティブエリアとして使用可能ではない空間を占める。知られているモジュールは基板タイプや基板設計であるため、太陽電池が製造時に配置される基板は、最終モジュールの受光側と反対側である。
【0004】
モジュールごとに1つの直列接続がある設計においても、モジュールの電気的性能および長期安定性を損なう恐れがあるため、例えばいわゆる縁部コネクタなどのラミネート構造から側方にリードをガイドすることは理想的ではない。
【0005】
米国特許第5,578,502号はスーパーストレート(Superstrate)タイプのソーラモジュールを開示している。電池は直列に接続されており、このうちの最初と最後の電池は各々バスバーに取り付ける。スーパーストレート設計において、基板はソーラモジュールの受光側を形成する。バックカバーが提供され、接合ボックスはバックカバーのホールに配置され、このバックカバーを介して両バスバーからのホールリードが延びることができ、このリードは接合ボックスのコンタクトに接続可能である。
【0006】
他のスーパーストレート設計のソーラモジュールが欧州特許出願公開第1041647号明細書および欧州特許出願公開第1220329号明細書に開示されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
導体線にコネクタボックスを接続する際、複数の技術的要件が満たされ、かつ考慮される必要がある。このような要件の1つは、例えば標準IEC61646に記されているように、乾燥および湿式条件下のモジュールとこのフレームまたは周囲との導電部分の十分な絶縁である。この要件を満たす際の問題はモジュールの縁部における湿気の侵入であり、このことは導電率の増大、電流の漏洩およびスパークを潜在的にもたらす恐れがある。別の要件は十分に高い最大逆電流であり、これによってモジュールは、太陽電池のダイオード特性に関して順方向のダメージなく動作可能である。これは、例えば標準DIN EN50380およびIEC61730の主題である。最大逆電流が最高となるのは、導体線がシートの裏側につなげられる場合である。他方、厚い導体線はより困難かつ高価なカプセル化をもたらし、幅の広い導体線はモジュールのアクティブ光起電面積の縮小をもたらすため、導体線の断面積を最小に保つことが望ましい。基板タイプのモジュールに関するこれらの要件を満たすことは特に興味深いものである。スーパーストレートタイプモジュールにおいて、太陽電池を配置した後に裏側に電気接続を配置する際には、一般的により高い柔軟性がある。
【0010】
本発明の目的は、特に基板タイプの改良型ソーラモジュールを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明によると、
シートを形成するか、シートの一部である基板と、
第1および第2の導体線間に電気的に直列接続され、かつシートの第1の側に配置された複数の太陽電池であって、第1および第2の導体線が各々シートの長さに沿って延びる太陽電池と、
第1の導体線と電気接続している第1の導体リード、および第2の導体線と電気接続している第2の導体リードと、
第1の導体リードがシートの第2の側に延びる際に通るシートのスルーホール、および第2の導体リードがシートの第2の側に延びる際に通るシートの別のスルーホールと、を備えるソーラモジュールが提供されている。
【0012】
シートは以下接続シートとも称される。
【0013】
シートに延びている第1および第2の導体線は相互に間隔をあけられている。第1と第2の導体線間の間隔は、これらの長さに沿って両者間で測定可能な最小間隔である。本発明によって、十分な絶縁および最大逆電流などの他の技術的要件に関して妥協する必要なく、モジュールのアクティブ光起電面積を最大化することができる。
【0014】
一実施形態において、第1および第2の導体線は相互にある間隔をあけられており、ソーラモジュールはさらに、
第1の導体線と電気接続している第1のコネクタおよび第2の導体線と電気接続している第2のコネクタとを具備する接続ボックスを備えており、
