特許第5676547号(P5676547)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5676547
(24)【登録日】2015年1月9日
(45)【発行日】2015年2月25日
(54)【発明の名称】シートシャッタの除霜方法
(51)【国際特許分類】
   E06B 9/17 20060101AFI20150205BHJP
   E06B 9/42 20060101ALI20150205BHJP
   E06B 9/68 20060101ALI20150205BHJP
【FI】
   E06B9/17 Z
   E06B9/42 Z
   E06B9/68 A
【請求項の数】5
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2012-249754(P2012-249754)
(22)【出願日】2012年11月13日
(65)【公開番号】特開2014-98256(P2014-98256A)
(43)【公開日】2014年5月29日
【審査請求日】2014年7月1日
(73)【特許権者】
【識別番号】391020056
【氏名又は名称】小松電機産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100081673
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100141483
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 生吾
(74)【代理人】
【識別番号】100166659
【弁理士】
【氏名又は名称】楠 和也
(72)【発明者】
【氏名】小松 昭夫
(72)【発明者】
【氏名】持田 孝幸
(72)【発明者】
【氏名】堀江 好明
(72)【発明者】
【氏名】川中 学
【審査官】 家田 政明
(56)【参考文献】
【文献】 特開2005−29960(JP,A)
【文献】 特開平9−302991(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E06B 9/00−9/92
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
モータ(7)の正逆回転駆動によりシート(2)の巻取りと繰出しをするシートドラム(5)を支持するシートケース(4)と、該シートケース(4)の左右に設置されてシート(2)の昇降動作を案内するシートガイド部(11)を備え、シート(2)の下端の接地部(12)を床面に接地させる全閉状態の下限位置から、接地部(12)を最上昇させて全開状態にする上限位置との間を昇降ストロークをさせて開閉動作させると共に、シート(2)に付着した霜を除去するシートシャッタの除霜方法において、前記シート(2)を昇降ストローク間で開閉動作させる通常開閉モードから、全閉状態のシート(2)の接地部(12)を上昇途中で停止させると共に、上昇途中の停止位置からシート(2)を下降させて接地部(12)を床面に接地させ又は床面に接近する位置に停止させる基本霜落し動作を行なう霜落し動作モードに切換えることにより、シート(2)に基本霜落し動作に伴う上下及び前後方向の振動を付与してシート(2)に付着した霜を払い落して除去するシートシャッタの除霜方法。
【請求項2】
前記霜落し動作モードによる運転中、シート(2)を上昇途中の停止位置から下降させ接地部(12)を床面に衝突させることにより、シート(2)に強力な振動を付与する霜落し動作をさせて除霜する請求項1記載のシートシャッタの除霜方法。
【請求項3】
前記霜落し動作モードの基本霜落し動作の上昇途中の停止位置に対し、該停止位置と異なる高さの別の停止位置を設定し、両方の停止位置間で接地部(12)を昇降させ且つ急停止させることによりシート(2)に振動を付与して除霜する請求項1又は2記載のシートシャッタの除霜方法。
【請求項4】
前記霜落し動作モードから通常開閉モードに復帰させるとき、復帰直前の霜落し動作のシート(2)の下降動作を、通常開閉モードと同一な緩速度動作であるスローストップ動作によって接地部(12)を下限位置に停止させる請求項1又は2又は3記載のシートシャッタの除霜方法。
【請求項5】
通常開閉モードによる運転において、シート(2)に霜が付着した状態でのシートドラム(5)の巻上げにより、シート(2)の霜が付着していない状態での上限停止位置を越えてシート(2)が巻上げられた際に、シート(2)側に設けたストッパ(32)をシートケース(4)又はシートガイド部(11)側に設けたシートストッパ(31)に接当させ、シートドラム(5)の回転を停止させて一定量逆転させることにより、ストッパ(32)をシートストッパ(31)から離れさせ、シート(2)を仮の上限停止位置で停止させ、次の下降動作への待機状態を保持させる請求項1又は2又は3又は4記載のシートシャッタの除霜方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、冷蔵庫や冷凍庫或いは低温ショーケース等の冷蔵設備の出入口や間仕切り部分に設置されるシートシャッタの除霜(霜落し)方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、工場や倉庫等建物の出入口や間仕切り部分に設置されるシートシャッタ(シャッタ装置)は、シートを巻取り繰出し可能に巻き掛けたシートドラムを電動モータによって正逆回転させ、シートを両側のガイドレールに沿わせて昇降させることにより、出入口(間口)の開閉を行なうように構成されている。