(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第1変形部、前記第2変形部、及び前記第3変形部がシャフト状に一体に設けられ、前記第2変形部の外径寸法が前記第1変形部の外径寸法に比して大きく設定されると共に前記第3変形部の外径寸法が前記第2変形部の外径寸法に比して大きく設定された請求項2に記載のウェビング巻取装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、このシートベルト装置では、第2ポール、可動ラッチング、凹リング、線材がボビンの軸方向外側に配置されているため、シートベルト装置がボビン軸方向に大型化するという問題がある。
【0007】
本発明は、上記事実を考慮し、巻取軸の軸方向における大型化を抑制しつつ、フォースリミッタ荷重の荷重値を段階的に上げることができるウェビング巻取装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1に記載のウェビング巻取装置は、乗員拘束用のウェビングが引出されることで引出方向へ回転される巻取軸と、前記巻取軸の軸方向一端側に設けられ、車両急減速時及び前記巻取軸が急激に引出方向へ回転した時の少なくも一方の時に前記巻取軸の前記引出方向への回転を阻止させるロック機構と、前記巻取軸の径方向内側に前記巻取軸に対して同軸上に設けられ、軸方向一端側で前記ロック機構に連結されたロック機構連結部と軸方向他端側で前記巻取軸と一体回転可能に連結された巻取軸連結部とを有すると共に、前記ロック機構連結部と前記巻取軸連結部との間に係合部を有し、前記係合部より軸方向一端側の部分の機械的強度が前記係合部より軸方向他端側の部分の機械的強度に比して大きく設定されたエネルギー吸収部材と、前記巻取軸に設けられ、前記係合部に対して接離可能に構成され、前記係合部に係合することで前記巻取軸の引出方向の回転を前記エネルギー吸収部材に伝達する回転伝達部と、前記巻取軸内に設けられると共に、ウェイト部を含んで構成され、前記巻取軸が第1速度以上で引出方向へ回転することで
遠心力によって前記巻取軸の径方向外側へ回動されて前記回転伝達部を
前記巻取軸の径方向内側へ回動させ且つ前記係合部に係合させる速度検出部と、を備えている。
【0009】
請求項1に記載のウェビング巻取装置では、エネルギー吸収部材の軸方向一端側にロック機構連結部が設けられており、ロック機構連結部にはロック機構が連結されている。また、エネルギー吸収部材の軸方向他端側には、巻取軸連結部が設けられており、巻取軸連結部には、巻取軸がエネルギー吸収部材と一体回転可能に連結されている。これにより、巻取軸がエネルギー吸収部材を介してロック機構と連結されている。エネルギー吸収部材は、ロック機構連結部と巻取軸連結部との間において、係合部を有しており、係合部より軸方向一端側の部分の機械的強度が、係合部より軸方向他端側の部分の機械的強度に比して大きく設定されている。
【0010】
ウェビングが急激に引出されて巻取軸が引出方向へ急激に回転した時や車両の急減速時には、ロック機構によって巻取軸の引出方向への回転が阻止される。このため、エネルギー吸収部材の回転もロック機構によって阻止される。これにより、乗員の慣性エネルギーによってウェビング及び巻取軸を介してエネルギー吸収部材に捩れ荷重が付与される。この捩れ荷重が、エネルギー吸収部材の係合部より軸方向他端側の部分の機械的強度より大きい場合には、エネルギー吸収部材が、主に係合部と巻取軸連結部との間において捩られる。したがって、エネルギー吸収部材の捩れ荷重がフォースリミッタ荷重としてウェビングに作用すると共に、巻取軸が引出方向へ回転して、乗員に作用するエネルギーを吸収できる。
【0011】
また、巻取軸が第1速度以上で引出方向へ回転する際には、速度検出部が
、遠心力によって巻取軸の径方向外側へ回動されて、回転伝達部を巻取軸の径方向内側へ回動させ且つ係合部に係合させる。これにより、回転伝達部が巻取軸の引出方向への回転をエネルギー吸収部材に伝達するため、巻取軸の引出方向への回転力が、エネルギー吸収部材の係合部より軸方向一端側の部分を介してロック機構に伝達される。この際に、乗員の慣性エネルギーによってウェビング及び巻取軸を介してエネルギー吸収部材に付与される捩れ荷重が、エネルギー吸収部材の係合部より軸方向一端側の部分の機械的強度より大きい場合には、エネルギー吸収部材が、係合部とロック機構連結部との間において捩られる。このため、エネルギー吸収部材の捩れ荷重がフォースリミッタ荷重としてウェビングに作用すると共に、巻取軸が引出方向へ回転して、乗員に作用するエネルギーを吸収できる。この際には、エネルギー吸収部材の係合部より軸方向一端側の部分の機械的強度が、エネルギー吸収部材の係合部より軸方向他端側の部分の機械的強度に比して大きく設定されているため、ウェビングに付加されるフォースリミッタ荷重が大きくなる。これにより、巻取軸の引出方向の回転速度に応じて、フォースリミッタ荷重の荷重値を段階的に上げることができる。
【0012】
ここで、