第1および第2のコネクタのうちの少なくとも一方が、シートを介して延びるそれぞれの導体リードによってそれぞれの導体線と電気接続しており、この導体リードは、間隔の少なくとも25%の距離をシートの第2の側に沿って延びる。
【0015】
本実施形態の一態様において、本発明は、導体線と単一の接続ボックス間の改良された相互接続を提供する。一般的には受光側と反対のソーラモジュールの裏側である接続シートの第2の側に沿って一方の導体リード(または両方の導体リード)をガイドすることによって、モジュールのアクティブエリアは最大化され、一方で従来の単一接続ボックスが提供される。
【0016】
具体的な実施形態の分類において、導体リードの少なくとも1つとそれぞれの導体線間のコンタクトポイントは、端部から測ってそれぞれの導体線の長さの20%から50%の距離に配置される。導体線の端部から離してコンタクトポイントを配置することによって、導体線に沿って移動する電流の平均長さは短縮されるため、導体線の抵抗損は最小化される。これによって、カプセル化および/またはアクティブ表面に対して有利に、厚さおよび/または幅を削減するなどの、導体線の断面積を削減することが可能になる。特に、第1の導体線と第1の導体リード間、および第2の導体線と第2の導体リード間のコンタクトポイントは、端部から測ってそれぞれの導体線の長さの20%から50%の距離に配置可能である。
【0017】
したがって、本発明の本態様は実際に、
シートと、
第1および第2の導体線間に電気的に直列接続され、かつシートの第1の側に配置されている複数の太陽電池であって、第1および第2の導体線が各々接続シートの長さにそって延び、かつ相互に最小間隔あけられている太陽電池と、
電気負荷を第1および第2の導体線に接続するための、第1の導体線と電気接続している第1のコネクタおよび第2の導体線と電気接続している第2のコネクタを具備する接続ボックスとを備えており、
第1および第2のコネクタの少なくとも一方が導体リードによってそれぞれの導体線と電気接続しており、導体リードとそれぞれの導体線間のコンタクトポイントが、端部から測ってそれぞれの導体線の長さの20%から50%の距離に配置される任意のソーラモジュールにおいても達成される。
【0018】
シートと、
第1および第2の導体線間に電気的に直列接続され、かつシートの第1の側に配置された複数の太陽電池であって、第1および第2の導体線が各々シートの長さに沿って延びる太陽電池と、
第1および第2の導体線の一方と電気接続しているコネクタを具備する接続ボックスとを備え、
コネクタが導体リードによってそれぞれの導体線と電気接続しており、導体リードとそれぞれの導体線間のコンタクトポイントが、端部から測ってそれぞれの導体線の長さの20%から50%の距離に配置されるソーラモジュール。
【0019】
接続ボックスは、接続ラインが配置されている第1の側と反対のシートの第2の側に適切に配置され、第2の側は通常、受光側と反対のソーラモジュールの裏側である。
【0020】
第1および第2の導体線の一方と電気接続しているコネクタを具備する接続ボックスは、電気負荷をそれぞれの導体線に接続するように作用する。特に、第1および第2のコンタクトは、電気負荷を第1および第2の導体線に接続するように作用する。複数のソーラモジュールがしばしば、これらのコンタクトによって直列接続されてモジュールアレイを形成し、この場合の負荷とはモジュールアレイの負荷である。
【0021】
一実施形態では、単一の接続ボックスが提供される。単一の接続ボックスではなく、2つの接続ボックスも、本発明から逸脱することなく用いられることが可能である。次いで、2つの接続ボックスは適切には、電気負荷を第1および第2の導体線に接続するための、第1の導体線と電気接続している第1のコネクタを具備する第1の接続ボックスと、第2の導体線と電気接続している第2のコネクタを具備する第2の接続ボックスである。電気負荷は、両方の接続ボックスの両方のコンタクトに接続可能である。
【0022】
