(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5676743
(24)【登録日】2015年1月9日
(45)【発行日】2015年2月25日
(54)【発明の名称】男性用失禁ガード
(51)【国際特許分類】
A61F 13/15 20060101AFI20150205BHJP
A61F 13/494 20060101ALI20150205BHJP
【FI】
A41B13/02 R
A41B13/02 K
【請求項の数】12
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2013-504131(P2013-504131)
(86)(22)【出願日】2010年4月14日
(65)【公表番号】特表2013-523358(P2013-523358A)
(43)【公表日】2013年6月17日
(86)【国際出願番号】EP2010054872
(87)【国際公開番号】WO2011127972
(87)【国際公開日】20111020
【審査請求日】2013年3月26日
(73)【特許権者】
【識別番号】506215320
【氏名又は名称】エスセーアー・ハイジーン・プロダクツ・アーベー
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100064908
【弁理士】
【氏名又は名称】志賀 正武
(74)【代理人】
【識別番号】100089037
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邊 隆
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(72)【発明者】
【氏名】マティアス・ボサエウス
【審査官】
一ノ瀬 薫
(56)【参考文献】
【文献】
特表平5−501976(JP,A)
【文献】
特表平5−501977(JP,A)
【文献】
米国特許第5651778(US,A)
【文献】
英国特許出願公開第2289417(GB,A)
【文献】
特表平2−501710(JP,A)
【文献】
特開2011−120711(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F 13/00
A61F 13/15 − 13/84
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1端部(4)と第2端部(5)との間で規定された長手方向の伸張を有する男性用失禁ガードであって、前記第1端部(4)で前記長手方向に対して横方向の最大幅を有し、且つ前記第2端部(5)で最小幅を有する形状を有し、
前記男性用失禁ガードは、
液体透過性の表面シート(18)と、
液体不透過性の裏面シート(19)と、
前記表面シート(18)と前記裏面シート(19)との間に位置した吸収性コア(20)であって、直線状の長手方向側縁部(24,25)を有する、吸収性コア(20)と、
前記吸収性コア(20)の各長手方向側縁部(24,25)での側部バリア(40,41)であって、各側部バリア(40,41)が、前記吸収性コア(20)の前記長手方向側縁部(24,25)の少なくとも長手方向部分を越えて延在する少なくとも前記裏面シート(19)によって形成されており、各側部バリア(40,41)が、前記吸収性コア(20)の前記各長手方向側縁部(24,25)から離れて面する外側縁部と、前記長手方向側縁部と前記外側縁部との間で少なくとも裏面シート(19)に固定した弾性部と、を有している、側部バリア(40,41)と、
を備える、男性用失禁ガードにおいて、
前記長手方向側縁部(24,25)に対して垂直な方向において、前記側部バリア(40,41)の前記弾性部(22,23)と前記吸収性コア(20)の前記各長手方向縁部(24,25)との間の距離が、前記長手方向に沿って異なり、
前記弾性部(22、23)のそれぞれは、前記弾性部(22,23)と対応する前記長手方向側縁部(24,25)の間の距離が最も大きい位置から、該距離が最も小さくなる前記第1端部(4)及び前記第2端部(5)に向けて延在することを特徴とする、男性用失禁ガード。
【請求項2】
前記側部バリア(40,41)の前記外側縁部(42,43)は、前記最大幅で又は前記最大幅内で存在することを特徴とする、請求項1に記載の男性用失禁ガード。
【請求項3】
前記弾性部(22,23)は、前記各側部バリア(40,41)の前記外側縁部の延在に実質的に従うことを特徴とする、請求項1又は2に記載の男性用失禁ガード。
【請求項4】
前記長手方向側縁部(24,25)に対して平行な方向において、前記側部バリア(40,41)の前記外側縁部(42,43)と前記吸収性コア(20)の前記各長手方向側縁部(24,25)との間の距離が、前記長手方向に沿って異なることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一項に記載の男性用失禁ガード。
【請求項5】
前記側部バリア(40,41)の前記弾性部(22、23)及び/又は前期側部バリア(40,41)の前記外側縁部(42,43)は、前記男性用失禁ガードの前記長手方向の伸張に対して略平行に延在する第1の部分(32,33)と、前記男性用失禁ガードの長手方向中心軸に向けて前記第1の部分(32,33)から延在する一部と、を有することを特徴とする、請求項1〜4のいずれか一項に記載の男性用失禁ガード。
【請求項6】