そして、冷蔵品や冷凍品を扱う食品加工工場等で使用する場合のシートシャッタは、低温倉庫(冷凍室や冷蔵室)等の冷蔵設備と加工室等の作業エリアや倉庫にアクセスするエリアとの間に設置される。また低温下で使用されるシートシャッタは、ガイドレールを収容するレールボックス本体内にヒータを付設することにより、レールボックス(シートガイド部)に生ずる結露の発生を防止して使用することも、既に公知である(例えば特許文献1参照)。
また、シートの表面に付着する塵埃等の付着物を、衛生を保つためにブラシによって自動的に除去するシートシャッタも既に公知である(例えば特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開昭2005−29960号公報
【特許文献2】実開平4−5675号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1で示されるシートシャッタは、ヒータによってレールボックスの結露を防止するが、冷蔵温度が−20℃程度の低温下で使用されるシートの面に付着する霜の除去は、室温の加冷効果を妨げるため行なうことができない。
一方、特許文献2で示されるシートシャッタは、シートドラムに巻取られるシートにブラシを押し当てるため、シートの開閉動作時に塵埃を自動的に除去することができる。然し、このシートシャッタを上記冷蔵設備に使用する場合に、ブラシを単にシートに接当させる塵埃除去手段によっては、低温下でシート表面に氷結して付着した霜を十分に除去することができない。
即ち、低温下で使用されるシートシャッタは、シートの開閉動作の頻度が高いときは、霜は開閉動作時に生ずる振動によってその都度振り落とされて除霜されるため、通常のスムーズな開閉動作を維持することができる。これに対し、開閉動作頻度が少ない長時間の非作業時の後に、シートを通常の開閉モードによって開閉しようとすると、広い範囲で霜が氷結して付着しているシートは、シートドラムによって巻取る際に、順次巻径を大きくしながら巻取られる。このためシートドラムの設定回転による正常なシートの上昇動作が妨げられ、巻取り抵抗によってモータに過負荷を生じるため、シートのスムーズな開閉動作が困難になる等の課題がある。
そこで本発明は、上記実情に鑑みシートシャッタが備える通常開閉モードと共に、除霜動作をシートの昇降動作を利用して適時自動的に行なうことができるシートシャッタの除霜方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために本発明のシートシャッタの除霜方法は、第1に、モータ7の正逆回転駆動によりシート2の巻取りと繰出しをするシートドラム5を支持するシートケース4と、該シートケース4の左右に設置されてシート2の昇降動作を案内するシートガイド部11を備え、シート2の下端の接地部12を床面に接地させる全閉状態の下限位置から、接地部12を最上昇させて全開状態にする上限位置との間を昇降ストロークをさせて開閉動作させると共に、シート2に付着した霜を除去するシートシャッタの除霜方法において、前記シート2を昇降ストローク間で開閉動作させる通常開閉モードから、全閉状態のシート2の接地部12を上昇途中で停止させると共に、上昇途中の停止位置からシート2を下降させて接地部12を床面に接地させ又は床面に接近する位置に停止させる基本霜落し動作を行なう霜落し動作モードに切換えることにより、シート2に基本霜落し動作に伴う上下及び前後方向の振動を付与してシート2に付着した霜を払い落して除去することを特徴としている。
【0006】
第2に、前記霜落し動作モードによる運転中、シート2を上昇途中の停止位置から下降させ接地部12を床面に衝突させることにより、シート2に強力な振動を付与する霜落し動作をさせて除霜することを特徴としている。
【0007】
第3に、前記霜落し動作モードの基本霜落し動作の上昇途中の停止位置に対し、該停止位置と異なる高さの別の停止位置を設定し、両方の停止位置間で接地部12を昇降させ且つ急停止させることによりシート2に振動を付与して除霜することを特徴としている。
【0008】
第4に、前記霜落し動作モードから通常開閉モードに復帰させるとき、復帰直前の霜落し動作のシート2の下降動作を、通常開閉モードと同一な緩速動作であるスローストップ動作によって接地部12を下限位置に停止させることを特徴としている。
【0009】
第5に、通常開閉モードによる運転において、シート2に霜が付着した状態でのシートドラム5の巻上げにより、シート2の霜が付着していない状態での上限停止位置を越えてシート2が巻上げられた際に、シート2側に設けたストッパ32をシートケース4又はシートガイド部11側に設けたシートストッパ31に接当させてシートドラム5の回転を停止させ、一定量逆転させることにより、ストッパ32をシートストッパ31から離れさせ、シート2を仮の上限停止位置で停止させ、次の下降動作への待機状態を保持させることを特徴としている。
