(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記弾性フィルムが、トップシート、バックシート、外部カバー、カフ、サイドパネル、耳部、留め具、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される使い捨て吸収性物品の構成部品に組み込まれる、請求項1に記載の使い捨て吸収性物品。
【発明を実施するための形態】
【0009】
定義
「吸収性物品」とは、身体滲出液を吸収及び収容するデバイスを意味し、より具体的には、着用者の身体に接触して、又は近接して配置され、身体から排泄された様々な排出物を吸収及び収容するデバイスを意味する。代表的な吸収性物品としては、おむつ、トレーニングパンツ、プルオンパンツ型おむつ(すなわち、米国特許第6,120,487号に示されているような予備形成腰部開口部及び脚部開口部を有するおむつ)、再締結可能おむつ、あるいは、パンツ型おむつ、失禁用ブリーフ及び下着、おむつホルダー及びライナー、パンティーライナーなどの女性用生理衣類、吸収性挿入物などが挙げられる。
【0010】
「活性化」は、材料のX−Y平面における活性化の方向に可塑的延伸性材料が恒久的に伸長する延伸性材料の機械的な変形である。例えば、可塑化が起こるより高い歪みを材料に引き起こす応力にウェブ又はウェブの一部分がかけられたときに活性化は発生し、これは材料又は材料の一部分の完全な機械的破損を含む場合もあれば、含まない場合もある。可塑的延伸性材料に接合された弾性材料を含むラミネートの活性化によって、典型的には、可塑性材料が恒久的に変形する結果となり、その一方で弾性材料はその当初の寸法に実質的に戻る。「活性化」及びその変形は、材料を活性化プロセスに供することを意味する。
【0011】
「孔」は、フィルム作製又ラミネート作製中にフィルムに意図的に加えられる開口部を意味し、通気性などの望ましい特性を付与することを目的としている。孔の増大とは、孔に近接するフィルムの部分の機械的破損によって孔の寸法が増加するということである。
【0012】
「秤量」とは、材料の質量を材料の表面積で割って算出される材料のシート又はウェブの特性である。本明細書における秤量の単位は、グラム毎平方メートル(g/m
2)である。
【0013】
「通気性」とは、以下に記載する空気透過率試験(Air Permeability Test)において、5〜50m
3/m
2/分の空気透過率値を与えるフィルム又はラミネートを意味する。
【0014】
「コポリマー」とは、2つ以上のモノマー種から得られるポリマーを意味し、このポリマー鎖は、各々、1つを超えるモノマー種による反復単位を含む。
【0015】
「結晶融解温度」は、示差走査熱量測定によって測定され、この方法は、以下でより詳しく記載される。この融解吸熱ピーク温度は、特定の結晶集合体のT
m(ASTM D3418−08によればT
pm)と見なされる。本発明の材料は、1つ以上の融解吸熱ピークを有し得る。
【0016】
「配置される」とは、別の要素に関して、特定の場所に位置付けされることを意味する。
【0017】
「弾性」、「エラストマー性」及び「弾性的延伸性」は、所与の負荷において、破裂又は破損がない状態で少なくとも50%伸張し、負荷が取り除かれると、弾性材料又は構成部品が少なくとも80%の回復を示す(すなわち、20%未満のセットを有する)材料の性能を意味する。例えば、初期長が100mmの弾性材料は少なくとも150mm(50%伸張)まで伸張でき、力が取り除かれると長さ110mm(すなわち、10mm、つまり10%のセット)に戻ることができる。歪み、歪みパーセント、工学歪みと称されることもある伸張、延伸比、又は伸長は、回復及びセットと同様に、以下でより詳しく記載されるヒステリシス試験によって各々測定され得る。しかしながら、この弾性の定義が、ヒステリシス試験の適切な対象となるために適切な寸法(例えば、十分な幅)を有さない材料には適用されないことは理解されるべきである。代わりに、そのような材料は、付勢力の付加に際して少なくとも50%に伸張し、付勢力の解放の際にその元の長さに実質的に戻る(すなわち、20%未満のセットを呈する)ことができる場合、弾性であるとみなされる。
【0018】
「延伸性」は、破裂又は破損がない状態で、少なくとも50%伸張又は伸長する能力を意味する。
【0019】
「フィルム」とはシート状材料であって、材料の長さ及び幅が材料の厚さを超える(例えば、10倍、50倍又は更には1000倍)ものを意味する。フィルムは、典型的には液体不透過性であるが、通気性であるように設計され得る。
【0020】
「穴」とは、破壊力学の意味で「クラック」として機能する傾向がある、フィルム中の望ましくない開口部を意味する。穴の増大によって、フィルムは機械的に破損する。穴の増大とは、穴に近接するフィルムの部分の機械的破損によって穴の寸法が増加するということである。
【0021】
「接合された」は、要素を他の要素に直接固着することにより、要素を別の要素に直接固定する構成、及び要素を中間部材に固着し、これが次に他の要素に固着されることにより、要素が別の要素に間接的に固定される構成を意味する。
【0022】
「ラミネート」とは、当該技術分野で既知の任意の好適な方法(例えば、加熱されていない若しくは加熱された模様付きロールを用いる、接着剤結合、熱結合、超音波結合、又は高圧結合)によって、互いに結合された2つ以上の材料を意味する。
【0023】
「長手方向」は、吸収性物品が平らに延ばされた非収縮状態のときに吸収性物品の腰部端縁から対向する腰部端縁まで、又は2つ折りにされた物品において腰部端縁から股部の底まで、実質的に垂直に走る方向を意味する。長手方向の45°以内の方向は、「長手方向」と見なされる。「横方向」は、物品の側縁から対向する側縁まで走る、長手方向に対して概して垂直の方向を指す。横方向の45度以内の方向は、横方向と見なされる。
【0024】
「機械方向」すなわち「MD」は、製造プロセスにおいてウェブの移動方向に平行な方向である。MDの45°以内の方向は、機械方向と見なされる。「機械横断方向」すなわち「CD」は、MD方向にほぼ垂直な、ウェブによって概ね画定される平面内の方向である。CDの45°以内の方向は、機械横断方向と見なされる。
【0025】
