(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第1および第2の波形を第1の領域内で前記信号処理モジュールによって使用して、かつ前記第1の反転波形および前記第2の反転波形を第2の領域内で使用して、前記線形出力信号を生成する、請求項1に記載のセンサ。
【発明を実施するための形態】
【0015】
図1は、磁気センサからの波形を生成するための信号生成モジュール102を有するアナログ位置センサ100を示し、その波形は、反転バージョンの波形を生成する任意選択の信号反転モジュール104に供給される。信号処理モジュール106が、波形のアナログ代数操作を実施する。信号操作モジュール106は、角度位置に比例する線形出力電圧を生成する。一実施形態では、センサは、単一のシリコン基板上に設けられる。
【0016】
図1Aは、正弦波を生成するための第1の磁気センサ154と、余弦波を生成するための第1のセンサから90度で配置される第2の磁気センサ156とを有する永久磁石152を含む例示的なHall効果素子150として示されている磁気センサを示している。回転磁石152の角度位置θは、線形センサ出力を生成するために、正弦および余弦信号から決定可能である。例示的な実施形態では、センサ回路は、360°の検知範囲を有し、単一の電源装置上で動作する。
【0017】
一実施形態では、センサ出力は、以下の式1に示される相互関係から生成され、
【0019】
ただし、出力(output)はセンサ出力であり、Aは生成される正弦および余弦信号の振幅であり、オフセット(offset)はアースに対するシヌソイド信号の垂直オフセットであり、kは任意の実数であり、その場合、kは、最終センサ出力の利得および垂直オフセットに影響を及ぼす。概して、kの値は、出力の数学的な値が所望の動作範囲内にあるように設定されなくてはならない。
【0020】
図2は、式1についてモデル化された入力シヌソイド信号および出力を示している。正弦波200および余弦波202が、正弦および余弦信号の平均信号204と共に示されている。出力信号206(sin/(sin/2+cos/2)もまた、示されている。sin/(sin/2+cos/2)が、式1によって示されているように、シヌソイドと関連する振幅およびオフセットを実施していることに留意されたい。分かるように、式1は、以下の式2および3における相互関係が有効である場合、約315°から135°の第1の領域において、高い程度の線形性を有する出力信号206を生成する。
【0022】
135°〜315°の第2の領域では、入力シヌソイドは、第1の領域に比較すると、およそオフセット電圧で反転する。示されているモデルでは、A=2ボルト、オフセット(offset)=2.5ボルト、およびk=2であると仮定される。
【0023】
これらの測定を使用すると、式1についてのモデルは、出力信号が両方の領域に同程度の線形性を有し、2つの領域にわたって周期的であるように修正可能である。1つの特定の実施形態では、この修正形態は、
図3に示されるように、波形が135°〜315°(第2の領域)の範囲内にある場合、その波形を反転することによって行われる。示されているように、正弦波形200´、余弦波形202´および平均信号204´は、135°〜315°の範囲で反転し、それは、−sin(θ)がおよそオフセット電圧の正弦波の反転を示し、式1によって説明されるように、sin(θ)およびcos(θ)がシヌソイドと関連する振幅およびオフセットを実施する場合に、−sin(θ)>cos(θ)に対応する。例示的なパラメータは、A=2ボルト、オフセット=2.5ボルトおよびk=2である。
【0024】
図4に示されるように、135°〜315°の反転または第2の領域は、領域表示器250を使用して識別可能であり、それは、−sin(θ)>cos(θ)かどうかを示すビットとして生成可能であり、ただし、−sin(θ)は、およそオフセット電圧の正弦波の反転を示し、sin(θ)およびcos(θ)は、シヌソイドと関連する振幅およびオフセットを実施する。上述されたように、式1の修正モデルは、180°の範囲にわたって周期的である出力を生成する。360°の検知範囲を設けるためには、第1および第2の領域は、以下を使用して定義可能である。
−sin(θ)>cos(θ)ならば、
出力領域=0°〜180°(θが315°から135°に及ぶ場合の第1の領域)
そうでなければ、
出力領域=180°〜360°(θが135°から315°に及ぶ場合の第2の領域)
あるいは、領域表示器250を使用して、線形ランプを形成するために、180°〜360°、または第2の領域のセンサ出力を垂直に上方シフトさせることが可能である。垂直シフトの大きさは、変数kに左右される。
【0025】
図5は、本発明によるアナログ位置センサ200について例示的な回路実装部を示している。センサ200は、
図1の信号生成モジュール102、信号反転モジュール104および信号処理モジュール106についての例示的な実装部を含み、以下に詳細に説明される。
【0026】
図6は、第1のHall効果素子302および第2のHall効果素子304を含む信号生成モジュール102の1つの回路実装部を示し、そのそれぞれの素子は、Hallプレート306と、オフセットトリミングおよび利得トリミングの入力部を有する増幅器308とを含む。あるいは、利得およびオフセットのトリミング値は、自動利得制御部および/または自動オフセット調整部などによって、調整可能である。第1のHall効果素子302は、sin(θ)信号を出力し、第2のHall効果素子304は、cos(θ)信号を出力し、ただし、θは、回転磁石の位置を示す。
【0027】
示されている実施形態により、線形Hall効果素子を使用して、シヌソイド信号の生成がもたらされるが、磁気抵抗(MR)、磁気トランジスタ、巨大磁気抵抗(GMR)センサ、または異方性磁気抵抗(AMR)センサなど、様々な他の磁気センサも使用可能である。加えて、シヌソイド波形が示されているが、他の適切な波形を使用して、特定の用途の必要性に適合可能であることは理解される。
