(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5676716
(24)【登録日】2015年1月9日
(45)【発行日】2015年2月25日
(54)【発明の名称】2端子線形センサ
(51)【国際特許分類】
G01R 33/02 20060101AFI20150205BHJP
G01R 33/07 20060101ALI20150205BHJP
G01R 33/09 20060101ALI20150205BHJP
【FI】
G01R33/02 Z
G01R33/06 H
G01R33/06 R
【請求項の数】9
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2013-200782(P2013-200782)
(22)【出願日】2013年9月27日
(62)【分割の表示】特願2010-549702(P2010-549702)の分割
【原出願日】2009年2月19日
(65)【公開番号】特開2013-253994(P2013-253994A)
(43)【公開日】2013年12月19日
【審査請求日】2013年9月27日
(31)【優先権主張番号】12/043,464
(32)【優先日】2008年3月6日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】501105602
【氏名又は名称】アレグロ・マイクロシステムズ・エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100140109
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 新次郎
(74)【代理人】
【識別番号】100075270
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 泰
(74)【代理人】
【識別番号】100101373
【弁理士】
【氏名又は名称】竹内 茂雄
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100107696
【弁理士】
【氏名又は名称】西山 文俊
(72)【発明者】
【氏名】ドゥーグ,マイケル・シー
(72)【発明者】
【氏名】ラマール,ジョナサン
(72)【発明者】
【氏名】トーマス,モニカ・ジェイ
【審査官】
岡田 卓弥
(56)【参考文献】
【文献】
米国特許出願公開第2007/0241423(US,A1)
【文献】
特開2006−98171(JP,A)
【文献】
特開2006−10370(JP,A)
【文献】
特開平10−188751(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01R33/00−33/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一方は電源端子そして他方は接地端子である2つだけの端子を有する集積回路を含む線形磁場センサと、前記線形磁場センサにより検出された磁場に比例する電流は前記電源端子と前記接地端子の少なくともひとつにより供給され、
前記線形磁場センサに接続され、前記線形磁場センサによって供給される前記電流を測定するために使用可能である電流検知デバイスと、
を含む回路。
【請求項2】
前記電流検知デバイスは前記電源端子と電源との間に接続される、請求項1に記載の回路。
【請求項3】
前記線形磁場センサは、電圧制御電流シンクとして動作可能である電圧制御電流生成デバイスを含む、請求項2に記載の回路。
【請求項4】
前記電流検知デバイスは前記接地端子と接地との間に接続される、請求項1に記載の回路。
【請求項5】
前記線形磁場センサは、電圧制御電流ソースとして動作可能である電圧制御電流生成デバイスを含む、請求項4に記載の回路。
【請求項6】
前記電流検知デバイスは抵抗器を含む、請求項1に記載の回路。
【請求項7】
前記線形磁場センサは、前記磁場を検知するためにホール効果素子を含む、請求項1に記載の回路。
【請求項8】
前記線形磁場センサは、前記磁場を検知するために磁気抵抗効果素子を含む、請求項1に記載の回路。
【請求項9】
検知した磁場に比例する電流を生成するための線形磁場センサを使用するステップと、
前記電流を測定するステップと、を含み、
前記線形磁場センサは電源端子および接地端子を含む2つだけの端子を有する集積回路を含み、前記電流は前記電源端子と前記接地端子の少なくともひとつにより供給される、
方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に磁場センサ、特に線形磁場センサに関する。
【背景技術】
【0002】
