【実施例1】
【0012】
以下、
図1から
図10を参照して、本発明に係るMRI装置の一実施例を説明する。なお、全図において、同一機能を有するものは同一符号を付け、重複する説明を省略する。
【0013】
先ず、
図1を参照して、この実施例に係るMRI装置の概略構造を説明する。
図1(a)は、本発明に係るMRI装置のガントリー100とベッド部200概略構成図であり、(b)は、同MRI装置の一部を上面から見た図であり、被検体1にアクセスする操作者50を示している。この実施例に係るMRI装置は、ベッドに寝かせられた被検体1の体軸方向と平行な方向に静磁場を発生する水平磁場方式の構造を備えている。
【0014】
図1において、このMRI装置は、被検体1にNMR現象を誘起してNMR信号を受信するための各種装置を収容するガントリー100と、被検体1を載置する天板201を備えたベッド部200と、ガントリー100内の各種装置を駆動する電源や制御する各種制御装置を収納した図示しない制御筐体と、受信したNMR信号を処理して被検体の断層画像を再構成する処理装置とを含んで構成され、それぞれ図示しない電源・信号線で接続される。ガントリー100の正面(前面)には、制御装置や処理装置を操作するための操作パネル151と、装置状態、患者状態などを表示するための状態表示部152が、設けられている。
【0015】
ガントリー100とベッド部200は、高周波電磁波と静磁場を遮蔽する図示しないシールドルーム内に配置され、制御筐体と処理装置はシールドルーム外に配置される。このため、操作者50が操作する照度や天板201の移動などの操作やその確認は、ガントリー100の開口部101の正面左右に配置される操作パネル151と正面上部に配置される状態表示部152を通して行われる。
【0016】
このMRI装置には、ガントリー100のほぼ中央に、トンネル状の開口部101が設けられており、この開口部101内の静磁場空間に、ベッドの天板201に寝かせられた状態で被検体1が挿入されるようになっている。
【0017】
また、この実施例では、ベッド部200は自在車輪202を備えており、被検体1を天板201に乗せた状態で移動することができる可動式のベッド部である。このため、このMRI装置には、ガントリー100にベッド部200を連結して固定するための連結部300が設けられている。連結部300は、ガントリー側連結部310とベッド側連結部350とから構成される。この実施例によれば、例えば、シールドルームの外でベッド部200に乗せた被検体1をベッド部200ごとシールドルームに移動させて、このベッド部200をガントリー100の所定の位置に連結して固定することで、撮影を行うことができる。
【0018】
また、この実施例では、ベッド部200が連結されるガントリー100の反対側にベッド部200の天板201を開口部101に引き込んで天板201を支持する支持装置を取り付けることができる。
【0019】
この実施例に係るMRI装置の大きな特徴の1つは、開口部101の入口近傍に、ゆるやかな曲面を介して、周囲の前方に張り出したトップ面102から徐々に後退してトンネル状の開口部101に連続させる凹状の開口入口部103を形成し、このトップ面102より後退した位置に形成される凹状の開口入口部103をガントリー100の正面下部まで延長して形成した点にある。
【0020】
即ち、従来のMRI装置においては、ガントリー100の正面前部に形成されるトンネル状の開口部101の閉塞感を被検体1に与えることを軽減するために、トンネル状の開口部101の入口部分を大きな丸みで切り欠いた形状としている。つまり、従来例においては、トンネル状の開口部101の周囲には前方に張り出した縁部が形成されている。このため、ベッド部200を開口部101に連結した際には、開口部101の近傍で、被検体1に受信コイルを取り付けたり、あるいは、セットし直す作業を行う操作者50の作業空間が取り難い。
【0021】
特に、天板201の上部は、開口部101やその周囲の切り欠き部によりある程度の操作者50の作業空間が取れるものの、天板201の両側や下方は前方に張り出した縁部やベッド部200との連結部が邪魔になり操作者50の十分な作業空間が取り難い。
【0022】
