特許第5676295号(P5676295)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5676295業務負荷判定装置、業務負荷判定システム、業務負荷判定方法およびプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5676295
(24)【登録日】2015年1月9日
(45)【発行日】2015年2月25日
(54)【発明の名称】業務負荷判定装置、業務負荷判定システム、業務負荷判定方法およびプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 10/06 20120101AFI20150205BHJP
【FI】
   G06Q10/06 130
【請求項の数】10
【全頁数】23
(21)【出願番号】特願2011-26382(P2011-26382)
(22)【出願日】2011年2月9日
(65)【公開番号】特開2012-168575(P2012-168575A)
(43)【公開日】2012年9月6日
【審査請求日】2014年1月6日
(73)【特許権者】
【識別番号】000004237
【氏名又は名称】日本電気株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】509092971
【氏名又は名称】株式会社テレコグニックス
(74)【代理人】
【識別番号】100095407
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 満
(72)【発明者】
【氏名】板谷 聡子
(72)【発明者】
【氏名】吉永 直生
(72)【発明者】
【氏名】デイビス ピーター
(72)【発明者】
【氏名】小西 琢
(72)【発明者】
【氏名】田仲 理恵
(72)【発明者】
【氏名】土井 伸一
【審査官】 宮地 匡人
(56)【参考文献】
【文献】 特開2006−133925(JP,A)
【文献】 特開2005−115838(JP,A)
【文献】 大脇 佑平,問いかけに基づく日常活動のアウェアネス支援システムとその評価,第72回(平成22年)全国大会講演論文集(4),社団法人情報処理学会,2010年 3月 8日,pp.4-237〜4-238
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00−50/34
JSTPlus(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
判定期間と対象ユーザまたは対象グループとを示す情報を取得する判定対象取得手段と、
コミュニケーションツールを用いたユーザ同士のやり取りを示すコミュニケーションログを記憶するコミュニケーションログデータベースから、前記判定期間の前記対象ユーザまたは前記対象グループの前記コミュニケーションログを解析対象データとして抽出する対象データ抽出手段と、
前記解析対象データに基づいて、前記対象ユーザまたは対象グループ内のユーザが他のユーザからの働きかけに対して応答を行うまでの反応時間を算出し、前記反応時間の変分に対するその反応時間における応答回数の変分を示す反応変化率を計算する反応時間計算手段と、
一般的な前記反応変化率、もしくは、前記対象ユーザまたは前記対象グループの統計的な前記反応変化率を示す基準データを取得する基準データ取得手段と、
前記反応時間計算手段が計算した前記反応変化率と、前記基準データ取得手段が抽出した前記基準データとを比較し、前記判定期間の前記対象ユーザまたは前記対象グループの業務負荷状態を判定する負荷状態判定手段と、
前記負荷状態判定手段が判定した判定結果を提示する提示手段と、
を備えることを特徴とする業務負荷判定装置。
【請求項2】
前記反応時間計算手段は、前記判定期間の前記対象ユーザまたは前記対象グループの前記コミュニケーションログに基づいて前記反応時間を算出して前記反応時間ごとの応答回数の分布を作成し、所定の値より前記反応時間の短い領域の短反応変化率と、前記反応時間の長い領域の長反応変化率とを計算することを特徴とする請求項1に記載の業務負荷判定装置。
【請求項3】
前記基準データは、所定の値より前記反応時間の短い領域の短反応変化率と、前記反応時間の長い領域の長反応変化率との2種類のデータを含み、
前記負荷状態判定手段は、前記基準データの前記短反応変化率と前記反応時間計算手段が計算した前記短反応変化率との誤差が所定の範囲内であった場合、短い反応時間領域の応答回数の分布が存在すると判定し、前記基準データの前記長反応変化率と前記反応時間計算手段が計算した前記長反応変化率との誤差が所定の範囲内であった場合、長い反応時間領域の応答回数の分布が存在すると判定し、両方の分布が存在すると業務負荷状態が「適正」、前記短い反応時間領域の応答回数の分布のみが存在すると業務負荷状態が「ゆとりあり」、前記長い反応時間領域の応答回数の分布のみが存在すると業務負荷状態が「高負荷」と規定し、前記判定期間の前記対象ユーザまたは前記対象グループの業務負荷状態を判定することを特徴とする請求項1または2に記載の業務負荷判定装置。
【請求項4】
前記基準データ取得手段は、前記コミュニケーションログデータベースが記憶する前記コミュニケーションログに基づいて、前記基準データを作成する基準データ作成手段を含むことを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載の業務負荷判定装置。
【請求項5】
前記基準データ作成手段は、所定の期間の前記コミュニケーションログに基づいて前記反応時間を算出して前記反応時間ごとの応答回数の分布を作成し、前記所定の値より前記反応時間の短い領域の短反応変化率と、前記反応時間の長い領域の長反応変化率とを計算し、算出した前記短反応変化率および前記長反応変化率を前記基準データとすることを特徴とする請求項4に記載の業務負荷判定装置。
【請求項6】
コミュニケーションツールを用いたユーザ同士のやり取りを示すコミュニケーションログを記憶するコミュニケーションログデータベースと、
判定期間と対象ユーザまたは対象グループとの入力を受け付ける入力手段と、
業務負荷判定装置から受信した情報を出力する出力手段と、
を含むユーザ端末と、
前記ユーザ端末から前記判定期間と前記対象ユーザまたは前記対象グループとを示す情報を取得する判定対象取得手段と、
前記コミュニケーションログデータベースから前記判定期間の前記対象ユーザまたは前記対象グループの前記コミュニケーションログを解析対象データとして抽出する対象データ抽出手段と、
前記解析対象データに基づいて、前記対象ユーザまたは対象グループ内のユーザが他のユーザからの働きかけに対して応答を行うまでの反応時間を算出し、前記反応時間の変分に対するその反応時間における応答回数の変分を示す反応変化率を計算する反応時間計算手段と、
一般的な前記反応変化率、もしくは、前記対象ユーザまたは前記対象グループの統計的な前記反応変化率を示す基準データを取得する基準データ取得手段と、
前記反応時間計算手段が計算した前記反応変化率と、前記基準データ取得手段が抽出した前記基準データとを比較し、前記判定期間の前記対象ユーザまたは前記対象グループの業務負荷状態を判定する負荷状態判定手段と、
前記負荷状態判定手段が判定した判定結果を前記ユーザ端末に送信する送信手段と、
を含む前記業務負荷判定装置と、
を備えることを特徴とする業務負荷判定システム。
【請求項7】
ユーザ端末が実行する
判定期間と対象ユーザまたは対象グループとの入力を受け付ける入力ステップと、
業務負荷判定装置が実行する
前記ユーザ端末から前記判定期間と前記対象ユーザまたは前記対象グループとを示す情報を取得する判定対象取得ステップと、
コミュニケーションツールを用いたユーザ同士のやり取りを示すコミュニケーションログを記憶するコミュニケーションログデータベースから、前記判定期間の前記対象ユーザまたは前記対象グループの前記コミュニケーションログを解析対象データとして抽出する対象データ抽出ステップと、
前記解析対象データに基づいて、前記対象ユーザまたは対象グループ内のユーザが他のユーザからの働きかけに対して応答を行うまでの反応時間を算出し、前記反応時間の変分に対するその反応時間における応答回数の変分を示す反応変化率を計算する反応時間計算ステップと、
