特許第5676656号(P5676656)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5676656重水素化ω−ジフェニル尿素の合成及び生産の方法並びにプロセス
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5676656
(24)【登録日】2015年1月9日
(45)【発行日】2015年2月25日
(54)【発明の名称】重水素化ω−ジフェニル尿素の合成及び生産の方法並びにプロセス
(51)【国際特許分類】
   C07D 213/81 20060101AFI20150205BHJP
   A61K 31/44 20060101ALN20150205BHJP
   A61P 43/00 20060101ALN20150205BHJP
   A61P 35/00 20060101ALN20150205BHJP
【FI】
   C07D213/81CSP
   !A61K31/44
   !A61P43/00 111
   !A61P35/00
【請求項の数】7
【全頁数】28
(21)【出願番号】特願2012-557394(P2012-557394)
(86)(22)【出願日】2011年3月17日
(65)【公表番号】特表2013-522243(P2013-522243A)
(43)【公表日】2013年6月13日
(86)【国際出願番号】CN2011071926
(87)【国際公開番号】WO2011113367
(87)【国際公開日】20110922
【審査請求日】2012年11月21日
(31)【優先権主張番号】201010127706.6
(32)【優先日】2010年3月18日
(33)【優先権主張国】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】512242192
【氏名又は名称】▲蘇▼州▲澤▼▲ジン▼生物制▲薬▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100078868
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 登夫
(74)【代理人】
【識別番号】100114557
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 英仁
(72)【発明者】
【氏名】▲ファン▼ ▲衛▼▲東▼
(72)【発明者】
【氏名】高 小勇
(72)【発明者】
【氏名】代 ▲暁▼俊
【審査官】 伊藤 幸司
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2010/019701(WO,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2009/0069388(US,A1)
【文献】 国際公開第2009/054004(WO,A1)
【文献】 国際公開第2009/034308(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07D
A61K
CAPLUS/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の工程を含むことを特徴とする、下記化1で表されるN-(4-クロロ-3-(トリフルオロメチル)フェニル)-Ν’-(4-(2-(Ν-1’,1’,1’-トリデューテロメチルアミノホルミル)-4-ピリジルオキシ)フェニル)尿素の製造方法。
【化1】

c)ジメチルスルホキシドとジクロロメタンとの混合溶媒である不活性溶媒中で、4-クロロ-3-トリフルオロメチルフェニルイソシアネート(VIII)と式5化合物とを反応させて、前記化1で表される化合物を生成させる工程。
【化2】
【請求項2】
以下の工程を含むことを特徴とする、下記化3で表されるN-(4-クロロ-3-(トリフルオロメチル)フェニル)-Ν’-(4-(2-(Ν-1’,1’,1’-トリデューテロメチルアミノホルミ
ル)-4-ピリジルオキシ)フェニル)尿素の製造方法。
【化3】
(d)不活性溶媒中で、CDI及びCH2 Cl2 の存在下で、式5化合物と式6化合物とを反応させて前記化3で表される化合物を生成させる工程。
【化4】
【請求項3】
式Bで表される中間体。
【化5】
【請求項4】
(a1)塩基性の条件下で、不活性溶媒中で、4-クロロ-ピコリン酸メチルを1,1,1-トリデューテロメチルアミン塩酸塩と反応させることで、4-クロロ-Ν-(1’,1’,1’-トリデューテロメチル)ピコリンアミドを生成させる工程
を含み、前記不活性溶媒はテトラヒドロフランであり、前記塩基性の条件下とは、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸セシウム、KOH、NaOH、又はこれらの組合せが反応系に存在することを意味することを特徴とする4-クロロ-Ν-(1’,1’,1’-トリデューテロメチル)ピコリンアミドの製造方法。
【請求項5】
重水素化ω-ジフェニル尿素製造するための中間体の使用であって、
重水素化ω-ジフェニル尿素は、4-(4-(3-(4-クロロ-3-(トリフルオロメチル)フェニル)ウレイド)-フェノキシ)-N-(1’,1’,1’-トリデューテロメチル)ピコリンアミドであり、4-(4-(3-(4-クロロ-3-(トリフルオロメチル)フェニル)ウレイド)-フェノキシ)-N-(1’,1’,1’-トリデューテロメチル)ピコリンアミドは下記の製法により得られることを特徴とする請求項に記載の中間体の使用。
(c)ジメチルスルホキシドとジクロロメタンとの混合溶媒である不活性溶媒中で、4-クロロ-3-トリフルオロメチルフェニルイソシアネート(VIII)と式5化合物とを反応させて、4-(4-(3-(4-クロロ-3-(トリフルオロメチル)フェニル)ウレイド)-フェノキシ)-N-(1’,1’,1’-トリデューテロメチル)ピコリンアミドを生成させる。
【化6】
【請求項6】
重水素化ω-ジフェニル尿素を製造するための中間体の使用であって、
重水素化ω-ジフェニル尿素は、4-(4-(3-(4-クロロ-3-(トリフルオロメチル)フェニル)ウレイド)-フェノキシ)-N-(1’,1’,1’-トリデューテロメチル)ピコリンアミドであり、4-(4-(3-(4-クロロ-3-(トリフルオロメチル)フェニル)ウレイド)-フェノキシ)-N-(1’,1’,1’-トリデューテロメチル)ピコリンアミドは下記の製法により得られることを特徴とする請求項3に記載の中間体の使用。
(d)不活性溶媒中で、CDI及びCH2 Cl2 の存在下で、式5化合物と式6化合物とを反応させて、4-(4-(3-(4-クロロ-3-(トリフルオロメチル)フェニル)ウレイド)-フェノキシ)-N-(1’,1’,1’-トリデューテロメチル)ピコリンアミドを生成させる。
【化7】
【請求項7】
前記重水素化ω-ジフェニル尿素は、4-(4-(3-(4-クロロ-3-(トリフルオロメチル)フェニル)ウレイド)-フェノキシ)-N-(1’,1’,1’-トリデューテロメチル)ピコリンアミド p-トルエンスルホン酸塩であり、無水エタノール中で、4-(4-(3-(4-クロロ-3-(トリフルオロメチル)フェニル)ウレイド)-フェノキシ)-N-(1’,1’,1’-トリデューテロメチル)ピコリンアミドとp-トルエンスルホン酸一水和物とを反応させ、無水エタノールを留去することにより得られることを特徴とする請求項5又は6に記載の中間体の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、化学合成の分野、具体的には重水素化ω-ジフェニル尿素の合成及び製造方法並びにプロセスに関する。
【背景技術】
【0002】
ω-ジフェニル尿素誘導体はc-RAFキナーゼの阻害活性を有する化合物であることが知られている。例えば、国際公開第2000/042012号において、一種類のω-カルボキシアリール置換ジフェニル尿素、並びにその癌及び関連疾患の治療における用途が公開されている。
ω-ジフェニル尿素誘導体、例えばソラフェニブ(Sorafenib)は最初に発見されたc-RAFキナーゼの阻害剤であり、その後の研究によって、さらに、MEK及びERKのシグナル伝達経路、血管内皮細胞増殖因子受容体-2 (VEGFR-2)、血管内皮細胞増殖因子受容体-3 (VEGFR-3)、及び血小板由来増殖因子-β(PDGFR-β)のチロシンキナーゼの活性を阻害することが発見された(Curr Pharm Des 2002;8:2255-2257)ので、マルチキナーゼ阻害剤と呼ばれ、二重抗腫瘍作用を有する。
【0003】
ソラフェニブ(Sorafenib)は、商標名がNexavarで、バイエル社とOnyx社で共同開発された新型の経口マルチキナーゼ阻害剤であり、進行腎細胞癌の第III 相臨床研究における優れた効果によって、2005年12月にFDAに進行腎細胞癌の治療への使用を早期に許可され、2006年11月に中国で発売されるようになった。しかしながら、ソラフェニブ(Sorafenib)は、例えば高血圧、体重軽減、皮疹等の複数の副作用がある。