そこで、この実施例では、開口部101の周囲に形成される前方に張り出したトップ面102を開口部101の下方に回り込む従来型の形状を取り止めて、両側から下方に延在する形状を採用した。具体的には、ガントリー100の前面側を構成するフロントパネル110を、ガントリー100の外周パネル120に連結するアーチ型の外パネル111と、この外パネル111のアーチ型内に取り付けられる内パネル112とを含んで構成し、この外パネル111と内パネル112のパネル連結部113を前方に最も張り出したとトップ面102として形成し、内パネル112をパネル連結部113(トップ面102)から後退する緩やかな曲面で形成することにより、操作者の作業空間を確保している。
当該内パネルと外パネルは必ずしも別体として構成される必要は無く、一体的に形成されていても良い。
【0023】
この実施例に係るMRI装置の大きな特徴の他の1つは、ベッド部200において、ガントリー100と連結する側の長手方向の端部から天板201が張り出すように、この天板201の端部を支持する天板ベース部204が設けられており、この天板ベース部204の端部204aの横幅を天板201の横幅と同一又は細くした点にある。
【0024】
即ち、従来のベッド部200は、ベース筺体203の上部に昇降機構205を介して天板ベース部204を設け、この天板ベース部204に天板201を設けている。この天板201は、天板ベース部204の長手方向に沿ってスライド移動するため、天板ベース部204の横幅は天板201の横幅より大きく、天板201を収納した状態では、天板201が天板ベース部204内に収まる構造を採用している。
【0025】
しかし、この従来構造では、ベッド部200をガントリー100に連結した際には、天板201より横幅がある天板ベース部204がガントリー100と近接するため、操作者の作業空間が取り難く、操作者に無理な姿勢を強いることになる。
【0026】
そこで、この実施例では、
図1(b)に示すように、ガントリー100側の天板ベース部204の端部204aを、天板201の横幅Wと同じもしくは、この天板201の投影面積内に収まるように形成している。したがって、この実施例では、天板201の端部が横幅のある天板ベース部204の端部から長さLだけ張り出すようにベッド部200とガントリー100とが連結される。これにより、連結時には、ガントリー100に連結される天板201の近傍が被検体1を保持する最小限の天板201の横幅Wで形成されているので、その天板201の両側に操作者50の作業空間51を確保することができる。しかも、天板201の端部(長さL)以外の部分は、天板ベース部204により両側を支持されるので、被検体1に不安感を抱かせることなく、天板201上に被検体1を寝かせた状態で支持することができる。
【0027】
また、この実施例に係るMRI装置の大きな特徴の他の1つは、ガントリー側連結部310を、パネル連結部113より後退した位置で、かつ天板201の投影面積内に形成される内パネル112に設けた点にある。
【0028】
即ち、ベッド部200とガントリー100とを連結した状態において、開口入口部103の近傍で操作者50が被検体1に対してアクセスする場合、操作者50の下肢空間を確保できないと、操作者50に無理な姿勢での作業を強いることになる。この実施例では、この課題を解決するために、開口入口部103の直下となるガントリー100の前面下部を両側のトップ面102より奥行きDだけ後退した位置に形成し、この後退した位置にガントリー側連結部310を設け、しかも、ガントリー100に連結する天板201の投影面積内に設けている。これにより、ガントリー側連結部310の両側に操作者50の作業空間51を確保することができる。
【0029】
また、上記においてはベッド部200とガントリー100とを連結可能とする、いわゆるドッカブルテーブルについて示したが、当該方式に限らず、固定型ベッドについても応用できることは云うまでも無い。
【0030】
以下、
図2から
図10を参照して、本実施例のMRI装置を更に詳細に説明する。
図2は本発明に係るMRI装置のブロック図である。
図3から
図6がMRI装置のガントリーとベッド部の外観図であり、
図3が正面図、
図4が背面図、
図5が左側面図、
図6が平面図、
図7が要部縦断面である。
図8は、ガントリーとベッド部の連結部の説明図である。
図9は、ガントリーとベッド部の取付状態を示す説明図である。
図10は、使用状態の説明図である。
【0031】
先ず、
図2を参照して、このMRI装置の構成をより詳細な機能毎に説明する。
図2において、MRI装置は静磁場発生系2と、傾斜磁場発生系3と、送信系5と、受信系6と、信号処理系7と、シーケンサ4と、中央処理装置(CPU)8とを備えて構成される。
【0032】