【0028】
第1の信号インバータ310が、sin(θ)信号を反転して−sin(θ)信号を生成し(ただし、−sin(θ)は、およそオフセットで反転する)、第2の信号インバータ312が、cos(θ)信号を反転して−cos(θ)信号を生成する(ただし、−cos(θ)は、およそオフセットで反転する)。インバータ310、312により、sin(θ)、−sin(θ)、cos(θ)および−cos(θ)信号のそれぞれは、信号反転モジュール104(
図7)に利用可能である。比較器314が、cos(θ)および−sin(θ)を入力として受け取って、領域表示ビット(上述されたように、反転または非反転の正弦および余弦信号)を生成する。比較器314は、上述された−sin(θ)>cos(θ)の判定を実施して、領域表示ビットを生成する。
【0029】
信号生成モジュール102はまた、例えば5Vの調節された電圧源316、および例えば、2.5Vのバイアス参照電圧318も含む。5Vの供給電圧が例示的な実施形態において使用されているが、式(2)および(3)に示された相互関係を満たしながらも、使用される特定の電圧は変更可能である。
【0030】
図7は、135°〜315°の(第2の)領域において、磁気センサ302、304(
図6)から生成されるシヌソイド信号を反転させる例示的な信号反転モジュール104の回路実装部を示している。示されている実装部では、元の(sin(θ)およびcos(θ))信号および反転信号(−sin(θ)および−cos(θ))は、2入力アナログマルチプレクサ350に、入力として供給される。
図4の領域表示ビット250に対応することが可能である比較器314の出力は、マルチプレクサ350の出力を制御する。すなわち、領域表示ビット250は、反転または非反転信号が、アナログマルチプレクサ250から出力されるかどうかを判定する。マルチプレクサ250の出力は、信号処理モジュール106への入力について、それぞれの増幅器352、354によりバッファリング可能である(
図8)。
【0031】
図8は、第1の抵抗R1および第2の抵抗R2を有する抵抗分割器を使用して、利得率kを実施する例示的な信号処理回路106の実装部を示している。
【0033】
を振り返ると、これは、例示的な実施形態では、k=2のためであることに留意されたい。抵抗R1とR2の間のポイントにより、(sin(θ)+cos(θ))/2が生成される。この信号は、バッファリングされ、アナログマルチプレクサ400に入力される。sin(θ)信号は、第2の入力(式1における分子)としてアナログマルチプレクサ400に供給され、それは、アナログマルチプレクサ400を使用して、陰的除算を行う。回路が、式4による複数領域の線形性について波形反転を含むことは理解される。
【0034】
1つの特定の実施形態では、アナログマルチプレクサ400は、単一の供給に関して動作し、アースは、数学的ゼロに等しいと仮定する。他の回路の実施形態は、例えば、アース変動に関連する影響を回避するために、「アース」として、様々な電圧、例えば0.5Vで動作することが可能であることは理解される。両方の入力信号が、数学的に正であると仮定されるので、この除算動作には、2つの象限の除算(または乗算)が必要なだけであることに留意されたい。アナログマルチプレクサ400からの出力は、示されている実施形態では、0.5Vから4.5Vの範囲での出力について、利得およびオフセット補正を行うために処理される。
【0035】
図5の回路は、当業者にはよく知られている工程および技術を使用して、単一の基板上で実装可能である。
【0036】
本発明は、単一の基板上のアナログ位置センサを達成するために、特定の代数的相互関係を実施するように主に示され、説明されているが、他の代数的相互関係も実施可能であることが理解される。
【0037】
別の実施形態では、代替のアルゴリズムが以下に示すように実施可能である。式1を再度参照すると、
【0039】
ただし、出力(output)はセンサ出力であり、Aは生成される正弦および余弦信号の振幅であり、オフセット(offset)はアースに対するシヌソイド信号の垂直オフセットであり、kは任意の実数であり、その場合、kは最終センサ出力の利得および垂直オフセットに影響を及ぼす。
【0040】
本発明を示すために、式1は、式4に示されるように、
【0042】
または、以下の式5に示されるように、
【0044】
数学的に示されることが可能である。その場合、
2オフセット−(Asin(θ)+オフセット)>Acos(θ)+オフセット 式6
または
【0046】
であるとき、反転、すなわち、「−」の項が加えられる。
【0047】
アルゴリズムの代替の形態を得るために、式5は、以下のように単純化可能である。
式8の結果を生成するために、κ/Aによって分子および分母を乗算する。
【0049】
式9に示されるように、加算および減算のcos(θ)の項を分子に挿入する。
【0051】
式10毎に、加算および減算のsin(θ)の項を分子に挿入する。
【0053】
式11に示されるように、分子において、sin(θ)を「ksin(θ)−sin(θ)」の項からくくり出す。
【0057】
に留意されたい。式11は、式12に示されるように、記されることが可能である。
【0059】
定数項「1」がDCオフセットであると認識された場合、式13に示されるように、出力(output)の全体的線形性を変えることにならないので、オフセット(offset)を削除することが可能であることに留意されたい。
【0061】
ここで、kは、出力の最終利得およびオフセット(offset)にだけ影響を及ぼす定数であることを考慮されたい。この定数は、前述例に示されるように、k=2であるように固定可能である。これは、式14に示されることが可能である。