ウェイト部を含んで構成された速度検出部が巻取軸内に設けられており、巻取軸の径方向内側に設けられたエネルギー吸収部材の係合部に回転伝達部が係合される。このた
め、巻取軸の回転速度に応じて速度検出部が回転伝達部を係合部に係合させることができる。
【0013】
請求項2に記載のウェビング巻取装置は、請求項1に記載のウェビング巻取装置において、前記係合部は、第1係合部と、前記第1係合部と前記ロック機構連結部との間に配置された第2係合部と、を有し、前記回転伝達部は、前記第1係合部に係合する第1回転伝達部と、前記第2係合部に係合する第2回転伝達部と、を有し、前記速度検出部は、前記巻取軸が前記第1速度以上で引出方向へ回転することで前記第1回転伝達部を前記第1係合部に係合させる第1速度検出部と、前記巻取軸が前記第1速度より速い第2速度以上で引出方向へ回転することで前記第2回転伝達部を前記第2係合部に係合させる第2速度検出部と、を有し、前記エネルギー吸収部材は、前記巻取軸連結部と前記第1係合部との間に設けられた第1変形部と、前記第1係合部と前記第2係合部との間に設けられた第2変形部と、前記第2係合部と前記ロック機構連結部との間に設けられた第3変形部と、を有し、前記第2変形部の機械的強度が前記第1変形部の機械的強度に比して高く設定されると共に前記第3変形部の機械的強度が前記第2変形部の機械的強度に比して高く設定されている。
【0014】
請求項2に記載のウェビング巻取装置では、第1変形部の機械的強度が第2変形部及び第3変形部の機械的強度に比して低く設定されている。このため、ウェビングが急激に引出されて巻取軸が引出方向へ急激に回転した時や車両の急減速時に、ロック機構によって巻取軸の引出方向への回転が阻止されて、エネルギー吸収部材に付与される捩れ荷重が、第1変形部の機械的強度より大きい場合には、主に第1変形部が捩られる。これにより、第1変形部の捩れ変形に伴うフォースリミッタ荷重がウェビングに付加されると共に、巻取軸が引出方向へ回転して、乗員に作用するエネルギーを吸収できる。
【0015】
また、巻取軸が第1速度以上で引出方向へ回転する際には、第1速度検出部が第1回転伝達部を第1係合部に係合させる。これにより、第1回転伝達部が巻取軸の引出方向の回転をエネルギー吸収部材に伝達するため、巻取軸の引出方向の回転力が第2変形部及び第3変形部を介してロック機構に伝達される。この状態で、エネルギー吸収部材に付与される捩れ荷重が、第2変形部の機械的強度より大きい場合には、第2変形部の機械的強度が第3変形部の機械的強度に比して低いため、主に第2変形部が捩られる。これにより、第2変形部の捩れ変形に伴うフォースリミッタ荷重がウェビングに付加される。この際には、第2変形部の機械的強度が第1変形部の機械的強度に比して大きく設定されているため、フォースリミッタ荷重を大きくできる。
【0016】
さらに、巻取軸が第1速度より速い第2速度以上で引出方向へ回転する際には、第2速度検出部が第2回転伝達部を第2係合部に係合させる。これにより、第2回転伝達部が巻取軸の引出方向の回転をエネルギー吸収部材に伝達するため、巻取軸の引出方向の回転力が第3変形部を介してロック機構に伝達される。この状態で、エネルギー吸収部材に付与される捩れ荷重が、第3変形部の機械的強度より大きい場合には、第3変形部が捩られる。これにより、第3変形部の捩れ変形に伴うフォースリミッタ荷重がウェビングに付加される。この際には、第3変形部の機械的強度が第2変形部の機械的強度に比して大きく設定されているため、フォースリミッタ荷重をさらに大きくできる。以上により、巻取軸の引出方向の回転速度に応じて、フォースリミッタ荷重の荷重値を3段階に設定できる。
【0017】
請求項3に記載のウェビング巻取装置は、請求項2に記載のウェビング巻取装置において、前記第1変形部、前記第2変形部、及び前記第3変形部がシャフト状に一体に設けられ、前記第2変形部の外径寸法が前記第1変形部の外径寸法に比して大きく設定されると共に前記第3変形部の外径寸法が前記第2変形部の外径寸法に比して大きく設定されている。
【0018】
請求項3に記載のウェビング巻取装置では、第1変形部、第2変形部、及び第3変形部が、一体に設けられており、それぞれの外径寸法が、第1変形部、第2変形部、第3変形部の順に大きく設定されている。このため、第1変形部、第2変形部、及び第3変形部の外径寸法をそれぞれ設定することで、第1変形部、第2変形部、及び第3変形部のそれぞれの機械的強度を容易に設定できる。
【0019】
請求項4に記載のウェビング巻取装置は、請求項1〜請求項3の何れか一項に記載のウェビング巻取装置において、前記回転伝達部と前記速度検出部とが一体に設けられている。
【0020】
請求項4に記載のウェビング巻取装置では、回転伝達部と前記速度検出部とが一体に設けられているため、部品点数の増加を抑制できる。
【発明の効果】
【0021】
請求項1に記載のウェビング巻取装置によれば、巻取軸の軸方向におけるウェビング巻取装置の大型化を抑制しつつ、フォースリミッタ荷重を段階的に上げることができる。
【0022】
請求項2に記載のウェビング巻取装置によれば、フォースリミッタ荷重の荷重値の設定自由度を向上できる。