本分野ではrafキナーゼに阻害活性、又はより優れた薬効学的機能を有する化合物及びその製造プロセスの開発が必要である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】国際公開第2000/042012号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、rafキナーゼの阻害活性及びより優れた薬効学的機能を有する新規な化合物及びその用途を提供することにある。
本発明のもう一つの目的は、重水素化ω-ジフェニル尿素及びその中間体の一連の合成方法を提供することによって、薬物の工業的生産上の基準を満足し、かつ操作性及び安全性を向上させることにある。
【0009】
本発明の第1及び第2態様は、N-(4-クロロ-3-(トリフルオロメチル)フェニル)-Ν’-(4-(2-(Ν-1’,1’,1’-トリデューテロメチルアミノホルミル)-4-ピリジルオキシ)フェニル)尿素の化合物を製造する方法を提供する。
【0010】
【化2】
【0017】
又は、前記方法は、
(c)不活性溶媒中で、4-クロロ-3-トリフルオロメチルフェニルイソシアネート(VIII)と式5化合物とを反応させて前記化合物を生成させることを含む。
【0018】
【化5】
【0019】
又は、前記方法は、
(d)不活性溶媒中で、CDI及びCH2 Cl2 の存在下で、式5化合物と式6化合物とを反応させて前記化合物を生成させることを含む。
【0020】
【化6】
【0030】
本発明の第3態様は、式Bで表される中間体を提供する。
【0031】
【化10】
【0035】
本発明の第4態様は、
(a1)塩基性の条件下で、不活性溶媒中で、4-クロロ-ピコリン酸メチルエステルを1,1,1-トリデューテロメチルアミン又はその塩と反応させることで、4-クロロ-Ν-(1’,1’,1’-トリデューテロメチル)ピコリンアミド(4-クロロ-2-(Ν-1’,1’,1’-トリデューテロメチル)ピコリンアミド)を生成させる工程
を含み、前記不活性溶媒はテトラヒドロフランであり、前記塩基性の条件下とは、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸セシウム、KOH、NaOH、又はこれらの組合せが反応系に存在することを意味する、4-クロロ-Ν-(1’,1’,1’-トリデューテロメチル)ピコリンアミドの製造方法を提供する。
【0036】
別の好ましい例において、前記不活性溶媒は、テトラヒドロフラン、エタノール、メタノール、水、又はこれらの混合溶媒からなる。
【0037】
別の好ましい例において、工程(a1)において、反応温度は、-10℃〜還流温度、好ましくは-4℃〜60℃、より好ましくは5〜50℃である。
【0038】
別の好ましい例において、工程(a1)において、反応時間は、0.5〜72時間、好ましくは1〜64時間、より好ましくは2〜48時間である。
別の好ましい例において、工程(a1)において、前記の塩基性条件とは、反応系に炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸セシウム、KOH、NaOH又はこれらの組合せが反応系に存在することをいう。
【0045】
本発明の第5態様では、重水素化ω-ジフェニル尿素を製造するための中間体の使用であって、重水素化ω-ジフェニル尿素は、4-(4-(3-(4-クロロ-3-(トリフルオロメチル)フェニル)ウレイド)-フェノキシ)-N-(1’,1’,1’-トリデューテロメチル)ピコリンアミド(CM4307)であり、CM4307は下記の製法により得られる本発明の第3態様に記載の中間体の使用を提供する。
(c)ジメチルスルホキシドとジクロロメタンとの混合溶媒である不活性溶媒中で、4-クロロ-3-トリフルオロメチルフェニルイソシアネート(VIII)と式5化合物とを反応させて、CM4307を生成させる。
【0046】
本発明の第6態様では、重水素化ω-ジフェニル尿素を製造するための中間体の使用であって、重水素化ω-ジフェニル尿素は、4-(4-(3-(4-クロロ-3-(トリフルオロメチル)フェニル)ウレイド)-フェノキシ)-N-(1’,1’,1’-トリデューテロメチル)ピコリンアミド(CM4307)であり、CM4307は下記の製法により得られる本発明の第3態様に記載の中間体の使用を提供する。
(d)不活性溶媒中で、CDI及びCH2 Cl2 の存在下で、式5化合物と式6化合物とを反応させてCM4307を生成させる。
本発明の第7態様では、前記重水素化ω-ジフェニル尿素は、4-(4-(3-(4-クロロ-3-(トリフルオロメチル)フェニル)ウレイド)-フェノキシ)-N-(1’,1’,1’-トリデューテロメチル)ピコリンアミド p-トルエンスルホン酸塩であり、無水エタノール中で、4-(4-(3-(4-クロロ-3-(トリフルオロメチル)フェニル)ウレイド)-フェノキシ)-N-(1’,1’,1’-トリデューテロメチル)ピコリンアミドとp-トルエンスルホン酸一水和物とを反応させ、無水エタノールを留去することにより得られ本発明の第5態様又は第6態様に記載の中間体の使用を提供する。
【0047】
当然に、本発明の範囲内において、本発明の上述の各技術特徴及び下述(例えば実施例)の具体的に記述された各技術特徴は互いに組合せ、新しい、又は好ましい技術方案を構成できることが理解される。紙数に限りがあるため、ここで説明しない。
【図面の簡単な説明】
【0048】
図1】雄SDラットに3mg/kgで対照化合物のCM4306を経口投与した後の血清中薬物濃度(ng/mL)を示すグラフである。
図2】雄SDラットに3mg/kgで本発明化合物のCM4307を経口投与した後の血清中薬物濃度(ng/mL)を示すグラフである。
図3】CM4306及びCM4307のヒト肝細胞癌SMMC-7721のヌードマウスへの移植モデルに対する抑制作用を示すグラフである。図中において、「治療」は治療時間が14日間であることを表す。その後は投与を止めた後の観察期間である。治療の前の5日間はモデル構築期間である。
【発明を実施するための形態】
【0049】
本発明者らは、研究した結果、本発明の重水素化ω-ジフェニル尿素及びその薬学的に許容される塩は重水素化さていない化合物と比べると、予期せず、顕著に、より優れた薬物動態学及び/又は薬効学の機能を持つため、rafキナーゼを阻害する化合物としてより適切で、さらに癌及び関連疾患を治療するための薬物の製造により適することを見出した。
【0050】
また、本発明者らは、新規な式Bの中間体を使用すると、
【0051】
【化13】
【0052】
効率的に、簡単に高純度のジフェニル尿素化合物を製造することができることを見出した。これに基づき、本発明を完成させた。
【0053】
定義
ここで用いられるように、「ハロゲン」とは、F、Cl、Br、及びIを指す。ハロゲン原子がF、Cl、Brから選ばれることが好ましい。
ここで用いられるように、「アルキル基」は、直鎖又は分枝鎖のアルキル基を含む。好ましいアルキル基は、C1−C4 アルキル基で、たとえばメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、t-ブチル基等がある。
ここで用いられるように、「重水素化」とは、化合物又は基における一つ又は複数の水素が重水素に置換されることを指す。重水素化は、一置換、二置換、複数置換又は全置換でもよい。用語の「一つ又は複数の重水素化」は、「一回又は複数回の重水素化」と入れ替えて使用することができる。
【0054】
別の好ましい例において、重水素の置換位置での重水素同位元素の含有量は自然の重水素同位元素の含有量(0.015%)よりも多く、好ましくは50%、好ましくは75%、好ましくは95%、好ましくは97%、好ましくは99%、好ましくは99.5%よりも多い。
【0055】
別の好ましい例において、式(I)化合物は少なくとも重水素原子を1個、好ましくは3個、より好ましくは5個を含有する。
ここで用いられるように、用語の「化合物CM4306」とは、4-(4-(3-(4-クロロ-3-(トリフルオロメチル)フェニル)ウレイド)-フェノキシ)-N-メチルピコリンアミドを指す。
ここで用いられるように、用語の「化合物CM4307」とは、4-(4-(3-(4-クロロ-3-(トリフルオロメチル)フェニル)ウレイド)-フェノキシ)-(N-1’,1’,1’-トリデューテロメチル)ピコリンアミドを指す。
ここで用いられるように、用語の「TsOH」とは、p-トルエンスルホン酸を指す。それで、CM4307・TsOHは、化合物CM4307のp-トルエンスルホン酸塩を表す。
【0056】
重水素化ジフェニル尿素
本発明の好ましい重水素化ジフェニル尿素化合物は、式Iの構造を有する。
【0057】
【化14】
【0058】
式中、
XはN又はN+ -O-で、
1 はハロゲン(例えばF、Cl又はBr)、一つ又は複数の重水素化或いは全重水素化のC1−C4 アルキル基で、
2 は無重水素化、一つ又は複数の重水素化もしくは全重水素化のC1−C4 アルキル基、又は部分又は全部がハロゲンで置換されたC1−C4 アルキル基で、
3 、R4 、R5 、R8 、R9 、R10、R11、R12、R13、R14はそれぞれ水素、重水素、又はハロゲン(例えばF、Cl又はBr)で、
6 は水素、重水素、又は一つ又は複数の重水素化若しくは全重水素化のC1−C4 アルキル基で、