磁場に比例する出力電圧信号を発生する磁場センサは周知である。今日まで、このような従来型の線形磁場センサは、電源接続および接地接続に加えて独立した出力接続を必要とする出力部構造を使用している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ある応用例では、各々の相互接続が、全体のコストおよびスペース必要量の増加要因になっている。低コスト・センサの応用例、例えば、自動車タコメータ、磁気作動警報システム、その他では、各々の相互接続が高いコストを象徴することがある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
一般に、一態様では、本発明は磁場センサを対象とする。磁場センサは、磁場を検知し、検知した磁場に比例する電圧を生成する線形磁場センサを含む。磁場センサは、電源端子と接地端子とを含む2端子だけを有するインターフェースをさらに含む。インターフェースは、2つの端子間に接続されるとともに、検知した磁場に比例する電流を供給するように電圧によって制御可能な電圧制御電流生成デバイスを含む。
【0005】
本発明の実施形態は、下記の特徴のうちの1つまたは複数を含むことができる。線形磁場センサは、磁場を検知するためにホール効果素子または磁気抵抗効果(MR)素子を含むことができる。電圧制御電流生成デバイスは、電源端子が外部電流検知デバイスに接続されているときには、電流シンクとして動作可能であり、あるいは、接地端子が外部電流検知デバイスに接続されているときには、電流ソースとして動作可能である。電圧制御電流生成デバイスは、トランジスタに結合された演算増幅器を含むことができる。線形磁場センサおよびインターフェースを1個の集積回路に実装することができる。
【0006】
もう1つの態様では、本発明は、線形磁場センサおよび電流検知デバイスを含む回路を対象とする。線形磁場センサは、電源端子と接地端子の2端子だけを有する集積回路を含む。線形磁場センサに接続された電流検知デバイスは、線形磁場センサによって検知された磁場に比例する電流を測定するために使用可能である。
【0007】
本発明の上記の特徴ならびに本発明自体は、図面の下記の詳細な説明からより良く理解される。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】3端子線形磁場センサおよび、電圧制御電流生成デバイスを含む3端子から2端子へのインターフェースを含む具体例の2端子線形磁場センサを示す図である。
【
図2A】(
図1からの)2端子線形磁場センサを利用し、電圧制御電流生成デバイスが電流シンクとして動作する具体例の電流検知回路を示す図である。
【
図2B】(
図1からの)2端子線形磁場センサを利用し、電圧制御電流生成デバイスが電流ソースとして動作する具体例の電流検知回路を示す図である。
【
図3】演算増幅器およびバイポーラ接合トランジスタ(BJT)を含む(
図1からの)電圧制御電流生成デバイスの具体例の一実施態様を示す図である。
【
図4】
図1に示されたような2端子線形磁場センサにおいて使用するための3端子線形磁場センサの一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
類似の参照番号は、類似の要素を表すように使用される。
【0010】
図1を参照すると、3端子を有する変換器12を含む2端子変換器10が示されている。具体例の一実施形態では、
図1に示されたように、変換器10は、2端子線形磁場センサ(「2端子センサ10」)であり、変換器12は、3端子線形磁場センサ(「線形磁場センサ12」または簡単に「センサ12」)である。本明細書中で使用される用語「端子」は、外部電気接続を行うことができる(または行う)場所または接触点を呼ぶ。
【0011】
センサ12は、磁場を検知し、検知した磁場に比例する出力電圧を生成するように動作する。より詳しくは、出力電圧は、磁場強度の変化に比例して変化する。出力電圧(「Vout」と符号を付けられている)は、第1の端子、出力端子14に供給される。電力は、第2の端子、VCC端子16を介してセンサ12に供給される。センサ12の接地は、第3の端子、GND端子18を介して与えられる。図示されたセンサでは、VCC端子16は、電圧レギュレータ20に接続されている。したがって、VCC端子16に供給される電源電圧は、安定化された電圧である。一実施形態では、センサ12は、1個の集積回路(IC)、すなわち単一チップ電子回路として実装することができる。あるいは、電圧レギュレータ20を、センサ12構造の一部とみなすことができ、したがってセンサ12’を形成するためにこれを含めることができる。センサ12’も、同様に1個のICとして実装することができる。さらにもう1つの代替実施態様では、2端子センサ10全体を1個のICとして構成することができる。センサICでは、端子はデバイス・ピンに対応することもある。センサ12または12’が大きなICの一部である場合には、端子14、16および18は、2端子センサ10の別の回路にセンサ12または12’を接続する内部回路ノードであるはずである。これ以降、センサ12との言及は、センサ12またはセンサ12’を意味するものと受け取られる。
【0012】
さらに
