(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
一対の前記第1昇降かご用シーブは、平面視で、前記第1昇降かごの重心位置に対して点対称に配置されていることを特徴とする請求項1または2に記載のエレベータ装置。
一対の前記第1横移動かご用シーブを結ぶ直線と前記横移動かごの重心位置との平面距離と、前記第2横移動かご用シーブと前記横移動かごの重心位置との平面距離とが、等しいことを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載のエレベータ装置。
前記前後移動機構は、前記支持枠に設けられた一対の横方向ガイドレールであって、前記横移動かごを前記第1昇降路と前記第2昇降路との間で横方向に案内する一対の横方向ガイドレールと、前記横移動かごに回転自在に設けられた被ガイド部材であって、前記横方向ガイドレールの間に介在されて当該横方向ガイドレールに案内される被ガイド部材と、を有し、
前記横方向ガイドレールは、横方向に延びる横方向ガイドレール本体と、前記横方向ガイドレール本体の両端部に設けられた、前記被ガイド部材を前記横移動かごの前後方向に案内する前後方向案内部と、を含んでいることを特徴とする請求項5に記載のエレベータ装置。
前記前後移動機構は、前記支持枠に設けられた、前後方向に延びる前後移動用ボールねじ軸と、前記前後移動用ボールねじ軸を回転させる前後移動用回転駆動部と、前記横移動かごに設けられた、前記前後移動用ボールねじ軸に螺合する前後移動用ボールねじナットと、を有していることを特徴とする請求項5に記載のエレベータ装置。
前記前後移動機構は、前記支持枠に設けられた、前後方向に延びる前後方向ガイドレールと、前記横移動かごに設けられたスライダであって、前記前後方向ガイドレールに摺動自在に案内されるスライダと、を更に有していることを特徴とする請求項5乃至7のいずれかに記載のエレベータ装置。
【背景技術】
【0002】
一般に、中・高層のオフィスビル、大規模店舗等の建物においては、各階床間を移動するエレベータの乗客が多くなるため、エレベータの設置台数を増やしている。
【0003】
しかしながら、この場合、建物内にエレベータのかごが昇降する昇降路(シャフト)を多く設置することになるため、建物の容積のうち昇降路が占める割合が増加する。このことにより、建物として有効に利用できる空間が減少し、建物の大型化、高層化のメリットが失われるという問題がある。
【0004】
この問題に対する有効な対策の一つとして、ダブルデッキエレベータ(2階建てエレベータ)が知られている。ダブルデッキエレベータでは、例えば、出勤時に、下側のかごは奇数階のみ、上側のかごは偶数階のみに停止させる「ダブル運転モード」を適用して、特定の時間帯に集中する乗客を効率良く輸送している。この「ダブル運転モード」では、かごの停止回数を半分程度に減らすことができるため、かごが入口階から最上階まで運転して再び入口階に戻ってくるまでに要する時間を半分程度に低減することができる。
【0005】
このため、昇降路本数当たりの輸送乗客数を、通常のシングルかごエレベータの1.8倍程度に増大させることができる。すなわち、ダブルデッキエレベータは、要求される乗客輸送力を確保しつつ、昇降路の本数を1/1.8に減らすことができる有効なエレベータ装置として、特に高層のオフィスビルでよく利用されている。
【0006】
ダブルデッキエレベータは、「ダブル運転モード」のメリットが生かせる建物として、出勤時間帯や昼食時間帯など、ほぼ同じ時間帯に同じフロアから乗って同じフロアで降りる乗客が多いオフィスビルへの設置に適している。また、ダブルデッキエレベータは、特定のフロアだけを往復運転するシャトル運転が行われる建物への設置にも適している。
【0007】
ただし、上述した「ダブル運転モード」は、上下のかごが、奇数階か偶数階のいずれにしか停止しない。このため、偶数階から奇数階に、またはその逆の移動を希望する乗客は、直接目的階に向うことができない。このことにより、エレベータが本来持つべき「目的階へ直行できる」というメリットが損なわれるという問題がある。このことから、百貨店等のような大規模店舗等、不特定な階床間を移動する乗客が多い建物では、「ダブル運転モード」の適用が難しくなる。
【0008】
このような問題を解消するために、同一昇降路内に独立して走行する2台のかごが配置された「1シャフトマルチかごエレベータ装置」が知られている(例えば、特許文献1参照)。このシステムは、独立した2台のかごを同一昇降路(シャフト)内に走行させるシステムであるため、上側のかごと下側のかごとは別々に任意の階床に停止することができる。このため、偶数階から奇数階への移動を希望する乗客が利用しやすいシステムとなっている。また、1つの昇降路内に2台のかごを配置することができるため、ダブルデッキエレベータと同等の乗客輸送力を期待することができる。
【0009】
しかしながら、この「1シャフトマルチかごエレベータ装置」は、1本の昇降路内を上側のかごと下側のかごとが別々に昇降するというシステムであるため、かごの上下配置を変えることができない。すなわち、一方のかごは、他方のかごを追い越すことができないため、上側のかごと下側のかごとが互いに向かい合う方向に進んでお互いに対峙した場合には、先に進めない状態(行き詰まり)が生じ得る。
【0010】
このような「行き詰まり」に対処するために、「1シャフトマルチかごエレベータ装置」では、各階床の乗場(ホール)において乗客が目的階を予め登録し、目的階を登録した乗客が乗車すべきかごが指定される「目的階先行登録システム」が適用されている。このことにより、乗場で待機している乗客の目的階に適したかごを割り当てることができ、「行き詰まり」の発生防止を可能にしている。
【0011】
しかしながら、この場合であっても、乗客の各乗場での乗り降り時間を正確に予測することは困難である。このため、「行き詰まり」を未然に防止するには不十分である。
【0012】
また、循環式昇降路内を複数台のエレベータのかごが走行するエレベータ装置が知られている(例えば、特許文献2参照)。しかしながら、このエレベータ装置においても、乗客の各乗場での乗り降り時間を正確に予測することは困難である。このため、一のかごが、先行するかごの存在によって先に進めないという事態が起こり得る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
上述したような「行き詰まりの」の問題に対して、「1シャフトマルチかごエレベータ装置」において、互いに隣接する昇降路間を横方向に移動可能な横移動かごが設けられたエレベータ装置が検討されている。このようなエレベータ装置では、「行き詰まり」が発生しそうになった昇降路に存在している横移動かごを、他方の昇降路に移動させる。このようにして、「行き詰まり」を回避可能にしている。
【0015】
図12乃至
図15に、上述した横移動かご230を有するエレベータ装置201の構成の一例を示す。当該エレベータ装置201は、
図12に示すように、第1昇降路202内を昇降自在な第1昇降かご210と、第2昇降路203内を昇降自在な第2昇降かご220と、第1昇降路202内および第2昇降路203内を昇降自在であるとともに、第1昇降路202と第2昇降路203との間で横方向に移動自在な横移動かご230と、を備えている。ここで、第2昇降路203は、第1昇降路202に並行に連続空間で形成されている。
【0016】
第1昇降路202に、一対の第1かご用ガイドレール211が設けられている。また、第1昇降かご210に、第1ガイドローラ212が設けられており、第1ガイドローラ212は、第1かご用ガイドレール211に案内されるようになっている。なお、第1昇降かご210には、
図13に示すように、第1ロープ213を介して第1釣合錘214が連結されている。第1ロープ213は、第1巻上機215によって巻き上げられ、第1巻上機215は、第1ロープ213を介して第1昇降かご210を昇降するようになっている。