【0063】
よく知られているように、sin(θ)+cos(θ)=√2sin(θ+45°)およびsin(θ)−cos(θ)=√2sin(θ−45°)であるので、式14は、式15のように、記されることが可能である。
【0065】
式の右側の分子および分母を√2で割ることにより、式16の相互関係が生じる。
【0067】
分子におけるシヌソイド項、sin(θ−45°)は、分母におけるシヌソイド項、sin(θ+45°)とは、90°の位相だけ異なることに留意されたい。このため、以下の式17に示されるように、分子および分母をそれぞれsin(θ)およびcos(θ)で置き換えることが可能である。
【0069】
これにより、反転ポイント(すなわち、「−」項を加えること)は、0>cos(θ)に変わる。また、ここで、出力(output)の位相は、45°だけ逆正接と位相がずれているのではなく、逆正接と同一に配列されている。
【0070】
次に、シヌソイドは、単位利得を有し、すなわち、sin(θ)はゼロオフセットを有し、一方、cos(θ)は、有限オフセットを有する(すなわち、cos(θ)は、
【0072】
と等しいオフセットを有する)。変数Aおよびオフセットは、シヌソイドの実際の利得およびオフセットをもはや示していないので、この定数を、bと呼ぶことが可能である数字と特定すべきである。式18に示された相互関係の結果を、再度記し直すと、
【0074】
である。
出力(output)の線形性は、定数項の値によって決まる。先の例では、A=2およびオフセット=2.5Vと示した。直接的「推測」では、理想定数項bは、1.7678に近似的に等しい。出力の線形性は、bの値を変化させることによってわずかに改善可能である。式18の相互関係が、先の元の明細書に適合するように、要望通り、スケーリング可能であるということは認識されるであろう。sin(θ)およびcos(θ)がある利得Aを有する場合、定数bはまた、式19に示されるように、関数Aにならなくてはならない。
【0076】
自動利得制御部を使用することによって、または式20のよく知られている三角法の相互関係を使用することによって、Aの値を知ることが可能である。
【0078】
図9は、sin(θ)およびcos(θ)ピンと、領域表示器と、位置出力信号と共に、VccならびにGndの実例となるピン配列を有する例示的なセンサパッケージ500を示している。様々なピン配列の構成が可能であることは認識されるであろう。一実施形態では、センサパッケージは、単一の基板502上にセンサを含む。
【0079】
例示的なセンサの実装部では、ADC(アナログ・デジタル・コンバータ)など、様々な回路のLSB(最下位ビット)とインターフェースすることが可能になる供給電圧とレシオメトリックである角度センサの出力を供給することが望ましい場合がある。上述したものなど、分割ステージの出力が供給電圧とレシオメトリックであるためには、以下の相互関係が適用可能であり、すなわち、k=0.4
*供給量、A=0.4
*供給量、およびオフセット=0.5
*供給量である。これらの相互関係が有効である限り、センサ出力は、レシオメトリックにスケーリングすることになる。あるいは、供給量=5Vであると仮定すると、Aおよびオフセットだけをレシオメトリックであることを可能にした場合、分割ステージの出力は、(出力を削減しないと仮定すると)供給量がいかに低く減少するかということに関係なく、全く同一であることになる。レシオメトリは、供給量/5によって、分割ステージの出力をスケーリングすることによって達成可能である。レシオメトリが他の機構を使用して達成可能であることは理解される。
【0080】
本発明の例示的な実施形態により単一の基板上にアナログセンサを実装することにより、デジタル信号処理コアを有する従来のセンサと比較すると、ほとんど構成要素を含まない、より小型のパッケージが可能になる。1つの特定の実施形態では、センサが、単一のダイ上にAMRおよび回路を含む。他の実施形態では、角度センサが、GMR、AMR、GaAs、および様々なシリコンHallセンサなどの複数のダイを有することが可能である。
図9Aに示されている1つの特定の実施形態では、角度センサが、回路のためのCMOS工程における第1のダイD1、およびセンサのための異なるHallプレートドープを施す第2のダイD2を有する複数のダイを含む。他の実施形態には、信号処理による1つのダイ、ならびに2つのGaAsダイおよび/または2つのMRダイが含まれる。GMRダイは、感度の異なる平面内で働き、それにより、センサは、適切に、例えば、回転軸の中心により近くに位置付けられることが必要になることを留意すべきである。加えて、製造費用は、削減されることになり、定常状態条件は、従来の素子に比べて、より早く到達されることになる。
【0081】
本発明の別の態様では、角度センサが、より高い出力レゾリューションを可能にするために、シヌソイド周波数を増大させる。2つの90°の機械的なオフセット磁石センサの上で双極性のディスク磁石を直径方向に回転させることにより、磁石センサの出力として正弦/余弦信号ペアが生成されることになることは知られている。磁石の360°1回転は、正弦および余弦信号の1つの周期と対応することになる。360°1回転にわたって、シヌソイドの周波数を増大させることによって、より高い出力レゾリューションが角度検知において達成される。
【0082】
上述したように、角度検知用途のための正弦/余弦信号のペアは、直径方向に回転する双極性のディスク磁石の中心周りで90°の機械的オフセットに、2つの磁気センサを配置することによって生成可能である。直径方向の双極性ディスク磁石の中心周りで90°の機械的オフセットに、2つのHallプレートを配置することにより、正弦/余弦信号ペアが生成される。
【0083】