7 は水素、重水素、又は一つ又は複数の重水素化もしくは全重水素化のC1-C4アルキル基で、
付加条件は、R2、R3 、R4 、R5 、R6 、R7 、R8 、R9 、R10、R11、R12、R13、R14のうち、少なくとも一つが重水素化のもの又は重水素である。
【0059】
別の好ましい例において、重水素の置換位置での重水素同位元素の含有量が少なくとも自然の重水素同位元素の含有量(0.015%)よりも多く、好ましくは30%、好ましくは50%、好ましくは75%、好ましくは95%、好ましくは99%よりも多い。
別の好ましい例において、式(I)の化合物におけるH以外の他の元素(例えばN、C、O、F等)は全部又はほとんど(>99wt%)が存在度の一番高い自然に存在する元素、例えば14N、12C、16O及び19Fである。
別の好ましい例において、式(I)化合物は少なくとも重水素原子を1個、好ましくは3個、より好ましくは5個を含有する。
別の好ましい例において、R1 はハロゲンから選ばれ、好ましくは塩素である。
別の好ましい例において、R2はトリフルオロメチル基である。
【0060】
別の好ましい例において、R6 及びR7はそれぞれ独立して水素、重水素、重水素化メチル基、又は重水素化エチル基、好ましくは、モノデューテロメチル基、ジデューテロメチル基、トリデューテロメチル基、モノデューテロエチル基、ジデューテロエチル基、トリデューテロエチル基、テトラデューテロエチル基、又はペンタデューテロエチル基から選ばれる。
別の好ましい例において、R6 及びR7はそれぞれ独立して水素、メチル基又はトリデューテロメチル基から選ばれる。
別の好ましい例において、R3 、R4 、又はR5はそれぞれ独立して水素又は重水素から選ばれる。
別の好ましい例において、R8 、R9 、R10、又はR11はそれぞれ独立して水素又は重水素から選ばれる。
別の好ましい例において、R12、R13、R14又はそれぞれ独立して水素又は重水素から選ばれる。
【0061】
別の好ましい例において、前記化合物は、以下の好適な化合物から選ばれる。
N-(4-クロロ-3-(トリフルオロメチル)フェニル)-Ν’-(4-(2-(Ν-1’,1’,1’-トリデューテロメチルアミノホルミル)-4-ピリジルオキシ)フェニル)尿素、
【0062】
【化15】
【0063】
4-(4-(3-(4-クロロ-3- (トリフルオロメチル)フェニル)ウレイド)フェノキシ)-2-(Ν-1’,1’,1’-トリデューテロメチルアミノホルミル)ピリジン-1-オキシド。
【0064】
【化16】
【0065】
中間体
ここで用いられるように、用語の「本発明の中間体」とは、式Bの化合物である。
【0066】
【化17】
【0067】
上述式の化合物におけるH以外の他の元素(例えばN、C、O等)は全部又はほとんど(>99wt%)が存在度の一番高い自然に存在する元素、例えば14N、12C、及び16Oである。
【0068】
活性成分
ここで用いられるように、用語の「本発明化合物」とは(I)で表される化合物である。この用語は、さらに、式(I)の化合物の各種の結晶型、薬学的に許容される塩、水和物又は溶媒和物を含む。
ここで用いられるように、用語の「薬学的に許容される塩」とは本発明化合物と酸又は塩基とで生成される、薬物として適切な塩である。薬学的に許容される塩は無機塩と有機塩を含む。一種の好ましい塩は、本発明化合物と酸とで生成される塩である。塩の生成に
適切な酸は、塩酸、臭化水素酸、フッ化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸等の無機酸、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、フマル酸、マレイン酸、乳酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、ピクリン酸、メタンスルホン酸、ベンゼンメタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸等の有機酸、及びアスパラギン酸、グルタミン酸等の酸性アミノ酸を含むが、これらに限定されない。
【0069】
製造方法
以下、より具体的に本発明の式(I)の構造の化合物及び式Bの中間体の製造方法を説明するが、これらの具体的な方法は本発明に対する制限にならない。本発明化合物は、本明細書で説明された、又は本分野で知られた各種の合成方法を任意に組合せて便利に製造するができ、このような組合せは本発明が属する分野の技術者が容易にできることである。
【0070】
本発明で使用される重水素化されていないω-ジフェニル尿素及び生理的に許容される塩の製造方法は既知のものである。 相応の重水素化されたω-ジフェニル尿素の製造は、相応の重水素化された開始化合物を原料とし、同様の経路で合成することができる。例えば、本発明の式(I)の化合物はWO 2000/042012に記載の製造方法によって製造できるが、相違点は反応において重水素化されていない原料に代わって重水素化された原料が使用されることである。
【0071】
通常、製造中では、各反応は通常、不活性溶媒において、室温〜還流温度(例えば0℃〜80℃、好ましくは0℃〜50℃)で行われる。反応時間は、通常、0.1時間〜60時間、好ましくは0.5〜48時間である。
化合物CM4307を例として、好ましい製造プロセスの一つが以下の通りである。
【0072】
【化18】
【0073】
合成経路1のように、4-アミノフェノール(化合物I)と3-トリフルオロメチル-4-クロロアニリン(化合物II)とをN,N’-カルボニルジイミダゾール、ホスゲン又はトリホスゲンの作用で反応させ、1-(4-クロロ-3-(トリフルオロメチル)フェニル)-3-(4-ヒドロ
キシフェニル)尿素(化合物III )を生成する。ピコリン酸メチルエステル(化合物IV)と重水素化メチルアミン又は重水素化メチルアミンの塩酸塩とを塩基(例えば炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、水酸化ナトリウム、トリエチルアミン、ピリジン等)の作用で、又は直接混合して反応させ、2-(N-1’,1’,1’-トリデューテロメチル)カルバモイルピリジン(化合物V)を得る。化合物IIIと化合物Vとから塩基(例えばt-ブトキシカリウム、水素化ナトリウム、水素化カリウム、炭酸カリウム、炭酸セシウム、リン酸カリウム、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム)及び任意の触媒(例えばヨウ化第一銅とプロリンと、又はヨウ化第一銅とピコリン酸と)の作用で、化合物CM-4307を得る。 上述反応は、不活性溶媒、例えばジクロロメタン、ジクロロエタン、アセトニトリル、n-ヘキサン、トルエン、テトラヒドロフラン、N,N-ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド等において、温度0〜200℃で行われる。
【0074】
化合物CM4307を例として、好ましい製造プロセスのもう一つが以下の通りである。
【0075】
【化19】
【0076】
合成経路2のように、ピコリン酸エステル(化合物VI)と4-アミノフェノール(化合物I)とから塩基(例えばt-ブトキシカリウム、水素化ナトリウム、水素化カリウム、炭酸カリウム、炭酸セシウム、リン酸カリウム、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム)及び任意の触媒(例えばヨウ化第一銅とプロリンと、或いはヨウ化第一銅とピリジンカルボン酸と)の作用で、アミン(化合物VII )を得る。さらに、化合物VII を化合物IIと、N,N’-カルボニルジイミダゾール、ホスゲン又はトリホスゲンの存在下で、又は1-クロロ-4-イソシアネート-2-トリフルオロメチルベンゼン(化合物VIII)と反応させ、尿素化合物(化合物IX)を得る。化合物IXと重水素化メチルアミン又は重水素化メチルアミンの塩酸塩とを塩基(例えば炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、水酸化ナトリウム、トリエチルアミン、ピリジン等)の作用で、或いは直接、混合して反応させ、化合物CM4307を得る。上述反応は、不活性溶媒、例えばジクロロメタン、ジクロロエタン、アセトニトリル、n-ヘキサン、トルエン、テトラヒドロフラン、N,N-ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド等において、温度0〜200℃で行われる。
【0077】
化合物CM4307を例として、好ましい製造プロセスのもう一つが以下のようである。
【0078】
【化20】
【0079】
合成経路3のように、p-メトキシアニリン(化合物X)と化合物IIとをN,N’-カルボニルジイミダゾール、ホスゲン又はトリホスゲンの作用で、又は1-クロロ-4-イソシアネート-2-トリフルオロメチルベンゼン(化合物VIII)と反応させ、尿素化合物(化合物XI)を得る。本分野で既知の各種の脱メチル基の方法で1-(4-クロロ-3-(トリフルオロメチル)フェニル)-3-(4-ヒドロキシフェニル)尿素(化合物III )を得る。さらに、合成経路1に記載の方法と同様の方法、又は本分野で既知の各種の合成方法で、化合物III と化合物Vとを反応させ、化合物CM4307を得る。上述反応は、不活性溶媒、例えばジクロロメタン、ジクロロエタン、アセトニトリル、n-ヘキサン、トルエン、テトラヒドロフラン、N,N-ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド等において、温度0〜200℃で行われる。