一般的な前記反応変化率、もしくは、前記対象ユーザまたは前記対象グループの統計的な前記反応変化率を示す基準データを取得する基準データ取得ステップと、
前記反応時間計算ステップで計算した前記反応変化率と、前記基準データ取得ステップで抽出した前記基準データとを比較し、前記判定期間の前記対象ユーザまたは前記対象グループの業務負荷状態を判定する負荷状態判定ステップと、
前記負荷状態判定ステップで判定した判定結果を前記ユーザ端末に送信する送信ステップと、
前記ユーザ端末が実行する
前記業務負荷判定装置から受信した判定結果を出力する出力ステップと、
を備えることを特徴とする業務負荷判定方法。
【請求項8】
前記基準データは、所定の値より前記反応時間の短い領域の短反応変化率と、前記反応時間の長い領域の長反応変化率との2種類のデータを含み、
前記負荷状態判定ステップでは、前記基準データの前記短反応変化率と前記反応時間計算ステップが計算した前記短反応変化率との誤差が所定の範囲内であった場合、短い反応時間領域の応答回数の分布が存在すると判定し、前記基準データの前記長反応変化率と前記反応時間計算ステップが計算した前記長反応変化率との誤差が所定の範囲内であった場合、長い反応時間領域の応答回数の分布が存在すると判定し、両方の分布が存在すると業務負荷状態が「適正」、前記短い反応時間領域の応答回数の分布のみが存在すると業務負荷状態が「ゆとりあり」、前記長い反応時間領域の応答回数の分布のみが存在すると業務負荷状態が「高負荷」と規定し、前記判定期間の前記対象ユーザまたは前記対象グループの業務負荷状態を判定することを特徴とする請求項7に記載の業務負荷判定方法。
【請求項9】
前記基準データ取得ステップは、前記コミュニケーションログデータベースが記憶する前記コミュニケーションログに基づいて、前記基準データを作成する基準データ作成ステップを含むことを特徴とする請求項7または8に記載の業務負荷判定方法。
【請求項10】
コンピュータ
判定期間と対象ユーザまたは対象グループとを示す情報を取得する判定対象取得手段と、
コミュニケーションツールを用いたユーザ同士のやり取りを示すコミュニケーションログを記憶するコミュニケーションログデータベースから、前記判定期間の前記対象ユーザまたは前記対象グループの前記コミュニケーションログを解析対象データとして抽出する対象データ抽出手段と、
前記解析対象データに基づいて、前記対象ユーザまたは対象グループ内のユーザが他のユーザからの働きかけに対して応答を行うまでの反応時間を算出し、前記反応時間の変分に対するその反応時間における応答回数の変分を示す反応変化率を計算する反応時間計算手段と、
一般的な前記反応変化率、もしくは、前記対象ユーザまたは前記対象グループの統計的な前記反応変化率を示す基準データを取得する基準データ取得手段と、
前記反応時間計算手段が計算した前記反応変化率と、前記基準データ取得手段が抽出した前記基準データとを比較し、前記判定期間の前記対象ユーザまたは前記対象グループの業務負荷状態を判定する負荷状態判定手段と、
前記負荷状態判定手段が判定した判定結果を提示する提示手段と、
して機能させることを特徴とするプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、個人またはグループの業務負荷状態を判定する業務負荷判定装置、業務負荷判定システム、業務負荷判定方法およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
業務負荷の増加による作業効率・品質の低下、ストレス・事故の増加などが、多くの状況で問題となっている。たとえば、業務負荷の増加により、時間的切迫やストレスが増加し、コミュニケーションを然るべきときに行なわれないことにより発生するミスや失敗が大きな社会問題になる場合がある。そのひとつの例として、非特許文献1に示されるように、医師や看護師らの医療グループにおけるグループエラーがある。この文献に示されるように、チーム医療においては、円滑で十分なコミュニケーションが不可欠であり、コミュニケーションの不具合が医療事故・未然事故の重要な原因であることが分かってきている。
【0003】
ユーザの負荷状態の推定方法には、次のような方法が提案されている。たとえば、非特許文献2には、コールセンターにおけるオペレーターの負荷状態をオペレーターの音声データから判断する方法が提案されている。特許文献1では、個人の身体動作のログを用いる手法が提案されている。また、特許文献2には、コミュニケーションが十分に行えているかどうかを判断する手法が示されている。特許文献2の手法では、組織内においてユーザの位置情報と同時にいた時間からコミュニケーション行動とコミュニケーション量を抽出し、その値が下限値と上限値の間に入っているかどうかを用いて評価する。また、業務負荷量を求める方法としては、特許文献3のように業務工程の残務件数と、該業務工程一件当りを処理するのに要する時間を用いて業務負荷量を求める方法や、特許文献4のように勤務予定スケジュールや行った業務内容をユーザに入力させる方法がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】米国特許出願公開第2010/0217097号明細書
【特許文献2】特開2010−140260号公報
【特許文献3】特開平9−190475号公報
【特許文献4】特開2006−235939号公報
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】高木修、鬼塚佳奈子、“医療事故と病院組織における人間関係とコミュニケーション”、関西大学、第175回産業セミナー
【非特許文献2】Bo Yin、Natalie Ruiz、Fang Chen、M. Asif Khawaja、“Automatic Cognitive Load Detection from Speech Features”、OzCHI 2007 Proceedings、ISBN 978-1-59593-872-5
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
コミュニケーションが然るべきときに行なわれないことにより発生するミスや失敗を防ぐためには、コミュニケーションのタイミングに基づいた業務負荷の判定が重要である。非特許文献2および特許文献1の手法では、ユーザ同士のやり取りのログを用いるのではなく、個人の音声ログや動作ログを用いるため、個人の業務負荷を判定することはできるが、グループによる協働作業に関しては利用することが出来ない。また、コミュニケーションが然るべきときに行なわれているかどうかは、相手からの働きかけに対してタイミングよく反応できているかが重要な要素である。特許文献2では、コミュニケーション量が多いからといってタイミングのよい反応ができているとは限らない。特許文献3および特許文献4では、コミュニケーションが然るべきときに行なわれているかどうかは分からない。また、ユーザの入力忘れや入力にかかるユーザの負担が発生する。
【0007】
本発明は、ユーザの負担を増加させることなく、コミュニケーションのタイミングに基づいて、個人やグループの業務負荷状態を自動的に判定する業務負荷判定装置、業務負荷判定システム、業務負荷判定方法およびプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の第1の観点に係る業務負荷判定装置は、
判定期間と対象ユーザまたは対象グループとを示す情報を取得する判定対象取得手段と、
コミュニケーションツールを用いたユーザ同士のやり取りを示すコミュニケーションログを記憶するコミュニケーションログデータベースから、前記判定期間の前記対象ユーザまたは前記対象グループの前記コミュニケーションログを解析対象データとして抽出する対象データ抽出手段と、
前記解析対象データに基づいて、前記対象ユーザまたは対象グループ内のユーザが他のユーザからの働きかけに対して応答を行うまでの反応時間を算出し、前記反応時間の変分に対するその反応時間における応答回数の変分を示す反応変化率を計算する反応時間計算手段と、
一般的な前記反応変化率、もしくは、前記対象ユーザまたは前記対象グループの統計的な前記反応変化率を示す基準データを取得する基準データ取得手段と、