図1を参照し、2端子センサ10は、また、3端子から2端子へのインターフェース22も含む。インターフェース22は、外部電源に接続するために設けられたVCC端子に対応する第1の端子24、および接地するために設けられた接地(GND)端子に対応する第2の端子26を含む。インターフェース22は、電圧制御電流ソースまたはシンク28をさらに含み、これを本明細書ではより一般的に電圧制御電流生成デバイス28と呼ぶ。電圧制御電流生成デバイス28は、接地パス30を介してGND端子26に結合され、電源パス32を介してVCC端子24に結合される。電圧制御電流生成デバイス28は、また、センサ出力線33によりセンサ12の出力端子14にも結合される。電圧制御電流生成デバイス28は、センサ出力線33上でセンサ12から出力電圧Voutを受け取る。電圧制御電流生成デバイス28は、センサ出力Voutに比例する電流を供給する。その結果、発生した電流は、検知した磁場に比例する。
【0013】
センサ12のGND端子18は、ノード36において接地パス30(したがってGND端子26)に伝送線34によって接続される。電圧レギュレータ20、またはセンサ12’は、ノード38において電源パス32に結合される。電圧レギュレータ20のような電圧レギュレータが2端子センサ10に含まれる場合には、前述したように電圧レギュレータをインターフェース22の一部またはセンサ12’の一部とみなすことができる。
【0014】
図2Aおよび
図2Bは、電流検知回路内の2端子センサ10を示す。
図2Aは、電源(「V+」と符号を付けられている)とVCC端子24との間に接続された電流検知素子42により、ハイ・サイドの電流を検知するように構成された電流検知回路40を示す。センサのGND端子26は、接地に接続される。バイパスコンデンサ44として示されるバイパスコンデンサは、2つの端子24、26間に接続されることができる。
図2Bは、センサのGND端子26と接地との間に接続された電流検知素子42により、低側の電流を検知するように構成された電流検知回路50を示す。回路50では、VCC端子24は、電源に直接接続される。やはりバイパスコンデンサ44と示されているバイパスコンデンサは、2つの端子24、26間に接続されることができる。図示されていないが、電流検知デバイス42および問題のモニタ用回路(すなわち、2端子センサ10)が、全範囲電流検知、双方向電流検知のためにスイッチにより電源および接地に接続されることが理解されるであろう。
【0015】
図1とともに
図2A〜
図2Bを参照すると、2端子センサ10の電圧制御電流生成デバイス28は、回路40(
図2A)では電流シンクとして利用され、回路50(
図2B)では電流ソースとして利用される。それゆえ、電流検知素子42を流れる電流は、(
図1の)センサ12によって検知される磁場に比例して流入または流出する。電圧制御電流生成デバイス28を通して流れる電流を表す値は、検知抵抗器を通る電流を検知することによって検知することができる。したがって、一実施形態では、
図2Bに図示したように、回路50の電流検知素子42は、検知抵抗器(「Rs」)により実装されてもよい。図示されていないが、回路40(
図2A)の回路素子42も、同様に検知抵抗器Rsにより実装されてもよい。検知抵抗器Rsは、電源から回路40の電圧制御電流生成デバイス28へ流れる電流に比例する電圧を発生するであろう。回路50の検知抵抗器Rsは、電圧制御電流生成デバイス28を通り接地へ流れる電流に比例する電圧を発生するであろう。
【0016】
図3を参照すると、一例の実施態様では、電圧制御電流生成デバイス28は、図示されたように、トランジスタのようなパスエレメント62に結合された非反転演算増幅器(すなわち、オペアンプ)60を含むように設計されることができる。パスエレメント62は、バイポーラ、JFET、MOSFET、または組み合わせであることができる。図示された例では、パスエレメント62は、バイポーラ接合トランジスタ(BJT)として示されている。オペアンプ60は、2つの入力部、(センサ12から)Voutを受け取る正入力部64と負入力部66、および1つの出力部68を有する。出力部68は、BJT62の制御端子(ベース)に結合される。トランジスタの入力端子(コレクタ)は、電源パス32に接続される。フィードバック・ループ70は、ノード72におけるトランジスタの出力端子(エミッタ)とオペアンプ60の負入力部66との間に設けられる。抵抗器(「R」)74は、ノード72とGNDパス30との間に直列に接続される。
【0017】
オペアンプ60は、磁場の強度に比例する電圧、すなわちVoutをセンサ12から受け取る。オペアンプ入力部64において電圧制御電流生成デバイス28への入力として供給されるセンサ出力Voutは、デバイス28に対する制御電圧として作用する。電流は、トランジスタ62の制御電圧の関数として、すなわち制御電圧Voutに比例してトランジスタ62を通り流れる。オペアンプ60は、電流がVout/Rに等しく留まるようにトランジスタ62のエミッタへの電流を調節する。図示されたように、負のフィードバック構成で接続されているときには、オペアンプ60は、出力68を、必要ないかなる電圧にして、入力部64と66における電圧が可能な限りほぼ等しくなるようにする。言い換えると、オペアンプ・フィードバック・ループ70は、トランジスタ62を通り流れる出力電流をVoutに比例させる。この例の実現では、2端子センサ10の伝達関数は、Vout/R*Rsによって与えられることになる。