静磁場発生系2は、被検体1の周りの空間にその体軸方向(水平磁場方式)に均一な静磁場を発生させるもので、被検体1の周りに常電導方式あるいは超電導方式の静磁場発生源が配置されている。静磁場発生系2は
図1におけるガントリー100内に収容される。
【0033】
傾斜磁場発生系3は、X、Y、Zの3軸方向に傾斜磁場を発生する傾斜磁場コイル9と、それぞれの傾斜磁場コイル9を駆動する傾斜磁場電源10とから成り、後述のシ−ケンサ4からの命令に従ってそれぞれのコイルの傾斜磁場電源10を駆動することにより、X、Y、Zの3軸方向の傾斜磁場Gx,Gy,Gzを被検体1に印加する。例えば、X、Y、Zのいずれかの1方向にスライス方向傾斜磁場パルス(Gs)を印加して被検体1に対するスライス面を設定し、残り2つの方向に位相エンコード方向傾斜磁場パルス(Gp)と周波数エンコード方向傾斜磁場パルス(Gf)を印加して、エコー信号にそれぞれの方向の位置情報をエンコードする。傾斜磁場コイル9は、
図1におけるガントリー100内に、傾斜磁場電源10は図示しない制御筐体にそれぞれ収容される。
【0034】
シーケンサ4は、高周波磁場パルス(以下、RFパルスという)と傾斜磁場パルスをある所定のパルスシーケンスで繰り返し印加する制御手段で、CPU8の制御で動作し、被検体1の断層画像のデータ収集に必要な種々の命令を送信系5、傾斜磁場発生系3、および受信系6に送る。シーケンサ4は制御筐体内に収容される。
【0035】
送信系5は、被検体1の生体組織を構成する原子の原子核スピンに核磁気共鳴を起こさせるためにRFパルスを照射するもので、高周波発振器11と変調器12と高周波増幅器13と送信側の高周波コイル14aとから成る。高周波発振器11から出力された高周波パルスをシーケンサ4からの指令によるタイミングで変調器12により振幅変調し、この振幅変調された高周波パルスを高周波増幅器13で増幅した後に被検体1に近接して配置された高周波コイル14aに供給することにより、RFパルスが被検体1に照射される。一般的に高周波コイル14aがガントリー100内に収容され、他は制御筐体内に収容される。
【0036】
受信系6は、被検体1の生体組織を構成する原子核スピンの核磁気共鳴により放出されるエコー信号(NMR信号)を検出するもので、受信側の高周波コイル14bと信号増幅器15と直交位相検波器16と、A/D変換器17とから成る。送信側の高周波コイル14aから照射された電磁波によって誘起される被検体1の応答のNMR信号が被検体1に近接して配置された高周波コイル14bで検出され、信号増幅器15で増幅された後、シーケンサ4からの指令によるタイミングで直交位相検波器16により直交する二系統の信号に分割され、それぞれがA/D変換器17でディジタル量に変換されて、信号処理系7に送られる。一般的に受信系6を構成する装置群はガントリー100内に収容される。
【0037】
信号処理系7は、光ディスク19、磁気ディスク18等の外部記憶装置と、CRT等からなるディスプレイ20とを有し、受信系6からのデータがCPU8に入力されると、CPU8が信号処理、画像再構成等の処理を実行し、その結果である被検体1の断層画像をディスプレイ20に表示すると共に、外部記憶装置の磁気ディスク18等に記録する。信号処理系7は処理装置内に収容される。なお、送信側の高周波コイル14と傾斜磁場コイル9は、被検体1が挿入される静磁場発生系2の静磁場空間内に被検体1に対向して設置されている。また、受信側の高周波コイル14bは、被検体1に対向して、或いは取り囲むように設置されている。
【0038】
現在MRI装置の撮像対象核種は、臨床で普及しているものとしては、被検体の主たる構成物質である水素原子核(プロトン)である。プロトン密度の空間分布や、励起状態の緩和時間の空間分布に関する情報を画像化することで、人体頭部、腹部、四肢等の形態または、機能を2次元もしくは3次元的に撮像する。
【0039】
次に、
図3から
図7を参照して、ガントリー100とベッド部200について具体的な構造を更に説明する。
【0040】
まずガントリー100について説明する。この実施例のガントリー100の基本形状は、横姿勢の筒形状の下部を床面との安定確保のために水平面(接地面)を確保した造形としている。具体的には、
図3の正面及び
図4の背面形状では、上部が円形で両側下部がやや窄まって下端部で開いた形状を備え、
図5の側面形状では中央を外周パネル120で覆い、その前後を同様な形状を備えたフロントパネル110とバックパネル130で構成している。
【0041】
ガントリー100内には、