これらの2つのシヌソイドが、式1において上述されたアルゴリズムなど、角度検知アルゴリズムに、入力として使用される場合、出力は、
図10に示されるように現れる。出力の最大角度誤差は、以下のように式21において計算され、
【0085】
ただし、θ
EXPECTED(θ)は、所与の角度θにおける期待角度出力であり、V
OUT(θ)は、所与の角度θにおける磁気センサの期待出力電圧であり、V
OFFSETは、出力電圧のオフセットであり、V
FULL_SCALEは、出力電圧の最大電圧範囲であり、θ
RANGEは、出力電圧ランプの角度範囲である。正弦信号600および余弦信号602は、出力電圧V
OUT(θ)604と共に示されている。
【0086】
誤差は出力θ
RANGEの角度範囲の関数であることが式21から測定される。他の変数が固定されたままでありながら、θ
RANGEが減少する場合、最大角度誤差(V
ERROR_MAX)は抑えられることが可能である。
【0087】
磁石の360°1回転にわたって、シヌソイドの周波数を増大させることによって、θ
RANGEを減少させることが可能である。例えば、環状磁石が直径方向の双極性ディスク磁石の代わりに使用される場合、より多くのシヌソイドが単一の回転において生成可能である。例えば、3つの極ペアの磁石が使用される場合、シヌソイドの周波数は、
図11に示されるように、3の係数だけ増加し、そのため、θ
RANGEは、
図12に示されるように、3の係数だけ減少する。θ
RANGEが所与の係数だけ減少する場合、V
ERROR_MAXは、同じ係数だけ減少することになる。
図11Aは、複数極の「ドーナツ」磁石を示す代替の実施形態を示している。磁化は、半径方向に、中心から外に向かう。
【0088】
図11の構成では、第1のセンサ650および第2のセンサ652が、奇数の極、すなわち、3つの極を有する環状磁石654上で90度だけオフセットされる。
図12は、
図11の構成についての信号をグラフに示している。正弦信号656、余弦信号658および出力V
OUT信号660が、θ
RANGE662およびV
OFFSET664と共に示されている。
【0089】
誤差の減少が、以下の式22および式23の計算に示されている。
【0091】
環状磁石によりシヌソイドの周波数を増加させることが、任意の数の極ペアの組合せに適用可能であることは理解される。所与の環状磁石が、同じsin(θ)およびcos(θ)の信号を生成するいくつかの異なった可能なセンサの配置を有することは可能であることに留意されたい。例示的な実施形態は、環状磁石を有するように示され、説明されているが、他の適切な素子を使用して波形を生成することも可能であることは理解される。
【0092】
図13および14は、2つの極ペアを有する環状磁石について例示的な磁気センサの配置を示している。
図13は、第1および第2の極ペアを有する環状磁石700を示している。第1のセンサ702が、北/南の交点に配置され、第2のセンサ704が、約45度で分割するために隣接した南極内に配置されている。
図14は、北/南極の交点に第1のセンサ752と、約135度で分割するために隣接していない南極内に第2のセンサとを有する環状磁石750を示している。分かるように、結果的に生じる正弦および余弦信号は、両方の構成について同じである。
【0093】
上述したように、領域表示ビットを使用して、シヌソイド入力の単一の周期にわたって、2つの隣接した出力ランプを区別することが可能である。
【0094】
複数極の実施形態では、領域表示ビットを使用して、環状磁石の360度の回転全体にわたって、複数の出力ランプを区別することが可能である。領域表示ビットをカウンタへの入力として使用することにより、磁石の動作の角度領域を決定することが可能である。カウンタは、領域すべてを循環した後で、ゼロに戻ってリセットすることが可能である。この手法は、素子が、知られている角度領域(例えば、「磁石」についての4つの領域の磁化の場合では、0〜90°)から開始する限り機能することになり、磁石は、一方の方向に回転する。磁石が両方の方向に回転する場合は、方向検出アルゴリズムと併用してアップ/ダウンのカウンタを使用して、動作の領域を決定することが可能である。しかし、素子は、知られている角度領域から開始しなくてはならない。
【0095】
式25によって与えられる角度領域に及ぶそれぞれのランプにより、以下の式24を使用して、環状磁石によって生成される出力ランプの数(すなわち、区別可能な領域の数)を計算することが可能である。
領域の数=2×(ペアの極の数) 式24
θ
RANGE=360°磁石回転/領域の数
例えば、式24を使用して、2つの極ペアを有する環状磁石が、磁石の1つの完全な回転全体にわたって、4つの出力ランプに対応することを計算できる。ビットのそれぞれの変化は、90°の領域の変化と対応することになる(式25から)。動作の領域は、以下の表1に示されているように、区別可能になる。
【0097】
図15に示されているように、領域表示ビットにより、シヌソイド信号の1つの周期にわたって生成される第1のランプ802および第2のランプ804が区別される。領域表示ビットがカウンタに入力として送られる場合、カウンタを使用して、磁石の360°の回転全体にわたって、動作の4つの90°の領域を区別することが可能である。
【0098】
例示的な実施形態は、Hall効果センサの使用を論じているが、他のタイプの磁界センサもまた、Hall要素の代わりに、またはその要素との組み合わせで使用可能であることは、当業者には明らかであろう。例えば、素子は、異方性磁気抵抗(AMR)センサおよび/または巨大磁気抵抗(GMR)センサを使用することが可能になる。GMRセンサの場合では、GMR要素は、複数の材料の積重ね、例えば、線形スピンバルブからなるセンサ、トンネル磁気抵抗(TMR)センサ、または超巨大磁気抵抗(CMR)センサの領域をカバーするように意図されている。他の実施形態では、センサは、軟質磁性要素の回転、および/または標的を検知するために、バックバイアス磁石を含む。
