特許第5676561号(P5676561)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5676561
(24)【登録日】2015年1月9日
(45)【発行日】2015年2月25日
(54)【発明の名称】搬送デバイスおよびギャップ閉手段
(51)【国際特許分類】
   B65G 17/06 20060101AFI20150205BHJP
【FI】
   B65G17/06 C
【請求項の数】19
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2012-504640(P2012-504640)
(86)(22)【出願日】2010年4月7日
(65)【公表番号】特表2012-523356(P2012-523356A)
(43)【公表日】2012年10月4日
(86)【国際出願番号】NL2010050182
(87)【国際公開番号】WO2010117269
(87)【国際公開日】20101014
【審査請求日】2013年2月21日
(31)【優先権主張番号】2002729
(32)【優先日】2009年4月8日
(33)【優先権主張国】NL
(73)【特許権者】
【識別番号】508302833
【氏名又は名称】ファン リート エクイプメント ビー.ヴイ.
【氏名又は名称原語表記】VAN RIET EQUIPMENT B.V.
(74)【代理人】
【識別番号】100092897
【弁理士】
【氏名又は名称】大西 正悟
(72)【発明者】
【氏名】ヴルフ、キャスパー ヘルマヌス ヘラルトゥス
【審査官】 中島 昭浩
(56)【参考文献】
【文献】 特開平06−048557(JP,A)
【文献】 特開2000−118699(JP,A)
【文献】 欧州特許出願公開第01371584(EP,A1)
【文献】 特表2009−535276(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 17/06
B65G 47/46
B65G 47/68
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
物体を搬送するための搬送デバイスであって、搬送方向に移動可能な一連のキャリアを備えたフレームを有してなり、キャリアが、搬送方向を横切って相互に平行に、特定のギャップを持って整列され、キャリアの少なくともいくつかは、前記キャリアに沿ってギャップを通過し変位可能である押出シューを備え、一連のキャリア間のギャップは、ギャップ閉手段によって少なくとも部分的に閉じられることにより、押出シュー以外の物体がギャップ内へ落下することが防止される一方で、押出シューは実質的に阻害のない状態でギャップを通り抜けることができるように設計されており、
押出シューがギャップ閉手段を通過するときに、ギャップ閉手段がキャリア面に沿って閉位置から開位置へ変位することで、ギャップが一時的に開き、押出シューの通過後は、ギャップ閉手段が閉位置へ復帰することで、ギャップが再び閉じることを特徴とする、搬送デバイス。
【請求項2】
ギャップ閉手段が、搬送方向を横切って延びる異なるセクションからなり、一つのセクションは、もう一つのセクションから独立して、そのセクションにおけるギャップを開ける、そして閉じることが可能であることを特徴とする、請求項1に記載の搬送デバイス。
【請求項3】
ギャップ閉手段が、一連のキャリアの少なくとも一つの縁に沿って搬送方向を横切って延びるとともに少なくとも一つの縁に取り付けられたギャップ閉ストリップからなる、ことを特徴とする、請求項1又は2に記載の搬送デバイス。
【請求項4】
ギャップ閉ストリップが、第一のキャリアの縁から、ギャップに対向する第二のキャリアの縁へ延びることを特徴とする、請求項3に記載の搬送デバイス。
【請求項5】
ギャップ閉ストリップが、第一のキャリアの縁から、ギャップに対向する第二のキャリアの縁を越えて、第二のキャリアと部分的に重なるように延びることを特徴とする、請求項3に記載の搬送デバイス。
【請求項6】