【0080】
化合物CM4307を例として、もう一つの特に好ましい製造プロセスが以下の通りである。
【0081】
【化21】
【0082】
重水素化は重水素化メチルアミンで導入されてもよい。
以下の反応で重水素化メチルアミン又はその塩酸塩を得ることができる。ニトロメタンを塩基(水素化ナトリウム、水素化カリウム、重水酸化ナトリウム、重水酸化カリウム、炭酸カリウム等)又は相間移動触媒の存在下で、重水と反応させ、重水素化ニトロメタンを得る。必要ならば、上述の実験を繰り返すことによって、高純度の重水素化ニトロメタンを得る。重水素化ニトロメタンを、例えば亜鉛粉末、マグネシウム粉末、鉄、ニッケル等の作用で、還元させ、重水素化メチルアミン又はその塩酸塩を得る。
【0083】
【化22】
【0084】
さらに、以下の反応で重水素化メチルアミン又はその塩酸塩を得ることができる。
【0085】
【化23】
【0086】
重要な中間体3も以下の方法で重水素化メタノールから合成することができる。
【0087】
【化24】
【0088】
その具体的な合成方法は、実施例1に詳しい説明がある。
【0089】
本発明の主な利点は以下の通りである。
(1)本発明化合物は、リン酸キナーゼ(Kinase)、例えばrafキナーゼに対して優れた阻害性を有する。
(2)本発明の式Bの中間体によって、便利に、効率的に、高純度で各種の重水素化ジフェニル尿素を製造することができる。
(3)反応条件がより緩和で、操作の過程がより安全である。
【0090】
以下、具体的な実施例によって、さらに本発明を説明する。これらの実施例は本発明を説明するために用いられるものだけで、本発明の範囲の制限にはならないと理解されるものである。以下の実施例において、具体的な条件が記載されていない実験方法は、通常、通常の条件、或いはメーカーの薦めの条件で行われた。特に説明しない限り、部と百分率は重量部と重量百分率である。
【0091】
実施例1:N-(4-クロロ-3-(トリフルオロメチル)フェニル)-Ν’-(4-(2-(Ν-1',1',1'-トリデューテロメチルアミノホルミル)-4-ピリジルオキシ)フェニル)尿素(化合物CM4307)
【0092】
【化25】
【0093】
手順1
1.4-クロロ-N-(1’,1’,1’-トリデューテロメチル)ピコリンアミド(3)の製造
排気処理装置が付いた250mL一口丸底フラスコに塩化チオニル(60mL)を入れ、温度を40〜50℃の間に維持し、その中にゆっくり無水DMF(2mL)を滴下し、滴下が終わった後、10分間撹拌を続け、その中に20分間でニコチン酸(20g、162.6mmol)を少しずつ入れ、溶液の色が緑色から段々薄紫色になった。温度を72℃に上昇させ、撹拌して16時間還流し、大量の固体沈殿物が生成した。室温に冷却し、トルエン(100mL)で希釈し、溶媒がほとんどなくなるまで濃縮し、さらにトルエンで希釈し、溶媒がなくなるまで濃縮した。ろ過し、トルエンで洗浄し、薄黄色の3-クロロピリジン-2-ホルミルクロリドの固体を得た。氷浴でこの固体をゆっくり重水素化メチルアミンのテトラヒドロフラン飽和溶液に入れ、温度を5 ℃未満に維持し、撹拌を5時間続けた。濃縮し、酢酸エチルを入れ、白い固体が析出し、ろ過で除去し、ろ液を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、溶媒がなくなるまで濃縮し、薄黄色の4-クロロ-N-(1’,1’,1’-トリデューテロメチル)ピコリンアミド(3)(20.68g)を得、収率が73%であった。
1 H NMR (CDCl3 , 300 MHz): 8.37 (d, 1H), 8.13 (s, 1H), 7.96 (br, 1H), 7.37 (d, 1H)
【0094】
2.4-(4-アミノフェノキシ)-N-(1’,1’,1’-トリデューテロメチル)ピコリンアミド(5)の製造
100mLの乾燥した無水DMFに順にp-アミノフェノール(9.54g、0.087mol)、t-ブトキシカリウム(10.3g、0.092mol)を入れ、溶液が濃茶色になり、室温で2時間撹拌した後、それに4-クロロ-N-(1’,1’,1’-トリデューテロメチル)ピコリンアミド(3)(13.68g、0.079mol)、無水炭酸カリウム(6.5g, 0.0467mol)を入れ、反応液の温度を80℃に上昇させた後、撹拌を一晩続けた。 TLCで反応終了を検出したら、室温に冷却し、反応液を酢酸エチル(150mL)と飽和食塩水(150mL)の混合溶液に入れ、撹拌して相分離し、静置後分液し、水相を酢酸エチルで抽出し(100mL×3)、抽出液を合併し、飽和水で洗浄し(100mL×3)、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、濃縮し、薄黄色の4-(4-アミノフェノキシ)-N-(1’,1’,1’-トリデューテロメチル)ピコリンアミド(5)(18.00g)を得、収率が92%であった。
1 H NMR (CDCl3 , 300 MHz): 8.32 (d, 1H), 7.99 (br, 1H), 7.66 (s, 1H), 6.91-6.85 (m, 3H), 6.69 (m, 2H), 3.70 (br, s, 2H).
【0095】
3.N-(4-クロロ-3-(トリフルオロメチル)フェニル)-Ν’-(4-(2-(Ν-1’,1’,1’-トリデューテロメチルアミノホルミル)-4-ピリジルオキシ)フェニル)尿素(化合物CM4307)の製造
120mLのジクロロメタンに5-アミノ-2-クロロ-トリフルオロメチルベンゼン(15.39g、78.69mol)、N,N’-カルボニルジイミダゾール(CDI)(13.55g、83.6mmol)を入れ、室温で16時間撹拌した後、それにゆっくり4-(4-アミノフェノキシ)-N-(1’,1’,1’-トリデューテロメチル)ピコリンアミド(18.00g、73mmol)のジクロロメタン(180mL)溶液を滴下し、室温で18時間撹拌を続けた。 TLCで反応終了を検出したら、溶媒が100mL程度になるまで一部のジクロロメタンをロータリ・エバポレータで除去し、室温で数時間置き、大量の白色固体が析出し、吸引ろ過し、固体を大量のジクロロメタンで洗浄した。ろ液を濃縮して一部の溶媒を除去した後、また一部の固体が析出し、二回の固体を合併し、さらに大量のジクロロメタンを用いて洗浄し、白色粉末状のN-(4-クロロ-3-(トリフルオロメチル)フェニル)-Ν’-(4-(2-(Ν-1’,1’,1’-トリデューテロメチルアミノホルミル)-4-ピリジルオキシ)フェニル)尿素CM4307の純製品(20.04g)を得、収率が58%であった。
1 H NMR (CD3 OD, 300 MHz): 8.48 (d, 1H), 8.00 (d, 1H), 7.55 (m, 5H), 7.12 (d, 1H), 7.08 (s, 2H), ESI-HRMS m/z:C21133 ClF3 4 3 Calcd. 467.11, Found 490.07 (M+Na)+
【0096】
また、化合物CM4307をジクロロメタンに溶解させ、ペルオキシ安息香酸と反応させ、相応の酸化産物:4-(4-(3-(4-クロロ-3-(トリフルオロメチル)フェニル)ウレイド)フェノキシ)-2-(Ν-1’,1’,1’-トリデューテロメチルアミノホルミル)ピリジン-1-オキシドを得ることができる。
【0097】
【化26】
【0098】
実施例2:4-クロロ-N-(1’,1’,1’-トリデューテロメチル)ピコリンアミド(3)の製造
【0099】
【化27】
【0100】
a)フタルイミド(14.7g、0.1mol)、重水素化メタノール(3.78g、0.105mol、1.05eq)
、トリフェニルホスフィン(28.8g、0.11mol、1.1eq)を無水テトラヒドロフランに溶解させ、氷浴でDEAD(1.1eq)のテトラヒドロフラン溶液を滴下し、滴下終了後室温で1時間撹拌した。カラムにかけて精製し、或いは溶媒を回転して乾燥した後、適量のDCMを入れて冷蔵庫で冷凍して固体を析出させた後ろ過し、ろ液をロータリー・エバポレーターで濃縮し、さらに素早くカラムにかけ、純製品の2-(N-1',1',1'-トリデューテロメチル)-イソインドール-1,3-ジオン14.8gを得た。
b)2-(N-1',1',1'-トリデューテロメチル)-イソインドール-1,3-ジオン(12.5g、0.077mol)を適用の塩酸(6N、50mL)に溶解させ、封じて24〜30時間還流させ、反応液を室温に冷却した後、冷蔵庫に置いて零度以下に冷却し、析出した固体をろ過し、冷たい脱イオン水で洗浄し、ろ液を収集し、ロータリー・エバポレーターで水を除去して乾燥し、重水素化メチルアミンの塩酸塩を得た。無水DCM(100mL)を重水素化メチルアミンの塩酸塩に入れ、さらに4-クロロニコチン酸メチルの塩酸塩(6.52g、0.038mol、0.5eq)と炭酸ナトリウム(12.2g、0.12mol、1.5eq)とを加え、反応瓶を封じ、冷蔵庫に置いて1日反応させた。TLCで反応を検出し、終了後水で洗浄し、乾燥、濃縮し、カラムにかけて精製した。化合物の4-クロロ-N-(1’,1’,1’-トリデューテロメチル)ピコリンアミド(3)5.67gを得、収率が86%であった。その構造の特徴は実施例1と一致した。