一実施形態では、接続ボックスは2つのコネクタ、つまり第1の導体線と電気接続している第1のコネクタと、第2の導体線と電気接続している第2のコネクタとを有する。電気負荷は第1および第2の導体線に接続可能である。さらに本実施形態において、コネクタの各々は導体リードによってそれぞれの導体線と電気接続しており、導体リードとそれぞれの導体線間のコンタクトポイントは、端部から測ってそれぞれの導体線の長さの20%から50%の距離に配置される。
【0023】
一実施形態において、第1および第2の導体線は、例えば矩形モジュールの長辺に沿って略平行である。さらに少なくとも1つの接続ボックスが、第1および第2の導体線間の仮想中間線に沿った略一定の位置に適切に配置される。
【0024】
また、第1および第2の導体リードは、第1および第2の導体線と交差する仮想垂直線上に実質的にある位置で接続シートを介して延びることが可能であり、接続ボックスは、仮想垂直線に沿って実質的に配置されている。この場合、単一の接続ボックスの裏側に沿った導体リードの長さは最小化可能である。
【0025】
一実施形態では、接続ボックスは、第1および第2の導体線の少なくとも一方の端部付近に配置可能である。
【0026】
一実施形態では、導体リードのうちの少なくとも1つと導体線のうちの少なくとも1つが一体的に形成される、つまり相互接続されるのではなく集積されることによって、両者は同一リードの一部を形成することができる。例えば金属リボンの形態の導体線は十分な長さを備えるのが可能なため、接続ボックスへの導体リードのように、接続シートを介して延びる。このことは、特に接続シートのスルーホールのエリアにおいて導体線を導体リードと相互接続させる必要性を緩和する。
【0027】
一実施形態では、1つまたは両方のコネクタが接続ボックスの端子である。
【0028】
別の実施形態では、1つまたは両方のコネクタが、接続ボックスから延びる接続リードを備える。接続リードおよびそれぞれの導体リードは一体的に形成可能である、つまり同一リードの一部を形成可能である。
【0029】
具体的な実施形態は以下のとおりである。
【0030】
接続シートと、
第1および第2の導体線間に電気的に直列接続され、かつ接続シートの第1の側に配置された複数の太陽電池であって、第1および第2の導体線が各々接続シートの長さに沿って延び、かつ相互に最小間隔あけられている太陽電池と、
電気負荷を第1および第2の導体線に接続するための、第1の導体線と電気接続している第1のコネクタおよび第2の導体線と電気接続している第2のコネクタを具備する接続ボックスとを備えており、
第1および第2のコネクタの少なくとも一方が、接続シートを介して延びる導体リードによってそれぞれの導体線と電気接続しており、かつ最小間隔の少なくとも25%の距離を接続シートの第2の側に沿っているソーラモジュール。
【0031】
接続シートは、ソーラモジュールのカプセル化の一部を形成可能である。
【0032】
次に本発明の要素は図面を参照してさらに説明される。
【発明を実施するための形態】
【0034】
同一または類似のオブジェクトを示すために、同様の参照番号が異なる図面で使用されている。
【0035】
本発明にしたがったソーラモジュール1の実施形態を概略的に示す
図1を参照する。
【0036】
断面図に示されているソーラモジュール1は基板タイプであり、このことは、太陽電池7、8が、ポリビニルブチラール箔またはエチレンビニルアセテート箔などのラミネーション箔10、およびフロントガラスなどのフロントカバー11によってカプセル化される前に配置される基板を接続シート5が形成することを意味している。接続シート5は特に、フロートガラスなどのガラス基板であってもよい。例えば太陽電池の配置時に基板に対して所望される機械的安定性を提供するために、シートは、0.5mm以上、例えば1から6mmなどの0.5mmから20mmの厚さを有することができ、特に、例えばフロートガラスのシートは1から4mmの厚さであってもよい。フロントカバー11はモジュールの受光側を形成する。
【0037】
簡潔にするために、この概略的実施形態においては、2つの太陽電池7、8のみが直列接続で示されている。直列接続された太陽電池の数は通常2から500個、適切には50から200個、例えば約100個であってもよい。
【0038】
