特許第5676540号(P5676540)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ エコホールディングス株式会社の特許一覧

<>
  • 特許5676540-車載型風力発電装置 図000002
  • 特許5676540-車載型風力発電装置 図000003
  • 特許5676540-車載型風力発電装置 図000004
  • 特許5676540-車載型風力発電装置 図000005
  • 特許5676540-車載型風力発電装置 図000006
  • 特許5676540-車載型風力発電装置 図000007
  • 特許5676540-車載型風力発電装置 図000008
  • 特許5676540-車載型風力発電装置 図000009
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5676540
(24)【登録日】2015年1月9日
(45)【発行日】2015年2月25日
(54)【発明の名称】車載型風力発電装置
(51)【国際特許分類】
   F03D 9/00 20060101AFI20150205BHJP
   F03D 3/04 20060101ALI20150205BHJP
【FI】
   F03D9/00 H
   F03D3/04 Z
【請求項の数】3
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2012-205638(P2012-205638)
(22)【出願日】2012年9月19日
(65)【公開番号】特開2014-58942(P2014-58942A)
(43)【公開日】2014年4月3日
【審査請求日】2014年1月24日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】511108013
【氏名又は名称】エコホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100181766
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 均
(74)【代理人】
【識別番号】100091948
【弁理士】
【氏名又は名称】野口 武男
(74)【代理人】
【識別番号】100187193
【弁理士】
【氏名又は名称】林 司
(74)【代理人】
【識別番号】100086737
【弁理士】
【氏名又は名称】岡田 和秀
(72)【発明者】
【氏名】藤林 久士
【審査官】 加藤 一彦
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−144614(JP,A)
【文献】 特開2006−307783(JP,A)
【文献】 独国特許出願公開第102007032843(DE,A1)
【文献】 特開2010−112367(JP,A)
【文献】 特表2012−515868(JP,A)
【文献】 特開2002−332949(JP,A)
【文献】 特開2004−011598(JP,A)
【文献】 特開2008−190455(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2007/163829(US,A1)
【文献】 独国特許出願公開第3611750(DE,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F03D 9/00
F03D 3/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
運転キャビンの後方に運転キャビンより背の高い荷物室を備えた車両における運転キャビンのルーフ上に搭載される車載型風力発電装置であって、
横向き軸心周りに回転可能に支架したクロスフロー型の風車と、この風車に連動連結されて回転駆動される発電機と、これらを収納するケーシングとを備え、
ケーシングの前部に設けた外気流入口の下部と上部に、下部導風ガイドと上部導風ガイドとをそれぞれ備えて、外気流入口の内奥部を前端開口部より上下に奥狭まりに形成するとともに
下部導風ガイドの外気流入口に面する面を、外気流入口の前端開口部から内奥部に向かってなだらかに立ち上がるように形成し、
下部導風ガイドで、外気流入口の下側に流入した外気を、風車における受風ブレードの先端回動軌跡に対して略接線方向上方に導き、上部導風ガイドで、外気流入口の上側に流入した外気を、外気流入口の内奥において下部導風ガイドで案内される気流に合流させるように構成してある、
ことを特徴とする車載型風力発電装置。
【請求項2】
前記発電機を前記風車の後側に配備し、発電機と風車とを伝動機構で連動連結してある請求項1に記載の車載型風力発電装置。