「不織布」とは、連続的な(長い)フィラメント(繊維)及び/又は不連続な(短い)フィラメント(繊維)から、例えば、スパンボンディング、メルトブローン、エアレイイング、カーディング、共形成、水流交絡などのプロセスなどから作製される多孔質な繊維状材料を意味する。不織布は、織った又は編んだフィラメント模様を有さない。不織布は、液体透過性又は不透過性であってもよい。
【0026】
「可塑性」及び「可塑的延伸性」とは、所与の負荷において、破裂又は破損がない状態で少なくとも50%伸張し、負荷が取り除かれると、その材料又は構成部品が少なくとも20%のセットを示す(すなわち、80%未満回復する)材料の性能を意味する。例えば、当該技術分野において既知の好適なヒステリシス試験を行ったとき、初期長が100mmの延伸性材料は、少なくとも150mmまで伸張することができ(50%伸張)、付加された力が解放されると長さ35mm(すなわち、35mmのセット(35%セット))に戻ることができる。
【0027】
「弛緩された」とは、要素に作用する外力が重力以外に実質的にない、静止時の要素、材料又は構成部品の状態を意味する。
【0028】
「裂け目」とは、フィルムの1つ以上の縁部と交差している、フィルム中の不要な開口部を意味し、破壊力学の意味で「クラック」として機能するものである。裂け目の増大とは、裂け目に近接するフィルムの部分の機械的破損によって裂け目の寸法が増加するということである。
【0029】
「ウェブ」とは、ロールに巻くことができる材料のことを意味する。ウェブは、フィルム、不織布、ラミネート、有孔フィルム及び/又は有孔ラミネートなどであってよい。ウェブの面とは、その縁部とは対照的に、その2次元の表面の1つを指す。
【0030】
「X−Y平面」は、移動ウェブのMD及びCDによって、又は材料の片の長さ及び幅によって画定される平面を意味する。
【0031】
ポリマー
多くの弾性ポリマーを、弾性フィルムを作製するのに使用することができる。弾性ポリマーの非限定的な例としては、ホモポリマー、ブロックコポリマー、ランダムコポリマー、交互コポリマー、グラフトコポリマーなどが挙げられる。裂け目の広がりに対して抵抗性を示すフィルムに使用するのに特に好適なポリマーは、ブロックコポリマーであり、このブロックコポリマーは、典型的には、各々がポリマーの特性に寄与する個別の繰り返し単位のブロック(又はセグメント)から作製されている。ブロックコポリマーが有用であると認識される理由の1つは、コポリマーのブロックが、互いに共有結合し、優れた延伸性を提供するゴムドメインと、機械的な一体性(例えば、優れた機械的強度及び不必要な応力緩和又は流れの回避)を提供するガラス状末端ブロックドメインとともにミクロ相分離構造を形成するからである。本明細書に用いるのに好適なブロックコポリマーは、弾性特性及び熱可塑性特性の両方を示し得る。例えば、末端ブロックは、最終用途中に実施される温度(例えば、20〜40℃)で強健で剛性である機械的特性を示すドメインを形成し、ポリマー全体に剛性及び強度を加えることができる。かかる末端ブロックは、「硬ブロック」といわれることもある。中間ブロックは、エラストマーと関連する比較的大きな変性に適応し、材料が歪む(すなわち、伸張する又は延出する)際の反発力を提供し得る。かかる中間ブロックは、「軟ブロック」又は「ゴム状ブロック」といわれることもある。本明細書に用いるのに好適なブロックコポリマーは、少なくとも1つの硬ブロック(A)及び少なくとも1つの軟ブロック(B)を含む。ブロックコポリマーは、多元ブロックを有してもよい。特定の実施形態では、ブロックコポリマーは、A−B−A三元ブロックコポリマー、A−B−A−B四元ブロックコポリマー、又はA−B−A−B−A五元ブロックコポリマーであってよい。他の好適なコポリマーは、末端ブロックA及びA’を有する三元ブロックコポリマーを含み、ここで、A及びA’は、異なる化合物から得られる。特定の実施形態では、1つ以上の硬ブロック及び/又は1つ以上の軟ブロックを有して、それぞれの硬ブロックが同一又は異なるモノマーから誘導されてもよく、またそれぞれの軟ブロックが同一又は異なるモノマーから誘導されてもよい、ブロックコポリマーである。
【0032】
好適な硬ブロック構成部品は、25℃を超えるか、45℃を超えるか、又は更には65℃を超えるが、典型的には100℃未満であるガラス転移温度(T
g)を有する。硬ブロック部分は、スチレン及びα−メチル−スチレン又はこれらの組み合わせなどのビニルアレーンを含む、ビニルモノマーから誘導され得る。軟ブロック部分は、共役脂肪族ジエンモノマーから誘導されたポリマーであってよい。典型的には、軟ブロックモノマーは、6個未満の炭素原子を含有する。例えば、ブタジエン及びイソプレンなどの好適なジエンモノマーは、重合化されるか、水素が添加された形態で使用され得る。好適な軟ブロックポリマーとしては、ポリ(ブタジエン)、ポリ(イソプレン)及びエチレン/プロピレン、エチレン/ブテンのコポリマーなどが挙げられる。特定の実施形態では、コポリマー又はその一部分(例えば、中間ブロック又は末端ブロック)中に含有している残留オレフィン二重結合を部分的又は完全に水素添加するのが好ましいことがある。
【0033】
特に好適な実施形態では、弾性ポリマーは、各々が約8kg/モルである2つの末端ブロック及び45kg/モルの中間ブロックを含むスチレン−エチレン−プロピレン−スチレン(「SEEPS」)ブロックコポリマーであり得る。この中間ブロックは、例えば、共重合した後に、イソプレン及びブタジエンを水素添加することで形成され得る。中間ブロック中の元のC=C二重結合の95〜99%又は更には98〜99%が飽和されているが、ポリスチレン末端ブロックは芳香族がそのままであるように、コポリマーを水素添加するのが望まれ得る。水素添加の度合が低すぎると、ポリマーは、伸長結晶化する能力を失い始めることがある。理論によって制限されることなく、ポリマーにおける伸長結晶化は、かかるポリマーで作製されるフィルムに引裂抵抗特性を提供するのに重要であると考えられている。特定の実施形態では、イソプレン及びブタジエンを共重合化することでゴム状中間ブロックを作製することで、コモノマー配列とビニル含有量の両方を変化させるコモノマーが生じ得る。SEEPSコポリマーがブロックコポリマーである場合、エチレン−エチレン−プロピレン(「EEP」)中間ブロックは、ランダムコポリマーよりもブロック性又は代替性が高い。しかし、わずかにランダム性からの逸脱が生じ得る。ランダム性からの逸脱、並びにコポリマーのビニル含有量は、重合化中の条件を調整することで制御し得る。例えば、イソプレン及びブタジエンの共重合及びそれに続く水素添加によって、様々な分枝タイプが生じ得る。以下の表1に、生じ得る異なる分枝タイプを例示する。メチル分枝を例外として、分枝は、典型的には、ポリエチレン型結晶には「適合」しないため、中間ブロックの結晶化度及びT