図7に示すように、トンネル状の開口部101を包むように総括的に示す磁石40が設けられ、この磁石40の外側を外周パネル120で覆い、磁石40の内側を筒状部材104で構成している。
ガントリー100の前部を構成するフロントパネル110は、
図3に示すように、外周パネル120と連結する外パネル111と、この外パネル111の内側を構成する内パネル112とで構成している。なお、バックパネル130はフロントパネル110と同様につき説明を省略する。
【0042】
フロントパネル110の外パネル111は、前方に行くに従って前方に絞られる凸曲面で形成され、その前端部となるパネル連結部113はフロントパネル110のトップ面102を構成している。この実施例では、このパネル連結部113を細いサッシ状の帯状部材で形成している。なお、フロントパネルは、外パネル111及び内パネル112を別体としてではなく、一体として構成しても良く、その場合は、最も前方に突出した線状或いは帯状の部分がトップ面となる。
【0043】
一方、内パネル112は、外周となるトップ面102近傍では大きく凹み、開口部101近傍では凸曲面の開口入口部103に連続する凹曲面で全体を構成している。従来構造では、磁石40を包む筺体は、丸みのある凸曲面で形成するのが一般的であるが、この実施例の内パネル112は、従来構造とは逆に凹曲面で形成することで、ガントリー100の前部に凹曲面で形成される凹み部105を形成している。特に、この実施例で特徴的な点は、
図3、
図4に示すように、トップ面102となるパネル連結部113を開口部101の下方に回り込ませて凹み部105をパネル連結部113で包む構造とするのではなく、パネル連結部113の両端を下方に向かって伸ばして形成することにより、凹み部105を接地面まで延長させた点にある。この構造によれば、凹み部105の一部を操作者50の作業空間51として活用することができる。
【0044】
なお、この内パネル112と筒状部材104は投光性のある乳白色の樹脂部材で形成してもよい。この場合は、図示しないLED光源を内部の所定位置に設けることで、内パネル112と筒状部材104を発光させて、装飾的な演出効果の照明を実現することができるので、被検体1の不安感を軽減することができる。
【0045】
内パネル112の凹み部105の下端部中央には、
図5及び
図7に示すように、薄い箱状のガントリー側連結部310が設けられている。これにより、ベッド側連結部350と連結する領域を確保するとともに、ガントリー100の前面から飛び出すガントリー側連結部310の張り出し量を小さくしている。特に、この実施例では、ベッド部200を移動させることができるため、この移動時に露出するガントリー側連結部310の張り出し量を小さくすることに有効である。
なお、本実施例においては、開口入口部103周囲を凹み形状で形成しているが、当該凹みは必ずしも開口部全周に渡って配置されていなくても良い。当該開口部の下方または左右が凹んでいることで、検査者のアクセスが容易となり、また解放感を創出することが可能であるためである。この際、開口部の上部にレーザー等の光源や表示装置等を配置しても良いことは云うまでも無い。
【0046】
次に
図5及び
図6を参照して、ベッド部200の詳細を説明する。
ベッド部200は、四隅に自在車輪202を備えたベース筺体203と、スライド可能な天板201を備えた天板ベース部204と、この天板ベース部204とベース筺体203とを連結する蛇腹状の昇降機構205とを含んで構成されている。
図5に示すように、この実施例では、ベース筺体203の上方に天板ベース部204を対峙させ、その間に設けた昇降機構205を長手方向の片側に偏って設けている。これにより、長手方向の他方の端部は、中間部が開放され、その上方の天板ベース部204と、下方のベース筺体203が他方側に張り出した形態となる。
【0047】
この実施例では、他方側に張り出したベース筺体203にベッド側連結部350を設け、他方側に張り出した天板ベース部204の端部204aを天板201と同じ横幅Wに形成している。そして、昇降機構205の上部となる天板201の一端側には、この天板201を移動させたり、あるいはベッド部200自体を移動させるときに用いるハンドル206を設けている。もちろん、このハンドル206を、天板201のスライド移動を行うハンドルと、ベッド部200自体を移動させるハンドルとに分けて別々に同様な位置に設けるようにしてもよい。
【0048】