長手方向中心線上の湿潤点を中心とし、前記第1端部(4)が12時を規定し、前記第2端部(5)が6時を規定するときに、前記距離は、一方の長手方向側部で、2時30分と5時との間の位置で最も大きくなり、他方の長手方向側部で、7時と9時30分との間の位置で最も大きくなることを特徴とする、請求項1〜5のいずれか一項に記載の男性用失禁ガード。
【請求項7】
前記距離が、一方の長手方向側部で、3時と4時30分の間の位置で最も大きくなり、他方の長手方向側部で、7時と9時30分との間の位置で最も大きくなることを特徴とする、請求項6に記載の男性用失禁ガード。
【請求項8】
前記距離が、一方の長手方向側部で、2時30分と5時との間の位置で最も大きくなり、他方の長手方向側部で、7時30分と9時との間の位置で最も大きくなることを特徴とする、請求項6に記載の男性用失禁ガード。
【請求項9】
前記距離が、一方の長手方向側部で、3時と4時30分の間の位置で最も大きくなり、他方の長手方向側部で、7時30分と9時との間の位置で最も大きくなることを特徴とする、請求項6に記載の男性用失禁ガード。
【請求項10】
7
前記弾性部(22,23)は、前記吸収性コア(20)の前記長手方向側縁部(24,25)から離れて凸状に湾曲していることを特徴とする、請求項1〜9のいずれか一項に記載の男性用失禁ガード。
【請求項11】
8
前記弾性部(22,23)は、前記弾性部(22,23)と対応する前記長手方向側縁部(24,25)との間の距離が最も大きくなる位置から、その距離が最も小さくなる前記第1端部(4)及び前記第2端部(5)に向けて延在していることを特徴とする、請求項1〜10のいずれか一項に記載の男性用失禁ガード。
【請求項12】
9
前記側部バリア(40,41)は、前記裏面シート(19)及び前記表面シート(18)によって形成されることを特徴とする、請求項1〜11のいずれか一項に記載の男性用失禁ガード。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、男性用失禁ガードに関する(これ以降、男性用失禁ガードとして、失禁ガード又は単にガードとして言及する)。男性用失禁ガードは好ましくは、使い捨てとされており、すなわち、それは、一回の使用を意図される。さらに、男性用失禁ガードは好ましくは、第1端部と第2端部との間で長手方向の伸張を有する三角形状のベース形状を有し、第1端部で長手方向に対して横方向の最大幅、及び第2端部で最小幅を有する三角形状のベース形状を有するガードである。より具体的には、本願発明は、漏れを防止する、改善した側部バリアを有する男性用失禁ガードに関する。
【背景技術】
【0002】
軽い失禁、すなわち少量の尿の漏れは身体的な障害であり、該身体的な障害は、一般的に隠されており、不本意な尿漏れによって苦しんでいる人の原因となる。尿漏れの量の観点から軽い失禁として言及されるけれども、それは、影響を受けた人によって経験された不快性がささいなことであることを意味しない。さらに、該問題及びその原因が男性と女性との間で異なっていることは、周知である。前立腺の問題に苦しんでいる多くの男性はまた、軽い失禁に苦しんでいる。例えば、前立腺の手術を受けた多くの男性は、軽い失禁の問題に遭遇している。
【0003】
軽い失禁は、ほとんどの男性より女性に対してより一般的であり、女性のための失禁ガードがより知られており、選択されるべきより多くの選択肢が存在することを意味する。
【0004】
さらに、女性のために意図された失禁ガードは、女性の解剖学的構造に特徴付けられており、それは、男性の解剖学的構造に決して適していないことを意味する。それ故に、男性と女性との間の解剖学的構造における差異に起因して、且つ失禁の性質上の差異に起因して、失禁ガードは、男性使用者のために特別に設計されている。
【0005】
一のそのような失禁ガードは、請求項1の序文に規定された特徴を開示する特許文献1から周知である。そのような失禁ガードにおいて、弾性部は、シャーシを形成する裏面シート及び/又は表面シートに固定される。弾性部は、裏面シートと表面シートとの間に挟まれた吸収性コアの長手方向側縁部と、前記吸収性コアの外側に配置され、且つ少なくとも裏面シートによって形成された側部フラップ(側部バリア)の外側縁部との間に配置される。弾性部は、吸収性コアの長手方向側縁部及び側部フラップの外側縁部に対して平行に延在しており、失禁ガード及び特に吸収性コアを湾曲するために最初に事前に延伸されており、それによって、失禁ガードの形状を男性使用者の解剖学的構造に適合させている。湾曲した状態において、失禁ガードは、ボウル形状を採用する。さらに、吸収性コアの屈曲又は湾曲のために、側部フラップは、吸収性コアに関して直立するであろう。
【0006】
さらに、ボウル形状及び直立した側部フラップのために、そのような男性用失禁ガードが漏れ防止性に関して満たしているけれども、漏れは、側部フラップが直立している部分に沿ってでさえ起こる場合があることが、本願の発明者によって発見された。
【0007】
さらに、特許文献1には、高いシールバリアを提供するように、側部バリアの外側縁部と吸収性コアの側縁部との間の距離を増加させるために、吸収性コアから材料を取り除く可能性が開示されている。また、一方、材料が吸収性コアから取り除かれ、最も必要とされる領域において吸収性を減少させるので、これは欠点である。一方、バリアが高い場合でさえ、吸収性コアから材料を取り除くことは、側部バリアを、この領域において吸収性コアから離れて傾斜させ、所望と同様に陰嚢を包囲しない状態に導く場合がある。
【0008】
さらに、特許文献1の失禁ガードは、
図4bに示されるように製造される場合がある。すなわち、失禁ガードは、