前記反応時間計算手段が計算した前記反応変化率と、前記基準データ取得手段が抽出した前記基準データとを比較し、前記判定期間の前記対象ユーザまたは前記対象グループの業務負荷状態を判定する負荷状態判定手段と、
前記負荷状態判定手段が判定した判定結果を提示する提示手段と、
を備えることを特徴とする。
【0009】
本発明の第2の観点に係る業務負荷判定システムは、
コミュニケーションツールを用いたユーザ同士のやり取りを示すコミュニケーションログを記憶するコミュニケーションログデータベースと、
判定期間と対象ユーザまたは対象グループとの入力を受け付ける入力手段と、
業務負荷判定装置から受信した情報を出力する出力手段と、
を含むユーザ端末と、
前記ユーザ端末から前記判定期間と前記対象ユーザまたは前記対象グループとを示す情報を取得する判定対象取得手段と、
前記コミュニケーションログデータベースから前記判定期間の前記対象ユーザまたは前記対象グループの前記コミュニケーションログを解析対象データとして抽出する対象データ抽出手段と、
前記解析対象データに基づいて、前記対象ユーザまたは対象グループ内のユーザが他のユーザからの働きかけに対して応答を行うまでの反応時間を算出し、前記反応時間の変分に対するその反応時間における応答回数の変分を示す反応変化率を計算する反応時間計算手段と、
一般的な前記反応変化率、もしくは、前記対象ユーザまたは前記対象グループの統計的な前記反応変化率を示す基準データを取得する基準データ取得手段と、
前記反応時間計算手段が計算した前記反応変化率と、前記基準データ取得手段が抽出した前記基準データとを比較し、前記判定期間の前記対象ユーザまたは前記対象グループの業務負荷状態を判定する負荷状態判定手段と、
前記負荷状態判定手段が判定した判定結果を前記ユーザ端末に送信する送信手段と、
を含む前記業務負荷判定装置と、
を備えることを特徴とする。
【0010】
本発明の第3の観点に係る業務負荷判定方法は、
ユーザ端末が実行する
判定期間と対象ユーザまたは対象グループとの入力を受け付ける入力ステップと、
業務負荷判定装置が実行する
前記ユーザ端末から前記判定期間と前記対象ユーザまたは前記対象グループとを示す情報を取得する判定対象取得ステップと、
コミュニケーションツールを用いたユーザ同士のやり取りを示すコミュニケーションログを記憶するコミュニケーションログデータベースから、前記判定期間の前記対象ユーザまたは前記対象グループの前記コミュニケーションログを解析対象データとして抽出する対象データ抽出ステップと、
前記解析対象データに基づいて、前記対象ユーザまたは対象グループ内のユーザが他のユーザからの働きかけに対して応答を行うまでの反応時間を算出し、前記反応時間の変分に対するその反応時間における応答回数の変分を示す反応変化率を計算する反応時間計算ステップと、
一般的な前記反応変化率、もしくは、前記対象ユーザまたは前記対象グループの統計的な前記反応変化率を示す基準データを取得する基準データ取得ステップと、
前記反応時間計算ステップで計算した前記反応変化率と、前記基準データ取得ステップで抽出した前記基準データとを比較し、前記判定期間の前記対象ユーザまたは前記対象グループの業務負荷状態を判定する負荷状態判定ステップと、
前記負荷状態判定ステップで判定した判定結果を前記ユーザ端末に送信する送信ステップと、
前記ユーザ端末が実行する
前記業務負荷判定装置から受信した判定結果を出力する出力ステップと、
を備えることを特徴とする。
【0011】
本発明の第4の観点に係るプログラムは、コンピュータ
判定期間と対象ユーザまたは対象グループとを示す情報を取得する判定対象取得手段と、
コミュニケーションツールを用いたユーザ同士のやり取りを示すコミュニケーションログを記憶するコミュニケーションログデータベースから、前記判定期間の前記対象ユーザまたは前記対象グループの前記コミュニケーションログを解析対象データとして抽出する対象データ抽出手段と、
前記解析対象データに基づいて、前記対象ユーザまたは対象グループ内のユーザが他のユーザからの働きかけに対して応答を行うまでの反応時間を算出し、前記反応時間の変分に対するその反応時間における応答回数の変分を示す反応変化率を計算する反応時間計算手段と、
一般的な前記反応変化率、もしくは、前記対象ユーザまたは前記対象グループの統計的な前記反応変化率を示す基準データを取得する基準データ取得手段と、
前記反応時間計算手段が計算した前記反応変化率と、前記基準データ取得手段が抽出した前記基準データとを比較し、前記判定期間の前記対象ユーザまたは前記対象グループの業務負荷状態を判定する負荷状態判定手段と、
前記負荷状態判定手段が判定した判定結果を提示する提示手段と、
して機能させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、ユーザの負担を増加させることなく、コミュニケーションのタイミングに基づいて、個人やグループの業務負荷状態を自動的に判定することができ、判定した業務負荷状態に基づいて業務を割り当てることで作業効率・品質の低下、ストレス・事故の増加などを防ぐことが期待できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の実施の形態1に係る業務負荷判定システムの構成例を示すブロック図である。
図2】コミュニケーションログDBの生成方法の一例を示す図である。
図3】優先度を持った処理すべきタスクが2つ以上存在する場合の2つの待ち行列モデルの一例を示す図である。
図4】ユーザの3つの業務負荷状態を模式的に表す図である。
図5】反応時間計算部が計算した反応変化率の一例を示す図である。
図6】大学生を対象に友人からの携帯メールに対する反応時間を測定したグラフを示す図である。
図7】実施の形態1に係る業務負荷判定の動作の一例を示すフローチャートである。
図8】本発明の実施の形態2に係る業務負荷判定システムの構成例を示すブロック図である。
図9】第2の抽出方法を用いて反応変化率を抽出した解析結果の一例を示す図である。
図10】実施の形態2に係る業務負荷判定の動作の一例を示すフローチャートである。
図11】本発明の実施の形態に係る業務負荷判定装置のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明では、コミュニケーションログに基づいて反応時間を算出し、対象ユーザまたは対象グループの判定期間の反応変化率と基準データとを比較して、判定期間の対象ユーザまたは対象グループの業務負荷状態を判定し、判定結果を提示する。コミュニケーションログとは、ユーザ同士がコミュニケーションツールを用いて行ったやり取りの履歴を示す情報である。コミュニケーションツールとは、電子メール、電話、チャット、SNS、ブログといった、ユーザ同士がやり取りを行う様々な方法である。
【0015】
反応時間とは、コミュニケーションツールを用いた他のユーザからの働きかけに対して、対象ユーザまたは対象グループ内のユーザが応答を行うまでの時間である。応答とは、他のユーザのコミュニケーションツールを用いた働きかけに対して、ユーザがコミュニケーションツールを用いて何らかの働きかけを返すことをいう。反応変化率とは、反応時間の変分に対するその反応時間における応答回数の変分を示す。基準データとは、ユーザまたはグループのコミュニケーションツールごとの反応時間の一般的特長または統計的特長を示す反応変化率である。なお、「判定結果を提示する」とは判定結果を送信する、記憶する、表示することを含む。
【0016】
以下に、発明を実施するための形態について図面を参照して詳細に説明する。なお、図中同一または相当する部分には同じ符号を付す。
【0017】
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1に係る業務負荷判定システムの構成例を示すブロック図である。実施の形態1では、業務負荷判定装置1と、コミュニケーションログデータベース(以下、コミュニケーションログDBと呼ぶ)2と、ユーザ端末6とから業務負荷判定システム100が構成されている。ユーザ端末6およびコミュニケーションログDB2と業務負荷判定装置1とは、ネットワーク(図示せず)を介して相互に通信可能である。また、ユーザ端末6および/またはコミュニケーションログDB2は、業務負荷判定装置1の一部であるか、または附属の装置の場合がある。ユーザ端末6は代表して1台で図示するが、2台以上のユーザ端末がネットワークに接続される場合がある。また、コミュニケーションログDB2は、複数のデータベースである場合がある。