【0099】
本発明の別の態様では、Hall要素全体にわたって、単一の極の磁石を回転させることによって生成されるシヌソイド信号の周波数を増大させるために必要である信号処理回路が、磁気センサからの出力電圧を処理し、式1で上述したものなど、角度検知アルゴリズムに適用される場合は、より優れたレゾリューションを得るのに使用可能なより大きな周波数の信号を生成する。
【0100】
上述したように、正弦および余弦入力からの線形出力は、2つの個別のHall要素全体にわたって、単一の双極磁石を回転させることによって生成可能である。線形化された信号により、出力におけるy電圧の変化は、x度の回転に直接、対応する。つまり、本発明の例示的な実施形態により、入力シヌソイドの周波数を増大させることにより、360°の周期にわたって、線形出力ランプの数を増大させることによって、出力レゾリューションが増大する。
【0101】
以下の三角法の倍角恒等式を使用して、入力シヌソイドの周波数を増大させることが数学的に可能である。
【0102】
sin(2θ)=2sin(θ)cos(θ) 式26
cos(2θ)=cos
2(θ)−sin
2(θ) 式27
式26および27によって生成される倍加された周波数信号が、式1の角度検知機構に、入力として送信される場合、出力は、360°の回転全体にわたって、4つの線形ランプを有することになる。この線形ランプの倍加により、角度検知の全体的レゾリューションの倍加がもたらされる。
【0103】
出力は、0〜90°、90°〜180°、180°〜270°および270°〜360°の間の4つのランプを区別するために復号される。復号は、例えば、以下の表1に示されるように、4つのビットを使用して行われることが可能になる。表1は、各出力ランプの動作の領域を区別するための復号ビットを示す。
【0105】
例示的な実施形態では、復号ビット1が以下に示されるように、生成可能である。
【0107】
sin(θ+22.5°)>オフセットならば
Bit1=LOW
そうでなければ
Bit1=HIGH
ただし、オフセットは、数学的ゼロ(例えば、アース)に対するシヌソイド信号の垂直オフセットである。復号ビット1を決定する際の複雑性は、様々な角度検知相互関係の出力における−45°の位相シフトの結果であることに留意されたい。−45°の位相シフトを変えることは可能であり、したがって、式1に示されているものとは異なるアルゴリズム形態を使用することによって、比較工程が単純化される。
【0108】
先の表1における復号ビット2についての信号を生成するために、以下の相互関係が利用可能である。
−sin(2θ)>cos(2θ)ならば
Bit2=LOW
そうでなければ
Bit2=HIGHである。
【0109】
図16は、復号ビット1、1001についての出力1000に関するタイミング図を示し、
図17は、復号ビット2、1002についてのタイミング図を示している。
【0110】
図18は、上述した角度検知機構の例示的な概略実装部1010を示している。回路1010は、正弦入力1012および余弦入力1014を含む。領域回路1016が復号ビット1を生成する。代数回路1018が式26および27を実施して、sin(2θ)およびcos(2θ)を
図5に示される回路などの角度検知回路1020に供給する。代数回路1018は、2と、sin
2(θ)が減じられるcos
2(θ)とによって乗じられるコンポーネント信号sin(θ)およびcos(θ)を生成する。
【0111】
図19は、
図18の回路についてシミュレーションされた出力1044を示している。シミュレーションされた入力正弦信号1040および入力余弦信号1042は、周波数が1kHzである。レゾリューションを上げるために周波数を増大させることは、入力信号の任意の分数により達成可能であることに留意されたい。例えば、
【0114】
出力における線形ランプの数は、入力の周波数に比例し、すなわち、例えば、式28および29を使用すると、3つの線形出力ランプがあることになる。復号回路は、線形ランプのそれぞれについて動作の領域を区別することが可能である。
【0115】
本発明の別の態様では、角度検知出力が第2の信号と補完可能である非線形の波形を有し、それにより、2つの信号の平均が、高い程度の線形性を有することになる。
【0118】
ただし、出力(output)はセンサ出力であり、Aは生成される正弦および余弦信号の振幅であり、オフセットはアースに対するシヌソイド信号の垂直オフセットであり、kは任意の実数である。波形が領域内で反転されて、360度全体にわたって同一程度の線形性を達成する場合(式4を参照のこと)、−sin(θ)>cos(θ)ならば、マイナス記号が加えられる。式1に関して代数操作を行うことにより、それは、以下の式30に示されるその線形特性を妨げることなく、より単純な数学的形態で表されることが可能であるということが明らかになる。
【0120】
ただし、出力(output)はセンサ出力であり、Aは生成される正弦および余弦信号の振幅であり、オフセット(offset)は、アースに対する余弦の垂直オフセットである。マイナス記号は、cos(θ)<0ならば、加えられる。式1および30の出力は、正確に線形でないが、入力シヌソイドの1つの周期が磁石の360度1回転と対応すると仮定すると、理論上の最高条件の最大誤差が±0.33度であることを思い出されたい。
【0121】
非線形の波形を生成する式30におけるオフセットの値について、値を選択することも可能である。その場合、第1の波形に補完的な非線形性を有する第2の波形を生成することが可能である。一実施形態では、これは、以下の式31に示されるように、式30のわずかに修正されたバージョンを使用することによって行われる。第1および第2の波形の平均は、式30だけの最高条件の誤差より高い程度の線形性を有することが可能である。