【0017】
図12に示すように、第2昇降路203に、一対の第2かご用ガイドレール221が設けられている。また、第2昇降かご220に、第2ガイドローラ222が設けられており、第2ガイドローラ222は、第2かご用ガイドレール221に案内されるようになっている。なお、第2昇降かご220には、
図13に示すように、第2ロープ223を介して第2釣合錘224(
図14参照)が連結されている。第2ロープ223は、第2巻上機225によって巻き上げられ、第2巻上機225は、第2ロープ223を介して第2昇降かご220を昇降するようになっている。
【0018】
図12に示すように、横移動かご230は、支持枠231によって支持されて、第1昇降路202内または第2昇降路203内を昇降するようになっている。すなわち、第1昇降路202に、第3かご用ガイドレール232が設けられ、第2昇降路203に、第4かご用ガイドレール233が設けられ、支持枠231は、第3かご用ガイドレール232および第4かご用ガイドレール233に案内されて昇降するようになっている。ここで、支持枠231に、第3ガイドローラ234および第4ガイドローラ235が設けられており、第3ガイドローラ234が第3かご用ガイドレール232に案内され、第4ガイドローラ235が第4かご用ガイドレール233に案内されるようになっている。
【0019】
図13に示すように、支持枠231には、横移動かご用ロープ236を介して横移動かご用釣合錘237(
図14参照)が連結されている。横移動かご用ロープ236は、横移動かご用巻上機238によって巻き上げられ、横移動かご用巻上機238は、横移動かご用ロープ236を介して横移動かご230を昇降するようになっている。
【0020】
図12に示すように、横移動かご230は、支持枠231に対して、横移動機構240によって横方向に移動自在になっている。すなわち、横移動機構240は、支持枠231に設けられた横移動用ボールねじ軸241と、横移動用ボールねじ軸241に螺合する横移動用ボールねじナット242と、横移動用ボールねじ軸241を回転させる横移動用モータ243と、を有している。横移動用ボールねじナット242には、アーム244が連結され、当該アーム244に横移動かご230が連結されている。このことにより、横移動用モータ243を駆動させると、横移動用ボールねじ軸241が回転し、横移動用ボールねじナット242およびアーム244を介して、横移動かご230が支持枠231に対して横方向に移動することができる。
【0021】
このようにして構成されたエレベータ装置201では、第1昇降かご210は第1昇降路202内を昇降し、第2昇降かご220は第2昇降路203内を昇降する。横移動かご230は、第1昇降路202内または第2昇降路203内を昇降する。例えば、第1昇降路202内を昇降している横移動かご230に、第1昇降かご210が接近して「行き詰まり」が発生しそうになった場合には、支持枠231に設けられた横移動機構240の横移動用モータ243を駆動する。このことにより、横移動かご230が、第1昇降路202から第2昇降路203に横方向に移動することができ、「行き詰まり」の発生を防止することができる。このため、上述した「目的階先行登録システム」を利用することなく、「行き詰まり」を防止することができ、簡素化された制御方法を用いて低コストで「1シャフトマルチかごエレベータ装置」のメリットを最大限に引き出すことが可能となる。
【0022】
しかしながら、横移動かご230を横方向に移動可能とさせるために、上述した各ロープ213、223、236の他に、ガイドレール211、221、232、テールコード(図示せず)等の部材は、横移動かご230の横方向移動の軌跡によって画定される軌跡領域内を通すことは困難である。そこで、
図14に示すように、ロープ213、223、236、ガイドレール211、221、232等の部材は、第1昇降かご210および第2昇降かご220の周囲の領域であって、第1昇降路202の壁面の近傍または第2昇降路203の壁面の近傍の領域に配置されている。なお、
図14においては、図面を明瞭にするために、横移動かご230は、第1昇降かご210および第2昇降かご220より若干後方にずらして示している。
【0023】
すなわち、横移動かご230を横方向に移動可能とさせるために、第1昇降かご210に連結された第1ロープ213は、第1釣合錘214とともに、第1昇降かご210の
図14に示す左側(第2昇降かご220の側とは反対側)に配置されている。そして、第1ロープ213は、第1昇降かご210に設けられた一対の第1かごシーブ216に巻き掛けられている。この場合、一対の第1かごシーブ216が、第1昇降かご210の重心位置G1に対して、平面視で一方の側(
図14における左側)に偏って配置される。このことにより、第1ロープ213の張力により、第1昇降かご210を下方に傾斜させる方向に、第1昇降かご210の自重によるモーメントが発生するという問題がある。
【0024】
ここで、かごの自重によるモーメントの発生を説明するための図を
図15に示す。
図15に示すように、エレベータ装置201が運転されている間、質量W1の第1昇降かご210は、第1ロープ213から張力T1を受けている。このことにより、第1昇降かご210には、重心位置G1まわりのモーメントM1が負荷される。
【0025】
このモーメントM1に対向して第1昇降かご210の姿勢を水平に維持するために、第1ガイドローラ212が、大型化され、強度および剛性が増大し、ガイドローラのコストが高くなるという問題がある。また、この場合、第1ガイドローラ212に大きな力が負荷され、第1かご用ガイドレール211が変形して、昇降時に第1昇降かご210に振動が発生して乗り心地が悪化する恐れもある。
【0026】
また、横移動かご230を横方向に移動可能とさせるために、第2昇降かご220に連結された第2ロープ223は、第2釣合錘224とともに、第2昇降かご220の
図14に示す右側(第1昇降かご210の側とは反対側)に配置されている。そして、第2ロープ223は、第2昇降かご220に設けられた一対の第2かごシーブ226に巻き掛けられている。この場合、一対の第2かごシーブ226が、第2昇降かご220の重心位置G2に対して、平面視で偏って配置される。このことにより、第2ロープ223の張力により、第2昇降かご220を下方に傾斜させる方向に、第2昇降かご220の自重によるモーメントが発生するという問題がある。
【0027】
図15に示すように、質量W2の第2昇降かご220には、第2ロープ223から張力T2を受けている。このことにより、第2昇降かご220には、重心位置G2まわりのモーメントM2が負荷される。
【0028】
このモーメントM2に対向して第2昇降かご220の姿勢を水平に維持するために、第2ガイドローラ222が、大型化され、強度および剛性が増大し、ガイドローラのコストが高くなるという問題がある。また、この場合、第2ガイドローラ222に大きな力が負荷され、第2かご用ガイドレール221が変形して、昇降時に第2昇降かご220に振動が発生して乗り心地が悪化する恐れもある。
【0029】
本発明は、このような点を考慮してなされたものであり、第1昇降路と第2昇降路との間で横方向に移動自在な横移動かごを有するエレベータ装置であって、ロープの張力によりかごを下方に傾斜させる方向にかごに負荷されるモーメントを低減して、低コストで乗り心地を改善することができるエレベータ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0030】