第二のキャリアの部分に重なるギャップ閉ストリップの部分が、第二のキャリアの前記部分に相補的な形状を持つことを特徴とする、請求項5に記載の搬送デバイス。
【請求項7】
ギャップ閉手段が、C形状の断面を持つことを特徴とする、請求項1から6のいずれか一項に記載の搬送デバイス。
【請求項8】
C形状断面の下端部が、キャリアの側縁にヒンジ式で取り付けられ、そして他端(頂部)がキャリアの側縁に形成された凹部分内に受容可能であることを特徴とする、請求項7に記載の搬送デバイス。
【請求項9】
ギャップ閉手段は、押出シューが通過する際に閉位置から開位置へ変形可能な柔軟性を有する材質から形成されていることを特徴とする、請求項1から8のいずれか一項に記載の搬送デバイス。
【請求項10】
ギャップ閉手段が、ポリマー材料を同時押出して製造されたものであることを特徴とする、請求項1から9のいずれか一項に記載の搬送デバイス。
【請求項11】
ギャップ閉手段が、ポリマー材料を同時押出して製造されたものであり、キャリアの縁にヒンジ式で取り付けられ、ヒンジが、前記同時押出ポリマーのより柔らかな部分から形成されることを特徴とする、請求項1から10のいずれか一項に記載の搬送デバイス。
【請求項12】
搬送方向の一連のキャリア間のギャップが10mm未満であることを特徴とする、請求項1から11のいずれか一項に記載の搬送デバイス。
【請求項13】
押出シューが、キャリアの頂面からその底面へキャリアの両側縁に沿って下方へ延びる少なくとも二つの部分からなり、少なくとも二つの部分が、少なくとも60GPaの弾性係数を持つ物質からなり、そして一連のキャリア間のギャップを実質的に阻害なく通過可能な十分に小さな厚さを持つことを特徴とする、請求項1から12のいずれか一項に記載の搬送デバイス。
【請求項14】
少なくとも二つの部分の厚さが、各々3.2mm未満であることを特徴とする、請求項13に記載の搬送デバイス。
【請求項15】
押出シューの少なくとも二つの部分が、キャリアの対応する側縁に相補的な形状であることを特徴とする、請求項13または14に記載の搬送デバイス。
【請求項16】
押出シューの少なくとも二つの部分が、ポリマーに埋められた金属からなることを特徴とする、請求項13から15のいずれか一項に記載の搬送デバイス。
【請求項17】
押出シューの少なくとも二つの部分の断面が、ギャップに配置された箇所で金属部分を含んでなることを特徴とする、請求項13から16のいずれか一項に記載の搬送デバイス。
【請求項18】
押出シューが、キャリアの相補的形状部分上に移動可能に設けられたスライディング・シューを備えることを特徴とする、請求項13から17のいずれか一項に記載の搬送デバイス。
【請求項19】
搬送方向に移動可能な一連のキャリアを備えたフレームを有してなり、キャリアが、特定のギャップを持って、搬送方向を横切って相互に平行に整列し、キャリアの少なくともいくつかが、前記キャリアに沿ってギャップを通過し変位可能である押出シューを備える搬送デバイスにおいて、押出シュー以外の物体がギャップ内へ落下することを防止しながら、押出シューが実質的に阻害のない状態でギャップを通過できるように設計されており、
押出シューがギャップ閉手段を通過するときに、ギャップ閉手段がキャリア面に沿って閉位置から開位置へ変位することで、ギャップが一時的に開き、押出シューの通過後は、ギャップ閉手段が閉位置へ復帰することで、ギャップが再び閉じるよう構成されている、ギャップ閉手段。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、搬送方向に移動可能な一連のキャリアを備えたフレームを有してなる、物体のための搬送デバイスに関する。キャリアは、特定のギャップを持って相互に平行に、そして搬送方向を横断して整列され、キャリアの少なくともいくつかは、フレームに設けられたガイド手段を利用することで前記キャリアに沿ってギャップを通って変位可能な押出シューを備える。本発明は、また、デバイスに使用するためのギャップ閉手段に関する。
【背景技術】
【0002】