図4bに指し示されるように、ウェブが流れ方向MDに延在している状態で、連続的な製造ラインで製造される。2つの連続的な失禁ガードの三角形状のベース形状の頂点は、流れ方向において、それらの中間的な距離で互いに面する。それ故に、2つの連続的な失禁ガードの面する脚部71と、流れ方向に対して平行なウェブの長手方向側縁部72との間の、流れ方向に移送される連続的なウェブの領域は、無駄な材料Wを示す。無駄な材料を最小限まで減少させることは、目的である。
【0009】
さらに、吸収性物品は、特許文献2から周知であり、その失禁ガードの中間部分における弾性部は、外側に凸状に湾曲された経路を規定しており、中間部分によって分離した失禁ガードの端部分において吸収性コアに接続される。後者の接続は、意図したボウル形状を有する失禁ガードを提供するために必要とされる一方、横方向の漏れを防止するための失禁ガードの側縁部を整列する(draw up)ためにさらに意図する。しかしながら、吸収性コアに接続される端部分における弾性部のために、失禁ガードの側縁部は、意図したように直立しない。さらに、特に、上端部分における弾性部の接続に対して、弾性部の外向きの縁部が内向きに折り曲げ、製品の機能及び快適性を制限するとの問題が存在する。この関係において、ボウル形状は、特に失禁ガードの上端部におけるボウル形状は、所望されない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】国際公開第91/07155号パンフレット
【特許文献2】国際公開第93/31164号パンフレット
【特許文献2】欧州特許第1 066 006号明細書
【特許文献2】欧州特許第1 102 678号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
上記を考慮して、横方向の漏れを防止するための改善した側部バリアを有する男性用失禁ガードであって、快適性及び吸収性を維持し、且つ製品の製造中に無駄な材料の減少を可能にする、男性用失禁ガードを提供することは、本願発明の目的である。
【課題を解決するための手段】
【0012】
この目的は、請求項1に規定された男性用失禁ガードによって解決される。特に、本願発明の実施形態は、従属請求項に規定される。
【0013】
この目的を解決するための本願発明の基本的な考えは、吸収性コアのみの(完全に)外側に弾性部を提供すること、すなわち、吸収性コアに対する接続なしに、弾性部を構成するために弾性部を提供し、それによって、弾性部と吸収性コアの長手方向側縁部との間の距離が、側部バリアが吸収性コアに対して最も高くなるように必要がある位置で最も大きくなることである。この構成は、男性用失禁ガードが第1端部の領域でボウル形状になることを防止し、それによって、快適性を改善し、同時に、吸収性コアの平坦な延長に関して側部バリアを直立させることを可能にする。さらに、この構成は、製造工程においてより多くのウェブ材料が最終的な製品で使用され、無駄な材料Wの量を減少させることを可能にする。
【0014】
それ故に、本願発明は、第1端部と第2端部との間で規定した長手方向の伸張を有する男性用失禁ガードであって、第1端部で長手方向に対して横方向の最大幅を有し、且つ第2端部で最小幅を有する形状(三角形状のベース形状)を有する、失禁ガードを示唆する。
三角形状のベース形状との用語は、丸みを帯びた角部を有する三角形状のベース形状を含んでおり、等脚台形を形成している頂点が切断された三角形状も含んでいる。さらに、非直線状の外周縁部を有する三角形状も考えられうる。
【0015】
本願請求項1発明男性用失禁ガードは、液体透過性の表面シートを備える。該表面シートは、失禁ガードの使用時に、着用者の肌と接触状態になる、又は肌に少なくとも面するシートである。液体透過性層は、不織布材料から適切に形成されてもよい。他の考えられうる材料は、穿孔したプラスチックである。特に、表面シートの材料は好ましくは、失禁ガードが着用される場合に、乾燥性及び柔軟性などの特性を示す材料から選択される。表面シートが、肌に対して炎症を起さない、且つ繰り返された湿潤の出来事においてでさえ、乾燥を維持する柔らかく、且つ織物状の表面を有することはまた、所望される。表面シートは、不織布材料、例えば、スパンボンド不織布材料、カード不織布材料、通気性不織布材料、スパンレース不織布材料(水流交絡不織布材料)、メルトブローン不織布材料、湿潤式不織布材料(wetlaid nonwoven material)、又はそれらの組み合わせ、から構成されることができる。前記不織布材料は、セルロース又はコットンなどの天然繊維、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)、ポリエステル(PET)、ポリアミド(PA)などの人工繊維、又は、それらの組み合わせのいずれかに基づいてもよい。組み合わせが使用される場合に、これは、異なる天然高分子及び/又は合成高分子からの繊維の混合物とされてもよく、各繊維が複数の高分子(例えば、ポリプロピレン/ポリエチレンの2成分繊維、又はポリプロピレン/ポリエチレンの二元重合体)を含むことができる。表面シートはまた、使用者の身体に最も近い表面を乾燥状態に維持するために、穿孔した疎水性不織布材料とされてもよい。さらに、前記穿孔した疎水性不織布材料の複数の孔は、表面シートに対する織物状の感触及び快適な感触を付与する。その様な穿孔した疎水性不織布材料における複数の孔の直径は、該材料における繊維間の距離よりも大きい。この方法において、液体は、表面シートを通じて下にある吸収性コアへ引き込まれた状態へ導くことができる。当業者は、穿孔した疎水性不織布材料における複数の孔が、製造される吸収性物品の取水性質及び種類に応じて、どのように調整される場合があるかを理解するであろう。