【0101】
実施例3
化合物CM4307の合成
【0102】
【化28】
【0103】
1.1-クロロ-4-イソシアネート2-(トリフルオロメチル)ベンゼンA4の製造
トリホスゲン(167g、0.56mol、0.5eq)をクロロホルム(500mL)に溶解させ、排気吸収装置を接続し、5℃でN-メチルモルホリン(11.4g、0.11mol、0.1eq)のクロロホルム(100mL)溶液を滴下し、滴下終了後、10℃で続いて4-クロロ-3-トリフルオロメチルアニリン(220g、1.13mol、1.0eq)のクロロホルム(700mL)溶液を滴下した。温度を40 ℃に上昇させて15時間撹拌し、50℃に上昇させて5時間撹拌し、60〜65℃に上昇させて5時間還流させた。常圧で溶媒を除去し、減圧で蒸留して(油温110〜120℃、減圧度200Pa)95〜100℃の画分を収集して標題化合物を無色液体として200g得、純度が98.7%で、収率が84%であった。
【0104】
2.4-クロロ-N-(1’,1’,1’-トリデューテロメチル)ピコリンアミド(中間体A2)の製造
方法1:
4-クロロ-ピコリン酸メチル(50g、0.29mol、1eq)を250mLのテトラヒドロフランを入れた三口瓶に入れ、撹拌しながら1,1,1-トリデューテロメチルアミンの塩酸塩(31g、0.44mmol、1.5eq)、及び400メッシュの無水炭酸カリウム(80g、0.58mol、2eq)を入れ、室温で撹拌して20時間反応させた後、水(250mL)とメチル-t-ブチルエーテル(150mL)を入れ、撹拌して分層させ、有機相を得た。水相をメチル-t-ブチルエーテル(100mL)で抽出し、有機相を合併して無水硫酸ナトリウムを入れて乾燥し、ろ過し、減圧で溶媒を除去して標題化合物を薄黄色液体として48g得、純度が99%で、収率が96%であった。
1 H NMR(DMSO-d6 , 400 MHz): δ7.64(dd, J = 2Hz, 5.2Hz, 1H), 7.97(d, J = 1.6Hz,
1H), 8.54(d, J = 5.2Hz, 1H), 8.74(br, 1H)
MS (ESI, m/z) calcd. for C7 4 3 ClN2 O: 173, found : 174 [M +H]+
【0105】
方法2:
4-クロロ-ピコリン酸メチル(130g、0.76mol、1eq)を無水エタノール(1.3L)に溶解させ、撹拌しながら1,1,1-トリデューテロメチルアミンの塩酸塩(80g、1.13mmol、1.5eq)、及び無水炭酸カリウム(313g、2.67mol、3eq)を入れ、室温で撹拌して50時間反応させた。ろ過し、エタノール(260mL×2)で洗浄し、ろ液を減圧で溶媒を除去し、酢酸エチル(400mL)を入れ、かつ飽和食塩水(250mL×2)で洗浄し、酢酸エチル(100mL×2)で水相を抽出し、有機相を合併し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、ろ過し、減圧で溶媒を除去して標題化合物を薄黄色液体として109g得、純度が98%で、収率が83%であった。
1 H NMR(DMSO-d6 400 MHz): δ7.64(dd, J = 2Hz, 5.2Hz, 1H), 7.97(d, J = 1.6Hz, 1H), 8.54(d, J = 5.2Hz, 1H), 8.74(br, 1H).
MS (ESI, m/z) calcd. for C7 4 3 ClN2 O: 173, found : 174 [M +H]+
【0106】
3:1-(4-クロロ-3-トリフルオロメチル-フェニル)-3-(4-ヒドロキシ-フェニル)尿素A5の製造
方法1:
室温で、4-アミノ-フェノール(5g、45.82mmol、1eq)をジクロロメタン(40mL)に溶解させ、1-クロロ-4-イソシアネート2-(トリフルオロメチル)ベンゼン(10.7g、48.11mmol、1.05eq)のジクロロメタン(40mL)溶液を上述溶液に滴下し、室温で撹拌して16時間反応させ、ろ過してジクロロメタン(10ml×2)で洗浄し、標題化合物を薄茶色固体として14.2g得、純度が97%で、収率が94%であった。
1 H NMR(DMSO- d6 , 400 MHz): δ6.70(dd, J = 2Hz, 6.8Hz, 1H), 7.22(dd, J = 2Hz,
6.4Hz, 1H), 7.58-7.24(m, 1H), 8.10(d, J = 2Hz, 1H), 8.50(br, 1H), 9.04(br, 1H), 9.14(br, 1H)
MS (ESI, m/z) calcd. for C1410ClF3 2 2 : 330, found : 331[M +H]+
【0107】
方法2:
【0108】
【化29】
【0109】
1-クロロ-4-イソシアネート2-(トリフルオロメチル)ベンゼン(5.15g、26mmol、1.05eq)をジクロロメタン(30mL)に溶解させ、p-メトキシアニリン(3.07g、25mmol、1eq)のジクロロメタン(20mL)を滴下し、室温で20時間撹拌して反応させた。ろ過し、ジクロロメタン(5mL×2)で洗浄し、固体を酢酸エチル(50mL)に溶解させ、希塩酸(1N、10mL)で洗浄し、飽和食塩水(20mL)で洗浄し、有機相を無水硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧で溶媒を除去して白色固体の1-(4-クロロ-3-トリフルオロメチル-フェニル)-3-(4-メトキシ-フェニル)尿素A6(4.5g)を得、収率が52%であった。
1 HNMR(DMSO- d6 , 400 MHz): δ3.73(s, 3H), 6.86-6.90(m, 2H), 7.35-7.39(m, 2H), 7.59-7.65(m, 2H), 8.11(d, J = 2Hz, 1H), 8.65(br, 1H), 9.09(br, 1H)
MS (ESI, m/z) calcd. for C1512ClF3 2 2: 344, found : 345[M +H]+
【0110】
1-(4-クロロ-3-トリフルオロメチル-フェニル)-3-(4-メトキシ-フェニル)尿素A6(344mg、1mmol、1eq)を酢酸(4mL)に溶解させ、臭化水素酸(40%、1mL)を入れ、5時間還流させ、室温に冷却し、氷水(10mL)を入れ、酢酸エチル(20mL)で抽出し、飽和重曹溶液(10mL)で洗浄し、有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧で溶媒を除去して標題化合物を薄黄色固体として140mg得、純度が90%で、収率が42%であった。
1 H NMR(DMSO- d6 , 400 MHz): δ6.70(dd, J = 2Hz, 6.8Hz, 1H), 7.22(dd, J = 2Hz,
6.4Hz, 1H), 7.58-7.24(m, 1H), 8.10(d, J = 2Hz, 1H), 8.50(br, 1H), 9.04(br, 1H), 9.14(br, 1H).
MS (ESI, m/z) calcd. forC1410ClF3 2 2: 330, found : 331[M +H]+
【0111】
4:4-(4-(3-(4-クロロ-3-(トリフルオロメチル)フェニル)ウレイド)-フェノキシ)-N-(1’,1’,1’-トリデューテロメチル)ピコリンアミドCM4307の製造
室温で、1-(4-クロロ-3-トリフルオロメチル-フェニル)-3-(4-ヒドロキシ-フェニル)尿素A5(4g、12.10mmol、1eq)をN,N-ジメチルホルムアミド(20mL)に溶解させ、少しずつt-ブトキシカリウム(4.6g、41.13mmol、3.4eq)を入れ、撹拌して3時間反応させ、4-クロロピリジン-2-(N-1’,1’,1’-トリデューテロメチル)アミド(2.3g、13.31mmol、1.1eq)と炭酸カリウム(0.8g、6.05mmol、0.5eq)とを加え、80℃に加熱して撹拌して1.5時間反応させた。室温に冷却し、酢酸エチル(200mL)を入れ、ろ過して無機塩を除去し、飽和食塩水(50mL×3)で洗浄し、分層し、有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧で溶媒を除去し、固体にアセトニトリル(15mL)を入れて撹拌しながら2時間還流させ、室温に冷却し、ろ過してCM4307を薄黄色固体として3.4g得、純度が96%で、収率が60%であった。
1 H NMR(DMSO- d6 , 400 MHz): δ7.15(dd, J = 2.8Hz, 5.6Hz, 1H), 7.17-7.19(m,2H), 7.40(d, J = 2.4Hz, 1H), 7.59-7.69(m, 4H), 8.13(d, J = 2.4Hz, 1H), 8.51(d, J = 6Hz, 1H), 8.75(br, 1H), 8.90(br, 1H), 9.22(br, 1H).