このようなデバイスは、オランダ特許NL9202171から既知である。既知のデバイスは、物体を搬送するために利用される。この場合、移動トラック上の静止物体は、キャリアに沿って所定方向に搬送方向を横切る方向へ、移動トラックから関連物体を押し出す多数の押出シューを移動させることによって、移動トラックの側方へ所望の位置で放出可能である。このようにして物体を、例えば、もう一つのトラック上へ側方に押し出すことによって、物体、例えば小包郵便は分類できる。
【0003】
分類すべき物体の数量の増加から、単位時間当たりより多くの物体を分類できるよう、既知のデバイスの能力をさらに向上させる必要がある。このことは、また、可能な限りダウンタイムを回避することを含む。誤作動の重大な原因は、隣接したキャリア間に概して存在するギャップに関連する。ギャップ幅は、隣接したキャリアに配置された押出シューが相互に滑走するよう、十分に大きくなければならない。さらに、異なるキャリア間の転送位置で、移動トラックのキャリアは、その両端で、キャリアの長さ方向に平行に走る水平回転軸の周りに180度回転される。この回転プロセス中、下側のキャリアが圧縮を受けるため、キャリア間のギャップが閉じる傾向があり、そのことから、キャリアあるいは他のパーツが破損することがある。このようなスクィージングを回避するためには、コンベヤベルトの上側を走るキャリア間に対する特定最小ギャップが維持されなければならない。既知のデバイスに必要なギャップ幅は、キャリア間で物体が落下する、あるいは詰まるというリスクを伴っている。これは、物体を取り外すためにコンベヤを停止させる必要があるため、非常に好ましくないことである。また、その作業自体、厄介なものである。また、物体が実際にコンベヤに、そして搬送されている他の物体にまで重大な損傷を与える場合もある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、とりわけ上述の欠点がない、あるいは上述の欠点の程度が小さい序文に明記したタイプの搬送デバイスを提供することである。本発明のもう一つの目的は、デバイスに使用するためのギャップ閉手段を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明による搬送デバイスは、この目的のために、請求項1の特徴づけ部分に定める特徴を持つ。押出シュー以外の物体がギャップ内へ落下することを防止しながら、押出シューが比較的に阻害のない状態でギャップを通過できるように設計された、ギャップ閉手段によって少なくとも部分的に閉じられる一連のキャリア間にギャップを持つコンベヤ・デバイスを提供することによって、信頼性を向上させた搬送デバイスが得られる。信頼性の向上は、既知のデバイスに比べ、平均的なダウンタイムが減少することを意味する。押出シューがギャップ閉手段を通過するとき、本発明のギャップ閉手段は、閉位置から開位置へ容易に水平に(すなわち、キャリア面によって形成される平面内を)移行することよって、一時的にギャップを開ける。押出シューの通過後、閉位置へのギャップ閉手段の戻り移動によって、ギャップは容易に再び閉じる。ギャップ閉手段は、水平移動に対して低抵抗を示し、同時に垂直方向への動きに対しては抵抗を提供することが好ましい。これは、重力の作用の下で物体がギャップ内へ落下することを防止する。本発明の搬送デバイスによれば、ギャップ間に物体が落下する、あるいは詰まるという相当なリスクを冒すことなく、高い処理能力速度が達成できる。本出願の文脈における高い処理能力速度は、1秒につき少なくとも1.5mの処理能力速度を意味する。少なくとも2m/秒であることが好ましく、少なくとも2.5m/秒であることがより好ましい。そして、少なくとも1秒につき3mであることが最も好ましい。
【0006】
ギャップ閉手段は、実質的に連続的にキャリアの全長(すなわち、搬送デバイスの横断方向)に沿って延びてもよい。しかしながら、ギャップ閉手段が、搬送方向を横切って延びる複数の異なるセクションからなり、一つのセクションが、もう一つのセクションから独立して、そのセクションでギャップを開閉できる、という特徴を持つ搬送デバイスが好ましい。このような実施例は、押出シューがスライドした後の、ギャップ閉手段のより速やかな閉止を可能にする。