このベッド部200の構造によれば、昇降機構205を長手方向の一端側に片寄らせて設置することにより、ベッド部200の重心を長手方向の一端側に片寄らせ、この片寄らせた一端側にハンドル206を備えることにより、自在車輪202での移動性を良好にしている。そして、この昇降機構205を片寄らせることにより、長手方向の他端側に昇降機構205に邪魔されない広い作業空間を確保することができるから、操作者の作業性を良好にすることができる。
【0049】
また、
図6に示すように、この実施例の天板ベース部204の、天板201と同じ幅の端部204aを除く、短手方向の両側には、天板201の上面とともに連続した平滑面を成す保持面207を備えている。この構造によれば、天板201が天板ベース部204上に収められた状態では、天板201の多くの部分と、その両側の保持面207とで幅広い平滑面が構成されるため、ベッド部200を移動させても、被検体1を天板201と保持面207とで安定支持することができる。そして撮影する時には、被検体1を乗せた細い天板201のみをトンネル状の開口部101内に挿入することができる。
【0050】
更に、ベッド部200が連結部300を介してガントリー100に連結されると、ガントリー100近傍の天板ベース部204の端部204aは、細い天板201と同じ横幅Wの中に収められる。しかも、この天板ベース部204の端部204aは、ガントリー100の前面に形成される凹み部105に挿入されるため、この凹み部105と端部204aの近傍を操作者の作業空間とすることができる。
【0051】
次に、
図7から
図9を参照して、連結部300の構造と、連結時のガントリー100とベッド部200の連結状態を更に説明する。
先ず、
図8において、ベッド部200のベース筺体203の一端には、自在車輪202を支持する車輪支持部208がベース筺体203の短手方向の両側に張り出して形成されている。つまり、この実施例では、ベース筺体203の四方に車輪支持部208が張り出して形成され、この車輪支持部208で支持される自在車輪202により、安定した移動を図ることができる。
【0052】
一方、ベース筺体203の長手方向の一端側となる一対の車輪支持部208の間には、
図8(a)に示すように、一端側に張り出したベッド側連結部350が設けられている。このベッド側連結部350は、
図8(c)に示すように、先端部の両側350aが外側に張り出し、その先端部の内側350bが内方に凹んだ形状を備えている。そして、その先端にはベッド部200を電気的にガントリー100と連結する雌コネクタ351が設けられている。
【0053】
他方、ガントリー側連結部310は、ベッド側連結部350を収納する箱状の連結筺体311を備えている。この連結筺体311の先端の両側には、両側への応力を吸収するバネ部材312が設けられ、連結筺体311の内部には雌コネクタ351と連結する雄コネクタ313が設けられている(
図8の(c))。
【0054】
この実施例によれば、
図8(a)の状態から、ベッド側連結部350をガントリー側連結部310の連結筺体311内に挿入すると、最初、ベッド側連結部350の先端部の両側350aがバネ部材312により侵入を阻止されるが、バネ部材312がこの応力を吸収するので、ベッド側連結部350を連結筺体311内に挿入して
図8(b)の状態にすることができる。そして、この挿入状態では、雌コネクタ351と雄コネクタ313の連結が図れ、バネ部材312が凹状の先端部の内側350bと嵌合するので、ガントリー側連結部310とベッド側連結部350が固定される。しかも、連結筺体311の横幅は、両側の自在車輪202の内側寸法より小さく設定されているので、
図8(b)に示すように、一対の自在車輪202をガントリー側連結部310の両側に収納することができるから、自在車輪202が邪魔になることを軽減することができる。
【0055】
次にベッド部200の昇降について説明する。本実施例のベッド部200は、上述したように、昇降機構205により天板201を昇降させることができるが、この天板201の昇降を、ベッド部200をガントリー100に連結した状態においても、実現できる構造を有している。このため、
図9及び
図7に示すように、ガンドリー100の開口入口部103の下端部に、天板201とこれを支持する天板ベース部204の昇降軌道を確保する凹状軌道部106を連続して形成している。
【0056】
即ち、
図7に示すように、ベッド部200とガントリー100との連結状態では、天板201の先端が、開口部101に挿入可能な高さでセッテイングされる。そして、このセッテイング状態では、天板201とこれを支持する天板ベース部204の先端が開口入口部103の下端に食い込む位置となる。この開口入口部103の下端部に、天板201と天板ベース部204の先端を受け入れる凹部(凹状軌道部106)を形成し、この凹部を下方まで連続して形成することで、この凹部を天板201の昇降を可能とする凹状軌道部106としている。