本発明は、従来の結晶シリコン太陽電池および薄膜太陽電池、シリコンベース薄膜、黄銅鉱化合物、II−VI族化合物および類似体、III−V族化合物および類似体、有機物質という非網羅的リストに基づいた太陽電池、および色素増感太陽電池を含むすべてのタイプの太陽電池に適用可能である。薄膜太陽電池、特に黄銅鉱ベース太陽電池が好ましい。
【0039】
黄銅鉱化合物の用語は、本明細書では、二セレン化銅インジウム(「CIS」)型のp型半導体を含む、I−III−VI
2群半導体またはII−IV−V
2群半導体から形成される材料をカバーする属に関する用語として用いられる。CIGSまたはCIGSSと表記される特殊な場合もある。これは少なくとも以下の種をカバーしている:CuInSe
2、CuIn
xGa
(1−x)Se
2、CuIn
xGa
(1−x)Se
yS
(2−y)、CuIn
xGa
zAl
(1−x−z)Se
yS
(2−y)およびこれらの組み合わせ、ここで0≦x≦1、0≦x+z≦1、および0≦y≦2である。黄銅鉱化合物はさらに、低濃度の、微量のまたは一定のドーピング濃度の1つ以上のさらなる元素または化合物、特に、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウムおよび/もしくはフランジウムなどのアルカリ、またはアルカリ化合物を含んでもよい。このようなさらなる構成要素の濃度は通常5wt%以下、適切には3wt%以下である。
【0040】
II−VI族化合物の用語は、周期表のII族元素のいくつかおよび周期表のVI族元素のいくつかが存在する化合物をカバーする、属に関する用語として本明細書では用いられている。特に、ZnSe、ZnS、ZnS
xSe
1−x、ZnS
x(OH)
1−x、CdS、CdSe、CdTeが例として挙げられる。例えばドーピング元素および微量元素などの他の元素がこのような化合物に存在することもある。
【0041】
III−V族化合物の用語は、周期表のIII族元素のいくつかおよび周期表のV族元素のいくつかが存在する化合物をカバーする、属に関する用語として本明細書では用いられている。特に、GaAs、Al
xGa
1−xAs、In
xGa
1−xAs、GaP、In
xGa
1−xP、In
xGa
1−xAs
zP
1−x(ここで0≦x≦1である)が例として挙げられる。例えばドーピング元素および微量元素などの他の元素が存在することもある。
【0042】
吸収層の用語は、複数の層、特に複数の薄膜層をカバーすることを意図しており、さらに、吸収層に加えてバック電極層とフロント電極層間に配置される層もある。一例として、黄銅鉱吸収層の場合、ウィンドウ層またはバッファ層が存在することもある。例えば酸化亜鉛を含むフロント電極との界面においてなど、例えばCdSなどの1層のII−VI族化合物が一例である。
【0043】
図1の実施形態は、黄銅鉱型吸収層を有する太陽電池7、8によって説明される。
【0044】
バックコンタクトは、基板5に堆積されている金属層14を備える。層14は、好ましい実施形態では、通常高伝導性金属を含むか、高伝導性金属からなる。銅、アルミニウム、モリブデン、タングステンおよび銀が特に重要であるとされる。しばしば、約0.2から2ミクロンの厚さにスパッタリングすることによって堆積されたモリブデン層が適用される。
【0045】
バック電極14の上に、約0.2から2ミクロンの厚さを有し、かつ例えばp型の(CIS型層とも称される)黄銅鉱型半導体層16が配置される。
【0046】
CIS型層16は、当該技術分野で使用可能な任意の方法で形成可能である。好ましい方法は、CIS型層の金属構成要素を含み、場合によっては気相成長法、次いで急速熱処理によってSe層を堆積する1連の層のスパッタリング堆積を含む。好ましいプロセスは、参照により組み込まれるJ.Palm、V.ProbstおよびF.H.Karg、「Second generation CIS solar modules」Solar Energy,vol.77,p.757−765,2004に説明されている。
【0047】