液体透過性表面シートはまた、複数の材料層、すなわち、積層体を備えてもよい。そのような積層体はまた、例えば、第1の材料層と第2の材料層とを備えてもよい。該積層体はまた、代替的には、同一の材料、又は、穿孔したフィルム/不織布材料、穿孔したフィルム/穿孔したフィルム、不織布/不織布、穿孔した不織布/不織布、及び穿孔した不織布/穿孔した不織布の組み合わせから構成される。本願明細書において、第1の材料層が、使用者に面するように意図された層であり、且つ第2の材料層が第1の材料層の下にあることは理解される。積層体は、完全に穿孔されてもよく、又は部分的に穿孔されてもよい。すなわち、複数の孔は、第1の材料層に、第2の材料層に、又は第1の材料層及び第2の材料層の両方に形成されてもよい。失禁ガードは、失禁ガードの中央部分又は全範囲で単独で穿孔されてもよい。積層体の層は、接着剤によって互いに接合されてもよく、超音波溶着又はレーザーによって互いに溶着されてもよく、例えばエンボスの形態又は圧縮の形態で機械的な接合によって、互いに接合されてもよく、又は、例えば熱接合などのその他の適切な接合方法によって、互いに接合されてもよい。特許文献3及び特許文献4の全内容を参照すると、特許文献3及び特許文献4には、積層体のために適した適切な材料及び材料の組み合わせが開示されており、さらに、表面シートとして使用のための適切な積層体を準備するための方法が開示されている。表面シートは、再使用可能な原材料から製造されてもよい。再使用可能な原材料に基づくそのような表面シートの例は、Fiberwebから市販されているTERCOT20とされる。表面シートのために適した材料の一の好ましい例は、商品名S1800PPWでUnionから市販されている18g/m2のスパンボンド不織布材料である。
【0016】
本願の男性用失禁ガードは、液体透過性の裏面シートをさらに備える。裏面シートは、ポリエチレンフィルム又はポリプロピレンフィルムなどのプラスチックフィルム、例えば、液体不透過性材料で被覆されることができる不織布材料、又は液体貫通に対して抵抗する疎水性不織布材料、又は、プラスチックフィルムと不織布材料とを備えるラミネート、から構成されることができる。他の種類の液体バリア材料は、独立気泡プラスチックフォーム又は様々な液体バリア積層体などの液体不透過性材料として使用されることができる。裏面シートが、空気及び蒸気に対して透過可能であり、それによって、蒸気が吸収性コアから逃れることを可能にする一方、液体がそれを通じて通過することを未然に防止することは好ましい。通気可能な裏面材料の例は、多孔性高分子フィルム、スパンボンド層及びメルトブローン層からなる不織布積層体、又は、多孔性高分子フィルム及び不織布材料からなる積層体である。裏面シートはまた、再生可能な材料から製造されてもよい。そのような裏面シートの例は、ヌオーバパンサックから市販されているプラスチックフィルムであるバイオエアとされてもよく、ファイバウェブから市販されている不織布材料であるPLA/PP Bico 50/50とされる。裏面シートのための適切な材料の一の好ましい例は、商品名W14Mallで、トリオプラネックスから入手可能である25g/m2の不織布/プラスチックの積層体とされる。
【0017】
さらに、吸収性コアが表面シートと裏面シートとの間に設けられている。裏面シートの少なくとも一部は、吸収性コアの周囲を越えて延在する。さらに、好ましくは、表面シート及び裏面シートの両方の少なくとも一部が、吸収性コアの周囲及び特に長手方向側縁部を越えて延在することは、好ましい。より好ましくは、表面シート及び裏面シートの両方は、吸収性コアより平面においていくぶん大きな伸張を有しており、吸収性コアの外側縁部を越えて延在する。表面シート及び裏面シートは、その突出部分内で互いに接続されてもよい。接合は、接着剤によって、超音波又はレーザーによる溶着によって、例えばエンボスの形態又は圧縮の形態などの機械的な接合によって、又は、例えば熱的接着による他の好ましい接合方法によって、行われることができる。
【0018】
吸収性コアはさらに、直線状の長手方向側縁部を有する三角形状のベース形状を有してもよい。三角形状との用語は、男性用失禁ガードの三角形状のベース形状に対して、上記の形状と同一の形状を含む。より一般的に述べると、「三角形状」との用語は、長手方向縁部が、第2の狭い端部から第1の広い端部へ広がっている全ての形状を含む。それ故に、吸収性コアの長手方向側縁部は、非平行とされてもよい。失禁ガードの周囲縁部に反して、吸収性コアの三角形状のベース形状の辺、すなわち吸収性コアの長手方向側縁部は、直線とされる。吸収正コアは、任意の従来の種類とされてもよい。普通に存在する吸収性材料の例は、セルロースのプラップパルプ、薄織物層、高分子系吸収材(SAP)と称される高吸収性ポリマー、吸収性フォーム材料、吸収性不織布材料、又は同様のものとされる。高分子系吸収材(SAP)は、ISO17190−6「遠心分離後の生理食塩水における流体保留率の重量分析測定」に従って少なくとも10倍の重量を吸収することができる水膨脹可能な水不溶性の有機材料又は無機材料とされる。高分子系吸収材としての使用に適した有機材料は、多糖類、ポリペプチド、及び同様のものなどの天然材料、及び、合成ヒドロゲルポリマーなどの合成材料を含む。そのようなヒドロゲルポリマーは、例えば、ポリアクリル酸、ポリアクリルアミド、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸塩、ポリアクリルアミド、ポリビニルピリジン、及び同様のもののアルカリ金属塩を含む。