【0018】
図2は、コミュニケーションログDBの生成方法の一例を示す図である。コミュニケーションログDB2は、ユーザ同士が様々なコミュニケーションツール(コミュニケーションツール群21)を用いて行ったやり取りのコミュニケーションログを統合的に記憶する。
【0019】
まず、ユーザが様々なコミュニケーションツールを用いて行ったコミュニケーションのデータは、コミュニケーションツールごとに生データとして、生データ記憶部群32の生データ記憶部に一時的に記憶される。たとえば、コミュニケーションツールが電子メールであれば、生データはメールの送信履歴、受信履歴などであり、コミュニケーションツールが電話であれば、生データは着信履歴、通話記録などである。
【0020】
各コミュニケーションツールの生データが記憶された生データ記憶部に1対1で対応するログ抽出部は、各コミュニケーションツールの形態にあわせて規定された統一フォーマットで、生データからユーザ同士のやり取りを示すコミュニケーションログを抽出する。たとえば、統一フォーマットとして、働きかけを受けたユーザのID(受信者ID)、働きかけたユーザのID(送信者ID)と、働きかけを受けた日時(受信日時)と、働きかけに対し応答をした日時(返信日時)とを規定する。
【0021】
この場合、たとえば、電子メールのコミュニケーションログは、電子メールの受信ユーザのID(受信者ID)、電子メールの送信ユーザのID(送信者ID)と、受信ユーザが送信ユーザから電子メールを受信した日時(受信日時)と、受信ユーザが送信ユーザに返事の電子メールを送信した日時(返信日時)とで表される。電話のコミュニケーションログは、電話の着信ユーザのID(受信者ID)、電話の発信ユーザのID(送信者ID)と、着信ユーザが発信ユーザからの電話を着信した日時(受信日時)と、着信ユーザが電話に出た日時もしくは発信ユーザに電話を折り返しかけた日時(返信日時)とで表される。
【0022】
なお、コミュニケーションログは、働きかけたユーザのコミュニケーションツールと、働きかけに対し応答したユーザのコミュニケーションツールとは、同一でなくてもよい。たとえば、メールでの働きかけに対して電話で応答してもよい。この場合、ログ抽出部は、ユーザが他のユーザからの働きかけを受けた直後に、該他のユーザに行ったコミュニケーションを応答として抽出する。また、他のユーザからの複数回の働きかけに対してユーザが1回応答した場合、他のユーザからの最初の働きかけと、ユーザの応答とを対応付けてコミュニケーションログとしてもよい、他のユーザからの働きかけの回数に合わせて重み付けをしてもよい。
【0023】
ログ抽出部群33の各ログ抽出部は、抽出したコミュニケーションログをコミュニケーションログDB2に送る。コミュニケーションログDB2は、ログ抽出部群33で抽出された各コミュニケーションツールのコミュニケーションログを統合的に記憶する。
【0024】
このように、コミュニケーションログDB2は、各コミュニケーションツールを用いて行われたユーザ同士のやり取りを統一フォーマットでデータベースとして記憶している。コミュニケーションログDB2は、ユーザ同士がコミュニケーションツールを用いてやり取りを行うごとに更新されていく。
【0025】
業務負荷判定装置1は、対象データ抽出部11、反応時間計算部12、基準記憶部13、基準データ抽出部14および負荷状態判定部15から構成される。
【0026】
対象データ抽出部11は、コミュニケーションログDB2に記憶されたコミュニケーションログから、対象ユーザまたは対象グループの判定期間のコミュニケーションログ(以下、解析対象データという)を抽出する。
【0027】
反応時間計算部12は、対象データ抽出部11が抽出した解析対象データに基づいて、他のユーザからの働きかけに対して、対象ユーザまたは対象グループ内のユーザが応答を行うまでの反応時間を計算する。反応時間は、より正確にはユーザのコミュニケーションツールを備える端末が稼働している間だけを計測する。また、職場での業務負荷判定システムを考える場合は、職場にいる間だけを計測してもよい。端末が起動したとき、およびシャットダウンしたときを捉えれば稼働している時間がわかる。また、タイムカードのシステムなどを利用すれば、職場にいる時間が分かる。ここで、前述のように、他のユーザからの複数回の働きかけに対して対象ユーザが1回応答し、他のユーザからの働きかけの回数に合わせて重み付けをしている場合は、反応時間に重み係数を掛けて計算する。
【0028】
また、反応時間計算部12は、所定の幅の反応時間のコミュニケーションログの数をプロットした反応時間ごとの応答回数の分布(以下、反応分布という)を示すグラフを作成し、反応時間の変分に対するその反応時間における応答回数の変分を示す反応変化率を計算する。
【0029】
基準データ記憶部13は、ユーザの業務負荷状態を判断する基準となる基準データを蓄積している。基準データは、コミュニケーションツールごとの一般的な反応変化率であってもよいし、単一ユーザまたはグループ内の複数ユーザのコミュニケーションツールごとの数ヶ月〜数年程度の反応時間について、所定の幅の反応時間のコミュニケーションログの数をプロットした反応分布を示すグラフを作成し、計算した統計的な反応変化率であってもよい。
【0030】
基準データ抽出部14は、基準データ記憶部13に記憶されている基準データの中から、一般的な基準データ、もしくは、対象ユーザまたは対象グループの基準データを抽出する。
【0031】
負荷状態判定部15は、基準データ抽出部14が抽出した基準データと反応時間計算部12が計算した反応変化率とを比較することで、対象ユーザまたは対象グループの業務負荷状態を判定し、判定結果をユーザ端末6に送信する。
【0032】
ユーザ端末6は、入力部61および表示部62を備える。入力部61は、ユーザによる業務負荷状態を判定する判定期間および対象ユーザまたは対象グループの入力を受け付け、業務負荷判定装置1に業務負荷状態を判定する判定期間および対象ユーザまたは対象グループを示す情報を送信する。出力部62は、業務負荷判定装置1から受信した判定結果を示す画像または音声を出力する。
【0033】
次に、具体例を用いて本実施の形態の動作を説明する。
【0034】
図3は、優先度を持った処理すべきタスクが2つ以上存在する場合の2つの待ち行列モデルの一例を示す図である。他のユーザからの働きかけに対する応答を表現する短時間モデルは、処理すべきタスクが二つ以上存在する場合、どちらを先に処理するかの優先度を持った2つの待ち行列モデルで表現できる。反応時間は、待ち行列の状態に応じて変化する。
【0035】
処理すべきタスク(タスクρ)として、コミュニケーションのタスク(タスクρ)と、コミュニケーション以外のタスク(タスクρ)の2つのタスクが存在したとする。待ち行列には、優先度の高い「今すぐ処理」という待ち行列と、優先度の低い「後で処理」という待ち行列が存在する。ここでは、コミュニケーションのタスクρよりも、コミュニケーション以外のタスクρの方が優先度が高いとすると、タスクρが待ち行列「今すぐ処理」に入り、処理される。タスクρは、待ち行列「後で処理」に入り、タスクρが処理されて待ち行列「今すぐ処理」が空になったら、待ち行列「今すぐ処理」に入る。
【0036】
たとえば、待ち行列が空の状態では、コミュニケーションのタスクは、すぐに待ち行列「今すぐ処理」に入り処理されるので、反応時間は短くなる。待ち行列が空でない状態では、コミュニケーションのタスクは、待ち行列「今すぐ処理」に入れないので処理が遅れ、反応時間は長くなる。タスクρとタスクρのバランスが取れている時、すなわち、業務負荷が適正であると推定できる時には、待ち行列が空の状態と待ち行列が空でない状態とがあり、反応分布は早い反応と遅い反応を示す2つの指数関数を組み合わせた形で出現する。待ち行列が常に空の状態のとき、すなわち、業務負荷にゆとりがあると推定できる時には、反応分布は適正時に見られる早い反応を示す指数関数に沿って出現する。待ち行列が常に空でない状態のとき、すなわち、業務負荷が高負荷であると推定できる時には、適正時に見られる遅い反応を示す指数関数に沿って出現することがわかっている。これらの反応分布を元に3つの業務負荷状態、「適正」、「ゆとりあり」、「高負荷」に分類できる。
