(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5676661
(24)【登録日】2015年1月9日
(45)【発行日】2015年2月25日
(54)【発明の名称】車椅子
(51)【国際特許分類】
A61G 5/02 20060101AFI20150205BHJP
A61G 5/00 20060101ALI20150205BHJP
【FI】
A61G5/02 506
A61G5/00 509
【請求項の数】1
【全頁数】6
(21)【出願番号】特願2013-7019(P2013-7019)
(22)【出願日】2013年1月18日
(65)【公開番号】特開2014-136098(P2014-136098A)
(43)【公開日】2014年7月28日
【審査請求日】2013年1月21日
(73)【特許権者】
【識別番号】393013445
【氏名又は名称】仁村 優治
(74)【代理人】
【識別番号】100062982
【弁理士】
【氏名又は名称】澤木 誠一
(74)【代理人】
【識別番号】100102749
【弁理士】
【氏名又は名称】澤木 紀一
(72)【発明者】
【氏名】仁村 優治
【審査官】
貞光 大樹
(56)【参考文献】
【文献】
特開2012−125513(JP,A)
【文献】
特開2000−271(JP,A)
【文献】
登録実用新案第3179986(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61G 5/00 − 5/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
二つ割れ自在な座席と、両側壁を有する車体と、上記二つ割れ自在な座席を互いに離、接する方向に夫々側方に移動して開閉せしめる、夫々の座席の開閉駆動手段と、上記両側壁の夫々に設けた上記夫々の座席の開閉駆動手段の保持板と、上記夫々の座席を車体に相対的に夫々上下動せしめる駆動手段とより成り、上記座席の開閉駆動手段が、基端を上記保持板に回動自在に枢支し、一方の遊端を上記二つ割りとした座席の夫々に枢支した、水平面内で互いに離間して平行に延びる第1、第2のL形リンクと、この第1、第2のL形リンクの他方の遊端を枢支せしめた作動杆とより成り、上記作動杆の駆動によって上記第1、第2のL形リンクが水平面内で同期して略90°回動され上記二つ割れ座席を水平面内で互いに離、接する方向に移動せしめ、上記座席を上下動せしめる駆動手段が、上記両側壁間に挿入される上記保持板の延長部分と、この延長部分から所定距離上方に離間して対向配置し上記側壁に固定した固定板と、その下部を上記保持板延長部分の前部に螺合し、その上部を上記固定板の前部に、固定板に相対的に回転自在であるが軸方向には移動されないよう連結した、上記側壁内を上方に延びる座席上下用前部垂直ねじ杆と、その下部を上記保持板延長部分の後部に螺合し、その中間部を上記固定板から上方に貫通突出せしめた座席上下用後部垂直ねじ杆と、このねじ杆を回動するためこのねじ杆の上端部に係合したクランクシャフトと、上記座席上下用前部垂直ねじ杆と上記座席上下用後部垂直ねじ杆に夫々固定した鎖車と、この2つの鎖車に懸架したチェーンとより成ることを特徴とする車椅子。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車椅子、特に、車体内の座席の下面に身障者移動用ベッドを挿入でき、座席が左右に二つ割れであり、開閉駆動手段によって夫々車体の側方に移動して開くことによって身障者が車内に入り得るようにした車椅子に関するものである。
【背景技術】
【0002】
座席が左右の分割片に分割され、該左右の分割片は、互いの対向端縁が突き合う閉じた位置と、互いの対向端縁間が離れる開いた位置との間にわたって移動可能にフレーム体に支持され、該左右の分割片が開いた場合において、前記フレーム体および該左右の分割片間に、ベッド、トイレの座等の台上に腰をおろした状態の被介護者が台と共に進入可能である介護用椅子は特許文献1に示されている。
【0003】
然しながら、このような車椅子では二つ割りされる座席を夫々車体に相対的に上下動せしめる構成を有せず座席の高さを身障者の身長やベッドの高さに合致せしめることができず、極めて不便であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2012−125513号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は上記従来の車椅子の欠点を除くことにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の車椅子は、二つ割れ自在な座席と、両側壁を有する車体と、上記二つ割れ自在な座席を互いに離、接する方向に夫々側方に移動して開閉せしめる、夫々の座席の開閉駆動手段と、上記両側壁の夫々に設けた上記
夫々の座席の開閉駆動手段の保持板と、上記
夫々の座席を車体に相対的に夫々上下動せしめる駆動手段とより成ることを特徴とする。
【0007】
本発明の車椅子の上記座席の開閉駆動手段は、基端を上記保持板に回動自在に枢支し、一方の遊端を上記二つ割りとした座席の夫々に枢支した、水平面内で互いに離間して平行に延びる第1、第2のL形リンクと、この第1、第2のL形リンクの他方の遊端を枢支せしめた作動杆とより成り、上記作動杆の駆動によって上記第1、第2のL形リンクが水平面内で同期して略90°回動され上記二つ割れ座席を水平面内で互いに離、接する方向に移動せしめることを特徴とする。
【0008】