実施の形態によれば、第1昇降路内を昇降自在な第1昇降かごと、前記第1昇降かごに第1昇降かご用ロープを介して連結された第1昇降かご用釣合錘と、前記第1昇降かご用ロープを介して前記第1昇降かごを昇降させる第1昇降かご用昇降駆動部と、前記第1昇降路に並行に連続空間で形成された第2昇降路内を昇降自在な第2昇降かごと、前記第1昇降路内および前記第2昇降路内を昇降自在であるとともに、当該第1昇降路と当該第2昇降路との間で横方向に移動自在な横移動かごと、前記横移動かごを横方向に移動させる横移動機構と、を備え、前記第1昇降かご用ロープは、前記横移動かごの横方向移動の軌跡によって画定される軌跡領域の外側を通っており、前記第1昇降かごに、前記第1昇降かご用ロープが巻き掛けられた一対の第1昇降かご用シーブが設けられ、一対の前記第1昇降かご用シーブの間に、平面視で前記第1昇降かごの重心位置が配置されていることを特徴とするエレベータ装置が提供される。
【0031】
また、実施の形態によれば、第1昇降路内を昇降自在な第1昇降かごと、前記第1昇降路に並行に連続空間で形成された第2昇降路内を昇降自在な第2昇降かごと、前記第1昇降路から前記第2昇降路にわたって形成され、当該第1昇降路内および当該第2昇降路内を昇降自在な支持枠と、前記支持枠に横方向に移動自在に設けられ、前記第1昇降路と前記第2昇降路との間で横方向に移動自在な横移動かごと、前記支持枠に第1横移動かご用ロープを介して連結された第1横移動かご用釣合錘と、前記第1横移動かご用ロープを介して前記支持枠を昇降させる横移動かご用昇降駆動部と、前記支持枠に第2横移動かご用ロープを介して連結された第2横移動かご用釣合錘と、を備え、前記支持枠に、前記第1横移動かご用ロープが巻き掛けられた一対の第1横移動かご用シーブが設けられるとともに、前記第2横移動かご用ロープが巻き掛けられた第2横移動かご用シーブが設けられ、一対の前記第1横移動かご用シーブを結ぶ直線と、前記第2横移動かご用シーブとの間に、平面視で前記横移動かごの重心位置が配置されていることを特徴とするエレベータ装置が提供される。
【発明を実施するための形態】
【0033】
図面を用いて、本発明の実施の形態におけるエレベータ装置について説明する。なお、本明細書に添付する図面においては、図示と理解のしやすさの便宜上、適宜縮尺および縦横の寸法比等を、実物のそれらから変更し誇張してある。
【0034】
(第1の実施の形態)
図1乃至
図8を用いて、第1の実施の形態におけるエレベータ装置について説明する。
【0035】
図1に示すように、エレベータ装置1は、第1昇降路2内を昇降自在な第1昇降かご10と、第2昇降路3内を昇降自在な第2昇降かご30と、第1昇降路2内および第2昇降路3内を昇降自在であるとともに、当該第1昇降路2と当該第2昇降路3との間で横方向に移動自在な横移動かご50と、を備えている。ここで、第2昇降路3は、第1昇降路2に並行に連続空間で一体に形成されている。このような構成において、各かごは、第1昇降路2内または第2昇降路3内を昇降することによって、エレベータ装置1が設置された建物の各階床に設けられた乗場4(
図3等参照)間を昇降し、エレベータの乗客を目的階に輸送するようになっている。なお、横方向とは、乗場4側からかごをみたときのかごの前後方向に直交する水平方向、例えば、
図3における左右の方向を意味している。
【0036】
図2に示すように、第1昇降かご10には、第1ロープ(第1昇降かご用ロープ)11を介して第1釣合錘(第1昇降かご用釣合錘)12が連結されている。第1ロープ11は、第1巻上機(第1昇降かご用昇降駆動部)13によって巻き上げられ、第1巻上機13は、第1ロープ11を介して第1昇降かご10を昇降するようになっている。なお、第1巻上機13は、第1昇降路2の上部に配置されており、第1巻上機13には、第1ロープ11が巻き掛けられた第1駆動シーブ14が設けられている。第1駆動シーブ14の側方には、第1そらせシーブ15が設けられている。
【0037】
第1昇降かご10には、第1ロープ11が巻き掛けられた一対の第1かごシーブ(第1昇降かご用シーブ)16が設けられている。第1釣合錘12には、第1ロープ11が巻き掛けられた第1錘シーブ17が設けられている。
【0038】
なお、第1ロープ11は、その両端部が第1ヒッチ部18によって昇降路壁(例えば昇降路の天井)に固定されて、各シーブに巻き掛けられている。すなわち、第1ロープ11は、一方の第1ヒッチ部18から下方に延びて第1錘シーブ17に巻き掛けられ、第1錘シーブ17から上方に延びて第1駆動シーブ14に巻き掛けられている。そして、第1ロープ11は、第1駆動シーブ14から横方向に延びて第1そらせシーブ15に巻き掛けられて、第1そらせシーブ15から下方に延びて一対の第1かごシーブ16に巻き掛けられ、第1かごシーブ16から上方に延びて他方の第1ヒッチ部18に固定されている。また、第1ロープ11は、平面視で、第1昇降かご10の外側を通るとともに、横移動かご50の後述する軌跡領域58(
図5参照)の外側を通っている。
【0039】
図3に示すように、第1昇降路2に、一対の第1かご用ガイドレール20が設けられている。第1昇降かご10には、第1ガイドローラ212(
図12等参照)が設けられており、第1ガイドローラ212は、第1かご用ガイドレール20に案内されるようになっている。このようにして、第1巻上機13によって第1ロープ11が巻き上げられることにより、第1昇降かご10は、第1かご用ガイドレール20に案内されて昇降するようになっている。なお、一対の第1かご用ガイドレール20は、平面視で、第1昇降かご10よりも第2昇降路3の側とは反対側(
図3における左側)に配置されている。
【0040】
第1昇降路2に、一対の第1錘用ガイドレール21が設けられている。第1巻上機13によって第1ロープ11が巻き上げられることにより、第1釣合錘12は、第1錘用ガイドレール21に案内されて昇降するようになっている。なお、第1釣合錘12および一対の第1錘用ガイドレール21は、平面視で、第1かご用ガイドレール20よりも第2昇降路3の側とは反対側(
図3における左側)に配置されている。
【0041】
図3に示すように、一対の第1かごシーブ16の間に、平面視で、第1昇降かご10の重心位置G1が配置されている。すなわち、一対の第1かごシーブ16のうち一方の第1かごシーブ16は、平面視で、第1昇降かご10の重心位置G1よりも、第2昇降路3の側かつ前方(乗場4の側)に配置されている。また、他方の第1かごシーブ16は、平面視で、第1昇降かご10の重心位置G1よりも、第2昇降路3の側とは反対側かつ後方に配置されている。
【0042】
具体的には、第1昇降かご10は、
図1乃至
図3に示すように、第1かご枠22によって支持されており、第1かご枠22は、第1昇降かご10の上方に設けられた、直線状に延びる第1シーブ梁23を有している。第1シーブ梁23は、第1昇降かご10の前後方向(乗場4ル側からかごをみたときのかごの前後方向、奥行き方向)に対して傾斜するようにかつ水平に配置されている。すなわち、
図3に示すように、第1シーブ梁23の第2昇降路3の側の端部が、第1昇降かご10の前部に配置されている。第2昇降路3の側とは反対側の端部は、第1昇降かご10の後部に配置されている。そして、第1シーブ梁23の両端部に、第1かごシーブ16がそれぞれ回転自在に取り付けられている。この際、第1昇降かご10の重心位置G1と一方の第1かごシーブ16との距離L1が、第1昇降かご10の重心位置G1と他方の第1かごシーブ16との距離L2と等しく、一対の第1かごシーブ16は、第1昇降かご10の重心位置G1に対して、平面視で点対称に配置されていることが好適である。ここで、等しいという文言および点対称という文言は、厳密な意味に限られることはなく、一方の第1かごシーブ16側の第1ロープ11の部分の張力による重心位置まわりのモーメントと、他方の第1かごシーブ16側の第1ロープ11の部分の張力による重心位置まわりのモーメントとが実質的に等しいとみなせる程度の製造誤差等を含めた意味として用いている。
【0043】