【0037】
図4は、ユーザの3つの業務負荷状態を模式的に表す図である。コミュニケーションログ数は対数目盛なので、指数関数は直線で表される。Aのグラフは、コミュニケーションのタスクとコミュニケーション以外のタスクのバランスが取れている状態「適正」を示す。業務負荷状態「適正」の場合、反応分布は、早い反応を示す指数関数と、遅い反応を示す指数関数を組み合わせたAのようなグラフに沿って出現する。Bのグラフは、業務が入る待ち行列(待ち行列「今すぐ処理」)が空の場合が多い状態「ゆとりあり」を示す。業務負荷状態「ゆとりあり」の場合、反応分布は、Aのグラフの早い反応を示す指数関数に近いBのようなグラフに沿って出現する。Cのグラフは、業務が入る待ち行列(待ち行列「今すぐ処理」)が空でない場合が多い状態「高負荷」を示す。業務負荷状態「高負荷」の場合、反応分布は、Aのグラフの遅い反応を示す指数関数に近いCのようなグラフに沿って出現する。
【0038】
業務負荷判定装置1の負荷状態判定部15は、ユーザの業務負荷について、基準データ抽出部14が抽出した閾値より反応時間の短い領域の短反応変化率(以下、F_baseという)および閾値より反応時間の長居領域の長反応変化率(以下、S_baseという)と、反応時間計算部12が計算した閾値より反応時間の短い領域の短反応変化率(以下、F_checkという)および閾値より反応時間の長居領域の長反応変化率(以下、S_checkという)と、を比較することで、対象ユーザまたは対象グループの業務負荷状態が、「適正」、「ゆとりあり」、「高負荷」のいずれであるかを判定する。以下、負荷状態判定部15が行う業務負荷状態の判定について詳しく説明する。
【0039】
まず、反応時間計算部12は、対象データ抽出部11が抽出した解析対象データに基づいて、反応時間を計算する。反応時間計算部12は、対象ユーザまたは対象グループの判定範囲X〜Yの反応時間について、Xから閾値まで(早い反応)と閾値からYまで(遅い反応)のそれぞれに近似する2つの指数関数を算出し、F_checkおよびS_checkを計算する。これらの反応変化率を抽出する方法の詳細については、後述する。
【0040】
負荷状態判定部15は、反応時間計算部12が計算したF_checkと基準データ抽出部14が抽出したF_baseとの差の絶対値Abs(F_check−F_base)が0.01以下であれば、短い反応時間の反応分布が存在すると判定する。一方、反応時間計算部12が計算したS_checkと基準データ抽出部14が抽出したS_baseとの差の絶対値Abs(S_check−S_base)が0.01以下であれば、長い反応時間の反応分布が存在すると判定する。負荷状態判定部15は、両方の反応分布が存在すると判定されれば業務負荷状態が「適正」、短い反応時間の反応分布のみ存在すると業務負荷状態が「ゆとりあり」、長い反応時間の反応分布のみ存在すると業務負荷状態が「高負荷」という判定を行い、判定結果をユーザ端末6の出力部62に送信する。なお、Abs(F_check−F_base)およびAbs(S_check−S_base)に基づいて短い反応時間の反応分布または長い反応時間の反応分布の存在を判定する値は0.01に限らず、短い反応時間の反応分布または長い反応時間の反応分布が存在するか否かが判定できる程度に充分小さい値であればよい。
【0041】
図5は、反応時間計算部が計算した反応変化率の一例を示す図である。図5の例では、反応時間計算部12が計算した短反応変化率および長反応変化率は、F_check=0.0407、S_check=0.0106である。
【0042】
ここで、基準データがF_base=0.0248およびS_base=0.0092であったとすると、負荷状態判定部15は、絶対値Abs(F_check−F_base)=0.0407−0.0248=0.0159≧0.01より、短い反応時間の反応分布が存在しないと判定する。また、負荷状態判定部15は、絶対値Abs(S_check−S_base)=0.0106−0.0092=0.0014≦0.01より、長い反応時間の反応分布が存在すると判定する。これにより、負荷状態判定部15は、グループBに対して業務負荷状態「高負荷」という判定を行い、判定結果をユーザ端末6の出力部62に送信する。
【0043】
なお、同じ時間スケールで行なわれるコミュニケーション(たとえば、同一フロアに勤務する同じ職場のユーザ同士の電話およびチャットのコミュニケーション)は統合してコミュニケーションログを作成してもよい。また、反応分布を示すグラフの反応時間の幅は、コミュニケーションツールによって変更する必要性がある。たとえば、携帯電話同士のショートメッセージおよびメールによるやり取りや、チャットでのやり取りや、Twitter(登録商標)における連続的な対話のコミュニケーションログを解析対象データとする場合、ユーザ側が情報を取りに行くのではなくユーザ端末に情報が配信される形式であるため、最短の反応時間の粒度は数分〜3分程度が妥当であると考えられる。このため、反応時間計算部12は、たとえば幅3分の反応時間のコミュニケーションログの数をプロットした反応分布を示すグラフを作成するとよい。
【0044】
図6は、大学生を対象に友人からの携帯メールに対する反応時間を測定したグラフを示す図である。大学生同士の携帯メールのやり取りは、最短の反応時間の粒度が小さいと考えられるため、幅2分の反応時間の携帯メールのコミュニケーションログの数をプロットしている。図6のグラフでは、短い反応時間の携帯メールのコミュニケーションログの数が非常に多く、大学生はコミュニケーションのタスク以外のタスクが少なく、ゆとりがあることが推測できる。
【0045】
図7は、実施の形態1に係る業務負荷判定の動作の一例を示すフローチャートである。まず、ユーザがユーザ端末6の入力部61に対象ユーザまたは対象グループと判定期間とを入力する。業務負荷判定装置1の対象データ抽出部11は、ユーザ端末6から対象ユーザまたは対象グループと判定期間とを示す情報を取得する(ステップS11)。対象データ抽出部11は、コミュニケーションログDB2に記憶されたコミュニケーションログから、対象ユーザまたは対象グループの判定期間のコミュニケーションログ(解析対象データ)を抽出する(ステップS12)。反応時間計算部12は、対象データ抽出部11が抽出した解析対象データに基づいて、他のユーザからのコミュニケーションツールを用いた働きかけに対して、対象ユーザまたは対象グループ内のユーザが応答をするまでの時間を反応時間として計算する(ステップS13)。次に、反応時間計算部12は、所定の幅の反応時間のコミュニケーションログの数をプロットした反応分布を示すグラフを作成し、反応変化率を計算する(ステップS14)。
【0046】
基準データ抽出部14は、基準データ記憶部13に記憶された一般的な基準データ、もしくは、対象ユーザまたは対象グループの基準データを抽出する(ステップS15)。負荷状態判定部15は、基準データ抽出部14が抽出した基準データと反応時間計算部12が計算した反応変化率とを比較することで(ステップS16)、対象ユーザまたは対象グループの判定期間の業務負荷状態を判定する(ステップS17)。負荷状態判定部15は、判定結果をユーザ端末6の出力部62に送信し(ステップS18)、処理を終了する。
【0047】
以上説明したように実施の形態1の業務負荷判定システム100によれば、ユーザの負担を増加させることなく、コミュニケーションのタイミングに基づいて、個人やグループの業務負荷状態を自動的に判定することができ、判定した業務負荷状態に基づいて業務を割り当てることで作業効率・品質の低下、ストレス・事故の増加などを防ぐことが期待できる。
【0048】
(実施の形態2)
図8は、本発明の実施の形態2に係る業務負荷判定システムの構成例を示すブロック図である。業務負荷判定システム200は、業務負荷判定システム100の業務負荷判定装置1の基準データ記憶部13に代えて作成用データ抽出部16を、基準データ抽出部14に代えて基準データ作成部17を備える。
【0049】