mは減少する。例えば、SEEPSブロックコポリマーの中間ブロックは、−50℃未満の温度で約7%結晶化し、約0℃のT
mを有し得る。それに比べて、実質的に非分枝のポリエチレンは、約75%の結晶化度であり、約135℃のT
mを有する。
【表1】
【0034】
結晶性CH
2配列の長さは、ポリマー中間ブロックの融解温度に直接影響し、少なくとも部分的には、中間ブロックに組み込まれるコモノマーの配列(例えば、イソプレンは常にいくつか分枝タイプを提供する)及び、ジエンの1,4及び1,2(又は3,4)重合化の全体的なバランスによって変化する。結晶のT
mは、結晶性配列の長さ、及び材料が伸長結晶化する能力についての情報を提供し、その両方は、中間ブロック主鎖の分枝における、数、種類、及び分布に関連する。本明細書で好適なエラストマーは、十分に長い結晶性配列のCH
2基(ポリエチレン型結晶を形成する)を含み、10℃を超えるT
m(既知の材料と比較すると、−5℃)を有する。本明細書で好適なT
mは、10℃〜20℃、12℃〜18℃、13℃〜17℃、又は更には14℃〜16℃である。
【0035】
上述のEEP中間ブロックに加えて、例えば、「Anionic Polymerization:Principles and Practical Applications」(Henry Hsieh,Roderick Quirk;Chapter 9,pp.197〜229;Marcel Decker,New York(1996))に記載されるように、適切な溶媒極性(1〜4対1〜2含有を制御する)を選択することで、同様の結晶性配列を含有する「EB」型(すなわち、水素添加ポリブタジエン)の中間ブロックを提供するのが望ましい。
【0036】
フィルム
最少限の引裂抵抗性を呈するか、又は引裂抵抗性を呈さないフィルムを形成する、従来の弾性フィルム(例えば、Vector 4211(Dexco Polymers L.P.,Houston,TX)などの既知のエラストマーから形成されるフィルム)とは異なり、本明細書で開示される弾性フィルムは、フィルムに好適な引裂抵抗性を付与する少なくとも1つの弾性ポリマーを有効量で含む。かかる抵抗性は、フィルムにおいて、裂け目に限定されるものではなく、スリット、孔、開口部、穴、及び/又は任意の他の不連続部分に対するものであると認識される。低速引裂試験は、「Tear Resistant Film」という題目で、2011年2月14日にMansfieldに出願された、同時係属中の米国特許出願第13/026,533号(更に、代理人整理番号第11993 P&Gで識別される)に記載されており、裂け目、穴、孔、又は他の不連続部の増大に対するフィルムの抵抗性を定量化するのに好適な方法が提供されている。本明細書で開示されるフィルムにおける好適な破損時間値は、低速引裂試験により測定した際に、1時間超、2時間超、4時間超、6時間超、10時間超、15時間超、又は更には最大24時間以上であって、例えば、最大30時間、最大36時間、最大40時間、最大44時間、最大48時間、又は更には最大60時間である。理論的に言えば、フィルムは、裂け目の増大に無制限に抵抗することができる。本発明のフィルムは、本明細書で記載されるように、裂け目の増大に好適な抵抗性を提供するのが望ましい、比較的高い量の機械的応力の急激な付加に対する抵抗性を示すのも望ましい。例えば、本発明のフィルムは、「Tear Resistant Film」という題目の上述の同時係属出願に記載されている高速引張試験により測定する際、10〜25MPa、15〜20MPa、16〜19MPa、又は更には17〜18MPaの高速引張強度を有し得る。「Tear Resistant Film」という題目の上述の同時係属出願に記載されている切り欠き高速引張強度試験により測定する際、10〜約20MPa、14〜19MPa、又は更には15〜18MPaの切り欠き高速引張強度を呈するフィルムを提供するのが望ましい。理論によって制限されることなく、フィルム中の好適な高速引張強度及び/又は切り欠き引張強度は、比較的高速率の望ましくない機械的応力に関するフィルム破損に対して少なくとも幾分かの抵抗性を提供するのに重要であり得る。
【0037】
本発明の引裂抵抗性フィルムは、任意の特定の寸法に限定されることはなく、比較的薄い材料シートとして構成され得る。特定の実施形態では、フィルムは、1μm〜1mm、3μm〜1500μm、又は5μm〜100μm、又はこれらの範囲内の任意の値の有効平均厚さを有し得る。引裂抵抗性フィルムは、例えば、溶融熱可塑性及び/又は弾性ポリマーをスリットダイに押出成形し、続けて押出されたシートを冷却するなどの当該技術分野における任意の好適な方法によって形成され得る。フィルムを作製する非限定的な他の例は、キャスティング、ブローイング、溶液キャスティング、カレンダリング、及び、水性又はキャスト、非水性分散液からの形成を含む。ポリマー材料からフィルムを作製するのに好適な方法は、Plastics Engineering Handbook of the Society of the Plastics Industry, Inc.,Fourth Edition(1976)、156、174、180及び183ページに記載されている。特定の実施形態では、弾性フィルムは、以下でより詳しく記載されるヒステリシス試験による200%歪み(L200)での負荷工学応力は、約0.8〜2MPa、1.0〜1.5MPa、又は更には1.0〜1.2MPaであり、50%歪み(UL50)での非負荷工学応力は、0.3〜0.8、0.4〜0.6、又は更には0.5〜0.6MPaであり得る。上述のL200値及びUL50値は、使い捨て吸収性物品に使用するのに好適であるフィルムを提供する(例えば、伸張を回復する力を低くする、心地良く満足のいく適合にする、不要なたるみを減少させる、所望の場所への身体滲出物の収容する、穴又は裂け目の初期形成に抵抗する力を提供する)のに重要であり得る。
【0038】