第2昇降かご30は、第1昇降かご10と同様な構成によって、第2昇降路3内を昇降するようになっている。すなわち、
図2に示すように、第2昇降かご30には、第2ロープ31を介して第2釣合錘32(
図3参照)が連結されている。第2ロープ31は、図示しない第2巻上機(第2昇降駆動部)によって巻き上げられ、第2巻上機は、第2ロープ31を介して第2昇降かご30を昇降するようになっている。なお、第2巻上機は、第2昇降路3の上部に配置されており、第2巻上機には、第2ロープ31が巻き掛けられた第2駆動シーブ(図示せず)が設けられている。第2駆動シーブの側方には、第2そらせシーブ(図示せず)が設けられている。
【0044】
第2昇降かご30には、第2ロープ31が巻き掛けられた一対の第2かごシーブ36が設けられている。第2釣合錘32には、第2ロープ31が巻き掛けられた第2錘シーブ37が設けられている。
【0045】
なお、第2ロープ31は、その両端部が図示しない第2ヒッチ部によって昇降路壁(例えば昇降路の天井)に固定されて、各シーブに巻き掛けられている。すなわち、第2ロープ31は、一方の第2ヒッチ部から下方に延びて第2錘シーブ37に巻き掛けられ、第2錘シーブ37から上方に延びて第2駆動シーブに巻き掛けられている。そして、第2ロープ31は、第2駆動シーブから横方向に延びて第2そらせシーブに巻き掛けられて、第2そらせシーブから下方に延びて一対の第2かごシーブ36に巻き掛けられ、第2かごシーブ36から上方に延びて他方の第2ヒッチ部に固定されている。また、第2ロープ31は、平面視で、第2昇降かご30の外側を通るとともに、横移動かご50の後述する軌跡領域58(
図5参照)の外側を通っている。
【0046】
図3に示すように、第2昇降路3に、一対の第2かご用ガイドレール40が設けられている。第2昇降かご30には、第2ガイドローラ222(
図12参照)が設けられており、第2ガイドローラ222は、第2かご用ガイドレール40に案内されるようになっている。このようにして、第2巻上機によって第2ロープ31が巻き上げられることにより、第2昇降かご30は、第2かご用ガイドレール40に案内されて昇降するようになっている。なお、一対の第2かご用ガイドレール40は、平面視で、第2昇降かご30に対して、第1昇降路2の側とは反対側(
図3における右側)に配置されている。
【0047】
第2昇降路3に、一対の第2錘用ガイドレール41が設けられている。第2巻上機によって第2ロープ31が巻き上げられることにより、第2釣合錘32は、第2錘用ガイドレール41に案内されて昇降するようになっている。なお、第2釣合錘32および一対の第2錘用ガイドレール41は、平面視で、第2かご用ガイドレール40よりも第1昇降路2の側とは反対側(
図3における右側)に配置されている。
【0048】
第2かごシーブ36は、第1昇降かご10に設けられた第1かごシーブ16と同様にして第1昇降かご10に配置されている。すなわち、
図3に示すように、一対の第2かごシーブ36の間に、平面視で、第2昇降かご30の重心位置G2が配置されている。より詳細には、一対の第2かごシーブ36のうち一方の第2かごシーブ36は、平面視で、第2昇降かご30の重心位置G2よりも、第1昇降路2の側かつ前方に配置されている。また、他方の第2かごシーブ36は、平面視で、第2昇降かご30の重心位置G2よりも、第1昇降路2の側とは反対側かつ後方に配置されている。これらの第2かごシーブ36は、第1かごシーブ16と同様にして、第2昇降かご30の上方に設けられた第2かご枠42の第2シーブ梁43に取り付けられている。そして、一対の第2かごシーブ36は、第2昇降かご30の重心位置G2に対して、点対称に配置されていることが好適である。
【0049】
図1に示すように、横移動かご50は、支持枠51によって支持されて、第1昇降路2内または第2昇降路3内を昇降するようになっている。支持枠51は、第1昇降路2から第2昇降路3にわたって形成され、第1昇降路2内および第2昇降路3内を昇降自在に構成されている。また、支持枠51は、横移動かご50の後方に配置されており、第1昇降かご10および第2昇降かご30と干渉しないように構成されている。さらに、支持枠51は、前方から見た場合に、矩形枠状に形成されている。
【0050】
横移動かご50は、横移動機構52によって、支持枠51に対して第1昇降路2と第2昇降路3との間で横方向に移動自在に構成されている。横移動機構52は、
図4に示すように、支持枠51に設けられた横移動用ボールねじ軸53と、横移動用ボールねじ軸53に螺合する横移動用ボールねじナット54と、横移動用ボールねじ軸53を回転させる横移動用モータ55と、を有している。横移動用ボールねじナット54には、アーム56が連結され、当該アーム56に横移動かご50が連結されている。このことにより、横移動用モータ55を駆動させると、横移動用ボールねじ軸53が回転し、横移動用ボールねじナット54およびアーム56を介して、横移動かご50が支持枠51に対して横方向に移動することができる。なお、
図1に示すように、本実施の形態においては、支持枠51の下部に横移動機構ガイドレール57が設けられており、横移動かご50の横移動を案内するようになっている。
【0051】
この横移動かご50の横方向移動の軌跡によって、軌跡領域58が画定される。本実施の形態においては、
図5に示すように、軌跡領域58の平面形状は、矩形形状となっている。
【0052】
図4に示すように、支持枠51には、第3ロープ(第1横移動かご用ロープ)61を介して第3釣合錘(第1横移動かご用釣合錘)62が連結されている。第3ロープ61は、第3巻上機(横移動かご用昇降駆動部)63によって巻き上げられるようになっている。このようにして、第3巻上機63は、第3ロープ61を介して、支持枠51を昇降するようになっている。なお、本実施の形態においては、第3巻上機63は、第1昇降路2の上部に配置されており、第3巻上機63には、第3ロープ61が巻き掛けられた第3駆動シーブ64(駆動シーブ)が設けられている。
【0053】
支持枠51には、第3ロープ61が巻き掛けられた一対の第3かごシーブ(第1横移動かご用シーブ)66が設けられている。第3釣合錘62に、第3ロープ61が巻き掛けられた第3錘シーブ67が設けられている。
【0054】
なお、第3ロープ61は、その両端部が第3ヒッチ部68によって昇降路壁(例えば昇降路の天井)に固定されて、各シーブに巻き掛けられている。すなわち、第3ロープ61は、一方の第3ヒッチ部68から下方に延びて第3錘シーブ67に巻き掛けられ、第3錘シーブ67から上方に延びて第3駆動シーブ64に巻き掛けられている。そして、第3ロープ61は、第3駆動シーブ64から下方に延びて一対の第3かごシーブ66に巻き掛けられ、第3かごシーブ66から上方に延びて他方の第3ヒッチ部68に固定されている。また、第3ロープ61は、平面視で、横移動かご50の軌跡領域58の外側を通っている。
【0055】
図5に示すように、第1昇降路2に、第3かご用ガイドレール80が設けられ、第2昇降路3に、第4かご用ガイドレール90が設けられている。横移動かご50には、第3ガイドローラ234(
図12等参照)が設けられており、第3ガイドローラ234は、第3かご用ガイドレール80に案内されるようになっている。また、横移動かご50には、第4ガイドローラ235(
図12等参照)が設けられており、第4ガイドローラ235は、第4かご用ガイドレール90に案内されるようになっている。このようにして、第3巻上機63によって第3ロープ61が巻き上げられることにより、支持枠51は、第3かご用ガイドレール80および第4かご用ガイドレール90に案内されて昇降するようになっている。なお、第3かご用ガイドレール80は、平面視で、横移動かご50よりも、第2昇降路3の側とは反対側(
図5における左側)に配置され、第4かご用ガイドレール90は、平面視で、横移動かご50よりも、第1昇降路2の側とは反対側(