【発明の効果】
【0010】
以上のように構成される本発明のシートシャッタの除霜方法は、以下のような作用効果を奏する。
シートを昇降ストローク間で開閉動作させる通常開閉モードから、霜落し動作モードに切換えることにより、シートに振動を付与して付着した霜を落すことができるため、人為的な霜落作業を省略することができる。霜落し動作を昇降ストロークの中途部で昇降動作させて行うので、冷気の外部流出を抑制し低温保管設備のエネルギーのロスを防止しながら保管される保管物の劣化を防止することができる。
霜落し動作モードによる運転時には、シートをその下限位置を越えて下降させて接地部を床面に衝突させることによりシートに振動を付与し、霜落し動作モード時に、シートを全開状態にすることなく上昇途中の停止位置まで上昇したのち、接地部を下降させて床面に衝突させ、強い振動を付与して接地部及び下端部を含めたシート全体を除霜することができる。
霜落し動作モードの基本霜落し動作の上昇途中の停止位置と、これとは高さの異なる別の停止位置間で昇降させ且つ急停止させることにより、シートの上下方向中途の広い範囲に振動を付与して霜落しを効率よく行うことができる。
霜落し動作モードから通常開閉モードに復帰させるとき、復帰直前の霜落し動作のシートの下降動作を、通常開閉モードと同様に緩速でスローストップ動作によって接地部を下限位置に停止させることにより、余分な衝撃を伴わず下限位置に正確に停止させる。これにより、霜落しパターンで生じたシートの弛みや皺を伸ばして密着した接地状態にすることができるほか、通常開閉モードにスムーズに移行させることができる。
さらに通常開閉モードの運転時に、シートに霜が付着して巻取り径が増大することによるシートの過剰な巻上げを防止してモータへの過負荷を防止し、シートの次の下降への待機姿勢を良好に保持できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明が適用されたシートシャッタを一部破断をして示す正面図である。
図2図1の要部の構成を示すA−A線断面図である。
図3】シートシャッタの左側の構成を一部破断をして示す正面図である。
図4】支柱とシートガイド部の構成を示す断面図である。
図5】支柱とシートガイド部の構成を示す断面図である。
図6】シートシャッタの通常開閉モードと霜落し動作モードを示すタイムチャート図である。
図7】(a)〜(h)はシートシャッタの霜落し動作モードの各動作を示す模式図である。
図8】(i)〜(o)はシートシャッタの霜落し動作モードの各動作を示す模式図である。
図9】心材付きシートを備えたシートシャッタを一部破断をして示す正面図である。
図10】心材のローラ構造を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。図1において符号1は主として冷蔵庫や冷凍庫或いは低温ショーケース等の冷蔵設備の出入口(間口)に設置されるシートシャッタである。このシートシャッタ1は、シャッタ部材であるシート2と、その左右を支持し上下方向の昇降移動を案内する中空で四角形のC形断面を備えた支柱3(サイドフレーム)と、シート2を巻取り繰出し自在に収容するシートケース(シートフレーム)4等で構成される。
【0013】
上記シートシャッタ1は、左右の支柱3を建物の出入口に構成される柱や壁に沿って平行に立設され、両方の支柱3はその上部に建物の梁或いは壁面に沿って横向きに設置されるシートケース4の両側を載置した状態で着脱可能に取付けられ、全体としてゲート状に形造られている。上記シートケース4の内部には、シャッタ開閉機構としてのシートドラム(繰出装置)5を内装している。このシートドラム5は正逆回転によりシート2の巻取りと繰出しを行い、シート2は左右の支柱3に構成されるシートガイド部に両側辺を昇降スライド可能に案内されて昇降作動し出入口の開閉を行う。
【0014】
先ず、図1図4を参照しシートシャッタ1の具体的な構成について説明する。シートケース4は、側面視で、四角形断面の筒状に形成されたケース本体6の両側に、端板6a,6bを着脱自在に取付けることにより中空状のケース室を形成している。このケース室内には左右の端板6a,6bによって回転可能に軸支される中空円筒状のシートドラム5を左右方向に収容している。またケース本体6の後方下部には、左右の支柱3の内部と連通してシート2の昇降移動を許容する開口部6cを形成している。
右方の端板6aは内側面に、円柱形状のモータ7の基部をボルトによって取付けることにより、シートドラム5内に臨ませて支持している。モータ7は駆動軸7aに設けた凹凸状の輪体からなる駆動体8をシートドラム5の内面に係合してシートドラム5を正逆回転駆動する。
【0015】
図面に示す例では、左方の端板6bは内側面に、シートドラム5の左端部に取付けられる取付板8aが有する支軸8bを軸支し、ケース本体6の左端部を閉鎖するように取付けられる。これによりシートドラム5は、シートケース4内に水平に軸支され、モータ7の正逆回転に伴いシート2の繰出し下降と巻取り上昇を行い出入口の開閉を行う。そして、この実施形態のシートシャッタ1は、シート2の開閉動作を制御盤9内に設けられた制御部(図示しない)によって、後述する通常開閉モードと霜落し動作モードを選択して行うことができ、例えば−20℃程度の低温下で物品を冷凍・冷蔵保管する設備の出入り口等に設置することができる。