本発明の引裂抵抗性フィルムは、酸化防止剤及び/又は修飾樹脂などの添加剤を任意で含み得る。更には、本発明のフィルムは、物理的に修飾されてもよく(例えば、穿孔する、多層ラミネート材料へ組み込む、又は漸増伸張プロセスにかける)、引き続き、裂け目の広がりに対して好適な抵抗性を示し得る。任意で、添加剤、修飾樹脂、及び物理的修飾剤などを含む代表的なフィルムが、前述の「Tear Resistant Film」という題目の同時係属出願で開示されている。
【0039】
ラミネート
特定の実施形態では、例えば、1つのフィルム層が2つの不織布層に挟まれている3層ラミネート(例えば、SMS不織布層で挟まれるフィルム層)のようなラミネートにフィルムを組み込むことが望ましい。所望であれば任意数のフィルム及び/又は不織布層を含むようにラミネートを構成し得ることが認識される。本明細書のラミネートは、「Tear Resistant Laminate」という題目で、2011年2月14日にMansfieldによって出願された同時係属中の米国特許出願第13/026,563号(更に、P&G代理人整理番号第11994で識別される)に記載のラミネート一体化試験により試験される際、2時間超、5時間超、10時間超、20時間超、30時間超、又は更には50時間超であるが、典型的には100時間未満のラミネート一体化時間を有し得る。理論的に言えば、本明細書に記載される引裂抵抗性ラミネートは、穴、裂け目、又は孔の増大に無制限に抵抗することができる。ラミネート構造の好適な例は、上記の同時継続出願である、題目「Tear Resistant Laminate」及び「Stretch Laminate,Method of Making and Absorbent Article」という題目で、2006年4月24日にMansfieldにより出願された米国特許出願第2007/0249254号で開示されている。
【0040】
吸収性物品
特定の実施形態では、フィルム及び/又はラミネートは、物品(例えば、おむつ又はトレーニングパンツ)に組み込まれてよく、物品が目的とする所定の時間(例えば、着用者が眠っている夜間)機能するのが特に重要である。したがって、好適なラミネート一体化時間及び破損時間は、ラミネート又はフィルムを含む物品又は物品要素が使用中に壊滅的に破損する可能性が低いことを示す上で重要である。
【0041】
以下の1つ以上の代表的な実施形態は、おむつ、トレーニングパンツ、又は同様の着用可能な吸収性物品を対象としているが、本発明で開示されている引裂抵抗性フィルムが、硬表面洗浄ワイプ又はパッド;前湿潤クロス;紙タオル;乾燥機用シート及びドライクリーニング用クロス;成人用失禁用ブリーフ及び下着;パンティーライナー、生理用ナプキン、吸収性挿入物などの婦人衛生用下着;トイレットペーパー;ティッシュペーパー;おしり拭き又は顔用ワイプなどの身体用洗浄ワイプ;洗濯洗剤及びコーヒー用の梱包構成部品及び支持体(ペレット又はポーチに作製され、変換又はウェブプロセスで製造され得る)、などの非限定的な様々な物品において優れた利点を持つように実践され得ることが理解される。
【0042】
図1は、平らな、非収縮状態にある(すなわち、弾性誘導収縮がない)、代表的なおむつ20の非限定的な実施形態の平面図である。おむつ20の衣類に面する表面120が見る側に向いている。おむつ20は、長手方向中心線100及び横方向中心線110を含む。おむつ20は、前側腰部領域36、前側腰部領域36と対向する後側腰部領域38、及び前側腰部領域36と後側腰部領域38との間に位置する股領域37を含む。前側腰部領域36及び後側腰部領域38は、一般的に、おむつ20を着用した際に着用者の腰部を囲む部分に含まれている。前側腰部領域36及び後側腰部領域38は、適合性及び収容を改善するために、前側腰部領域36及び/又は後側腰部領域38の着用者の腰部周りとなる材料にギャザーを寄せる弾性要素を(例えば、本明細書で開示される引裂抵抗性フィルム又はポリマーから形成される)を含み得る。股領域37は、おむつ20を着用した際に、着用者の脚の間に一般的に位置するおむつ20の一部分である。おむつ20の外周は、長手方向側縁部12及び端縁部14によって画定される。対向する長手方向側縁部12は、一般的に長手方向中心線100と平行に配向され得る。弾性要素(例えば、本明細書で開示される引裂抵抗性フィルム又はポリマーから形成される)は、おむつ20が締着構成にある際、おむつ20の側縁部14に近接して配置されてよく、ガスケットカフスを形成する。特定の実施形態では、引裂抵抗性ポリマーが組み込まれている弾性要素は、側縁部12の内向きに(すなわち、長手方向中心線100に向かって)配置され、バリアレグカフを形成している。ガスケットカフ及びバリアレグカフの好適な例は、Freelandらに1991年7月16日に発行された米国特許第5,032,120号、及びMiyamotoに2009年5月5日に発行された米国特許第7,527,616号に記載されている。
【0043】
図1に示すように、おむつ20は、液体透過性トップシート24と、液体不透過性バックシート26と、それらの間に配置される吸収性コア28と、を含む。吸収性コア28は、身体に面する表面と衣類に面する表面を有し得る。トップシート24、バックシート26、及び吸収性コア28は、様々な周知の構成で組み立てられ得る。例えば、トップシート24は、コア28及び/又はバックシート26に接合され得る。バックシート26は、コア28及び/又はトップシート24に接合され得る。他の構造、要素、又は支持体が、コア28、トップシート24及び/又はバックシート26の接合関係又は非接合関係中に配置されてもよいことが認識されるべきである。好適なおむつ構成の非限定的な例は、一般的に、米国特許第3,860,003号、同第4,808,178号、同第4,909,803号、同第5,151,092号、同第5,221,274号、同第5,554,145号、同第5,569,234号、同第5,580,411号、同第6,004,306号、及び同第7,626,073号、及び米国特許出願第2007/0249254号に記載されている。
【0044】