基板5とバック電極層14の間に、拡散バリア層(図示せず)が配置可能であり、これは、ガラス基板からCIS層16へのアルカリ金属の拡散を抑制するように作用する。このような層が配置されると、太陽電池が配置される前に、基板の一部を明確に形成する。さらに、CIS型層は適切には、参照により含まれている米国特許第5,626,688号明細書に開示されているように、限定量のNaを含有する。
【0048】
CIS層の上に、CdSまたはCdフリー材料などのバッファ層および/またはウィンドウ層が堆積可能である。
【0049】
太陽電池はさらにフロント電極層20を備える。層20は特に、酸化亜鉛(ZnO)またはインジウムスズ酸化物(ITO)、適切にはZnOなどの透明導電酸化物(TCO)であってもよい。TCO層は、例えば、スパッタリングによって堆積可能である。層は、吸収層がp型の場合、n型などの吸収層の半導体型とは反対にドーピングされる。スパッタリングは、例えばZnO:AlターゲットからのDCスパッタリングによって、または金属ターゲットからの反応性スパッタリングによって実行可能である。層は、例えば、10
−3オーム・cmの約2.0倍より良好、適切には10
−3オーム・cmの1.0倍より良好な比較的低い抵抗率を提供するように適切にドーピングされる。層20の厚さは適切には0.5から2ミクロンである。
【0050】
バック電極層14、吸収層16およびフロント電極層20は、直列接続されている個別の太陽電池7、8が形成されるようにパターニングされる。特に、太陽電池7のフロント電極層20は太陽電池8のバック電極層14と電気接続している。直列の最後の太陽電池8のフロント電極層20は、太陽電池8に隣接する領域26においてバック電極層14と電気接続している。直列の最初の電池である太陽電池7のバック電極層はまた、最初の電池に隣接する領域27に延びる。適切にはバック電極層14は、モジュール1の縁部に沿って縁部領域28がないままである。領域26および27において、かつこれらと電気的に接触して、導体線31および32が配置され、これらは以下第1および第2の導体線とそれぞれ称される。導体線は、例えば銅、アルミニウム、モリブデンなどの金属リボンであってもよく、場合によっては、例えばニッケル、パラジウム、スズまたは銀によって被覆されてもよい。本例における第1および第2の導体線は平行であるため線形でもあり、間隔Lを有している。
【0051】
接続シート5の裏側に接続ボックス36が配置される。接続ボックス36は、以下第1および第2のコネクタとそれぞれ称される2つのコネクタ41および42を備える。電気負荷(図示せず)がコネクタ41、42に接続可能である。
【0052】
第1のコネクタ41は、導体リード46によって第1の導体線31と電気接続している。導体リード46は接続シート5のホール48を介して延び、接続シート5の第2の側50に沿って連続している。
【0053】
本実施形態において、第2のコネクタ42は、ホール52を介して接続シート5を通って延びる第2の導体リード51によって、同様かつ対称的に第2の導体線32に接続される。本実施形態では、ホール48とコネクタ41間の距離は間隔Lの少なくとも25%であるため、ホール48および52間の距離もまた間隔Lの少なくとも25%である。
【0054】
本発明の態様によると、第1のコネクタ41は、導体リード46によって第1の導体線31と電気接続しており、導体リード46とそれぞれの導体線31間のホール48におけるコンタクトポイントは、端部から測って、つまりそれぞれの導体線に沿ったそれぞれの導体線31の長さの20%から50%の距離に配置可能である。適切には、第2の導体リード51とそれぞれの導体線32間のホール52におけるコンタクトポイントもまた、端部から測って第2の導体線32の長さの20%から50%の距離に配置される。このような実施形態が
図3dから
図3h、
図4、
図5aに示されており、これらの図面を参照してさらなる詳細が説明される。
【0055】
太陽電池、導体線、接続ボックスなどのコンポーネントが接続シートおよび/または基板の特定の側に配置されているという明細書および請求項の表現は、このようなコンポーネントが直接特定の側にあることを必ずしも意味していない点が明確になる。しかしながら、コンポーネントがこの側に直接配置されることは可能である。