図5における右側)に配置されている。
【0056】
図5に示すように、第1昇降路2に、一対の第3錘用ガイドレール81が設けられている。第3巻上機63によって第3ロープ61が巻き上げられることにより、第3釣合錘62は、第3錘用ガイドレール81に案内されて昇降するようになっている。なお、第3釣合錘62および一対の第3錘用ガイドレール81は、平面視で、支持枠51よりも第2昇降路3の側とは反対側(
図5における左側)に配置されている。
【0057】
支持枠51には、第4ロープ(第2横移動かご用ロープ)71を介して第4釣合錘(第2横移動かご用釣合錘)72が連結されている。第2昇降路3の上部には、一対の横移動かご用そらせシーブ75が設けられている。また、支持枠51には、第4ロープ71が巻き掛けられた第4かごシーブ(第2横移動かご用シーブ)76が設けられている。第4釣合錘72には、第4ロープ71が巻き掛けられた第4錘シーブ77が設けられている。
【0058】
第4ロープ71は、その両端部が第4ヒッチ部78によって昇降路壁(例えば昇降路の天井)に固定されて、各シーブに巻き掛けられている。すなわち、第4ロープ71は、一方の第4ヒッチ部78から下方に延びて第4錘シーブ77に巻き掛けられ、第4錘シーブ77から上方に延びて一対の横移動かご用そらせシーブ75に巻き掛けられ、一対の横移動かご用そらせシーブ75から下方に延びて第4かごシーブ76に巻き掛けられ、第4かごシーブ76から上方に延びて他方の第4ヒッチ部78に固定されている。また、第4ロープ71は、平面視で、横移動かご50の軌跡領域58の外側を通っている。
【0059】
図5に示すように、第2昇降路3に、一対の第4錘用ガイドレール91が設けられている。第3巻上機63によって第3ロープ61が巻き上げられ、第4釣合錘72は、第4錘用ガイドレール91に案内されて昇降するようになっている。なお、第4釣合錘72および一対の第4錘用ガイドレール91は、平面視で、支持枠51よりも第1昇降路2の側とは反対側(
図5における右側)に配置されている。
【0060】
一対の第3かごシーブ66は、横移動かご50の後方に配置されている。すなわち、横移動かご50の後方に配置された支持枠51は、横移動かご50より上方に設けられた横方向に延びる第3シーブ梁82を有しており、この第3シーブ梁82の両端部に、一対の第3かごシーブ66がそれぞれ回転自在に取り付けられている。
【0061】
第4かごシーブ76は、横移動かご50の前部に配置されている。すなわち、第3シーブ梁82には、第3シーブ梁82から前方に延びる第4シーブ梁92が連結されており、この第4シーブ梁92の前端部に、第4かごシーブ76が回転自在に取り付けられている。
【0062】
そして、第4かごシーブ76は、一対の第3かごシーブ66を結ぶ直線に平行な横移動かご50の重心位置G3を通る基準線に対して、第3かごシーブ66の側とは反対側に配置されている。すなわち、一対の第3かごシーブ66を結ぶ直線(
図5に示すS)と、第4かごシーブ76との間に、平面視で横移動かご50の重心位置G3が配置されている。この際、
図6に示すように、一対の第3かごシーブ66を結ぶ直線と横移動かご50の重心位置G3との距離L3が、第4かごシーブ76と横移動かご50の重心位置G3との距離L4と等しくすることが好適である。この場合、第3釣合錘62と第4釣合錘72とを等しくすることができる。ここで、等しいとは、厳密な意味に限られることはなく、第3ロープ61の張力による重心位置まわりのモーメントと、第4ロープ71の張力による重心位置まわりのモーメントとが実質的に等しいとみなせる程度の製造誤差等を含めた意味として用いている。なお、第3釣合錘62と第4釣合錘72との合計質量が、横移動かご50の質量(支持枠51等の質量を含む)に見合った質量となるように設定することが好適である。
【0063】
次に、このような構成からなる本実施の形態の作用について説明する。
【0064】
本実施の形態におけるエレベータ装置1において、第1昇降かご10は、第1巻上機13によって第1昇降路2内を昇降し、第2昇降かご30は、第2巻上機によって第2昇降路3内を昇降する。横移動かご50は、第3巻上機63によって第1昇降路2内または第2昇降路3内を昇降する。
【0065】
ここで、例えば、第1昇降路2内を昇降している横移動かご50と第1昇降かご10とが互いに接近して、横移動かご50および第1昇降かご10が目的階に向うことが困難になった場合には、横移動機構52の横移動用モータ55を駆動する。このことにより、横移動用ボールねじ軸53が回転し、
図7および
図8に示すように、当該横移動用ボールねじ軸53に螺合する横移動用ボールねじナット54が横方向に移動する。この横移動用ボールねじナット54の横方向移動に伴って、横移動用ボールねじナット54にアーム56を介して連結された横移動かご50が、横方向に移動する。
【0066】
ここで、第1ロープ11および第2ロープ31は、横移動かご50の横方向移動の軌跡によって画定された軌跡領域58の外側を通っている。このことにより、横移動かご50が第1昇降路2と第2昇降路3との間で移動する際、第1ロープ11および第2ロープ31が横移動かご50に接触することを防止することができ、横移動かご50はスムーズに横移動することができる。
【0067】
このようにして、横移動かご50が、第1昇降路2から第2昇降路3に横方向に移動することができ、第1昇降かご10および横移動かご50は、目的階に向うことが可能となる。同様にして、横移動かご50は、第2昇降路3から第1昇降路2に向ってスムーズに移動することができる。
【0068】
ところで、エレベータ装置1が運転されている間、第1昇降かご10は、第1ロープ11から張力T1を受けている。この張力T1は、第1昇降かご10の質量W1による重力と釣り合っていることから、
2×T1=W1×g
という式が成り立つ。ここで、gは、重力加速度を表している。
【0069】
一方、第1ロープ11の張力により、第1昇降かご10の重心位置G1まわりに生じるモーメントM1は、
図3に示すL1、L2を用いると、
M1=T1×(L1−L2)
と表される。
【0070】
しかしながら、本実施の形態においては、一対の第1かごシーブ16の間に、平面視で、第1昇降かご10の重心位置G1が配置されている。このことから、上記モーメントM1を低減することができる。とりわけ、一対の第1かごシーブ16は、第1昇降かご10の重心位置G1に対して、平面視で点対称に配置されている場合には、上記モーメントM1をより一層低減することができ、第1昇降かご10に、第1ロープ11の張力によるモーメントが負荷されることを抑制できる。同様に、第2昇降かご30にかかる第2ロープ31の張力によるモーメントM2も低減することができる。
【0071】
また、エレベータ装置1が運転されている間、
図6に示すように、横移動かご50は、第3ロープ61から張力T3を受け、第4ロープ71から張力T4を受けている。しかしながら、本実施の形態においては、第4かごシーブ76は、一対の第3かごシーブ66を結ぶ直線に平行な横移動かご50の重心位置G3を通る基準線に対して、第3かごシーブ66の側とは反対側に配置されている。このことから、第3ロープ61の張力および第4ロープ71の張力による横移動かご50の重心位置G3まわりに生じる奥行き方向(前後方向)のモーメントM3を低減することができる。ここで、モーメントM3は、
図6に示すL3、L4を用いると、
M3=2×T3×L3−2×T4×L4
と表される。
【0072】
すなわち、第3ロープ61の張力T3と、第4ロープ71の張力T4は、第3釣合錘62の質量をW3とし、第4釣合錘72の質量をW4とすると、
T3:T4=W3:W4
と表せる。また、質量W3、W4を、
W3:W4=L4:L3
と設定すると、
T3:T4=L4:L3
とすることができ、これにより、