他の適切なポリマーは、澱粉グラフト化アクニルニトリル水分解物(hydrolyzed acrylonitrile grafted starch)、澱粉グラフト化アクリル酸(acrylic acid grafted starch)、イソブチレン無水マレイン酸コポリマー(isobutylene maleic anhydride copolymers)、及び、それらの混合物を含む。ヒドロゲルポリマーは好ましくは、材料に実質的に水不溶性を付加するために軽く架橋される。好ましい高分子系吸収材は、架橋されたさらなる表面であり、それによって、超吸収粒子の外側表面又は外殻、繊維、フレーク、球体などが高分子系吸収材の内側部分より高い架橋密度(crosslink density)を有する。高分子系吸収材は、粒子、繊維、フレーク、球体、及び同様のものを含んでいる吸収性複合材料の使用のために適切な任意の形態とされてもよい。吸収性コア内でセルロースのフラップパルプを高分子系吸収材と組み合わせることは、一般的である。液体取得能力、液体分散能力、及び液体貯蔵能力に対する異なる性質を有する異なる材料の層を備えている吸収性コアを有することも、一般的である。失禁ガードにおいて一般的である薄い吸収性コアは多くの場合、セルロースのフラップパルプ及び高分子系吸収材の圧縮され、混合され、又は積層された構造を備える。例えば、吸収性コア材料は、上部吸収性コア及び下部吸収性コアを備えることができる。本願明細書で使用された「上部」との用語は、使用時に使用者に近接して位置付けられるように意図された製品の部分に関連する一方、本願明細書で使用された「下部」は、その衣類に面する表面に近接して位置付けられるように意図された製品の部分に関する。さらに、下部吸収性コアにおける高分子系吸収材(SAP)は、この層の液体貯蔵能力を増加させる主な機能を有する一方、上部吸収性コアにおけるSAPの主な機能は、この物品が使用中、外力によって圧縮される場合に、この層内に吸収された液体の再湿潤を防止することである。上部吸収性コアにおけるSAPは、下部吸収性コアで使用されるSAPと異なる種類とされてもよく、又は、下部吸収性コア内より低い割合で存在してもよい。SAPは、吸収性コアの局所化した領域において適用されてもよい。例えば、取り入れ領域、液体分配領域、及び/又は液体保持領域で適用されてもよい。当業者は、吸収性コアにおけるSAPの集中の程度が、吸収性質及び製造された吸収性物品の種類に応じて調整されてもよいことを理解しており、例えば、多い量のSAPが薄い吸収性物品を達成するために使用されてもよい一方、低い量のSAPは、軽度の失禁製品のために意図されたいくつかの衛生物品で使用されてもよい。吸収性コアのための適切な材料の一の好ましい例は、商品名Hysorb M7125で市販されているドイツのルートウィヒスハーフェンにあるBASF社からの約30%のSAPと混合したパルプである。セルロースフラッフ及びSAPの混合物は好ましくは、0.08〜0.13g/cm3の密度を有する。吸収性コアはまた、エトゥラエンソから市販されている完全無塩素フラッフパルプなどの無塩素フラッフパルプから製造されてもよい。
【0019】
吸収性コアに近接して、失禁ガードはまた、体液の迅速な輸送のための流体取得層などの他の層を備えてもよい。流体取得層は、開放型多孔性構造を有しており、流体を迅速に受け取ることができ、ある量の流体を一時的に貯蔵することができ、下にある吸収性コアに流体をさらに移動させることができる。これは、多くの場合SAPの高い含有率を有する今日の薄く圧縮された吸収性物品のために特に、重要である。今日の吸収性物品は、高い吸収能力を有するが、一方、それらはときどき、数秒の時間間隔内に排尿時に放出されることができる大量の液体を受容することを即座にうまく処理するのにあまりにも遅い受容速度を有する。流体取得層は一般的に、ポリエステル、ポリプロピレン、又はその混合物などの合成繊維をカードし(carding)、エアスルー接着し(through−air bonding)、及び穿刺することによって製造された、いわゆる高い嵩の材料である。取得層のための適切な材料は、商品名DRY WEB T 23Wを有する、LIBELTEX社から市販されている、通気性不織布材料の疎水性綿とされてもよい。
【0020】
さらに、本願発明によれば、側部バリアが、吸収性コアの長手方向側縁部のそれぞれに設けられる。側部バリアは、少なくとも裏面シート、又は少なくとも裏面シート及び表面シートによって形成されてもよい。この関連において、裏面シートの一部、又は、裏面シート及び表面シートは、側部バリアを形成するために、吸収性コアの長手方向側縁部における少なくとも長手方向部分を越えて延在する。すなわち、側部バリアは、この部分又はそれらの部分のみから構成される。
【0021】
各側部バリアは外側縁部を有しており、該外側縁部は、吸収性コアの各長手方向側縁部から離隔して面しており、且つ少なくとも裏面シートに固定される弾性部から離隔して面する。弾性部はさらに、裏面シート及び表面シートに固定されてもよい。さらに、弾性部は、吸収性コアに固定されない。さらに、弾性部は、吸収性コアに亘って配置されない。すなわち、弾性部は、吸収性コアの長手方向側縁部と側部バリアの外側縁部との間のみに配置される。事前に延伸された弾性部、好ましくは、互いに等しい長さを有する事前に延伸された弾性部は、例えば、弾性糸、弾性バンド、又は同様のものの形態とされてもよい。弾性フォーム材料の使用はまた、考慮されることができる。弾性部は、表面シート及び裏面シートのうちの1つ又は両方に接着されることができる。弾性部を衛生物品に適用する方法は、当業者に周知である。一の好ましい実施形態において、弾性部は、第1端部及び第2端部から10mm以内に配置されてもよい。弾性部は、使用者の性器を囲む盆地状の形状(ボウル状の形状)を形成するのを支援しており、それによって、失禁ガードの密接装着を維持するのを支援する。