【0056】
接続ボックス36は、
図2から
図5に示されているように種々の配置で提供可能である。
【0057】
図2において、モジュール1の実施形態は接続シート5から見て(つまり
図1の下から)概略的に示されている。
図1は、線I−Iに沿った断面を表している。明確にするために、バスバー間の太陽電池ではなくバスバー31、32のみが示されている。この向きでは、ホール48、52とコネクタ41、42間のモジュールの裏側に沿った導体リード46、51の複数の箇所は受光側のいずれの表面もカバーしないことが明らかになる。そのため、本実施形態では、導体線31、32と接続ボックス36間の相互接続によってアクティブ表面が占められることはない。
【0058】
示されているように導体線31、32間に、つまり、第1および第2の導体線31、32間の仮想中心線55に沿ったある位置に対称的に接合ボックスを配置することがしばしば好ましい。
【0059】
中心線55に垂直に測定された接続ボックスの幅は通常最小間隔Lの25%未満である。一般的な最小間隔は、例えば10から100cmの範囲であり、特に40から80cmである。
【0060】
図2に示されている実施形態では、第1および第2の導体リードが接続シートを介して延びる際に通るホール48、52は、第1および第2の導体線31、32および仮想線55と交差する仮想垂直線60上にある。本実施形態では、さらに導体リード46、51が線60に沿って延び、接続ボックス36も線60に沿って配置される。
【0061】
接続ボックスは、ここでは導体線31、32の端部61に示されており、この端部は矩形モジュール1の短辺付近にあるが、縁部からさらに離れて、またはモジュールの中心にも配置されることがある。
【0062】
適切には導体リードのスルーホールとモジュールの縁部間の距離は、十分な絶縁が達成されるように選択される。モジュールの最大電圧がここでは影響を与える。例えば、
図1の縁部領域28が薄膜を欠いており、また1.10
−12(オーム・cm)
−1の抵抗率を有するポリビニルブチラールラミネーション箔10と共に絶縁ゾーンを形成する場合に、良好な絶縁は達成される。縁部領域は、例えば5から50mmの幅、適切には10から20mm、例えば15mmであってもよい。最大1000V、またはこれ以上の最大システム電圧が達成可能である。
【0063】
導体リード46、51の各々は、それぞれ導体線31または32の一体的延長部であってもよい。導体リードは、接続ボックスにおける端子66、67の形態でコネクタに延びることができる。コネクタはまた、71、72として図示されている、接続ボックス36から延びる接続リードのように延びることが可能である。
【0064】
接続リード71、73およびそれぞれの導体リード46および/または51は一体的に形成可能である。
【0065】
導体リードが導体線の一体的延長部ではない場合、例えばはんだ付けや溶接などの知られている手段、またはばねコンタクトなどの機械的手段によって導体線に電気接続可能である。電気接続は特に、ホールおよび/または周辺エリアに提供可能である。ホール48、52は、ブチルやエポキシドなどの湿気の侵入に対して適切に密閉される。電気接続は導体リードの一部を形成するという点が明確になる。
【0066】
接続ボックスは、例えば接続シート5の裏側に糊づけ可能である。接続ボックスにおいて、1つ以上のバイパスダイオードなどの他の電気または電子コンポーネントが配置可能である。接続ボックスは、例えば負荷を設置および/または接続するための開放可能な蓋を有することができる。接続ボックスは密閉可能であるが、外部コネクタおよび/または導体リード(いわゆるワンピース接合キャップ)を有している。
【0067】
概略的かつ例証的に本発明の種々の実施形態を示す
図3を参照する。
図3aから
図3cは、スルーホール48および52がモジュールの端部61に提供される実施形態に関し、
図3dから
図3hは、スルーホールがモジュールの中心部75に提供される実施形態に関する。
【0068】
図3aは、
