(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5676670
(24)【登録日】2015年1月9日
(45)【発行日】2015年2月25日
(54)【発明の名称】液相拡散接合の合金形成制御
(51)【国際特許分類】
B23K 20/00 20060101AFI20150205BHJP
B23K 20/24 20060101ALI20150205BHJP
【FI】
B23K20/00 310A
B23K20/00 310L
B23K20/00 310F
B23K20/24
【請求項の数】19
【外国語出願】
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2013-62083(P2013-62083)
(22)【出願日】2013年3月25日
(65)【公開番号】特開2013-220476(P2013-220476A)
(43)【公開日】2013年10月28日
【審査請求日】2013年3月25日
(31)【優先権主張番号】13/448,632
(32)【優先日】2012年4月17日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】507342261
【氏名又は名称】トヨタ モーター エンジニアリング アンド マニュファクチャリング ノース アメリカ,インコーポレイティド
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100077517
【弁理士】
【氏名又は名称】石田 敬
(74)【代理人】
【識別番号】100087413
【弁理士】
【氏名又は名称】古賀 哲次
(74)【代理人】
【識別番号】100111903
【弁理士】
【氏名又は名称】永坂 友康
(74)【代理人】
【識別番号】100102990
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 良博
(74)【代理人】
【識別番号】100128495
【弁理士】
【氏名又は名称】出野 知
(72)【発明者】
【氏名】ユン サン ウォン
(72)【発明者】
【氏名】塩崎 宏司
【審査官】
山崎 孔徳
(56)【参考文献】
【文献】
特開2007−032465(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23K 20/00 − 20/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
合金形成の制御のための液相拡散接合法であって、
第2材料よりも高い溶融温度を有する第1材料の表面の特徴を変更して、第1材料の表面積を増加させる工程、
第1材料の変更された表面の特徴が第2材料の表面と接触するように第1材料と第2材料を配置する工程、
温度を第2材料の接合温度まで上げて部分的な液体の拡散を引き起こす工程、
部分的に拡散した材料を第2材料と反応させ、等温凝固により合金を形成する工程、及び
合金の実質的に均一な接合ラインを生成する工程
を含み、パワーエレクトロニクスの作成のために使用される、液相拡散接合法。
【請求項2】
第1の第1材料部分と第2の第1材料部分の間に第2材料を挟み込んで配置する工程をさらに含む、請求項1に記載の液相拡散接合法。
【請求項3】
第1の材料部分と第3の材料部分の間に第2材料を挟み込んで配置する工程をさらに含む、請求項1に記載の液相拡散接合法。
【請求項4】
第1材料と第2材料に3kPa〜1MPaの圧縮力を加える工程をさらに含む、請求項1に記載の液相拡散接合法。
【請求項5】
接合ラインの厚さが5μm〜50μmである、請求項1に記載の液相拡散接合法。
【請求項6】
表面の特徴の変更が、第1材料及び第2材料の少なくとも一方をエッチングすることを含む、請求項1に記載の液相拡散接合法。
【請求項7】
エッチングが、化学エッチング、ドライエッチング、機械的研磨、機械的スクライビング、及び高エネルギービームエッチングのうち少なくとも1つによって達成される、請求項6に記載の液相拡散接合法。
【請求項8】
表面の特徴の変更が、第1材料又は第2材料の少なくとも一方に堆積を行うことを含む、請求項1に記載の液相拡散接合法。
【請求項9】
堆積が、材料の堆積、パターン転写、及び材料の成長の少なくとも1つによって達成される、請求項8に記載の液相拡散接合法。