【0122】
上述の式30および以下の式31を考慮されたい。
【0124】
ただし、kはスケーリング係数である。Aおよびオフセット(offset)は、両方の式について同一の値を有することに留意されたい。k=0.309およびオフセット(offset)=1.02Aの値を選択することにより、
図20に示される波形が生成される。式30の出力1100および式31の出力1102は、2つの波形の平均がより高い程度の線形性を有するように、それらのそれぞれの非線形性は相互補完的であることを示している。結果的に生じる出力は、先に選択されたオフセットおよびkの値についての最高条件の最大誤差が0.029度である。
【0125】
波形1100、1102を平均化することにより、最高条件の最大誤差が0.029°である出力が生じる。これは、発明的である補完的な波形を平均化しないのと比べて、1けた小さい。
【0126】
最終出力(output)は、以下の式32によって説明され、
【0128】
ただし、Aは正弦および余弦の振幅であり、オフセット(offset)は余弦のオフセットであり、kはスケーリング係数である。反転(すなわち、マイナス記号)は、cos(θ)<0のとき、加えられる。添付の
図21は、回路における式32の例示的な実装部を示している。
【0129】
ここに説明されている同じ平均化の技術は、式33に示されるように、種々のオフセットを有する式30によって生成される2つの波形に関して行われることが可能になることに留意されたい。
【0131】
例えば、offset1=1.36およびoffset2=4.76ならば、式33の出力(output)は誤差が約±0.15°であることになる。
【0132】
本発明の別の態様では、回路が、2つの磁気センサと、2つのセンサ出力から導かれる第3のシヌソイド信号を生成するために必要な信号処理回路とを集積化する。3つの信号を使用して、シヌソイド信号のうちの2つの間の位相差が、トリミングされる。2つのシヌソイド信号間の位相差をトリミングすることにより、角度検知、歯車検知および他の用途に有利になることが可能である。この機能は、
最終的なセンサ取付け中に、配置公差が形成されること(すなわち、角度センサに対するディスク磁石の位置ずれ)、
単一の基板上に存在しない2つのHallまたはMRセンサの相対的配置に影響を及ぼす配置公差が形成されること、
の結果として、センサの位置ずれをトリミングする場合に、特に有利である。これは、シリコン信号処理ダイが2つ以上のGaAsのHallプレートまたはMR(磁気抵抗センサ)と相互作用する場合に有利になる。
【0133】
角度検知用途に必要な正弦/余弦信号のペアを生成するための従来の手法は、回転磁石の中心の周りに90°の機械的オフセットにおいて、2つのHallプレートを配置することである。この手法の弱点は、Hallプレートの90°の機械的オフセットにおけるいずれの位置ずれにより、正弦信号と余弦信号との間の位相誤差が生じることである。機械的な位置ずれの一次的原因は、素子パッケージの上に磁石を正確に位置合わせする能力がエンドユーザにないことによってもたらされる。例えば、5ミルの磁石配置の位置ずれにより、約±8.33°までの位相誤差が生じる可能性がある。このような位相誤差は、逆正接アルゴリズムについて、約±8°の角度誤差に変換する。位相誤差は、角度検知アルゴリズムにおける誤差の主要な原因のうちの1つである。
【0134】
本発明の例示的な実施形態により、Hall/MR生成の正弦/余弦信号ペア間の位相差は、以下に詳細に説明されるように、トリミングされる。このトリミングは、cos(θ)が90度のオフセットセンサを使用して構成される場合、実施することが困難になる可能性があることに留意されたい。
【0135】
式34、35および36における相互関係を利用して、本発明の例示的な実施形態によりトリミングを行うことが可能である。
Csin(θ+γ)=Asin(θ+α)+Bsin(θ+β) 式34
【0137】
ただし、A、BおよびCは、それらのそれぞれのシヌソイドの利得であり、α、β、γは、それらの位相である。cos(θ)を構成するための例示的な技術が、以下に説明される。
【0138】
図22に示されるように、最初に、第1のHall信号S
1および第2のHall信号S
2が、Hall要素1200、1202それぞれによって生成される。仮にS
1=Asin(θ)とし、ただし、Aはある任意利得である。Asin(θ)は参照信号であり、そのため、それと関連する位相誤差を有していないと仮定されることに留意されたい。仮にS
2=Asin(θ+β)とし、ただし、90°<β<180°である。例えば、A=1およびβ=125°ならば、S
1=sin(θ)およびS
2=sin(θ+125°)である。S
1に対する機械的位相オフセットにおいて第2のHallを配置することによって、S
2を生成されたい。
【0139】
2つの生成される信号は、以下の式37、38および39を使用して、余弦と関連し合うことが可能である。
Ccos(θ)=Asin(θ)+GAsin(θ+β) 式37
【0141】
ただし、Gは利得率であり、Cは結果的に生じる余弦信号の振幅である。
【0142】
第2の信号S
2は、Gによって得られることが可能である。β=125°である場合、G=1.74であることが計算可能である(式38)。結果的に、
図23に示されるように、S
2=1.74sin(θ+125°)になる。
【0143】
次に、仮にS
3=S
1+S
2とする。式37が示すように、S
3=Ccos(θ)であり、ただし、Cは式39を使用して計算可能である。例では、
図24に示されるように、C=1.43であるので、S
3=1.43cos(θ)であり、ただし、Asin(θ)およびGAsin(θ+β)は、Ccos(θ)を得るために加えられる。
【0144】
次いで、第3の信号S