【0023】
請求項3に記載のウェビング巻取装置によれば、フォースリミッタ荷重の荷重値を容易に設定できる。
【0024】
請求項4に記載のウェビング巻取装置によれば、部品点数の増加を抑制でき、コストアップを抑制できる。
【発明を実施するための形態】
【0026】
図1には、本発明の実施の形態に係るウェビング巻取装置10が車幅方向外側かつ車両前後方向一側から見た分解斜視図にて示されており、なお、図面では、車幅方向外側を矢印OUTで示し、車両前後方向一側を矢印LOで示し、上方を矢印UPで示す。
【0027】
この図に示すように、本実施の形態に係るウェビング巻取装置10には、平断面視で略U字形に形成されたフレーム12が設けられている。フレーム12には、車幅方向内側の背板12Aと、車両前後方向一側の脚板12Bと、車両前後方向他側の脚板12Cと、が設けられている。フレーム12は、背板12Aにおいて、車両に固定されており、これにより、ウェビング巻取装置10が車両に設置されている。
【0028】
脚板12B及び脚板12Cには、それぞれ略円形状の配置孔14及び配置孔16が同軸上に貫通形成されており、配置孔14と配置孔16とは、互いに対向されている。フレーム12の脚板12B(配置孔14)と脚板12C(配置孔16)との間には、略円筒状のスプール20が設けられており、スプール20には、長尺帯状のウェビング22が基端側から巻取られている。スプール20が巻取方向(
図1の矢印A方向)へ回転されることで、ウェビング22がスプール20に巻取られると共に、ウェビング22がスプール20から引出されることで、スプール20が引出方向(
図1の矢印B方向)へ回転される。
【0029】
図2、
図3(A)及び(B)に示すように、スプール20の径方向内側(筒内)には、後述する第1パウル64及び第1トーションスプリング72を収容する第1収容部24が設けられている。第1収容部24には、底面24Aが設けられており、底面24Aはスプール20の軸線方向に対して直交する方向に配置されている。第1収容部24には、スプール20の軸線方向一側(
図2の矢印C側)から見て、断面略半円形状の第1支持部26が設けられると共に、第1支持部26の上方において、第1凹部28が設けられている。また、第1収容部24には、第1支持部26の第1凹部28とは反対側において、断面略半円状の第1当接部30が設けられており、第1当接部30はスプール20の径方向内側へ突出されている。さらに、第1収容部24には、下方において、略矩形柱状の第1係止部32が設けられており、第1係止部32は底面24Aからスプール20の軸線方向一側に向けて突出されている。
【0030】
図2、
図4(A)及び(B)に示すように、スプール20の径方向内側(筒内)には、後述する第2パウル74及び第2トーションスプリング82を収容する第2収容部34が設けられている。第2収容部34には、底面34Aが設けられており、底面34Aはスプール20の軸線方向に対して直交する方向に配置されている。第2収容部34には、スプール20の軸線方向一側から見て、断面略半円形状の第2支持部36が設けられると共に、第2支持部36の上方において、第2凹部38が設けられている。また、第2収容部34には、第2支持部36の第2凹部38とは反対側において、断面略半円状の第2当接部40が設けられており、第2当接部40はスプール20の径方向内側へ突出されている。さらに、第2収容部34には、下方において、略矩形柱状の第2係止部42が設けられており、第2係止部42は底面34Aからスプール20の軸線方向一側に向けて突出されている。
【0031】
図1及び
図2に示すように、スプール20の径方向内側(筒内)には、フォースリミッタ機構を構成するエネルギー吸収部材としての略シャフト状のトーションバー44が同軸上に挿入されている。トーションバー44の軸方向一端部(
図2の矢印C方向の端部)には、略円柱状の支軸部46が設けられており、支軸部46は、スプール20の軸方向一端部から突出して、フレーム12の脚板12Bに取付けられた図示しない支持部材によって回転可能に支持されている。
【0032】
トーションバー44の軸方向他端部(
図2の矢印D方向の端部)には、巻取軸連結部としてのスプライン状の歯48が設けられている。歯48はスプール20の脚板12C側の端部に嵌合すると共に、スクリュー50によって抜け止めされている。これにより、トーションバー44の軸方向他端部がスプール20に相対回転不能に固定(連結)されており、トーションバー44はスプール20と一体に回転可能に構成されている。また、トーションバー44の支軸部46の軸方向他側(
図2の矢印D方向側)には、ロック機構連結部としてのスプライン状の歯52が一体に設けられており、歯52は後述するロックギヤ84に相対回転不能に固定(連結)されている。また、歯52には、トーションバー44の軸方向一側において、円板状のフランジ52Aが一体に形成されている。
【0033】