【0016】
即ち、制御盤9内の制御部では通常開閉モードにおけるシート開閉動作を、従来のものと同様に制御盤9に設置される操作スイッチ部9aによるの手動操作指令、及びシートガイド部11に設けられて通過体を検知する検知部(センサー)9bの自動検知に基づく正回転信号と逆回転信号により、モータ7を正逆回転させることによって行う。一方、霜落(除霜)動作モードによるシート2の霜落し動作は、制御盤9内の霜落制御部(回路)に設けたモード切換スイッチ9e切換操作により、通常開閉モードから図7図8に示す各種霜落し動作モードのモード制御指令によって行う。また霜落し動作モードの時には、支柱3の上部に設けたブザー9cをONすることにより状態報知をするようにしている。そして、シートシャッタ1の支柱3やモータ7等の所要箇所には、必要に応じてヒータ9dを設けることにより、霜や結露の発生を防止することができる。
【0017】
シート2は、可撓性及び耐候性及び必要により透光性或いは遮光性を有する合成樹脂材による長方形の幕体からなり、実施形態のものは−20℃程度の低温下でも耐久性を備える耐低温用シートを採用している。図示例のシート2は、上端(基部側)をシートドラム5の周面に軸方向に沿って取付け、幕体の両側縁に沿って公知の構成からなる駒状の多数のガイド突起10を一定間隔を介して連続的に設けている。そして、各支柱3の内向き対向面側に構成されるシートガイド部(シャッタガイド部)11に、ガイド突起10を昇降スライド可能に係合させて収容している。これによりシート2はシート両側の抜け止めを図りながら、横方向のシートの張りを保持しスムーズな昇降作動を行う。
【0018】
またシート2の下端にはウェイト部を兼ねてシート2を下方に向けて付勢する接地部12を設けており、該接地部12はシート2が最下降した閉じ状態で、平坦な地面或いは床面等(以下床面と言う)に沿って気密性を保持して接地する。この接地部12は図2で示すように、鉄パイプ等のウェイト12aを横向きに内装する袋状の接地シート12bの折返し両端部を、シート2の下端前後に重ねた状態で貼り合せることによって構成される。そして、接地シート12b内でウェイト12aとの間には、スポンジやゴム材からなる緩衝部材12cを介装し、且つウェイト12aの下部と接地シート12bの間に空間部を形成している。これにより図2の点線で示すように接地部12が最下降した時に、ウェイト12aと床面との直接的な接当を防止しながら、接地シート12bを床面に沿って密着するように接地させて気密性を保持をさせる。
【0019】
シートガイド部11は図2図5で示すように、支柱3の内向き面に溝13を上下方向に形成し、該溝13にコ字状断面に形成されたアウターレール14を嵌合し、前後で対をなす側壁14aの内向きの端部を固定している。そして、アウターレール14内に、インナーレール16と該インナーレール16の上部に接続される上部インナーレール17とを着脱可能に嵌合して取付けられる。尚、アウターレール14及びインナーレール16並びに上部インナーレール17は、耐摩耗性と所定の可撓性を有する合成樹脂材によって形成される。
【0020】
図4図5で示すようにインナーレール16は、平面視においてレール部材内で上下方向に設けた仕切壁19の左右側に、シート2に付設されたガイド突起10を昇降スライド可能に係合させて収容する内向きの係合ガイド21を備えている。また、アウターレール14にはシート張り方向に弾力性を有して取付けるためのインナー支持部22を一体的に形成している。
係合ガイド21は仕切壁19の両側から内向きに突設したフック状の先端部を有して対をなすガイド壁23によって形成さる。ガイド壁23,23は先端部に形成されるフック部の間にシート2の昇降を案内するシート溝23aを形成し、且つ基部側と仕切壁19との間にシート溝23aに連通しガイド突起10を昇降スライド可能に収容する突起溝23bを形成している。
【0021】
図示される突起溝23bは、シート溝23aの溝幅をガイド突起10と平行にフック部を形成している。図4で示すインナーレール16の通常取付け姿勢において、シート2はガイド突起10が係合ガイド21の突起溝23bの左右中間に位置した状態で内方向への抜け出しを規制した状態で昇降スライドさせる。
またシート2が昇降時に人の接触や強風等による前後方向の負荷を受ける場合は、シート2の両端は内向きに引張られてガイド突起10がシート溝23aから抜け出そうとする。この時ガイド突起10は、前後に一対のガイド壁23のフック形状によって抜け出しを規制するため、シート外れを防止しながらシート2の昇降案内をすることができる。
【0022】
インナー支持部22は仕切壁19とその前後両側から外向きに突設した周壁24,24によって形成される。この24,24の外端部に向き合って形成される前後のフック状断面の先端部の間には取付ピン26を挿入するピン溝27が形成されている。
この構成により、インナー支持部22内にコイル状のスプリング28を外装した取付ピン26を収容した状態で、取付ピン26の先端部をピン溝27から突出させることができる。該ピン溝27から突出した取付ピン26の先端部を、アウターレール14の底壁14cに穿設される取付孔29に挿入し、止めピン等の着脱可能な止め具30を取付け、内側への必要以上のスライドを規制している。