3は減衰し、それにより、その振幅は、第1の信号S
1の振幅と一致する。これにより、
図25に示されるように、S
1=sin(θ)およびS
3=cos(θ)が生成される。
【0145】
上述したように、位相シフトされた余弦信号を構成した後、余弦の位相は、トリミング可能である。余弦は、2つの機械的にオフセットされたHall要素全体にわたって磁石を回転させることから生成される信号を加えることによって構成された。S
1(Asin(θ)に等しい)は、参照信号であるので、それと関連する位相誤差を有していないと仮定されたい。S
3の位相は、S
2の位相βおよびS
2の利得率Gの両方によって決定される。S
3=Csin(θ+γ)であり、ただし、γは、以下の式40に示される。
【0147】
Csin(θ+90°)=Ccos(θ)であるので、γは90°に等しいと理想的である。
【0148】
S
2は、磁石の位置ずれにより、位相誤差を有する可能性があり、その位相誤差は、S
3の位相に直接、影響を及ぼすことになることは知られている。しかし、以下の実施例に示されるように、S
2の利得を調整することによって、S
3の位相の誤差をトリミングすることが可能である。
【実施例】
【0149】
以下の信号を生成することが期待されると仮定されたい。
【0150】
S
1=sin(θ)
S
2=Gsin(θ+125°)=1.74sin(θ+125°)
S
3=Csin(θ+90°)=1.43sin(θ+90°)=1.43cos(θ)
しかし、磁石の位置ずれにより、以下が生じる。
【0151】
S
1=sin(θ)
S
2=1.74sin(θ+115°)
S
3=2.14sin(θ+80.54°)
S
3の位相は、S
2の利得を変えることによって「固定」可能である。G=1.74である代わりに、仮にG=2.37とする。これにより、S
2=2.37sin(θ+115°)およびS
3=2.14sin(θ+90°)になる。
【0152】
図26は、S
1に対するS
2の機械的なオフセットであるβのいくつかの選択について、利得率Gがいかに出力位相γに影響を及ぼすかを示している。出力曲線がおよそ90°で急勾配であればあるほど、利得率Gを変えることによって、γを微調整することは容易になる。つまり、およそ90°でより急勾配な曲線の場合、利得誤差は、最終出力角度にほとんど影響を及ぼさない。これは、以下の表Iで計算され、その表は、90°位相シフトされた信号を構成する能力に関して入力位相βの効果を要約している。以下の表1は、入力位相βが減少すると、角度解像度が増加する。利得率Gは角度解像度が±1%の範囲内で達成できると仮定して計算されている。
【0153】
【表3】
【0154】
実際の適用では、βについての最良の選択は、恐らく115°である。β<±10°と仮定すると、余弦位相の最悪の場合の正確性は、±0.44°になる。次のステップは、Cの利得を調節することであり、それにより、それはAと一致するようになる。構成余弦のこの数学的工程は、
図27における例示的な回路に実装される。余弦信号は、2つの入力Hall信号、Asin(θ)およびAGsin(θ+β)から生成される。βにおける位相の位置ずれについて調整するために、利得ステージは、調節されなくてはならない。本実施例では、A=0.5V、G=2.366およびβ=115°と仮定されている。
【0155】
余弦位相をトリミングするために使用される同じ技術が、正弦位相をトリミングすることに適用可能である。より具体的には、式39を配列し直すことにより、式41における結果がもたらされる。
S
1=S
3−S
2 または
Asin(θ)=Ccos(θ)−GAsin(θ+β) 式41
Asin(θ)を位相シフトするために、S
2の出力に、別の利得ステージが加えられ、その場合、式41が適用可能である。以下を考慮されたい。
S
4=XS
2
YAsin(θ+α)=Ccos(θ)−XGAsin(θ+β) 式42
ただし、XおよびYは利得率であり、αはシフトされた角度である。これらの変数は、余弦について、先に確かめられた同じ原理を使用して計算可能である。
図28は、Asin(θ)の位相調節が、いかにして
図27の余弦構成回路に加えられ得るかを示している。
【0156】
本発明の別の態様では、シヌソイドであることが可能である単一の波形を使用して、対応する余弦信号を生成する。当技術分野で知られているように、角度検知回路を開発する際の1つの障害は、先の状況を記憶することに依存することなく、シヌソイド入力を線形化することである。上述したように、線形出力が、2つのシヌソイド入力から生成可能であり、例えば、正弦および余弦信号は、2つの空間的に位相シフトされたHall要素全体にわたって、単一極の磁石を回転させることから生成される。本発明の例示的な実施形態では、三角法の恒等式は、その対応する余弦信号を構成するために、単一のシヌソイド入力に適用される。一実施形態では、入力シヌソイドに対応する三角波が、生成される。この三角波の生成には、先の状況をまったく記憶する必要がない。
【0157】
三角法の恒等式、sin
2(θ)+cos
2(θ)=1の利点を利用すると、式42に示されるように記されることが可能であり、
A
2sin
2(θ)+A
2cos
2(θ)=A
2 式42
ただし、Aは利得率であり、θは角度位置であり、cos(θ)の絶対値が求められる。式42を配列し直すことにより、式43の結果がもたらされ、
【0158】
【数36】
【0159】
修正されたcos(θ)が生成される。この恒等式における2乗項は、すべての値を正にするので、正確なcos(θ)信号が直接、計算されることは不可能である。正確なcos(θ)を計算するためには、適切なポイントにおいて修正された信号を反転することになる表示ビットが必要である。
【0160】
先に示されたように、線形出力が、修正されたシヌソイド信号を使用して計算可能である。シヌソイド入力が、その対応する余弦信号を構成することによって、線形化可能である。最初に、シヌソイド入力Asin(θ)が、