トーションバー44の歯48と歯52との間には、第1係合部としての略円柱状の第1ギヤ部54が設けられている。第1ギヤ部54は支軸部46と同軸上に配置されており、第1ギヤ部54の外周全体には外歯54Aが形成されている。また、トーションバー44の第1ギヤ部54と歯52との間には、第2係合部としての略円柱状の第2ギヤ部56が設けられている。第2ギヤ部56は第1ギヤ部54と同軸上に配置されており、第2ギヤ部56の外周全体には外歯56Aが形成されている。
【0034】
トーションバー44の歯48と第1ギヤ部54との間には、第1変形部としてのシャフト状の第1捩れ変形部58が掛け渡されており、第1捩れ変形部58は、支軸部46と同軸上に配置されて、歯48及び第1ギヤ部54と一体に設けられている。第1捩れ変形部58は、所定値以上の捩れ荷重を付与されることで捩れ変形可能に構成されている。
【0035】
トーションバー44の第1ギヤ部54と第2ギヤ部56との間には、第2変形部としてのシャフト状の第2捩れ変形部60が掛け渡されており、第2捩れ変形部60は第1ギヤ部54及び第2ギヤ部56と一体に設けられている。また、第2捩れ変形部60は第1捩れ変形部58と同軸上に配置されており、第2捩れ変形部60の外径寸法が、第1捩れ変形部58の外径寸法に比して大きく設定されている。これにより、第2捩れ変形部60の機械的強度が第1捩れ変形部58の機械的強度に比して大きく設定されている。したがって、第1捩れ変形部58が捩れ変形する荷重より大きい捩れ荷重が、第2捩れ変形部60に付与されることで、第2捩れ変形部60が捩れ変形可能に構成されている。
【0036】
トーションバー44の第2ギヤ部56と歯52との間には、第3変形部としてのシャフト状の第3捩れ変形部62が掛け渡されており、第3捩れ変形部62は第2ギヤ部56及び歯52と一体に設けられている。また、第3捩れ変形部62は第2捩れ変形部60と同軸上に配置されており、第3捩れ変形部62の外径寸法が、第2捩れ変形部60の外径寸法に比して大きく設定されている。これにより、第3捩れ変形部62の機械的強度が第2捩れ変形部60の機械的強度に比して大きく設定されている。したがって、第2捩れ変形部60が捩れ変形する荷重より大きい捩れ荷重が、第3捩れ変形部62に付与されることで、第3捩れ変形部62が捩れ変形可能に構成されている。
【0037】
図3(A)及び(B)に示すように、スプール20の第1収容部24には、第1回転伝達部としての略C字形板状の第1パウル64が設けられている。第1パウル64の略中央部には断面略半円状の第1軸部66が設けられており、第1軸部66は、スプール20の第1支持部26内に配置されて、第1支持部26に回動可能に支持されている。
【0038】
第1パウル64の一端部には、第1速度検出部としての断面略矩形状の第1ウェイト部68が一体に設けられており、第1ウェイト部68はスプール20の第1凹部28内に配置されている。第1パウル64の他端部には、第1係合歯70が設けられており、第1係合歯70は前述したトーションバー44の第1ギヤ部54の外歯54Aに対応している。
【0039】
第1収容部24には、第1トーションスプリング72が配置されている。第1トーションスプリング72の一端部は前述した第1係合歯70に係止されて、他端部は第1係止部32とスプール20の内周面との間で係止されており、第1トーションスプリング72は第1パウル64を第1軸部66の軸回りに巻取方向(
図3(B)の矢印F方向)側へ付勢している。これにより、第1パウル64が第1当接部30に当接されている(
図3(A)に示す状態である)。第1係合歯70は、第1パウル64が第1軸部66の軸回りに引出方向(
図3(A)の矢印E方向であり、この方向を「第1ロック起動方向」という)へ回動することで、第1ギヤ部54の外歯54Aに対して接近して、外歯54Aに噛合される。これにより、スプール20の引出方向の回転力が第1パウル64を介してトーションバー44に伝達される(
図3(B)に示す状態である)。この状態から第1パウル64が巻取方向(
図3(B)の矢印F方向)に回動した際には、第1係合歯70が第1ギヤ部54の外歯54Aから離間するように構成されている。
【0040】
図4(A)及び(B)に示すように、スプール20の第2収容部34には、第2回転伝達部としての略C字形板状の第2パウル74が設けられている。第2パウル74の略中央部には、断面略半円状の第2軸部76が設けられており、第2軸部76は、スプール20の第2支持部36内に配置されて、第2支持部36に回動可能に支持されている。
【0041】
第2パウル74の一端部には、第2速度検出部としての断面略矩形状の第2ウェイト部78が一体に設けられており、第2ウェイト部78はスプール20の第2凹部38内に配置されている。また、第2ウェイト部78の外形の大きさは、第1ウェイト部68の外形の大きさに比して小さく設定されている。このため、第2ウェイト部78の重量は第1ウェイト部68の重量に比して小さく設定されている。第2パウル74の他端部には、第2係合歯80が設けられており、第2係合歯80は前述したトーションバー44の第2ギヤ部56の外歯56Aに対応している。
【0042】