MS (ESI, m/z) calcd. forC21133 ClF3 4 3 : 467, found : 468[M +H]+
【0112】
実施例4
化合物CM4307の合成
【0113】
【化30】
【0114】
1:4-クロロピリジン- N-(1’,1’,1’-トリデューテロメチル)ピコリンアミド(中間体A2)の製造
窒素の保護下で、テトラヒドロフラン(10.86kg)を30Lのオートクレーブに入れ、撹拌し始め、順に1,1,1-トリデューテロメチルアミンの塩酸塩(1.50kg、21.26mol、1.5eq)、4-クロロ-ピリジン-2-カルボン酸メチル(2.43kg、14.16mol、1eq)、無水炭酸カリウム(3.92kg、28.36mol、2eq)を入れた。33℃で15h反応させ、純水(12.20kg)を入れ、メチル-t-ブチルエーテルで二回抽出し(3.70kg×2)、有機層を合併し、無水硫酸ナトリウム(0.50kg)を入れて撹拌して1時間乾燥させ、ろ過し、水温40±2℃、減圧度≦-0.09Mpaの条件で、ろ液を減圧で脱溶媒し、標題化合物を薄黄色油状液体として2.41kg得、純度が99.0%で、収率が98%であった。
1 HNMR(DMSO- d6 , 400 MHz): δ7.64(dd, J = 2Hz, 5.2Hz, 1H), 7.97(d, J = 1.6Hz,
1H), 8.54(d, J = 5.2Hz, 1H), 8.74(br, 1H)
MS (ESI, m/z) calcd. forC7 4 3 ClN2 O: 173, found : 174 [M +H]+
【0115】
2:4-(4-アミノフェノキシ)-N-(1’,1’,1’-トリデューテロメチル)ピコリンアミド(中間体A3)の製造
方法1:
窒素の保護下で、ジメチルスルホキシド(2.75kg)を20Lのオートクレーブに入れ、撹拌し始め、4-クロロ-N-(1’,1’,1’-トリデューテロメチル)ピコリンアミド(2.41kg、13.88mol、1eq)、4-アミノフェノール(1.62kg、14.84mol、1.08eq)、さらにt-ブトキシカリウム(1.66kg、14.79mol、1.1eq)を入れた。オートクレーブの温度が安定したら、温度を上昇させて、オートクレーブ内の温度を80℃に維持して4時間反応させた。オートクレーブの温度を40℃に下げた後、イソプロパノール(7.90kg)を入れ、撹拌して反応液を希釈し、さらにイソプロパノールでオートクレーブを洗浄し、30Lのオートクレーブに移した。窒素の保護下で、塩酸(5.81kg)を滴下、滴下終了後、撹拌して遠心、ろ過し、純水を入れて洗浄した。遠心して得られた固体を50Lのオートクレーブに移し、純水(21.00kg)を入れて撹拌して全部溶解させた。窒素の保護下で、ゆっくり炭酸カリウム溶液を上述50Lのオートクレーブ(2.5kg炭酸カリウムを7Lの純水に溶解させたもの)に滴下し、約
1.5時間で滴下が終了した。遠心、ろ過し、純水で製品を洗浄し、24時間減圧乾燥し、標題化合物を薄茶色の結晶として2.72kg得、純度が99.9%で、収率が78%であった。
1 H NMR(DMSO- d6 , 400 MHz): δ5.19(br, 2H), 6.66-6.68(m, 2H), 6.86-6.88(m, 2H), 7.07(dd, J = 2.8Hz, 5.6Hz, 1H), 7.36(d, J = 2.8Hz, 1H), 8.45(d, J = 5.6Hz, 1H), 8.72(br, 1H)
MS (ESI, m/z) calcd. forC131033 2 Cl: 246, found : 247[M +H]+
【0116】
方法2:
【0117】
【化31】
【0118】
室温で、4-クロロ-N-(1’,1’,1’-トリデューテロメチル)ピコリンアミド(4.3kg、24.77mmol、1eq)をテトラヒドロフラン(20mL)に溶解させ、室温で撹拌しながら4-アミノフェノール(2.7g、24.77mmol、1eq)、硫酸水素テトラブチルアンモニウム(1.68g、4.95mmol、0.2eq)、及び水酸化ナトリウム固体(1.35g、33.69mmol、1.36eq)を入れた。ゆっくり45%の水酸化ナトリウム水溶液(水酸化ナトリウム(1.32g)を水(1.6mL)に溶解させたもの)を滴下し、67℃に過熱し、撹拌して20時間反応させた。20℃に冷却し、反応混合物の温度が25℃を超えないような速度で37%の濃塩酸(10mL)を入れた。1時間撹拌し、ろ過してテトラヒドロフラン(20mL)で洗浄し、得られた固体を水(60mL)に溶解させ、反応液の温度を10〜20℃に下げ、ゆっくり22.5%の水酸化ナトリウム溶液(2.6mL)を滴下し、pH=3〜3.5に調節し、22.5%の水酸化ナトリウム溶液(3.4mL)を滴下し続け、pH=7〜8に調節し、薄黄色い固体が析出し、滴下中は温度が20℃を超えないようにした。ろ過して水(12mL×2)で洗浄し、減圧乾燥して薄黄色の4-(4-アミノ-フェノキシ)-N -デューテロメチルピコリンアミドを5.01g得、純度が99%で、収率が82%であった。
1 H NMR(DMSO- d6 , 400 MHz): δ5.19(br, 2H), 6.66-6.68(m, 2H), 6.86-6.88(m, 2H), 7.07(dd, J = 2.8Hz, 5.6Hz, 1H), 7.36(d, J = 2.8Hz, 1H), 8.45(d, J = 5.6Hz, 1H), 8.72(br, 1H).
MS (ESI, m/z) calcd. ForC131033 2 Cl: 246, found : 247[M +H]+
【0119】
3:4-(4-(3-(4-クロロ-3-(トリフルオロメチル)フェニル)ウレイド)-フェノキシ)-N-(1’,1’,1’-トリデューテロメチル)ピコリンアミドCM4307の製造
窒素の保護下で、50Lの乾燥したオートクレーブにジクロロメタン(17.30g)とジメチルスルホキシド(2.92kg)を入れ、室温で撹拌しながら4-(4-アミノフェノキシ)-N-(1’,1’,1’-トリデューテロメチル)ピコリンアミド(2.65kg、10.76mol)を入れた。1-クロロ-4-イソシアネート-2-トリフルオロメチルベンゼン(2.50kg、1.26mol,1.05eq)をジクロロメタン(7.00kg)に溶解させ、オートクレーブに滴下し、室温で10min反応させ、氷塩水で3±2℃に下げた。オートクレーブに10.60kgの純水を滴下し、かつ温度を3±2℃にに制御し、滴下終了後撹拌を30分続け、遠心、ろ過し、ジクロロメタン(7.00kg)で製品を洗浄し、得られた製品を24時間減圧乾燥し、白色粉末状の固体4.8kgを得、純度が99.8%で、収率が95.4%であった。
1 HNMR(DMSO- d6 , 400 MHz): δ7.15(dd, J = 2.8Hz, 5.6Hz, 1H), 7.17-7.19(m,2H), 7.40(d, J = 2.4Hz, 1H), 7.59-7.69(m, 4H), 8.13(d, J = 2.4Hz, 1H), 8.51(d, J
= 6Hz, 1H), 8.75(br, 1H), 8.90(br, 1H), 9.22(br, 1H).
