(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5676584
(24)【登録日】2015年1月9日
(45)【発行日】2015年2月25日
(54)【発明の名称】稼働中の携帯電話機のユーザーのデータを収集する方法
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/10 20120101AFI20150205BHJP
H04M 3/42 20060101ALI20150205BHJP
【FI】
G06Q50/10 180
H04M3/42 C
【請求項の数】3
【全頁数】6
(21)【出願番号】特願2012-514905(P2012-514905)
(86)(22)【出願日】2010年6月10日
(65)【公表番号】特表2012-529697(P2012-529697A)
(43)【公表日】2012年11月22日
(86)【国際出願番号】NL2010050356
(87)【国際公開番号】WO2010143955
(87)【国際公開日】20101216
【審査請求日】2013年6月10日
(31)【優先権主張番号】2002997
(32)【優先日】2009年6月10日
(33)【優先権主張国】NL
(73)【特許権者】
【識別番号】511301050
【氏名又は名称】メズロ ベー.フェー.
【氏名又は名称原語表記】Mezuro B.V.
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100091214
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 進介
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(72)【発明者】
【氏名】ステーンバッケルズ,ヴィム
【審査官】
小太刀 慶明
(56)【参考文献】
【文献】
特開2003−030373(JP,A)
【文献】
特開2005−159485(JP,A)
【文献】
特開2006−260331(JP,A)
【文献】
特開2009−098446(JP,A)
【文献】
特開2008−147778(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00 − 50/34
H04M 3/42
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンピュータが、特定の二つの時点の間に、少なくとも三つの隣接する移動体通信のための通信塔によってそれぞれ定義される、一つ以上の定義されたセルの中に位置する稼働中の携帯電話機のユーザーの統計データを収集する方法であって、
前記携帯電話機の携帯電話番号から変換される匿名の一意の番号と、該携帯電話機において発生したイベントの時刻及び位置とを関連付けるデータベースを読み出すことにより、特定の二つの時点の間に、一の前記セルの中に位置していた前記携帯電話機の前記一意の番号を特定する段階と、
特定された前記携帯電話機のユーザーの住所が明らかである場合に、該ユーザーの住所の郵便番号を読み出す段階と、
特定された前記携帯電話機のユーザーの住所が明らかでない場合に、該ユーザーが自宅にいることが見込まれる、異なる多数の時点において該携帯電話機にイベントを発生させ、前記携帯電話機の位置が定められる前記イベントに基づいて、該ユーザーの住所の位置する前記セルを決定し、該セルに対応する郵便番号を読み出す段階と、
郵便番号ごとの居住者についての統計データを含むデータベースを利用し、読み出された前記郵便番号に対応する前記統計データを読み出すことにより、前記一意の番号と関連付けられる、特定された前記携帯電話機のユーザーの統計データを収集する段階と、
を有する、方法。
【請求項2】
与えられた前記イベントは、目立たないテキストメッセージの送信であることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記稼働中の携帯電話機の移動のパターンが前記データベースからさらに読み出されることを特徴とする、請求項1又は2に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特定の二つの時点の間に、一つ以上の定義済みのセルの中に位置する、稼働中の(active)携帯電話機のユーザーのデータを収集する方法に関する。それぞれのセルは、三つの隣接する移動体通信のための通信塔(communication mast)によって定義される。