作成用データ抽出部16は、コミュニケーションログDB2が記憶するコミュニケーションログから、対象ユーザまたは対象グループの、他のユーザからコミュニケーション手段を介してあった働きかけに対して、対象ユーザまたは対象グループ内のユーザが行ったコミュニケーションの数ヶ月〜数年程度分のコミュニケーションログを、基準データを作成するための作成用データとして抽出する。基準データ作成部17は、作成用データ抽出部16が抽出した作成用データに基づいて反応時間を計算し、反応時間の変分に対するその反応時間における応答回数の変分を示す反応変化率を算出して対象ユーザまたは対象グループの基準データを作成する。なお、作成用データ抽出部16は、コミュニケーションログDB2から対象となるすべてのコミュニケーションログを作成用データとして抽出し、基準データ作成部17は、作成用データに基づいて、一般的な反応変化率を算出して基準データを作成してもよい。
【0050】
負荷状態判定部15は、基準作成部17が作成した基準データと反応期間計算部12が計算した反応変化率とを比較することで、対象ユーザまたは対象グループの業務負荷状態を判定し、判定結果をユーザ端末6の出力部62に送信する。
【0051】
以下に、基準データを作成する方法について説明する。基準データ作成部17は、数ヶ月〜数年程度の反応時間について、所定の幅の反応時間のコミュニケーションログの数をプロットした反応分布を示すグラフを作成し、2つの指数関数で近似できると仮定して近似曲線を算出し、反応変化率を計算する。この反応変化率を基準データとする。
【0052】
具体的な例として、ある部署の電子メールによるコミュニケーションログに基づいて業務負荷状態を判定することを考える。まず、作成用データ抽出部16は、該部署に所属するすべてのユーザの数ヶ月〜数年程度の電子メールによるコミュニケーションログをコミュニケーションログDB2から抽出する。電子メールのコミュニケーションの場合、通常メールソフトやユーザが電子メールサーバへアクセスすることによりメールの受信を行なう。このため、最短でも反応時間の粒度は数分〜10分程度が妥当であると考えられる。そこで、反応時間のビンの幅を10分とし、適切な最長時間を設定する。たとえばビンの幅の10倍(100分)を適切な最長時間として、反応時間10分〜100分の範囲を判定範囲とすればよい。
【0053】
基準データ作成部17は、作成用データ抽出部16が抽出した電子メールによるコミュニケーションログに基づいて、数ヶ月〜数年程度の判定範囲(10分〜100分)の反応時間について幅10分の反応時間の電子メールによるコミュニケーションログの数をプロットした反応分布を示すグラフを作成し、2つの指数関数で近似できると仮定して近似曲線を算出する。基準データ作成部17は、算出した近似曲線の反応変化率を基準データとする。以下に、近似曲線の反応変化率を抽出する方法を記す。
【0054】
第1に、反応分布を近似する関数を
F(t)=a×exp(−λt)+a×exp(−λt)
と仮定し、数ヶ月〜数年程度の判定範囲(10分〜100分)の反応時間のデータ列G(tk)との誤差が最も小さくなるa、a、λ、λを抽出する。なお、本発明では、a、a、λ、λの値も反応変化率と呼び、反応時間の短い領域の短反応変化率a、λおよび反応時間の長い領域の長反応変化率a、λを基準データとする。
【0055】
第2に、10分から100分の反応時間について、過去数ヶ月〜数年程度のコミュニケーションログを取得し、10分から閾値まで(短い反応時間)と閾値から100分まで(長い反応時間)を、それぞれ2つの指数関数として近似し、閾値より反応時間の短い領域の短反応変化率F_baseおよび閾値より反応時間の長い領域の長反応変化率S_baseを抽出し、基準データとする。閾値の設定は、たとえば、所定の値を出発点として反応分布を分割して2つの指数関数を算出し、2つの指数関数の交点をまた分割点として近似する指数関数の算出を繰り返し、交点の変化が所定の範囲に収束した値を閾値として設定するとよい。この場合、出発点の値は、たとえば判定範囲の半分の値(50分)や、反応時間の一般的特長を示す近似曲線における2つの近似した指数関数の交点とする。
【0056】
あるいは、反応分布をクラスター分析する。たとえば、反応時間軸で隣り合う2つの点の傾きを算出し、この傾きを縦軸に反応時間を横軸にしたグラフを作成すると、反応時間の短いグループと、反応時間の長いグループの2つのグループに分かれる。元の反応分布でこのグループ分けを行い、それぞれのグループに該当する点の分布を指数関数で近似してF_baseおよびS_baseを抽出し、基準データとしてもよい。
【0057】
対象データ抽出部11は、コミュニケーションログDB2に記憶されたコミュニケーションログから、該部署に所属するすべてのユーザの判定期間のコミュニケーションログ(解析対象データ)を抽出する。
【0058】
反応時間計算部12は、解析対象データに基づいて反応時間を計算し、判定期間の判定範囲(10分〜100分)の反応時間について、幅10分の反応時間の電子メールによるコミュニケーションログの数をプロットした反応分布を示すグラフを作成する。基準データがa、a、λ、λである場合には、反応時間計算部12は、第1の方法と同様に、対象ユーザまたは対象グループの判定期間の判定範囲(10分〜100分)の反応分布を近似する関数を
f(t)=b×exp(−λt)+b×exp(−λt)
と仮定し、判定範囲(10分〜100分)の反応時間のデータ列g(tk)との誤差範囲が最も小さくなるb、b、λ、λを抽出する。なお、本発明では、b、b、λ、λの値も反応変化率と呼ぶ。
【0059】
基準データがF_baseおよびS_baseである場合には、反応時間計算部12は、第2の方法と同様に、対象ユーザまたは対象グループの判定期間の判定範囲(10分〜100分)の反応時間について、10分から閾値まで(短い反応時間)と閾値から100分まで(長い反応時間)を、それぞれ2つの指数関数として近似し、閾値より反応時間の短い領域の短反応変化率F_checkおよび閾値より反応時間の長い領域の長反応変化率S_checkを抽出する。
【0060】
負荷状態判定部15は、基準データがa、a、λ、λである場合には、a、a、λ、λと、b、b、λ、λとを比較して対象ユーザまたは対象グループの業務負荷状態を判定する。基準データがF_baseおよびS_baseである場合には、F_baseおよびS_baseと、F_checkおよびS_checkとを比較して該部署の業務負荷状態を判定する。
【0061】
図9は、第2の抽出方法を用いて反応変化率を抽出した解析結果の一例を示す図である。図9の例では、反応時間計算部12が、過去数ヶ月〜数年程度の電子メールによるコミュニケーションログに基づいて反応時間を計算し、幅10分の反応時間の電子メールによるコミュニケーションログの数をプロットした反応分布を示すグラフを作成する。10分から50分(閾値)までと50分(閾値)から100分までを、それぞれ2つの指数関数として近似した結果、F_base=0.0248、S_base=0.0092を基準データとして算出した。実施の形態1と同様に、負荷状態判定部15は、絶対値Abs(F_check−F_base)が0.01以下であった場合、すなわち、F_checkの値が0.0148〜0.0348の間であった場合、短い反応時間の反応分布が存在すると判定する。一方、絶対値Abs(S_check−S_base)が0.01以下であった場合、すなわち、S_checkの値が−0.0008〜0.0192の間であった場合、長い反応時間の反応分布が存在すると判定する。負荷状態判定部15は、両方の反応分布が存在すると業務負荷状態「適正」、短い反応時間の反応分布のみ存在すると業務負荷状態「ゆとりあり」、長い反応時間のみ存在すると業務負荷状態「高負荷」という判定を行い、判定結果をユーザ端末6の出力部62に送信する。
【0062】
図10は、実施の形態2に係る業務負荷判定の動作の一例を示すフローチャートである。まず、ユーザがユーザ端末6の入力部61に対象ユーザまたは対象グループと判定期間を入力する。業務負荷判定装置1の対象データ抽出部11は、ユーザ端末6から対象ユーザまたは対象グループと判定期間を示す情報を取得する(ステップS21)。対象データ抽出部11は、コミュニケーションログDB2に記憶されたコミュニケーションログから、対象ユーザまたは対象グループの判定期間のコミュニケーションログ(解析対象データ)を抽出する(ステップS22)。反応時間計算部12は、対象データ抽出部11が抽出した解析対象データに基づいて、他のユーザからのコミュニケーションツールを用いた働きかけに対して、対象ユーザまたは対象グループ内のユーザが応答をするまでの時間を反応時間として計算する(ステップS23)。次に、反応時間計算部12は、反応分布から、反応変化率を計算する(ステップS24)。