MS (ESI, m/z) calcd. forC21133 ClF3 4 3 : 467, found : 468[M +H]+
【0120】
実施例5
4:4-(4-(3-(4-クロロ-3-(トリフルオロメチル)フェニル)ウレイド)-フェノキシ)-N-(1’,1’,1’-トリデューテロメチル)ピコリンアミド p-トルエンスルホン酸塩(CM4307・TsOH)の製造
無水エタノール(45.00kg)を100Lのオートクレーブに入れ、撹拌し始め、4-(4-(3-(4-クロロ-3-(トリフルオロメチル)フェニル)ウレイド)-フェノキシ)-N-(1’,1’,1’-トリデューテロメチル)ピコリンアミド(4.50kg、9.62mol、1eq)及びp-トルエンスルホン酸一水和物(0.66kg、3.47mol、0.36eq)をそれぞれ入れ、温度を78℃に上昇させ、固体が全部溶解するまで40分間還流させた。
p-トルエンスルホン酸一水和物(1.61kg、8.46mol)を無水エタノール(4.50kg)に、温度を70℃に上昇させて溶解させた。さらに、溶液を上述100Lのオートクレーブに入れ、温度を0〜2℃、その温度に30分間維持した。遠心、ろ過し、無水エタノール(13.50kg)で製品を洗浄し、24時間減圧乾燥し、標題化合物を白色又は白色に近い固体として5.75kgを得、純度が99.3%で、収率が93.4%であった。
【0121】
1 HNMR(DMSO- d6 , 400 MHz): δ2.30(s, 3H), 7.15(d, J = 8.8Hz, 2H), 7.20(d, J = 8.8Hz, 2H), 7.23(dd, J = 2.8Hz, 6Hz, 1H), 7.52(d, J = 8Hz, 2H), 7.55(d, J =
2.8Hz, 1H), 7.63(d, J = 8.8Hz, 3H), 7.68(dd, J = 2.4Hz, 9.2Hz, 1H), 8.03(br,
1H), 8.14(d, J = 2.4Hz, 1H), 8.56(d, J = 6Hz, 1H), 8.91(br, 1H), 9.17(br, 1H), 9.36(br, 1H)
13CNMR(DMSO-d6 , 400 MHz): δ21.1, 26.1, 111.7, 115.2, 117.0, 120.7(2C), 121.6 (2C), 121.9, 122.8, 123.2, 124.6,125.6 (2C), 127.2, 129.0(2C), 132.3, 138.8, 139.5, 139.9, 144.1, 146.6, 147.2, 152.8, 159.9, 170.7 ppm
液相条件:Agilent 1100 Series、カラム:Synergi 4μPOLAR-RP 80A、250×4.6mm、4μm、カラム温度:25℃、検出波長:UV210nm、移動相:A:リン酸二水素アンモニウム10mmol/L、B:メタノール、仕込み量:10μL、流速:0.8mL/min、分析時間:70min,勾配プログラム:0〜15分は50%移動相Bで、15〜32分は移動相Bが75%に増加し、さらに32〜55分は75%移動相Bで23分間溶離させる。保持時間:4.95min(p-トルエンスルホン酸)、47.11min(CM4307)。
【0122】
実施例6
化合物CM4307の合成
【0123】
【化32】
【0124】
1:t-ブチル 4-クロロピコリネートA7の製造
4-クロロピコリン酸(10.5g、66.64mmol)を塩化チオニル(40mL)に懸濁させ、温度を80℃にして還流させ、N,N-ジメチルホルムアミド(0.2mL)を滴下し、2時間還流させた。減圧でジメチルスルホキシドを除去して薄黄色の塩化アシルを得、ジクロロメタン(60mL)を入れた。-40℃で、上述で調製したジクロロメタン溶液をt-ブタノール(25mL)、ピリジン(20mL)及びジクロロメタン(80mL)の混合溶液に滴下した。この反応液を50℃にし、16時間撹拌した。減圧で溶媒を除去し、酢酸エチル(150mL)を入れ、飽和食塩水で洗浄し(50mL×2)、さらに水酸化ナトリウム溶液(1N)で洗浄し(50mL×2)、分層し、有機相を無水硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧で溶媒を除去し、減圧乾燥して標題化合物を薄黄色固体として11.1g得た。純度が95%で、収率が78%であった。
1 H NMR(DMSO-d6, 400 MHz): δ1.56(s,H), 7.80(dd, J = 2.4Hz, 5.2Hz, 1H), 8.02(d, J = 2Hz, 1H), 8.69(d, J = 5.2Hz, 1H)
MS (ESI, m/z) calcd. for C1012ClNO2 :213, found : 158[M-But +H]+
【0125】
2:t-ブチル 4-(4-アミノ-フェノキシ)ピコリネートA8の製造
室温で、p-アミノフェノール(0.51g、4.70mmol、1eq)をN,N-ジメチルホルムアミド(10mL)に溶解させ、少しずつt-ブトキシカリウム(0.53g、4.70mmol、1eq)を入れて0.5時間撹拌し、t-ブチル 4-クロロピコリン酸(1g、4.70mmol、1eq)及び炭酸カリウム(45mg、0.33mmol、0.07eq)を入れ、80℃に加熱し、2時間撹拌した。室温に冷却し、酢酸エチル(50mL)を入れ、ろ過して不溶物を除去し、飽和食塩水を入れて洗浄し(20mL×2)、有機相を無水硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧で溶媒を除去し、カラムクロマトグラフィ(ジクロロメタン:酢酸エチル=30:1)で分離して標題化合物を805mg得、純度が96%で、収率が60%であった。
1 H NMR(DMSO- d6 , 400 MHz): δ1.52(s, 9H), 5.21(br, 2H), 6.64(d, J = 8.8Hz, 2H), 6.87(d, J = 8Hz, 2H), 7.35(dd, J = 2.4Hz, 5.6Hz, 1H), 8.50(d, J = 6Hz, 1H)
MS (ESI, m/z) calcd. forC1012ClNO2: 286, found : 231[M-But +H]+
【0126】
3:t-ブチル4-{4-[3-(4-クロロ-3-トリフルオロメチルフェニル)ウレイド]フェノキシ}ピコリネートA9の製造
室温で、1-クロロ-4-イソシアネート-2-トリフルオロメチルベンゼン(656mg、2.96mmol、1.05eq)をジクロロメタン(5mL)に溶解させ、t-ブチル 4-(4-アミノ-フェノキシ)
-ピコレート(805mg、2.81mmol、1eq)のジクロロメタン(5mL)溶液をゆっくり上述の溶液に滴下し、室温で16時間撹拌した。減圧で溶媒を除去し、得られた固体をカラムクロマトグラフィ(ジクロロメタン:メタノール=30:1)で分離して化合物を白色固体として1.4g得、純度が95%で、収率が85%であった。
1 H NMR(DMSO- d6 , 400 MHz): δ1.53(s, 9H), 7.13(dd, J = 2.4Hz, 5.2Hz, 1H), 7.18(d, J = 8.8Hz, 2H), 7.41(d, J =2.4Hz, 1H), 7.59-7.66(m, 4H), 8.13(d, J = 1.6Hz, 1H), 8.55(d, J = 5.6Hz, 1H), 9.06(br, 1H), 9.27(br, 1H).
MS (ESI, m/z) calcd. forC2421ClF3 3 4 : 507, found : 508 [M+H]+
【0127】
4:4-{4-[3-(4-クロロ-3-トリフルオロメチル-フェニル)ウレイド]フェノキシ}ピコリン酸A10の製造
室温で、t-ブチル4-{4-[3-(4-クロロ-3-トリフルオロメチルフェニル)ウレイド]フェノキシ}ピコリネート(1.4g、2.76mmol)をジクロロメタン(20mL)に溶解させ、トリフルオロ酢酸(20mL)及びトリエチルシラン(0.5mL)を入れ、50℃に昇温して16時間撹拌した。減圧で溶媒を除去し、水(50mL)及び酢酸エチル(70mL)を入れ、分層し、有機相を捨て、水層をろ過して水で洗浄し(30mL×2)、標題化合物を薄緑色固体として減圧乾燥後1.1g得、純度が97%で、収率が90%であった。
1 HNMR(DMSO- d6 , 400 MHz): δ7.21-7.25(m, 2H), 7.33(dd, J = 2.8Hz, 6Hz, 1H),
7.57(d, J = 2.8Hz, 1H), 7.60-7.67(m, 4H), 8.12(d, J = 2.4Hz, 2H), 8.64(d, J = 6Hz, 1H), 9.84(br, 1H), 10.17(br, 1H)
MS (ESI, m/z) calcd. forC2012ClF4 3 4 :451, found : 450 [M-H]-
【0128】
5:4-(4-(3-(4-クロロ-3-(トリフルオロメチル)フェニル)ウレイド)-フェノキシ)-N-(1’,1’,1’-トリデューテロメチル)ピコリンアミドCM4307の製造
方法1:
室温で、4-{4-[3-(4-クロロ-3-トリフルオロメチル-フェニル)-ウレイド]-フェノキシ}ピコリン酸(0.5g、1.11mmol、1eq)をN,N-ジメチルホルムアミド(5mL)に溶解させ、1,1,1-トリデューテロメチルアミン塩酸塩(0.15g、2.22mmol、2eq)、2-(7-アザ-1H-ベンゾトリアゾール-1-イル)-N,N,N’,N’-テトラメチル尿素 ヘキサフルオロリン酸エステル(HATU、0.84g、2.22mmol、2eq)及びN,N-ジイソプロピルエチルアミン(DIEA、0.86g、6.66mmol、3eq)を入れ、室温で16時間撹拌した。上述の反応液に水(20mL)を滴下し、0.5時間撹拌し、ろ過して灰白色固体を得、酢酸エチル(50mL)を入れ、飽和食塩水で(10mL×3)洗浄し、分層し、有機相を無水硫酸ナトリウムで乾燥し、ろ過し、減圧で溶媒を除去して0.42gの白色に近い固体CM4307を得、純度が97%で、収率が81%であった。