【0023】
上記スプリング28を外装した取付ピン26は、アウターレール14の上下方向に所定の取付け間隔を有して多数穿設された取付孔29の数だけインナー支持部22に収容し、各取付ピン26を対応するアウターレール14のそれぞれの取付孔29に挿入している。
この構造により図4で示すように、インナーレール16はアウターレール14内にインサートされた状態で取付けられ、各スプリング28の外向き弾力によってアウターレール14の底壁14cに弾力的に押接され、係合ガイド21がガイド突起10を介しシート2を外向きのシート張り方向に弾力的に引張られて支持される。
【0024】
以上のように構成されるシートガイド部11は、シート2がシート面に直交する方向(前後方向)の負荷を受けた場合に、図5で示すようにインナーレール16はシート2及びガイド突起10を介して内向き方向の引抜力を受ける。この時インナーレール16はスプリング28に抗して、アウターレール14内で内向き方向に弾力的にスライドするため引抜方向の力を緩衝することができる。またこの時撓み変形したガイド壁23,23及び仕切壁19は弾力的に復帰するので、シートガイド部11の破損を防止する。
【0025】
次に、図2図3を参照し上部インナーレール17について説明する。この上部インナーレール17はアウターレール14内でインナーレール16の上部に着脱自在に接続している。そして、上部インナーレール17の上部には、内向きアングル状に延長させたシートストッパ31を一体的に突設している。このシートストッパ31は接地部12の上部両側に設けたストッパ32をそれぞれ接当させることができる。各ストッパ32は、接地部12の上部両側において、前記シート2の下端と接地シート12bが重なる部分に前後に貫通させたボルトにナットを締着することによって取付けられている。
【0026】
上記構成においてシートシャッタ1は、通常開閉モードにおけるモータ7の回転制御によりシート2が巻取られて接地部12が最上昇する上限位置を、図2に実線で示す前記ストッパ32が、シートストッパ31から下方に20ミリ程度のストッパ間隔を有して離間した位置で上昇動作を停止をするように設定している。一方、シート2の巻取り時に誤動作を生じたり又はシート2の表面に後述する霜等の付着物が厚層をなして付着した場合には、シート2がシートドラム5に巻き過ぎ或いは巻取り径がきくなって、前記上限位置を越えて上昇動作することがある。このような場合にシートストッパ31は、ストッパ32を接当させて接当位置以上のシート2の上昇を規制するため、この接当上昇を規制することによりシートケース4内への接地部12の過剰な巻き込みを防止する。
【0027】
そして、実施形態のシートシャッタ1は、上記のようなシート2の接当の上昇規制が行われた停止時に、モータ7の過負荷及びシート2の開閉動作トラブルを解消する仮上限位置保持のための制御手段を備えている。この仮上限位置保持の制御手段は、前記ストッパ32がシートストッパ31に接当したシート2の接当停止時に、モータ7の回転をパルス検知による回転検知制御手段又は接当に伴うモータ負荷の検知による負荷検知制御手段等によって検知する。この時の検出信号により制御部はモータ7を停止させ、その後逆転させてシート2を繰出し下降させ、接当状態にあるストッパ32をシートストッパ31から下方に20ミリ程度離れた前記シート2の仮の上限位置に停止させて保持させる。
【0028】
これによりシートシャッタ1は、シート2を接当停止位置に無理な停止姿勢で固定させることなく巻取りを少し緩めた状態にして、次期のスムーズな下降に備える仮上限位置に停止して保持し、次の下降に備えた待機状態を維持することができる。
さらに、上記仮上限位置を保持する制御手段は、シートストッパ31或いはシートケース4の下部から下方に向けて接地部12の下端が略300ミリ程度の仮の上限位置の更新範囲内において、シート2の巻取り上昇時にモータ7に過負荷を伴う状態が生じた場合に、その過負荷状態を回避して下降の待機状態を保持する。
【0029】
即ち、シートシャッタ1は低温下で長時間にわたり開閉が行われない場合に、シート2の表面に生成する霜は、上方から下方に向けて順次厚みを増して付着すると共に、シートガイド部11にも同様に霜が生成されて付着する。この状態でシート2が上昇動作されると、シートドラム5はシート2を厚みを増した霜によって巻取り径が順次大きくなった状態で巻取ることになる。このため昇降ストローク量によって設定されているシートドラム5の設定回転数(例えば、4.5回転程度)に至ることなく、これより少ない回転数(例えば、4回転程度)であっても、シート2は上限位置を越えて上昇動作ストッパ32をシートストッパ31に接当させる。
【0030】
そして、この上昇規制によりシートケース4内への接地部12の巻き込みを防止する一方、モータ7は正回転が妨げられるためモータ負荷が増大し回転停止状態になる。
従って、このような事態が仮上限位置の更新範囲内で生じたときシートシャッタ1は、前記仮の上限位置の更新制御によってモータ7を逆転し、シート2を繰出し下降させて接地部12の下端を例えば略20ミリ程度下げた後に停止して負荷を解除し、次期の下降動作にスムーズに入ることができる。