【0022】
本願発明は、長手方向側縁部に対して垂直方向において、側部バリアの弾性部と吸収性コアの各長手方向側縁部との間の距離が、長手方向に沿って異なっていることを特徴とする。弾性部と吸収性コアの各長手方向側縁部との間の距離が最も大きくなる場合、側部バリアは、吸収性コアの側縁部に対して最も高く直立してもよく、それによって、横方向の漏れを防止する。同時に、弾性部が吸収性コアに亘って配置されない、特にこの端部の近傍で配置されないので、ボウル形状が第1端部の近傍で起こらないために、改善した快適性が得られることができる。さらに、弾性部が吸収性コアの長手方向側縁部からより遠くなる場合に、横方向におけるよく多くの材料が側部バリアを形成するために必要とされ、それによって、製造工程における無駄な材料は減少される(
図4aに対する後述の説明を参照する)。
【0023】
男性用失禁ガードが製造されるウェブ材料の幅であって、流れ方向に対して横方向、すなわち横断流れ方向である幅を増加させないために、側部バリアの外側縁部が、失禁ガードの最大幅で、又は最大幅内にあることは、好ましい。それによって、本願の男性用失禁ガードを製造するために必要とされ、且つ特許文献2に示されるような先行技術の男性用失禁ガードと比較された材料は、第1端部での最大幅に関して同一の寸法を有する男性用失禁ガードを比較する場合に増加しない。それによって、材料のより効果的な使用が可能になる。
【0024】
本願発明によれば、弾性部は、各側部バリアの外側縁部の延在に実質的に従う。一般に、弾性部と外側縁部との間の距離は、長手方向において略一定とされる。言い換えれば、弾性部の伸張と外側縁部の伸張とが平行とされることは、好ましい。さらに、製造工程のために、その距離は、長手方向において変化してもよい。この関連において、「略」との用語は、外側縁部に対する弾性部の正確な平行の方向付けからのずれが15%以下とされる、好ましくは10%以下とされる、より好ましくは5%以下とされるとの実施形態を含む。外側縁部が波形状を有する場合に、外側縁部の延在は、その波形状ではなく近似である。
【0025】
この関連において、長手方向側縁部に対して垂直な方向において、側部バリアの外側縁部と前記吸収性コアの各長手方向側縁部との間の距離は、前記長手方向に沿って異なっていてもよい。
【0026】
単純な製造工程を維持することを可能にする本願発明の特定の実施形態によれば、側部バリアの複数の弾性部及び/又は側部バリアの外側縁部は、前記男性用失禁ガードの長手方向の伸張に対して略平行に延在する第1の部分と、前記第1の部分から、前記男性用失禁ガードの長手方向中心軸に向けて延在している第2の部分と、を有する。前記男性用失禁ガードの長手方向の伸張に対して略平行に延在している部分が、前記第1端部に位置している一方、前記長手方向の中心軸に向けて第1の部分から延在している他の部分が、前記第2端部に位置していることは、特に好ましい。それによって、連続的な製造工程において、男性用失禁ガードを前記ウェブから切断する場合に、弾性部及び/又は側部バリアの外側縁部が前記吸収性コアの長手方向側縁部に対して平行に延在している場合と同じ数の切断が必要であることは、達成されてもよい。一の実施形態によれば、第1の部分は、第1端部で、横方向側縁部の近傍から、前記吸収性コアの長手方向側縁部に対する側部バリアの外側縁部及び/又は弾性部の間の距離が最も大きくなる位置に向けて延在しており、前記第2の部分は、前記第2端部で、そこから横方向縁部の近傍に向けて延在している。
【0027】
さらに、前述したように、前記弾性部が、前記弾性部と対応する長手方向側縁部との間の距離が最も大きくなる位置から、すなわち、最も多くの横方向の漏れが予期される位置から、その距離が最も小さくなる第1端部及び第2端部に向けて延在することは、好ましい。
【0028】
さらに、弾性部が、男性用失禁ガードをボウル形状に形成するように、使用位置において、男性用失禁ガードの第1端部及び第2端部を一緒に引き付けるために第1端部から第2端部へ延在することは、本願発明によれば好ましい。
【0029】
横方向の漏れが中間部で、すなわち、製品の第1端部と第2端部との間の中間部分で実質的に予期されることは、本願の発明者によって発見された。この関連において、距離が、一の長手方向側部で、2時30分と5時との間の位置で、好ましくは、3時と4時30分との間の位置で、他の長手方向側縁部で、7時と9時30分との間の位置で、好ましくは、7時30分と9時との間の位置で、最も大きくなり、前記長手方向中心線上の湿っている点が中心にあり、第1端部が12時を規定しており、第2端部が6時を規定していることが好ましいことは、発見されている。これに関連して、湿っている点は、
図3に対して後に説明された実験によって基づいて長手方向中心線で選択される。
【0030】
これを達成するために、凸状の湾曲の頂点が、最も多くの漏れが予期される位置である状態で、弾性部が吸収性コアの長手方向側縁部から離れて凸状に湾曲されることは、好ましい。
【0031】
代替的には、弾性部は、その位置から、その距離が最も小さくなる第1端部及び第2端部に向けて広がっている。すなわち、弾性部は、2つ以上、又は2つ以下の直線状部分を有しており、該直線状部分は、所定の角度で互いに交差する。交差点は、弾性部が、その点から、その距離が最も大きくなる第1端部及び第2端部に向けて広がっている点とされる。さらに、弾性部の直線状部分が湾曲した弾性部によって接続されること、又は、複数の略直線状部分が、実質的に湾曲した弾性部を形成するために、互いに接続されることはまた、想像できる。