【0007】
ギャップ閉手段は、本質的に『閉じた』運送面を提供する。好適な搬送デバイスは、搬送方向における二つの連続なキャリア間のギャップ幅が18mm未満であり、14mm未満であることがより好ましい。そして、10mm未満であることが最も好ましい。
【0008】
本発明による搬送デバイスの好適実施例は、一連のキャリアの少なくとも一つの縁に沿って搬送方向を横切って延び、少なくとも一つの縁に取り付けられたギャップ閉ストリップからなるギャップ閉手段を備える。ギャップ閉ギャップのための適当な物質は変形可能であるため、押出シューは、実質的に無抵抗でキャリアに沿ってスライド可能である。特に好適な物質は、柔軟で、5GPa未満の弾性率を持つ。4GPa未満であれば、より好ましく、3GPa未満であることが最も好ましい。ゴム、特に熱可塑性ポリウレタン(TPU)が最も好適である。
【0009】
ギャップ閉手段のいくつかの構成は、一連のキャリア間のギャップを閉じるのに適当である。特に、第一のキャリアの縁から第二のキャリアのギャップに対向する縁へ延びるギャップ閉ストリップを持つ搬送デバイスが好ましい。本実施例におけるストリップは、例えば、クランピング、埋め込み、粘着結合、ネジ止め、スライディングなどの、本技術で既知である手段によって、第一のキャリアの縁に取り付けられる。
【0010】
特に、第一のキャリアの縁から、第二のキャリアのギャップに対向する縁へ、そしてそこを越えて例えば部分的に第二のキャリアと重なるよう延びるギャップ閉ストリップを備えた搬送デバイスが好ましい。このようなギャップ閉手段は、ギャップ幅を完全に(そして、それを越えて)覆うが、本発明の押出シューおよびギャップ閉手段の特性が、キャリアに沿った押出シューの実質的に阻害のない通過を許容する。第二のキャリアの部分に重なるギャップ閉ストリップの部分は、第二のキャリアの前記部分に相補的な形状を持つことが好ましい。この実施例では、二つの連続なキャリア間で物体がギャップに詰まるリスクは非常に低い。このような起こりそうもないイベントが発生した場合、物体はキャリアの頂面に押し戻されて放出される。
【0011】
本発明による搬送デバイスの特に好適な実施例は、ギャップ閉手段がC形状断面からなる、という特徴を持つ。C形状断面の下端部が、キャリアの側縁にヒンジ式で取り付けられることが最も好ましい。この場合、他端(頂部)は、キャリアの後退部分内に受容可能である。このようなギャップ閉手段は、実質的に閉じた位置から実質的に開いた位置へそれらの中間位置を含んで、実質的に水平な方向に(キャリアの頂面に平行に)容易に変位する。下端部のヒンジは、既知のどの方式でも達成できる。例えば、キャリアの後退部分内に下端部を締め付ける、あるいはすべり込ませることによって、そして例えばゴム等の柔軟な物質、特に熱可塑性ポリウレタンなどを使用することにより、下端部に自然な(バネを使用しない)ヒンジを形成する。好適に同時押出加工ポリマーからギャップ閉手段を形成することによって、所望のヒンジ機能を得ることができる。この場合、同時押出加工ポリマーのより柔らかな部分によってヒンジを形成する。
【0012】
本発明は、また、本発明によるデバイスに使用するための押出シューに関する。本発明による押出シューは、キャリアの一つの側縁に沿ってそのキャリアの頂面からその底面へ下方へ延びる少なくとも一つの部分からなる。このような好適実施例は、一連のキャリア間のギャップ幅を減少できる。特に二つの押出シューが相互に通過してスライドする場合、実に一つの部分であれば、キャリアの間に、より少ない空間を必要とする。本発明によれば、少なくとも一つの部分は、少なくとも60GPaのモジュラスを持つ物質からなり、ギャップを通過するのに十分薄い、すなわちギャップ幅よりも薄い。
【0013】