T3×L3=T4×L4
となる。このことにより、上記モーメントM3をより一層低減することができ、横移動かご50に、第3ロープ61の張力および第4ロープ71の張力によるモーメントが負荷されることを抑制できる。
【0073】
このように本実施の形態によれば、一対の第1かごシーブ16の間に、平面視で、第1昇降かご10の重心位置G1が配置されている。このことにより、第1ロープ11の張力により第1昇降かご10に負荷される重心位置G1まわりのモーメントM1を低減することができ、第1昇降かご10が下方に傾斜することを防止できる。この場合、第1かご用ガイドレール20に案内される第1ガイドローラ212(
図12等参照)に負荷される力が増大することを防止できる。このことにより、第1ガイドローラ212が大型化されることを防止し、第1ガイドローラ212に要求される強度および剛性を低減し、第1ガイドローラ212のコストを低減することができる。また、第1ガイドローラ212に負荷される力が増大することを防止できるため、第1かご用ガイドレール20および第1ガイドローラ212が変形することを防止でき、横移動かご50の乗り心地を改善することができる。とりわけ、一対の第1かごシーブ16が第1昇降かご10の重心位置G1に対して平面視で点対称に配置されている場合、第1昇降かご10が下方に傾斜することをより一層防止することができ、第1ガイドローラ212に負荷される力が増大することをより一層防止できる。
【0074】
また、本実施の形態によれば、一対の第2かごシーブ36の間に、平面視で、第2昇降かご30の重心位置G2が配置されている。このことにより、第2ロープ31の張力により第2昇降かご30に負荷される重心位置G2まわりのモーメントM2を低減することができ、第2昇降かご30が下方に傾斜することを防止できる。この場合、第2かご用ガイドレール40に案内される第2ガイドローラ222(
図12等参照)に負荷される力が増大することを防止できる。このことにより、第2ガイドローラ222が大型化されることを防止し、第2ガイドローラ222に要求される強度および剛性を低減し、第2ガイドローラ222のコストを低減することができる。また、第2ガイドローラ222に負荷される力が増大することを防止できるため、第2かご用ガイドレール40および第2ガイドローラ222が変形することを防止でき、横移動かご50の乗り心地を改善することができる。とりわけ、一対の第2かごシーブ36が第2昇降かご30の重心位置G2に対して平面視で点対称に配置されている場合、第2昇降かご30が下方に傾斜することをより一層防止することができ、第2ガイドローラ222に負荷される力が増大することをより一層防止できる。
【0075】
また、本実施の形態によれば、一対の第3かごシーブ66を結ぶ直線と、第4かごシーブ76との間に、平面視で横移動かご50の重心位置G3が配置されている。このことにより、第3ロープ61の張力および第4ロープ71の張力により、横移動かご50に負荷される重心位置G3まわりのモーメントM3を低減することができる。このため、横移動かご50が、その横方向位置に関わることなく、下方に傾斜することを防止することができる。この場合、第3かご用ガイドレール80に案内される第3ガイドローラ234(
図12等参照)に負荷される力が増大すること、および、第4かご用ガイドレール90に案内される第4ガイドローラ235に負荷される力が増大することを防止できる。このことにより、第3ガイドローラ234および第4ガイドローラ235が大型化されることを防止し、第3ガイドローラ234および第4ガイドローラ235に要求される強度および剛性を低減し、第3ガイドローラ234および第4ガイドローラ235のコストを低減することができる。また、第3ガイドローラ234および第4ガイドローラ235に負荷される力が増大することを防止できるため、第3ガイドローラ234および第3かご用ガイドレール80並びに第4ガイドローラ235および第4かご用ガイドレール90が変形することを防止でき、横移動かご50の乗り心地を改善することができる。とりわけ、横移動かご50の重心位置G3と一対の第3かごシーブ66を結ぶ直線との距離L3が、横移動かご50の重心位置G3と第4かごシーブ76との距離L4と等しい場合、横移動かご50が下方に傾斜することをより一層防止することができ、第3ガイドローラ234および第4ガイドローラ235に負荷される力が増大することをより一層防止できる。
【0076】
また、本実施の形態によれば、第1ロープ11および第2ロープ31は、横移動かご50の軌跡領域58の外側を通るように配置されている。このことにより、横移動かご50が第1昇降路2と第2昇降路3との間を横方向に移動する際、横移動かご50に第1ロープ11および第2ロープ31が接触することを防止でき、横移動かご50は、スムーズに横方向に移動することができる。
【0077】
さらに、本実施の形態によれば、横移動かご50を第1昇降路2と第2昇降路3との間で横方向に移動自在に構成しながら、各かごのガイドローラに負荷される力を低減することができる。このため、乗客輸送力を増大させることができるエレベータ装置1を、低コストで製造でき、その乗り心地を改善することができる。また、本実施の形態によれば、横移動かご50に連結される釣合錘を、第3釣合錘62と第4釣合錘72とに分けて、これらの第3釣合錘62および第4釣合錘72を、支持枠51の両側に配置することができる。このことにより、エレベータ装置1の各機器を効率的に配置することができる。
【0078】
なお、上述した本実施の形態においては、第3巻上機63が、第3ロープ61を巻き上げる例について説明した。しかしながら、このことに限られることはなく、第3巻上機63は、第4ロープ71を巻き上げるように構成しても良い。
【0079】
また、上述した本実施の形態においては、横移動機構52は、回転するボールねじを用いた機構によって構成されている例について説明した。しかしながら、このことに限られることはなく、横移動機構52は、リニアモータを用いた機構によって構成することもできる。
【0080】
(第2の実施の形態)
次に、
図9により、本発明の第2の実施の形態におけるエレベータ装置について説明する。
【0081】
図9に示す第2の実施の形態においては、第3巻上機の側方に追加シーブが設けられて、第3駆動シーブと追加シーブとの間で第3ロープが複数回巻き掛けられている点が主に異なり、他の構成は、
図1乃至
図8に示す第1の実施の形態と略同一である。なお、
図9において、
図1乃至
図8に示す第1の実施の形態と同一部分には同一符号を付して詳細な説明は省略する。
【0082】
図9に示すように、第3駆動シーブ64の側方に、追加シーブ(そらせシーブ)100が設けられている。第3ロープ61は、第3駆動シーブ64および追加シーブ100に交互に複数回巻き掛けられている。すなわち、
図9には明瞭に示されていないが、第3ロープ61は、第3錘シーブ67から上方に延びて追加シーブ100に巻き掛けられ、追加シーブ100から横方向に延びて第3駆動シーブ64に巻き掛けられている。そして、第3ロープ61は、第3駆動シーブ64から横方向に延びて再び追加シーブ100に巻き掛けられ、追加シーブ100から横方向に延びて再び第3駆動シーブ64に巻き掛けられている。このようにして、第3ロープ61は、追加シーブ100および第3駆動シーブ64に2回ずつ交互に巻き掛けられている(ダブルラップ)。なお、第3ロープ61は、追加シーブ100および第3駆動シーブ64において、シーブの幅方向に異なる位置で2回巻き掛けられている。また、第3ロープ61が追加シーブ100および第3駆動シーブ64に巻き掛けられる回数はこれに限られることはない。ダブルラップされた第3ロープ61は、第3駆動シーブ64から下方に延びて第3かごシーブ66に巻き掛けられている。
【0083】