【0031】
尚、シートシャッタ1は仮の上限位置の更新範囲以下の位置でシート2の下降中に停止させる場合には、シートドラム5の回転を負荷検知制御手段等によって、逆転より正転に切り換え、シート2を上限位置まで上昇させる。またシート2の上昇中に停止させる場合には、人や物が接当したと判断してシート2をその位置で停止して警報する。
さらに、シートシャッタ1は、通常開閉モードと共に以下に詳述する霜落し動作モードを備えていることにより、シート2が設定時間の間に開閉動作が行われない場合に、通常開閉モードから霜落(除霜)動作モードに切換えて、シート2に付着する霜を自動的に落下させる自動霜落運転を行う。
【0032】
次に、図6図8を参照しシートシャッタ1の通常開閉モード及び霜落し動作モード並びにその作動態様について説明する。先ず、シートシャッタ1は図6で示すタイムチャートで示すように、通常開閉モードにおいては、前記上昇指令(開指令)によるモータ7の正転により、シートドラム5がシート2を巻取り上昇動作させ、上部インナーレール17のシートストッパ31にストッパ32が接当する直前の上限位置で、シートドラム5の回転を制御して回転停止させ、接地部12を停止させて下降の待機姿勢にする。次いで、下降指令(閉指令)によるモータ7の逆転により、シートドラム5がシート2を上限位置から繰出し下降させて閉じ状態にする。
【0033】
このときシート2は接地部12の重量を受けながら下降し、接地部12が床面に対して適正接地位置に達したときシートドラム5を自動停止させる。またシート2の両端のガイド突起10は、左右の支柱3に構成されるシートガイド部11のインナーレール16に案内されて、シート2を巾(横)方向に引張られて弛みを防止した状態でスライド下降し、出入口を閉鎖し上昇の待機姿勢に至る。上記通常開閉モードにおいてはシートシャッタ1は、在来のものと同様なモータ回転制御手段によって、シート2の上昇初期と下降初期には低速から徐々に増速して所定の移動速度に達する。逆に上昇終期と下降終期の所定範囲においては、上記所定移動速度から徐々にモータ7を低速回転させて停止するスローストップ制御をさせることにより、シート2を上限位置又は下限位置で緩やかに停止する。
【0034】
そして、霜落し動作モードにする場合には、制御盤9に設置されるモード切換スイッチ9eを上記通常開閉モードから切換えることにより、図6図8に示すように霜落し動作モードにより自動的に霜落運転を行う。尚、各図において、シート2が前回の開閉動作を行った後に霜落し動作モードがONされるまでの時間はt1(分)として表し、この霜落し動作モード待機時間の設定は例えば30分間から1時間単位の間隔で、24時間程度の時間の範囲内で自由に選択して設定することができる。
また1サイクルの霜落し動作モードにおいて上下昇降動作を繰返す回数はnとし表し、この設定範囲は1〜10回程度の回数を自由に選択して設定することができる。
【0035】
即ち、霜落し動作モードは、図6及び図7(a)で示す通常開閉モードの手動又は自動モードから、同図7(b)で示す霜落し動作モード待機状態になる。ここで霜落し動作モードを知らせるブザー9cをONし、設定された時間(3秒程度)経過後に霜落し動作モードの動作1回目霜落し動作を図7(c)〜図7(f)で示すように第1霜落パターンとして行なう。次いで、図7(c)〜図7(f)で示す一連の霜落し動作を第2霜落パターンとして設定しており、動作2〜n−1回目として順次行う。さらに、図8(k)〜図8(o)で示す一連の霜落し動作を第3霜落パターンとして設定しており、動作n回目として行う。
【0036】
そして、霜落し動作モードの各動作パターンによる自動霜落運転が完了すると、ブザー9cをOFFし通常開閉モードに復帰させる。設定された霜落し動作モードの待機設定時間の経過後に同様の霜落し動作モードを再開し、一連の自動霜落運転を繰り返し行う。またシートシャッタ1の制御盤9は上記通常開閉モードと霜落し動作モード及び霜落し動作モードの各設定を図示しない内蔵型の制御部によるほか、制御盤9に接続されたパソコンから設定することができるように構成することもできる。これによりシートシャッタ1が、例えば―20℃程度の低温で運転される冷蔵庫等の冷蔵設備に設置される場合に、シート2に付着した霜を簡単且つ能率よく確実に落すことができる。
【0037】
次に図7を参照し霜落し動作モードの第1霜落パターンについて説明する。同図7(b)で示す霜落し動作モード待機状態から図7(c)の動作1回目によって上昇を開始するシート2は、所定の上昇速度(2.5m/s程度)で0.5秒間上昇したのち、図7(d)で示すようにシート2の昇降ストローク中途の霜落高さh1で上昇動作停止する。次いで、停止時間0.3秒後に図7(e)で示す下降動作を開始し0.5秒間行う。この時上昇と下降動作を同じ速度、同じ時間で行った場合、慣性力により下降動作距離が上昇動作距離より長くなることより、シート2の繰出し量が多くなり図7(f)で示すように、接地部12を通常開閉モードの前記下限位置を越えて床面に衝突するようにに強く接地させて下降動作を停止させる。
【0038】