本発明による、さらに好適な押出シューは、キャリアの両側縁に沿ってそのキャリアの頂面からその底面へと下方へ延びる、少なくとも二つの部分からなり、少なくとも二つの部分は、少なくとも60GPaの剛性率を持つ物質からなり、各々4mm未満の厚さを持つ。各々3.6mm未満であればより好ましく、そして3.2mm未満であれば最も好ましい。押出シューに堅い物質を使用し、そして(キャリアを部分的に包囲するように)下方へ延びる二つの部分を提供することによって、キャリア間のギャップ幅を減らしたキャリア・デッキとともに、望ましいレベルの剛性および安定性を得る。押出シューの二つの下方へ延びる部分(その側壁)は、現状技術で既知であるものよりも実質的に小さなギャップを通過するのに、実に十分に薄く形成できる。より小さなギャップは、さらに、搬送デバイスに本発明のギャップ閉手段を設けることを許容する。より大きなギャップ幅を持つ既知のデバイスでは、閉手段がオペレーションを妨げ、さらに、十分にギャップを『閉じる』ことができないため、このような手段は不可能である。
【0014】
搬送デバイスの押出シューは、所望の形状を持つことができる。典型的な押出シューは、関係するキャリアの周りに延び、そしてキャリアをそのまま包囲する係合部分、そして係合部分に結合した、キャリアの上面レベルの上方に延びる物体を側方へ押しのけるための押出体からなり、係合部分に沿って、押出シューは、キャリアの長さ方向へ変位可能である。
【0015】
本発明による押出シューは、少なくとも60GPaの弾性係数を持つ物質からなる。少なくとも110GPaであることが好ましく、また、少なくとも150GPaであることがより好ましい。少なくとも180GPaであることがさらに好ましく、そして少なくとも210GPaであることが最も好ましい。適当な物質は、金属、セラミック、炭素および/あるいはガラス補強ポリマー等の繊維強化ポリマー、ナノ複合材などを含む。特に好適な搬送デバイスは、少なくとも一つの部分が、ポリマーに埋め込まれた金属からなる押出シューからなる。このような押出シューは、剛性があり十分に強固であるにも拘わらず、デザインの自由度を提供する。適当な金属は、スチール、アルミニウム、および/あるいは、それらの合金を含む。適当なポリマーは、限定せずに、例えばポリオレフィンおよび/あるいはポリアミド等の耐磨耗性ポリマーを含む。
【0016】
本発明による特に好適な搬送デバイスは、押出シューの少なくとも一つ、より好ましくは、少なくとも二つの部分が、ギャップの高さで、金属からなるという特徴を持つ。このようなシューは、一連のキャリア間のギャップの減少をさらに可能にする。(この好適実施例ではギャップ内へ延びない)押出シューの金属・ポリマー部分が、必要な剛性を提供する。本発明による搬送デバイスのもう一つの好適実施例は、押出シューの少なくとも一つの部分、より好ましくは、少なくとも二つの部分が、キャリアの少なくとも一つの側縁に相補的な形状であるという特徴を持つ。これは、ギャップ幅をさらに減少させることを許容する。キャリアの側縁は、傾斜させてもよいが、その頂面へ垂直な方向に実質的に延びることが好ましい。
【0017】
キャリアからの搬送物体の排出を促進するために、本発明による搬送デバイスは、キャリアの少なくともいくつかが、それらの幅方向に弓形上面を持つ、という特徴を持つ。弓形上面の曲率半径は、幅広い範囲で選択できるが、100から800mmの間であるならば有利である。150から500mmの間であれば、より好ましく、200から300mmの間であれば最も好ましい。キャリアの少なくともいくつかの上面に弓形状を与えることによって、一つの移動トラックからもう一つへの、物体の移送の信頼性が高まる。
【0018】
キャリアに沿って滑らかに移動する押出シューをさらに安定させる支援として、好適実施例による押出シューは、キャリアの相補的形状部分に移動可能に設けたスライディング・シューを備える。
【図面の簡単な説明】
【0019】
さて、図面に示す本発明による搬送デバイスの非限定的な好適実施例に基づいて、本発明をさらに説明する。
【0020】
図1】現状技術による搬送デバイスの模範的な実施例を表す概略平面図であり、物体の変位の異なるステージを示す。