図29に示されるように、生成される。シヌソイドは、形態A
2sin
2(θ)を有するために、
図30に示されるように操作される。次いで、|Acos(θ)|が、
図31に示されるように計算可能である。次のステップにより、式44および45における法則に従うように、定数Gによって、Asin(θ)および|Acos(θ)|が得られる。
【0161】
図33に示されるように、反転「ケイン型」波形は、GAsin(θ)をG|Acos(θ)|に加えることによって生成される。ケイン型波形は、追加の動作により、√2の係数によって、GAsin(θ)およびG|Acos(θ)|より大きくなる。
図34に示されているように、したがって、「ケイン型」波形は、出力利得およびオフセットにおいてトリミング可能である出力を修正されたG|Acos(q)|によって分割可能である。出力波形は、元のシヌソイドのピークおよび谷と対応する。
【0162】
例示的な実施形態における最適な結果では、式44および45における相互関係が正確でなくてはならなく、
GA=0.596(オフセット) 式44
オフセット≠0 式45
ただし、Gは上述した利得率であり、オフセットは数学的ゼロ(例えば、アース)に対してシヌソイド信号の垂直オフセットである。誤差原因がない理想的な場合では、最小非線形性は、0.328°である。シヌソイドを線形化するためのこの手順は、
図35に示されている例示的な回路などの回路に実装可能である。回路の出力は、入力シヌソイド1300および三角形の出力1302について、
図36のシミュレーションされた結果に示されている。この実施例の場合、入力シヌソイドは、周波数が1kHzである。
【0163】
このアルゴリズムを360度の角度検知用途に利用するために、出力のマイナスに傾斜した部分を識別する方法が必要である。しかし、これは、180度のセンサには必要にならない。この識別は、マイナスに傾斜した部分を反転し、0〜180°の領域を180°〜360°の領域と区別することになる表示ビットの形態であることが可能である。この表示ビットは、磁界の極性、すなわち、北または南を識別するために使用される追加の磁界センサの形態をとることが可能である。この表示ビットがなければ、アルゴリズムは、0〜180°の領域しか可能にならない。出力は、出力の位相が−45°の位相シフトではなく、−90°の位相シフトを有する式1の機構とは異なることに留意されたい。式1の実施形態についての位相シフトは、0°を出力が最小値にあるポイントであると考えられる。
【0164】
本発明の別の態様では、入力シヌソイドの利得およびオフセットは、最終出力誤差を抑えるために制御される。自動利得制御部(AGC)および自動オフセット調整部(AOA)が上述した角度検知の実施形態に適用可能である。例えば、一実施形態はオフセット調整DAC(デジタル・アナログ)と、電流DACから入力電流を受け入れる利得セルトランスコンダクタとを使用して、増幅器の利得を制御する。本明細書に引用して援用する米国特許第7,026,808号、米国特許第6,919,720号および米国特許第6,815,944号は、例示的なAGC回路を示し、本明細書に引用して援用する2006年4月17日に出願された米国特許出願第11/405,265号には、例示的なAOA実施形態が開示されている。
【0165】
別の実施形態では、利得制御部を有する回路は、入力がA
1sin(θ)およびA
2cos(θ)であるという事実に依存し、ただし、A
1およびA
2は、信号の利得値である。信号が一致した利得を有すると仮定される場合(すなわち、A
1=A
2=A)、実際の利得Aを求めるために三角法の恒等式
【0166】
【数37】
【0167】
を回路内に実施可能である。ある係数Aによって、シヌソイドをスケーリングすることにより(ただし、Aは、先の式を使用して計算される)、空隙変位による変動にかかわらず、最終的な一定利得がもたらされることになる。利得制御のこの方法は、ゼロオフセットと、一致した利得とを有する信号には効果的であり、それは、他のAGC法と併用して使用可能である。
【0168】
利得およびオフセットが、例えば、回線検査の終了時に、および/または顧客の最終検査時にトリミング可能であることは理解される。また、素子の起動時にも調整可能であり、または、運転モード中に動的に変更することも可能である。
【0169】
利得およびオフセットの動的な調整が、動作中に求められる場合、素子は調整モードを有効または無効にする較正ピンを有することが可能である。このピンはまた、AGCおよびAOA補正が出力に与えられる更新速度を制御することも可能になる。更新周波数は、タイミング機構によって制御可能になり、またはアルゴリズムの最終出力ランプの低下端遷移と対応することが可能になる。
【0170】
図37および38は、タイミング機構を介して、運転モード中にAGCおよびAOAの速度を制御するための例示的な技術を示している。較正ピンCAL上の外部コンデンサCが、中央ノードを充電する。コンデンサC上の電圧がV
REFに達すると、比較器COが作動し、コンデンサは放電する。比較器COの出力は、瞬間的に高く振動することになる。AOAおよびAGCの補正は、比較器が高く振動するときはいつでも更新可能である。異なるサイズのコンデンサを選択することにより、比較器の振動の速度を制御することが可能である。CALピンをLOWに結合することにより、動的な更新モードが遮断されることになる。
【0171】
当業者は、上述された実施形態に基づいた本発明の別の特徴および利点を認識するであろう。したがって、本発明は、添付の特許請求の範囲によって示される場合を除いて、具体的に示され、説明されてきたことによって限定されるべきではない。本明細書に述べられたすべての公報および参考文献は、全体的に本明細書に引用して明示的に援用する。