【請求項10】
実質的に均一な接合ラインが高い導電性を有する単一の合金接合ラインを含む、請求項1に記載の液相拡散接合法。
【請求項11】
第1材料の表面の特徴の変更を実質的に鏡のように反映するように、第2材料の表面の特徴を変更する工程をさらに含む、請求項1に記載の液相拡散接合法。
【請求項12】
表面の特徴の変更が、ランダムなパターン、規則的なパターン、又は規則的なパターンとランダムなパターンの組み合わせのうち少なくとも1つにおいて表面の特徴を変更することを含む、請求項1に記載の液相拡散接合法。
【請求項13】
第2材料と接触している第1材料の面全体の表面の特徴の種類を変更する工程をさらに含む、請求項1に記載の液相拡散接合法。
【請求項14】
第1材料と第2材料の少なくとも一方が、銅、スズ、銀、インジウム、金、ニッケル、及びホウ素である、請求項1に記載の液相拡散接合法。
【請求項15】
合金がCu3Snである、請求項1に記載の液相拡散接合法。
【請求項16】
接合プロセスが30分〜2時間である、請求項1に記載の液相拡散接合法。
【請求項17】
ハイブリッド自動車、プラグインハイブリッド自動車、及び電気自動車の少なくとも1つのために使用される、請求項1に記載の液相拡散接合法。
【請求項18】
第2材料よりも高い溶融温度を有する第1材料の表面の特徴を変更して、第1材料の表面積を増加させる工程、
液相拡散接合のために、第1材料の変更された表面の特徴が第2材料の表面と接触するように、第1材料の第1部分と第1材料の第2部分の間に第2材料を挟み込んで配置する工程、及び
液相拡散接合により合金材料の実質的に均一な接合ラインを生成する工程
を含み、パワーエレクトロニクスの作成のために使用される、方法。
【請求項19】
液相拡散接合により合金材料の実質的に均一な接合ラインを生成するための方法であって、
第1材料の第1部分と第1材料の第2部分の間に第2材料を挟み込んで配置する工程であって、別の材料に接触している第1材料及び第2材料の少なくとも一方の表面の特徴を変更して表面積を増加させる工程、及び
液相拡散接合により合金の実質的に均一な接合ラインを生成する工程であって、選択される合金が合金の導電性に基づく工程
を含み、パワーエレクトロニクスの作成のために使用される、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、合金形成、さらに詳しくはパワーエレクトロニクスにおける液相拡散接合を使用する合金形成に関する。
【背景技術】
【0002】
材料を接合させるために様々な方法が使用されている。自動車業界では長年溶接が使用されている。溶接は通常、融合プロセスによる材料(典型的には金属又は熱可塑性物質)の結合である。複雑な成分の設計はしばしば、「最弱部」が構造性能を制限するという概念に基づく。「理想的結合」は、結合される構造を含むバルク材料の特性のすべてを示すであろう。このような結合の作成は、決して簡単ではない。
【0003】
自動車製造工程及びその中の要素とサブシステムは、比較的短い製造ウィンドウで利用できる信頼性の高い結合を必要とする。結合が起きるのを待つ時間は、選択肢にはない。業界では、溶接の電気的性質と接合中の合金の特性の強調は、重要ではない。
【発明の概要】
【0004】
上記ニーズは、開示したシステムと方法とによりうまく満たされる。本開示は一般に、パワーエレクトロニクスにおける液相拡散接合を使用する合金形成の制御に関する。種々の実施態様において、電子素子の接合技術の接合性と製造の信頼性を改良する技術が開示される。この方法は、多様な化合物(又は合金)を生成する接合技術に特に有用である。
【0005】
本開示は、厚み制限への依存度が低下した、実質的に均一な接合ラインの迅速で信頼できる製造を可能にする新しい接合技術を記載する。表現を変えると、本明細書に記載の技術を使用すると、厚み制限と過度の接合時間の無い実質的に単一の合金からできた実質的に均一な接合ラインが達成される。パワーエレクトロニクスのためにより良好な目的の性能を与える(より)適した接合ラインも達成される。このシステムは、適合性が高く、種々の構造や製造オプションが可能である。これは、製造技術の多様な選択を可能にし、外部条件への依存が小さい。この方法は、広範囲の分野に応用することができる。さらに、例えばこのプロセスは、多価電解質に関連する任意の用途で使用することができる。例えばこのシステムは、少なくともウェハ対ウェハ、ダイ(型)対ウェハ、ダイ対基板、又はダイ対ダイの接合に応用できる。さらにこのシステムは、従来の製造法に適合する。