図2】現状技術による搬送デバイスの模範的な実施例を表す概略平面図であり、物体の変位の異なるステージを示す。
図3】現状技術による搬送デバイスの模範的な実施例を表す概略平面図であり、物体の変位の異なるステージを示す。
図4】現状技術による押出シューおよびキャリアを示す概略断面図である。
図5】本発明による押出シューおよびキャリアを示す概略断面図である。
図6】本発明による押出シューおよびキャリアのもう一つの実施例を概略的に示す詳細断面図である。
図7】本発明による押出シューおよびキャリアの、さらにもう一つの実施例を概略的に示す詳細断面図である。
図8A】本発明による搬送デバイスのギャップ閉手段の、いくつかの実施例を概略的に示す。
図8B】本発明による搬送デバイスのギャップ閉手段の、いくつかの実施例を概略的に示す。
図8C】本発明による搬送デバイスのギャップ閉手段の、いくつかの実施例を概略的に示す。
図8D】本発明による搬送デバイスのギャップ閉手段の、いくつかの実施例を概略的に示す。
図8E】本発明による搬送デバイスのギャップ閉手段の、いくつかの実施例を概略的に示す。
図9】本発明による搬送デバイスのギャップ閉手段の好適実施例を概略的に示す斜視図である。
図10図9のギャップ閉手段の詳細を概略的に示す。
【発明を実施するための形態】
【0021】
図1から図3を参照する。搬送デバイスは、相互に平行に配置された一連のキャリア1を持つ。図には、そのキャリアの数個のみを示している。エンドレス移動トラックを使用することで、キャリア1は、全体がエンドレスに形成されるように結合されている。その上面で、物体2が方向Aへ移動できる。図1に示すように、押出シュー3は、方向Aに直交する方向へ、あるいは換言すればキャリア1の長さ方向へ、キャリア1に対して変位可能なようキャリア1に結合されている。排出シュート4(または第二の搬送デバイス)などが、搬送デバイスの側方へ結合するように設けられることによって、搬送デバイスからそれらの排出シュート4上に供給された物体2が、さらに搬送される。物体2を排出シュート4へ押し出すことを可能にするために、搬送デバイスには、このような排出シュート4の位置に、搬送デバイスの一方の側(図1から図3における下側)から搬送デバイスの他方の側へ所望数の押出シューを移動させるための手段が設けられる。物体2は、押出シュー3の変位によって、排出シュート4に沿って運ばれてそれに載置される。
【0022】
さて、図4を参照する。これは、本発明による押出シュー3を備えたキャリア1を示す。キャリア1は、概して厚板状であり、例えばアルミニウムから押出成形されるのに好ましい輪郭を持ち、変位すべき物体を支持するために弓形上面5を備える。弓形上面5の曲率半径は、変位すべき物体2の寸法および形状に応じ、広い範囲で選択できる。しかしながら、曲率半径は、100から800mmであることが好ましい。キャリア1の長さ方向に実質的に相互に平行な二つの側壁6および7は、上面5に結合する。内方開空間10および11を形成する二つの実質的にU字形の壁部8と9は、側壁6および7の下側に結合している。プロファイルは、さらに、キャリア1に十分な曲げ剛度を与える、そしてキャリアを移動トラックに取り付けるために、補強リブ16を備える。
【0023】
キャリア・プロファイルの周りに設けられたのが、押出シュー3であり、その目的に適当なプラスチックからなることが好ましい。押出シュー3はベース21からなり、その長さ方向の縁には、直立壁部分22および23が結合している。上側壁部22および23は、ギャップの高さに、少なくとも60GPaのモジュラスを持つ物質から本質的になると同時にギャップ31を通過するのに十分に薄いパーツ220および221を含む。
【0024】