【0002】
イベント並びに前記イベントが開催される時点及び位置が前記稼働中の携帯電話機を用いて保管されるデータベースが利用される。ここで、前記携帯電話機の一意の携帯電話番号が匿名の一意の番号へと変換され、前記携帯電話機の所有者の郵便番号が知られる限り保管される。当該方法(method)に従って、前記時点の間での前記定義されたセルの中の前記稼働中の携帯電話機についてのデータが前記データベースから読み出される。イベントは、例えば、あらゆる稼働中の携帯電話機の、例えば一つのセルから隣接するセルへの移動、発呼、着呼、電話の電源の投入、メールの送受信を意味するものとして理解される。前記セルは、セルの境界を形成する多角形の角を作る、隣接する通信塔によって定義される。前記データベースは、いわゆる、信頼できる第三者機関により構成される。
【背景技術】
【0003】
動作中である電話を意味するものと理解される、稼働中の携帯電話機を数えることにより、人の数を数える方法が一般的に知られている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
それらの人がどこから来て、彼らの教育及び/又は収入はどれほどであるかを、彼らのプライバシーを侵害することなく知ることが有益である状況が存在する。これらの状況は、例えば、無料のイベントにおいて、組織が訪問者についての一般的な統計データや、イベントに来るためにどのような経路を利用したかを知りたい場合に起こり得る。後者のデータに基づいて、訪問者が電車により訪れたか、あるいは乗用車により訪れたかを明らかにすることができる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一つの目的は、導入部で説明されたように、特定の時点の間に、定義されたセルの中に位置していた稼働中の携帯電話機から、携帯電話機のユーザーの統計データが、プライバシーを侵害することなく収集される種類の方法を提供することである。このために、本発明による方法は、前記データベースから携帯電話の所有者の住所の郵便番号を読み出し、郵便番号ごとの居住者についての統計データを含むさらなるデータベースを利用し、前記統計データが関連付けられた前記一意の番号と結び付けられることにより、読み出された前記稼働中の携帯電話機のユーザーのさらなる統計データが収集されることを特徴とする。このことは、携帯電話機のユーザについての情報を集めることを可能にする。このために、電話番号のリストを一意の番号へと変換する、いわゆる、信頼できる第三者機関を利用することにより、携帯電話機のユーザーのプライバシーの侵害を避けることができる。
本発明の一実施形態における方法は、コンピュータが、特定の二つの時点の間に、少なくとも三つの隣接する移動体通信のための通信塔によってそれぞれ定義される、一つ以上の定義されたセルの中に位置する稼働中の携帯電話機のユーザーの統計データを収集する方法であって、前記携帯電話機の携帯電話番号から変換される匿名の一意の番号と、該携帯電話機において発生したイベントの時刻及び位置とを関連付けるデータベースを読み出すことにより、特定の二つの時点の間に、一の前記セルの中に位置していた前記携帯電話機の前記一意の番号を特定する段階と、特定された前記携帯電話機のユーザーの住所が明らかである場合に、該ユーザーの住所の郵便番号を読み出す段階と、特定された前記携帯電話機のユーザーの住所が明らかでない場合に、該ユーザーが自宅にいることが見込まれる、異なる多数の時点において該携帯電話機にイベントを発生させ、前記携帯電話機の位置が定められる前記イベントに基づいて、該ユーザーの住所の位置する前記セルを決定し、該セルに対応する郵便番号を読み出す段階と、郵便番号ごとの居住者についての統計データを含むデータベースを利用し、読み出された前記郵便番号に対応する前記統計データを読み出すことにより、前記一意の番号と関連付けられる、特定された前記携帯電話機のユーザーの統計データを収集する段階と、を有する。
【0006】
本発明による方法の一実施形態は、一つ以上の、携帯電話機の所定の番号が前記データベースの中で結び付けられる、郵便番号と結び付けられる前記携帯電話機、又は前記データベースの中で郵便番号が欠けている前記携帯電話機のために、前記ユーザーが自宅にいることが見込まれる、異なる多数の時点において前記携帯電話機にイベントを与えることにより、前記携帯電話機の位置が定められるイベントに基づいて、前記携帯電話機の前記ユーザーの住居の推定位置が位置する前記セルが決定されることを特徴とする。この実施形態において、例えばプリペイド式電話機や、ユーザーの住所ではなくユーザーを雇用する会社の住所がデータベースに記載されているビジネス向けの電話機のように、ユーザーの郵便番号が不明である稼働中の携帯電話機のデータも集められる。