【0057】
この実施例によれば、
図9(a)に示すように、ベッド部200をガントリー100に連結した状態でも、天板101を降下させて、(b)の状態にすることができる。その逆も同様である。このように、連結状態でも天板101を昇降させることができるので被検体1の乗り降りを楽に行うことができる。また、この実施例では、トップ面102から内側に向かって形成される凹状の内パネル112は凹状軌道部106と連続して、更なる大きな凹みとなる凹み部105を形成することができるから、操作者の下肢空間を広く確保することができる。
【0058】
次に、
図10を参照して、このMRI装置における操作者50の作業性について、更に説明する。
図10に示すように、ガントリー100の前面には、その上部と両側に連続するトップ面102が形成されており、このトップ面102から凹曲面で開口部101の周辺の開口入口部103に至る凹み部105が形成されている。このため、操作者50は、この凹み部105に肩や腰を挿入させて、ベッド部200に寝た状態で乗せられる被検体1にアクセスすることができる。しかも、このアクセスする操作者50は、凹み部105内に設けられる操作パネル151で操作を行ったり、状態表示部152で状態を確認することができる。
【0059】
また、上述のようにトップ面102から内側に向かって形成される凹状の内パネル112は凹状軌道部106(
図9参照)と連続して、
図10(c)に示すように、更なる大きな凹みとなる凹み部105を形成することができるので、操作者の下肢空間を広く確保することができる。さらに、凹み部105近傍の天板ベース部204の横幅を天板201と同じ横幅ないしは小さく設定しているので、サポートする操作者50に天板ベース部204が邪魔になることがない。さらに、天板ベース部204を支持する昇降機構205が片側に設けられているため、凹み部105近傍の天板201の下方部の下肢空間(操作者50の下肢の可動空間)が広くなっている。従って、操作者50の膝が昇降機構205に当たることが軽減されるとともに、操作者50の足を天板201の下方に挿入させることもできるので、操作者50の作業性を大きく向上することができる。
【0060】
連結部300は、接地面に近い位置に設けられ、しかも、天板201の投影面積内に設けられているので、サポート姿勢における操作者50の下肢空間を広くすることができる。しかも、自在車輪202は連結部300の両側に収納されるので、自在車輪202が操作者50の邪魔になるのを軽減することができる。
【0061】
以上説明したように、この実施例に係るMRI装置は、静磁場空間を形成するための静磁場発生源を含んで成るガントリーと、被検体を載置してこの被検体を静磁場空間に挿入するための天板を含んで成るベッド部とを備え、ガントリーは、トンネル状の静磁場空間の外周を覆う外周パネルと、静磁場空間の開口部を備えたフロントパネルとを備え、フロントパネルの開口部近傍はその少なくとも一部が凹形状に形成されているように構成されている。
【0062】
本実施形態のMRI装置において、ガントリーのフロントパネルは、開口部の上部から両側を経て接地面に至るアーチ型の外パネルと、このアーチ型の外パネルの内側に設けられる内パネルとを備え、外パネルと内パネルの連結部は、前方に張り出したトップ面を構成し、内パネルは、トップ面から凹曲面を備えて開口部に至る凹形状で形成されるようにしても良い。
【0063】
ベッド部は、その上部にスライド移動可能な天板を備えた天板ベース部を備え、この天板ベース部は、ガントリーと連結する端部の横幅を天板の横幅と同じ横幅以内に形成するようにする。また、ベッド部をガントリーに対し着脱可能にする連結部を備え、連結部は、ガントリーのトップ面から後方に後退した内パネルの下端部の中央に設けられるガントリー側連結部と、ベッド部の長手方向の一端側に設けられるベッド側連結部とで構成され、ベッド側連結部は、四隅に移動車輪を備えたベース筺体の端部に設けるようにする。更に、ベッド部は、四隅に移動車輪を備えたベース筺体と、このベース筺体の上に設けられ、スライド移動可能な天板を備えた天板ベースを昇降可能に支持する昇降機構を備え、内パネルは、開口部の下端部から下方に延びる凹部が形成され、昇降機構は、この凹部に沿って天板ベースを昇降させるようにする。