キャリア1の上面5の上方に、押出シュー3は、その(搬送方向Aに対して)後側に、ほぼ台形のブロック形状部26を備える。図4にさらに示すように、押出シュー3とキャリア1との間には、開口部10および11の少なくとも一部にスライディング・ピース12および13が設けられている。これらのスライディング・ピースは、スライディング・プラスチック内に入れたゴムからなり、キャリア1上での押出シュー3の良好な誘導を提供する。その理由の一つは、スライディング・ピースまたはシュー12および13が、キャリア1の相補的形状部品8および9内に滑り嵌めで受容されているためである。例えばHDPEやPTFE等のスライディング・プラスチックは、相対可動表面間に低摩擦抵抗を確保する。ゴム芯は、膨張ピースとして、そして実際に恒久的な圧力手段として機能する。これは、ゴム(約0.5のポアソン係数)の横収縮の実質的な不在を利用している。この手法により押出シュー3とキャリア1との間の遊びがさらに減少するため、振動や他の騒音障害は減少する。他の変形例では、プラスチックで覆われたゴム芯が、キャリア1や移動トラックのアルミニウム・プロファイルに対する閉止ピースとして適用されることによって、終端ピースの役割を担う。この場合、ゴム・ピースを受容するアルミニウム・プロファイルの内壁を、埃の蓄積を防止するようプロファイルの軸方向に対して斜めに設けることが有利である。
【0025】
押出シュー3は、さらに、搬送デバイスのフレームに設けたガイド手段(図示せず)との協調作用で、押出シュー3の横断方向の変位を実現可能な誘導構造25からなる。
【0026】
さて、図5を参照する。これは、本発明による搬送デバイスのもう一つの実施例を示す。デバイスは、相互に平行に、そして搬送方向Aを横断する方向に延びるキャリアを持つ。この場合、キャリア1の少なくともいくつかは、フレームに設けられたガイド手段250を利用して前記キャリアに沿って変位可能な押出シュー30を備える。図5に示す実施例は、キャリア1の少なくとも一方の側縁7に対して相補的形状にある部分230を含む押出シュー30からなる。本発明による押出シューを提供することによって、搬送方向Aの二つの連続なキャリア1間のギャップ31は既知のものよりも低く、18mm未満であることが好ましい。14mm未満であればより好ましく、そして、10mm未満であれば最も好ましい。部分230は、少なくとも60GPaのモジュラスを持つ物質からなり、ギャップ31を通過するのに十分に薄いものである。本発明による押出シュー30は、本質的にU字形である。換言すれば、一方の側が実質的に開いている。
【0027】
押出シュー30の部分230、22および/あるいは23は、各々、金属部分231、220および/あるいは221からなり、その金属部分は、ポリマー部分232、22、23に少なくとも部分的に埋め込まれている。図5に示す好適実施例は部分230を持つ。その断面は、ギャップの高さにのみ金属231を含む。このことは、極度に小さなギャップ31を設けることを可能にするとともに、シュー30に所望の剛性を提供する。注目すべきは、金属部分231、220および221が、単にキャリア1の全長(すなわち搬送デバイスの横断方向)に沿って金属である必要はないことである。逆に、金属部分231、220および221には、終端にテーパー付きのポリマー部分を設けることが好ましい。このようなポリマー部分は、以下により詳細に説明することになるギャップ閉手段を開く支援となる。
【0028】
本発明によれば、図6に示す実施例は、変形可能な物質のギャップ閉ストリップ50の形態にあるギャップ閉手段からなる。これは、一連のキャリア1の少なくとも一つの縁6、7に沿う搬送方向を横切って延び、そして、前記キャリア間のギャップ31を少なくとも部分的に埋める。変形可能な物質は、ゴム等、5GPa未満の弾性率を持つことが好ましい。図7に示す実施例では、ギャップ閉ストリップ50は、第一のキャリア1の縁7から、第二のキャリア1のギャップ31に対向する縁6まで延びる。図示のように、ギャップ閉ストリップ50は、第一のキャリア1の縁7から、第二のキャリア1のギャップ31に対向する縁6へ、さらにそこを越えて、例えば第二のキャリア1に部分的に重なるように延びる。ギャップ閉ストリップ50の重なり合う部分は、第二のキャリア1の前記部分に相補的な形状を持つ。
【0029】