この第1霜落パターンでは、閉じ状態のシート2を霜落高さh1まで上げて急速中途停止させ、シート2の上昇方向の慣性力及び上下方向の緊張と弛緩及び前後方向の揺れや撓み等の振動の発生により、シート2の表面では第1回目の霜落しが行われる。そして、シート2は霜落高さh1から急下降されることに伴う振動を再び受けて第2回目の霜落しが行われる。さらに、シート2は接地部12が床面に強く接当(衝突)し第3回目の霜落しが行われる。
【0039】
上記第3回目の霜落しは、シート2の接地部12のウェイト12aが接地シート12bを介して床面に衝突する。これにより接地部12及びシート2の下端部は、強い振動と大きな撓み変動による接地振動を受けて、この部に厚層で強固に付着する霜の霜落しを確実に行う。
【0040】
次に、図7図8を参照し霜落し動作モードの第2霜落パターンについて説明する。前記図7(f)で示す接地部12が床面に衝突接地した状態から、図7(g)では所定の上昇速度(2.5m/s程度)で0.8秒間上昇動作した位置で、図7(h)で示すようにシート2は昇降ストローク途中の霜落高さh2まで上昇して停止する。次いで、停止時間0.3秒後に図8(i)で示す下降動作を開始し0.5秒間降下する。これにより図8(j)で示すようにシート2は、接地部12を床面に接地させることなく高さh3を保持するように急停止する。
【0041】
この第2霜落パターンでは、昇降ストローク中に第1回目より高い位置に設定された霜落高さh2で上昇動作が急停止されるシート2は、前記第1回目の振動と異なる第4回目の振動を受けるため、シート2表面に対し前回の霜落しでは落ちなかった霜を広い範囲で落すことができる。さらに、ここから図8(j)で示すようにシート2を急下降させて接地部12を床面に接地させることなく高さh3保持するように急停止させると、シート2は接地部12の下降動作の慣性により瞬時的な張り伸ばし緊張を付与する第5回目の振動を受ける。これによりシート2は付着霜を前後方向に剥離させたり下方に脱落させて霜落しを別の作用によって行うことができる。そして、この第2霜落パターンによる一連の霜落し動作は、必要に応じてパソコン側からも任意の数回(動作2〜n−1回目)行うことができる。
【0042】
次に、図8を参照し第3霜落パターンについて説明する。同図8(k)では前記図8(j)で示す接地部12が霜落高さh3を有した非接地状態にあるシート2を所定の上昇速度(2.5m/s程度)で0.8秒間上昇したのち、図8(l)で示すようにシート2の昇降ストローク途中の霜落高さh4で上昇動作停止する。尚、この場合の霜落高さh4は霜落高さh2より低い高さに設定している。次いで、停止時間0.3秒後に図8(m)で示す下降動作を開始して0.5秒間行い、これにより接地部12を床面に低速で接地させるように制御(スローストップ制御)をし、図8(n)で示すようにシート2を下限位置に停止させシート2を閉じ状態として動作3パターンを完了する。
【0043】
そして、図8(o)で示すようにブザー9cをOFFし通常開閉モードに復帰させる。以降任意に設定される時間後に同様の霜落し動作モードを再開し、一連の自動霜落運転を行う。上記第3霜落パターンでは、シート2を霜落高さh4からの下降動作を前記スローストップ制御によって、シートドラム5を高速で逆転させることなく回転制御をして、シート2をゆっくりと低速で下降させながら下限位置に停止することができる。
【0044】
従って、シートドラム5の回転時の慣性及び自重の大きい接地部12の下降時の慣性力が抑制されたシート2は、接地部12が下限位置から下方側へ位置ズレを生ずることなく正確に停止する。またシート2はシートドラム5の低速繰出しと接地部12の自重によって張り伸ばし状態で下方移動するため、前記霜落パターンで生じたシート2の弛みや皺を伸ばした閉じ状態にすると共に、接地部12と床面との接触により気密を保持しながら下限位置で保持し、通常開閉モードにスムーズに移行させることができる。
【0045】
次に、以上のように構成されるシートシャッタ1の使用態様について説明する。先ず、前記低温下において通常開閉モードで運転されるシートシャッタ1は、開閉動作が頻繁に行われる場合には霜の付着も少ないことから、常温の通常環境下と同様にシート2の開閉をスムーズに行うことができる。他方、低温環境下において霜落し動作モードを使用しないまま長時間にわたりシート2の開閉が行なわれない場合には、シート2の表面に生成する霜が厚層になって付着する。
【0046】
このような場合に開動されるシート2は、正転するシートドラム5に霜が付着したまま巻取られて巻取り径が大きくなり、上限位置を越えるストッパ32をシートストッパ31に接当させて接地部12の巻込みを防止する。そして、このとき生ずる負荷検知によってシートドラム5を一時的に逆転停止させ、ストッパ31をシートストッパ32から離間させシートを仮の上限位置に停止保持し次期の下降待機姿勢に移る。
【0047】
またシートシャッタ1は、付着した霜を自動的に落す自動的な霜落運転機能として霜落し動作モードを備えているため、冷蔵、冷凍室等の低温保管設備の使用態様に応じた霜落し動作モードの設定に基づき、通常開閉モードから霜落し動作モードへ自動的に切換えて霜落し動作を行うことができる。これにより省力及び省エネと低温保管設備内に保管される保管物の品質管理に貢献することができる。そして、霜落し動作は前記した各種の霜落し動作パターンを備えているため、シートシャッタ1が、前記低温下で運転される冷凍室等の保管設備に設置される場合に、シート2の付着した霜を能率よく簡単に落すことができる。