【0006】
本開示の実施態様の特徴と利点は、図面と組み合わせると、以下の詳細な説明からさらに明らかであろう。もちろん図面とその関連する説明は、特許請求の範囲内の構成例であり、本発明の範囲を限定するものではない。参照した要素間の対応を示すため、図面中で参照番号が再使用される。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図3】均一ではない接合ラインによるCu−Sn TLP接合の例を示す。
【
図4】(a)は材料の表面特性を変化させない、TLP接合の例を示し、(b)は少なくとも1つの材料の変更された表面特性を含むTLP接合の例を示す。
【
図6】(a)〜(f)は少なくとも1つの材料の二次元の変更された表面の特徴の例を示す。
【
図7】(a)〜(c)は変更された表面の特徴に関連する三次元表面の例を示す。
【
図8】(a)〜(c)は表面の特徴が変更された別の材料への1つの材料のリフローを示す。
【
図9】(a)は材料堆積法の例を示し、(b)はパターン転写堆積法の例を示し、(c)は促進剤法による成長の例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下の詳細な説明において、本開示が理解できるようにするために多くの具体的な詳細が示される。しかし、これらの具体的な詳細のいくつかが無くても、本開示の要素が実施できることは、当業者に明らかであろう。他の例では、本開示を不要に曖昧にするのを避けるために、公知の構造や技術は詳細に示していない。
【0009】
本開示は一般に、パワーエレクトロニクスにおける液相拡散接合による合金形成の制御に関する。液相拡散(TLP)接合は、基板材料の性質に似た微細構造を、従って機械的性質を、有する連結部を生成する。TLP接合は、中間層からの融点低下要素が接合温度で基板の格子と顆粒の境界に移動する時に拡散が起きる拡散接合とは異なる。固相拡散法は、接合界面での組成物の変化につながり、異なる中間層が、親材料より低温で溶融する。すなわち液体の薄層が界面に沿って広がり、親材料のいずれかの融点より低い温度で連結部を形成する。接合温度の低下は、溶融物の凝固を引き起こし、次にこの相は、接合温度を維持して親材料中に拡散することがある。
【0010】
種々の実施態様において、電子素子の接合技術の接合性と製造の信頼性を改良するためのシステムと方法100が開示される。この方法100は、多数の化合物(又は合金)を生成する接合技術に特に有用である。
【0011】
種々の実施態様の
図1について、本方法100は、エレクトロニクスパッケージングの液相拡散(TLP)接合を利用する。TLP接合は、このプロセス中は、再溶融温度(すなわち持続温度)が接合温度より有意に高くなるため、高出力半導体素子にとって有効となり得る。TLPは、多くの電子素子、特にシリコン、SiC、GaNなどでできたような高温出力電子素子で有用となり得る。
【0012】
TLPの概観を
図1に示す。一般にTLP接合には、2つ(又は多数)の材料が関与する。既に記載されているように2つの材料は、材料A50(高い溶融温度を有する)と材料B75(材料A50の溶融温度に対して低い溶融温度を有する)である。材料A50と材料B75の両方とも、組成は純粋ではないことを理解されたい。接合温度が上昇すると、
図1の工程2に示すように、材料B75は溶融し、材料A50内に拡散する。拡散した材料は連続して材料B75と反応して、等温凝固により合金を形成する。
図1の工程4(例えば、均一な接合ライン)に記載されるように、接合ラインがA+B合金の完全なセットとなるまで、凝固は続く。TLP接合プロセス中に、機械的圧力(数kPaから数MPaの範囲、例えば3kPaから1MPa)を加えてもよい。
【0013】
あるTLP材料では、
図1の工程5に記載のように、複数のA+B合金が複数の化合物を生成し、不均一な接合ラインを生成することがある。この不均一な接合ラインは、その不均一性、非一貫性、非制御性、及び予測不可能性のために、しばしば理想的ではないと考えられ、製造に問題を与える。例えば銅−スズ(Cu−Sn)は、複数のCu−Su化合物(又は合金)を生成するTLP材料である。銅とスズは両方ともパワーエレクトロニクス材料で広く使用されているため、種々の実施態様において本開示の方法100は、不均一な接合ラインの生成を最小にするように構成される。