【0018】
そこで2端子センサ10は、内部センサ12によって検知される磁場に直接比例する電流をソースしまたはシンクする。電流は、
図2A〜
図2Bに図示されたような、電流検知素子42、例えば、検知抵抗器のような電流検知素子を制御装置とともに使用し、幾つかの技術によって測定されることができる。電流検知素子が(
図2Bに示されたように)検知抵抗器であるときには、制御装置は、検知抵抗器両端の電圧を測定するために使用されるであろう。制御装置は、アプリケーション・マイクロコントローラまたはマイクロプロセッサの一部であってもよく、またはそれらに結合されてもよい。制御装置は、検知抵抗器を継続的にモニタするように構成されることができる。
【0019】
潜在的な応用例は、例えば、様々な測定および/または制御機能を実行する制御モジュールが含まれる。アプリケーション制御モジュールにおける電流検知素子、例えば、上述の検知抵抗器は、制御装置を使用するセンサ出力の解釈を許容するであろう。制御装置は、比較器のような簡単なデバイスであってもよい。ある応用例では、2端子センサ10は、数例を挙げると、電流検知、モータ制御および位置/変位検知のような任意のタイプの線形磁場検知に使用することができる。
【0020】
電流検知素子42は、制御装置の近くに置かれることができるが、2端子線形磁場センサ10は、この応用例では他の場所に置かれる。2端子線形磁場センサの使用は、3端子線形磁場センサから利用可能な同じ情報を得るために要求される相互接続の数を減少する。(例えば、ワイヤ、ケーブル、プリント回路基板トレース、または他の相互接続部品を必要とする可能性のある)相互接続の除去は、スペースを節約するとともに全体のシステム・コストを減少できる。
【0021】
図4を参照すると、(
図1の)3端子線形磁場センサ12の簡単な例が示されている。図示された例では、センサ12は、ホール効果センサである。センサ12は、少なくとも1つのホール効果検知素子を有するホール検知デバイス80、ならびに検知した信号を応用に使用可能にする各種の信号調整部品および周辺部品を含む。例えば、図に示したように、センサ12は、(チョッパ安定化のための)ダイナミック・オフセット相殺回路82、増幅器段84、フィルタ86、出力端子14において電圧信号Voutを供給する出力段88を含むことができる。センサ12は、最適化回路ブロック90によって一般的に表される、温度補償、内部ゲインおよびオフセット・トリム調節など他の特徴を含むことができる。別のホール・センサの設計が代わりに使用されることができる。ホール効果デバイスが例示されているが、内部センサ12の設計は、任意のタイプの線形磁場センサアーキテクチャに基づくことができる。このため、検知デバイスは、例えば、磁気抵抗効果(MR)素子または別のタイプの磁場検知素子(1つまたは複数)により実装されることもできる。MR素子は、異方性磁気抵抗効果(AMR)デバイス;アンピンド・サンドイッチ、反強磁性多層およびスピンバルブを含む巨大磁気抵抗効果(GMR)デバイス;磁気トンネル接合(MTJ、またスピン依存トンネリングまたは「SDT」として知られている)デバイス;そしてトンネリング磁気抵抗(TMR)デバイスを含むがこれらに限定されず、任意のタイプのMRデバイスから作られ得る。センサ12の線形磁場センサアーキテクチャは、アナログ出力信号またはその等価物(例えば、パルス幅変調信号のように、アナログ信号レベルをデジタル的に符号化している出力信号)のいずれかを供給するように設計できる。
【0022】
センサ12を「線形」センサとして説明してきたが、センサが線形挙動および/または非線形挙動を示し得ることが理解されよう。線形センサが非線形挙動する場合には、出力電圧を、センサ入力に比例するように調節することができる、すなわち、Vout14として供給される出力電圧は、「線形化」された電圧である。この線形化は、適切な信号調整、変換または他の技術により実現できる。
図4に示された例の実現では、線形化は、ブロック90によって扱われても良い。それにもかかわらず、センサ12は、検知した磁場に比例する出力電圧を生成すると言われる。代わりに、またはそれに加えて、Vout14として供給される出力電圧を、連続的な非線形出力であることを許容することを望むこともできる。
【0023】
上述の実施形態は、磁場を検知する変換器10に関するものの、上述のような2端子インターフェースを有する変換器が、同様に他のタイプの検知および測定に適用されても良い。
【0024】
本明細書において引用した参考文献は、その全体が引用によりここに組み込まれている。
【0025】
本発明の好ましい実施形態を説明してきたが、この概念を含む他の実施形態が使用できることは、当業者には明らかであろう。そこで、これらの実施形態は開示された実施形態に限定されるべきではなく、添付された特許請求の範囲の趣旨および範囲によってのみ限定されるべきである。