【0063】
作成用データ抽出部16は、コミュニケーションログDB2に記憶された、対象ユーザまたは対象グループの基準データの作成用データを抽出する(ステップS25)。基準データ作成部17は、作成用データ抽出部16が抽出した作成用データに基づいて反応時間を算出し、反応分布から反応変化率を計算して対象ユーザまたは対象グループの基準データを作成する(ステップS26)。負荷状態判定部15は、基準データ作成部17が作成した基準データと反応時間計算部12が計算した反応変化率とを比較することで(ステップS27)、対象ユーザまたは対象グループの業務負荷状態を判定する(ステップS28)。負荷状態判定部15は、判定結果をユーザ端末6の出力部62に送信し(ステップS29)、処理を終了する。
【0064】
以上説明したように実施の形態2の業務負荷判定システム200によれば、基準データを記憶する基準データ記憶部13が不要となる。また、業務負荷を判定するごとに対象ユーザまたは対象グループの基準データを作成するので、コミュニケーションログDB2が更新されることで基準データも更新され、業務負荷判定の精度を上げることができる。
【0065】
上述の実施の形態では、負荷状態判定部15は、反応時間計算部12が計算した反応変化率と基準データ抽出部14が抽出した基準データまたは基準データ作成部17が作成した基準データとの差の絶対値が所定の値以下であるか否かで、短い反応時間の反応分布および/または長い反応時間の反応分布が存在するか否かを判定する。しかし、本発明はこれに限られず、反応時間計算部12が計算した反応変化率と基準データとの比較方法は、短い反応時間の反応分布および/または長い反応時間の反応分布が存在するか否かを判定できれば、他の比較方法でもよい。
【0066】
図11は、本発明の実施の形態に係る業務負荷判定装置のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。業務負荷判定装置1は、図11に示すように、制御部31、主記憶部32、外部記憶部33、操作部34、表示部35、入出力部36および送受信部37を備える。主記憶部32、外部記憶部33、操作部34、表示部35、入出力部36および送受信部37はいずれも内部バス30を介して制御部31に接続されている。
【0067】
制御部31はCPU(Central Processing Unit)等から構成され、外部記憶部33に記憶されている制御プログラム39に従って、業務負荷判定装置1の対象データ抽出部11、反応時間計算部12、基準データ抽出部14、負荷状態判定部15、作成用データ抽出部16および基準データ作成部17の各処理を実行する。
【0068】
主記憶部32はRAM(Random-Access Memory)等から構成され、外部記憶部33に記憶されている制御プログラム39をロードし、制御部31の作業領域として用いられる。
【0069】
外部記憶部33は、フラッシュメモリ、ハードディスク、DVD−RAM(Digital Versatile Disc Random-Access Memory)、DVD−RW(Digital Versatile Disc ReWritable)等の不揮発性メモリから構成され、業務負荷判定装置1の処理を制御部31に行わせるためのプログラムをあらかじめ記憶し、また、制御部31の指示に従って、このプログラムが記憶するデータを制御部31に供給し、制御部31から供給されたデータを記憶する。基準データ記憶部13は、外部記憶部33に構成される。図1または図8のコミュニケーションログDB2が業務負荷判定装置1に含まれる構成では、コミュニケーションログDB2は、外部記憶部33に構成される場合がある。
【0070】
操作部34はキーボードおよびマウスなどのポインティングデバイス等と、キーボードおよびポインティングデバイス等を内部バス30に接続するインタフェース装置から構成されている。基準データや判定範囲などを設定する場合は、操作部34を介して、指示が制御部31に供給される。図1または図8のユーザ端末6が業務負荷判定装置1に含まれる構成では、操作部34が入力部61の場合がある。
【0071】
表示部35は、CRT(Cathode Ray Tube)またはLCD(Liquid Crystal Display)などから構成され、基準データや判定範囲などを設定する場合は、操作画面を表示する。図1または図8のユーザ端末6が業務負荷判定装置1に含まれる構成では、表示部35が出力部62の場合がある。
【0072】
入出力部36は、シリアルインタフェースまたはパラレルインタフェースから構成されている。入出力部36は、ユーザ端末6やコミュニケーションログDB2が附属する装置の場合は、それと接続する。
【0073】
送受信部37は、ネットワークに接続する網終端装置または無線通信装置、およびそれらと接続するシリアルインタフェースまたはLAN(Local Area Network)インタフェースから構成されている。送受信部37は、ネットワークを介して、ユーザ端末6およびコミュニケーションログDB2に接続する。
【0074】
図1または図8に示す業務負荷判定装置1の対象データ抽出部11、反応時間計算部12、基準データ抽出部14、負荷状態判定部15、作成用データ抽出部16および基準データ作成部17の処理は、制御プログラム39が、制御部31、主記憶部32、外部記憶部33、操作部34、表示部35、入出力部36および送受信部37などを資源として用いて処理することによって実行する。
【0075】
上記の実施形態の一部または全部は、以下の請求項のようにも記載されうるが、以下には限られない。
【0076】
(付記1)
判定期間と対象ユーザまたは対象グループとを示す情報を取得する判定対象取得手段と、
コミュニケーションツールを用いたユーザ同士のやり取りを示すコミュニケーションログを記憶するコミュニケーションログデータベースから、前記判定期間の前記対象ユーザまたは前記対象グループの前記コミュニケーションログを解析対象データとして抽出する対象データ抽出手段と、
前記解析対象データに基づいて、前記対象ユーザまたは対象グループ内のユーザが他のユーザからの働きかけに対して応答を行うまでの反応時間を算出し、前記反応時間の変分に対するその反応時間における応答回数の変分を示す反応変化率を計算する反応時間計算手段と、
一般的な前記反応変化率、もしくは、前記対象ユーザまたは前記対象グループの統計的な前記反応変化率を示す基準データを取得する基準データ取得手段と、
前記反応時間計算手段が計算した前記反応変化率と、前記基準データ抽出手段が抽出した前記基準データとを比較し、前記判定期間の前記対象ユーザまたは前記対象グループの業務負荷状態を判定する負荷状態判定手段と、
前記負荷状態判定手段が判定した判定結果を提示する提示手段と、
を備えることを特徴とする業務負荷判定装置。
【0077】
(付記2)
前記反応時間計算手段は、前記判定期間の前記対象ユーザまたは前記対象グループの前記コミュニケーションログに基づいて前記反応時間を算出して前記反応時間ごとの応答回数の分布を作成し、所定の値より前記反応時間の短い領域の短反応変化率と、前記反応時間の長い領域の長反応変化率とを計算することを特徴とする付記1に記載の業務負荷判定装置。
【0078】
(付記3)
前記基準データは、所定の値より前記反応時間の短い領域の短反応変化率と、前記反応時間の長い領域の長反応変化率との2種類のデータを含み、
前記負荷状態判定手段は、前記基準データの前記短反応変化率と前記反応時間計算手段が計算した前記短反応変化率との誤差が所定の範囲内であった場合、短い反応時間領域の応答回数の分布が存在すると判定し、前記基準データの前記長反応変化率と前記反応時間計算手段が計算した前記長反応変化率との誤差が所定の範囲内であった場合、長い反応時間領域の応答回数の分布が存在すると判定し、両方の分布が存在すると業務負荷状態が「適正」、前記短い反応時間領域の応答回数の分布のみが存在すると業務負荷状態が「ゆとりあり」、前記長い反応時間領域の応答回数の分布のみが存在すると業務負荷状態が「高負荷」と規定し、前記判定期間の前記対象ユーザまたは前記対象グループの業務負荷状態を判定することを特徴とする付記1または2に記載の業務負荷判定装置。