【請求項3】
前記車両がトラックある請求項1または2に記載の車載型風力発電装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電動輸送機器(EV)やトラックなどの車両のルーフ上に装備して、走行時の気流を利用して発電する車載型風力発電装置に関する。
【背景技術】
【0002】
上記車載型風力発電装置としては、トラックにおける荷物室と運転キャビンとの段差部に横軸型の風車を支架するものが提案されている(例えば、特許文献1,特許文献2,特許文献3)。
【特許文献1】特開2003−278641号公報
【特許文献2】特開2008−128230号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
開示されている車載型風力発電装置では、車体の走行に伴って運転キャビンの上を流れる外気を風車に導く手段に改良の余地があり、比較的低速で走行する場合に効率よく風力発電することが難しいものであった。
【0004】
本発明は、このような実情に着目してなされたものであって、車体の走行に伴って運転キャビンの上を流れる外気を風車に的確に導くことで、効率の良く風力発電を行えるようにすることを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために、本発明では次のように構成している。
【0006】
(1)本発明は、運転キャビンの後方に運転キャビンより背の高い荷物室を備えた車両における運転キャビンのルーフ上に搭載される車載型風力発電装置であって、
横向き軸心周りに回転可能に支架したクロスフロー型の風車と、この風車に連動連結されて回転駆動される発電機と、これらを収納するケーシングとを備え、
ケーシングの前部に設けた外気流入口の下部と上部に、下部導風ガイドと上部導風ガイドとをそれぞれ備えて、外気流入口の内奥部を前端開口部より上下に奥狭まりに形成するとともに
下部導風ガイドの外気流入口に面する面を、外気流入口の前端開口部から内奥部に向かってなだらかに立ち上がるように形成し、
下部導風ガイドで、外気流入口の下側に流入した外気を、風車における受風ブレードの先端回動軌跡に対して略接線方向上方に導き、上部導風ガイドで、外気流入口の上側に流入した外気を、外気流入口の内奥において下部導風ガイドで案内される気流に合流させるように構成してある。
【0007】
この構成によると、下部導風ガイドで案内される気流は風車における受風ブレードの先端回動軌跡に対して略接線方向上方に導かれるので、気流の流動圧が効率よく風車の回転に変換される。また、上部導風ガイドで案内される気流が上下に狭められた内奥部において、下部導風ガイドで案内される気流に合流されることで、外気流入口の内奥で気流の流動圧を高めて受風ブレードに供給することができ、これによって風車の回転トルクが高められる。
さらに、車載型風力発電装置を、運転キャビンの後方に運転キャビンより背の高い荷物室を備えた車両における運転キャビンのルーフ上に搭載することにより、走行する車両の前面に当たり車両の前面に沿って上昇してくる気流を有効に利用して発電を行うことができると共に、車載型風力発電装置を、運転キャビンの上面と荷物室の前端との間に形成された段部におけるウインドデフレクタとしても機能させることができる。
【0008】
(2)本発明の好ましい実施態様では、前記発電機を前記風車の後側に配備し、発電機と風車とを伝動機構で連動連結してある。
【0009】
この構成によると、風車の軸心方向一端部に発電機を直結して駆動する形態に比べて風車を更に横長にして受風面積を大きくすることができ、これによって発電能力を高めることができる。
【0010】
(3)本発明の他の実施態様においては、車載型風力発電装置が搭載される前記車両をトラックとしている
【発明の効果】
【0012】
このように、本発明によれば、車体の走行によって車体ルーフ等を後方に流れる外気を上下導風ガイによって的確に風車に供給して風車を高いトルクで回転させ、効率の良い風力発電を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】トラックの前部を示す側面図である。
図2】本発明の一実施例の車載型風力発電装置の縦断側面図である。
図3】実施例の車載型風力発電装置の横断平面図である。
図4】実施例の車載型風力発電装置の斜視図である。
図5】本発明の車載型風力発電装置の別実施例を示す横断平面図である。
図6】本発明の車載型風力発電装置の別実施例を示す斜視図である。
図7】本発明の車載型風力発電装置を用いた発電機駆動形態を示す横断平面図であり、(a)は直結方式、(b)は巻き掛け駆動方式である。
図8】本発明の車載型風力発電装置の設置位置に関するさらに別の実施例をそれぞれ示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明する。