第2収容部34には、第2トーションスプリング82が配置されている。第2トーションスプリング82の一端部は前述した第2係合歯80に係止されて、他端部は第2係止部42とスプール20の内周面との間で係止されており、第2トーションスプリング82は第2パウル74を第2軸部76の軸回りに巻取方向(
図4(B)の矢印H方向)側へ付勢している。これにより、第2パウル74が第2当接部40に当接されている(
図4(A)に示す状態である)。また、第2トーションスプリング82の付勢力は第1トーションスプリング72の付勢力と同じに設定されている。第2係合歯80は、第2パウル74が第2軸部76の軸回りに引出方向(
図4(A)の矢印G方向であり、この方向を「第2ロック起動方向」という)へ回動することで、第2ギヤ部56の外歯56Aに対して接近して、外歯56Aに噛合される。これにより、スプール20の引出方向の回転力が第2パウル74を介してトーションバー44に伝達される(
図4(B)に示す状態である)。この状態で、第2パウル74が巻取方向(
図4(B)の矢印H方向)に回動した際には、第2係合歯80が第2ギヤ部56の外歯56Aから離間するように構成されている。
【0043】
図1及び
図2に示すように、スプール20の脚板12B側(一端側)には、ロック機構を構成する略円盤状のロックギヤ84が設けられている。ロックギヤ84の中央部には、断面スプライン状の嵌合孔84Aが貫通形成されており、嵌合孔84Aにトーションバー44の歯52が嵌合することで、ロックギヤ84がトーションバー44に相対回転不能に固定(連結)されている。これにより、ロックギヤ84は、トーションバー44と一体に回転可能に構成されている。また、ロックギヤ84の外周全体には、ラチェット歯84B(外歯)が形成されている。
【0044】
フレーム12の脚板12C外側には、付勢手段としての付勢機構(図示省略)が設けられており、付勢機構は、スプール20に連結されて、スプール20に巻取方向への付勢力を作用させている。
【0045】
図1に示すように、フレーム12の脚板12Bには、配置孔14の近傍において、ロック機構を構成する略板状のロックプレート86(広義には、「規制部材」として把握される要素である)が、回動可能に支持されており、ロックプレート86には、ロック歯86Aが形成されている。ロックプレート86は、図示しない規制機構(広義には、「規制手段」として把握される要素である)に連絡されている。ウェビング22が急激に引出されてスプール20が引出方向へ所定速度以上で回転した時や車両の急減速時(以下、「車両の緊急時」という)には、規制機構が作動されることで、ロックプレート86が回動されて、ロック歯86Aがロックギヤ84のラチェット歯84Bに噛合(係合)される。これにより、ロックギヤ84の引出方向への回転が規制(阻止)されて、スプール20の引出方向への回転が規制される(スプール20の巻取方向への回転は許容される)。
【0046】
ここで、スプール20が引出方向へ第1速度としての第1係合速度(前述した所定速度より速い速度)以上で回転する際には、第1パウル64の第1ウェイト部68に作用する遠心力によって、第1パウル64が第1トーションスプリング72の付勢力に抗してスプール20に対して相対的に第1ロック起動方向へ回動される。これにより、第1パウル64の第1係合歯70がトーションバー44の外歯54Aに接近して噛合される。
【0047】
この状態でスプール20の引出方向への回転速度が、第1解除速度(所定速度より速く、第1係合速度速より遅い速度)以下になった際には、第1パウル64が、第1トーションスプリング72の付勢力によって、巻取方向へ回動されて、外歯54Aから離間される。これにより、第1パウル64の第1係合歯70とトーションバー44の外歯54Aとの噛合が解除される。なお、第1解除速度が第1係合速度に比して遅いのは、第1パウル64の第1係合歯70がトーションバー44の外歯54Aに噛合することで、第1係合歯70と外歯54Aとの間に抵抗力が作用するからである。
【0048】
また、スプール20が引出方向へ第2速度としての第2係合速度(第1係合速度より速い速度)以上で回転する際には、第2パウル74の第2ウェイト部78に作用する遠心力によって、第2パウル74が第2トーションスプリング82の付勢力に抗してスプール20に対して相対的に第2ロック起動方向へ回動される。これにより、第2パウル74の第2係合歯80がトーションバー44の外歯56Aに接近して噛合される。
【0049】
この状態でスプール20の引出方向への回転速度が、第2解除速度(第1係合速度より速く、第2係合速度速より遅い速度)以下になった際には、第2パウル74が、第2トーションスプリング82の付勢力によって、巻取方向へ回動されて、外歯56Aから離間される。これにより、第2パウル74の第2係合歯80とトーションバー44の外歯56Aとの噛合が解除される。なお、第2解除速度が第2係合速度に比して遅いのは、上述と同様に、第2パウル74の第2係合歯80がトーションバー44の外歯56Aに噛合することで、第2係合歯80と外歯56Aとの間に抵抗力が作用するからである。
【0050】
次に、本実施の形態の作用を説明する。