【0014】
一般に複数の利用できる合金の中で特定の合金は、例えば導電性接合ラインのように、パワーエレクトロニクスの高出力利用と高温生成のために、パワーエレクトロニクス応用により適している。例えば、Cu
3Sn合金とCu
6Sn
5合金は両方ともCu−SnTLP接合プロセスにより生成されるが(Cu
3Snは合金B+」に対応し、Cu
6Sn
5は合金A+に対応する)、Cu
3Sn合金はCu
6Sn
5と比較して高い導電性を有する。すなわちパワーエレクトロニクスにとって目的は、好適な材料(例えば、Cu
6Sn
5合金の代わりにCu
3Sn合金)から作成された均一な接合ラインを生成するためのプロセスを利用することであろう。上記の開示されたニーズは、本開示システムと方法100によりうまく満たされる。
【0015】
銅−スズ(Cu−Sn)TLP接合は、複雑な相図(
図2に示す)を有し、多くの複合構成物を生成する。図中のCu−Sn複合物(又は合金)の中で、Cu
3SnとCu
6Sn
5は、パワーエレクトロニクス用途で最も頻繁に見られる。従来の方法を使用すると、パワーエレクトロニクスのダイ接着の接合ライン中で2つのCu−Sn合金が共存し得る(そのような接合ライブラリーの1例を
図3に示す)。
図3に示す接合ラインは、不均一(すなわち、複数の材料からなる)で不明瞭な形を有する。Cu
3Sn合金は、Cu
6Sn
5合金により囲まれる(
図3)か、又は合金Cu
6Sn
5により挟まれる。接合ラインの性質は制御することが困難である。Cu
3Sn接合ラインのみを生成するために、いくつかの方法が試みられている。1つはSnの厚さを減少させることであり、他の1つは接合時間を延長することである。しかし両方の方法ともに問題がある。第1の方法(より薄いSn層)は、薄い接合ライン(例えば1〜5μm)のみを作成することができるが、これは高温に曝露された時、熱い接合ラインと比較してより多くのストレスを経験する。本方法は、サイズを限定されない接合ライン(例えば1〜30μm、又は5μm〜50μm)を生成することができる。高温誘導性ストレス(これは、パワーエレクトロニクスにおいて一般に問題である)は、接合ラインでの損傷の確率を上昇させ、従ってSnを薄くすることは、限界のあるアプローチである。第2の方法(より長い接合時間)は、より熱い接合ラインを達成できるが、長い処理時間を必要とし、これは大量生産には適していない。これらのアプローチと問題はCu−Sn(これは本明細書における例として使用される)に限定されず、複雑な相図を有し複数の合金を生成する材料で観察することができる。例えば、以下の表1は、さらなる従来の接合材料の非包括的リストを示す。
【0017】
種々の実施態様において本システム100は、単一の合金からなる均一な接合ラインを達成するのに利用される。例えば単一の合金は、パワーエレクトロニクス応用を目的とする特性に基づいてもよい。1つの合金の例はCu
3Snであり、これは他の合金(例えばCu
6Sn
5)と比較してパワーエレクトロニクスにより適している。本システム100は、厚い接合ラインを製造するように構成され、これは、高温により誘導される接合ラインストレスを低下させるのに有利である。また大量生産を促進するのに、本システムは長い接合時間を必要とせず、製造条件にあまり依存しない。例えば本システム100の接合プロセスは、約30分〜約2時間である。本システム100は、接合される素子に優れた電気伝導性と熱伝導性を与え、従って従来法に対して素子性能ならびに接合品質が改良されている。
【0018】
複数の構造と製造オプションが提唱される。様々な材料が使用できる。また材料表面の前処理を行うことができる。この多様性は、融通性ある設計と製造プロセス、及び多くの用途へのこの方法の応用を可能にする。例えば、このシステムと方法100は、ウェハ対ウェハ、ダイ(型)対ウェハ、ダイ対基板、ダイ対ダイの接合に応用できる。またここに開示した技術100は、従来の製造法に適合する。
【0019】
図4(a)と4(b)に、本開示技術の実施態様例の概念図が記載される。既に考察したようにTLPは、2つの材料を接合するのに使用される:材料A50は高い溶融温度を有し、材料B75は比較的低い溶融温度を有する。システム100は、2つの材料間の接触面積を増やす結果を利用するように構成される。「波状」表面(