また、上記座席を上下動せしめる駆動手段は、上記両側壁間に挿入される上記保持板の延長部分と、この延長部分から所定距離上方に離間して対向配置し上記両側壁に固定した固定板と、その下部を上記保持板延長部分の前部に螺合し、その上部を上記固定板の前部に、固定板に相対的に回転自在であるが軸方向には移動されないよう連結した、上記側壁内を上方に延びる座席上下用前部垂直ねじ杆と、その下部を上記保持板延長部分の後部に螺合し、その中間部を上記固定板から上方に貫通突出せしめた座席上下用後部垂直ねじ杆と、このねじ杆を回動するためこのねじ杆の上端部に係合したクラン
クシャフトと、上記座席上下用前部垂直ねじ杆と上記座席上下用後部垂直ねじ杆に夫々固定した鎖車と、この2つの鎖車に懸架したチェーンとより成ることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明の車椅子によれば、座席を身障者の身長やベッドの高さに応じて車体に相対的に上下動でき身障者が極めて安全且つ便利に着席できるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図3】座席を閉じた状態における本発明の車椅子の座席開閉手段の底面図である。
【
図4】座席を開いた状態における本発明の車椅子の座席開閉手段の一部の底面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下図面によって本発明の実施例を説明する。
【実施例1】
【0012】
本発明の車椅子1は、
図1に示すように背面と底面の一部が開放されている車体2と、この車体2を支持する前車輪3及び後車輪4と、車体2の後方に左右側方に2分割自在に設けた座席5と、上記車体2によって支持した手すり6と、上記座席5の下面と上記後車輪4の上面間に形成された、身障者移動用ベッドを挿入可能な間隙7と、上記車体2の前方上部に形成した身障者用スペース8と、上記座席5の開閉駆動手段9と、この開閉駆動手段9と上記座席5を保持するため上記車体2の両側壁13の夫々によって上下動自在に支持せしめた保持板10及びこの保持板10の延長部分11を車体2に相対的に上下動せしめる座席の上下動手段12とにより構成し、車体2に対する座席の高さを身障者の身長やベッドの高さに応じて調節できるようにする。
【0013】
上記車体2には例えば、両側の壁13の下部を連結する床板14と、上記壁13の背面に形成した上記保持板10のガイド用垂直溝15とを設ける。
【0014】
上記座席5の開閉駆動手段9は、
図3及び
図4に示すように夫々基端を上記保持板10に回動自在に枢支し、夫々の一方の遊端を上記2つ割りとした座席5の一方に回動自在に枢支した、互いに離間した第1及び第2のL形リンク16、17と、この第1及び第2のL形リンク16、17の夫々の他方の遊端を枢支せしめた共通の作動杆18と、この作業杆18の水平移動を抑制するスプリング19とにより構成し、この作動杆18を移動手段20を介して
図3において左方に移動すれば、
図3に示す位置の上記第1、第2のL形リンク16、17は夫々の基端を中心として時計方向に略90°同期して回動し、これによって
図4に示すように座席5の一方が車体2の側方外方に移動して閉状態から開状態となるようにする。
【0015】
2つ割りとした座席5の他方に対しても上記移動開閉手段9と同様のものを設ける。
【0016】
また、上記座席5の上下動手段12は、上記両側壁13間に挿入された上記保持板10の延長部分11と、この保持板延長部分11の上面から例えば150mm上方に離間して対向配置して上記両側壁13に固定した固定板21と、上記保持板延長部分11の前後部下面に固定した固定ナット22a、22bと、この後部固定ナット22bに対応する位置で上記固定板21の後部に設けた貫通孔23と、その下部を上記保持板延長部分11の前部固定ナット22aに螺合し、その上部を上記固定板21の前部に、固定板21に相対的に回転自在であるが、軸方向には移動されないように係合された、上記両側壁13間を上方に垂直に延びる座席上下用前部垂直ねじ杆24と、その下部を上記保持板10の延長部分11の後部に固定した固定ナット22bに螺合し、ねじの付されていないその中間部及び上部を上記固定板21の貫通孔23を介して上方に貫通突出せしめ例えばカラー(図示せず)を介して上記固定板21に相対的に軸方向には移動されないようにした座席上下用後部垂直ねじ杆25と、上記座席上下用前部垂直ねじ杆24の下端と、上記座席上下用後部垂直ねじ杆25の下端に夫々固定した鎖車26a、26bと、この2つの鎖車26a、26bに懸架したチェーン27とにより構成する。
本発明の車椅子1は上記のような構成であるから、その使用に際しては座席5の開閉駆動手段9における作動杆18の移動手段20を操作すれば、2つ割れの座席5が開閉されるようになる。
また、上記座席5の上下動手段12における後部垂直ねじ杆25の上端部25aを直接またはクランクシャフト28等を介してその軸線周りに回動すれば、後部垂直ねじ杆25、鎖車26b、チェーン27、鎖車26aを介して前部垂直ねじ杆24も回動し、これによって座席5及びその延長部分11が例えば150mmだけ車体2に相対的に上下に移動自在となる。
【符号の説明】
【0017】
1 車椅子
2 車体
3 前車輪
4 後車輪
5 座席
6 手すり
7 間隙
8 身障者用スペース
9 座席の開閉駆動手段
10 保持板
11 延長部分
12 座席上下動手段
13 側壁
14 床板
15 保持板ガイド用垂直溝
16 L形リンク
17 L形リンク
18 作動杆
19 スプリング
20 移動手段
21 固定板
22a 前部固定ナット
22b 後部固定ナット
23 貫通孔
24 座席上下用前部垂直ねじ杆
25 座席上下用後部垂直ねじ杆
26a 鎖車
26b 鎖車
27 チェーン
28 クランクシャフト