さて、図8Aから図8Eを参照する。これらは、本発明による搬送デバイスのギャップ閉手段50のいくつかの実施例を示す。図8におけるギャップ閉手段は、二つの隣接したキャリア1の相補的形状部分6および7によって形成される。部分6および7は、少なくとも垂直方向にギャップを閉じるように重なる。
【0030】
図8Bにおけるギャップ閉手段は、二つの隣接したキャリア1の側縁6、7に取り付けられてそこから延びる二つの柔軟なストリップ50からなる。二つのストリップ50は、それらの自由端で部分的に重なる。
【0031】
図8Cにおけるギャップ閉手段は、二つの隣接したキャリア1の一つの側縁6に取り付けられてそこから延びる一つの柔軟なストリップ50からなる。ストリップ50は、実質的にギャップ31全体を覆って延びる。
【0032】
図8Dおよび図8Eにおけるギャップ閉手段は、二つの隣接したキャリア1の二つの側縁6,7に取り付けられてそこから延びる二つの柔軟なストリップ50からなる。ストリップ50は、それらの自由端が重ならず、より良好に閉じるために湾曲している。図8Eに示す実施例には、二つのストリップ50が下方へ湾曲しているために埃が容易に運ばれる、という追加の利点がある。これらの実施例は、単に例として示したものであり、発明的な技術がなくとも、本発明の概念内において他の幾何学的形状を想定することも可能である。
【0033】
特に好適実施例を図9および図10に示す。搬送デバイスは、隣接するキャリアとともに図示されている。各々には、各キャリアに対してC形状の断面を持つ細長いストリップの物質50からなるギャップ閉手段が設けられている。閉位置で、二つのストリップ50は、それらのトップエンド(53、54)で、特定の初応力を持って相互に接触することが好ましい。C形状断面の下端部(51、52)は、キャリア1の側縁(6、7)にヒンジ式に取り付けられる。他端部(頂部)(53、54)は、キャリアの後退部分(55、56)内に受容可能である。このアレンジメントは、図10に詳細に示すようにギャップ閉手段50が、実質的に閉じた位置50−1から実質的に開いた位置50−2への範囲で、それらの間の中間位置を含み、多数の異なる位置に関して実質的に水平な(キャリア1の頂面5に平行な)方向に変位することを可能にする。下端部のヒンジは、既知のどの方式でも達成できる。キャリア1の後退部分58内に部分51を堅固に締め付けること、そして例えばゴム等の軟質材料、特に、熱可塑性ポリウレタンなどを使用することによって、自然な(バネのない)ヒンジが、位置57の箇所に生じる。ヒンジ機能は、好適に同時押出ポリマーからギャップ閉手段を形成し、同時押出ポリマーのより柔らかな部分からヒンジを形成することによって、所望の性能にできる。ヒンジを形成するために、位置57の箇所に局所的壁厚減少を提供することも可能である。ヒンジ部分を持つ本実施例は、より固い物質で形成できるため、図7図8Aから図8Eに示す実施例よりも、とりわけ好適である。実に、アルミニウムやスチール等の金属を使用することさえ可能である。ノイズ減少のためには、ポリオレフィン、熱可塑性ウレタン等のポリマーが好適である。本好適実施例は、押出シューがギャップ閉手段を通過するとき、その閉位置50−1からその開位置50−2へ水平に容易に移動することによって、一時的にギャップ31を開ける。押出シューの通過後、ギャップ31は、それらの閉位置50−1へ戻るギャップ閉手段50の動きにより、容易に再び閉まる。その特定なデザインのため、本好適実施例は、水平移動に対して低い抵抗を示す。一方、垂直方向の動きに対しては高い抵抗を提供する。これは、ギャップ31内への物体の(自由な)落下を防止する。
【0034】
明瞭に示すため、すべての実施例は、押出シューが、キャリアの一つの側縁に沿ってそのキャリアの頂面からその底面まで下方へ延びる一つの部分からなるものとして図示されている。しかしながら、押出シューが、キャリアの両側縁に沿ってそのキャリアの頂面からその底面まで下方へ延びる二つの部分からなることは明白であり、このことは本発明の範囲内にある。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8A
図8B
図8C
図8D
図8E
図9
図10