【0032】
本願発明のさらなる特徴及び利点は1つ又は複数の上記の特徴から別個に組み込まれてもよく、又はそれらを組み合わせて組み込まれてもよく、それらの特徴が互いに矛盾しない限り、本願発明の以下の好ましい実施形態の説明で説明される。
【0033】
この説明は、添付した図面について言及する。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【
図1】表面シート1が上方向に向けられた状態で、平坦な状態における本願発明の男性用失禁ガードの平面図である。
【
図2】ボウル形状の、
図1に示される失禁ガードの斜視図である。
【
図3】横方向の漏れの可能性を示す
図1の平面図に類似の概略的な平面図である。
【
図4a】本願発明の男性用失禁ガードの製造工程からのカットアウトを示す。
【
図4b】国際公開第91/07155に開示されたガードの製造に関する対応するカットアウトを示す図。
【発明を実施するための形態】
【0035】
以下に、本願発明の実施形態は、本願明細書に添付した図示の図面を参照してさらに詳細に記載されるであろう。
【0036】
図1及び
図2に図示されるように、男性用失禁ガード1が示されており、該男性用失禁ガード1は、液体透過性の表面シート18と、裏面シート19、好ましくは液体不透過性の裏面シート19と、それらの間に位置した吸収性コア20(
図3及び
図4)と、を備える。男性用失禁ガード1は、前記表面シート18と前記吸収性コア20との間に位置した、示されていない流体取得層をさらに備えてもよい。
【0037】
男性用失禁ガード1は身体側表面2を有しており、該身体側表面2は、失禁ガード1が着用される場合に、使用者と接触する表面とされる。失禁ガード1は衣類側表面3を有しており、該衣類側表面は、失禁ガード1が着用される場合に、使用者の衣類と接触する表面とされる。一般的に、失禁ガード1の身体側表面2は、表面シート18を備える(表面シート18から構成される)のに対して、失禁ガード1の衣類側表面3は、裏面シート19を備える(裏面シート19から構成される)。
【0038】
男性用失禁ガード1の表面シート18及び裏面シート19は、好ましくは、平面における、吸収性コア20及び取得層よりある程度大きい伸張を有しており、その縁部の外側に伸張する。表面シート18及び裏面シート19は、その突出部分内で、互いに接続される。
【0039】
本願発明の男性用失禁ガード1の幾何学的な形状に関して、男性用失禁ガードの好ましい形状は、例えば
図1に図示される。図式的に図示されるように、男性用失禁ガード1は、使用者の前方に位置するように意図された前方横方向縁部(第1端部)4と、使用者の後方に位置するように意図された後方横方向縁部(第2端部)5と、前方横方向縁部4と後方横方向縁部5との間で延在する少なくとも2つの長手方向側縁部6、7と、を有する。失禁ガード1は好ましくは、後方横方向縁部5に向けて先細している。すなわち、前方横方向縁部4は、後方横方向縁部5より長い。先細形状は、この失禁ガード1が男性使用者の股領域で快適に装着することを可能にする。それ故に、本願発明の男性用失禁ガード1は、ボウル状に形成される場合に、使用時に三角形状のベース形状を有する略二等辺四辺形とされてもよい。本願明細書において、「二等辺四辺形」との用語は、それを自動的に台形にさせる、一対の両辺を二等分する対称線を有する四角形である。言い換えると、前方横方向縁部4及び後方横方向縁部5は、互いに略平行であり、長手方向側縁部6、7は、等しい長さである。対角線も、等しい長さである。二等辺四辺形の底角は合同である。すなわち、それは、等しいとされる対応する辺及び角度を有する。これに関連して、「略二等辺四辺形」との表現は、例えば、略二等辺四辺形の角部が丸みを帯びてもよく、又は、男性用失禁ガード1の縁部4,5,6,及び/又は7が完全に直線とされなくてもよいが、失禁ガード1が上記のように一般的な形態を有することを意味する。
他の代替的な実施形態において、失禁ガード1の幾何額的な形状は、T字形状とされてもよい。そのような実施形態によれば、長手方向側縁部6、7は、異なる方向の1つ又は複数の角度を含んでもよい。
【0040】
本願発明によれば、
図1に示されるように、長手方向の中心線の両側縁部における弾性部22、23は、吸収性コアの長手方向側縁部24、25までの所定の距離を有する。弾性部は、2つの対向する端部28、29及び30、31を有しており、一の端部28、30は、第1端部4の近傍で表面シート18及び裏面シート20に接続される一方、対向する端部29、31は、第2端部5の近傍で表面シート18及び裏面シート20に接続される。記載された実施形態において、弾性部22、23は、弾性フォーム材料によって形成されており、弾性フォーム材料は、
図3に代替的に図示して示される弾性糸又は弾性バンドに比較して、快適性を増加させる。
【0041】
それらの端部28、29及び30、31との間の弾性部22、23は、第1の部分32、33と第2の部分34、35とによって構成される。
図1に示されるように、第1の部分32、33は、長手方向中心線yに対して略平行に延在する一方、第2の部分34、35は、長手方向中心線y及び第2端部5に向けて第1の部分32、33から延在する。第1の部分32、33は第1端部4で接続され、第2の部分34、35は第2端部5で接続される。記載された実施形態において、部分32、34と33、35はそれぞれ、湾曲部分36、37によって接続された略線形の伸張を有する。湾曲部分36、37で、弾性部32、33と吸収性コアの長手方向外側縁部24、25との間の距離は、最も大きい。すなわち、この位置で、弾性部22、23の凸状に湾曲した伸張の頂点が存在する。弾性部22、23は、一片の弾性体とされてもよい。しかしながら、複数の片から弾性体を形成することはその上、想像できる。例えば、第1の部分32は1つの片とされてもよく、第2の部分34は、他の片とされてもよい。さらに、部分間で湾曲した部分36とされる必要性がないが、別個の片によって構成される場合に、部分32、34又は片は、特定の角度の下で互いに交差してもよく、部分/片は、湾曲部分36と等しいであろう交差点から広がっている。