【0007】
与えられる(imposed)これらのイベントは、好ましくは人目につかない(non-noticeable)テキストメッセージ(text message)の送信である。したがって、これらのユーザーが自宅にいることが見込まれる時点において、携帯電話機のユーザーが気がつくことができないテキストメッセージを送信することにより、これらのユーザーが住む場所の郵便番号のエリアを定義することができ、これに基づいて統計データを集めることができる。
【0008】
本発明による方法のさらなる実施形態は、稼働中の携帯電話機の移動のパターンをデータベースから読み出すことができることを特徴とする。例えば:2008年12月5日の10時から16時の間にアイントホーフェンの中心部を訪れた人が国のどの地域の出身か;アイントホーフェンへ来るために彼らが用いた交通手段は何か、そしてどのくらい滞在したか、である。
【0009】
本発明は、図面によって得られる発明による方法の、実施形態の一例を表す図への参照と共に、以下でより詳細に説明される。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明による方法の一実施形態において、イベント並びにそれらのイベントが開催される時点及び位置がデータベース3に保管されるとともに、既知のシステム1が利用される。これらのイベントは、とりわけ、あらゆる稼働中の携帯電話機の、一つのセルから隣接するセルへの移動、発呼、着呼、電話の電源の投入、メールの送受信である。このデータベースにおいて、一意の番号が、ユーザーのプライバシーを侵害しないように、これらの携帯電話と結び付けられる。
【0012】
本発明による方法において、例えば、二つの時点の間に、定義された複数のセル5の中にどのくらいの数の人が存在したかが数えられる。それぞれのセル6は、三つの隣接する移動体通信のための通信塔7により定義される。
【0013】
特定の二つの時点の間に、定義されたセル5の中に位置していた携帯電話機の電話番号11に関連する一意の番号のリストが、信頼できる第三者機関によってコンピューター9を用いて読み出される。
【0014】
続いて、特定の前記二つの時点の間に、定義されたセル5の中にあった携帯電話機の所有者の住居の位置を位置づける、セル13が定義される。加入申し込みをした携帯電話機のユーザーの住居の位置は既知であり、既にデータベースの中に含まれる。プリペイド式携帯電話を利用するユーザーの住居の位置は不明である。これらのユーザーのために、多くの人が自宅にいると予想される、複数の異なる時点において、目立たないテキストメッセージ15を全ての携帯電話機に送信することにより、住居の位置が決定される。これらのテキストメッセージは、携帯電話機のテレコムプロバイダーによって送信される。これらのテキストメッセージの受信も、既知のシステムによってデータベースの中に保管される一つのイベントである。携帯電話機のユーザーの住居の推定位置がデータベースから読み出される。
【0015】
加えて、居住者についての統計データが郵便番号ごとに保管されているさらなるデータベース17が、本発明に従う方法において利用される。ユーザーの住居の位置についてのセルがある郵便番号のエリア19を定義し、さらにこれらの郵便番号に関連する統計データを、さらなるデータベース19から読み出すことにより、ある特定の時点において定義されたセル5の中にあった、例えばイベントを訪れていた携帯電話機のユーザーの統計データを集めることができる。
【0016】
さらに、必要に応じて、データベースから、訪問者がイベント会場へどのようにやってきて、どのように去ったかについての情報を取得するために、稼働中の携帯電話から移動のパターンを集めることができる。例えば、以下をデータベースから読み出すことができる:2008年12月5日の10時から16時の間にアイントホーフェンの中心部を訪れた人が国のどの地域の出身か、及びどの経路でやってきて去ったか?続いて、これらの移動のパターンから、アイントホーフェンへ、及びアイントホーフェンからの移動のためにどんな移動手段を用いたか、並びにどのくらい滞在していたかを得ることができる。
【0017】
本発明は、図面への参照と共に先述の通り説明されたが、図面に示される実施形態に決して制限されない。本発明は、クレームによって定義される精神及び範囲の中で、図面によって示される実施形態から派生する全ての実施形態に対しても拡張される。