トップシート24は、典型的には、着用者に部分的に接触するか、ごく近接して配置されるおむつの20の一部分を有する。好適なトップシート24は、多孔質発泡体、網状発泡体、有孔フィルム(例えば、本明細書で開示される引裂抵抗性フィルム)、又は天然繊維の織布又は不織布ウェブ(例えば、木又は木綿繊維)、合成繊維、又は天然繊維と合成繊維の組み合わせ、又はこれらの材料の多層ラミネートなどの様々な範囲の材料から製造され得る。一般的に、トップシート24の少なくとも一部分は液体透過性であり、トップシート24の厚みに沿って容易に液体を透過させることができる。トップシート24の任意の部分が、当該技術分野で既知の液体で覆われていてよい。好適な液体の例としては、米国特許第5,607,760号、同第5,609,587号、同第5,635,191号、及び同第5,643,588号に記載されるものが挙げられる。
【0045】
吸収性コア28は、使い捨ておむつ及び他の吸収性物品(例えば、超吸収性ポリマー「SAP」)及び/又はエアフェルトに一般的に使用される、様々な液体吸収性材料を含み得る。これらの材料は、獲得層、分配層及び貯蔵層などの流体操作層を含み得る、1つ以上の層の発泡体の形態でコア28を提供するように混和され得る。かかる吸収性コア28は、他のコア構成部品を安定化させるための層も含み得る。かかる層は、コアカバー及びダスティング層を含み得る。特定の実施形態では、本明細書で記載されるように、1つ以上のコア層は、引裂抵抗性フィルムを含み得る。特定の実施形態では、吸収性コア28は、吸収性コア28の重量の20重量%の未満のエアフェルトを含み得るか、又は吸収性コア28は、更にはエアフェルトを含まなくてもよい。吸収性コア28として使用される代表的な吸収性構造物は、米国特許第4,610,678号、同第4,673,402号、同第4,834,735号、同第4,888,231号、同第5,137,537号、同第5,147,345号、同第5,342,338号、同第5,260,345号、同第5,387,207号、同第5,397,316号、及び同第5,625,222号、同第7,750,203号、及び同第7,744,576号に記載されている。
【0046】
バックシート26は、おむつ20の衣類に面する表面120の少なくとも一部分を含むように配置され得る。バックシート26は、おむつ20に吸収され、収容される滲出物が、ベッドシーツ及び下着などのおむつ20と接触する物品に汚すのを防ぐように設計され得る。特定の実施形態では、バックシート26は、実質的に水不透過性である。バックシートの1つ以上の部分は、本明細書で開示される引裂抵抗性フィルムから形成され得る。他の好適なバックシート26材料は、滲出物がバックシート26を通過するのを防ぎつつ、おむつ20から蒸気を逃すことができる通気性材料を含み得る。かかる通気性複合材料は、国際公開第95/16746号及び米国特許第5,865,823号により詳しく記載されている。不織布及び孔形成フィルムを含む他の通気性バックシートは、米国特許第5,571,096号に記載されている。代表的な好適なバックシートは、米国特許第6,107,537号に記載されている。他の好適な材料及び/又は製造技術には、限定はされないが、表面処理、特定のフィルムの選択及び加工、特定のフィラメントの選択及び加工などが挙げられ、好適なバックシート26を提供するために使用され得る。
【0047】
バックシート26は、例えば、別個の非接合層又はラミネートとして構成される1つ以上の層も含み得る。かかるラミネート構造体はバックシート26に限定されるものではないが本明細書に記載の任意のおむつ20構成部品又は当該技術分野で周知の任意のおむつ20の構成部品(例えば、耳部又はサイドパネル)に組み込まれ得る。
図2の切欠部分に図示されるように、おむつ20の衣類に面した側から見た場合、バックシート26は、外部カバー26a及び外部カバー26aの下に少なくとも部分的に配置される内層26bを含み得る。外部カバー26aは、長手方向側縁部27aを含み、内層26bは、長手方向側縁部27bを含み得る。外部カバー26aは、柔らかい不織布材料から作製され得る。内層26b又はその一部は、本明細書で開示される弾性のある引裂抵抗性フィルムなどの実質的に水不透過性のフィルムから作製され得る。特定の実施形態では、内層26bの腰部領域36及び38は、引裂抵抗性の弾性フィルム材料を含み得るが、内層26bの股領域37はフィルム又は異なるフィルムを含まない。外部カバー26a内層26bは、接着剤又は他の任意の好適な材料又は方法で接合され得る。加えて、外部カバー26a及び/又は内層26bは、例えば、ラミネート構造体などにおいて、各々が、1つを超える材料層を含んでもよい。
【0048】
おむつ20は、締着装置50を含んでもよい。締着されると、締着装置50は、典型的には、前側腰部領域36と後側腰部領域38とを相互に連結し、それによって、一般的には着用者の腰周囲はおむつ20で取り囲まれる。弾性的延伸性を備える締着装置50の一部分又は構成部品を提供するのが望ましい。したがって、締着装置の1つ以上の部分又は構成部品は、本明細書に記載されるように、引裂抵抗性フィルム材料を含み得る。代表的な表面締着装置は、米国特許第3,848,594号、同第4,662,875号、同第4,846,815号、同第4,894,060号、同第4,946,527号、同第5,151,092号、及び同第5,221,274号に開示されている。代表的な連動締着装置は、米国特許第6,432,098号に開示されている。締着装置50は、米国特許第4,963,140号に開示されるように、使い捨て構成において物品を保持する手段も提供し得る。締着装置50は、米国特許第4,699,622号に開示されるように、一次及び二次締着装置も含み得る。締着装置50は、米国特許5,242,436号、同第5,499,978号、同第5,507,736号、同第5,591,152号、及びRezaiらに2010年6月4日に出願された同時係属中の米国特許出願第12/794103号(更にP&G代理人整理番号第11357Mで識別される)で開示されるように、重なり合う部分の移動を減らし、又は適合性を改善するように構成され得る。
【0049】
特定の実施形態では、締着装置50の一部分は、本明細書中以下でより詳しく記載されるように、おむつにある1つ以上の耳部40、42上に配置され得る。例えば、
図1で例示される締着装置50は、係合部材52及び受容部材54を含み、後耳部42上に係合部材52が配置されるように構成され得る。係合部材52は、受容部材54上及び/又はおむつ20の他の部分上の相補的受容表面と係合可能である係合表面53を含む。