このように本実施の形態によれば、第3ロープ61は、第3駆動シーブ64および追加シーブ100に交互に複数回巻き掛けられている。このことにより、第3ロープ61と第3駆動シーブ64との間の摩擦力を増大させることができ、第3巻上機63の駆動力の第3ロープ61への伝達損失を低減することができる。とりわけ、本実施の形態によれば、第3ロープ61に連結された第3釣合錘62と、第4ロープ71に連結された第4釣合錘72との合計質量が、横移動かご50の質量に見合った質量となっており、この場合、第3ロープ61の張力が小さくなる傾向にある。しかしながら、本実施の形態によれば、第3ロープ61と第3駆動シーブ64との間の摩擦力を増大させることができることから、第3ロープ61の張力が小さくなった場合においても、第3巻上機63の駆動力の第3ロープ61への伝達損失を低減することができる。
【0084】
また、本実施の形態によれば、上述したように、第3ロープ61と第3駆動シーブ64との間の摩擦力を増大させることができることから、第3釣合錘62の質量と、第4釣合錘72の質量との比率の設定の自由度を向上させることができる。このことにより、第3ロープ61と第3巻上機63との間の摩擦力を確保するという観点で、第3釣合錘62の質量を制限することを不要とすることができる。このため、
図6に示すL3寸法とL4寸法とがずれている場合であっても、第3釣合錘62の質量と、第4釣合錘72の質量との比率を調整することにより、横移動かご50に負荷され得る上述したモーメントM3を容易に低減することができる。
【0085】
なお、上述した本実施の形態においては、第3巻上機63が第3ロープ61を巻き上げて、第3ロープ61が、第3駆動シーブ64と追加シーブ100とに交互に複数回巻き掛けられている例について説明した。しかしながら、このことに限られることはなく、第3巻上機63が第4ロープ71を巻き上げて、第4ロープ71が、第3駆動シーブ64と追加シーブ100とに交互に複数回巻き掛けられるようにしても良い。
【0086】
(第3の実施の形態)
次に、
図10により、本発明の第3の実施の形態におけるエレベータ装置について説明する。
【0087】
図10に示す第3の実施の形態においては、支持枠に対して横移動かごを前後方向に移動させる前後移動機構が設けられ、前後移動機構が、横方向に延びる横方向ガイドレールと、横方向ガイドレールに案内される被ガイド部材と、を有している点が主に異なり、他の構成は、
図1乃至
図8に示す第1の実施の形態と略同一である。なお、
図10において、
図1乃至
図8に示す第1の実施の形態と同一部分には同一符号を付して詳細な説明は省略する。
【0088】
図10(a)に示すように、本実施の形態におけるエレベータ装置1は、支持枠51に対して横移動かご50を前後方向に移動させる前後移動機構110を更に備えている。
【0089】
前後移動機構110は、支持枠51に設けられた一対の横方向ガイドレール111と、横移動かご50に回転自在に設けられた移動機構ガイドローラ(被ガイド部材)112と、を有している。このうち、横方向ガイドレール111は、第4シーブ梁92に固定されており、第1昇降路2と第2昇降路3との間で横移動かご50を横方向に案内するようになっている。
【0090】
横方向ガイドレール111は、横方向に延びる横方向ガイドレール本体113と、横方向ガイドレール本体113の両端部に設けられ、移動機構ガイドローラ112を横移動かご50の前後方向に案内する前後方向案内部114と、を含んでいる。横方向ガイドレール本体113は、横方向に直線状に形成され、前後方向案内部114は、横方向ガイドレール本体113から横移動かご50の前方に向って滑らかに屈曲するように形成されている。
【0091】
移動機構ガイドローラ112は、横方向ガイドレール111の間に介在されて、横方向ガイドレール111に案内されるようになっている。なお、移動機構ガイドローラ112は、横移動かご50の上方に設けられた第1上梁117に回転自在に取り付けられている。
【0092】
また、前後移動機構110は、支持枠51に設けられた、前後方向に延びる前後方向ガイドレール115と、横移動かご50に設けられた、前後方向ガイドレール115に摺動自在に案内されるスライダ116と、を更に有している。このうち、前後方向ガイドレール115はアーム56に固定されている。すなわち、アーム56と横移動かご50の間に、前後方向ガイドレール115およびスライダ116が介在されており、横移動かご50はアーム56に対して前後方向に摺動可能に構成されている。第1上梁117には、第1上梁117から後方に延びる第2上梁118が連結されており、この第2上梁118に、スライダ116が取り付けられている。
【0093】
ここで、横移動かご50が、例えば第1昇降路2から第2昇降路3に移動する場合について説明する。まず、横移動かご50が第1昇降路2内に位置している間、
図10(a)に示すように、前後移動機構110の移動機構ガイドローラ112は、横方向ガイドレール111の前後方向案内部114に位置している。
【0094】
横移動かご50が、横移動機構52によって第1昇降路2から第2昇降路3に向けて横方向の移動を開始すると、前後移動機構110の移動機構ガイドローラ112は、横方向ガイドレール111の前後方向案内部114に沿って案内される。このことにより、横移動かご50は、前後方向案内部114の形状に沿って、横方向に移動しながら後方にも移動する。この際、横移動かご50に設けられたスライダ116が、アーム56に設けられた前後方向ガイドレール115に案内されて後方に摺動する。
【0095】
前後移動機構110の移動機構ガイドローラ112が横方向ガイドレール111の横方向ガイドレール本体113に達すると、
図10(b)に示すように、横移動かご50は、横方向に延びる横方向ガイドレール111の形状に沿って、横方向に案内されながら移動する。この間、横方向ガイドレール111が横方向に直線状に形成されていることにより、横移動かご50は、前後方向の位置を維持しながら、横方向に移動する。
【0096】
前後移動機構110の移動機構ガイドローラ112が横方向ガイドレール111の第2昇降路3の側の前後方向案内部114に達すると、横移動かご50は、前後方向案内部114に沿って案内される。このことにより、横移動かご50は、当該前後方向案内部114の形状に沿って、横方向に移動しながら前方にも移動する。この際、横移動かご50に設けられたスライダ116が、アーム56に設けられた前後方向ガイドレール115に案内されて前方に摺動する。このようにして、横移動かご50を、第2昇降路3において、平面視で所定の位置に移動させることができる。このことにより、横移動かご50は、所望の階床の乗場に着床した際、乗客の乗降ができるようになる。
【0097】
同様にして、横移動かご50を、第2昇降路3から第1昇降路2に横方向に移動させることもできる。なお、本実施の形態による横移動かご50の軌跡領域58は、
図10(a)に示すように、横方向ガイドレール111の形状に対応した形状となっている。このことにより、前方に形成された凹状部分58aに、第1ロープ11および第2ロープ31を配置することが可能になる。
【0098】
このように本実施の形態によれば、横移動かご50は、第1昇降路2と第2昇降路3との間で横方向に移動する際、前後移動機構110によって、横方向に移動しながら前後方向に移動することができる。このことにより、横移動かご50を、横方向に移動させる際、第1ロープ11のうち前方の第1かごシーブ16から上方に延びる前方部分、および、第2ロープ31のうち前方の第2かごシーブ36から上方に延びる前方部分から遠ざけることができ、横移動かご50が、第1ロープ11の前方部分または第2ロープ31の前方部分に接触することをより一層防止することができる。このため、横移動かご50を、より一層スムーズに横方向に移動することができる。
【0099】