図2の実施形態のさらなる簡略化バージョンである。他の図においては、それぞれの修正を説明するための関連部分のみが参照番号で示されることになり、示されている他のすべての部分は、
図2および
図3aと同一または類似である。
【0069】
図3bにおいて、接続リード71、72ではなく接続ボックス36の端子66、67が提供される。
【0070】
図3cにおいて、接続ボックス36は中心線55から離れて配置される。導体線46は間隔Lの25%より長い、実際は間隔Lの40%、特には50%より長い。導体線51は間隔Lより短いこともある。
【0071】
図3dにおいて、スルーホール48および52はモジュールの中心部75、実質的には各導体線31、32の中心に提供される。導体リード46、51は、スルーホールのコンタクトポイントからモジュールの端部61の接続ボックス36に斜行する(skewed)。モジュールの長さまたは幅に対する端部は、この長さまたは幅の最初または最後の20%以内のエリアであってもよい。斜行するリードは最短接続を提供するが、導体リードもまた他の経路に沿って配置可能である点が明らかになる。
【0072】
図3eは、導体線31、32が、バスバーのちょうど中心にない場合には、接続シート5の中心部75のホール48、52を介して接触するという変形例を示している。モジュールの長さまたは幅に対する中心部は、長さまたは幅の中心20%以内のエリアであってもよい。接続ボックス36はまた端部外にあり、導体リード46、51は斜行する。
【0073】
図3fの実施形態は
図3aおよび
図3dの特徴を組み合わせている。スルーホールおよびコンタクトポイント48、52ならびに接続ボックス36はすべて中心部75に提供される。導体リードは、平行な導体線31、32に垂直である。
【0074】
図3gの実施形態は、接続ボックス36が中心部75に、かつ導体線のうちの1つの近くに配置される点で
図3fの実施形態と異なる。事実、コネクタ42は、接合ボックス36によってカバーされているスルーホール52の極めて近くに配置される。
【0075】
図3hにおいて、接続ボックス36は中心に配置され、ホール48、52は、導体線31、32の中心からわずかに離れるが、導体線31、32の端部78、79から測って長さKの20から50%以内の長手方向のいずれかの側に配置される。ホール46、51の一方が、端部78または79から離れた長さKの20%未満の端部に配置されることも可能である。
【0076】
図4は、
図2の詳細である
図3fの実施形態を示している。スルーホール48および52は中心、つまり導体線31、32の略中心に配置される、つまり第1および第2の導体リードとそれぞれの導体線間のコンタクトポイントは両方とも、端部から測ってそれぞれの導体線の長さの20%から50%の距離に配置される。接続ボックスはここではモジュールの中心部75に示されているが、中心からさらに離れて配置されてもよい。
図1はさらに線I−Iに沿った断面図でもある。
【0077】
単一の接続ボックスではなく、2つの接続ボックスも本発明から逸脱することなく用いられることが可能である。本発明は依然として、モジュールのアクティブエリアを犠牲にすることなく接続ボックスの場所を選択できるという柔軟性を付与する。本発明のさらなる実施形態を概略的かつ例証的に示す
図5aが参照され、ここでは2つの接続ボックス36a、36bが適用されている。
図1から
図4と同じ参照番号が、同一または類似の部分に言及するために使用されている。本実施形態の各接続ボックス36a、36bはそれぞれスルーホール48、52の上方に配置される。スルーホールは両方とも、例えばバスバーの中心などの中心エリア75に提供される。
【0078】
一実施形態では、バイパスダイオードは、モジュールを部分的にシェーディングする場合に電流を取り除くように、コンタクト41、42間に配置可能である。多数の直列接続された太陽電池からなるモジュールにおける1つまたは複数の個別太陽電池のシェーディングは、シェーディング済み電池(複数可)の逆バイアスにつながることもある。
図4の実施形態では、バイパスダイオードは接続ボックス36a、bの一方に配置されてもよい。接合ボックス間の接続配線80はモジュールの裏側に沿っている。特に好都合な実施形態では、接続配線は、モジュールの機械的安定性を増大させるように作用するフレーム要素によってカバーされている。