図1で示されるように、係合部材は、おむつ20の耳部40、42上に、そこから外側に向かって延伸するように配置され得る。特定の実施形態では、
図2に図示されるように、係合部材352は、耳部40、42と一体化され得る。
【0050】
おむつ20は、おむつ20(又はパンツ)が締着されるか、又は事前に締着された構成にある場合、「サイドパネル」又は「サイド」と呼ばれることもある1つ以上の耳部40、42を含んでよく、これは、前側腰部領域36及び/又は後側腰部領域38において片側の側縁部又は両方の側縁部12から横方向に外側に向かって延伸している。例えば、
図2に示されるように、おむつ20が締着構成である際、耳部40、42は、おむつ20の端縁部14から長手方向に、脚開口部355を形成するおむつ20の側縁部12部分まで延伸している。耳部40、42は、バックシート、トップシート、及び/又はコアの一体型要素(すなわち、バックシート、トップシート、及び/又はコア材料から形成され、延伸している)として構成されるか、又は耳部40、42は、当該技術分野において既知の好適な手段によって、バックシート及び/又はトップシートに固定される分離式の操作可能な要素あり得る。耳部40、42は、単一層として、又は1つ以上のフィルム層と1つ以上の不織布層とのラミネート構造体として、構成され得る。例えば、耳部40、42は、1つの引裂抵抗性フィルムが2つの不織布層に挟まれるように構成され得る。各不織布層は、2つ以上の層としても構成され得る。本明細書で使用するのに好適なラミネートは、「Tear Resistant Laminate」という題目で上述の同時係属出願に記載されているラミネート一体化試験により試験を受けた際に、2時間を超える、5時間を超える、10時間を超える、20時間を超える、又は30時間を超える、又は更には50時間を超えるが、典型的には100時間未満の最小ラミネート一体化時間を有する。理論的に言えば、引裂抵抗性ラミネートは、穴、裂け目、又は孔の増大に無制限に抵抗することができる。例えば、Hasseらに1995年11月7日に発行された米国特許第5,464,401号及びSabeeらに1989年5月30日に発行された米国特許第4,834,741号に記載されるように、耳部40、42を形成するのに使用されるラミネート構造は、不織布層を活性化し、弾性的延伸性耳部を提供するために、耳部40、42又はおむつ20への組み込みの前後に漸増伸伸張プロセスにかけられ得る。特定の実施形態では、フィルムにミクロ孔、孔、毛管、又は不連続部を提供することで、耳部、又はその一部を通気可能になるように構成されるのが望ましい。
【0051】
図2は、部分的に締着された構成(すなわち、1つの留め具が締着され、他の留め具は締着されていない)にあるおむつ300を示す。目的通りにおむつ300が着用される際に、着用者の腰部を取り巻く腰開口部350を形成するために、前側腰部領域336及び後側腰部領域338は、永久的又は再締着可能に互いに接合され得る(例えば、係合部材352により)前側耳部340及び後側耳部342を含む。係合部材352などの締着装置から作製された1つ以上の構成部品を後側耳部342上に配置し得る。係合部材352は、例えば、前側耳部340上又は前側腰部領域336上に配置される受容部材などのおむつ300の他の部分と係合可能である。係合部材352及び受容部材(もしあれば)は、補完し合って、互いの表面機構と機械的に結合する(例えば、フックアンドループ式又はタブスロット式)ことが可能である。おむつ100は、前側腰部領域336と後側腰部領域338の間に延伸する股領域337を含み得る。前側腰部領域336及び後側腰部領域338は、各々、1つ以上の弾性腰部機構を含み得る。締着したおむつ300は、脚部帯状領域によって画定される1つ以上の脚開口部355を含み得る。脚開口部355は、少なくとも4cmの最小フープ直径及び/又は少なくとも10cmの最大フープ直径を有し得る。脚開口部355は、最大フープ直径が最小フープ直径の少なくとも3倍、5倍、又は更には10倍大きくなるようなフープ範囲を有するように構成され得る。
【0052】
特定の実施形態では、吸収性物品は、一般的に知られているトレーニングパンツなどのパンツ製品を作製する製造業者によって予備形成(すなわち、締着構成で梱包)され得る。パンツは、再締着可能及び/又は再締着不可能な結合を使用して、物品の一部分を一緒に接合するなどの非限定的な任意の好適な技術(例えば、シーム、溶接、接着、凝集結合、留め具など)によって予備形成され得る。例えば、物品は、締着装置を事前に係合させて(すなわち、販売用に物品を梱包する前に係合部材を受容部材54に接合する)製造され得る。更なる例として、物品は、接着結合、機械的結合、又は当該技術分野において既知の他のいくつかの結合技術などの結合によって、前側耳部40を後側耳部42と接合させて製造され得る。パンツ(又は上述のおむつ20)に、尿及び/又は糞便の存在及び/又は量を知らせる知覚的な合図(例えば、視覚的又は可聴的)を提供する湿り度インジケーターを含ませることが望ましい。好適なパンツは、米国特許第5,246,433号、同第5,569,234号、同第6,120,487号、同第6,120,489号、同第4,940,464号、同第5,092,861号、同第5,897,545号、及び同第5,957,908号に開示されている。好適な湿り度インジケーターは、2008年2月19日にLiuに発行された米国特許第7,332,642号、2007年1月9日に発行されたKloftaらに発行された米国特許第7,159,532号、2006年9月12日にCarlucciらに発行された米国特許第7,105,715号、2005年6月14日にKloftaらに発行された米国特許第6,904,865号、及び2004年8月10日にKloftaらに発行された米国特許第6,772,708号に開示されている。
【0053】
試験方法
本明細書の試験方法における周囲条件は、他に指定がなければ、23℃±2℃の温度を含む。場合によっては、試験されるフィルム試料は、フィルム材料と接合される1つ以上他の材料の層を含んでいてもよい(例えば、市販の物品から採った試料など)。このような場合、フィルムが損傷するのを避けるために、他の材料の層からフィルムを注意深く分離する。他の材料からフィルムを分離した結果、フィルムが損傷を受けた場合(すなわち、破断、切断、穿孔など)、試料を破棄し、損傷を受けていない他のものを使用する。
【0054】