【0015】
図1に、本発明に係る車載型風力発電装置1を搭載した車両の一例としてのトラック2が、また、図2図3に、車載型風力発電装置1の詳細がそれぞれ示されている。トラック2は、運転キャビン3の後方に運転キャビン3より背の高い荷物室4を備えたものであり、車載型風力発電装置1は、運転キャビン3のルーフ上に搭載装備されている。
【0016】
車載型風力発電装置1は、運転キャビン3の横幅に近い横幅を有するケーシング5に、回転軸心pを横向にして回転自在に支架された風車6と、これの一端に連動連結された発電機7とを収容装備して構成されている。
【0017】
風車6は、回転方向上手に向けて凹入湾曲した多数の受風ブレード8を周方向に定ピッチで配備して円筒籠形に構成したクロスフロー型のものが利用され、その中心に貫通された回転支軸9が、左右両端部において側板10に軸受け支承されるとともに、回転支軸9の一端に発電機7が同軸心に連結されている。
【0018】
ケーシング5の前部には横長に外気流入口11が開口され、この外気流入口11の下部および上部に下部導風ガイド12と上部導風ガイド13とが備えられて、外気流入口11の内奥部が前端開口部より上下に狭められている。
【0019】
下部導風ガイド12は、前方からの気流を後方上方に案内して、風車6における受風ブレード8の先端回動軌跡に対して略接線方向に導くよう形成され、また、上部導風ガイド13は、前方からの気流を後方下方に導いて、外気流入口11の奥狭まり部位で下部導風ガイド12で案内される気流に合流させるよう形成されている。
【0020】
ケーシング5の後部上面には外気流出口14が設けられ、風車6を通過した気流が荷物室4の上方にまで円滑に案内される。
【0021】
本発明に係る車載型風力発電装置1は以上のように構成されており、トラック2が走行する際に運転キャビン3の上方において後方に流動する外気で風車6が回転され、これによって発電機7が回転駆動されて発電され、発電された電気はバッテリに充電される。
【0022】
この際、下部導風ガイド12で案内される気流は風車6における受風ブレード8の先端回動軌跡に対して略接線方向に導かれるので、気流の流動圧が効率よく風車6の回転に変換される。また、上部導風ガイド13で案内される気流が下部導風ガイド12で案内される気流に合流されることで、外気流入口11の内奥で気流の流動圧を高めて受風ブレード8に供給することができ、これによって風車6の回転トルクが高められる。
【0023】
〔他の実施例〕
本発明は、以下のような形態で実施することもできる。
【0024】
(1)2個の風車6を左右に並設して、それぞれで発電する形態とすることもできる。
【0025】
(2)外気流動方向に沿った前後二箇所に風車6を配置して、各風車それぞれで個別に発電7、あるいは、両風車6を共通の発電機7に連動連結してタンデム駆動方式で発電することもできる。
【0026】
(3)図5図6に示すように、外気流入口11に、下部導風ガイド12と上部導風ガイド13を繋ぐ複数の整流板15を設けることで、気流の安定化および外気流入口11の補強を行うことができるとともに、外気流入口11の外観を整えることができる。
【0027】
(4)図7(b)に示すように、発電機7を風車6の後側に配備して、発電機7と風車6とをベルト、チェーン、あるいは、ギヤなどの伝動機構16で連動連結すれば、車載型風力発電装置1全体の横幅を一定とした場合、図7(a)に示す直結駆動形態に比べて風車6を更に横長にして受風面積を大きくすることができ、発電能力を高めることができる。この場合、伝動機構16を介して発電機7を増速駆動することで、発電効率を一層高めることができる。
【0028】
(5)本発明の車載型風力発電装置1を、乗用車のルーフ上に設置して利用することもできる。車載型風力発電装置1の配置位置としては、図8(a)に示すように、乗用車のルーフRの前方端r1であってもよいし、図8(b)に示すように、乗用車のルーフRの前方端r2であってもよいし、図8(c)に示すように、エンジンルームE内の前端の前端開口FとラジエータGとの間であってもよい。
【0029】
(6)本発明でいう車体(車両)とは、トラック、乗用車の他、自動二輪車、電動輸送機器(EV)、電車、船舶を含む概念である。
【符号の説明】
【0030】
1 車載型風力発電装置
2 トラック
3 運転キャビン
4 荷物室
5 ケーシング
6 風車
7 発電機
8 受風ブレード
9 回転支軸
10 支持板
11 外気流入口
12 下部導風ガイド
13 上部導風ガイド
14 外気流出口
15 整流板
16 伝動機構
p 回転軸心
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8