図5に概略的に示されている実施形態において、フレームは、モジュールの四辺周辺のフレームと、配線80に沿った接続バーとから形成可能である。接続バーは、配線80をカバーするように中空であってもよく、かつ/または例えばモジュールの側面に凹部を有することもある。
【0079】
図5bのさらなる実施形態において、2つのスルーホールおよび接続ボックス36a、bは、バスバー31、32の端部において端部61に配置される。場合によっては、
図5aのようなバイパスダイオードおよび配線80が接続ボックス間に提供されてもよい。
【0080】
図6は、バスバー31、32ならびに導体リード91、92を具備するモジュールの従来のレイアウトを概略的に示している。これらの導体リードは、特に基板設計の太陽電池の側面で、シートの受光側に延びるバスバーと略同一の形状を有する。コネクタ66、67は共通スルーホール94を介して導体リード91、92に接続される。91、92の下のエリアはアクティブエリアとして使用可能ではない。
【0081】
種々の構成のモジュールにおける抵抗損の算出が、厚さ0.2mmおよび幅2mmのアルミニウムバスバーを具備する165cm×65cmサイズの矩形モジュールに対して実行された。
図6に示されている従来のレイアウトについて、0.83%の抵抗損が判定され、ここでコネクタリード91、92はバスバーと同一の幅および厚さを有していた。
【0082】
図5bのレイアウトについて、抵抗損は0.53%であった。シートを介して別個に導体リードをガイドすることによって、リード91、92に沿った抵抗損が蓄積される。このことは、
図3aから
図3cのような単一の接合ボックスが用いられる場合にもあてはまるが、それは、裏側がより厚い導体リードが使用可能であるからである。
【0083】
図5aの配置について、0.14%の抵抗損が算出された。導体線の中心のコンタクトポイントおよびスルーホールによるこの場合は、電流はバスバーの長さの半分に亘って流されるにすぎない。本発明のこの利点は、従来の抵抗損より大きくなることなく、例えば
図6の従来の配置に必要とされるよりも小さくバスバーをサイズ設定することによっても利用可能である点が明らかになる。
【0084】
本発明はまた、複数の直列接続された太陽電池を備えるモジュールに適用可能である。この場合、少なくとも第3および第4の、場合によってはさらなる対の導体線が接続シートの第1の側に存在し、一連の太陽電池の接続は各対の間にある。各対の導体線はそれぞれの最小間隔を有する。各導体線は、接続シートを通って延びる導体リードの第2の側で接続ボックスに接続可能である。具体的な実施形態では、導体線のうちの少なくとも1つが、導体線のそれぞれの最小間隔の少なくとも25%の距離にわたって第2の側に沿って延びる。特に、距離は、(幅が長さ以下の矩形モジュールについて)モジュールの幅の少なくとも25%であってもよい。本発明にしたがったこのような設計では、異なる並列接続が接続ボックスに提供される場合にはさらなる利点が達成可能であるため、別個の回路基板は必要ではない。
【0085】
接続シートのスルーホールは、接触を容易にするために導体線(バスバー)の下に適切に提供され、バスバー外の実質的なエリアが導体リードに占められることはない。しかしながら、導体リードが導体線からある距離にある接続シートを介して導かれることが明確であり、この場合導体線は限定されたアクティブエリアを占める可能性がある。スルーホールは導体線から5cm以内、および/または導体線間の間隔から5%以内に適切に配置される。
【0086】
本発明は、いわゆる基板設計を使用した実施例によって説明されてきたが、製造中に太陽電池が配置される基板は接続シートを形成し、またはシートの一部である。本発明は、基板設計との組み合わせにおいて具体的な利点を有するが、それは、スーパーストレート設計においては、モジュールのアクティブエリアを実質的に犠牲にすることなくバスバー間に配線および接続を配置することが一般的により容易であるからである。