【0051】
以上の構成のウェビング巻取装置10では、車両のシートに着座した乗員にウェビング22が装着された際に、付勢機構がスプール20に巻取方向への付勢力を作用させることで、ウェビング22の緩みが除去される。
【0052】
最初に、車両の緊急時(ウェビング22が急激に引出されてスプール20が引出方向へ所定速度以上で回転した時や車両の急減速時)に、スプール20が引出方向へ所定速度〜第1係合速度で回転する場合について説明する。この場合は、例えば、着座した乗員の体重が軽い場合や低速度で車両が衝突した場合等である。
【0053】
車両の緊急時には、規制機構が作動されることで、ロックプレート86のロック歯86Aがロックギヤ84のラチェット歯84Bに噛合される。これにより、ロックギヤ84の引出方向への回転が規制されて、スプール20の引出方向への回転が規制される。このため、ウェビング22のスプール20からの引出しが規制されて、ウェビング22が乗員を拘束する。この際には、乗員に作用する慣性エネルギーによってウェビング22に付加される荷重が徐々に上がる。
【0054】
さらに、ウェビング22の引出しが規制された状態では、乗員に作用する慣性エネルギーによってウェビング22及びスプール20を介してトーションバー44に捩れ荷重が付与される。トーションバー44の第1捩れ変形部58の機械的強度は第2捩れ変形部60及び第3捩れ変形部62の機械的強度に比して低く設定されているため、この捩れ荷重が第1捩れ変形部58の機械的強度以上になると、主に第1捩れ変形部58が捩れ変形する。このため、スプール20がロックギヤ84に対して引出方向へ相対回転する。これにより、ウェビング22が引出されて、ウェビング22から乗員に作用する荷重(エネルギー)が吸収される。すなわち、トーションバー44の第1捩れ変形部58の捩り変形に伴う捩り荷重がフォースリミッタ荷重としてウェビング22を介して乗員に作用しながら、スプール20がロックギヤ84に対して引出方向へ回転されて、エネルギー吸収が果たされる。この際のフォースリミッタ荷重の荷重値はF1となる(
図5(B)にて示される一点鎖線参照)。
【0055】
次に、車両の緊急時に、スプール20が引出方向へ第1係合速度〜第2係合速度で回転する場合について説明する。この場合は、例えば、着座した乗員が大人の標準体格である場合や中速度で車両が衝突した場合等である。
【0056】
上述のように、車両の緊急時に、規制機構が作動されることで、ロックギヤ84の引出方向への回転が規制されて、スプール20の引出方向への回転が規制される。このため、乗員に作用する慣性エネルギーによってウェビング22が引張られてウェビング22に付加される荷重が徐々に上がる。
【0057】
また、乗員に作用する慣性エネルギーによってトーションバー44にウェビング22及びスプール20を介して付与される捩れ荷重が、第1捩れ変形部58の機械的強度以上になると、第1捩れ変形部58が捩れ変形する。これにより、フォースリミッタ荷重の荷重値がF1となる(
図5(B)に示される2点鎖線参照)。
【0058】
さらに、スプール20の引出方向への回転速度が第1係合速度以上になると、第1パウル64の第1ウェイト部68に作用する遠心力によって、第1パウル64が第1トーションスプリング72の付勢力に抗してスプール20に対して相対的に第1ロック起動方向へ回動される。これにより、第1パウル64の第1係合歯70がトーションバー44の第1ギヤ部54の外歯54Aに接近して噛合される。
【0059】
この際には、スプール20の引出方向への回転力が第1パウル64によってトーションバー44の第1ギヤ部54に伝達されて、当該回転力がトーションバー44の第2捩れ変形部60及び第3捩れ変形部62を介してロックギヤ84に伝達される。第2捩れ変形部60の機械的強度は第1捩れ変形部58の機械的強度に比して大きく設定されているため、トーションバー44に付与される捩れ荷重が、第2捩れ変形部60の機械的強度以上になるまでは、第2捩れ変形部60が捩れ変形しないため、ウェビング22に付加される荷重が徐々に上がる。
【0060】
さらに、トーションバー44に付与される捩れ荷重が、第2捩れ変形部60の機械的強度以上になると、主にトーションバー44の第2捩れ変形部60が捩れ変形すると共に、ウェビング22が引出されて、ウェビング22から乗員に作用する荷重(エネルギー)が吸収される。この際のウェビング22に付加されるフォースリミッタ荷重の荷重値はF2となる(
図5(B)に示される2点鎖線参照)。
【0061】
また、ウェビング22の引出方向への速度が第1解除速度まで下がると、第1パウル64が、第1トーションスプリング72の付勢力によって、巻取方向に回転されて、トーションバー44の第1ギヤ部54の外歯54Aから離間される。このため、第1パウル64の第1係合歯70とトーションバー44の外歯54Aとの噛合が解除される。これにより、ウェビング22に付加されるフォースリミッタ荷重の荷重値がF2からF1へ下がり、この状態でウェビング22が引出されて、ウェビング22から乗員に作用する荷重(エネルギー)が吸収される。