坪量(単位面積当たりの質量)
INDA標準試験WSP 130.1(09)により、各フィルムの秤量を測定する。全ての条件及び試験を23±2℃及び50±5%の相対湿度の雰囲気において行う。
【0055】
5つの試料の平均を、グラム毎平方メートル(gsm)で平均秤量として有効数字3桁で記録する。
【0056】
有効厚み平均
フィルムの有効厚み平均を、以下の平均秤量から算出する。
有効厚み平均=平均秤量/密度
単位:
厚み:マイクロメートル(μm)
秤量:gsm
密度=0.92グラム毎cm
3(g/cc)
有効数字3桁で、マイクロメートル(μm)で結果を記録する。
【0057】
ヒステリシス
以下の条件ASTM D882−02により、線接触グリップ及び、負荷−保持−非負荷の順序で、例外及び/又は以下の条件に沿って、ヒステリシス試験を実行する。
図3に、ヒステリシス試験中によって生じるL200値(すなわち、負荷中の200%歪みにおける工学歪み)とUL50値(すなわち、非負荷中の50%歪みにおける工学歪み)を含む、応力−歪み曲線の一部分を示したものである。負荷−非負荷のサイクルを1回実行する。
・試料幅:25.4mm
・標点距離:25.4mm
・試験速度:4.233mm/秒
・温度:22〜24℃
・付加変位:50.8mm(200%工学歪み)
・付加変位における保持時間:30秒
・グリップの設計が、ASTM D882−02の6.1項で指定される50mmを超える長さの試料に適合しない場合、グリップの他の部分に影響させずに適度な標点距離を保持できる長さに試料を調製する。このような場合、試料が適切な整列、保持、標点定義をして実装されているかに注意を払うべきである。
以下を記録する:
・負荷セグメント中(L200)の200%工学歪みにおける工学応力
・非負荷セグメント中(UL50)の50%工学歪みにおける工学応力
・非負荷中に、試料が弛緩した(Ls)際の工学応力
【0058】
次に、セットを、付加変位における工学歪みの割合として表すLsとして定義する。例えば、試料に200%工学歪みが付加され、非負荷中に20%の工学歪みで弛緩した場合、このセットは、20%/200%=0.10=10%として算出する。
【0059】
定義において記載されるように、材料が「弾性」又は「プラスチック」の定義に合うかどうかを判定するために、ヒステリシス試験を用いる際、12.7mm(すなわち、50%の工学歪み)の付加変位が用いられる。
【0060】
示差走査熱量計(DSC)
ポリマーの融解温度(T
m)を測定するためにDSC試験を用いる。
図4に示される時間−温度プロファイルを測定に使用することを除いては、T
mは、ASTM D3418−08によるDSC測定により測定される(T
mは、ASTM法ではT
mpとされることに注意)。20℃/分の加熱速度で較正を実行する。
図4に示されるように、温度プロファイルは、30〜42分の時間でのプロファイルにおいて非直線部分401を含み得る。非直線部分401は、装置の冷却能力に限界があることを示すものである。公称冷却速度からのこの偏位は、観測された融解曲線にあまり影響を与えないかもしれないが、本明細書の全てのDSCデータにおいて同様のプロファイルが生じている。
【0061】
空気透過性試験
規定の圧力低下を受ける試料を通る通常の調整空気の流速を測定することで、基材(例えば、フィルム、ラミネート、又は物品の構成部品)の空気透過性を測定する。この試験は、不織布、有孔フィルム等、比較的高い空気透過性を有する材料に特に適している。以下のように変更して、ASTM D737を用いた。
【0062】
TexTest FX3300器具又は同等物が使用され、これは、Textest AG(Switzerland)、又はAdvanced Testing Instruments ATI(Spartanburg SC,USA)から入手可能である。TEXTEST FX 3300空気透過性テスターマニュアルの操作説明にある、気密性試験及び機能及び較正チェックにおいて記載されている手順を行う。異なる器具を使用する場合、製造業者の説明書により、気密性及び較正に関する同様の規定に従う。
【0063】
試験圧力低下は、125パスカルに設定され、5cm
2面積試験ヘッド(FX3300−5モデル)が使用される。TEXTEST FX 3300空気透過性テスターマニュアルの操作説明にある手順により、試料の測定を行った後、結果を有効数字3桁で記録する。この試料の5つの試料の空気透過性データ(m
3/m
2/分)の平均を算出し、空気透過性値として記録する。
【実施例】
【0064】
表2は、様々なフィルム試料を作製するための処方を示している。表2に示されるS4033、JL−007、及びJL−014は、Kuraray America,Inc.(Pasadena,TX)から入手可能な水素添加SEEPSブロックコポリマーである。S4033は既知のSEEPSブロックコポリマーであり、JLシリーズ(例えば、JL−007及びJL−014)は、加工性を向上するために改変されたS4033型のブロックコポリマーであると考えられる。SEEPSブロックコポリマーであるJLシリーズは、イソプレンと1,3ブタジエンの質量比が、46/54〜44/56(例えば、45/55)である。表2において、油は、Drakeol 600、Hydrobrite 550、又はKrystol 550などの鉱油である。REGALREZ 1126及びREGALITE 1125は、Eastman Chemical Company(Kingsport,TN)から入手可能な粘着付与剤である。PS 3190は、NOVA Chemical Company(Canada)から入手可能なポリスチレンホモポリマーである。AOは、Ciba Specialty Chemicals(Switzerland)から入手可能なIrganox 100などの好適な酸化防止剤である。
【0065】
試料1〜11は、100mm幅及び100μm厚のフィルムを形成するために、スロットダイに熱可塑性樹脂を通して押し出して作製した。熱可塑性組成物は、拡張した混合区画を備えるLeistritz(27mm)2軸押出機で材料を押し出すことで形成される。まず、油とSeptonポリマーを一緒に混合し、次にポリスチレン及び粘着付与剤をこの混合物に混和した後、押出成形機に投入する。押出成形機内の温度は、典型的には170〜230℃の範囲に及ぶ。続けて、ThermoFisher(20mm)短軸押出成形機を使用して、組成物をフィルムに成形した。ThermoFisher押出成形機内の温度は、典型的には170〜230℃の範囲に及ぶ。