1 HNMR(DMSO- d6 , 400 MHz): δ7.15(dd, J = 2.8Hz, 5.6Hz, 1H), 7.17-7.19(m,2H), 7.40(d, J = 2.4Hz, 1H), 7.59-7.69(m, 4H), 8.13(d, J = 2.4Hz, 1H), 8.51(d, J
= 6Hz, 1H), 8.75(br, 1H), 8.90(br, 1H), 9.22(br, 1H)
MS (ESI, m/z) calcd. forC21133 ClF3 4 3 : 467, found : 468[M +H]+
【0129】
方法2:
【0130】
【化33】
【0131】
4-{4-[3-(4-クロロ-3-トリフルオロメチル-フェニル)-ウレイド]-フェノキシ}-ピコリン酸(0.5g、1.11mmol)をメタノール(10mL)に懸濁させ、室温で濃硫酸(2mL)を入れて3時間還流させ、減圧で溶媒を除去し、カラムクロマトグラフィ(ジクロロメタン:メタノール=10:1)で分離して白色固体の4-{4-[3-(4-クロロ-3-トリフルオロメチル-フェニル)-ウレイド]-フェノキシ}-ピコリン酸メチルA11(0.46g)を得、純度が95%で、収率が90%であった。
1 HNMR(DMSO- d6 , 400 MHz): δ3.85(s, 3H), 7.18-7.21(m, 3H), 7.43(d, (dd, J =
2.4Hz, 1H), 7.59-7.66(m, 4H), 8.13(d, J = 2.4Hz, 1H), 8.59(d, J = 6Hz, 1H),
9.06 (br, 1H), 9.27(br, 1H),
MS (ESI, m/z) calcd. for :C2115 ClF3 3 4 : 465, found : 466 [M+H]+
【0132】
4-{4-[3-(4-クロロ-3-トリフルオロメチル-フェニル)-ウレイド]-フェノキシ}-ピコリン酸メチル(300mg、0.65mmol、1eq)を10mLのテトラヒドロフランを入れた三口瓶に置き、撹拌しながら1,1,1-トリデューテロメチルアミンの塩酸塩(91mg、1.3mmol、2eq)、及び400メッシュの無水炭酸カリウム(179mg、1.3mmol、2eq)を入れ、室温で撹拌して20時間反応させた後、水(5mL)とメチル-t-ブチルエーテル(15mL)を入れ、撹拌して分層させ、有機相を得た。水相をメチル-t-ブチルエーテル(10mL)で抽出し、有機相を合併して無水硫酸ナトリウムを入れて乾燥し、ろ過し、減圧で溶媒を除去してCM4307の白色に近い固体261mgを得、純度が96%で、収率が86%であった。
1 HNMR(DMSO-d6 , 400 MHz): δ7.15(dd, J = 2.8Hz, 5.6Hz, 1H), 7.17-7.19(m,2H),
7.40(d, J = 2.4Hz, 1H), 7.59-7.69(m, 4H), 8.13(d, J = 2.4Hz, 1H), 8.51(d, J = 6Hz, 1H), 8.75(br, 1H), 8.90(br, 1H), 9.22(br, 1H)
MS (ESI, m/z) calcd. forC21133 ClF3 4 3: 467, found : 468[M +H]+
【0133】
実施例7
重水素化ジフェニル尿素化合物のラットにおける薬物動態学の評価
7〜8週齢で、体重約210gの雄のSprague-Dawleyラット8匹を4匹ずつ2組に分け(ラット番号:対照組は13〜16、実験組は9〜12)、3mg/kgの投与量で(a)重水素化されていないN-(4-クロロ-3-(トリフルオロメチル)フェニル)-Ν’-(4-(2-(Ν-メチルアミノホルミル)-4-ピリジルオキシ)フェニル)尿素(対照化合物CM4306)又は(b)実施例1で製造したN-(4-クロロ-3-(トリフルオロメチル)フェニル)-Ν’-(4-(2-(Ν-1’,1’,1’-トリデューテロメチルアミノホルミル)-4-ピリジルオキシ)フェニル)尿素(本発明化合物CM4307)を一回経口投与し、その薬物動態学の違いを比較した。
【0134】
ラットを標準飼料で飼養し、クロルジアゼポキシドを投与した。実験前日の夜は、クロルジアゼポキシドの投与を停止し、薬物を投与してから2時間後再びクロルジアゼポキシドを投与した。試験前16時間から飼料を止めた。薬物は30%PEG400で溶解した。 眼窩採血を行い、採血の時点は投与後0.083時間、0.25時間、0.5時間、1時間、2時間、4時間、6
時間、8時間及び24時間であった。
ラットにエーテルを吸わせて一旦麻酔し、眼窩から300μLの血液サンプルを試験管に採集した。試験管内に30μLの1%ヘパリン塩溶液があった。使用の前に、試験管を60℃で一晩乾燥した。最後の時点の採血が終わったら、ラットをエチルエーテルで麻酔して殺めた。
採血後、充分に混合するように、すぐやさしく試験管を5回以上逆さまにした後、氷の上に置いた。血液サンプルは4℃で5000rpmで5分間遠心し、血清を赤血球と分離した。ピペットで100μLの血清をきれいなプラスチックの遠心管に取り、化合物の名称と時点を書いた。LC-MS分析の前は血清を-80℃で保存した。
【0135】
その結果は図1及び2に示す。結果から、CM4307はCM4306よりも、半減期Τ1/2 が延び(それぞれ1±2.1時間と8.6±1.4時間)、曲線下の面積AUC0-∞が顕著に増加し(それぞれ1,125±2472ng・h/mLと7328±336ng・h/mL)、見かけ除去率が減少する(それぞれ275±52ng・h/mLと410±18.7ng・h/mL)ことが示された。
以上の結果から、本発明化合物は動物の体内でより優れた薬物動態学の特性を持つため、より良い薬効学の特性と治療効果があることがわかった。
さらに、重水素化によって、本発明化合物の生体における代謝過程が変わる。特にフェニル基におけるヒドロキシ化が困難になることで、初回通過効果(First-pass effect)が低下する。この場合、投与量を変えることによって長期効果のある製剤とすることができ、長期効果のある製剤の様態で適用性を改善することもできる。
さらに、重水素化によって、薬物動態学の作用がかわる。それは、重水素化物は完全に別の水和物膜を生成することによって、生体における分布が重水素化されていない化合物と明らかに違うためである。
【0136】
実施例8:CM4307のヒト肝細胞癌SMMC-7721によるヌードマウスの移植腫瘍の生長に対する抑制の薬効学的評価
6週齢の雌Balb/c nu/nuヌードマウス70匹は、上海試験動物資源中心(上海シップル・ビーケー実験動物有限公司)から購入した。
SMMC-7721細胞は、中国科学院上海生命科学院(上海、中国)から購入した。
腫瘍のヌードマウス移植モデルの構築:対数成長期のSMMC-7721細胞を収穫し、計数後細胞を1×PBSに懸濁させ、細胞懸濁液の濃度が1.5×107 /mLになるように調整した。1mLの注射器でヌードマウスの右側の脇の皮下に腫瘍細胞を3×106 /0.2mL/匹で接種した。合計で70匹のヌードマウスを接種した。
腫瘍の体積が30〜130mm3 になった時点で、動物を無作為に分け、合計58匹で、各群における腫瘍の体積の平均値の差を平均値の10%未満とし、そして投与を始めた。
試験の投与量の群分けの設定は下記表1に示す。
【0137】
【表1】
【0138】
試験期間中において、動物の体重と腫瘍の大きさを週に2回測定した。毎日臨床の症状を観察して記録した。投与終了の時、写真を撮って腫瘍の大きさを記録した。各群に1匹ずつマウスを殺めて腫瘍組織を取り、4%パラホルムアルデヒドで固定した。投与終了後、観察を続け、腫瘍の平均値が2000mm3 を超えた時、又は動物に瀕死状態が現れた時、動物を殺めて、解剖し、腫瘍組織を4%パラホルムアルデヒドで固定した。
【0139】
腫瘍体積(Tumor volume、TV)の算式は、TV=a×b2 /2である。ただし、a、bはそれぞれ腫瘍を測量した長さと幅を表す。相対腫瘍体積(relative tumor volume、RTV)の算式は、RTV=Vt /V0 である。 ただし、V0 は群分けして薬物を投与する時の腫瘍体積で、Vt は測量の時の腫瘍体積である。抗腫瘍活性の評価指標である相対腫瘍増殖率T/C(%)の算式は、T/C(%)=(TRTV /CRTV )×100%である。TRTV は治療群のRTVで、CRTV は陰性対照群のRTVである。
治療効果の評価基準:相対腫瘍増殖率T/C(%)≦40%で、かつ統計学の分析でp<0.05である場合、効果があるとする。結果は図3に示す。 CM4306とCM4307は、10、30、100mg/kgの一回投与量で毎日胃灌流による投与を2週間続けると、両者とも投与量依存性の腫瘍生長の抑制作用を表した。投与終了時、CM4306のT/C(%)はそれぞれ56.9%、40.6%及び32.2%であった。CM4307のT/C(%)はそれぞれ53.6%、40.8%及び19.6%であった。中でも、100mg/kg投与量群のT/C(%)はいずれも<40%で、腫瘍体積は対照群と比べると、顕著な差異があり(p<0.01)、顕著な腫瘍生長の抑制作用を表した。
CM4307の高投与量の100mg/kg群は、腫瘍の抑制作用がCM4306の高投与量群よりも強く(最良のT/C(%)はそれぞれ19.6%と32.2%、15日)、腫瘍体積の群間の比較では顕著な差異があった(p<0.01)。CM4306と比べると、CM4307の腫瘍抑制率の絶対値が10%以上増加し、相対的に増加の幅は約60%(32.2%/19.6%-1=64%)で、より顕著な腫瘍生長の抑制作用を示した。
また、試験中において他の薬物に関連する毒性反応が見られなかった。
【0140】
実施例9 薬物組成物
化合物CM4307(実施例1) 20g
澱粉 140g
微晶質セルロース 60g
通常の方法で、上述物質を均一に混合した後、普通のゼラチンカプセルに入れ、1000個のカプセルを得た。
【0141】
各文献がそれぞれ単独に引用されるように、本発明に係るすべての文献は本出願で参考として引用する。また、本発明の上記の内容を読み終わった後、この分野の技術者が本発明を各種の変動や修正をすることができるが、それらの等価の様態のものは本発明の請求の範囲に含まれることが理解されるべきである。
図1
図2
図3