【0062】
このように、スプール20の引出方向への回転速度に応じて、ウェビング22に付加されるフォースリミッタ荷重の荷重値をF1からF2に上げることができ、フォースリミッタ荷重の荷重値をF2からF1に下げることができる。
【0063】
次に、車両の緊急時に、スプール20が引出方向へ第2係合速度以上で回転する場合について説明する。この場合は、例えば、着座した乗員の体重が重い場合や高速度で車両が衝突した場合等である。
【0064】
上述のように、車両の緊急時に規制機構が作動されることで、ロックギヤ84の引出方向への回転が規制されて、スプール20の引出方向への回転が規制される。このため、乗員に作用する慣性エネルギーによってウェビング22が引張られてウェビング22に付加する荷重が徐々に上がる。
【0065】
また、乗員に作用する慣性エネルギーによってトーションバー44にウェビング22及びスプール20を介して付与される捩れ荷重が、第1捩れ変形部58の機械的強度以上になると、第1捩れ変形部58が捩れ変形する。これにより、ウェビング22に付加するフォースリミッタ荷重の荷重値がF1となる(
図5(B)に示される実線参照)。
【0066】
さらに、スプール20の引出方向への回転速度が第1係合速度以上になると、第1パウル64の第1ウェイト部68に作用する遠心力によって、第1パウル64が第1トーションスプリング72の付勢力に抗してスプール20に対して相対的に第1ロック起動方向へ回動される。これにより、第1パウル64の第1係合歯70がトーションバー44の外歯54Aに接近して噛合される。この際には、スプール20の引出方向への回転力が第1パウル64によってトーションバー44の第1ギヤ部54に伝達されて、当該回転力がトーションバー44の第2捩れ変形部60及び第3捩れ変形部62を介してロックギヤ84に伝達される。第2捩れ変形部60の機械的強度は第1捩れ変形部58の機械的強度に比して大きく設定されているため、トーションバー44に付与される捩れ荷重が、第2捩れ変形部60の機械的強度以上になるまでは、第2捩れ変形部60が捩れ変形しないため、ウェビング22に付加する荷重が徐々に上がる。
【0067】
この状態で、トーションバー44に付与される捩れ荷重が第2捩れ変形部60の機械的強度以上になると、主に第2捩れ変形部60が捩れ変形すると共に、ウェビング22が引出されて、ウェビング22から乗員に作用する荷重(エネルギー)が吸収される。この際のウェビング22に付加するフォースリミッタ荷重の荷重値はF2となる(
図5(B)に示される実線参照)。
【0068】
さらに、スプール20の引出方向への回転速度が第2係合速度以上になると、第2パウル74の第2ウェイト部78に作用する遠心力によって、第2パウル74が第2トーションスプリング82の付勢力に抗してスプール20に対して相対的に第2ロック起動方向へ回動される。これにより、第2パウル74の第2係合歯80がトーションバー44の第2ギヤ部56の外歯56Aに接近して噛合される。この際には、スプール20の引出方向への回転力が第2パウル74によってトーションバー44の第2ギヤ部56に伝達されて、当該回転力がトーションバー44の第3捩れ変形部62を介してロックギヤ84に伝達される。第3捩れ変形部62の機械的強度は第2捩れ変形部60の機械的強度に比して大きく設定されているため、トーションバー44に付与される捩れ荷重が、第3捩れ変形部62の機械的強度以上になるまでは、第3捩れ変形部62が捩れ変形しないため、ウェビング22に付加する荷重が徐々に上がる。
【0069】
この状態で、トーションバー44に付与される捩れ荷重が第3捩れ変形部62の機械的強度以上になると、トーションバー44の第3捩れ変形部62が捩れ変形すると共に、ウェビング22が引出されて、ウェビング22から乗員に作用する荷重(エネルギー)が吸収される。この際のウェビング22に付加するフォースリミッタ荷重の荷重値はF3となる(
図5(B)に示される実線参照)。
【0070】
また、ウェビング22の引出方向への回転速度が第2解除速度以下になると、第2パウル74が、第1トーションスプリング72の付勢力によって、巻取方向へ回動されて、トーションバー44の第2ギヤ部56の外歯56Aから離間される。このため、第2パウル74の第2係合歯80とトーションバー44の外歯56Aとの噛合が解除される。これにより、フォースリミッタ荷重の荷重値がF3からF2へ下がり、この状態でウェビング22が引出されて、ウェビング22から乗員に作用する荷重(エネルギー)が吸収される。
【0071】
さらに、ウェビング22の引出方向への回転速度が第1解除速度以下になると、第1パウル64が、第1トーションスプリング72の付勢力によって、巻取方向へ回動されて、トーションバー44の第1ギヤ部54の外歯54Aから離間される。このため、第1パウル64の第1係合歯70とトーションバー44の外歯54Aとの噛合が解除される。これにより、フォースリミッタ荷重の荷重値がF2からF1へ下がり、この状態でウェビング22が引出されて、ウェビング22から乗員に作用する荷重(エネルギー)が吸収される。
【0072】