図4(b)に示す)は、平らな表面(
図4(a)に示す)と比較して、接触面積を40%以上増やす。変更された表面特性(例えば波状表面)は、本明細書に記載のプロセス及び技術を使用して達成される(例えば
図8〜9を参照)。
【0020】
Cu−Snを使用するシステム100が開示される;しかし、類似の方法100は、複数の合金(例えば表1に開示されたもの)を生成する他の2材料TLP接合で使用することができる。例えば、第1材料である材料A50と第2材料である材料B75は、銅、スズ、銀、インジウム、金、ニッケル、及び/又はホウ素の任意のものでよい。Cu−Snの2つの最も一般的な合金(Cu
3SnとCu
6Sn
5)は、以下の方法で生成し得る。第1に、Cu(材料A50)はSn(材料B75)と反応し、第1のCu−Sn合金であるCu
6Sn
5を生成する。Cu
6Sn
5は残ったCu50と反応して、Cu
3Snを生成する。従って種々の実施態様において、Cu
6Sn
5は、Cu50との接触が増加するように構成され、これが2つの材料間の反応を促進し、Cu
3Snをより迅速に生成する。すなわち実質的にCu
3Snのみからなる生じる均一な接合ラインは、平らな表面(
図4(a))と比較して、より短い時間で達成される。
【0021】
この方法100は、比較的短時間に均一な接合ラインを作成する以外の他の利点を有する。パワーエレクトロニクスでは、高い導電性を与える接合ラインが有効である。Cu
3SnはCu
6Sn
5より高い導電性を有し、従って一般的にパワーエレクトロニクスにより適している。言い換えると、本明細書に開示の技術は、パワーエレクトロニクス応用に充分に適した、Cu
6Sn
5の無いCu
3Snのみから実質的になる接合ラインを形成する。
図5は、複数の合金の接合ラインから、パワーエレクトロニクスにより適した単一の合金接合ラインへの移行を例示する。本明細書に開示の方法100は、少なくとも自動車産業、船舶産業、航空産業、原子力産業、及び/又はエレクトロニクス産業に応用される。さらに本明細書に開示の方法100は、少なくともハイブリッド自動車、プラグインハイブリッド自動車、及び/又は電気自動車に応用できる。
【0022】
すでに開示されているように、
図4(b)の波形表面アプローチは、利用できる変更される表面の1つの例である。変更された表面特性は任意の形でもよい。例えば、変更された表面特性は、幾何的又は非幾何的パターン(模様)及び/又はこれらの組み合わせに従うことができる。変更された表面特性は、規則的又は不規則なパターンでもよい。例えば変形態様の非包括的なリストを
図6と
図7に示す。
図6は、変種の2D断面図である。波形表面は、矩形の柱状又は円筒形(
図6(a))、四角錐又は斧印に似た細断された流路(
図6(b))、又は丸い隆起(
図6(c)と6(d))を含む一連のいくつかの構造でもよい。これはまた、材料A50とB75(及び/又は、材料A50と、合金形成後の材料B75の合金との)との界面強度を増強するためにベルクロ様構造(
図6(e)と6(f))を作成してもよい。
【0023】
構造の配列はまた変化してもよい。例えば、
図7は、
図6(a)に示す矩形の柱状のこのような配列の変形態様を示す。配列は、スリットのアレイ(
図7(a))、グリッド/格子縞パターン(
図7(b))、又は柱のアレイ(
図7(c))を含む。もちろん、
図7に示す他の変形態様も同様に、配列の変形態様、例えば、ランダムなパターン、又は
図7(a)〜7(c)の組み合わせのようなパターンの組み合わせ、及び/又はランダムなパターンと
図7(a)〜7(c)のような規則的なパターンの1つとの組み合わせを含んでもよい。
【0024】
種々の実施態様において、材料B75は2つの部分の間に挟まれる。これらの2つの部分は、両方とも材料A50であるか、又は材料Aと変更された表面の特徴を有する別の材料とからなるものでもよい。
【0025】
種々の実施態様において、材料A50及び/又は材料B75は、変更された表面の特徴を有してもよい。例えば、パターンなどの表面の特徴を材料B75に適用することなく、パターンなどの表面の特徴を材料A50(高い溶融温度を有する)に適用することは、製造のために都合がよい場合がある。これは、B75がTLP接合プロセス中に溶融するためである(
図1、工程2)。すなわち、溶融材料B75(例えばSn)は、パターニングされた材料A(例えばCu)のくぼみにリフローする。