【表2】
【0066】
表3は、様々な弾性フィルム材料の破損時間及び融解温度を表している。試料1〜6及び9〜10は、本発明のフィルムの好適な実施例を示すものである。試料7〜11は、SEEPSブロックコポリマーが必ずしも好適な引裂抵抗性及び/又は加工性を提供するわけではないことを示すための比較例として提供される。破損時間の測定方法は、低速引裂試験により得たものであり、T
m値は、DSC法により得たものである。2段階圧縮成形手順によって表3中の試料12〜15を形成し、そこで、エラストマーは、加熱プラテン(215℃)間で圧縮され、薄いエラストマーシート(約2.5mm厚)を提供するシムを使用して3分間の滞留時間保持され、続けて、その薄いフィルムを折り畳み、積み重ねて、シムを用いずに加圧し、約30秒間の滞留時間保持し、80〜200μmのフィルムを提供する。様々な成分の割合は、全て、フィルムの重量に基づいた重量パーセントである。試料12は比較例として提供され、56%のS4033、13%のPS3160、及び31%の白色鉱油から形成される。試料13〜15は、試料12と同じ相対量のSEEPSブロックコポリマー、ポリスチレンホモポリマー、及び鉱油を含むが、それらの形成において使用されるSEEPSコポリマーの種類(ポリマーのT
mなど)が異なっている。試料13は56%のJL−007を使用して形成する。試料14はJL−014を使用して形成する。試料15はJL−013を使用して形成する。これらの成分を小さなバッチミキサー(Haake)中に加え、210℃で3分間、50RPMで混合する。続けて、210℃で加熱プラテンの間で押圧することで、シートを作製する。
【表3】
【表4】
【0067】
表3で分かるように、S4033 SEEPSブロックコポリマーを含む試料は、約1時間を超える破損時間及び/又は10〜20℃のT
mを提供することができず、JLシリーズのSEEPSブロックコポリマーから形成される試料は、所望の特性を提供する。
【0068】
表4で指定されるSEEPSブロックコポリマーから形成されるフィルムを使用して、ラミネートを作製した。個々のフィルム要素の重量パーセントは、フィルムの総重量を元にしており、表4にも示される。180℃の第1バレル段階と215℃の押出ダイ温度との間のプロファイルを備える実験室規模の押出装置による押出成形によって、フィルムを成形した。フィルムは、130〜140gsmの範囲内の秤量を有する。不織布を覆い、以下できに記載するラミネート試料を形成するのに十分な寸法を有する剥離紙シートの螺旋模様に、ホットメルト接着剤(例えば、Bostikから入手可能な製品コード2031)を塗布した。この接着剤は、スプレーメルトプロセスによって、6.2gsmの秤量で塗布した。剥離紙上に不織布を載置し、不織布の上から軽く手で適度に押して、接着剤を剥離紙から第1不織布材料(Fibertexから製品番号ESM0337で入手可能な16.5gsmのSMS不織布)に移し、不織布と接着剤間の接触を良好なものとした。次に、不織布を剥離紙から注意深く剥がし、剥離紙からの接着剤を不織布へ移した。接着剤が不織布と同じ側に塗布されるように、このプロセスを2回繰り返した。剥離紙から不織布を2回にわたって除いた後、次に、不織布をフィルムに貼り付けるために不織布の接着剤を含有する側を、フィルム上に載置した。次に、接着剤を不織布に塗布するプロセスを、同じ不織布材料で2回繰り返した。次に、第2不織布材料をフィルムの反対側に貼り付けた(すなわち、フィルム反対面の各々に1つの不織布層がある)。不織布とフィルムの機械方向が一致するのを確認した。ラミネートを、長さ100mm及び幅50.8mmに整えた。次に、全試料を同じスタックに積み重ねて、3秒間20kPaの圧力をかけた。次に、各ラミネートを、200ピッチのリングロールプレート上で8mm係合深さ(歯は、120μmのチップ直径を有する)で活性化した。このようにして、ラミネートの機械方向に沿って、各々対になっている歯の間に配置される材料の各長さに、0.2秒間250%工学歪みをかけた。これによって、永続的な不織布の変形が引き起こされる。したがって、弾性フィルムは、不織布による機械的な干渉を(非活性化ラミネートと比較して)実質的に削減して伸張することができる。
【表5】
【0069】
表5は、ラミネート一体化試験により試験した際の、表4のラミネートのラミネート一体化時間及び破損時間を示している。
【表6】
【0070】
表5からも分かるように、試料2は、2時間を超える好適なラミネート一体化時間を示している。それとは対照的に、比較例として提供された試料1は、2時間を超える好適なラミネート一体化時間を示さない。同様に、試料1は、1時間を超える好適な破損時間を提供しない。
【0071】
本明細書に開示される寸法及び値は、列挙された正確な数値に厳密に限定されるものとして理解されるべきではない。それよりむしろ、特に規定がない限り、こうした各寸法は、列挙された値とその値周辺の機能的に同等の範囲との両方を意味することを意図している。例えば、「40mm」と開示される寸法は、「約40mm」を意味することを意図している。加えて、本明細書で記載される特性は、1つ以上の値域を含み得る。当然のことながら、これらの値は、範囲内の個々の値が特に開示されていない場合でも範囲内の全ての値を包含するということが理解されるべきである。
【0072】
本発明の「発明を実施するための形態」で引用した全ての文献は、関連部分において本明細書に援用するが、いずれの文献の引用もそうした文献が本発明に対する先行技術であることを容認するものとして解釈されるべきではない。本書における用語の任意の意味又は定義が、参照により組み込まれた文献における同一の用語の任意の意味又は定義と相反する限りにおいては、本書においてその用語に与えられた意味又は定義が適用されるものとする。
【0073】
本発明の特定の実施形態が例示され記載されてきたが、本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく他の様々な変更及び修正を実施できることが、当業者には自明であろう。したがって、本発明の範囲内にあるそのような全ての変更及び修正を添付の特許請求の範囲で扱うものとする。