このように、スプール20の引出方向への回転速度に応じて、ウェビング22に付加されるフォースリミッタ荷重の荷重値をF1からF2へ、F2からF3へ上げることができ、ウェビング22に付加されるフォースリミッタ荷重の荷重値をF3からF2へ、F2からF1へ下げることができる。
【0073】
さらに、スプール20が高速度で引出方向へ回転する場合には、第1パウル64の第1係合歯70のトーションバー44の外歯54Aへの噛合と第2パウル74の第2係合歯80のトーションバー44の外歯56Aへの噛合とが、略同時にされる。これにより、例えば、フォースリミッタ荷重の荷重値をF1からF3へ一気に上げることができる。
【0074】
ここで、スプール20には、第1パウル64及び第2パウル74が設けられており、スプール20の径方向内側(筒内)に設けられたトーションバー44の外歯54A及び外歯56Aにそれぞれ第1パウル64の第1係合歯70及び第2パウル74の第2係合歯80が噛合される。このため、スプール20の径方向内側(筒内)において、第1パウル64及び第2パウル74を設けて、スプール20の回転速度に応じて、トーションバー44の外歯54A及び外歯56Aにそれぞれ第1パウル64の第1係合歯70及び第2パウル74の第2係合歯80を噛合できる。これにより、スプール20の軸方向におけるウェビング巻取装置10の大型化を抑制しつつ、フォースリミッタ荷重を段階的に上げることができる。
【0075】
また、上述のように、スプール20の引出方向への回転速度によって、フォースリミッタ荷重の荷重値がF1、F2、及びF3の内の何れかの荷重値となる。したがって、スプール20の回転速度に応じて、フォースリミッタ荷重の荷重値を3段階に設定できる。これにより、フォースリミッタ荷重の荷重値の設定自由度を向上できる。
【0076】
さらに、第1捩れ変形部58、第2捩れ変形部60、及び第3捩れ変形部62が、シャフト状に一体に設けられており、第2捩れ変形部60の外径寸法が第1捩れ変形部58の外径寸法に比して大きく設定されると共に、第3捩れ変形部62の外径寸法が第2捩れ変形部60の外径寸法に比して大きく設定されている。このため、第1捩れ変形部58、第2捩れ変形部60、及び第3捩れ変形部62の外径寸法をそれぞれ設定することで、第1捩れ変形部58、第2捩れ変形部60、及び第3捩れ変形部62のそれぞれの機械的強度を容易に設定できる。これにより、フォースリミッタ荷重の荷重値を容易に設定できる。
【0077】
また、第1パウル64に第1ウェイト部68が一体に設けられており、第2パウル74に第2ウェイト部78が一体に設けられている。このため、部品点数の増加を抑制でき、コストアップを抑制できる。
【0078】
なお、本実施の形態では、フォースリミッタ荷重の荷重値が3段階に設定されているが、フォースリミッタ荷重の荷重値を4段階以上に設定してもよい。例えば、フォースリミッタ荷重の荷重値を4段階にする場合には、トーションバー44に機械的強度の異なる捩れ変形部を4つ設ける。また、各捩れ変形部の間にギヤ部を設ける。さらに、スプール20の引出方向への回転速度に応じて、それぞれのギヤ部に係合するパウルを設けてもよい。
【0079】
また、本実施の形態では、第1捩れ変形部58、第2捩れ変形部60、及び第3捩れ変形部62が一体に設けられており、第1捩れ変形部58、第2捩れ変形部60、及び第3捩れ変形部62のそれぞれの外径寸法を設定することで、機械的強度が設定されている。これに替えて、第1捩れ変形部58、第2捩れ変形部60、及び第3捩れ変形部62をそれぞれ別部材に構成して、第1捩れ変形部58、第2捩れ変形部60、及び第3捩れ変形部62の機械的強度を設定してもよい。
【0080】
さらに、本実施の形態では、第1パウル64に第1ウェイト部68が一体に設けられており、第2パウル74に第2ウェイト部78が一体に設けられている。これに替えて、第1ウェイト部68及び第2ウェイト部78をそれぞれ第1パウル64及び第2パウル74と別体に設けてもよい。この場合には、例えば、第1ウェイト部68をスプール20の引出方向の回転速度に応じて第1パウル64に係合解除可能に構成にして、第1ウェイト部68が第1パウル64に係合することで、第1パウル64がトーションバー44の外歯54Aに噛合する構成にしてもよい。
【0081】
また、本実施の形態では、第1パウル64の第1ウェイト部68の重量が第2パウル74の第2ウェイト部78の重量に比して大きく設定されており、スプール20が第1係合速度以上の際に第1パウル64がトーションバー44の外歯54Aに噛合し、スプール20が第2係合速度以上の際に第2パウル74がトーションバー44の外歯56Aに噛合する。これに替えて、第1ウェイト部68の重量と第2ウェイト部78の重量とを同じに設定して、第1トーションスプリング72の付勢力を第2トーションスプリングの付勢力に比して小さく設定してもよい。これにより、スプール20が第1係合速度以上の際に第1パウル64がトーションバー44の外歯54Aに噛合し、スプール20が第2係合速度以上の際に第2パウル74がトーションバー44の外歯56Aに噛合できる。