図8は、このプロセスを詳細に記載する。
【0026】
例えば組み立て中(
図8(a)、
図1の工程1)に、材料A50はパターンなどの変更された表面の特徴を有し、材料B75は、実質的に変更された表面の特徴を有さない。接合プロセス開始に応答して材料Bは溶融し、材料A50の穴又はくぼみにリフローする(
図8(b)、工程2)。接合が進むと、リフローした材料B75は、材料A50と大きな接触構造を形成する(
図8(c)、工程3)。
【0027】
変更された表面特性(例えば、波形の表面及び/又はパターン)は、多くの方法で製造することができる。例えば、変更された表面特性は、(1)エッチング及び/又は(2)堆積によるものでもよい。一般に、エッチングは不要な部分を除去し、堆積は必要な部分を加える。エッチングは多くの方法で行うことができる。例えばエッチングは、化学エッチング(材料A50を除去する液体の使用)、ドライエッチング(材料A50を除去するガス又はプラズマの使用)、機械的研磨若しくはスクライビング、又は高エネルギービームエッチング、例えばレーザーエッチングによって達成することができる。堆積は、多くの方法で達成することができる。例えば、堆積は、追加の材料A50をマスクを介して電気メッキ、蒸発又は担持により堆積すること;材料A50のナノパターン転写若しくは選択的接合などのパターン転写;又は材料A50の成長によって達成することができる。
図9(a)〜9(c)はこれらの堆積法を記載する。
図9(a)は、マスクを介した最初の堆積を示す。
図9(b)は、型及び予備充填された材料Aを使用するパターン転写を記載する。
図9(c)は、材料A50のパターン化促進剤及び材料A50の成長(材料A50の捕捉)を示す。
【0028】
本開示は、厚さ制限の依存性が低下した均一接合ラインの、迅速で信頼できる製造を可能にする新しい接合システム100を記載する。このシステム100は、種々の構造に高度に適合でき、製造オプションが実施してもよい。これは、製造条件への依存を低下させることができる。このプロセスは、広範囲の用途で使用することができる。例えばこのプロセス100は、パワーエレクトロニクスに関連した任意の応用で使用することができる。例えばこのステム100は、ウェハ対ウェハ、ダイ(型)対ウェハ、ダイ対基板、又はダイ対ダイの接合に適用できる。さらにこのシステム100は、通常の製造技術と適合性がある。
【0029】
本明細書に開示された例に関連した説明した種々の論理的ブロックand工程は、電子ハードウェア、コンピューターソフトウェア、又は両方の組み合わせとして実施できることを、当業者は理解するであろう。そのような機能がハードウェアとして実施できるか又はソフトウェアとして実施できるかは、具体的な用途及び全体のシステムに課される設計の制限に依存する。当業者は、それぞれの具体的な応用について種々の方法で、記載の機能を実施できるであろうが、そのような実施の決定は、開示した装置や方法の範囲を逸脱するものではないことを理解すべきである。
【0030】
本明細書に開示された例とともに記載した方法の工程又はアルゴリズムは、ハードウェアに直接に、プロセッサーにより実施されるソフトウェアモジュールに、又はこれらの2つの組み合わせ中で具体化される。ソフトウェアモジュールは、RMAメモリー、フラッシュメモリー、ROMメモリー、EPROMメモリー、EEROMメモリー、レジスター、ハードディスク、リムーバブルディスク、CD−ROM、又は当該分野で公知の保存媒体の他の形式中に存在し得る。保存媒体の例は、プロセッサーが保存媒体から情報を読み出し、保存媒体へ情報を書き込むことができるように、プロセッサーに連結される。あるいは保存媒体はプロセッサーと一体化されてもよい。プロセッサーと保存媒体は、アプリケーション特異的集積回路(ASIC)中に存在してもよい。
【0031】
開示した例の前記説明は、当業者が本発明を実施し使用することができるように提供される。これらの例の種々の修飾態様は、当業者には容易に明らかであり、本明細書に開示された原理は、本発明の精神と範囲を逸脱することなく他の例に適用し得る。記載された実施態様は、すべての点で例示的なものであり、限定的なものではなく、本発明の範囲は、上記記載によってではなく以下の特許請求の範囲により示される。この特許請求の範囲と同等の意味及び範囲内にあるすべての変更は、本発明の範囲に包含される。