図1に示されるように、弾性部22及び23は、側部バリア40、41の外側縁部42、43の伸張に従い、それ故に、それらの外側縁部の伸張に対して平行な伸張を有する。
【0042】
使用時の
図1の失禁ガードを示す
図2を考慮すると、弾性部22、23が、ボウル形状を提供するために、第1端部4及び第2端部5を一緒に引っ張ることは、明らかになる。この図示において、表面シート18及び裏面シート19から形成された側部バリア40、41は、湾曲した部分36の領域で最も高い。
【0043】
湾曲部分36の位置、又は言い換えれば、弾性部22、23の間の距離が吸収性コアの長手方向外側縁部24、25に対して最も大きい位置は、横方向の漏れが最も起きやすいその位置で示される実験に基づいて選択されるであろう。第1に、複数の使用された失禁ガード(テスト使用者)は、調査を受ける。この調査において、製品の吸収性コアの領域は、10mmの辺長を有する複数の四角形に変換される(
図3に示す)。次いで、使用された製品は、どの四角形が尿を含むのかを判断するために視覚的に分析される。各四角形は、その特定の四角形において尿を示した製品の数を百分率の観点から反映させる。すなわち、四角形内に尿を示した製品の多くは、高い百分率を示す。それ故に、
図3は、特定の領域における湿っている製品の可能性を反映する。その四角形内に尿を示した高い百分率の製品を有する長手方向中心線y上のその四角形は、湿潤点として選択されており、時計の中心を形成する。第1端部が12時方向を規定しており、第2端部が6時方向を規定する。
【0044】
図3に示されるように、吸収性コアの平面的な伸張に対する四角形は、その四角形内に尿を示した製品の百分率を指し示す。本願の発明者はこの実験で、吸収性コア20の外側周囲縁部での四角形の範囲外の四角形60、61、62、63が、最も高い百分率を指し示したとの結論を下した。その結果として、ほとんどの場合における横方向の漏れは、吸収性コア20の長手方向側縁部24,25のこの部分に沿って生じるであろう。それによって、弾性部22、23は、それらの四角形の間で吸収性コア20の長手方向側縁部24、25から最も遠いとされるべきである。それ故に、弾性部が、
図3の右手側における2時30分と5時との間で最も遠い、好ましくは3時から4時30分の間で最も遠いことは、好ましい。また、弾性部が、
図3の左手側における最も遠い7時と9時30分との間で最も遠い、好ましくは7時30分と9時とのとの間で最も遠いことは、好ましい。
【0045】
最後に、説明は、
図1及び
図2に示されるような製品を製造する可能性のある工程に関して付与される。この関連において、連続的なウェブ70が、流れ方向Dにおいて連続的に移送されることは好ましく、ウェブ材料70が、裏面シート及び/又は表面シートを示す。製造中に、吸収性コア20は、連続的なウェブ70上に配置されており、表面シートと裏面シートとの間に封入される。それに続いて、弾性部(
図4に示されていない)は、前述されるように周知の方法によって適用される。最終段階において、最終的な製品を形成するために、製品はウェブ材料70から切断される。
【0046】
図4bに示されるように、周知の製品の対応工程を考慮すると、ウェブ70の領域Wは、切断工程後に製品の一部とはならない無駄な材料である。それらの領域は、
図4aの領域より大きい。
【0047】
それ故に、本願発明による男性用失禁ガードの製造工程における無駄な材料Wは、減少する。側部バリア40、41の外側縁部42、43の一部が長手方向に対して平行に延在するので、これは、流れ方向においてウェブ70の長手方向縁部72によって形成されてもよく、それによって、切断工程は、それらの縁部に関して要求されない。
【0048】
それ故に、製品を製造する工程はなお、先行技術と同じくらい単純であるとされているが、先行技術の製品より多くの材料を使用する。言い換えれば、所定の幅を有する材料ウェブは、それをそれらの端部のうちの1つで、同一の最大幅を有する先行技術の製品及び本願発明の製品の両方を製造するために必要とされる。この材料ウェブは、本願発明の製品及び先行技術製品のために同一である。しかしながら、多くの材料ウェブは、先行技術の製品より本願発明の製品を構成する。それ故に、本願発明は、この材料をより効率的に使用する。
【0049】
特定の実施形態の上記の説明は例示のみではなく、多くの変更は、当業者に明らかであろう。それ故に、本願発明は、上記の実施形態及び包含した図面によって制限されるべきではない。なお、保護されるべき技術範囲は、以下の特許請求の範囲によって決定される。
【符号の説明】
【0050】
1 男性用失禁ガード
2 身体側表面
3 衣類側表面
4 前方横方向縁部
5 後方横方向縁部
6、7 長手方向側縁部
18 液体透過性の表面シート
19 液体不透過性の裏面シート
20 吸収性コア
22、23 弾性部
24、25 長手方向側縁部
28、29、30、31 端部
32、33 第1の部分
34、35 第2の部分
36、37 湾曲部分
40、41 側部バリア
42、43 外側縁部
60、61、62、63 四角形
ウェブ材料長手方向縁部 MD 流れ方向
W 無駄な材料
y 長手方向中心線