【0079】
(付記4)
前記基準データ取得手段は、前記コミュニケーションログデータベースが記憶する前記コミュニケーションログに基づいて、前記基準データを作成する基準データ作成手段を含むことを特徴とする付記1ないし3のいずれかに記載の業務負荷判定装置。
【0080】
(付記5)
前記基準データ作成手段は、所定の期間の前記コミュニケーションログに基づいて前記反応時間を算出して前記反応時間ごとの応答回数の分布を作成し、前記所定の値より前記反応時間の短い領域の短反応変化率と、前記反応時間の長い領域の長反応変化率とを計算し、算出した前記短反応変化率および前記長反応変化率を前記基準データとすることを特徴とする付記4に記載の業務負荷判定装置。
【0081】
(付記6)
コミュニケーションツールを用いたユーザ同士のやり取りを示すコミュニケーションログを記憶するコミュニケーションログデータベースと、
判定期間と対象ユーザまたは対象グループとの入力を受け付ける入力手段と、
業務負荷判定装置から受信した情報を出力する出力手段と、
を含むユーザ端末と、
前記ユーザ端末から前記判定期間と前記対象ユーザまたは前記対象グループとを示す情報を取得する判定対象取得手段と、
前記コミュニケーションログデータベースから前記判定期間の前記対象ユーザまたは前記対象グループの前記コミュニケーションログを解析対象データとして抽出する対象データ抽出手段と、
前記解析対象データに基づいて、前記対象ユーザまたは対象グループ内のユーザが他のユーザからの働きかけに対して応答を行うまでの反応時間を算出し、前記反応時間の変分に対するその反応時間における応答回数の変分を示す反応変化率を計算する反応時間計算手段と、
一般的な前記反応変化率、もしくは、前記対象ユーザまたは前記対象グループの統計的な前記反応変化率を示す基準データを取得する基準データ取得手段と、
前記反応時間計算手段が計算した前記反応変化率と、前記基準データ抽出手段が抽出した前記基準データとを比較し、前記判定期間の前記対象ユーザまたは前記対象グループの業務負荷状態を判定する負荷状態判定手段と、
前記負荷状態判定手段が判定した判定結果を前記ユーザ端末に送信する送信手段と、
を含む前記業務負荷判定装置と、
を備えることを特徴とする業務負荷判定システム。
【0082】
(付記7)
ユーザ端末が実行する
判定期間と対象ユーザまたは対象グループとの入力を受け付ける入力ステップと、
業務負荷判定装置が実行する
前記ユーザ端末から前記判定期間と前記対象ユーザまたは前記対象グループとを示す情報を取得する判定対象取得ステップと、
コミュニケーションツールを用いたユーザ同士のやり取りを示すコミュニケーションログを記憶するコミュニケーションログデータベースから、前記判定期間の前記対象ユーザまたは前記対象グループの前記コミュニケーションログを解析対象データとして抽出する対象データ抽出ステップと、
前記解析対象データに基づいて、前記対象ユーザまたは対象グループ内のユーザが他のユーザからの働きかけに対して応答を行うまでの反応時間を算出し、前記反応時間の変分に対するその反応時間における応答回数の変分を示す反応変化率を計算する反応時間計算ステップと、
一般的な前記反応変化率、もしくは、前記対象ユーザまたは前記対象グループの統計的な前記反応変化率を示す基準データを取得する基準データ取得ステップと、
前記反応時間計算ステップで計算した前記反応変化率と、前記基準データ抽出ステップで抽出した前記基準データとを比較し、前記判定期間の前記対象ユーザまたは前記対象グループの業務負荷状態を判定する負荷状態判定ステップと、
前記負荷状態判定ステップで判定した判定結果を前記ユーザ端末に送信する送信ステップと、
前記ユーザ端末が実行する
前記業務負荷判定装置から受信した判定結果を出力する出力ステップと、
を備えることを特徴とする業務負荷判定方法。
【0083】
(付記8)
前記反応時間計算ステップでは、前記判定期間の前記対象ユーザまたは前記対象グループの前記コミュニケーションログに基づいて前記反応時間を算出して前記反応時間ごとの応答回数の分布を作成し、所定の値より前記反応時間の短い領域の短反応変化率と、前記反応時間の長い領域の長反応変化率とを計算することを特徴とする付記7に記載の業務負荷判定方法。
【0084】
(付記9)
前記基準データは、所定の値より前記反応時間の短い領域の短反応変化率と、前記反応時間の長い領域の長反応変化率との2種類のデータを含み、
前記負荷状態判定ステップでは、前記基準データの前記短反応変化率と前記反応時間計算ステップで計算した前記短反応変化率との誤差が所定の範囲内であった場合、短い反応時間領域の応答回数の分布が存在すると判定し、前記基準データの前記長反応変化率と前記反応時間計算ステップで計算した前記長反応変化率との誤差が所定の範囲内であった場合、長い反応時間領域の応答回数の分布が存在すると判定し、両方の分布が存在すると業務負荷状態が「適正」、前記短い反応時間領域の応答回数の分布のみが存在すると業務負荷状態が「ゆとりあり」、前記長い反応時間領域の応答回数の分布のみが存在すると業務負荷状態が「高負荷」と規定し、前記判定期間の前記対象ユーザまたは前記対象グループの業務負荷状態を判定することを特徴とする付記7または8に記載の業務負荷判定方法。
【0085】
(付記10)
前記基準データ取得ステップは、前記コミュニケーションログデータベースが記憶する前記コミュニケーションログに基づいて、前記基準データを作成する基準データ作成ステップを含むことを特徴とする付記7ないし9のいずれかに記載の業務負荷判定方法。
【0086】
(付記11)
前記基準データ作成ステップでは、所定の期間の前記コミュニケーションログに基づいて前記反応時間を算出して前記反応時間ごとの応答回数の分布を作成し、前記所定の値より前記反応時間の短い領域の短反応変化率と、前記反応時間の長い領域の長反応変化率とを計算し、算出した前記短反応変化率および前記長反応変化率を前記基準データとすることを特徴とする付記10に記載の業務負荷判定方法。
【0087】
(付記12)
コンピュータに、
判定期間と対象ユーザまたは対象グループとを示す情報を取得する判定対象取得手段と、
コミュニケーションツールを用いたユーザ同士のやり取りを示すコミュニケーションログを記憶するコミュニケーションログデータベースから、前記判定期間の前記対象ユーザまたは前記対象グループの前記コミュニケーションログを解析対象データとして抽出する対象データ抽出手段と、
前記解析対象データに基づいて、前記対象ユーザまたは対象グループ内のユーザが他のユーザからの働きかけに対して応答を行うまでの反応時間を算出し、前記反応時間の変分に対するその反応時間における応答回数の変分を示す反応変化率を計算する反応時間計算手段と、
一般的な前記反応変化率、もしくは、前記対象ユーザまたは前記対象グループの統計的な前記反応変化率を示す基準データを取得する基準データ取得手段と、
前記反応時間計算手段が計算した前記反応変化率と、前記基準データ抽出手段が抽出した前記基準データとを比較し、前記判定期間の前記対象ユーザまたは前記対象グループの業務負荷状態を判定する負荷状態判定手段と、
前記負荷状態判定手段が判定した判定結果を提示する提示手段と、
を実行させることを特徴とするプログラム。
【符号の説明】
【0088】
1 業務負荷判定装置
2 コミュニケーションログDB
6 ユーザ端末
11 対象データ抽出部
12 反応時間計算部
13 基準データ記憶部
14 基準データ抽出部
15 負荷状態判定部
16 作成用データ抽出部
17 基準データ作成部
21 コミュニケーションツール群
22 生データ記憶部群
23 ログ抽出部群
31 制御部
32 主記憶部
33 外部記憶部
34 操作部
35 表示部
36 入出力部
27 送受信部
39 制御プログラム
100、200 業務負荷判定システム
図1
図2
図3
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