【0048】
即ち、この場合に実施形態の前記霜落し動作パターンは、第1霜落パターンと第2霜落パターンと第3霜落パターンとのいずれも、シート2を全開放させることなく、接地部12を床面から必要以上に高く離間させない下限位置の上方近傍において、昇降動作を短時間づつ繰返すことによって振動を効果的に付与して霜落しをする。このため冷気の外部流出を抑制すると共に、在来型のシートシャッタ1でも構造を大きく変更することなく簡潔で廉価な構造によって効率よく霜落しを実現できる。
【0049】
また各霜落し動作パターンは振動の付与のほか、各パターン毎に特徴とする霜落し動作を組合せて一連に霜落し動作を行うことができるので、動作各部に無理を生じさせることなく且つシート2の霜の付着部分に対し広い範囲で霜落しを効果的に行うことができる。
即ち、第1霜落パターンでは、シート2を下降させ接地部12を床面に衝突させて接地部12及びシート2の下端部に強い振動を付与し、この部分に付着する霜の霜落しを確実に行う。
【0050】
第2霜落パターンでは、接地部12を床面に接地させることなく高さh3を保持するように急停止させるため、接地部12の大きな下降動作時の慣性により、シート2に瞬時的な張り伸ばし緊張やバウンドを付与し、上下及び前後方向に激しく振動させるので、付着した霜の剥離及び脱落を促進する除霜を行うことができる。
【0051】
第3霜落パターンでは、シート2を霜落高さh4から下降動作させスローストップ制御よって通常開閉モードと同様に下限位置で停止をさせるため、接地部12を緩やかに適正閉じ状態に接地(ソフトランディング)することができる。従って、シートシャッタ1が、例えば―20℃程度の低温下で運転される冷凍設備に設置される場合でも、シート2に生成し塊状になって頑固に付着する霜を確実に除去することができる。またこれにより通常開閉モードによるシート2の上昇動作をスムーズにすることができる。
【0052】
尚、実施形態の霜落し動作モードの各霜落し動作パターン及び順位やその組合せによる霜落方法は、図示例のシートシャッタ1及び図9で示すシートシャッタ1において、霜落しをシート2や各作動機器に無理を生じさせることなく行なうことができたが、霜の生成環境の異なる設備や異なる方式のシャッタ装置に対しては、それぞれに適応する霜落し動作モード及び動作パターンを設定して行うことが望ましい。
また上記霜落し方法は図示例のシート2を備えたシートシャッタ1の他に、図9に示すような心材付シート2を有する別実施形態のシートシャッタ1についても同様に使用することができる。
【0053】
次に、上記別実施形態のシートシャッタ1について図9図10を参照し説明する。尚、前記実施形態のものと同様な構成及び作用については説明を省略する。このシートシャッタ1は、前記実施形態のシートシャッタ1のアウターレール14からインナーレール16及び上部インナーレール17を取り外している。そして左右のアウターレール14に対し、在来のものと同様な心材付シート2aが有する複数の心材33の両端を挿入することにより、心材33を昇降スライド案内しシート2aの開閉動作を行うことができる。
【0054】
これにより図9のシートシャッタ1は、シート2aをシートドラム5に巻取った前記上限位置において下降待機姿勢にする。そして、シートドラム5を繰出し回転すると、シート2aを繰出し最下位の心材33a及び次位の心材33・・を順次レール溝14b内に下降スライドさせて全閉状態にする。またシートドラム5の巻取り回転によって各心材33をアウターレール14内を上昇スライドさせてシート2aを巻取り上昇させる。図示例の心材33,33aは在来のものと同様に丸パイプとなしており、シート2の心材取付け位置に形成される心材取付袋34内に挿入することによって取付け支持している。そして、心材33,33aの両端には、軸端にローラ36を回転自在に軸支するローラ軸37を着脱自在に挿入して取付けている。
【0055】
ローラ36は耐寒性及び耐摩耗性を有する合成樹脂材によって、ローラ外周を中高に膨らむ湾曲面にしている。さらにローラ36の中央部に凹溝状のリング溝36aを形成し、該リング溝36a内に弾性力を有するリング38を着脱自在に挿入し、リング外周面を前記湾曲面から突出させている。またローラ36はローラ軸37に回転自在に挿入した状態で、該ローラ軸37の端部に設けられる取付具39によって着脱自在に取付けている。これによりローラ36は、アウターレール14にローラ外周を直接的に接触させることなくリング38を接触して転動させるため、レール面に付着した霜からローラ外周を保護することができる。またリング38は付着霜に弾力的に接当するので、シート2の開閉動作をスムーズにすると共にリング摩耗時の交換を簡単に行うことができる等の特徴がある。
【符号の説明】
【0056】
1 シートシャッタ(シャッタ装置)
2 シート(シャッタ)
2a 心材付シート
3 支柱
4 シートケース(装置フレーム)
5 シートドラム(格納繰出装置)
7 モータ
9 制御盤
11 シートガイド部
14 アウターレール
31 シートストッパ
32 ストッパ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10