また、本実施の形態によれば、上述したように、横移動かご50を、横方向に移動する際、第1ロープ11の前方部分から遠ざけることができることから、一対の第1かごシーブ16のうちの前方の第1かごシーブ16の配置の自由度を増大させることができる。このことにより、第1昇降かご10に負荷され得る上述したモーメントM1を、より一層低減することができる。同様に、一対の第2かごシーブ36のうちの前方の第2かごシーブ36の配置の自由度を増大させることができ、第2昇降かご30に負荷され得る上述したモーメントM2を、より一層低減することができる。
【0100】
また、本実施の形態によれば、支持枠51に設けられた前後方向ガイドレール115に、横移動かご50に設けられたスライダ116が、摺動自在に案内される。このことにより、横移動かご50を、アーム56に対して前後方向にスムーズに移動させることができる。
【0101】
(第4の実施の形態)
次に、
図11により、本発明の第4の実施の形態におけるエレベータ装置について説明する。
【0102】
図11に示す第4の実施の形態においては、支持枠に対して横移動かごを前後方向に移動させる前後移動機構が設けられ、前後移動機構が、前後方向に延びる前後移動用ボールねじ軸と、前後移動用ボールねじ軸に螺合する前後移動用ボールねじナットと、を有している点が主に異なり、他の構成は、
図1乃至
図8に示す第1の実施の形態と略同一である。なお、
図11において、
図1乃至
図8に示す第1の実施の形態と同一部分には同一符号を付して詳細な説明は省略する。
【0103】
図11に示すように、本実施の形態におけるエレベータ装置1は、支持枠51に対して横移動かご50を前後方向に移動させる前後移動機構120を更に備えている。
【0104】
前後移動機構120は、支持枠51に設けられた、前後方向に延びる前後移動用ボールねじ軸121と、前後移動用ボールねじ軸121を回転させる前後移動用モータ(回転駆動部)122と、を有している。前後移動用ボールねじ軸121および前後移動用モータ122は、アーム56に取り付けられている。また、横移動かご50には、前後移動用ボールねじ軸121に螺合する前後移動用ボールねじナット123が設けられている。このように前後移動機構120が構成されていることにより、横移動機構52と前後移動機構120とは互いに独立して横移動かご50を移動させることができる。
【0105】
前後移動用ボールねじナット123には、第2のアーム124が連結され、第2のアーム124には、後述する第4上梁128が連結されている。このようにして、前後移動用ボールねじナット123とともに横移動かご50が移動するようになっている。
【0106】
また、前後移動機構120は、支持枠51に設けられた、前後方向に延びる前後方向ガイドレール125と、横移動かご50に設けられた、前後方向ガイドレール125に摺動自在に案内されるスライダ126と、を更に有している。このうち、前後方向ガイドレール125はアーム56に固定されている。横移動かご50の上方に、第1上梁127が設けられ、第1上梁127に、第1上梁127から後方に延びる第2上梁128が連結されている。この第4上梁に、スライダ126が取り付けられている。
【0107】
ここで、横移動かご50が、例えば第1昇降路2から第2昇降路3に移動する場合について説明する。まず、横移動かご50が、前後移動機構120によって後方に移動する。この場合、前後移動用モータ122が駆動され、前後移動用ボールねじ軸121が回転して、回転する前後移動用ボールねじ軸121に螺合する前後移動用ボールねじナット123が後方に移動する。このことにより、前後移動用ボールねじナット123に第2のアーム124を介して連結された横移動かご50は、後方に移動する。この際、横移動かご50に設けられたスライダ126が、第2のアーム124に設けられた前後方向ガイドレール125に案内されて後方に摺動する。
【0108】
横移動かご50が後方に移動した後、横移動かご50は、横移動機構52によって、第1昇降路2から第2昇降路3に向けて横方向に移動する。
【0109】
横移動かご50が第2昇降路3に達すると、横移動かご50は、前後移動機構120によって前方に移動する。この場合、前後移動用モータ122が駆動され、前後移動用ボールねじ軸121が回転して、前後移動用ボールねじナット123および第2のアーム124を介して横移動かご50が前方に移動する。このようにして、横移動かご50を、第2昇降路3において、平面視で所定の位置に移動させることができる。このことにより、横移動かご50は、所望の階床の乗場に着床した際、乗客の乗降ができるようになる。
【0110】
同様にして、横移動かご50を、第2昇降路3から第1昇降路2に横方向に移動させることもできる。なお、本実施の形態による横移動かご50の軌跡領域58は、
図11に示すように、前方に形成された凹状部分58aに、第1ロープ11および第2ロープ31を配置することを可能にしている。
【0111】
このように本実施の形態によれば、横移動かご50は、前後移動機構120によって後方に移動した後、第1昇降路2と第2昇降路3との間で横方向に移動することができる。このことにより、横移動かご50を、横方向に移動させる際、第1ロープ11のうち前方の第1かごシーブ16から上方に延びる前方部分、および、第2ロープ31のうち前方の第2かごシーブ36から上方に延びる前方部分からより一層遠ざけることができ、横移動かご50が、第1ロープ11の前方部分または第2ロープ31の前方部分に接触することをより一層防止することができる。このため、横移動かご50を、より一層スムーズに横方向に移動することができる。
【0112】
また、本実施の形態によれば、上述したように、横移動かご50を、横方向に移動する際、第1ロープ11の前方部分から遠ざけることができることから、一対の第1かごシーブ16のうち前方の第1かごシーブ16の配置の自由度を増大させることができる。このことにより、第1昇降かご10に負荷され得る上述したモーメントM1を、より一層低減することができる。同様に、一対の第2かごシーブ36のうち前方の第2かごシーブ36の配置の自由度を増大させることができ、第2昇降かご30に負荷され得る上述したモーメントM2を、より一層低減することができる。とりわけ、本実施の形態によれば、横移動かご50は、横方向に移動する前に、後方に移動することができることから、横移動かご50が、第1ロープ11の前方部分および第2ロープ31の前方部分に接触することをより一層防止でき、第1かごシーブ16および第2かごシーブ36の配置の自由度をより一層増大させることができる。
【0113】
また、本実施の形態によれば、支持枠51に設けられた前後方向ガイドレール125に、横移動かご50に設けられたスライダ126が、摺動自在に案内される。このことにより、横移動かご50を、アーム56に対して前後方向にスムーズに移動させることができる。
【0114】
なお、上述した本実施の形態においては、横移動かご50が後方に移動した後、横移動かご50が、横移動機構52によって、第1昇降路2から第2昇降路3に向けて横方向に移動する例について説明した。しかしながら、このことに限られることはなく、横移動かご50を横移動機構52によって横方向に移動させながら、
図10に示す横移動かご50と同様な軌跡で、横移動かご50を移動させることも可能である。
【0115】
また、上述した本実施の形態においては、前後移動機構120は、回転するボールねじを用いた機構によって構成されている例について説明した。しかしながら、このことに限られることはなく、前後移動機構120は、リニアモータを用いた機構によって構成することもできる。
【0116】
以上、本発明の実施の形態について詳細に説明してきたが、本発明によるエレベータ装置は、上記実施の形態に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更が可能である。